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“俺たちが観たかったMCU”が帰ってきた!「デッドプール&ウルヴァリン」(2024)

ぷらすです。

デッドプールウルヴァリン』を初日・初回の上映で観てきました!

いやもうね、個人的に近年MCUに感じていたモヤモヤを全部吹っ飛ばしてくれる作品でしたよ!

「そうそう。俺たちはこういうヒーロー映画が観たかったんだよ!」って。

というわけで今回はまだ公開直後の作品ということで、物語の根幹に関わるようなネタバレはしないよう気をつけますが、一切ネタバレして欲しくないという人はお気を付けください。

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画像出展元URL:http://eiga.com

概要

ライアン・レイノルズ演じるデッドプールヒュー・ジャックマン演じるウルヴァリンが共闘を繰り広げるアクション。世界の命運を左右する、あるミッションをめぐって、鍵を握るウルヴァリンデッドプールが助けを要請する。監督を『ナイト ミュージアム』シリーズや『フリー・ガイ』などのショーン・レヴィが務める。(シネマトゥディより引用)

感想

規格外のチートヒーロー。デッドプール

本作はマーベルの大人気ヒーロー「デッドプール」シリーズ第3弾であり、MCU作品としては第1作となります。

どういうことかと言うと、前2作は「X-MEN」シリーズのスピンオフ作品として20世紀フォックスによって制作・公開されていましたが、2019年のディズニーによる20世紀フォックス買収により今回MCUへと編入することになった、その第一弾になるわけです。

で、もしかしたらデッドプールを知らない人もいるかもなので、ざっくりどんなキャラクターかを説明すると、

デッドプールことウェイド・ウィルソンはニューヨークでトラブルシューターをしながら日銭を稼ぎ生活している傭兵でした。

そんな彼はある日、高級娼婦のヴァネッサと出会い、交際を経て結婚を約束。そんな幸せの絶頂だったウェイドを末期がんが襲います。

がんの治療と引き換えに極秘の人体実験の被験者となることを決めた彼は、エイジャックスというミュータントからミュータント細胞を活性化する血清を投与され、色々あって不死身の身体を手に入れるも容姿は醜く変容。もうヴァネッサと会う事は出来ないと絶望したウェイドは自作のコスチュームとマスクを身に着け、デッドプールとしてエイジャックへの復讐を果たすと、そのまま不死身の肉体と特殊部隊で培った武器術を駆使してヒーローとして活躍するようになるんですね。

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そんな彼の特徴と言えば、止まらないおしゃべりと下品で不謹慎なジョーク、そして「自身がコミックのキャラクターであることを自覚」していて、いわゆる“第4の壁“を突破してコミック読者や映画の観客に話しかけたり、映画の演出に口を出したり、主演のライアン・レイノルズが演じるも超不評だった「グリーンランタン」や「X-MEN版のデッドプール」を殺すなどのメタ的なギャグも普通にしちゃうという、いわゆるチートキャラです。

あと、普通にセンシティブネタやコカインネタ、オタク的にヒーロー映画ネタなどを持ち出して皮肉ったり、もう、なんでもありの超自由なヒーローなんですね。

そんなデップーがディズニー傘下のMCU編入ということで、上記のような毒気を全部抜かれて漂白されてしまうのでは?と、僕も含め危惧していたファンも多かったと思いますが、いざ蓋を開けてみればデップーはやっぱりデップーで、コカインを欲しがるブラインド・アルに「コカインネタはNGだとディズニーに言われている」とディズニーから言われた事を逆手に取ってネタにするなどアクセル全開。
まぁ、それでも前2作に比べれば、表現はややマイルドになってる感じもしましたが。

それでも、監督はあのライアン・レイノルズ主演の大傑作「フリー・ガイ」のショーン・レヴィなので、個人的に物足りなさを感じることはありませんでした。

ヒュー・ジャックマン復活!

そんな本作は、タイトルにもある通りデップーとX-MENの大人気ヒーローであるウルヴァリンがタッグを組むという、「マジンガーZvsデビルマン」「ジェイソンvsフレディ」「エイリアンvsプレデター」的なファンにとっては夢の企画。しかも本作でウルヴァリンを演じるのは、20世紀フォックスX-MENシリーズの顔として長年に渡りウルヴァリンを演じ、2017年公開の「LOGAN/ローガン」で壮絶な最後を遂げた、あの、ヒュー・ジャックマンなんですねー。

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公開前は、「LOGAN/ローガン」で綺麗に幕を閉じたヒュー・ジャックマンウルヴァリンが復活には賛否両論あったし、あのMCU総責任者ケヴィン・ファイギからも「戻ってきちゃダメだ、『LOGAN』が最高だったから」と言われたりしていましたがw

でもね、「ロッキー5/最後のドラマ」よりも「ロッキー・ザ・ファイナル」がサイコーだったし、誰に何と言われたって「スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム」で三人のピーターが揃った瞬間は号泣する。

そ・れ・が、ファン心理ってものでしょう。

確かに「LOGAN/ローガン」は良かったし感動もしたけど、ファン心理として「プロフェッサーやウルヴァリンの最後があんなに寂しく終わるなんて嫌だなー……」という思いがあったのも事実だし、やっぱウルヴァリンは不死身でカッコ良くて大暴れしてほしい。

そんなファン心理を大いに満足させてくれるのがこの作品ってわけなのです。

とはいえ、あれだけ壮絶な最後を遂げたウルヴァリンをどうやって復活させるのか問題はありまして、多くの人は「いや、『マルチバース』にいる別次元のウルヴァリンでしょ」って思うだろうし、実際そこはその通りなんです。

ただ、マルチバース設定は劇中で死んでしまったキャラクターを復活させることを容易にするけれど、それだけに安易に復活をさせれば、そのキャラクターや物語に思い入れがあったファンほど白けてしまう諸刃の剣。

そんなマルチバース設定が許されるマーベル唯一のキャラクターこそが、我らがデップーなんですよね!

