今日観た映画の感想

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”時代劇”への熱いラブレター「侍タイムスリッパー」

ぷらすです。

今回ご紹介するのは安田淳一率いる自主制作映画会社・未来映画社の『侍タイムスリッパ―』ですよー!!

8月17日にたった1館で封切り。しかしその後自主製作映画ながらSNSで大きな話題を呼び全国100館以上に拡大公開された話題の作品です。

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画像出展元URL:http://eiga.com

概要

現代にタイムスリップした武士の姿を描くSF時代劇。落雷に打たれて現代の時代劇撮影所にタイムスリップした会津藩士が、剣の腕を生かして斬られ役で生計を立てる。メガホンを取るのは『ごはん』などの安田淳一。『一粒の麦 荻野吟子の生涯』などの山口馬木也、『AI崩壊』などの冨家ノリマサ、安田監督作『拳銃と目玉焼』などの沙倉ゆうののほか、峰蘭太郎、紅萬子、福田善晴らが出演する。(シネマトゥディより引用)

感想

安田淳一率いる「未来映画社」第三弾

本作を制作した安田淳一さんと「未来映画社」を僕が知ったのは、偶然SNSで流れてきた第1作「拳銃と目玉焼き」の話題でした。その後同作品をレンタルビデオで観て、自主制作映画とは思えないクオリティーの高さに驚いたんですね。

aozprapurasu.hatenablog.com

とはいえ、まだ当時の安田さんや「未来映画社」は知る人ぞ知るという感じだったんですが、本作の公開後「未来映画社」の名前を再びSNS上で見かけるようになり、その高評価に後押しされる形で全国100館以上で拡大公開されたと知り、調べてみたら我が町でも公開されていたので、今回早速観に行ってきました。

自主制作映画ながら異例の大ヒット

自主制作映画で大ヒットしたといえば、上田慎一郎監督の「カメラを止めるな!」を連想する人も多いかと思いますが、ある意味トリッキーなアイデアで観客を驚かせた「カメ止め」に対し、本作の「侍が現代にタイムスリップする」というアイデア自体は、日本の観客にとっては馴染みがあるというか、ある意味で非常にキャッチ―というか。

逆に言えばこれまで何度も擦られてきたネタだけど、それゆえに、逆に飲み込みやすいというか、違和感なく物語に入り込める。という印象でした。

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さらに本作で主役を務める山口馬木也さんと相手役の冨家ノリマサさんは、共に数々の時代劇に出演してきたベテラン俳優だし、殺陣師の関本役を演じる峰 蘭太郎さんは殺陣技術集団「東映剣会」の役員・会長を歴任した大ベテラン。

主人公の高坂新左衛門を世話するお寺の住職夫妻役の紅 萬子、福田善晴さんはそれぞれ関西演劇界の重鎮であり、その他の役の人たちもそれぞれテレビや映画、舞台演劇で活躍する実力派ばかり。さらに本作では数々の時代劇を制作してきた東映京都撮影所が全面協力と、京都伏見を拠点に長年活動してきた「未来映画社」にしか実現できない布陣での制作なんですね。

それゆえ、本作のルックに自主制作ならではの安っぽさは微塵も感じませんでしたよ。

時代劇と侍

そんな本作の素晴らしいところはまずアイデア

侍が現代にタイムスリップという非常に分かりやすくキャッチーな設定ながら、その転移先が時代劇の撮影所という発想はめっちゃ面白いし、時代の流れの中で消えゆく“チャンバラ時代劇”と幕末の侍をリンクさせて物語に落とし込むというアイデアには思わず膝を打ちました。

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さらに演じる山口馬木也、冨家ノリマサという時代劇に通じたベテラン2人の、文字通り熱演も見事。
昨今は現代劇と同じ感覚で観られる時代劇作品も多いし、それはそれで面白いですが、お二人とも多くの時代劇で活躍されてるだけに、殺陣の動きも刀の扱いや所作も発声も、しっかり時代劇のそれなんですよね。クライマックスの殺陣のシーンは迫力と緊張感が凄くて、思わず身を乗り出してしまいました。

ややテンポが悪く冗長に見えるかも?

そんな本作ですが、序盤の導入部分から中盤以降の物語が本格的に動き出すまでの構成は、現在の視点で見るとややテンポが悪く冗長に見えるかもしれません。

「拳銃と目玉焼き」の感想でも似たようなことを指摘していたので、これ自体は監督でもあり脚本も担当している安田淳一さんの作劇のクセなのかもしれませんが、本作に限ってはもしかしたら狙ってそういう作劇にしているのかもと思ったり。

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劇中の関西的ベタベタなコメディシーンも含め、本作では昭和から平成初期にかけて隆盛だったテレビの人情ドラマ的なテンポやセリフを意識的に取り入れているように見えたんですよね。こうした人情劇もまた今では絶滅寸前でもあるので、前述した時代劇や侍という題材にリンクしているのかも?

僕が行った映画館でも、老齢に見えるお客さんがけっこういらっしゃっていて、劇中のコメディシーンではしっかり笑いも起きていましたしね。

SHOGUN 将軍」と本作

先日、真田広之さんが主演とプロデューサーを務めた「SHOGUN 将軍」が米エミー賞で史上最多18部門を受賞を受賞して話題になりましたが、いわゆる歴史上の武将などを主役にした大河などの「歴史時代劇」と本作の様な「チャンバラ活劇」は時代劇を支える両輪でもあるので、「SHOGUN 将軍」を面白いと思った人は、ぜひ本作も観てほしいと思います。

興味のある方は是非!