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ついにディズニープラスと契約したので早速一気見した「ワンダヴィジョン」の各話解説と感想

ぷらすです。

これまで、ドコモユーザー以外はdアカウント経由や、クレジットカード以外の支払い方法がないなど、色々条件が厳しくて契約を見送っていたディズニープラスですが、10月27日に契約条件が緩和されたのでついに契約することを決意。今回ついに契約することが出来ました。

で、僕がディズニープラスに契約したかった最大の理由は、ディズニープラス独占でフェーズ4以降のMCUマーベル・シネマティック・ユニバース)ドラマが次々に公開されているからで、これまでのMCU映画は全て観ている僕としては、今後、映画とも世界観を共有し、深く絡み合ってくると思われるドラマやアニメを見逃せないと思ったからなんですね。

で、契約後すぐ、MCUフェーズ4のドラマ第一弾「ワンダヴィジョン」を一気見したので感想を書こうと思うんですが、このドラマシリーズについてはネタバレで書くのはかなり難しく、なので完全ネタバレにしたいと思います。もし、今後「ワンダヴィジョン」を観る予定の人は、先に本編を観てからこの感想シリーズを読んで下さいね。

いいですね? 注意しましたよ?

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「ワンダヴィジョン」は、MCUシリーズ(アベンジャーズとかね)の登場キャラクター、ワンダ・マキシモエリザベス・オルセン)と人造人間のヴィジョンポール・ベタニー)の二人を主役にした外伝というかスピンオフ作品で1話おおよそ30分の9話構成になっています。

時系列で言うと本作はMCUフェーズ3「アベンジャーズ/エンドゲーム」以降の物語で、それまでの映画シリーズ(フェーズ1~3)を踏まえた作るになっているし、今後展開していくMCUドラマ&映画作品にも繋がってくるんじゃないかと言われているんですね。

また、本作はコロナによる映画公開の延期によって、MCUフェーズ4の第1弾作品となってしまいましたが、本来は映画「ブラック・ウィドウ」を先に上映する予定だったそうで、フェーズ4の最初にナターシャ・ロマノフ とワンダ・マキシモというMCUが誇る2大女性ヒーローを鏡像関係として描くことで、今後MCUが描く物語の方向性を示そうとしたのではないかと、個人的には思っています。

というわけで、各話――だと長くなりそうなので、ある程度ブロックごとに分けて、簡単なあらすじと解説を書いていきたいと思います。

めっちゃ長くなったので、適当に飛ばしながら読んでもらえたらと思いますよ。

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1話「"公開収録でお送りします"」あらすじ
郊外の街ウエストビューに越してきた、人造人間のヴィジョンと魔法使いのワンダ夫婦。
そんな2人は正体を隠して街の一員として暮らしているが、ある日、ヴィジョンの職場の上司を招いての食事会を行うことになり――。

2話「チャンネルはそのまま」あらすじ
エストビューの小学校を維持するための寄付金を募る催しで手品を披露する事になったワンダとヴィジョン。
エストビューの街に馴染むため、ワンダは婦人会に、ヴィジョンは街の治安維持会議に出席するが、ヴィジョンは会議の席で差し出されたガムを、うっかり飲み込んだせいで内部機関にバグを起こしてしまい――。

3話「カラー放送」あらすじ
妊娠が発覚したワンダ。
医師に妊娠4ヶ月を告げられるが、その後もお腹は信じられないスピードで大きくなり、あっという間に破水。
慌てたヴィジョンが医師を呼びに行っている間、バケツを借りにきたジェラルディンが産気づいたワンダのお産を手伝う事になり――

感想
まず驚くのは、本作が1950年代のシットコムをモチーフにした白黒ドラマとしてスタートすること。
シットコムとはアメリカのシチュエーションコメディー形式で、「奥さまは魔女」や「フルハウス」みたいなやつって言えば伝わりますかね?

マーベルヒーローとして、これまで様々な映画で活躍してきた二人が新婚夫婦になり、いかにもアメリカらしい郊外の街でドタバタ喜劇を繰り広げる物語に、あまりMCUを知らない人は混乱するかもだし、アメコミに詳しい人は「ははーん、これ『What if?』だな」と思うかも。
ちなみに『What if?』とは「もしも○○が××だったら」という公式の2次創作みたいなマーベルコミックのシリーズのことです。

また、MCUに詳しい人なら「まぁ、このまま終わるわけないよねー」と身構えるハズ。
まぁ、予告編にもなっていたので、僕も含めたファンはみんなシットコムになる事は知った状態で観てるんですけどね。

しかし、それでも驚いたのは、MCUがこの第1・2話で1950年のシットコムを完全再現しているということ。
メイキングを見ると、スタジオ内にリビングやキッチン、ヴィジョンの職場などのセットを作り、編集で笑い声を合成するのではなく、本当に観客を入れた状態で収録しているのです。

もちろん、衣装や大道具・小道具・音楽に至るまで、1950年代を完全再現。
ワンダが魔法で調理道具などを操るシーンなどはCGではなく、「奥さまは魔女」でも使われたワイヤーを使った特殊効果の技法を再現してるんですね。

最初完全なるコメディー(シットコム)として始まる本作ですが、感心するのは一見ただのメタ的なギャグとしてのセリフが、実は作品の根幹に関わる重要なセリフだったり、第1話後半ではワンダとヴィジョンの過去をあれこれ問い詰めてくる上司が急に倒れたのに(喉に食べ物が詰まった?)、奥さんは笑顔で「やめて」を繰り返すだけというめっちゃ不穏なシーンがあったり、さらにラストシーンでは「ワンダヴィジョン」を見ている人間の後ろ姿が映るなど、一見平和で楽しいシットコムの随所にホラー映画のような不穏で怖いシーンが差し込まれるのです。

続く第2話のアニメーションを使ったオープニングは、完全に「奥さまは魔女」オマージュ。
まぁワンダの別名はスカーレット“ウィッチ”だし、そのままっちゃぁそのままですけどね。

冒頭、夜二人が寝ているとドーンドーンと大きな音が鳴り響く。
何事かと飛び起きた二人ですが、外は強風で木の枝が窓を打ちつけてたというオチ。そしてワンダとヴィジョンは地元の学校の維持費捻出のため、街の有志が参加するチャリティーショーで手品を披露するというドタバタが繰り広げられるんですが、その終盤、リビングのシーンで再び件の音が鳴り響き、二人が表に出てみるとマンホールの中から養蜂の服装を着た顔の見えない男が現れる。
それを見たワンダが「ダメ」と言うと時間が巻き戻りリビングのシーンに。
そして、突然妊娠したワンダが「これは現実?」と聞くとヴィジョンは「現実だよ」と言ってキス。するとそれまで白黒だった画面が一気にカラーになる。キスを境に、それまでの1950年代から60年代のカラー放送に変わるのです。
で、中盤ラジオから流れた「ワンダ、誰が君に指示を?」という謎の声で第2話は終了。
あと、この第2話でワンダはジェラルディン(テヨナ・パリス)という黒人女性と友達になります。

第3話は、妊娠したワンダが双子の赤ちゃんを出産するまでの話。
といっても医師に妊娠4ヶ月と言われたワンダのお腹はどんどん大きくなり、あっという間に出産する事に。
で、まぁその中でいつも通りのドタバタが繰り広げられるんです。

が、今回は隣人のハーブの様子がどうもおかしい。ニコニコしながら芝刈り機でブロック塀を切ってて超怖いw
で、そんなハーブと、1話から登場してたおせっかいで詮索好きな隣人アグネス(キャスリン・ハーン)が、ジェラルディンについてボソボソ話をしてるんですね。

一方、無事双子の赤ちゃんを出産したワンダは、親友のジェラルディンに自身も双子の弟ピエトロがいたことを話すんです。
それを聞いたジェラルディンが「ウルトロンに殺されたのよね」と言うと、ワンダの表情が一変、戸惑うジェラルディンに、なぜウルトロンを知ってるのかを問い詰め「あなた”よそ者”ね」と言う。

そこにワンダを心配してヴィジョンが戻ると、すでにジェラルディンの姿はなく、ワンダは静かに「もう帰ったわ」と。
シーンが変わって何もない空間から突如放り出され草原で大の字に倒れているジェラルディンを物々しい数の車やヘリのライトが照らすところで終了。

この回では、それまでおせっかいな隣人だったアグネスが、”ただの登場人物“ではなく物語の重要人物である事が分かり、さらにジェラルディンの発言によって、シットコムだと思われた本作が、それまでのMCUと地続きの世界だった事がハッキリするんですね。
また、どうやらそのことをワンダ自身も認識している。というか、彼女自身がこのシットコムの世界を作っているらしい事が分かってくるのです。

そして第4話で、ついに本作の構造が明らかになるんですね。

4話

 

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「番組を中断します」あらすじ
病院のベッドで突如目を覚ました”彼女”は、入院していた母がいない事に気づき探すが、消えたハズの人々が次々姿を取り戻し病院内はパニック状態に。
さらに、彼女は主治医に母親が3年前に亡くなった事を聞かされ――。

感想
これまでのシットコムから一転、第2・3話でジェラルディン“だった“彼女の回想シーンから物語はスタートします。
彼女の本当の名はモニカ・ランボー
キャプテン・マーベルの親友であり、「S.W.O.R.D.」(知覚兵器観察対応局)の初代局長・マリア・ランボーの娘でした。
5年前にサノスの“指パッチン”によって消され、アベンジャーズの活躍で復活したものの、彼女の母マリアは、彼女が消えている間にガンで亡くなっていたというんですね。

傷心の中、「S.W.O.R.D.」に復帰したモニカに上司から下された任務は、ニュージャージー州エストビューで起きている失踪事件の捜査。
エストビューの住人が突如消失し、近隣の住人はウエストビューの存在自体を認識できないという異常事態。
モニカはFBI捜査官のジミー・ウー(ランドール・パーク)と現地で落ちあい、事件の調査に向かおうとするも、よく見るとウェストビューの街は半透明のエネルギーの壁に囲まれていて、それを触ったモニカはそのまま壁の中に吸い込まれ消えてしまったのです。

