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SWの魅力を再発掘したドラマシリーズ「マンダロリアン」感想

ぷらすです。
今回は映画の感想ではないんですが、先日、ディズニープラスのオリジナルドラマ「マンダロリアン」を友達の家で見せてもらったので感想を書こうと思います。

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マンダロリアン

正史9部作の終焉と「マンダロリアン」の登場

1977年(日本では翌78年)公開の第1作を小学校高学年で食らったドンピシャ世代ながら、「スター・ウォーズ」(以降SW)にあまりハマれなかった――という話を、僕はSWシリーズ劇場版の感想を書くたび何度も書いてきたわけですが、改めてその理由を振り返ってみると、SWではなく中心にドンと置かれたスカイウォーカの物語に乗れていなかったんだと思います。

僕は元々、王子や王女、貴族が登場するような西洋史観のファンタジーが苦手だったし、当時はSFも正直あまり好きじゃなくて、SWにはその両方が入ってましたからね。

SW正史(劇場版)では42年間9本の映画に渡ってスカイウォーカー一族の家族喧嘩を延々見せられてきたわけですが、旧3部作/オリジナル・トリロジー(4.5.6)はまだ、どハマりはしないまでもそれなりに楽しん気がするけど、新3部作/プリクエル・トリロジー(1.2.3)はどんなに話が盛り上がっても「でも結局この人は最後ダースベイダーになるんでしょ」って思うと楽しめず。

ルーカスからディズニー体制に移った続3部作/シークエル・トリロジー(7.8.9)に至って、やっと数十年ぶりに物語が前に進んでくれたのは良かったけれど、なんていうかこう……作り手も観客も「SWらしさ」という呪いに掛かっていて、あんなに自由だったSWがひどく窮屈な映画になっていたし、そんな新作を気に入らなかったコアなファンが叩いてる感じもなんだかなーと。

そうなると、一応全作品観てるけど元々そんなにSWにハマれなかった身としてはどこか疎外感があり、それらの周辺状況も含めてちょっと引いてしまうというか、ファンと作り手、ファン同士のゴタゴタも全部含めての大騒ぎがSWなんだろうな……なんて悟ったような事を思っていたわけです。

そして、2019年公開の「エピソード9/スカイウォーカーの夜明け」をもって、予定されていた劇場版SW9部作は幕を閉じたことでやがてファンの熱も冷めるだろうと思われたんですが、僕のTwitterのTLは一向に熱が冷める気配がない。どころか、その熱は時間を追う程に上がっていく。

何だろうと思ったら、「スカイウォーカーの夜明け」公開と前後するように、ディズニー作品専門の配信チャンネル『Disney+』で配信が開始されたSWのスピオフドラマ「マンダロリアン」の評判が回を追うごとに上がっていったんですね。

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主人公交代でSWの魅力が浮き彫りに

「マンダロリアン」はSWシリーズ初となる実写ドラマ作品で、脚本・企画・ショーランナー(現場の総責任者)を「アイアンマン1・2」を手掛けたジョン・ファヴローが務め、SWのアニメシリーズ「クローン・ウォーズ」のデイブ・フィローニや、数多くのTVドラマシリーズを手掛けたリック・ファミュイワ、デボラ・チョウ、「ジョジョ・ラビット」を手掛けたタイカ・ワイティティなど錚々たるメンバーがエピソード監督を担当(デイブ・フローニは製作総指揮も)。

映画「SW・EP6/ジェダイの帰還」から5年後の銀河を舞台に、孤独な賞金稼ぎの"マンダロリアン"が、ヨーダと同種族の赤ん坊の通称ベビー・ヨーダこと”ザ・チャイルド”と共に銀河の星々を旅するというのが物語の大筋で、基本は30分1話完結の8話構成になっているんですね。(エピソードによっては50分だったり40分だったりすることも)

主人公に名前がなく周囲から“マンドー“と呼ばれているのが、クリント・イーストウッド演じるマカロニウエスタンの主人公ジャンゴ(名無し)インスパイアなのは一目瞭然だし、シーズン1では黒沢明の「七人の侍」をリスペクトしたエピソードもあり。また、ベビー・ヨーダとマンドーの、時に親子、時に相棒のような関係性は「子連れ狼」インスパイアなのだとか。

つまり、「マンダロリアン」とは銀河の辺境を舞台にした西部劇で、それはスペースオペラとしてのSW”への原点回帰とも言えるし、シリーズの中心にあったスカイウォーカー家がスッポリ抜けた代わりに、”名無し”のオリジナルキャラを主人公に据えたことで、彼を通してSWのもう一つの大きな魅力である「多様性溢れる世界観」が浮き彫りになったのです。

“あの時“のワクワクを再現

ところで、SWに詳しくない人は「そもそもマンダロリアンって何?」って思うかもしれません。
マンダロリアンはSW/EP5~6に登場。ファンの人気を得て、その後アニメシリーズや小説にもたびたびメインで登場する人気のキャラクター、ボバ・フェットのビジュアルでもお馴染みの、ライトセイバーでも斬ることが出来ない最強の金属ベスカーで作られ、ミサイルや火炎放射器などを仕込んだ鎧やヘルメットに身を包む戦闘民族の総称

