今日観た映画の感想

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進化する2.5次元「ベイビーわるきゅーれ」(2021)

ぷらすです。

今回ご紹介するのは、前回の「最強殺し屋伝説国岡 完全版」でご紹介した阪元裕吾監督2021年の作品『ベイビーわるきゅーれ』ですよー!

「国岡」と同系列の殺し屋が主人公の日常系アクション映画ですが、全てが進歩した大傑作でしたねー。

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概要

女子高生の殺し屋コンビの青春を描いたバイオレンスアクション。人殺しの方法しか知らない二人が、高校卒業を機に一般社会になじもうと悪戦苦闘する。監督・脚本・編集を『ハングマンズ・ノット』などの阪元裕吾、アクション監督を『THE NEXT GENERATION パトレイバー 首都決戦』などの園村健介が担当。阪元監督作『ある用務員』に出演した高石あかりとスタントパフォーマーの伊澤彩織が主演を務めるほか、三元雅芸、秋谷百音、うえきやサトシらが出演する。(シネマトゥデイより印象)

感想

2.5次元

前回ご紹介した「最強殺し屋伝説国岡 完全版」は殺し屋が主人公の新作映画のシナリオ執筆のため、阪本監督が関西最強の殺し屋・国岡に密着取材するという体のフェイクドキュメンタリーでしたが、その時、阪本監督がシナリオを書いてたのが本作「ベイビーわるきゅーれ」という設定だったんですね。

なので本作はフェイクドキュメンタリーの「国岡」とは違って完全な劇映画として描かれているわけですが、基本設定は「国岡」と同じ我々の生活の中に「殺し屋」という職業が普通にある世界観。

主人公の杉本ちさと(髙石あかり)と深川まひろ(伊澤彩織)は女子高生の殺し屋として活躍していたが、所属する組織から高校卒業と同時に寮を出て二人でアパートを借りて“表の職業”を持つように言われ、嫌々バイトを探しているところから物語がスタートするんですね。

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性格が明るくアッパー系のちさとと、コミュ障で陰キャのまひろのコンビというキャラ付けと、そんな二人の日常生活を描くというコンセプト自体は「国岡」とほぼ一緒なんですが、主人公が若くてかわいい女の子2人組という事もあって「国岡」以上にポップでキャッチ―。まるでそういう設定の日常系アニメ(キルミーベイベーとか)を観てる気分。

しかし一方で、アクションコーディネーターの園村健介氏を招いて設計された2人、特にスタントパフォーマーである伊澤彩織のアクションシーンには観た人誰もが驚くんじゃないかと思います。

そんな超絶アクションをこなす伊澤彩織の肉体性と、アクション自体は少ないけれど、その分、演技面で本作を引っ張る髙石あかりとのコンビネーションが、この突拍子のないアニメ的キャラクターの二人に実在感を持たせていて、また、そんな二人の関係がちさととまひろの関係ともリンクしていて、まさにアニメと実写のいいとこ取り、いわゆる2.5次元的面白さを体現しているんだと思いましたねー。

アクションの凄さ

僕が阪本祐吾監督作品を観るのはこれが2作目。

前作「国岡」でも確かに目を見張るアクションはあったんですが、まだアクション、監督自らの撮影共に粗削りな印象のあった「国岡」から、本作のアクションは明らかに進化しています。

それはアクション監督の田中清一に師事し、数多くの作品でスタントをこなしてきた伊澤彩織の身体能力と、それを活かす園村健介のアクション設計、そしてそれを撮影する  伊集守忠。

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アクション映画に必要なプロフェッショナルが揃ったことで、世界中のアクション映画と比べても、画作りがかなりリッチになったのは間違いないと思います。

また、本来アクション畑ではない髙石あかり演じるちさとを、最小限の動きでバリバリのスタントパフォーマー伊澤彩織演じるまひろと互角に見せるアクション設計も見事でした。

リアルで愛すべきキャラクターたち

そんな阪本監督作品の白眉は、何と言ってもデフォルメされているのにリアリティーのあるキャラクターたち。

前作では関西最強の殺し屋ながら私生活はごく普通のあんちゃんである国岡や、クセ強めの殺し屋たち。

本作では、ちさとのバイト先であるメイド喫茶の貧乏な先輩や、殺し屋の後始末を請け負う業者の田坂さんは、印象に残るほんと良いキャラでしたねー。

とくに、メイド喫茶でヤクザの親子を殺したちさとに後始末を頼まれ、その殺し方に「拳銃使う時は頭は狙わないでくださいって前にも言いましたよね。あなたがたは僕らを便利屋みたいに思ってるかもですが、僕らも人間なんでね」とグチグチ苦情を言う田坂さんは、「あー、こういう人いるわーー!!」ってなるんじゃないでしょうかw

そういう直接本筋に関わるわけではないけど、観終わった後メイン級のキャラと同じくらい印象に残る愛すべきキャラクターを造形するところは、さすが阪本監督という感だし、そうしたキャラクターたちディテールが、作品を構成する世界観に繋がっているんですよね。

シスターフッドの傑作

実は、本作の二人は前作となる「ある用務員」という作品にも登場しています。
といっても本作とは別のキャラクターらしいんですけどね。

ただこの「ある用務員」が本作での二人のキャラ造形に、少なからず影響を及ぼしたのは間違いないんじゃないかと思いました。

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恋人関係にない男同士がいちゃこらキャッキャする作品を「ブロマンス」と呼び、その対義語というか女性版の作品を「シスターフッド(ロマンシス)」と言ったりしますが、本作での二人の関係性はまさに、シスターフッドの傑作と言えるんじゃないかと思いましたよ。

興味のある方は是非!!