ちなみに子供時代のモニカは「キャプテン・マーベルジミー・ウーは「アントマン&ワスプでそれぞれ登場しているので、MCUファンなら2人の登場にテンション上がったんじゃないでしょうか。僕はぶち上りましたよ。

さらに、モニカが姿を消してから24時間後。
事態の解明のために呼ばれた研究者たちの一人に、メガネをかけた女性が。
そう、みんな大好きダーシー・ルイス(カット・デニングス)が再登場したのです!
ちなみにダーシーは、「マイティ・ソー」「マイティ・ソー/ダーク・ワールド」でソーの元カノ・ジェーン・フォスターの助手として登場しているリケジョです。

謎の解明のため他の研究者たちは街に向けて何台ものドローンを飛ばし、「S.W.O.R.D.」暫定長官ヘイワード(ジョシュ・スタンバーグ)は、ダーシーやウー捜査官の苦言も聞かず下水道からエージェントを送り込みます。

いけ好かない態度のヘイワードにムカつきながらもダーシーはウエストビューを包み込む放射線の結界から、昔のテレビ放送に似た電波を発している事に気づき、局員にブラウン管のテレビを持ってくるよう要求。
持ってきたテレビで電波を受信すると、そこにはあの「ワンダヴィジョン」がテレビ番組として流れていて、消えた街の住人たちが出演していたのです。

そしてここで、2話のラストで登場した養蜂の男は、ヘイワードに送り込まれたエージェントで、ラジオから流れた謎の声は「ワンダヴィジョン」に“出演“していたモニカを見つけたダーシーが近くにラジオがあるのを見て、結界の外からラジオの周波数に乗せ、ワンダに向けてウー捜査官に呼びかけさせたというわけだったのです。

エージェントやモニカ、送り込んだドローンの姿形が変わっていたのは、ワンダの「現実改変能力」のせい。

MCUフェーズ3までのワンダは、触れずに物を動かすサイコキネシスと他人に悪夢を見せる程度の能力しか見せていませんでしたが、原作ではワンダの最大の能力は有機物無機物に限らず、作り替えたり無かった物をゼロから作り出すという、マーベルの中でもトップクラスの能力で、ゆえにワンダことスカーレット・ウィッチはマーベルユニバースの中でも最強クラスのキャラクターなんですよね。本作でワンダはついに、その「現実改変能力」をMCUの中で発揮するというわけです。

で、ウルトロンの事を口にしたモニカを街から追い出したのもワンダだったことがモニカ自身の口から語られ、誰かに操られているのではなく、ワンダが自分の意思で一つの街をまるごと作り変えてしまった事もハッキリする。

つまりこの第4話は、1~3話での謎や違和感を回収し、本作の構造を視聴者に明かす回になっていたわけですね。

5話~7話

 

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5話「問題エピソード」あらすじ
物語は再びシットコムパートからスタート。
泣き止まない双子の赤ちゃんに疲労困憊のワンダとヴィジョン。
ワンダが「助けが欲しい」と呟くと、タイミングよく表れたアグネスが赤ちゃんをあやそうとするのだが――。
一方の現実パートでは、ヘイワードによってワンダがテロリスト認定されてしまう。

6話「ハロウィーンの不気味な夜に」あらすじ
家族初めてのハロウィンに10歳になった二人の息子は大はしゃぎ。
ワンダとヴィジョンもそれぞれ仮装で登場するが、ヴィジョンは街の見回りに出かけると言う。
自分のコントロールから外れた言動をするヴィジョンに慌てるワンダだが、前回ラストで登場したワンダの弟ピエトロに「子供の面倒は俺が見るから」と言われ渋々承諾。
一方、現実パートではヘイワードに基地から追放されたモニカ、ウー、ダーシーの3人が独自で問題を解決するために動き始める。

7話「第4の壁を破って」あらすじ
朝目覚めて隣にヴィジョンがいない事に気づいたワンダは、”カメラに向かって”ヴィジョンとの結婚生活について語り始める。
そこにゲーム機の調子がおかしいと部屋に入ってきた双子たち。
さらにワンダと似た能力を開花させたビリーは頭の中に沢山の声が聞こえると訴えるもワンダは取り合わず「今日は巣ごもりする」と宣言。
リビングに降りると部屋の中の物が次々に変化してして――。
一方、現実パートではヘイワードから離れたモニカが再び結界に入るべく、昔のツテを辿って三度結界への潜入を試みるが――。

感想

シットコムの世界をワンダが作り出した事が分かった5話から7話は、シットコムパートと現実パートが交差する複雑な展開に。
自分たちの世界の異常さに気づいたヴィジョンは、ワンダに嘘をついて結界から脱出し、外部との連絡を取ろうとするんですが、結界から出た途端体が崩れて死にかけ、それに気づいたワンダが結界を広げたことで何とか命拾い。
その時、結界に飲み込まれたダーシーの洗脳を解いたヴィジョンは、(現実世界での)自身の過去を聞かされます。

また、ワンダを利用し抹殺したいヘイワードの思惑と計画や、それまで謎だったアグネスの正体も、第7話でついに明らかに。

一方、ヘイワードと分かれたモニカとウーは、独自にワンダを救うべく行動を開始。すでに2度も結界の中に入り体内が分子レベルで書き換えられているから結界への潜入は危険だと、ダーシーやウーから止められていた彼女ですが、7話では意を決して再び結界に潜入。
その時に彼女はスーパーパワーの片りんを見せるんですね。

第5話のシットコムパートでは赤ちゃんだった双子の息子ビリートミーがあっという間に10歳の男の子に成長し、6話・7話でそれぞれ母ワンダと叔父のピエトロの能力(高速移動)を受け継いでいる事が分かります。

また、第4話で会社の同僚からワンダに操られている事を告白されたヴィジョンが、ワンダを問い質し一触即発のムードになるんですが、そこに訪ねてきたのはなんと現実世界では死んだハズの弟ピエトロ

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しかし、そのピエトロ役を演じているのはMCU版のアーロン・テイラー=ジョンソンではなく、なんと「X-MEN」シリーズで同役を演じているエヴァン・ピーターズだったのです!

つまりどういう事かというと、マーベルコミックの「X-MEN」シリーズを映画化したのはMCUではなく20世紀FOX製作で、そこにクイックシルバー(ピーター/ピエトロ)役を演じたのがエヴァン・ピーターズ

その後、マーベルの親会社ディズニーが20世紀FOXを買収したことで、「X-MEN」の人気キャラだったピエトロ/クイックシルバーが「アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン」に(設定を変えて)初登場。
しかし演じていたのはFOX版のエヴァン・ピーターズではなく、アーロン・テイラー=ジョンソンでした。

さらに、MCUに版権が移ったことで「X-MEN」のMCU参入が待たれているだけに、今回、エヴァン・ピーターズがピエトロ役で登場したことにファンは「ついにMCUX-MENが参戦か!?」と色めき立ったんですね。
まぁ、どうやらこれはMCUが仕掛けたただのサービスだったようですがw

ちなみに、ダーシーを始め、ドラマの登場人物が次々「ピエトロ顔変わってね?」とツッコミを入れるメタギャグの天丼が面白かったですw

そして第6話では、ワンダ、ヴィジョン、ピエトロの3人が、コミック版の自分たち自身の衣装に仮装するというサプライズもあり、コアなファンは大喜びというわけですね。

そして7話。
「S.W.O.R.D.」の情報をハッキングしたダーシーはヘイワードの「白目作戦」(もうちょっとマシな訳はなかったのか…)の全容も明らかに。
「白目作戦」を簡単に言うと、知覚兵器(平たく言うとスーパーヒーローの兵器化)としてヴィジョンの遺体をリメイク・復活させるという計画で、これはソコヴィア協定に違反する行為でもあり「自身の体を武器にしないで欲しい」というヴィジョンの遺言にも背く行為です。
そこで、ヘイワードはその罪を全てワンダに被せたうえで抹殺。証拠隠蔽を計ったというわけです。

さらに、シットコムパートの裏で怪しい動きをしていた隣人アグネスの正体がラストで判明。
彼女はアガサ・ハークネスという魔女で、ワンダのコントロールの範疇を超えた不可解な出来事は、全て彼女が裏で糸を引いていたのです。

ともあれ役者は揃って、物語はついにクライマックスへと突入するんですね。

8話「前回までは」

 

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あらすじ
ついに正体を現した魔女アガサ・ハークネスは、1692年のセイラム魔女裁判以前から生き続けている正真正銘の魔女だった。
ワンダを魔女だと思い込んでいるアガサは、彼女の「現実改変能力」の正体を探るためワンダの過去の記憶を遡って行く。

感想
第8話はついに正体を現したアグネスことアガサの回想シーンからスタート。彼女はなんと1692年、アメリカで起こったセイラム魔女裁判以前の時代から生き続ける魔女で、その強大な力を振るったことで母親を含む仲間の魔女から裁かれるところでしたが、その圧倒的な魔力で全員を返り討ちにしてしまいます。

そして、ウエストビューの街でワンダの能力を知った彼女は、ワンダが魔女だと思い込み、彼女の「現実改変能力」の“魔法“(のやりかた)を聞き出そうとするも、当のワンダは何も覚えていない。
そこでアガサは地下室に扉を作り、ワンダに「過去の再放送」を見せるのです。

まずは、彼女の故郷ソコヴィアでの子供時代。
窓の外では紛争が絶えない故郷で、父はアメリカから仕入れたシットコムドラマのDVD販売をしているらしい。
しかし、商売の方は順調とは言えず商品であるDVDを週一回家族で見るのが恒例の行事になっているんですね。
家族とシットコムを見るのはワンダにとって一番幸せな記憶であり、故郷の辛い現実を一時忘れさせてくれるのはアメリカ製のフィクションだったのです。しかし、そんな家族の部屋に突如ミサイルが撃ち込まれ部屋は滅茶苦茶に。ワンダが床に刺さったミサイルを見ると、そこには「スターク・インダストリーズ」のロゴ。家族の団欒を破壊したミサイルは、アイアンマンになる前のトニー・スタークの会社で販売されたものだったのです。

ミサイルの横では衝撃で倒れたテレビに映るシットコム
つまりワンダは、アメリカ(のフィクション)に救われ、アメリカ(の兵器)に奪われたということを表現しているんですね。