過去の大きな戦争で故郷の星と、多くの同胞を失った彼らの生き残りは銀河に散らばっていて、その高い戦闘能力を活かして傭兵や賞金稼ぎで生計を立てているらしいんですね。(僕はこの辺の設定に詳しくないので端折ります)

主人公のマンドーも惑星ネヴァロのギルドに所属している賞金稼ぎですが、SW/EP6で新銀河共和国が帝国側に勝利したことで仕事が激減。
マンドーは裏の仕事と知りながら帝国の残党から50歳の要人を捕獲するという依頼を引き受けるのです。

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ところが辺境の星で捕らえた獲物は確かに50歳ではあるけど、あのヨーダと同種族の幼児(ザ・チャイルド)だったんですね。
自身も孤児でマンダロリアンに拾われた過去を持つマンドーは、依頼を果たすべくザ・チャイルドを連れて惑星ネヴァロを目指すも、同じ境遇のザ・チャイルドに徐々に情が移っていき――というのがシーズン1のあらすじ。

全8話のストーリーの中で、SW劇場版で人気のキャラクターやマシン、武器などが次々に登場するだけでなく、映画ではチョットしか登場しないようなキャラクターたちの生態?や生活様式などが、マンドーやザ・チャイルドとの関わりの中で深掘り――というか、むしろ掘り返されることで、SW正史とは似て非なる新たな表情を見せてるのです。

それは1977年の「SW/EP4新たなる希望」が世界中のファンを虜にしたのと同じ、スペースオペラならではの世界観の面白さや、マシンや武器のディテールのカッコよさにワクワクした“あの時”の再現でもあり、それこそが「マンダロリアン」がファンのみならず、SWに乗れなかった人や、SWを知らない新規ファンをも取り込んでいる理由なのです。

僕自身、「マンダロリアン」を観て初めて、多くのファンがSWに熱狂する(面白さの)理由がやっと分かったんですよね。

「なるほど、こういう事なのかー!( ゚д゚)」ってw

さらにシーズン2では、正史(映画版)に留まらず、コミック、小説、アニメーションシリーズなどで人気のキャラクターも登場して、その世界観を更に拡張。続くシーズン3の制作も決定しているようなので、これからどうなっていくのかが今から超楽しみです!(;゚∀゚)=3ハァハァ

そして、第1作から42年ぶりに僕にSWの面白さ、楽しさを教えてくれたジョン・ファヴローとデイブ・フローニには、心から「ありがとう」と言いたいですよ!

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B級要素全部乗せ「スカイ・シャーク」(2021)※R-18

ぷらすです。

今回ご紹介するのは、「未体験ゾーンの映画たち2021」で上映されたドイツ映画『スカイ・シャーク』ですよー!

サメ・ナチス・ゾンビというB級映画の三大要素全部盛り(+裸)という、「美味しいもの+美味しいもの=超美味しいもの」っていうバカのご馳走理論で作られた作品です。

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画像出展元URL:http://eiga.com

概要

現代によみがえったナチスのゾンビ軍団が空飛ぶサメを操って世界を襲う姿を描いたドイツ製パニックアクション。フランクフルト行きの飛行機が、飛行中に外部からの襲撃を受ける大惨事が発生。同じ頃、北極でナチス第三帝国の巨大な戦艦が発見される。戦艦の中には、かつてナチスが開発した極秘兵器が眠っていた。それは、遺伝子改変された超人ゾンビたちが操るサメの戦闘機で、世界各国の都市を襲い始める。70年前にこの兵器の開発に携わったリヒター博士と2人の娘たちは、世界を救うべく立ち上がるが……。「ゾンビ」「13日の金曜日」などの特殊メイクアーティスト、トム・サビーニが特殊効果のスーパーバイザーとして参加。ヒューマントラストシネマ渋谷&シネ・リーブル梅田で開催の「未体験ゾーンの映画たち2021」上映作品。(映画.comより引用)

感想

バカのご馳走理論で作られた出オチ映画

本作は、サメ・ナチス・ゾンビ+ちょっとエロっていう、まさにB級要素全部盛りのザ・B級映画です。

豚カツ、ピラフ、スパゲティを一つの皿に盛った『トルコライス』を筆頭に、オムライス+カツの『ボルガライス』、オムライス+フィッシュフライ+タルタルソースの『ハントンライス』、ケチャップライスまたはバターライスにポークカツを乗せてドミグラスソースを掛けた『エスカロップ』などなど、「美味しいもの+美味しいもの=超美味しいもの」という、いわゆるバカのご馳走理論で作られたB級グルメは枚挙にいとまがないですが、それらの料理と違って、残念ながら本作の場合サメ・ナチス・ゾンビというB級映画三大要素を全部盛ってみたけどそれぞれの美味しさがまったく活かされてないっていう、非常に残念な作品になってるんですね。

フランクフルト行きの航空機には空の旅に飽きた娘とその父親や、アジア系酔っ払い親父、飛行機恐怖症のシスターと元ギャングの神父などなど、あの航空機パニック映画「エアポート」シリーズをオマージュしたと思われるグランドホテル方式の冒頭シーンは、これから起こる惨劇を予感させるし、その飛行機をサメに乗ったゾンビのナチ兵が襲うシーンのゴア描写もド派手で、「お、これは面白くなるんじゃないの!?」と期待させるんだけど、残念ながらこの冒頭シーンが本作最大の山場。