国岡を愛でる映画「最強殺し屋伝説国岡 完全版」(2021)

ぷらすです。

今回ご紹介するのは、「ベイビーわるきゅーれ」「グリーンバレッド」に繋がる阪元裕吾ユニバース第一弾?となる『最強殺し屋伝説国岡 完全版』ですよ。

前々から気になっていたので、今回はAmazonレンタルで鑑賞しました。

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概要

『ベイビーわるきゅーれ』などの阪元裕吾監督が、殺し屋の男を描いたドキュメンタリーテイストのアクション。阪元監督が新作映画のシナリオを書くため”関西殺し屋協会”に取材を申し込んだところ、フリー契約の殺し屋を紹介される。ドラマシリーズ「龍虎の理(ことわり)」などの伊能昌幸、『恋するけだもの』などの上のしおり、『ファミリー☆ウォーズ』などの吉井健吾らが出演する。(シネマトゥディより引用)

 

感想

阪元裕吾ユニバース第一弾?

本作の監督・阪元裕吾は、京都造形芸術大学(現・京都芸術大学)在学中に制作した「べー。」 で残酷学生映画祭2016グランプリを受賞。

その後、心に闇を抱えた内気な大学生の青年と、田舎で暴力衝動を発散し続ける最凶不良兄弟を描いた「ハングマンズ・ノット」でカナザワ映画祭2017「期待の新人監督」賞を受賞して注目を集め、続く「ファミリー☆ウォーズ」(2018)で商業映画デビュー。

殺し屋の日常を描いた本作「最強殺し屋伝説国岡」や、ヤクザに暗殺者として育てられた主人公を描いた「ある用務員」、社会に適合できない女子高生殺し屋コンビの青春バイオレンスアクション「ベイビーわるきゅーれ」など、低予算ながら見ごたえのあるアクションやブラックな笑いを内包したバイオレンスで、映画ファンから熱い支持を受ける監督です。

特に、本作から「ベイビーわるきゅーれ」までの3作と、現在公開中の「グリーンバレット」は世界観や登場キャラクターを共有する、いわば”阪元裕吾ユニバース“であり、本作はその第一弾になるんですね。

ざっくりストーリー紹介

そんな本作を一言で言うなら「殺し屋の日常を描いたアクションコメディー」です。

新作「ベイビーわるきゅーれ」の脚本執筆の参考にするため、阪本監督は「関西殺し屋協会」の紹介で京都最強と言われるフリー契約の殺し屋、国岡昌幸を密着取材。
その仕事や日常生活をカメラに収めたドキュメンタリーという体の、フェイクドキュメンタリー作品です。

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阪本監督は新作が公開されるたび僕の耳にも話が入ってくるし、特に話題になった「ベイビーわるきゅーれ」は気になってるものの配信環境が合わずまだ未見でして。
ならばAmazonで見られる本作で阪元裕吾作品初体験となったわけです。

本作についても、「とにかくアクションが凄い」などの噂は聞いていたんですが、実際観てみると、殺し屋であること以外はごく普通の青年である国岡の日常と、我々の日常生活の中に殺し屋がいる世界線というおかしみが秀逸で、ストーリーだけ聞けば「ジョン・ウィック」を思い浮かべる人も多いかもですが、個人的にはタイカ・ワイティティ監督の「シェアハウス・ウィズ・ヴァンパイア」の雰囲気に近い感じがしましたねー。

目指すべきは週刊少年ジャンプ

というのも本作で描かれる国岡たち殺し屋は、一応裏社会の住人という設定ながら、国岡を取材する阪本監督が拍子抜けするほど我々の日常の中に普通に溶け込んでいるんですよね。

殺し屋たちは協会に属する正規社員と、国岡のようなフリー契約、そして協会に属していない野良に分かれていて、思った以上に殺しという仕事に対してカジュアルに臨んでいて、袋に入れたライフルの飛び出した銃口をビニールとガムテープで縛って持ち歩いたり、やり取りを電話でしたがる協会に対し「全部LINEでいいのに」と愚痴を吐いたり、仕事依頼用のwebページを見つけた子供が勝手に依頼し、仕事が終わった後に親が依頼を取り消して欲しいと言ってきて裁判沙汰になったり。

その一方で私生活では、出会い系サイトで出会った女の子と付き合うことになって国岡がウキウキしたり、殺し屋になりたいという友達に「副業から始めたら?」とアドバイスしたり、飲みの席で酒癖の悪い先輩殺し屋にうんざりしたり。

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職業が殺し屋であること以外、国岡はホントに普通のイマドキのあんちゃんで、僕ら観客はそんな国岡と一癖も二癖もある殺し屋たちとのやりとりを楽しむ。

つまり国岡というキャラクターを愛でる映画になっているわけです。

で、阪本監督本人がインタビューで「目指すべきはハリウッドではなく週刊少年ジャンプ」と言うように、このキャラクターを中心にした作劇法って映画というよりマンガのそれなんですよね。