結局ミサイルは不発弾でしたが、そうとは知らずミサイルと2日過ごしたと話すワンダに、アガサは彼女がミサイルの爆破を止めていたのではないかと推理。つまりこの一件でワンダの能力が覚醒したと考えたんですね。

次に二人が辿り着いたのは、ワンダとピエトロが志願したヒドラの実験場。
そこにあったのはロキの杖で、その杖にはワンダに力を与えたマインド・ストーンが輝いていたのです。
これまで生存者ゼロだったというこの実験で、マインドストーンの光の中に何者かの影を見たワンダはそのまま気を失ってしまうのでした。
その様子を見たアガサは、マインドストーンが彼女に力を授けたのではなく、石が彼女が持つ能力を増幅させたと推理します。

次に二人が訪れたのは「/エイジ・オブ・ウルトロン」後のアベンジャーズ本部。弟を失い疲れ果てたワンダが一人シットコムを見ていると、まだ出会って間もないヴィジョンが話しかけてきます。
シットコムを見て絆を深めたワンダとヴィジョンは、一緒の時間を重ねやがて相思相愛になるも、結局ワンダはサノスとの戦いで大切なヴィジョンも失うハメに。
アガサは、次々に愛する人を失ったことで、ワンダが心の闇に引きずり込まれたのではないかと推測します。

次に二人が訪れたのは「S.W.O.R.D.」本部。
中に通されたワンダはヘイワードと対面。そこでバラバラに解体されているヴィジョンの遺体というショッキングな光景を目にします。
ショックを受けるワンダに向かい、ヘイワードはこともあろうにヴィジョンを「史上最も洗練された知覚兵器」と呼び、埋葬を願うワンダにヴィジョンの遺体は国の所有物であり「30億ドルのヴィブラニウム(ヴィジョンの素材)を埋めることは許されない」と言い、離れた場所から別れを告げる事のみを許可するんですね。

そんなヘイワードの言葉に感情を抑えきれないワンダは部屋のガラスを破壊しバラバラにされたヴィジョンの近くに。
しかし、ワンダの力を持ってしても遺体からヴィジョンを感じることは出来なかったのです。

最後に二人が訪れたのは、シットコムの舞台となったワンダとヴィジョンの家。そこはただの更地ですがワンダが運転する車の助手席には2人のサインが書かれた土地の権利書が。
全ての闘いを終えたら、ワンダとヴィジョンはここに家を建てて2人で住む計画を立てていたのです。

その約束の地に立ったワンダの悲しみがついに爆発、今まで使った事もない「現実改変能力」を開放すると街の住人を巻き込み、ヴィジョンと自身の幸せの象徴でもあったシットコム世界を作り上げてしまったのです。

ヘイワードは、ワンダがヴィジョンの遺体を強奪したと言っていましたが、彼女はそんな事はしておらず、自身の能力でヴィジョンをゼロから作り上げたんですね。(なので結界の外でヴィジョンは生きられない)

つまりこの8話は、それまでハッキリとは語られなかった、ワンダのオリジンを語る回だったわけです。
さらにワンダとモニカは大切な人を失い、ワンダとアガサはその強すぎる力ゆえ人々から迫害されるという共通点を持つ、鏡像関係にあるわけですね。

そんなアガサは、一緒にワンダの過去を見てワンダの能力を「カオスマジック」そしてワンダ自身を「スカーレット・ウィッチ」と呼びます。

スカーレット・ウィッチはワンダの別称(というかヒーロー?ネーム)なのは、原作ファンには常識ですが、実はMCU作品内でワンダがスカーレット・ウィッチと呼ばれたのはこれが初めて。
つまり本作は、ワンダ・マキシモフのオリジンの振り返りであると同時にスカーレット・ウィッチのオリジンでもあるわけです。

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あらすじ
ついにすべての謎が明らかになった本作。
相手の力を吸い取ってしまうアガサの魔法に対し、ワンダは車をぶつけるという物理攻撃で対抗。
しかしそこにアガサの姿はなく、呆然とするワンダの前に現れたのは真っ白な純白のヴィジョンだった――。

感想
9話に渡って描かれた本作もついに最終回。
すべての役者は揃い謎は全て明らかに。
あとは対決するだけなのですが、ぶっちゃけワンダとアガサでは力の差は歴然だったりします。そこで制作陣はアガサに「相手の力を吸い取る」という能力を与えたんですね。

そんなアガサに対し、ワンダはもう一つの力サイコキネシスによる物理攻撃で対抗。一度は退けたと思ったんですが、そこに現れたのは何と真っ白なヴィジョン。
そう、それはワンダが作り出したあのヴィジョンではなく、ヘイワードがヴィジョンの遺体をリメイクして復活させた”知覚兵器”のヴィジョンだったのです。

そんな白ヴィジョンにワンダが危うく殺されかけますが、次の瞬間ヴィジョンが白ヴィジョンからワンダを救出。
ワンダはヴィジョンにすべてを話すべきだったと謝罪し、ヴィジョンは「ここが僕たちの家なら戦おう」と決意します。
そんな二人の前に立ちはだかるアガサと白ヴィジョン。
いよいよ戦いは大詰めを迎えるんですね。

一方、結界の外ではヘイワードが証拠隠滅のため街の攻撃を指揮する前線基地に、捕まったウー捜査官が連れてこられ「(お前の悪事は)必ず明るみに出るぞ」と言うと、ヘイワーズは「ワンダが放送を取りやめたので証拠は出ない」「ワンダさえ始末すれば(証拠改変など)誰も気にしない」と余裕の笑みを浮かべペラペラ喋ります。ウー捜査官がスマホで会話を録音している事も知らずに。

アガサとワンダは街の中心に戦いの舞台を移しています。
そこでアガサは街の人たちに掛けられたワンダの洗脳を次々解いていくんですね。
洗脳を解かれた人々は「お願いだから解放してくれ」「解放しないならいっそ殺して」とワンダに懇願。
ワンダは街の人々をひどく苦しめていた事を知り、ついに結界を解除し彼らを解放しようとしますが、それではヴィジョンと子供たちが消えてしまう。
究極の選択を迫られたワンダは、一度は解除した結界を再び元に戻すのです。

一方、互角の力で戦うヴィジョンと白ヴィジョンですが、ヴィジョンの「テセウスの船」を例に出した話に白ヴィジョンが興味を持ち一時休戦。

テセウスの船」とは、古い船の木材を新品に変えた時、また剥がした古い板で新品の船を作った時、その船は元の船と同じものか的な問答で、そのまま記憶はあるが実体のないヴィジョンと、実体はあるが記憶のない白ヴィジョンと重なります。
そして、知覚兵器として使うためヘイワーズが封印した記憶データーを、ヴィジョンによって復旧された白ヴィジョンは過去を思い出し、新たなヴィジョンとして復活したのです。

一方、前述のワンダが結界を解いたスキをついてヘイワードは兵隊を連れてウエストンビューの街に乗り込んできますが、高速移動の能力を習得したトミーと兵隊の能力を制御する力を得たビリーによって兵士たちは武装を次々解除されます。
そこに現れたヘイワードが二人に向かって拳銃を発射するも、銃弾は飛び込んで二人の盾になったモニカに命中。
しかし、モニカには傷一つなく弾丸の威力は無効化。
度重なる結界への侵入で、モニカの体は変異をきたし、ある種のスーパーパワーを得ているんですね。

実は原作ではモニカが二代目キャプテン・マーベルになるんですが、本作は、モニカが二代目キャプテン・マーベルになるまでのオリジンでもあったのです。

勝ち目なしと悟ったヘイワーズは、軍用車で逃げようとするも、そこにダーシーの乗ったバンが突っ込んであえなく御用。

そして戦いの中で完全にスカーレット・ウィッチとして覚醒したワンダは、アガサに圧勝し、改変能力で彼女をおせっかいな隣人の“アグネス”に戻してしまいます。

全てが終わり、ヴィジョンとの約束を果たすため結界を解除するワンダ。
しかしそれは同時に、愛するヴィジョンと息子たちの消滅を意味します。
息子たちを寝かしつけたワンダとヴィジョンは、迫りくる最後の瞬間を二人で過ごします。
「最後に聞いておきたい。僕は何者?」と聞くヴィジョンにワンダは「あなたは私の何より愛する人」と答え、それを聞いたヴィジョンは「私は初め”声”(ジャーヴィス)として生まれ、その後肉体を得て、今はリアルな記憶だ」と言い、ワンダに「きっとまた会える」と言って消えていくんですね。

元の更地となったマイホームを後にしたワンダは、街の人々に敵意の目を向けられながらモニカの前に。
そして「いつかこのパワーを理解して見せる」と約束し、ウエストビューの街を後にするのでした。

これで、「ワンダヴィジョン」の物語は終わりますが、そこはMCU作品。
最後にお約束のポストクレジットが2本ついているんですよね。

一つは、取り調べのためモニカを映画館に連れてきた捜査官が実はスクラル人で、モニカに「お母さんの友人に連れてくるように言われた」と言うんですね。モニカが「どこに?」と聞くと上を指さすので、彼女を呼んだのは初代キャプテンマーベルのキャロルか、もしくはニック・フューリーなのでしょう。

もう一つはエンドロール後、人里離れた山奥の湖畔の山小屋でお茶を飲むワンダをカメラがすり抜け、奥の部屋に入るとそこにはスカーレット・ウィッチ姿のワンダが、アガサが持っていたダークワールドの本を読んでいるんですね。

そして、最後「助けてママ、お願い!」と消えたはずの双子の声が聞こえ、謎を残したまま物語が終わるのです。…おうふ。

この最後のポストクレジットの解釈は数々ありますが、個人的にはそもそもワンダとスカーレット・ウィッチは別人格というのが一番しっくりくる感じです。
そうすれば、劇中で違和感を感じたワンダの言動にも説明がつくし、双子の声も「(スカーレット・ウィッチから)助けてママ(ワンダ)」という事なんじゃないでしょうか。多分。

