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作品の背景込みでグッとくる「ゴーストバスターズ/アフターライフ」(2022)

ぷらすです。

今回ご紹介するのは、『ゴーストバスターズ/アフターライフ』ですよー!

1984年・1989年公開でオリジナル版を監督したアイヴァン・ライトマンの息子、ジェイソン・ライトマンがメガホンを取ったシリーズ正当続編です。

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画像出展元URL:http://eiga.com

概要

幽霊退治に乗り出した科学者たちの活躍を描くSFコメディー『ゴーストバスターズ』シリーズの第3弾。祖父が遺(のこ)した田舎の家で新生活を始めた兄妹に待ち受ける運命を描く。『gifted/ギフテッド』などのマッケナ・グレイス、ドラマシリーズ「ストレンジャー・シングス 未知の世界」などのフィン・ウォルフハード、『アントマン』シリーズなどのポール・ラッドらが出演。前2作を手掛けたアイヴァン・ライトマン監督の息子で『マイレージ、マイライフ』などのジェイソン・ライトマンがメガホンを取った。(シネマトゥディより引用)

感想

ゴーストバスターズ」とは

1984年のオリジナル版は、出演もしているダン・エイクロイドとハロルド・ライミスが脚本を務め、アイヴァン・ライトマンがメガホンを取ったSFコメディ映画です。

元々はアメリカの長寿コメディー番組「サタディ・ナイト・ライブ」出身のコメディー俳優で脚本家でもあるダン・エイクロイドが、番組の企画としてスタートして人気を博し、1980年に映画化された「ブルース・ブラザーズ」を経て、科学者がオバケ退治をする物語を発案。

ピーター・ヴェンクマン博士役に、「ブルース・ブラザース」で共演・盟友でもあったジョン・ベルーシを当て書きしていたんですが、その最中、ベルーシはコカイン中毒で急死。

同役に、同じく「サタディ・ナイト・ライブ」出身のビル・マーレイ、監督に「ミートボール」や「パラダイス・アーミー」でマーレイとタッグを組んだアイヴァン・ライトマンを起用。
自身は主役3博士の一人レイモンド・スタンツ博士役として出演する一方、本作の脚本を「サタディ・ナイト・ライブ」出身のハロルド・レイミスと共作。

ゴーストバスターズの“頭脳”でもあるイゴン・スペングラー役もコメディ俳優を中心に多くの俳優に打診するも結局は物語を熟知しているハロルド・レイミスが演じる事になったんですね。

さらに、ヒロインのディナ・バレット役に「エイリアン」のシガ二―・ウィーバールイス・タリー役には「セカンド・シティ」→「サタディ・ナイト・ライブ」出身のリック・モラニゴーストバスターズ社の受付嬢ジャニーン・メルニッツ役にアニー・ポッツがそれぞれ配されました。

つまり、本作の主要キャスト3人はコメディー番組「サタディ・ナイト・ライブ」出身であり、もっと言えばシカゴのコメディ劇団「セカンド・シティ」出身の仲間でもあるのです。

アメリカではこの「セカンド・シティ」→「サタディ・ナイト・ライブ」出身のコメディアンがドラマや映画に出演する事はよくあって、人手不足で3博士に雇われるウィンストン・ゼドモア役も最初はエディ・マーフィで構想されてたんですが、彼は同年公開の出世作ビバリーヒルズ・コップ」出演のためアーニー・ハドソンが演じることになったんですね。

ちなみに、2016年公開で主人公を女性に変えたリブート版に出演した、クリスティン・ウィグ、ケイト・マッキノンレスリー・ジョーンズ、セシリー・ストロングなども「サタディ~」出身だったりします。

こうした布陣で1984年に公開された「ゴーストバスターズ」は、オカルトと科学を融合させ、レーザービームを発射するプロトンパックや、電子エネルギーでゴーストを捕らえるゴーストトラップゴーストバスターズ社のシンボルでもある専用車ECTO-1などのガジェットや、当時最先端のSFXで描かれた個性豊かなゴースト、ビル・マーレイダン・エイクロイドハロルド・レイミスの半分はアドリブという掛け合いが、当時の好景気が生み出す、ある種の呑気な空気感と噛み合って映画は大ヒット。

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80年代を代表するカルチャーの一つになったのです。

ゴーストバスターズ2」不評&続編製作難航

これを受けて1989年に「ゴーストバスターズ2」が製作・公開されますが、「前作の繰り返し」と評価は散々。また1984年とは時代の空気が変わってしまった事も本作が当たらなかった要因の一つなのだと思われます。

その後「ゴーストバスターズ」の企画が生まれては立ち消えを繰り返しますが、1993年公開の「恋はデジャ・ブ 」で、主演のビル・マーレイと監督を務めたライミスがケンカ別れをしたことで続編は難しくなった2014年、ライミスは病気のため69歳で亡くなってしまうんですね。

ちなみに、このライミスが亡くなる直前、ビル・マーレイが彼の自宅を訪ねて二人は和解したそうですよ。

そんな2016年、メインキャストを女性に変えたリブート版が製作・公開されます。

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このリブート版は、単純に映画としてならオリジナル版よりよく出来てたと思うし、時代的にもメインキャストを女性に変えることに意味があったと思いますが、これが子供時代にゴーストバスターズの洗礼を受けた全米思い出ミソジニーおじさんの逆鱗に触れ、何故か出演する女性キャストがSNS上で叩かれるという事態になってしまったんですね。