その後は、北極の氷の中に閉じ込められたナチスの戦艦をたまたま発見した主人公?が調査に入るシーンや、中盤に航空機の乗客大虐殺パート2など、多少の見どころはあるものの、予算の都合か、それとも単純に作劇が下手なのか、なぜナチスのゾンビ兵士が復活したのか(地球温暖化で北極の氷が融けたから)とか、そもそもナチスゾンビや空飛ぶサメは誰が作ったのかなど、この作品の設定を延々説明するだけのシーンが続くっていう、この手のB級映画にありがちなグダグダで退屈な展開になっていくんですね。(やたら説明したがるのはドイツ人気質なのかしらん?)

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画像出展元URL:http://eiga.com

あと、カットとカットの繋ぎも上手くなくて、冒頭でも「え、そのカットいる?」っていう映像が多く、そのせいで全体のテンポが悪くなってたり。

ナチス+ゾンビ+(空飛ぶ)サメなんて、素材だけ見れば絶対美味しくなるハズなんだけど、残念ながら料理人の腕とセンスが圧倒的に足りてなかったっていう感じでしたねー。

とはいえ、本作には特殊効果のスーパーバイザーとして、『13日の金曜日』シリーズ(1980年ほか)で知られる、あのトム・サヴィーニ御大が参加していて、なのでナチスゾンビによる大虐殺シーンは基本的に迫力満点だったりするし、サメやナチスゾンビのビジュアルデザインはところどころ無駄にカッコいいので、そこだけでも観る価値はあるかもしれません。

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画像出展元URL:http://eiga.comR-18

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最新作のハズが最終作に……「ニュー・ミュータント」(2020)*日本ではビデオスルー

ぷらすです。

今回ご紹介するのは、20世紀フォックスの「X-MEN」シリーズ最新作のハズが、ディズニーの買収やらコロナの大流行によって公開延期に次ぐ延期の末、日本では結局ビデオスルーになってしまった不運の1本、『ニュー・ミュータント』ですよー!

ぶっちゃけX-MENシリーズとしては低予算の小作品だけど、個人的には結構面白かったですねー。

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画像出展元URL:http://eiga.com

概要

マーベルコミック原作の人気シリーズ「X-MEN」のスピンオフとなるSFアクション。自らの特殊能力をまだうまく扱うことができないミュータントの若者たちが、過酷な運命に立ち向かっていく姿を描く。未熟さゆえに特殊能力を制御できず、つらい過去を背負った5人の若者。極秘施設で訓練を受ける彼らの前に突如謎のモンスターが出現。恐怖で錯乱する中、さらなる危機が訪れる。自身の未知数の能力に戸惑いながらも仲間とともに運命を切り開いていこうとする主人公ダニを新星ブルー・ハントが演じるほか、勝ち気な性格で5人のリーダー的存在のイリアナ役にNetflixドラマ「クイーンズ・ギャンビット」で注目されるアニヤ・テイラー=ジョイ、ダニの良き理解者でもあるレイン役に「ゲーム・オブ・スローンズ」のメイジー・ウィリアムズなど、注目の若手俳優がそろう。監督は「きっと、星のせいじゃない。」のジョシュ・ブーン。(映画.comより引用)

感想

シリーズ最新作のはずが最終作に

この作品の原作は、マーベルコミック「X-MEN」シリーズの人気スピンオフ?作品「The New Mutants」で、自らの能力をコントロール出来ない5人の若者がミュータントとして過酷な運命に立ち向かう青春物語。

そんな原作コミックを「X-MEN」シリーズや「デッドプール」シリーズを大ヒットさせたサイモン・キンバーグとローレン・シュラー・ドナーが手掛け、実話ベースの感動作「きっと、星のせいじゃない。」のジョシュ・ブーンが監督。

ネイティブアメリカンの主人公ダニ役には本作が映画デビューとなるブルー・ハント

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画像出展元URL:http://eiga.com

最初はダニと敵対するセクシーな少女イリアナ役に「スプリット」と続編「ミスター・ガラス」のケイシー役で注目を集めたアニャ・テイラー=ジョイ

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ダニの親友となるレイン役に、「ゲーム・オブ・スローンズ」シリーズのメイジー・ウィリアムズ

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画像出展元URL:http://eiga.com 写真左

炭鉱での事故によって心に深い傷を負い、自分を変えたいと願うサム役にドラマ「ストレンジャー・シングス 未知の世界」シリーズのチャーリー・ヒートン

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しっかり者に見えて実は気弱なロベルト役にドラマ「13の理由」(シーズン1)のヘンリー・ザガ。と、新進気鋭の監督&人気若手俳優が揃った豪華な布陣で制作が始まったんですね。

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ストーリーはミュータントの能力をコントロールできるまで街から遠く離れた”病院で治療中”の若者5人が、過酷な現実を乗り越えるまでの成長を描く本作は、「X-MEN」シリーズ13作目として全世界で公開されるハズでしたが、前述したように、本作を制作中に20世紀フォックスがディズニーに買収されたためシリーズ最終作に。

