今日観た映画の感想

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最近読んだ本の話 『いとみち』

ぷらすです。

「今日観た映画の感想」というタイトルなのに、イキナリ小説の話でアレなんですが。(笑)

 

5月に文庫版で買った小説「いとみち 二の巻」を先日やっと読み終えましたよー。

作者は『陽だまりの彼女』の越谷 オサムさんです。

 

『いとみち』は、青森在住で、身長146cm。津軽訛りと極度の人見知りがコンプレックスで、取り柄といえば、おばあちゃん仕込みの津軽三味線という女子高生、相馬 いとが自分を変えるべく青森市内のメイド喫茶でアルバイトをする話。

 

ところが、バイト先のオーナーはヤバげな強面おじさんだし、メイド長は年齢を詐称している元ヤンでバツイチのヤンママだし、先輩メイドはいととは正反対のコミュニケーション強者だけど、そのぶん無神経でテキトウ。

唯一店長だけはマトモで人当たりの良い人だけど、どうも過去に何かあったらしい。

そんな、一癖も二癖もある面々に囲まれて、怒られたり守られたりしながら、いとが少しづつ成長していくという物語です。

 

前作で『ある事件』をキッカケに存亡の危機に瀕したお店を、いとが得意の津軽三味線で救ったいとが、進学して高校2年生になった日から物語はスタートします。

相変わらず「おかえりなさいませご主人様」がどうしても「お、おがえりなさいませ、ごスずん様」になっちゃうけどお店にも慣れ、友達の誘いで写真部に入部して前途洋々のハズなのに、いとの心は晴れません。

理由は、最近お店で先輩メイドとメイド長から避けられているような気がするから。

 

しかもクラス替えで、せっかく仲良くなった友達とは離れ離れになっちゃうし、あげく『あること』がキッカケで親友とケンカになってもう散々。

本作は、そんな相変わらず不遇な少女いとと、お店の人たちや友達との関わり、そして恋模様を交えた「いと成長記」の第2弾です。

 

とにかく、いとがカワイイんですよ。
自分の中にある母性本能と父性本能を、ワシっと掴まれちゃうくらい「萌え要素てんこ盛り」の彼女ですが、じゃぁラノベっぽい内容かというとそんな事はなくて、いとを含めた登場人物全員に実在感のある正統派青春小説です。(ラノベラノベで好きですよ?)

 

同世代の人ならいとに共感し、少し上の世代の人なら高校時代を懐かしく思い出し、30代以降の人なら父親、母親的な目線で……と、年齢関係なく楽しめるんじゃないかと思います。

 

作者の越谷さんの描く物語は、一見マンガやラノベのような突拍子もない設定を活かしながらも、質量を感じさせる物語を描ける作家さんで、過去作も全部面白いんですよね。

色々な趣向の作品が登場して、どうしても変化球気味な物語が多いエンタメ小説の中で、越谷さんはいつも真っ直ぐストレートな物語を届けてくれる数少ない作家さんで、今、僕がもっとも信頼している作家さんの一人です。

 

代表作で映画化もされた「陽だまりの彼女」も、もちろんイイんですが、越谷オサム作品の入口として選ぶなら、個人的には『いとみち』が断然オススメですよ。

 

興味のある方は是非!