総評

というわけで、MCUドラマ「ワンダヴィジョン」を長々と思う存分語ってしまいました。
最初に本作のワンダと「ブラック・ウィドウ」のナターシャは鏡像関係にあると書きましたが、それはずっと一人ぼっちだったナターシャが最後に2つの家族を得たのに対し、ワンダはずっと家族や愛する人を失い続けているという事なのです。

あと、本作は極めてMCU的とも言えますが、一方で昨今のディズニー作品にも近い物を感じます。
例えば「雪の女王」を姉妹の物語に変えた「アナ雪」や、アンジェリーナ・ジョリー主演の「マレフィセント」、101匹わんちゃんのヴィラン・クルエラを主役に据えた「クルエラ」など、これまでのヴィランを一人のキャラクターとして描き直す流れがありますよね。

本作のワンダも、観客は彼女視点で見ているから、ワンダを悲劇のヒロインとして受け入れられますが、街の住人の視点で見ればワンダは明らかなヴィランですからね。

そして、そんな二人の物語から始まるMCUフェーズ4のテーマは、一言で言えば継承と拡張になると思います。
継承とはそのままファーストアベンジャーズから次の世代へのバトンタッチという意味で「ブラック・ウィドウ」ではナターシャから義妹のエレーナへと、本作ではキャプテン・マーベルをキャロル・ダンバーからモニカ・ランボーへ。
ドラマ第2弾「ファルコン&ウィンター・ソルジャー」は、初代キャップのスティーブからサム・ウィルソンへ「キャプテンアメリカ」を継承するドラマになると思うし、ドラマ「ホークアイ」ではクリントからケイト・ビショップに「ホークアイ」が受け継がれていくハズ。
そういう意味では、本作のヴィジョンと白ヴィジョンもある種の継承と言えるかもですね。

そしてもう一つの「拡張」とは、今後のMCUスパイダーマンシリーズやドクター・ストレンジシリーズを中心に描かれるであろう「マルチバース」の事です。
ソニーのアニメ版「スパイダーマンマルチバース」ですでに描かれているように、また来年公開の「スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム」などで詳しく描かれるであろう、次元を超えて様々なキャラクターが絡み合うということ。それこそ科学と魔法と神話をベースにしたキャラクターたちがより複雑に絡み合っていくのではないかと、個人的には考えています。

フェーズ4ではこの2つの軸を中心に、また、これまで殆ど登場しなかったマイノリティーの属性を持つ新たなアベンジャーズが次々に登場、さらにMCU世界を広げていくのだと思いますねー。

そんな中、恐らくは今後、エターナルズとドクター・ストレンジ、そしてスカーレット・ウィッチことワンダが同じ映画やドラマで絡んだりすると思うと、もうワクワクが止まらないし、出来るだけ早くワンダが幸せになってくれる事を切に願う次第ですよ。いやマジで。

というわけでMCUドラマシリーズ第1弾「ワンダヴィジョン」の解説と感想でした!
次は「ファルコン&ウィンター・ソルジャー」を観ますよー!!
ではではー(´∀`)ノシ

って、13.000文字越えてた。てへ

”クロエ・ジャオ作品“として観るか”MCU作品”として観るか「エターナルズ」(2021)

ぷらすです。

11月5日の公開初日、夕方の回で観てきましたよ。

MCU最新作「エターナルズ」をね!

今回は「ノマドランド」で見事アカデミー賞に輝いたクロエ・ジャオがMCU作品を監督するという意欲作。実際観てみたら志も高く、映像も美しく、いわゆるマーベル世界の神話であり一大叙事詩と、さすがクロエ・ジャオ監督だけあって素晴らしい映画なんですけどねー……。

というわけで、今回はまだ公開したばかりの作品なので、出来る限りネタバレしないよう気を付けて書きますが、ほんの少しのネタバレも許せない!って人は、先に映画を観てからこの感想を読んで下さい。

いいですね? 注意しましたよ?

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概要

マーベル・スタジオが手掛け『モンタナの目撃者』などのアンジェリーナ・ジョリーらが出演したヒーローアクション。7,000年にもわたって人類を見守ってきた集団エターナルズが、地球滅亡の危機に立ち向かう。第93回アカデミー賞作品賞などを受賞した『ノマドランド』などのクロエ・ジャオが監督を務めた。『クレイジー・リッチ!』などのジェンマ・チャン、『フレンチ・ラン』などのリチャード・マッデンのほか、キット・ハリントン、マ・ドンソクらが共演している。(シネマトゥディより引用)

感想

マーベル新キャラクター「エターナルズ」とは

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まず、この「エターナルズ(MCU)」の世界観をざっくり説明すると、

本作には、セレスティアルズ、エターナルズ、ディヴィアンツという3つの種族が登場します。

セレスティアルズを乱暴に説明するとマーベル世界における「神」的な最上位の存在

ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー(以後GOTG)」で登場した荒くれものが集う惑星ノーウェアは、死んだセレスティアルズの頭だったし、また「GOTG・VOL.2」で登場した、ピーター・クイルの父エゴは、自らを「セレスティアル人」と名乗っていましたよね。

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セレスティアルズは銀河や宇宙を作ってしまうほど強大な力を持つ存在で、本作では人類を知的生命体に進化させたのもセレスティアルズらしいと言われています。

で、そんなセレスティアルズが宇宙のあちこちに作った知的生命体を襲う捕食者がディヴィアンツ。予告編でも登場するあの怪獣みたいなヤツですね。

セレスティアルズがいくら宇宙に知的生命体を作っても、ディヴィアンツに食べられて滅んでしまう。

というわけで、セレスティアルズがディヴィアンツから知的生命体を守るため生み出した(進化させた?)のがエターナルズであり、セレスティアルズの一人・アリシェムによって地球に派遣され、7000年以上ディヴィアンツから人類を守ってきたのが、本作に登場する10人のエターナルズなのです。

つまり、人類にとっての神的存在がエターナルズで彼らの神的存在がセレスティアルズという図式なんですね。

人類を進化させる神のような巨人といえばリドスコの「プロメテウス」冒頭で登場した宇宙人を連想する人もいるかもしれませんが、多分、大体あんな感じだし、エターナルズが乗ってる宇宙船はどこか「2001年宇宙の旅」のモノリスを、作品のテーマは「ブレードランナー」連想させます。

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そうした、SFの名作をオマージュしたようなシーンも劇中にはチラホラ出てくるんですが、これは単にイースターエッグ的な扱いではなく、SF映画史の文脈を意識しているんだと思いましたねー。

ざっくりキャラクター紹介

というわけで、まずはそんな本作に登場するエターナルズをざっくりご紹介します。

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エイジャック(サルマ・ハエック

10人のエターナルズを導くリーダーであり、唯一アリシェムと交信できる神官的存在。
メンバーを率いて一度はディヴィアンツを絶滅させたが、その後、メンバーが人間への関与を巡って諍いを始めたためエターナルズを解散。それぞれが人間世界で自由に生きていくよう指示する。

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セルシ( ジェンマ・チャン

本作の主人公。
物質を別の物質に変える能力を持ち、10人の中で最も人類を愛している。
何世紀にもわたってイカリスと恋をし一度は結婚もしたが、ある日突然イカリスは姿を消してしまった。
現代ではロンドンで博物館の職員として働き、スプライトと二人暮らし。

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イカリス(リチャード・マッデン

目からビームを出して空も飛べる、10人の中で最強のエターナルズ。
ある日、妻セルシの前から姿を消すも、人類滅亡のピンチに再びセルシの前に現れた。

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スプライト(リア・マクヒュー)

リアルな幻影を投影する能力を持つ。
見た目は12才の子供のため一人暮らしが出来ず、ロンドンでセルシと同居している。

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キンゴ(クメイル・ナンジアニ)

手からビームやエネルギー弾を発射できる。
解散後はインドで映画スターとして活躍。

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ファストス(ブライアン・タイリー・ヘンリー)

発明家で人類の技術的進歩を密かに支援する。
あることがきっかけで一度は人類に絶望するも、現代では同性の夫と一緒に息子を育てている。

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マッカリ(ローレン・リドロフ)

超スピードで移動できる。
耳は聞こえないので仲間とは手話を用いて会話する。
僅かな空気の振動も感知できる能力も。
現代では地球に隠している彼らの母船(宇宙船)に引きこもっていた。

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ドルイグ(バリー・コーガン

人間の心を操ることが出来る。
「人間同士の争いに関与してはならない」というセレスティアルズの命令に逆らって、エターナルズ解散の要因を作る。
解散後は他のメンバーと距離を置いていた。

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ギルガメッシュ(マ・ドンソク/アメリカではドン・リー)

エネルギーを拳に纏って肉弾攻撃をするパワー系。
「Mahd Wy'ry(マイワイリー?)」という病を患ったメンバーのセナを何世紀にもわたって面倒を見ている情の深い男で、エターナルズの良心。

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セナ(アンジェリーナ・ジョリー

エネルギーをあらゆる武器に変換して戦う。

不老不死ゆえ、記憶の蓄積によって心を病んでしまうエターナルズ特有の病「Mahd Wy'ry」によって仲間を傷つけた事で、エイジャックから記憶を消すことを事を進められるが拒否。
何世紀にもわたりギルガメッシュと二人で暮らしていた。

と、この10人がエターナルズのメンバーたち。
で、実は彼ら、原作では一人ひとりがあのサノスとほぼ同等の力を持っている(セナはサノスの従妹だし)んですが、劇中で彼らの強さを表すような描写がなかったのはちょっと残念でしたねー。
まぁ、彼らの強さを表すためあそこにアベンジャーズのメンバーとかが出てきたら、さすがに情報過多すぎて、観客がついてこれなくなってしまうでしょうけども。

志は高く良い映画ではあるが…

というわけで、世界観とキャラ説明が終わって、ここからが感想本番。(え、やっと!?)