しかも新型コロナウイルスの影響による映画館の閉鎖が重なり2018年4月13日公開の予定が、2019年2月22日、同8月2日、2020年4月3日と変更され、最終的に2020年8月28日まで延期。
日本では結局劇場公開はされず、X-MENシリーズとしては初のビデオスルーになってしまうという、まさに不運としか言いようのない作品になってしまったのです。

同じ世界観の別作品として観れば

シリーズ作品としてはこれまでの作品と比べて明らかに低予算だし、登場人物は上記の5人+彼らを“管理・治療”する医師、セシリア(アリシー・ブラガ)のみ。

舞台は人里離れた“病院“の中だけという小作品なのでファンには物足りないかもだけど、X-MENと同ユニバースの別作品(X-MENの設定を活かした青春映画)だと思って観れば、ストーリーやテーマ性もまとまっていて、個人的には結構面白かったです。

ただまぁ、本作の売り文句として「(X-MEN)シリーズ初のホラー」ってのがあるんですが………まぁ、全く怖くはないよねw

フォックスとしては本作を「青春ホラー」として売り出したかったらしいんですが、ジョシュ監督は「青春ダークファンタジー」にしちゃったもんでちょっと揉めたらしいですね。(まぁ、ダークファンタジーとしてもかなりヌルいけど)

多分、監督はホラーとかヒーローとか全く興味がなくて、なのでファンタジーがギリ妥協できるラインだったのかもしれません。

とはいえ、ミュータントの能力を成長期の不安定でコントロール不能な心のメタファーとして描き、その背景にある大人(男)の理不尽な暴力によって負った心の傷を脚本と映像で匂わせるなど、(別に目新しくはないけど)良い部分も結構あったりするし、何より94分と近年の映画としては非常にコンパクトに物語がまとまっていて見やすいのも個人的には良かったと思いますねー。

あと、主人公役のブルー・ハントは森泉さんに超似てると思いました。

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知らない世界を知る喜びに満ちた良作「ようこそ映画音響の世界へ 」(2019)

ぷらすです。

今回ご紹介するのは、映画“音響“にスポットを当てたドキュメンタリー映画ようこそ映画音響の世界へ 』ですよー!

僕は映画製作やメイキング系のドキュメンタリーは色々観ている方だと思うんですが、音響にスポットを当てた作品は本作が初めてなんじゃないかと思いますねー。

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画像出展元URL:http://eiga.com

概要

ハリウッドの映画音響の世界に迫るドキュメンタリー。劇中の登場人物のセリフをはじめ、映画音楽や環境音など、映画にまつわるさまざまな音に光を当てる。ジョージ・ルーカススティーヴン・スピルバーグソフィア・コッポラクリストファー・ノーランアルフォンソ・キュアロンら映画監督のほか、『E.T.』『インディ・ジョーンズ/最後の聖戦』でアカデミー賞音響効果編集賞を受賞したベン・バートや、『イングリッシュ・ペイシェント』で第69回アカデミー賞音響賞を受賞したウォルター・マーチらも出演している。(シネマトゥデイより引用)

感想

”音響“にスポットを当てて映画の歴史を語る良作ドキュメンタリー

実は僕は、映画のDVDやブルーレイの映像特典でメイキングが入ってると絶対観てしまう「メイキングフェチ」でして。

子供の頃に公開された「スター・ウォーズエピソード4」も、本編よりむしろメイキング映像で構成されたテレビ番組(ビデオ?)?の方が大好きで、以来、SFやホラー映画のメイキングを見まくるようになってしまったんですよね。
まぁ、近年は特殊撮影もSFXからVFXに移ってしまって、面白いメイキング映像は減ってしまいましたけども。

でも、それらのメイキング映像でも「音楽」までは紹介されてるけど「音響」となると紹介されることは殆どなくて、テレビの特集で小豆を入れたデカいザルを揺らして海の波の音を作るみたいな効果音の紹介がたまーーーーーーーにされるくらい。

つまり映画製作の中でも、一番謎のベールに包まれているのが「音響」の仕事なんですよね。

本作ではそんな映画音響の世界を物語を盛り上げる役者の“セリフ”、映画にリアリティーと迫力を持たせる“効果音”、観客の感情を高めていく“音楽”に分解して、それぞれの技術発展を新旧の名作と、そこに関わってきた著名な映画人たちへの取材を通して描き出していくんですね。

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映画はエジソンが蓄音機(録音媒体)を発明するところからスタート。
オーケストラが映像に合わせて生演奏していた無声映画時代、フィルムに記録された音を同時に再生する“サウンドトラック“の誕生、モノラルからステレオ、さらに立体的なサラウンドへと表現域を拡げていく技術の進歩と並行して、撮影現場でのセリフの同時録音からノイズを取り除き、聞こえにくいセリフをスタジオで録音するアフレコ。

SF映画では電子音で音をつけるのが普通だった時代に動物の鳴き声や自然の音を録音・加工して効果音に使った「スター・ウォーズ」、ジェット戦闘機の音に猛獣の鳴き声を合成して本物以上の迫力を出した「トップ・ガン」など、誰もが知るメジャーな映画の「音」を解説。

