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想像よりはずっと良かったが「映画 えんとつ町のプぺル」(2020)

ぷらすです。

先日、アマプラの見放題作品をチェックしていたら、なんと“あの”作品が入ってたので、早速プペってみましたよ!

そう、公開時に賛否両論巻き起こった西野亮廣原作・脚本・製作総指揮の『えんとつ町のプペル』をね!

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画像出展元URL:http://eiga.com

概要

お笑いコンビ・キングコング西野亮廣が手掛けた絵本、「えんとつ町のプペル」を原作にした劇場版アニメーション。煙に覆われた町を舞台に、えんとつ掃除人の少年と、ゴミから誕生したゴミ人間の冒険を描き出す。西野は製作総指揮と脚本を担当し、廣田裕介が監督を担当する。『鉄コン筋クリート』や『海獣の子供』などのSTUDIO4°Cが、アニメーション制作を担う。(シネマトゥデイより引用)

感想

西野亮廣vs偏見?

本作で、原作、脚本、製作総指揮を務めた西野亮廣さんは、ご存じお笑いコンビ「キングコング」のツッコミ担当であり、フジテレビのゴールデンで放送していた人気バラエティー番組「はねるのトびら」でも活躍していたので、ご存じの方も多いハズ。

はねトび」終了後は様々な言動によって注目と批判を浴び、また、お笑いだけでなく絵本作家、実業家、芸術家、ネットサロンの開設など、どんどん活躍のフィールドを広げているんですよね。

ただ、前述したようにそうした活躍に比例するように、彼を叩く人も増えて、一時は何を言っても何をしても炎上していたし、ファンの増加に比例してアンチも増えるという、そっちの方でも何かと話題の人ではあるし、常に偏見?の目に晒されている人でもあります。

正直に言えば僕も、西野さんの活動を凄いとは思いつつ偏見を持っている一人ですし、西野さんから見れば、僕みたいなのは彼の活動を理解できない情弱な愚か者の一人と映るかもしれません。

なので本作の公開時、結局僕は劇場に観に行かなかったんですが、それは事前にネットで読んだ賛否の感想から、大体こんな話で、この映画を観た僕は、感想の中で多分こういう文句を言うだろうと何となく予測できたからなんですね。

そんな当たり屋みたいなマネはしたくないなーと。

でも、そんな西野亮廣さん製作の『えんとつ町のプペル』がついにアマプラで配信開始ということで「じゃぁ、いっちょプペってみっか!」と。
西野亮廣作品に向き合ってみるかと思って、今回観ることにしましたよ。

想像してたよりもずっと良かったが

結論から言うと、「えんとつ町のプペル」は僕が思ってたよりもずっと良かったし、クライマックスでは思わず涙したシーンもありました。
音楽や、芦田愛菜窪田正孝さんを始めとしたキャスト陣も凄く良かったです。
特に、スコップを演じたオリラジの藤森慎吾さんはめっちゃ良かったですねー。

観る前の予想としては、アニメーションの方はあの「スタジオ4°c」が担当するのだから問題はないだろう。
文句を言うとしたら、物語の構成や脚本の方だろうと思ったんですが、それは半分当たりで半分外れって感じでした。

ざっくり本作のストーリーを紹介すると、えんとつ町は煙で空が覆われているため、人々は空を観たことはなく、まして星の存在を信じていなかったんですね。
しかし、主人公の少年ルビッチ(芦田愛菜)だけは父親の教えを信じ、星を見つけようと空を見上げる毎日。町の住人たちはそんなルビッチを笑い者にし、一人ぼっちになってしまった彼が出会ったのは、ゴミ人間のプペル(窪田正孝)だった――。

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という物語で、これはもう、そのまま西野亮廣さんの話なわけですよ。

もちろん、自身の体験や思想を物語に投影するのは、映画に限らず「作家」の姿勢として正しいし、西野さんのストーリーテリング力も僕が思ってたよりずっと高くて、前半のちょっとした描写や展開が、後半への大事な伏線になっていたり、クライマックスからエンディングに向けてのある展開も、おぉ、なるほど!と感心したり、ラストシーンも上手くまとまっていて、「いいもん見た」感もありますしね。