元々なんでもありで死の概念も軽いチートキャラであるデップーの世界なら、どんな人気キャラクターを復活させても納得だし、あのキャラやあのキャラを復活させたあと雑に殺すのもメタギャグとして成立してしまう。

そういう意味でデップーだけが、ヒーロー界隈でマルチバースを正しく扱える唯一無二のヒーローと言えるかもしれません。

そして今回のウルヴァリンは予告編でも分かるように、原作準拠バージョン!

これにはうるさ型のファンもニッコリなのではないでしょうか。

瀕死のMCUを救う起死回生の作品

と、ここでちょっとフェーズ4以降(マルチバース ・サーガ)MCUから離れていったファンが多かった原因についてお話をしたいんですが、その大きな理由としてフェーズ3の「アベンジャーズ/エンドゲーム」でアベンジャーズがラスボスのサノスを倒したことで大きな物語に一区切りついたことが大きな要因の一つなのは間違いないでしょう。

そして続くフェーズ4からは

・新旧アベンジャーズの交代があまり上手くいかなかった。
マルチバースという概念を取り入れ複雑化したストーリーがファンに受け入れられなかった。
・そして(フェイズ3の後半から)シリーズが続くにつれ一本の映画で物語が完結しなくなった事や、ディズニープラスのドラマシリーズ乱発により、映画を見ているだけでは全体の流れに追いつけなくなったことなど。

・作品の乱発によりストーリーや映像のクオリティーが下がったことなどなど。

そんな複数の理由から多くのファンがMCUに疲れて、離れていったと思うんですね。

実際、2023年公開の「マーベルズ」はMCU史上最低の興行収益で大赤字だったと言われていますが、それは3人の主人公のうち2人がドラマ版でしか登場してないキャラだったことが大きかったように思います。(個人的には大好き)

まぁ、他にも初代アベンジャーズの後継者の多くが女性や有色人種になっていることで、MCUがポリコレ化していると言われたり、映画の内容とは別に出演俳優のトラブルなど作品外での様々なアレコレもファンのMCU離れを加速させていったのだと思います。

僕は基本的に(「シークレット・インベージョン」以外の)MCU作品は全て褒めるスタンスですが、そんな僕ですら心情的に多少の忖度はしていますしね。

しかし、本作は個人的に久しぶりに忖度一切なしでメッチャ楽しめた作品で、笑ったし、興奮したし感動したし、「そうそう、僕が大好きだったマーベル作品はこういうヤツなんだよなー」って思ったし、もしかしたら本作が瀕死のMCUを救う起爆剤になるかもしれないと思いました。

ただし一般受けはしない

とはいえ、それはこの映画が広く一般にウケるという意味ではなくて、むしろその逆。

比較的コアなMCU…っていうかマーベル映画のオールドファンにこそ受け入れられる作品と言う意味なんですよね。

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1996年には業績不振のため、自社作品の映画化権を20世紀FOXソニーピクチャーズエンターテイメントなどに売るほどのピンチに陥ったマーベル。

その当時は技術的な事もあって、多くのヒーロー映画は子供だましのB級映画扱いだったんですが、そんなヒーロー映画が今日のMCUへと続く「大人も楽しめるエンタメ映画」の先駆けとなったのが1998年~公開の「ブレイド」シリーズと言われていて、その後数々の大人も楽しめる内容のヒーロー映画が製作されました。

そして2000年~公開の「X-MEN」シリーズの世界的大ヒットによって、マーベル自体も持ち直し、今日のMCUへと続いているんですね。

本作では、ディズニーの買収もあって何となく尻すぼみに終わった感のある20世紀フォックス版のマーベル作品やキャラクターにしっかり花道を用意していてくれていて、これにはオールドファンもグッとくるんじゃないでしょうか。

元々、デップー自体が幼少期からずっと恵まれない、不遇な環境を笑い飛ばしてきたキャラクターですしね。

同時に、今回もデップーは昨今のMCUソニー版マーベル、DC作品、さらには親会社ディズニーなど、全方位をおちょくり倒しつつ、フェーズ4以降の「マルチバースサーガ」に対してマーベルファンの声を代弁してくれていて、あぁやっぱデップーは信頼できるなーと思いましたよ。これは最初から最後までふざけ倒してるけど、やるべきことはしっかりやるというデップーのキャラクターそのものでもあるんですよね。

ただ、その一方でMCUからファンになった人やデップーを知らない人には、「何のこっちゃ?」なシーン満載だし「お前誰やねん」なキャラも多数登場します。

「じゃぁ結局他作品も見てないと楽しめないじゃん!」って思われるかもしれないし、デップーに限ってはそういう側面も否めないんですよね。でも個人的にそういう内輪ネタやイースターエッグって知っていれば作品への解像度は上がるけど、それと映画の面白さは別物ってんですよね。

例えば劇中登場する様々な設定とかキャラクターの関係性とか、ぶっちゃけ僕も知らないキャラも何人か登場してましたけど、それも映画観てればどういうことかは文脈で大体わかるので、何のこっちゃなシーンや知らないキャラが登場しても、「それはそうゆうもの」として丸のみしてしまえば十分に楽しめると思います。

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なので、観るのを躊躇している人は臆することなく一度見てほしいと思うし、それでもし面白かったら、前2作もぜひ観て貰えればと思います。

興味のある方は是非!!