また、映画に詳しいマニアでも誤解しがちなドルビーステレオの起点が「スター・ウォーズ」ではなく「スター誕生」であることを主演/製作総指揮のバーブラ・ストライサンドに証言を基に紹介しているんですね。

技術の進化と並行して映像技術が進歩するように音響技術もまた時代と共に進歩、観客に驚きと感動を与えていることが分かります。

例えば本作では取り上げられてないけど、スラッシャーホラーの先駆けとなったトビー・フーパ―監督の「悪魔のいけにえ」は、実は思ってるより残酷描写は少なくて、恐怖のメインは鉄扉の閉まる音やレザー・フェイスが振り回すチェーンソーなどの音の演出なんですよね。

またコッポラの「地獄の黙示録」以降、5.1chサラウンドの音響によって立体化された音が映画の迫力を増しているのは、映画館で映画を観る人なら良くご存じなのではないでしょうか。

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つまり、観客が感動する映画、ヒットする映画の多くは、映像や役者(演技)だけでなく音楽や音響も素晴らしいし、一流の映画監督は映画における音の大切さをよく分かっているんですよね。

とはいえ、かなりマニアックな内容なので映画製作に興味のない人は楽しめないと思うかもですが、「知らない世界を知る喜び」が本作には満ちていて、映画の舞台裏に興味のある人もそうでない人も楽しめる、ドキュメンタリーの良作だと個人的には思いましたよ。

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映像特典のメイキングになるハズが……「ロスト・イン・ラ・マンチャ」(2001)

ぷらすです。

今回ご紹介するのは、鬼才、テリー・ギリアム監督が制作を熱望した作品「ドン・キホーテを殺した男」の準備から挫折までを追ったドキュメンタリー『ロスト・イン・ラマンチャ』ですよー!

ギリアムは19年間の間に9回「ドン・キホーテ~」の映画化に挑戦しては失敗してて、公式サイトでは映画史に刻まれる呪われた企画と銘打たれてるらしいんですが、本作はその第1回目の挫折の様子を追ったドキュメンタリー作品です。

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画像出展元URL:https://www.amazon.co.jp/

概要

テリー・ギリアム監督が次回作「ドン・キホーテを殺した男」の準備に取り掛かったとき、キース・フルトンルイス・ペペはギリアム監督からメイキングの製作を依頼される。やがて2000年秋、ヨーロッパ資本としてはかつてない規模の本作はついに主演のジョニー・デップをはじめヴァネッサ・パラディジャン・ロシュフォールら出演者が顔を揃え撮影を開始した。ところが、撮影は上空を飛び交うNATOの戦闘機の騒音に邪魔されてしまう。さらに、ロシュフォールの病気降板、豪雨によるセットの崩壊という事態が追い討ちを掛けるのだった…。(allcinema ONLINE より引用)

感想

テリー・ギリアムとは

テリー・ギリアムは大学卒業後、広告代理店を経て雑誌「ヘルプ!」の編集者に。
その傍らコミック・ストリップ(新聞の1コマ漫画)家やアニメーターとしても活動を始め、1960年代半ばにはイギリスに渡ってイラストレーターとして活躍。
やがてイギリスの伝説的コントグループモンティ・パイソン」唯一のアメリカ人メンバーとして出演の他、主にアニメーションを担当しています。

1975年には、映画「モンティ・パイソン・アンド・ホーリー・グレイル」で(テリー・ジョーンズと共同監督)商業映画デビュー。
1977年、初の単独監督作「ジャバーウォッキー」を手掛け、以降「未来世紀ブラジル」「12モンキーズ 」「ゼロの未来 」など、監督としては比較的寡作ながら、独特な世界観の前衛的なビジュアルやストーリーで、映画マニアの間ではカリスマ的人気を誇る監督なんですね。

しかし、そんなファンとハリウッドの評価は比例せず、ギリアムの独創的な発想は他者に理解されづらく、ゆえに思うように映画を撮れない事も多いらしいんですね。
特に、口先だけの無能なプロデューサー・トーマス・シューリーと組んでしまったことで当初の予算2,000万ドルが最終的には4,600万ドル強に膨れ上がり、史上最大の失敗作と言われた「バロン」(1989)の後、手に負えない監督の烙印を押されたギリアムは新たな企画の立ち上げは不可能に近くなってしまったんですね。

映像特典のメイキングになるハズが……

そんな中企画された「ドン・キホーテ~」はハリウッドでは企画が通らず、欧州で撮影することになったんだとか。
しかし予算は3120万ドルとハリウッド資本とは比べ物にならないほど低く、撮影前の準備段階から作品には暗雲が立ち込めます。

それでも主演のトビー役にジョニー・デップ、ヒロイン役にヴァネッサ・パラディ、そしてドン・キホーテ役には名優ジャン・ロシュフォールを迎え、何とかスペインマドリードでの撮影開始に漕ぎつけたものの、撮影場所がNATOの軍事演習場のすぐ近くだったことから上空をF-16 が飛び回り、翌日には予期せぬ大雨によって現場が洪水に。セットや機材が流されるだけでなく、洪水によって景観や色合いも変わってしまったんですね。
さらに、ジャン・ロシュフォールの腰痛が悪化。椎間板ヘルニアの診断が下され撮影は不可能、映画は完全に頓挫してしまったのです。

