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ノルウェーの伝承を現代的に再解釈「トロール・ハンター」(2012)

ぷらすです。

今回ご紹介するのは、「スケアリーストーリーズ 怖い本」 (2019)や「ジェーン・ドウの解剖」 (2016)のアンドレ・ウーヴレダル監督、2010年の作品『トロール・ハンター』ですよー!

昨日、Amazonレンタルで100円セールしてたので観てみました。

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画像出展元URL:http://eiga.com

概要

ノルウェーなどの北欧に住む伝説の妖精トロールの衝撃的な実態に迫った異色映画。取材中にノルウェーで“トロール・ハンター”と出会った学生たちが、ハンターと行動を共にする中で、誰も知らなかったトロールの生態を暴き出す。謎の多いトロール・ハンターを演じるのは、ノルウェーのコメディアンであるオットー・イェスパーセン。サンダンス映画祭など各国の映画祭を席巻した、モンスターのような迫力あるトロールの姿や、ブラック・ユーモアあふれるストーリーや描写は必見だ。(シネマトゥディより引用)

感想

ノルウェーの伝承を現代的に再解釈

本作は、熊の密猟事件を取材していた大学生3人組が密猟者だと睨んだ男を追いかけたら、男は密猟者ではなくトロールハンターで、三人は男と行動を共にしながらトロールの実態に迫っていく――というPOV形式の疑似ドキュメンタリー(モキュメンタリー)です。

トロールとは北欧の民間伝承に登場する妖精で、日本では「ムーミン」や「トトロ」が有名ですよね。

しかし、北欧の伝承に登場するトロールはそんな可愛いものではなくて、森や山をテリトリーにしていて、悪臭を放ち、知能が低く、醜悪な容姿で狂暴なのだとか。
サイズや容姿はさまざまで、本作で登場するヨットナールというトロールはなんと60mもあるんですよね。

https://eiga.k-img.com/images/movie/57495/gallery/1_large.jpg?1396891402

画像出展元URL:http://eiga.com

本作では国に雇われて、テリトリーを離れて人畜に害をなすトロールを処分するハンターのハンス(オットー・イェスパーセン)を通して、想像上の妖精トロールノルウェーの在来生物として再解釈、その生態をドキュメンタリー風にみせているのが面白いところなんですね。

肉食性で寿命は1000年から1200年。
例えば頭が3個あるリングルフィンチというトロールの場合、本物の頭は一個だけで残り2個はただの突起物だそうです。
その頭(突起)が立派なほどリングフィンチの中で優れているとされ、それが雌へのセックスアピールにもなっているのだとか。

そんなトロールに共通する弱点が日光(紫外線)で、紫外線を浴びると血管にガスがたまって爆発したり、高齢の場合は身体が骨化するらしいんですね。
だからハンスはトロールに対し、銃火器ではなく強い紫外線を発するライトを武器に戦うのです。

ただ、トロールの生態の一つに、キリスト教徒の匂いを嗅ぎ分け襲い掛かるっていうのがあって、これはキリスト教の伝来によって信仰の対象としての立場を追われた恨みが原因らしいのですが。
この設定、キリスト教圏では常識なのかもだけど、日本人でキリスト教に疎い僕には、ちょっと飲み込みずらいというか、劇中でトロールがどのようにキリスト教徒と非キリスト教徒を嗅ぎ分けてるのか分からないし、生物の生態(設定)として違和感を感じてしまいましたねー。

細やかさと荒さが混在

一方、トロール・ハンターのハンスは、国の機関であるトロール保安機関(TST)からトロール出現の連絡を受けて現場に向かいトロールを狩るんですが、彼が住居にしているトレーラーハウスの電灯には紫外線ライトが取り付けられていて、彼は日焼け止めを塗って紫外線ライトの中で暮らしているわけです。

まぁ、そこはちょっとした笑いのシーンでもあるけど、ハンスの「暗いと眠れない」という一言で、これまでトロールとの闘いの中で彼がどれだけ恐ろしい思いをしてきたかが分かる上手い演出でもあるんですね。

その一方で、トロールが登場するまでのシーンはテンポも悪くて冗長だし、トロールの存在を隠蔽しているハズのTSTの職員が、3人が撮影してるカメラやデーターを取り上げないのもよく分からない。
映像的にもPOV形式を意識してか、繋ぎがやたら荒かったり何がどうなってるか分からないような荒いシーンも多々あったり。

トロールのCG描写がショボいとかもあるけど、それでもデジカメのナイトモードの画面を通すなど、安っぽさを隠そうともったいぶらず、割と序盤からトロールの姿をガンガン見せるのは好感が持てましたねー。

あと、本物のノルウェー大統領の「トロールガス田のこと」について話している演説を、トロールの実在を仄めかす失言に見えるよう切り張りして使うラストシーンなんかは気が利いてるし面白いって思いました。

トータルで見れば映像が安っぽかったり諸々荒かったりする小作品ながら、アンドレ・ウーヴレダル監督の後の作品に通じる一筋縄ではいかない作家性が垣間見える、見ごたえのある作品でした。

興味のある方は是非!!

 

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