ネタバレしないようハンバーガーに例えると「マックの味が恋しくてハンバーガーを注文したら、大豆肉のパテと有機野菜を挟んだ意識高い系ハンバーガーが出てきた」って感じ。

伝わりませんかそうですか。

クロエ・ジャオ監督が本作でやろうとしている事は分かるし、それは概ね成功していて、作品としての志は非常に高く、映像も美しく、壮大なスケールを描いた素晴らしい映画なのですが、僕みたいなボンクラファンがMCUに求めている味はコレジャナイんだよなーっていう。
俺たちはもっとヒーローが悪者とカッコよく闘うトコがみたいんだ!と。
オシャレな盛り付けのヘルシーサラダじゃなくて、めっちゃしょっぱくて油ギトギトの山盛りポテトが食べたいんだよ!っていうw

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セルシとイカリスのメロドラマを延々見せられても、いや、でも僕はこの人たち初対面ですし、急にそんなの見せられても全然乗れないんですけど…みたいな感じだったり。

10人のエターナルズを通して現代社会を読む

とはいえ、そこはさすがクロエ・ジャオ。
見る角度によって形の変わる「人間ドラマ」を重層的・多重的にじっくりと描いています。

一例を挙げると、主人公のセルシを中心に本作を観れば、恋人のイカリスは有害な男性性を象徴するキャラクターに見えるかもですが、その視点をイカリスに移せば彼がそうならざるを得なかった理由がちゃんと見えてくる。

つまり、いわゆる有害な男性性に彼自身も苦しんでいる事が分かるわけで、これは昨今の男の有害性を告発するところで止まっている作品群とは一線を画した、フェミニズムというものを正しく描いた作品と言えるのではないでしょうか。

また、スプライトは子供の容姿にコンプレックスを持ち、ファストスは同性を愛し、マッカリは身体障害を持ち、セナは心を病んでいる。
そしてそれらは、彼ら彼女らを生みだしたセレスティアルズに原因があり、会社に置き換えればパワハラ・セクハラ問題、家庭に置き換えれば毒親問題とも取れなくもないのかなーと思ったり。

つまり、本作の10人はそれぞれが様々なマイノリティー的要素のメタファーであり、彼らは同じ悩みを持つ多くの人々が、その言動に共感出来るある種の「依り代」でもあると思うし、本作はそんな彼らが劇中でそれぞれが抱える問題に自分なりの答えを出し、成長する物語でもあるわけです。

ただ、惜しむらくは、映画として2時間30分は長いけど、これだけのドラマを詰め込むにはさすがに短すぎたんじゃないかと。

どうせ描くならもっとじっくりと、2部作か3部作、もしくは6話くらいのドラマにした方が良かったんじゃないかなーと思いました。いや、本作がMCU作品でなければ、また印象も変わってたかもですけど。

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あ、ただ、劇中で、焼け野原になった広島に立って人間(の行為)に絶望し泣き崩れるファストスの描写には、日本人としてグッと来たし、正直いいかげんな描写の多い原爆の悲劇を正当化することなく、ここまでしっかりと描いてくれたのは嬉しかったです。

それと、個人的にはMCUの大バジェット作品で、我らがマブリーことマ・ドンソク兄さんが大活躍しているのはめっちゃ嬉しかったですよー!

まぁ、正直賛否はかなり分かれそうな作品ですが、多分、今後のMCU作品の基盤になる作品だと思うので、MCUファンの人もそうでない人も、劇場で観ることを強くおススメします!

興味のある方は是非!!

 

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真田広之・浅野忠信ハリウッド映画で共演!「モータルコンバット」(2021)

ぷらすです。

今回ご紹介するのは、日本ではあまり知られてないけどアメリカでは鉄拳やストリートファイターと並ぶ人気の横スクロール格闘ゲームを原作にした実写アクション映画『モータルコンバット』ですよー!

公開時、気にはなってたけどタイミングが悪く観れなかったんですが、Amazonvideoでレンタルしてたので、早速観てみました!

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概要

激しいバトルや残虐な描写が特徴的な格闘ゲームを映画化したアクションアドベンチャー総合格闘技の選手らが、太古より続く格闘トーナメント「モータルコンバット」で世界を救うべく戦いを繰り広げる。『デッドプール2』などのルイス・タンをはじめ、真田広之浅野忠信、ジョー・タスリム、ジェシカ・マクナミーなどが出演。製作に『ソウ』『死霊館』シリーズなどのジェームズ・ワンが名を連ね、監督をサイモン・マッコイドが務める。(シネマトゥディより引用)

感想

海外の人気格闘ゲームを2度目の実写映画化

本作の原作となるのは、ミッドウェイゲームズが1992年に開発・発売した同名格闘ゲームです。
ストリートファイター」と同じ2D型対戦格闘ゲームなんですが、グロッキー状態の敵にトドメを刺す「フェイタリティ」というコマンドがこのゲーム最大の特徴。

頭を掴んで脊髄ごと首を引き抜く」とか、「敵を縦真っ二つに切断する」「両腕を掴んで力任せに引きちぎる」などなど、とにかくインパクト抜群の過剰に残虐なトドメ描写が、多くのゲーマーの支持を得てシリーズ化。
また、モータルコンバット2011(MK9)からはWBが権利を買収。これによって「エルム街の悪夢」のフレディや「13日の金曜日」のジェイソン、ターミネーターバットマンジョーカーなどなど、アメコミや映画からそうそうたるゲストキャラクターが参戦し、北米では「ストリートファイター」や「鉄拳」と肩を並べる人気格闘ゲームなのだそうです。

実写化

その人気から「モータルコンバット」はコミカライズされ、1995年にみんな大好きポール・W・S・アンダーソン監督で最初の実写映画化。2年後には続編が公開されてますし、ドラマ版もあるらしいですよ。

ただ、95.97年の映画版は全年齢向けだったため、本ゲーム版最大の特徴である「フェイタリティ―」は登場せず、多くのファンをがっかりさせたそうですが、実質リブートとなる本作はR-15指定となり、何人かの人気キャラクターの「フェイタリティー」もしっかり描かれていましたねー!

真田広之大活躍

また、これは元のゲーム設定もあるんでしょうが、本作ではアジア・黒人・ヒスパニック系俳優が多く出演していて、日本からは真田広之浅野忠信というベテラン2人が出演していました。(真田さんの妻役で篠原ゆき子、息子役で宮川蓮も出演)

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真田さんは、17世紀に本作のメインヴィランビ・ハン / サブゼロ(ジョー・タスリム)に妻子を殺され、本人も冥界に落とされるも復讐のためスコーピオとして復活する白井流の忍者ハサシ・ハンゾウを、浅野忠信は魔界からの敵と闘う“人間の王者”を招集する人間の守護神・ライデン役をそれぞれ熱演していました。

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特に真田さんはほぼ主役といった役どころで、1960年生まれなので本作制作時は59~60歳だと思うんですが、さすがベテランという迫力のある重厚な演技ながら、動きの方も一番キレッキレでしたよ。さすがは元JAC

一方の浅野さんは、映画が終わってこの感想を書くためWikipediaで調べるまでライデン役だって気づかなかったです。メイン級の役で出番も多いのにねー。
日本の映画やドラマでは強い存在感を放つ浅野さんですが、ハリウッド映画に出演すると何故か存在感が薄くなっちゃうんですよね。不思議。

ストーリーをざっくり紹介

映画冒頭のアバンシーン、舞台は17世紀の日本の人里離れた家で、ハンゾウ一家は幸せに暮らしていました。
そこに、氷を操る能力を持つ中国忍者ビ・ハンが登場。
ハンゾウが川に水汲みに行っている隙を狙って妻と息子を氷漬けにして殺害、戻ったハンゾウも殺害してしまいます。
しかし、妻の機転で床下に隠され生きていた末の娘(赤ん坊)を、人間の守護神ライデンが保護するんですね。

舞台変わって現代アメリカ。
負けが続いている総合格闘家コール・ヤング(ルイス・タン)の元に、元海兵隊ジャクソン(メカッド・ブルックス)が訪ねてきます。
コールの胸には、ドラゴンの痣があるんですが、これがモータルコンバットに参戦する闘士の証で、ジャクソンもその一人なのです。(ちなみにこの証を持つ者を殺した人間に証が移動する)

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そこに、ビ・ハンから魔界の闘士サブ・ゼロが現れ、コール一家を襲撃。
どうも、魔界の魔術師シャン・ツン(チン・ハン)が人間界を手に入れるためには、モータルコンバットという武術大会で10勝しなくてはならないらしく、魔界側は現在9勝中。あと1勝すれば人間界を征服出来るらしいのです。
しかし、予言によればハサシ・ハンゾウの血統が復活し、魔界の勝利を防ぐ為新たな王者のチームを決成させるとあり、コールがそのハサシの子孫だというんですね。

そこでシャン・ツンは次の大会の前にハンゾウの血統を根絶やしにするべく、サブ・ゼロとなったビ・ハンを人間界に送り込んだというわけです。

危ないところを駆けつけたジャクソンに「ソニア・ブレイドに会いに行け」と告げられたコールは言われた住所に向かうのだが――というストーリー。

製作にはジェームズ・ワンが本編に深く関与?

どうも主人公のコールだけは本作のオリジナルキャラらしいんですが、他のキャラクターは全員ゲームの人気キャラみたいですし、設定もほぼゲームから取っているっぽいですが、別にゲームを全く知らなくても、本作は楽しめるようになってましたよ。

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映像もB級の安っぽい感じはなかったし、脚本や構成もまぁ、ツッコミどころがないわけではないけど、同く妻子をサブ・ゼロに狙われるハンゾウとコールを鏡像的に描くなど、この手のアクション映画としてはよく出来てると思いました。

ちなみに監督は本作が長編デビューのサイモン・マッコイドという人なんですが、制作で「死霊館」シリーズや「ソウ」シリーズのジェームズ・ワンも名前を連ねているし、制作してるのは彼の会社アトミック・モンスター・プロダクションズなので、かなり深く本作に関わっているのかもしれません。

R指定ありで「フェイタリティー」のシーンをしっかり描いたのも、もしかしたらジェームズ・ワンの意見かも?なんて思ったりしましたねー。

あと、これは余談で観た人しか分からないと思うんですけど、映画を観ながら僕は、ソニア(ジェシカ・マクナミー)危機一髪の時ジャクソンが助けに入って深手を負い、ソニアに「俺を殺して証(龍の痣)を受け取れ……」的な湿っぽい展開になるかと予想してたんだけど、全然違いましたねーw

まぁ、それはそれであの展開もスカッとしたから良かったけど。

僕が何の話をしているのかが気になる人は、映画本編を観てくださいw

興味のある方は是非!!