本作では最初はノリノリだったギリアムが、度重なるアクシデントで徐々に追い詰められ、そしてとうとう心が折れるまでの様子を追っているわけですが、そもそもこのフィルムは、「ドン・キホーテを殺した男(The Man Who Killed Don Quixote)」のDVDやブルーレイに入る映像特典のメイキングフィルム用に撮影していたフィルムなので、正直事情を知らない人が観ても「何のこっちゃ?」な内容でしてね。

結果、テリー・ギリアムの執念によって2019年「The Man Who Killed Don Quixote(邦題:テリー・ギリアムドン・キホーテ)」が完成、公開されたことでこの企画を巡る一連の騒動と、その様子を記録した本作が再注目を浴びる事になるわけですが、本作単体ではドキュメンタリーとしてはいかにも物足りなく、事情を知るコアなファンしかみないマニアックな珍品止まりだったと思うんですよね。

もっと当時の関係者へのインタビューや後の様子を追加撮影するなどして、一連の騒動を立体的に描き出し、事情を知らない人でも本作を観れば事の一部始終を理解できるようなドキュメンタリーにしていれば、映画史的傑作ドキュメンタリーになっていたかも

しれなかっただけに、単純に残念だと思いましたねー。

まぁ、「テリー・ギリアムドン・キホーテ」の方も評価はかなり分かれていると聞くので、本作と合わせて観て丁度いい感じなのかもしれません。

興味のある方は是非!!

 

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引き継ぐべきはソコじゃないw「ディープ・ブルー3」(2020)

ぷらすです。

今回ご紹介するのは、1999年に第1作が公開されるや、その斬新な設定や豪華キャストでサメ映画ファンを歓喜させた「ディープ・ブルー」のシリーズ第3弾となる『ディープ・ブルー』ですよー!
実は僕は、第1作だけ観て2作目は未見の状態で本作を観たんですが、全く問題なく楽しむことが出来ましたねー(´∀`)

ちなみにこの映画、ネタバレしても面白さにまったく影響しないと思うので、今回はネタバレを気にせず感想を書きたいと思います。
なので、ネタバレはイヤン!っていう人は、先に映画を観てからこの感想を読んでくださいね。
いいですね? 注意しましたよ?

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画像出展元URL:https://www.amazon.co.jp/

概要

1999年に製作・公開されたレニー・ハーリン監督による「ディープ・ブルー」、2018年に19年ぶりの続編として製作された第2作「ディープ・ブルー2」に続く、巨大人喰いサメの恐怖を描いたパニックアクションのシリーズ第3作。沖合に浮かぶ人工の島「小さな楽園(リトル・ハッピー)」では、エマ・コリンズ博士率いる研究チームが繁殖にやってくるホホジロザメの生態を観察していた。自然の恵み豊かな島で研究チームは平穏な日々を過ごしていたが、そこへエマの元恋人がやってきたことで思わぬ変化が訪れる。彼は3匹の人喰いオオメジロザメを追っており、しかもそのサメたちは遺伝子操作によって高い知能を得た危険なサメを母に持ち、子どもたちもまた殺しの遺伝子を受け継いでいた。主演はテレビシリーズ「LOST」などに出演したタニア・レイモンド。日本の人気双子タレントで女優としても活躍する蒼れいながメインキャストとして参加し、ハリウッドデビューを飾った。(映画.comより引用)

感想

ディープ・ブルーとは

まず、まったく知らない人の為に「ディープ・ブルー」がどういう物語かを説明すると、ある製薬企業がアルツハイマーの特効薬研究のためアオザメで実験したら、サメの頭が超よくなって研究者たちを次々に襲い始めてさぁ大変――という物語。

まぁ、神の領域に手を出してしまった人間がとんでもない化け物を生み出してしまうって物語はそれこそ星の数ほどあるわけですが、それをサメでやるってのが(当時としては)新しかったし、(当時としては)最先端のCGとアニマトロニクスを組み合わせた(サメ映画としては)かなりのビックバジェット映画であったことも話題になった記憶がありますねー。

ちなみに、第1作から19年後に制作された第2作では、1作目の“事故“によって一度は中止になった研究を製薬会社の大富豪が再開させたら再び大惨事になるという内容で、今回の第3作では前作で逃げた実験体から生まれた子供たち、サメの研究をしている学者チーム、逃げたサメを追うハンターチームの三者による戦いが繰り広げられるという内容になってるんですねー。

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想像以上に

近年サメ映画と言えば、アサイラム社のように超低予算、ショボいCGと名も知らぬ役者、サメ大喜利のような企画やタイトルだで客の興味を引く劇場公開しない「テレビ映画」が目立ちますが、一方で「海底47m」「MEG ザ・モンスター」「ロスト・バケーション」といったビックバジェット……と言う程ではないけど、しっかり予算をかけた正統派?の劇場用サメ映画も定期的に公開されていて、本作もビックバジェットと言う程の規模ではない…というかかなりの低予算映画ではあるけれど、舞台となる孤島のセットをしっかり組んでいたり、サメのCGもそこそこクオリティーが高かったりして、少なくとも映像の方はそれなりに見ごたえのある状態でしたねー。
いや、僕がアサイラムに慣れ過ぎてるからそう感じるのかもですがw