フェイクドキュメンタリーという性質上

一方で、フェイクドキュメンタリーという性質上、観客は「カメラマン」(本作では阪本監督)の視点を通してこの物語を観るわけだけど、作中でちょいちょい阪本監督以外の「これ誰が撮ってるの?」という視点が入ってきたり、「いやいや、その位置にいたらダメでしょ」という無理のあるカメラ位置が気になるし、手持ちワンカメで引きを多用したアクション撮影ゆえか、せっかくの凄いアクションがショボく観えてしまう――というか「イップマン」オマージュっぽいアクション設計も「相手を倒す(目的を達する)為のアクション」ではなく「アクションを見せる為のアクション」という感じがして個人的には(´ε`;)ウーン…と言う感じ。
正直その辺の僕が感じるような違和感に対して、阪本監督はあまり頓着がない様に見えるんだけど、もし潤沢な予算があったらアクションの撮り方や見せ方は変わるのかな?
と思ったりしました。

とはいえ、その辺の雑さも含めた「ゆるさ」はそのまま、国岡や他の殺し屋たちや作品全体、もっと言えば阪本ユニバース全体に通底するオフビートな空気感にも繋がっているように見えるので、これはこれで「こういうもの」として観るのが正しいのかも。

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いや、他の作品も観てみないと分かりませんけども。

とにかく、本作で阪本監督が一番描きたいのは凄いアクションでも凝ったストーリーでもなく、国岡というキャラクターと彼が過ごす日常の風景だと思うので、そこに乗れる人は楽しめるんじゃないかと思いました。

興味のある方は是非!!

映画に対して誠実である「激怒」(2022)

ぷらすです。

今回ご紹介するのは、アートディレクターで映画ライター・デザイナーとして知られる高橋ヨシキ長編デビュー作『激怒』ですよ。

絶対ないと思っていた地元でのまさかの公開にテンション上がりまくって、初日に観に行ってきました!

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概要

アートディレクター、映画ライター、デザイナーとして活動する高橋ヨシキが監督を務めたバイオレンス。激怒すると暴力を振るってしまう刑事が、冷酷な手段で町を支配する自警団に立ち向かう。『天然☆生活』などの川瀬陽太、『横須賀綺譚』などの小林竜樹、『あざみさんのこと 誰でもない恋人たちの風景vol.2』などの奥野瑛太のほか、彩木あや、森羅万象らが出演する。(シネマトゥデイより引用)

感想

まぁ、大抵どこも同じとは思いますが、地方のシネコンでは基本、洋画にしろ邦画にしろビックバジェットの大作しか公開されず、いわゆる“映画好き”の間で話題になるような中小規模の良作や、強い社会メッセージを含んだような単館係作品は、賞を取るかよほど話題にならない限り上映される事って殆どないんですよね。

なので、本作も僕の地元では公開されないだろうと諦め、配信を待つしかないと思っていたんですが、高橋ヨシキさんの出ているネット番組を見ていたら、なんと、僕の地元で上映されるっていうじゃないですか!(嬉)

というわけで、早速初日の劇場に足を運んできました。

高橋ヨシキとは

そんな本作の監督・高橋ヨシキさんは、東京都出身のアート・ディレクター、映画ライター、デザイナーであり、また悪魔主義者(Church of Satan)として映画ファンの間ではよく知られている人す。

CMプランナー、広告会社勤務を経て1995年にフリーランスのライター/デザイナーとして活動。

映画秘宝を通して彼を知った人も多いだろうし、NHKラジオ第1放送の番組「すっぴん!」の【高橋ヨシキのシネマストリップ】や、TBSラジオ「ウィークエンドシャッフル」「アフター6ジャンクション」などのゲスト出演を通して、もしくはテレビ番組「バラいろダンディ」、今はYouTubeで知った人も多いのかな。

僕も、ラジオを通して高橋ヨシキさんを知った一人で、今は主にYouTube番組での彼のトークを楽しみにするファンです。

本作「激怒」はそんな高橋ヨシキ長編映画監督デビュー作。

近年の日本映画で最も多数の映画に出演していると言われる名バイプレイヤー・川瀬陽太を主役にしたバイオレンス映画で、2017年5月、ヨシキさんが川瀬さんに映画を作りたいと相談。「刑事ものとかどう?」という川瀬さんの一言から本作はスタートします。

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その後、脚本執筆や準備期間を経て2020年2月に撮影を開始、約2週間でメインの撮影を終えたところにコロナパンデミックが。
なので、NYの風景などはNY在住のカメラマンで本作の撮影監督でもある高岡ヒロオ氏が撮影を行ったそうです。

その後、猛威を振るうコロナパンデミックの影響で上映が延期されたものの、2022年8月26日から順次全国公開される運びになったんですね。

ざっくりあらすじ紹介

そんな本作のあらすじをざっくりご紹介すると、

自身の怒りを制御出来ず暴力を振るってしまう悪癖を持つ刑事・深間川瀬陽太)は、度重なる不祥事を起こし、アメリカの医療機関で怒りを抑える治療受ける。

3年後、治療半ばで呼び戻された富士見町は、彼の知る町ではなく、安心安全を旗頭に、自警団が我が物顔で支配するデストピアに変わり果ててしまっていた――。

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というストーリー。
怒りと暴力を制御出来ない刑事・深間が病院で治療を受けさせられ――というストーリーの骨格は「時計仕掛けのオレンジ」を連想したりしましたねー。