 

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蛇足感はあるがアクションは凄い「るろうに剣心 最終章 The Final」(2021)

ぷらすです。

今回ご紹介するのは、2014年公開の前作「~京都大火編 /伝説の最期編」から7年後の今年4月、ついに公開された『るろうに剣心 最終章 The Final』ですよー!

日本のアクション映画のレベルを一段押し上げた大ヒットシリーズ最終章2部作の第1弾。アマプラでレンタルが始まってたので早速観ましたよ!

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概要

和月伸宏のコミックを原作にしたアクションシリーズの最終章である2部作の第1弾。志々雄真実との死闘後、穏やかに暮らしていた緋村剣心たちに忍び寄る敵と、剣心の秘められた過去が明らかになる。監督は前3作に続いて大友啓史。主演の佐藤健をはじめ、武井咲青木崇高蒼井優江口洋介らシリーズおなじみの俳優陣に加え、新田真剣佑が最凶の敵・雪代縁(えにし)役で出演する。(シネマトゥデイより引用)

感想

数少ない実写化作品の大成功作

実は僕は、「るろ剣」の原作マンガもアニメもほぼ未読・未見だったりします。
それでも、大体の設定やあらすじ、メインの登場キャラ程度は知ってるくらいの距離感だったんですが、そんな「るろ剣」が、2012年に実写化されるというニュースを最初に見た時は、正直「あぁ、またか……」と思ったんですね。

人気の出たマンガやアニメの実写化作品は、それまでにも多々製作・公開されてましたが、その多くが失敗作だったからで、それは、
物語以上に重きを置かれている(カトゥーン的デザインの)キャラクターを実在の俳優(人間)が演じる問題

そもそも長期連載である人気マンガのどこ(エピソード)を抽出するかという問題

2次元のマンガ・アニメと3次元の実写との演出の違いを理解出来てない制作陣の多さ問題

そもそも(作品の世界観を描くには)予算が足りない問題などなど。

数多くのハードルを抱えているからなんですね。

もちろんすべてが失敗作というわけではないですが、人気マンガで時代劇、しかも熱狂的ファンの多いジャンプマンガ原作となれば、これはもう失敗は目に見えてるだろうと。そう思ってたわけです。

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ところが蓋を開けてみれば作品は大ヒットを記録。
主人公の緋村剣心を演じた、大人気イケメン実力派俳優・佐藤健らのハマり具合もさることながら、大ヒットの最大の要因は、今まで誰も見たことのなかったアクションシーンではないかと思うんですね。

「殺陣」を「アクション」に脱構築

個人的に、刀で斬りあう時代劇の「殺陣」は「アクションシーン」とは切り離された似て非なる物という印象でした。どちらかと言えばアクションというよりもダンスに近いイメージというか。
それは多分、僕以外の多くの人も同じように思っていて、なので時代劇の「殺陣」はこういう物っていうある程度のイメージが共有されてたと思うんですね。
具体的に言うと、「暴れん坊将軍」の松平健さん的な感じ。

ところが、本作でアクション監督を務めた谷垣健治は、刀を使った「殺陣」を「アクション」の1つと捉え、2次元的な動きの「殺陣」に上下という3次元的要素を加えた「アクション」へと脱構築してみせたわけです。
そこに、観客が今まで体験したことがないような目まぐるしいスピードを加えることで、「るろ剣」は日本のアクションレベルを1段引き上げると共に、日本で滅びかけていた「時代劇」というジャンルの新たな可能性も示して見せたんですね。

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もちろん、それを実行できる佐藤健ら俳優陣の身体能力の高さありきのアイデアだし、”マンガ原作“だから出来る自由さも当然あったと思うんですよね。

まぁ、この1作目のインパクトが大きすぎて、2作目・3作目ではアイデアにかなり苦しんだと思うし、結果的に1作目のセルフオマージュ的な、スピードは速く手数も多いけれど一本調子に見えてしまうアクションになってしまった印象でした。

それから7年。
谷垣健治はアクション監督として日本に留まらず、アジア・ハリウッドなどでも活躍。
世界最先端のアクションに触れ研鑽を重ねて、本作では前3作から更に一段レベルを引き上げるようなアクションシーンを作り上げてみせたんですよね。

物語感想

その一方で、本作がどんな物語かというと、剣心、シスコンの義弟に命を狙われるの巻っていう、シリーズ史上最も規模の小さな話。
いや、原作通りなんだろうけど、正直、その話いる?って思いましたねー。

だって、どう見ても前作の藤原竜也こそがラスボスなのに、そこに中国マフィアに出世した義弟(シスコン)登場とか言われてもねー。

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なんかこう蛇足感があるというか、後付け感半端ないっていうか、ディズニー版のスターウォーズか!(。・д・)ノ)´Д`)ビシッ っていうか。んー

で、やってることは今までの繰り返しっていうか、江戸の町が爆破されたり、剣心の知り合いが次々と非道い目に合うけど、それ全部シスコン義弟の剣心への復讐っていう。

「自分への復讐に関係ない人を巻き込むのは違うでゴザル」っていう剣心のセリフがド正論すぎて首もげるくらい頷きましたよ。

だからって、江戸の人々に剣心が責め立てられるでもなく、剣心がピンチになれば前3作の敵たちが味方になって助けに来てくれるっていう、ジャンプ漫画か!ジャンプ漫画だった!展開。

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結局、剣心の立場も薫や仲間たちとの友情も揺るがず、別に誰も成長もせず、シスコン義弟だけが空回りするっていうだけの話――って、シスコン義弟が可哀そうで見てられないよ!・゜・(ノД`)・゜・

で、そんな中身のない空回りシスコン義弟を、大友啓史監督お得意の演出でエモーションたっぷりに泣きわめかせたり叫ばせたりするわけですよ。

いやー、「京都大火編 / 伝説の最期編」あたりで薄々気づいてはいたけど、大友監督ってとにかくエモーションを盛り上げたい人で、ワンカット・ワンショットにたっぷり間を取るんですね。
それが結局映画を長引かせてるし、そこに物語的な意味もないのでテンポが悪く冗長になっちゃう。

本作も2時以上あるけど、余分なキャラやエモシーンを省いて物語を整理したら1時間半くらいで収まるんじゃね?って思いましたねー。

いや、まぁ、そのへんは次の「~The Beginning」を見たら、遡って印象が変わるかもしれないですけどね。

興味のある方は是非!!

 

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地獄のウルルン滞在記「ミッドサマー」(2020) *ネタバレあり

ぷらすです。

今回ご紹介するのは、「ヘレディタリー/継承」で世界中の映画ファンを震え上がらせたアリ・アスタ―監督が、スウェーデン夏至祭をモチーフに描いた『ミッドサマー』ですよー!

僕も「ヘレディタリー/継承」を見て、本作も劇場公開時から気にはなってたんですが、ビビりなので「劇場でホラーはムリ―!」とスルーしてて、先日アマプラの見放題に入ったのでやっと観ることが出来ました。

感想を一言で言うと、劇場で観なくてホントよかったですよ。劇場だったら絶対耐えられなかった。

というわけで、本作は結構前の作品だし、ネタバレしても面白さや怖さが薄れるタイプの映画でもないので、今回はネタバレありで感想を書きたいと思います。
なので、ネタバレは嫌って人は先に映画を観てから、この感想を読んで下さいね。

いいですね? 注意しましたよ?

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概要

長編デビュー作『へレディタリー/継承』で注目されたアリ・アスターが監督と脚本を務めた異色ミステリー。スウェーデンの奥地を訪れた大学生たちが遭遇する悪夢を映し出す。ヒロインを『ファイティング・ファミリー』などのフローレンス・ピューが演じ、『ローズの秘密の頁(ぺージ)』などのジャック・レイナー、『メイズ・ランナー』シリーズなどのウィル・ポールターらが共演。(シネマトゥディより引用)

感想

新進気鋭の鬼才・アリ・アスタ―

本作の監督、アリ・アスタ―は2011年から7本の短編映画を世に送り出した後、2018年、自身初の長編映画ヘレディタリー/継承」が2018年のサンダンス映画祭で上映されると批評家たちから「今世紀一番怖いホラー」と激賞され世界的にも大ヒットを記録します。

で、その「へレディタリー」を作る前に、スウェーデンのプロデューサーから「夏至祭を舞台にしたホラー映画の監督を務めて欲しい」とのオファーを受けて製作したのが本作「ミッドサマー」なんですね。

監督のインタビューによれば、「ヘレディタリー」も本作も監督の実体験がアイデアの基になっているって言うんですが、どんなひどい体験したらこんな嫌な映画が作れるのかって感じです。

「へレディタリー/継承」と本作の共通点と違い

前作「へレディタリー」と本作「ミッドサマー」を観る限り、主人公、もしくは登場人物がカルト集団に取り込まれ、彼らが暮らす“実世界“から“異世界”へと連れていかれる。精神が不安定なキャラクターの視点で物語が進む。普通なら見せないゴアシーンの顛末を長尺で見せるという共通点があって、その辺にアリ・アスタ―監督の作家性の源となる「何か」があるのかなって思ったり。

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例えば、前作では主人公一家の長男ピーターが悪魔教団に取り込まれるし、本作では主人公ダニーがスウェーデンのカルト的なコミューンに取り込まれていくんですが、両者の違いは、ピーターが教団によって全てを奪われ絶望した状態、本作で言えば主人公ダニーの恋人クリスチャンに近い立ち位置なのに対し、”現実世界“で居場所がなかった本作のダニーにとって、あのコミューンに取り込まれる事はある種の救いであるように描かれているんですよね。

また前作では主人公アニーの、本作では主人公ダニーの視点で物語が進むわけですが、どちらも精神が不安定であることが劇中冒頭で明かされます。

そんな彼女らの目を通して見た世界を、アリ・アスタ―監督はカメラワークやライティングなどを駆使して演出、それによって何が映っているわけじゃなくても、ずっと不穏で怖くて不安感を煽る映像を作り出しているわけですが、陰影が強くいかにもホラー然としていた前作に対し、本作はずっと光に包まれた美しい自然をバックに、陰惨で常軌を逸した狂気が描かれていくんですよね。