ただ、例えば「星」と「夢」をイコールで結ぶのは若干んん?ってなるし、劇中で西野さん自身を投影したであろうルビッチは何の疑いもなく「善」であり、そこに何の批評性もないという、ある種の危なっかしさは見え隠れします。

あと、「うーん…」と思うセリフもいくつかあるけど、もっと気になるのはキャラ同士の掛け合いやシーンの繋ぎなどがあまり上手くないので観ててイチイチ引っかかるとかね。

まぁ、でも、その辺は長編デビュー作だと思えば(上手くはないけど)決して下手ではないと思うし、クライマックスからは何かもう、西野亮廣独演会みたいになってたりするけど、それも西野さんが本気で思ってる事をセリフにしてるので、個人的にはそこまで気にならなかったし感動もしました。

ただ同時にずっとモヤモヤが残って素直に楽しめない部分も多々あって。

雰囲気だけ

個人的に一番気になったのは圧倒的なディテールの欠如。

例えばルビッチやプペルが暮らす「えんとつ町」はいかにもスチームパンク風ではあるんだけど、あくまで”風“でしかなくてスチームパンクではないというか。だからと言って新しいビジョンを提示してるというわけではなく、スチームパンクっぽい雰囲気だけ借りてる感じ。
街並みや小道具は基本「っぽさ」を見せるだけのカキワリでしかなく、そこに暮らす人々も物語を進めるために配置された“キャラクター”でしかなく。

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町にも人物にもそれぞれの「背景」が見えないので、人々が暮らす町や血の通った人間に見えないのです。

あの沢山あるえんとつは何の工場で、あの町の人々はどんな仕事をしていて、煙害で植物の育たないという、えんとつ町の住人は一体何を食べて生きてるのか。
あの町は鎖国状態で、時間が経つと腐るという独自通貨を町のなかだけで回してるけど、外の国と外交や取引をしないで、町の住人たちに必要な量の物資は確保できるのか――とかね。

別にそれをいちいち全部説明しろとは言わないけど、そういう理由付けがあることで、(物語には描かれなくても)物語に厚みが出るのです。異世界を描く物語の場合は特に。
スターウォーズ」とか、ギレルモの「ヘルボーイ:ゴールデン・アーミー」とかはまさにそれで、ストーリー自体はシンプルでも、その裏に見え隠れするディテールの数々を感じることで、ファンはその世界が本当にあると信じられるわけじゃないですか。

ところが本作にはそれがないんですよね。

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あと、本作ですごく気になったのが、カメラワークとカット割り?でして。

いや、僕も映像的なアレコレには詳しくないので、上手く説明できるか分からないんですが、アニメでも実写でも、「キメのカット」みたいのってあるじゃないですか。

この瞬間をこの角度からこの大きさで撮れば生理的に気持ちいい。みたいな。
それらは、これまでの積み重ねである程度の型というか、パターンがあると思うんですが、本作はそれが悉くズレてる気がして、なんかこう、観てて生理的にモヤモヤするんですよね。

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映像に関して言えば天下の「スタジオ4°c」が担当してるわけで、僕が言うまでもなくそんなの絶対分かってると思うんですけど、何なんでしょう? フル3DCGアニメであるのが何か関係してるんですかね?

まぁ、文句ばっかり言っちゃいましたが、でも、まだこれがデビュー作ですからね。
そう考えれば、決して悪くないというか、ぶっちゃけここまでの物語を作れる日本のクリエイターが何人いるかって話でもあり。そういう意味では今後に期待って感じですかね。

ただ、個人的な印象で言うと、やっぱり西野さんは作品を作るクリエイターというよりは、作品を波及させたり売りこんだりするシステムを作っていく方が得意な人という印象。それこそウォルト・ディズニーや、ルーカスとかに近いというか。

なので、今後はむしろ、クリエイターの発掘やその作品を世に波及させる方に力を使って、生活出来ないほど低賃金なクリエイターの現状や作品作りの環境を改善していってほしいと思ったりするんですけどね。

興味のある方は是非!!

 

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