他にもラストシーンはアレはアレかな?とか、きっと色んな映画のオマージュが入ってるんでしょうけど、それはいわゆる”イースターエッグ”をこれ見よがしに入れ込んでいるのではなく、シネフィル高橋ヨシキの血肉となっている映画の断片が、物語の中に滲み出てしまっているという感じなので、元ネタをしらないから楽しめないとかは一切ないです。

戯画化されたデストピア世界とリアリティー

本作はいわゆるデストピアものなんですが、敵となるのは政治家でも嫌なIT社長でもなく、舞台となる富士見町の町内会長の桃山(森羅 万象)というオッサンなんですよね。
映画序盤ではただのレイシストでクレイマーだったこの男が、深間がアメリカに行っている3年間の間に一介の刑事から署長に出世した吉原(小林 竜樹)と組んで、これまた序盤に登場した自警団を率い「安心安全富士見町」をスローガンに町を支配している。という、こうして文章で読むとそんなアホなという設定。

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ただ、本作にとっては、この町内会っていう規模の小ささが絶妙で、決して潤沢とはいえない予算のなか、描く対象を地方都市の町内会に絞りながら、その向こうに見える社会全体の様子を観客に想像させているわけです。

で、この町内会長の桃山や吉原のキャラクターや、後半の酒席シーンのセットなどは表現的にもかなり戯画化されているわけですが、序盤で彼らがそうなる片鱗をしっかり描くことで、このデフォルメされた描写もさほど気にならないよう工夫されているんですよね。

他にも、例えば、たかが地方公務員がわざわざアメリカに送られて治療を受けるのは非現実的と思われるかもですが、アメリカで深間が飲む薬には確か「SAMPLE」って書かれていて、(多分)深間が臨床実験?を受けることと引き換えに実刑を免れたのではないかと、想像できたりするんですよね。

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他にも、セリフに頼らずちょっとした映像で、状況やキャラクターの心情を分からせるシーンが多くて、その辺は非常に映画的だと思うし、細かく練り込まれた脚本も素晴らしいと思いました。

そして何よりアートディレクターでデザイナーでもあり、長編はこれが初めてとはいえ学生時代から何本も短編映画を作っているヨシキさんの画作りのセンスと腕は確かで、戯画化された突飛な世界観の中にも、ちゃんとリアリティーを感じる作りになっているのです。

また、普段映画評などで自身が話していることと本作の間にブレがなく、そういう意味で本作はまさに高橋ヨシキ映画だし、彼が映画に対して非常に誠実である事が伝わってくるんですよね。

社会への普遍的な怒り

とはいえ、全部が完璧というわけではなく、確かに脚本にも多少舌っ足らずなところや、映像も低予算ゆえのショボさが見え隠れはします。

しかし本作主人公・深間の「怒り」は、まさに高橋ヨシキ監督本人が感じている怒りであり、体制の威を借り、正義面で自分の気に入らない物や人を安全圏から叩く事を娯楽にする、そんな今の社会に違和感を感じる人々誰もが共感する、普遍的な怒りでもあるんですよね。

それをヨシキさんは、ジャンル映画の中で描いているのです。

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そんな「今」が描けているだけでも本作は映画として成功していると思うしポスターのコピーにもなっている、クライマックスで深間が言う「俺は、お前たちを、殺す!」というセリフは最高に上がる、今、口に出してマネしたい日本語No1ですよ!

興味のある方は是非!!

 

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チープさを楽しめる人向き「KKKをぶっ飛ばせ!」(2022)

ぷらすです。

今回ご紹介するのは、人食いKKKvs黒人姉弟のリベンジホラー『KKKをぶっ飛ばせ!』ですよ。

イギリスの制作会社が制作した低予算B級映画です。

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概要

カニバル・レザーフェイス』などのチャーリー・スティーズがメガホンを取ったバイオレンスホラー。白人至上主義秘密結社KKKに兄を食べられた姉弟が、彼らにリベンジしようと立ち上がる。『ハングリー/湖畔の謝肉祭』などに携わってきたチャーリー・マクドゥーガル、ジェイミー・マクロード・ロスが製作を担当。ディオンドル・ティーグル、フェイス・モニーク、トラヴィス・カットナー、スコット・スカーロックらが出演する。(シネマトゥディより引用)

感想

監督の自己資金で制作された超過激?な映画

本作の監督チャーリー・スティーズはまだ29歳ながら、自身の製作会社ダーク・テンプル・モーション・ピクチャーズで「ブラッドムーン」「カニバル・レザーフェイス」など6作品を手掛けた、イギリスインディペンデント界の新鋭です。

以前から70年代のグラインドハウスエクスプロイテーションスタイルの映画を撮ってみたいと思っていたところ、ベトナム帰りの黒人とKKKの戦いを描いた『Brotherhood of Death』という映画に出会い本作の発想を得たとのこと。