確かに、このリブート版に出演したオリジナルキャストの扱いのひどさに対しては、僕も思う所がありますが、それはあくまで監督や脚本など制作陣の問題であって、出演者の女性を叩く風潮は如何なものかと思うんですよね。
「SW・episode8」でも、ローズ役のケリー・マリー・トランが叩かれたりしましたが、彼女たちに罪がある訳ではないですからね。
ほんと、そういうトンチンカン思い出ミソジニーおじさんは滅亡すればいいのにね

ともあれ、そんなこんなでもはや続編の制作は絶望的かと思われたんですが、オリジナル版のアイヴァン・ライトマン監督の息子で映画監督のジェイソン・ライトマンがメガホンを取り、イゴン・スペングラー博士の孫がゴーストを退治するというストーリーの正当続編が、全米では昨年、日本では2022年の今年公開されたのです。

 

というわけで、ここからはネタバレありで語っていきますので、まだ本作を観てなくてこれから観る予定の方は、先に映画を観てからこの先を読んで下さいね。
いいですね?注意しましたよ?

 

 

 

 

 

 

ゴーストバスターズ/アフターライフ」へ

そんな本作のストーリーをざっくり説明すると、突如家族を捨て、仲間を裏切ってNYからオクラホマ州サマーヴィルの荒れ果てた農家に引っ越して破壊神「ゴーザ」の復活を阻止しようとしていたイゴン・スペングラー博士がある日“心臓発作“で亡くなってしまいます。

一方、彼の娘キャリー(キャリー・クーン)、その息子トレヴァー(ィン・ウルフハード)、娘のフィービー(マッケナ・グレイス)は、生活に困窮し、スペングラー博士のボロ家に引っ越すことに。

サマーヴィルでは長年、原因不明の地震が続いていて、科学オタクのフィービーは、友達のポッドキャスト(ローガン・キム)、トレヴァー、トレヴァーが片思いするラッキーセレステ・オコナー)と共に、その謎に迫っていくという物語で、その過程で、引っ越しの前は周囲と中々馴染めなかった変人のフィービーが、自身のルーツを知ってセカイを受け入れるというジュブナイル物語でもあるんですね。

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また、フィービーがYouTubeで見た今はなきゴーストバスター社に連絡。
クライマックスで、窮地に陥った彼女らの下に、レイモンド・スタンツ、ピーター・ヴェンクマン、ウィンストン・ゼドモアの3人が駆けつけ、スペングラー博士のゴーストも協力してゴーザオリヴィア・ワイルド)を再び封印。

そして仲間や娘キャリーとの誤解やわだかまりの解けたスペングラー博士は成仏し――という、普通にいい話。

なんですが。

ゴーストバスターズ」の続編に関しては、父親のアイヴァン・ライトマンから何度も監督を打診されたものの断り続けたジェイソン・ライトマンでしたが、ある日、広大な田舎の牧場でゴーズトバスターズのツナギを着てプロトンパックを背負うフィービーのイメージが浮かんで父親に続編の制作を告げたという背景があり、またジェイソンの書いた脚本を読んだアイヴァン・ライトマンが涙したという逸話もあり。

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劇中で描かれるスペングラー博士と仲間たちとの決別も、現実にハロルド・レイミスと他のメンバーが疎遠になっていた事実を踏まえて本作を観ると、なんかもう、特にクライマックスでゴーストバスターズオリジナルメンバーが横並びでゴーザを封印するシーンハロルド・レイミスは別役者の顔にCGで彼の顔を加工している)はもう、号泣ですよね。

まぁ、亡くなった役者をCGで復活させるのはアリかナシか問題はありますが、最晩年のレイミスがビルマー・レイと和解していたことや、ジェイソン・ライトマンが遺族の許可を取った上で行っていること、オリジナルメンバーの和解を物語の中でファンに見せたと考えれば、今回はアリってことでいいんじゃないかなと。

あと、髪を染めてパーマもかけ、背丈も大きくなってたので最初は気づかなかったんですが、フィービー役を演じたのは、天才子役のマッケナ・グレイスちゃんだったんですね。

元々可愛い女の子ですが、テンパ、メガネっ子、リケジョっていう、アニメキャラみたいな役をしっかり地に足をつけて演じてましたねー。
ポッドキャスト役を演じたローガン・キム君とのコンビバランスもバッチリだったと思います。

まぁ、フィービーのお母さんとサマースクールのゲイリー・グルーバーソン先生ポール・ラッド)が門の神、鍵の神以上の役割がなかったり、いくら田舎とはいえ、今どきあんなダイナーはもうないだろうだったり、ポストクレジットのビル・マーレイシガニー・ウィーバーのコントは明らかな蛇足だし、それで言えばオリジナル版のカットシーンを使ったジャニーンとスペングラー博士のロマンスも、アバンのシーンも正直余計だし、物語のテンポや余韻を崩しちゃってると思いましたねー。

なんだろう? あれはアイヴァン・ライトマンの希望だったのかな?

アイヴァン・ライトマンと言えば、本作の撮影中はずっと現場に来て(製作だしね)ジェイソン監督が迷惑がってたということですが、本作の完成後の2022年2月12日に亡くなってしまったそうで、ジェイソン監督としては最後に親孝行が出来て良かったと思うし、アイヴァン監督も最後に心残りが解消されて良かったんじゃないかと思ったりしました。

ご冥福をお祈りします。

興味のある方は是非!!

 

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