あと、この2作に登場するカルトの人たちが信じる信仰には、今も生贄制度が残っているという共通点もありますね。

前作で生贄にされるのはアニーらピーターの家族であり、本作ではコミューンのメンバーとクリスチャンらよそ者の大学生たちでした。

で、ここがアリ・アスタ―監督最大の特徴なんですが、普通なら途中でカットする、もしくは見せないようなゴアシーンの顛末を長尺で延々見せられるわけですよ。

前作「へレディタリー」では食物アレルギーで苦しむピーターの妹が事故による首チョンパで死んでしまうわけですが、(直接的なシーンはハッキリ映してないけど)妹が死んだあと、車を運転していたピーターがそのまま家に帰ってベッドで眠れぬ一夜を明かし、翌朝車の中の死体を発見したアニーが悲鳴を上げるまでをワンカットで見せるんですよ。でも首チョンパされた妹の死体は見せないんだと安心していると、アニーの悲鳴とオーバーラップするように道路に転がってハエにたかられた妹の首が大映しになるっていう。

対して本作では、夏至祭の儀式が始まって男女の老人が高い崖の上から岩に向かって投身自殺する様子をしっかり見せるというのが最初のゴアシーンなんですが、ここで嫌なのが、お婆さんは岩に頭が直撃して即死だったけど、お爺さんは着地に失敗して即死できずに苦しむんですよね。

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そんな一粒で二度美味しい的な演出はいらないから!っていうw

そしてラストのラスト、ダニーの恋人クリスチャンがクマちゃんのされて、生贄に選ばれた村の若者二人と一緒に丸焼きにされるシーンは嫌すぎて、とても最後まで見てられなかったですよ。

アリ・アスタ―とゴアシーン

ぶっちゃけ、アリ・アスタ―作品は他のスラッシャーホラーに比べればゴアシーン自体は極端に少ないし、音や映像でビックリさせられるシーンもほとんどないんですよ。
本作のラストシーンだって、残酷な殺され方ではあるけど、流血や切り株描写があるわけではないし、映像だけ抜き取れば目を背けるほど凄惨なシーンではないんです。

ただ、アリ・アスタ―の嫌なところは、その数少ないゴアシーンやショックシーンを事の起こりから結末までノーカットでず~~~~~~っと見せてくるんですよ。

もうね、とにかくしつこい!

そしてアリ・アスタ―映画の嫌なシーンって、そのゴアシーンを我が事として観客が見てしまうような演出をするので、ずっっっとダメージだ残るというか、映画を観終わった後もボディーブローみたいにずっと効き続けるんですよね。

ぶっちゃけこの感想も映画を観て3日経ってやっと書き始めましたけど、ラストシーンを思い出すだけで軽く気持ち悪くなりますからね。まだダメージが抜けきってないですからね。

「ミッドサマー」≒「アナ雪」

本作は、ホラー映画でコロナ禍の公開にも関わらず異例の大ヒットとなっているらしいです。しかも、何故か女性の評価が高いという。

僕なりにその理由を考えてみると、まずゴアシーンが少なくビックリシーンもないのでホラーが苦手な人も見やすいという事が一つ。
そしてもう一つは、主人公ダニーが居場所を得て救われる物語であるという事ではないかと思うんですね。

アリ・アスタ―監督はインタビューで本作を「変態の為の『オズの魔法使い』」「(ダニーにとって)本作はおとぎ話」と語っていますし、ジャンル的には「失恋(恋愛)映画」だとも話しています。

ダニーにとって、彼女が住むアメリカ(現実世界)はとても窮屈で生きづらいし、セラピストもクリスチャンも同級生たちも、彼女の苦しみや不安に共感してくれません。

そんな彼女が本作の舞台であるホルガ村に入るとき、彼女らの乗る車を追いかけるカメラがぐるりと回転する映像があるんですけど、あれは彼女たちが此岸から彼岸、現実から異世界に入ったという演出なんですよね。

ホルガ村は、端からみれば自由もプライバシーもないとんだカルト村なんだけど、ダニーにとっては彼女がずっと欲していた(彼女の感情に)共感してくれる仲間に囲まれたある種のユートピアなわけで、彼女にとって本当の自分でいられる「居場所」であり、それは彼女にとっての「救い」でもあるんですよね。

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それって、ディズニーのアナと雪の女王」と同じテーマじゃないですか。

しかもダニーに共感しないバカな男どもは全員ひどい死に方をするし、彼女を裏ぎったクリスチャンはクマちゃんにされたうえ丸焼きの刑ですよ。
はいスッキリ☆っていうw

そう言えば、あのクリスチャンをクマちゃんにして丸焼きって、ライナスの毛布というか、幼女期に大事にしてたぬいぐるみを成長してもういらない(邪魔)ので燃えるゴミの日に捨てる的なイメージなのかなーなんて思ったんですけど、どうですかね?

ちなみに、本作には劇場公開版とディレクターズカット版があって、ディレクターズカット版では、クリスチャンたちのクズなシーンがたっぷり入っているので、ラストのクマちゃんシーンがよりスッキリ観られるらしいですよ。

興味のある方は是非!

 

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15年に渡るダニエル・クレイグ版ボンド終演「007/ノー・タイム・トゥ・ダイ」(2021)

ぷらすです。

観てきましたよ!

ダニエル・クレイグ最後の007となる『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』をね!

(;゚∀゚)=3ハァハァ

いやー、待ちましたよ!
2020年公開のハズがコロナの所為で3度にわたる公開延期の末、やっとの公開ですからね!

マジで待ちくたびれましたけど、その分、個人的には最後の最後までしっかり楽しめる作品になってました!

ちなみに今回は劇場公開したばかりの作品なので、出来るだけネタバレはしないように気を付けて感想を書きますが、「内容を何も知らずに観たいんじゃーい!」という人は、先に映画館で作品を観てから、この感想を読んで下さいね。

いいですね? 注意しましたよ?

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概要

イギリスの敏腕諜報(ちょうほう)員ジェームズ・ボンドの活躍を描く人気シリーズの第25弾。諜報(ちょうほう)の世界から離れていたボンドが、再び過酷なミッションに挑む。メガホンを取るのはドラマ「TRUE DETECTIVE」シリーズなどのキャリー・フクナガダニエル・クレイグレイフ・ファインズナオミ・ハリスらおなじみの面々が出演し、新たに『ボヘミアン・ラプソディ』などのラミ・マレックらが参加する。(シネマトゥデイより引用)

感想

007というレガシー

007シリーズは、ショーン・コネリー主演で公開された第1作「007は殺しの番号」(原題「Dr. No」)から本作まで、58年間の間に25作品が製作・公開された(イーオン・プロダクションズ製作以外の作品も2作品はノーカンで)大人気長尺シリーズ。
当然、主人公の007ジェームズ・ボンド役の役者も代替わりしてるので、ファンも世代によって見ていたボンドのイメージが違うんですよね。

ちなみに僕はロジャー・ムーア世代で、初代ボンドのショーン・コネリー版はテレビ洋画劇場で何作か見たことがある程度だったりします。

で、ジョージ・レーゼンビーティモシー・ダルトンピアース・ブロスナン版の007は1作も観たことがなくて、ちゃんと作品を追ってたのはロジャー・ムーアの時とダニエル・クレイグ版になってからなので、決して熱心なファンというわけではないんですね。(〃ω〃)>

ただ、6代目ボンドにダニエル・クレイグが決まった時の事は覚えていて、それまで黒髪・青灰色の瞳が特徴だったボンドが金髪碧眼のクレイグに変わることに対してのアンチはかなり多かったし、ぶっちゃけ僕も彼は007っていうより敵キャラっぽいって思いましたしね。

そんな中、「カジノ・ロワイヤル」(2006)で原作のイメージに限りなく近い、寡黙でタフなボンドを演じた彼は、まさに実力でダニエル・クレイグジェームズ・ボンドを世界に認めさせ、そこから「慰めの報酬」(2008)「スカイフォール」(2012)「スペクター」(2015)、そして本作「ノー・タイム・トゥ・ダイ」までの5作品に渡り、新時代のジェームズ・ボンドを演じきってみせたんですね。

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新時代のジェームズボンド

じゃぁ新時代のボンドってなんじゃいって話ですが、ジェームズ・ボンドはそもそも前時代的の恐竜みたいなキャラクターでして、一流の服や装飾品を身につけ、一流の車を乗り回し、世界の名所を回って一流の酒・食事を嗜み、夜な夜な美女とHして、その一方で、任務のためなら女性も道具のように次々使い捨てるっていう非情なスーパースパイでもあります。

そんなスパイ映画であると同時に、海外旅行のハードルが今より高くネットもなかった時代、超カッコいいスパイのジェームズ・ボンドが一流のファッションに身を包んで世界の名所を回り、その土地の美女とのお色気シーンもありっていう、「PLAYBOY」的な役割も担っていたわけです。

もちろんイアン・フレミングの原作小説や、それまでの映画シリーズが公開された1960~90年代までなら通じたそれらの価値観やヒーロー像は、2000年代に入り加速度的に変わりゆく価値観のなかで一気に古臭くなり、世界基準からもズレて通じなくなっていきます。

そこで、ダニエル・クレイグ版007は、(それまでの007の文脈やスタイルは受け継ぎつつ)「スペクター」という敵組織との戦いを縦軸に、これまでのシリーズではあまり描かれてこなかったジェームズ・ボンドという男の感情面や生い立ちにスポットを当てながら、時に必死で泥臭く、時に繊細でナイーブな人間・ジェームズ・ボンドの半生を15年5作品の連続ドラマとして描いたんですね。

前述したように、僕は007シリーズ全作品を追ってるわけではないので断言はできませんが、それまでの007はそれぞれの作品が一話完結のオムニバス的なシリーズで、一人の役者が演じるジェームズ・ボンドというキャラクターのドラマを連続的に描いたのは、このダニエル・クレイグ版が初めてだと思うんですよね。

そんな、ダニエル・クレイグ版007シリーズの集大成と言えるのが本作「ノー・タイム・トゥ・ダイ」なのです。

2時間43分

そんな本作の感想を一言でまとめると、とにかく長い!w
上映時間なんと2時間43分ですよ!