しかし、あまりに過激な内容に出資者が集まらず、監督が自己資金で制作。
撮影は危険を顧みず全編KKK発祥の地、アメリカのテネシー州で行われたそうですよ。

ざっくりあらすじ紹介

そんな本作がどんな内容かざっくりご紹介すると、

無実の罪で投獄されていたブランドンは刑務所を脱獄。
姉のアンジェラ、兄のクラレンスの協力を得て郊外の廃牧場に潜伏します。

ところが、この牧場一帯は白人至上主義団体KKKクー・クラックス・クラン)の中でも、黒人を捕まえて食べるのが趣味という異常な一派の拠点だったからさぁ大変。

兄のクラレンスを殺されながらも、暴行されていたアンジェラを何とか助けだしたブランドは姉弟で反撃に転じる――という物語。

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映画のルックは一応、1970年代のブラックスプロイテーション映画を意識した作りになってるんですが、とはいえかなりの低予算映画なのでグロ描写などはかなりチープだし、登場人物も少なくかなりお安い作り。
まぁ、そもそもKKKが黒人を食べるっていう設定からして突飛だし、その手のB級バカ映画を「そういうもの」と分かって楽しめる好き者の映画ファン以外は、結構観るのは辛いかもしれません。

確信犯

さらに脚本や演出もユルユルで、例えば冒頭3人はそれぞれ牧場に隠しておいた銃を持っていたのに、KKKに襲われたときは何故かドラム缶に隠しちゃってたから抵抗出来なかったとか、KKKの偵察隊らしき奴らが、ブランドたちに仲間が殺されている様子を双眼鏡で見てリーダーに報告。ブランドンたちが銃を持っているのを知ってるハズなのに、正面から普通に乗り込んできて案の定撃たれて死んじゃうとか。

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あと、ブランドンが捕まえた男の傷口に指を突っ込んで腸を引きずり出して食わせるという描写や、アンジェラが自分をレイプした男の股間から玉を引きずり出すなど、グロ描写は多いけど、役者のリアクションがですね。ぎゃーと悲鳴は上げるけど痛がり方に全然説得力がない。腸やら玉やら引きずり出されてるのに普通にペラペラ喋りますしね。

そういう演出や構成、脚本などがいちいちマンガっぽいというか予定調和というか。

リアリティーがなくてユルユルなシーンの連続で、すっかり映画が弛緩してるので、観ていて別に怖くもないし、特殊効果も如何にも作り物然としてて全然グロく見えない。

ただ、これは多分狙ってわざとやってると思うんですよ。確信犯的というか。

つまり真剣にリベンジホラーを作ろうとしたけど、予算や才能が足りなかったからB級バカ映画になっちゃったのではなく、最初からふざけたB級バカ映画を目指して作ってるんじゃないかと。「ほらほら、みんな大好きなB級バカ映画ですよ。面白いでしょ?」みたいな。

割と序盤で、捕まったブランドンの玉をライターで炙るという拷問をしながら、KKKのジジイが「元々黒人はワシら白人の食料じゃった。ワシらは世界を元の形に戻そうとしているのじゃ」みたいなことを言ってて、まぁこのセリフなんかは、黒人(マイノリティー)が白人(マジョリティー)に搾取される世界の構造をメタ的にセリフに込めていると見えなくもないんですけど、それも「人食いKKKを黒人姉弟がぶっ殺す」というバカみたいなアイデアを正当化するためのお題目っぽいんですよねー。

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もちろん、資金調達を出来ずに自己資金で作った超低予算映画を、商業映画として成立させるため、あえてチープな方向に振り切ったのかもだし、もしかしたらこの監督が、元々こういう自主制作ギリギリのチープな低予算映画ばかり作ってるファンダム上がりの監督という可能性も。

何にせよ一般の人におススメ出来できる映画ではないですけどねw

例えば友達の集まりなんかで、みんなでツッコミ入れながら観るには丁度いいと思うし、74分と時間も短いので気軽に観られるんじゃないかとは思います。

ただ、見放題で見る分にはいいけど、わざわざレンタルでお金を払って観るほどは面白くないんじゃないかなと、個人的には思いましたねー。

興味のある方は是非!

 

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オッサン版アナ雪「Mr.ノーバディ」(2021)

ぷらすです。

今回ご紹介するのは、昨年公開され話題になった『Mr.ノーバディ』ですよ!

公開時タイミングが合わなくて劇場には行きそびれたんですが、Amazonprimeで配信されていたので早速観てみました!

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概要

家庭にも職場にも居場所のない平凡な中年男の覚醒を描いたアクション。ある出来事をきっかけにロシアンマフィアとの激闘に巻き込まれていく主人公を、ドラマシリーズ「ベター・コール・ソウル」などのボブ・オデンカークが演じる。共演には『ある愛の風景』などのコニー・ニールセン、『アイアン・フィスト』シリーズなどのRZAのほか、マイケル・アイアンサイドクリストファー・ロイドらが集結。『ハードコア』などのイリヤ・ナイシュラーが監督、『ジョン・ウィック』シリーズなどのデレク・コルスタッドが脚本を務めた。(シネマトゥディより引用)

感想

オッサンだってレリゴーしたい!