まぁその分、キャストの方は僕の知らない役者さんばかりだし、登場人数もかなり少なめでしたけどね。

日本人キャスト

そんな本作が日本で話題になった理由の一つが、日本人女優の蒼れいながキャスティングされていたこと。

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恥ずかしながら僕は蒼れいなさんを知らなかったんですが、姉の蒼あんなさんと活躍されている双子の女優・タレントの妹さんで、台湾の女性アイドルグループのメンバーとしても活躍されているのだとか。

英語も堪能なようで、英語の全く分からない僕が聞くかぎりでは他のキャストとの英語のやりとりも特に遜色なく、芝居の方も頑張っていましたねー。

今は、アジア系の俳優たちもどんどんハリウッドに進出しているし、彼女もこの作品を足掛かりに活躍して欲しいです。

ディープ・ブルー」の遺伝子

ディープ・ブルー」シリーズには独自のある”お約束”があって、それは良い事を言ったり、良い行動をした人は次の瞬間サメに食われるというもの。

第1作では、みんな大好きサミュエル・L・ジャクソン演じる製薬会社の社長が、内輪もめをしているメンバーに団結するよう大演説をぶった次の瞬間、頭からサメにパックン食べられるという大爆笑シーンがあるんですが、本作ではサメ学者で主人公のエマ(タニア・レイモンド)の元カレでサメハンターのリチャードナサニエル・ブゾリック)が、仲間の非人道的な手口に嫌気がさして船から海に飛び込んだその空中で、ジャンピングしたサメに頭からパクっと食べられるというシーンがあり、僕は観てないけど多分2作目でも良いことを言った瞬間にサメに食われたヤツがいるんでしょう。

っていうか、引き継ぐのソコ!?って言うねw

トータルそこそこ

まぁそんな感じで、映像の方は前述した通りちゃんとセットを組んでCGもまぁまぁのクオリティーだったし、クライマックスではセットを爆破したり燃やしたりとド派手な演出やアクションも見ごたえがあり、ストーリーの方も要所要所しっかり伏線と回収がされてたりして想像以上に見ごたえはあったんですが、難を言えば本作の悪役ルーカスの行動が突飛に見えたことですかね。

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まぁ、そこに至るフリは前半部分で行われているんだけど、それにしてもいきなりエマグループを皆殺しにしようとしたり、元々沈みかけとはいえ爆弾を仕掛けて島を沈めようとするとか、いくら何でも唐突だし後先考えずにやり過ぎじゃね?っていう印象。

あと、ルーカスたちの悪行が目立ちすぎてサメが脇に追いやられた感じなのも若干残念ポイントでしたねー。

でもまぁ、観てる間は楽しいし、映像、ストーリーをトータルで考えればそこそこ面白かったと思いましたよ。

興味のある方は是非!

 

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完璧な完結「シン・エヴァンゲリオン劇場版:||」(2021)

ぷらすです。

観てきましたよ!
公開初日に『シン・エヴァンゲリオン劇場版:||』をね!!(*゚∀゚)=3

僕の行ったシネコンでは初回が朝7時から3スクリーンを使っての上映で、なんなら地元のバスの本数よりも1日の上映回数の方が多かったですが、月曜日にもかかわらずビックリするくらいのお客さんが入ってましたねー。

というわけで、まだ劇場公開したばかりの作品でもあるので、ストーリー的なネタバレは出来る限りしないよう注意して感想を書きますが、それでもまったく内容に触れないわけにはいかないので、まだ本作を未見でこれから観に行く予定の方は、先に映画を観てからこの感想を読んでくださいね。

いいですね? 注意しましたよ?

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概要

1990年代に社会現象を巻き起こしたアニメシリーズで、2007年からは『新劇場版』シリーズとして再始動した4部作の最終作となるアニメーション。汎用型ヒト型決戦兵器 人造人間エヴァンゲリオンに搭乗した碇シンジ綾波レイ式波・アスカ・ラングレー真希波・マリ・イラストリアスたちが謎の敵「使徒」と戦う姿が描かれる。総監督は、本シリーズのほか『シン・ゴジラ』なども手掛けてきた庵野秀明。(シネマトゥディより引用)

感想

完璧な完結

1995年放映のテレビ版がスタートし、1997年公開の旧劇場版2作を経て、2007年公開の新劇場版:序が公開されてから14年。

新作が公開されるたびに社会現象を巻き起こしてきた「エヴァ」が、コロナ禍の2021年に一度は公開を延期しての3月8日、突然公開された本作「シン・エヴァンゲリオン劇場版:||」をもって、ついに26年の歴史に幕を閉じました。

僕はエヴァをリアルタイムで追っていたわけではなく、旧劇場版2作が公開されたあとDVDでテレビ版から後追いで観始めたんですが、最初はTV版のトウジが乗ったエヴァ3号機をシンジが乗った初号機がアレする回で一度挫折して、それから新劇場版公開のタイミングでもう一度観始め、旧劇場版まで一気見したんですよね。