そもそも007のファンは(僕も含め)中高年の人が圧倒的に多いですからね。
途中トイレに立つ人がめっちゃ多かったし、僕は辛うじて最後まで座ってられましたけど、膀胱の容量はギリギリでしたよw

なので、これから本作を観る時は出来るだけ水分を取らない事をおススメします。

ざっくりストーリー紹介(*前作のネタバレあり)

前作でのスペクターとの戦いから5年後、引退しジャマイカで穏やかな日々を過ごしていたボンドのもとに、旧友でもあるCIAエージェントのフェリックス・ライタージェフリー・ライト)が訪れ、誘拐されたロシアの細菌学者ヴァルド・オブルチェフデヴィッド・デンシック)を救い出してほしいと依頼。最初は乗り気ではないボンドでしたが、事件に宿敵スペクターが絡んでいると知ってフェリックスの依頼を受ける――というストーリー。

で、フィリックスからCIAエージェントと会うように言われキューバを訪れたボンドを待っていたのが、この仕事がデビューのCIAエージェントのパロマ(アナ・デ・アルマス)なんですが、なんと彼女はドジっ子なのです!w

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めっちゃ美人な女スパイのパロマですが、初めての任務に緊張してあたふたバタバタ。その様子はまるでマンガのドジっ子みたいでめっちゃ可愛いんですよね。

「へー、007でもこういうマンガ的なキャラが出るようになったか」なんて思いながら微笑ましい気持ちで観てると、敵アジトでのアクションシーンでは一変、ダンスを踊るように優雅なガンアクションをビシッと決める姿がめっちゃカッコよく、序盤のドジっ子キャラとのギャップもあって、すっかりファンになってしまいましたw

まぁ、その後のシーンでは一切出てこないんですけど、彼女主役の番外編とか作って欲しいと思いましたねー。

新007(微ネタバレ)

本作では、引退したボンドに変わってノーミ(ラシャーナ・リンチ)という黒人女性が新007になってるわけですが、個人的にはその扱いがいかにもイマドキのポリコレ的に案じました。

彼女は物語の役割的にボンドが007に復帰するための繋ぎ、そして引き立て役以上のキャラクター的な役割がなくて、ぶっちゃけ彼女が007じゃなくても001だろうが009だろうが物語は成立するんですよ。

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なんていうか、この程度の扱いなら彼女を007にする必要あるかなー?って思ったり。
これは本作に限ったことではないけど、性別・人種的マイノリティーが映画で重要な役を演じる事自体は大賛成ですけど、マイノリティーありきのキャスティングは違うんじゃない?っていう感じ。ラシャーナ・リンチ本人は良い役者さんなだけに、勿体ないなーって思いましたねー。

悪役

予告編でも登場してるのでネタバレにはならないと思うんですが、今回の悪役サフィンを演じるのは、「ボヘミアン・ラプソディ」でフレディ役を演じたラミ・マレックなんですが、正直(悪役として)うっすいなーって思いましたねー。

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基本的にダニエル・クレイグ版007では、スペクターという組織、その首領ブロフェルドクリストフ・ヴァルツ)が終始一貫した敵なんですけど、そのスペクターとの闘いは前作「スペクター」で完結しちゃってるんですよね。
なのでまぁ本作自体が蛇足っていうか、ある種のボーナストラック的要素もあったりするんですが、007を作るからには敵も必要ってことで登場したのがこのサフィンなわけです。

ただ、これは仕方ないことではあるんですが、正直唐突感が否めないっていうか、え、いきなり出てきたあなたはどちら様ですか? っていう。

例えるなら、長年続いたラブコメの最終回で、突然主人公に猛アタックをかける新キャラ登場みたいな。しかもヤンデレでしたっていう。

壊れた能面を被って登場するビジュアルはカッコいいしキャラ設定もイマドキっぽいけど、イマイチ背景が見えてこないというか、彼の目的や、なぜボンドやマドレーヌたちを執拗に狙うのかがイマイチ理解出来ない――っていうか、理解はできるが飲み込みづらいんですよね。

彼の本拠地は北方領土っぽいので、日本かロシアにルーツがあるのかな?
能面被ってるし、庭には枯山水、アジトには畳も敷いてますしね。
まぁ、日系のキャリー・ジョージ・フクナガが監督を務めてるからかもですが。

そういう見た目のインパクトは強いし、彼の武器はある意味最強でもあるんだけど、もう少しストーリー的にも映像的にもキャラ説明が欲しかったなぁって思いました。
でも、それやるとさらに上映時間が伸びるのか。うーん悩ましいw

まとめ

まぁ、そんな感じで色々文句も書いてしまいましたけど、前述したように、基本的には2時間43分めっちゃ楽しみました。

あの賛否の分かれそうな衝撃のラストも個人的には納得だし、ダニエルクレイグ版ボンドの幕引きとしては申し分ないと思いましたしね。

何度も進退に悩みながらも、15年間ジェームズ・ボンド役を完走してくれたダニエル・クレイグにはありがとうしかないし、(ストーリーや設定的にはツッコミどころも多いけど)劇中にはファンには嬉しいイースターエッグや歴代シリーズへのオマージュもふんだんに盛り込まれていて、大・満・足でしたよ!!

興味のある方は是非!!

 

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ノルウェーの伝承を現代的に再解釈「トロール・ハンター」(2012)

ぷらすです。

今回ご紹介するのは、「スケアリーストーリーズ 怖い本」 (2019)や「ジェーン・ドウの解剖」 (2016)のアンドレ・ウーヴレダル監督、2010年の作品『トロール・ハンター』ですよー!

昨日、Amazonレンタルで100円セールしてたので観てみました。

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概要

ノルウェーなどの北欧に住む伝説の妖精トロールの衝撃的な実態に迫った異色映画。取材中にノルウェーで“トロール・ハンター”と出会った学生たちが、ハンターと行動を共にする中で、誰も知らなかったトロールの生態を暴き出す。謎の多いトロール・ハンターを演じるのは、ノルウェーのコメディアンであるオットー・イェスパーセン。サンダンス映画祭など各国の映画祭を席巻した、モンスターのような迫力あるトロールの姿や、ブラック・ユーモアあふれるストーリーや描写は必見だ。(シネマトゥディより引用)

感想

ノルウェーの伝承を現代的に再解釈

本作は、熊の密猟事件を取材していた大学生3人組が密猟者だと睨んだ男を追いかけたら、男は密猟者ではなくトロールハンターで、三人は男と行動を共にしながらトロールの実態に迫っていく――というPOV形式の疑似ドキュメンタリー(モキュメンタリー)です。

トロールとは北欧の民間伝承に登場する妖精で、日本では「ムーミン」や「トトロ」が有名ですよね。

しかし、北欧の伝承に登場するトロールはそんな可愛いものではなくて、森や山をテリトリーにしていて、悪臭を放ち、知能が低く、醜悪な容姿で狂暴なのだとか。
サイズや容姿はさまざまで、本作で登場するヨットナールというトロールはなんと60mもあるんですよね。

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本作では国に雇われて、テリトリーを離れて人畜に害をなすトロールを処分するハンターのハンス(オットー・イェスパーセン)を通して、想像上の妖精トロールノルウェーの在来生物として再解釈、その生態をドキュメンタリー風にみせているのが面白いところなんですね。

肉食性で寿命は1000年から1200年。
例えば頭が3個あるリングルフィンチというトロールの場合、本物の頭は一個だけで残り2個はただの突起物だそうです。
その頭(突起)が立派なほどリングフィンチの中で優れているとされ、それが雌へのセックスアピールにもなっているのだとか。

そんなトロールに共通する弱点が日光(紫外線)で、紫外線を浴びると血管にガスがたまって爆発したり、高齢の場合は身体が骨化するらしいんですね。
だからハンスはトロールに対し、銃火器ではなく強い紫外線を発するライトを武器に戦うのです。

ただ、トロールの生態の一つに、キリスト教徒の匂いを嗅ぎ分け襲い掛かるっていうのがあって、これはキリスト教の伝来によって信仰の対象としての立場を追われた恨みが原因らしいのですが。
この設定、キリスト教圏では常識なのかもだけど、日本人でキリスト教に疎い僕には、ちょっと飲み込みずらいというか、劇中でトロールがどのようにキリスト教徒と非キリスト教徒を嗅ぎ分けてるのか分からないし、生物の生態(設定)として違和感を感じてしまいましたねー。

細やかさと荒さが混在

一方、トロール・ハンターのハンスは、国の機関であるトロール保安機関(TST)からトロール出現の連絡を受けて現場に向かいトロールを狩るんですが、彼が住居にしているトレーラーハウスの電灯には紫外線ライトが取り付けられていて、彼は日焼け止めを塗って紫外線ライトの中で暮らしているわけです。

まぁ、そこはちょっとした笑いのシーンでもあるけど、ハンスの「暗いと眠れない」という一言で、これまでトロールとの闘いの中で彼がどれだけ恐ろしい思いをしてきたかが分かる上手い演出でもあるんですね。

その一方で、トロールが登場するまでのシーンはテンポも悪くて冗長だし、トロールの存在を隠蔽しているハズのTSTの職員が、3人が撮影してるカメラやデーターを取り上げないのもよく分からない。
映像的にもPOV形式を意識してか、繋ぎがやたら荒かったり何がどうなってるか分からないような荒いシーンも多々あったり。

トロールのCG描写がショボいとかもあるけど、それでもデジカメのナイトモードの画面を通すなど、安っぽさを隠そうともったいぶらず、割と序盤からトロールの姿をガンガン見せるのは好感が持てましたねー。

あと、本物のノルウェー大統領の「トロールガス田のこと」について話している演説を、トロールの実在を仄めかす失言に見えるよう切り張りして使うラストシーンなんかは気が利いてるし面白いって思いました。

トータルで見れば映像が安っぽかったり諸々荒かったりする小作品ながら、アンドレ・ウーヴレダル監督の後の作品に通じる一筋縄ではいかない作家性が垣間見える、見ごたえのある作品でした。

興味のある方は是非!!

 

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