本作は、いわゆる「ナメてた相手が殺人マシーンだった」系譜のアクション映画です。

主人公のハッチ・マンセルボブ・オデンカーク)は、義父(妻の父)の会社で会計士として働くうだつの上がらない平凡な男。

ある夜、家に男女の強盗が押し入った際に抵抗せずに大人しく金と時計を渡したことで、通報で駆けつけた警察官、隣家の住人、義弟、そして息子のブレイク( ゲージ・マンロー)にも見下げられ、妻のベッカコニー・ニールセン)にも呆れられてしまうんですね。

で、強盗のあった翌日、唯一彼に懐いていた娘のサミー(ペイズリー・カドラス)が「猫ちゃんのブレスレットがない」と言い、強盗が奪っていったと思い込んだハッチはついに――というストーリー。

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で、ここからネタバレするので注意してほしいんですが、

実はこのハッチ、元政府直属(多分FBI)の「会計士」(英語版では監査役)であり、これは隠語で法律で裁くことのできない悪を始末する政府公認の殺し屋であることが映画中盤で分かるのです。

可愛い娘の猫ちゃんブレスレットを奪われたハッチは大激怒。

女強盗の手首に掘られたタトゥーを掘った入れ墨師経由で強盗の住所を特定。
家に乗り込み「猫ちゃんのブレスレットを返せ!!」と男をボコボコにし家探しを始めたものの、2人が夫婦で病気の赤ん坊がいる事を知り、2人を見逃しバスで家路につきます。

ところが運悪く、ならず者がバスに乗り込み、乗客に嫌がらせを始めるんですね。
最初はスルーしようとバスを降りかけたハッチでしたが、ただでさえ腹の虫が収まっていないところにならず者。しかも女性客をレイプしようとしている。

ここでハッチの我慢は限界を超え、良き夫、良き父親、ごく普通の良きサラリーマンの仮面を脱いでありのままの自分を解放。ついにレリゴーしちゃうわけです。

そういう意味でこの映画は、オッサン版「アナ雪」と言っても過言ではないのです。

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不完全なファイトシーンにハラハラする

「ナメてた相手が殺人マシーン」系譜の映画といえば、近年ではデンゼル・ワシントン主演の「イコライザー」やキアヌ・リーブス主演の「ジョン・ウィック」、リーアム・ニーソン主演の「96時間」などが有名ですが、これらの作品に共通するのは主人公が超強い。というか現実離れした強さでほぼ無敵状態ということ。

例えば「イコライザー」の主人公マッコールは、一瞬で状況を把握し、その場の敵を1分数十秒で倒してしまうし、ジョン・ウィックは殺し屋界のナンバーワンだった男で、そのアクションシーンはあまりに凄すぎてもはやマンガですよね。

ところが本作の主人公ハッチのファイトスタイルは、マッコールやジョン・ウィックの洗練されたファイトに比べるとバタバタしてるし泥臭く、(もちろん強いんだけど)しっかり敵に反撃されて傷を負うし、うっかりスタンガンで気絶させられたりもする。

なので、アクションシーンで安心できないというか、(もちろんそんな事はないけど)ちょっと目を離した隙にうっかり殺されちゃうんじゃないかとハラハラするのです。

この感じ、何かで味わったんだよなーと記憶を辿ったところ、ブルース・ウィリス主演の「ダイハード」を始めて見た時と同じだったんですよね。

スタローンやシュワちゃんなど、ゴリゴリマッチョ系のアクションスター全盛期だった1989年、突如現れたマッチョでもなくぶっちゃけ強そうにも見えないブルース・ウィリス演じるマクレーン刑事が、ぶつぶつボヤキながらギリギリで敵をやっつけていくあの感じを思い出しました。

そういえば、本作ではハッチの父親役でクリストファー・ロイドも出演していて、見た目はすっかりお爺ちゃんになってたけど、クライマックスでは「BTTF」でのドク役を思わせる演技を見せてくれましたねー。

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ストレスフリー

そんな本作の特徴は、とにかくストレスがないということ。

例えば序盤の、ハッチが退屈で普通な男として同じ日常をおくるシーンなどは、ジャンプカットを多用してサクサク見せてくれるし、強盗に入られるシーンでは随所でハッチがただ者ではない事を匂わせるショットが入るので、観ている観客はストレスを感じる事なく本作を観られるんですよね。

そして、そんな序盤のシーンがフリになっていて、ハッチがレリゴーする中盤以降で回収されていく展開も楽しいし、中盤からクライマックスに向けて、どんどん物語にドライブがかかっていくんですよね。

まぁ、このジャンルの映画として何か特に新しい事をしているわけではないんですが、その分、よくある物語、よくある展開を観客に飽きさせないよう、製作者が映画的快楽を最優先に丁寧に作っているのがよく分かるし、近年には珍しく、非常にスカッと楽しい作品でしたよ!

興味のある方は是非!!

 

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シリーズ最多?景気よく人が死んでいくシリーズ最新作「ハロウィン KILLS」(2021)

ぷらすです。

今回ご紹介するのは、みんな大好きな“あの”スラッシャーホラーシリーズ最新作『ハロウィン KILLS』ですよー!