僕が最初エヴァにハマらなかった理由は、劇中で庵野監督の明らかな悪意みたいなものを感じたから。
最初にオタクが大好きな餌を巻いて、寄ってきたオタクをまとめてタコ殴りにするっていう、あの悪意たっぷりな演出がね。うん。
まぁ、僕がエヴァを観たのは大人になってからですからね。
これが中学生くらいで食らってたらどっぷりハマっていたかもしれません。

で、その後「新劇場版:序」が公開されたので観に行ったら「あれれ?」と。
基本的にはテレビ版と同じストーリーだけど、シンジ君が幾分前向きだったし作品のテンポも非常にいい感じ。
続く「~:破」もストーリーがテンポ良く進み、そしてラストのアレがアレで。

で、問題の「:Q」ですよ。
Qを見て僕は「あ、また庵野さんの病気が始まった」って思ったし、なので本作も「またぞろ旧劇場版みたいに有耶無耶になるかも」と、それなりに覚悟していたんですよね。

ところが!実際に観たら、これ以上ないくらい完璧に完結していたし、これまでのテレビ版や旧劇場版の流れも全部盛り込みながら、全てを収まるべき場所に収めて見せたという。まさに映画作家庵野秀明の集大成と言える見事な作品でしたねー。

むしろ、あまりにも綺麗に収まり過ぎたゆえに一部のファンからは「こんなのエヴァじゃない!」という批判が出るかもと思ったくらいですよ。
でも僕から見ると本作は、庵野さんが26年の地獄めぐりの末にやっと“このエンディングを描ける(受け入れる)まで”に成長した証って思ったんですよね。

庵野秀明私小説

庵野秀明は自分が触れてきたあらゆるコンテンツを自作品に引用するという90年代を代表するミクスチャーでありながら、どんな作品を作っても結局は私小説にしてしまう強い作家性を持つ監督で、そんな彼の代表作が「エヴァンゲリオン」です。

1995年当初は主人公碇シンジに自分を重ねながら物語を紡いできた庵野さんでしたが、年齢と経験を重ねるうち徐々にシンジには乗れなくなっていき、なので新劇場版では父親である碇ゲンドウや冬月の中に庵野さんの影が見え隠れするようになってます。

それは自身の境遇や父親との関係を主人公ルークに落とし込んで描き、社会現象を引き起こした「スター・ウォーズ」の生みの親ジョージ・ルーカスが、プリクエル・トリロジー(1~3の新三部作)ではルークの父親で後のダースベーダーに堕ちるアナキン・スカイウォーカーに自身を重ねて描いたのに近いかもしれません。

14歳の少年シンジという器は、様々な経験を重ね大人になった庵野さんには狭すぎて、だから本作でシンジが成長するのは必然だし、成長したシンジ(=現在の庵野秀明)が、ゲンドウ(=過去のシンジ=過去の庵野秀明)と向き合って受け入れる物語になったと思んですよね。

結局のところ「エヴァンゲリオン」という物語はどこまで行っても作家・庵野秀明私小説なのです。

そして、そう考えれば新劇場版から何の説明もなく突然現れ、本作でも重要な役割を果たした真希波・マリ・イラストリアスの正体にも察しが付くし、あのラストシーンにも納得なんじゃないでしょうか。

3.11以降

3.11東日本大震災は日本に住む多くのクリエイターに大きな衝撃と影響を与えました。
庵野さんも2016年の「シン・ゴジラ」では、福島原発(事故)のメタファーとしてゴジラを描いています。

そして、本作でも3.11の大震災や津波を連想させる描写があるのは決して偶然ではないと思うし、中盤でシンジ・アスカ・レイが身を寄せる集落がどこか避難所や仮設住宅を連想させるのも意図的なんじゃないかと。

絶望的状況の中でもコミュニティーを作って力強く生きる人々の「生活」の描写は一見ジブリ的――というか宮崎駿的に見えますが、宮崎さんが描く“郷愁“としての「生活」とは真逆で、庵野さんはこの集落の人々の生活やコミュニティーの在り方を、これからの日本人のあるべき姿として描いているように僕は感じたんですよね。

これまでエヴァの中で「個」と「セカイ」を直結させてきた庵野さんが、最後のエヴァで社会と世界を描いてみせたこのシーンは、まさに本作の白眉だったと個人的には思いましたねー。

まぁ、過去最長155分の上映時間で膀胱は限界ギリギリで腰も痛かったし、久しぶりに見た映画館の大画面で冒頭から視点がグルングルン回るカメラワークは画面酔い必至だったし、物語的にも「いくら何でも全部セリフで説明し過ぎじゃね?」とは思いましたが、そんな事は庵野さんも承知の上で、けれど本作で完全にエヴァと決別するためには、野暮を承知でここまでやる必要があったんだろうなーと思いましたよ。

そして、庵野さんがそこまでやってくれたからこそ、僕も後顧の憂いなく「シン・ウルトラマン」やこれからの庵野秀明の新作を楽しみに出来ます!

まだまだ言いたい事も言い足りない事も沢山ありますが、取り合えず今はエヴァンゲリオンを完璧な形で完結させてくれた庵野秀明監督に「お疲れ様」と「ありがとう」を。

興味のある方は是非!!!

 

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