今回は、もしかしてシリーズ最多じゃないか?ってくらい景気よく人が死にまくってましたねー。

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概要

ジョン・カーペンター監督作『ハロウィン』の続編として2018年に公開された『ハロウィン』の続編。前作で炎に包まれたマイケルが生還し、自身の過去が深く関わる街を恐怖に陥れる。監督に『ボストン ストロング ~ダメな僕だから英雄になれた~』などのデヴィッド・ゴードン・グリーン、キャストには『ナイブズ・アウト/名探偵と刃の館の秘密』などのジェイミー・リー・カーティス、『フランクおじさん』などのジュディ・グリアら、前作のメンバーが結集している。(シネマトゥディより引用)

感想

映画「ハロウィン」とは

まず、この「ハロウィン」シリーズをご存じない方のためにざっくり説明すると、1978年公開ジョン・カーペンター監督の「ハロウィン」からこのシリーズは始まり、番外編やリブート版も含め全12作に及ぶフランチャイズシリーズになっています。

カーペンター版の第1作は、1963年ハロウィンの夜、イリノイ州の架空の町ハドンフィールドで6歳のマイケル・マイヤーズが10代の姉を包丁で刺し殺すというショッキングなシーンからスタート。

それから15年後、収容されていた精神病院から脱走したマイケルは、ハドンフィールドへ戻る途中にツナギとトレードマークのマスク、肉切り包丁を手に入れ、折しもハロウィンの夜に13人もの人々を殺していくという物語。

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この第1作は「悪魔のいけにえ」と並び、「13日の金曜日」や「エルム街の悪夢」など、後に一大ブームとなるスラッシャーホラー映画の元祖と言われています。

また、本シリーズの殺人鬼マイケル・マイヤーズはマスクを被った大柄な殺人鬼というビジュアルから、「悪魔のいけにえ」のレザーフェイス、「13日の金曜日」のジェイソンと混同されがちだったりもするんですよね。

しかし、本シリーズが他のスラッシャーホラーと一線を画すのがヒロイン、ローリー・ストロードの存在で、マイケルは何故か彼女に執着するんですね。

結果彼女は、「ハロウィン」(1978)「ハロウィンⅡ」(1981)「ハロウィンH20」(1998)「ハロウィン レザレクション」(2002)「ハロウィン」(2018)そして本作と、12作品中6作にマイケル・マイヤーズの宿敵として登場、「ハロウィンⅡ」で実はマイケルの妹だったという設定になりますが、2018年にリブートされた前作では、この妹設定はなかった事になっています。

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前作からのざっくりあらすじ紹介

高校生の時マイケルに襲われた事がトラウマになったローリーは、マイケルが再び自分を殺しに現れると確信。40年もの間、家を要塞化し、対マイケルのトレーニングを続ける。娘のカレンにもトレーニングを強要したせいで親子中は疎遠になっていたものの、ローリーの懸念通りマイケルがついに復活、孫のアリソンも加え母子3代で襲い掛かるマイケルを地下室に閉じ込め火を放ち、ついに返り討ちにしたかと思われたが――。

というのが前作の流れで、最後、燃え盛る家の中でマイケルの呼吸音が聞こえ、彼が生きている事が暗示されていたんですが、本作はまさに、その直後からスタートするんですね。

燃え盛るローリーの家に到着した消防隊が消火活動を開始。

しかし、1階床板の崩落で地下室に閉じ込められていたマイケルが脱出。

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消防隊11人を皆殺しにし、さらに近隣住人や通行人、子供などを次々に殺害。
事態に気づいた町の住民たちはパニック状態になり、40年前にマイケルに襲われながらも生き延びた人々を中心に自警団を結成します。

しかし、恐怖と狂気の伝播によって彼らはやがて暴徒化し――。

という物語。

こう書くと、78年の第1作や前作を観ていないと内容が分からないと思われるかもですが、過去作の流れやマイケル・マイヤーズというキャラクターについては冒頭部分でしっかり丁寧に説明されるので、本作だけ観ても十分楽しめるようになっていますよ。

過去と現在を行き来しつつ

そんな映画序盤は、40年前と現在のエピソードを行き来しつつ、マイケル・マイヤーズと彼に関わったハドンフィールドの人々を掘り下げていきます。

この序盤の時系列が入り組んだ構成は、観ていて若干混乱するものの、その後の展開に回収されていくのでストーリーが分からないというストレスはありませんでした。

前述したように前作で家ごと燃やされたマイケルは駆けつけた消防隊員11人をサクッと皆殺しに、さらにお隣に住む老夫婦やハロウィンでイタズラをしかける悪ガキ、自分の生家に住んでいたゲイカップル、マイケル退治に駆けつけた自警団の人々などを次々に殺害。

僕はこのシリーズを全作観たわけではないので断言は出来ませんが、もしかしたら本作の被害者はシリーズ最多かもしれません。実に景気よく人が死んでいくんですよねw

その一方で殺し方は割と雑というか、サクサクと殺している印象で、「あれ?『ハロウィン』ってこんな感じだっけ?」なんて思ったり。

現代的なテーマ

そんな、徐々に侵食してくるマイケルの恐怖と狂気に取りつかれた町の人々は徐々に暴徒化。無実のおじさんをマイケルだと思い込み、警察の制止も聞かずに追い詰め、最終的に死に追いやってしまうんですね。

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この、恐怖とフェイクニュースによって人々は冷静な判断を失い、分断と暴徒化が起こるという展開は実に現代的というか、今、日本を含む世界各国で起こっている問題を物語の中にメタ的に織り込んでいるんですよね。

そしてその中心にいる「マイケル・マイヤーズとは一体何なのか」へと、物語は集約されていくわけです。

次回作が楽しみ

2018年からのリブート版「ハロウィン」は3部作構想になっていて、本作はその第2弾です。

前作に比べ本作は物語的カタルシスは少なく、割と救いのないストーリーになってたりするんですが、次回の最終作で一体どういうオチになるのか、ローリーとマイケルの40数年に及ぶ闘いに決着はつくのか、次回作がとても楽しみです。

興味のある方は是非!!

 

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好き嫌いは分かれそうだが「プレデター/ザ・プレイ」(2022/Disney+)

ぷらすです。

今回ご紹介するのは、宇宙最強の狩猟民族vs人間の闘いを描いた「プレデター」シリーズ第5弾『プレデター/ザ・プレイ』ですよー!

ディズニープラスで独占配信してたので、早速観てみました。

で、まだ配信が始まって間がない作品なので、一応ネタバレはしないように気をつけますが、ネタバレは嫌という人はご注意を。

でもまぁ、ぶっちゃけネタバレがどうこう言うタイプの作品でもないんですけどね。

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概要

高度な科学技術を駆使した武器で人間を狩る地球外生命体「プレデター」と人間との初遭遇を描いたホラー。300年前のアメリカを舞台に、ネイティブアメリカンの中で最強とされる部族の女戦士らが、プレデターとの戦いを繰り広げる。主演はドラマシリーズ「レギオン」などに出演し、主人公のように自らもネイティブアメリカンの血を引くアンバー・ミッドサンダー。監督は『10 クローバーフィールド・レーン』などのダン・トラクテンバーグが務める。(シネマトゥディより引用)

感想

評価は分かれる?

まず、感想を書く前に僕の「プレデター」との付き合いをお話しすると、シュワちゃんプレデターが戦う1作目から続く3作は観てなくて、2018年公開の前作「ザ・プレデター」だけ観ているんですね。

もちろんど真ん中世代ではあるので、プレデターがどんなモンスターでどんな能力があって何が目的なのかは大体知ってはいるんですが、ぶっちゃけこのシリーズに対して一切思い入れはないわけです。

ただまぁ、今回プレデターと闘う主人公が300年前のネイティブアメリカンコマンチ族のナル(アンバー・ミッドサンダー)という女性であり、彼女は狩りを行う戦士になりたいが、一族の人々には変わり者扱いされている。という設定に、「またポリコレかよ!」とうんざりする人もいるだろうなとは推測できるので、そこんとこで好き嫌いが分かれるかもとは思いましたねー。

一方で、力では劣る地球人が、最強生物のプレデターに対し頭脳とアイデアを駆使して戦うという本シリーズのコンセプトを考えれば、プレデターに対し力と武器で立ち向かう男たちが敗れる中、何度も殺されそうになりながらも、その都度プレデターの戦闘力や特徴を観察し、作戦を立てて(罠を仕掛けて)立ち向かうナルの姿は、ちゃんと「プレデター」してるじゃんって思ったし、その観察能力は、他の男戦士たちに力で劣る彼女が、一族に自分を戦士として認めさせるため自然に身につけた武器である。という設定は、主人公が女性である事にちゃんと理由と説得力を持たせていると思いましたよ。

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あと、族長のナルの兄タアベ(ダコタ・ビーバース)だけは彼女を認めていて、逆に女だからとナルをバカにする仲間の一人は、実はタアベへの嫉妬をナルにぶつけている。みたいな関係性や感情が分かる描写をサラリと入れているのは良かったし、劇中前半で登場する小道具がちゃんと後半の決戦に活きてくるのも良かったですねー。

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イッヌ映画

また本作にはサリィというナルの飼い犬(猟犬)が登場するんですが、コイツがメッチャ可愛いんですよ。

ナルがプレデター捜索中に底なし沼にハマって助けが欲しい時は近くにおらず、彼女が何とか沼から抜け出して川で体や装備を洗っているところに、ネズミを加えてご機嫌で戻ってきてナルに嫌味を言われたり、そうかと思うとナルがクマに襲われ危機一髪の時には、体を張ってナルを助けたり。

監督によればこのワンコ、最初はちょい役程度だったらしいけど、撮影中に出番が増えていったらしいです。さもありなん。

プレデターのデザイン

300年前のアメリカが舞台ということで、本作ではプレデターのデザインや装備も変わっています。

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普段プレデターがつけている金属製の仮面は、何かの動物の骨みたいな感じになっていて、身につけている鎧も今回は最小限。(恐らくは)ネイティブアメリカンに寄せたデザインになっているんですね。

プラズマ砲は金属製の弓矢になっていて、お面のレーザー照準が当たっている場所に3本の矢が命中するシステム。盾は手首についていて開閉する扇式の物でした。

あと、透明になったり出来る基本能力はこれまで通りですが、個人的には今回のプレデターが一番カッコいいって思いましたねー。

良いところも悪いところも

まぁ、そんな感じで僕は楽しめたんですが、だからと言って全部が良かったってわけではなく、例えば、上記のナルの立ち位置と一族との関係性などは、300年前のネイティブアメリカンとは思えないくらい現代的というか、当時の感覚で言えば女だてらに戦士を目指す彼女はもっと異端視されると思うし、なんなら一族から追い出されたって不思議じゃないのでは?と思ったり。

そうでなくても、彼女の勝手な行動が原因で、探しに来た仲間の戦士たちがプレデターに狩られたり、白人に捕まったりもしてますしね。

まぁその他にも、所々「おや?」っと思うところはありますが、まぁでも、前述したように「プレデター」に思い入れがない僕的には、本作は”そういうもの“として楽しめたし、1時間40分とサクッと気楽に観られる長さにまとめられてるのも良かったです。

興味のある方は是非!!

 

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