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この映画ヤバい!「ジョーカー」(2019)

ぷらすです。

シュビドゥビドゥ~・シュシュビドゥ~ア~シュビドゥビドゥ~♫

というわけで、公開初日に観てきてやりましたよ!

『ジョーカー』をね!

いやー、この映画はヤバいですよ!
観終わって結構経ってますけど、まだ“ジョーカー酔い”が収まっていません。

シュビドゥビドゥ~……♫

というわけで、今回は公開したばかりの作品なので、極力ネタバレしないよう気をつけて感想を書こうと思いますが、これから本作を観る予定の方やネタバレは絶対に嫌!という人は、先に劇場でこの作品を観てからこの感想を読んでくださいね。

いいですね?注意しましたよ!

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画像出典元URL:http://eiga.com

概要

『ザ・マスター』『ビューティフル・デイ』などのホアキン・フェニックスが、DCコミックスの悪役ジョーカーを演じたドラマ。大道芸人だった男が、さまざまな要因から巨悪に変貌する。『ハングオーバー』シリーズなどのトッド・フィリップスがメガホンを取り、オスカー俳優ロバート・デ・ニーロらが共演。『ザ・ファイター』などのスコット・シルヴァーがフィリップス監督と共に脚本を担当した。(シネマトゥデイより引用)

感想

ジョーカーとは

いや、もうそんな人は殆どいないと思いますけど、一応「ジョーカー」というキャラクターを知らない人のためにザックリ説明しようと思います。

ジョーカーはDCコミックのヒーロー「バットマン」に登場する世界的に有名な超人気ヴィラン(悪役)。

1940年4月刊行の"Batman #1"で初登場して以来、約80年に渡ってバットマン最凶の敵として君臨し続けているんですね。

そんなジョーカーを生み出したアーティストは、ビル・フィンガー、ボブ・ケイン、ジェリー・ロビンソンの中の“誰か”と言われていますが、それぞれ「自分が生み出した」と主張。決着がつかないまま3人はこの世を去ってしまったのだとか。

そして現状、実写版でジョーカーを演じたのは全部で5人。

初代ジョーカーは、TVドラマ「鳥人バットマン」 (1966年–1968年)のシーザー・ロメロ。ただ、このドラマは今の「バットマン」ようにシリアス路線ではなく、かなりコミカルなジョーカーだったらしいです。(僕は未見)

2代目はティム・バートンが監督した劇場版「バットマン」  (1989年)のジャック・ニコルソン。今に続く“狂気の男ジョーカー”のイメージは、彼から始まったと言っても過言ではありませんし、ジャック・ニコルソン=初代ジョーカーって思ってる人も多いんじゃないでしょうか。

3代目は「ダークナイト」(2008年)のヒース・レジャー。多分、歴代ジョーカーの中で最も人気の高いジョーカーじゃないでしょうか。僕も一番好きなジョーカーです。

4代目は「スーサイド・スクワッド」のジャレット・レト。多分歴代ジョーカーの中で一番若くて一番ど派手なジョーカーだったと思うし、個人的には大好きなんですがファンの間では大不評だったんですよね。
まぁ、「スーサイド・スクワッド」自体の出来がアレすぎた事もあって、若干割を食ってしまった感は否めないかも。

そして、本作で5代目ジョーカーを演じるのが、「ビューティフル・デイ」などで数々の賞を受賞している実力派、ホアキン・フェニックスなのです。

個人的にはこれまでの歴代ジョーカーの中ではヒース・レジャーがダントツに好きなんですけど、本作でホアキン歴代の中で一番ヤバいジョーカーだと思いました。

これまでジョーカーを演じたキャストは、狂気に自らが飲み込まれることでフィルムの中にジョーカーを顕現させてきた印象なんですが、本作はホアキン=ジョーカーの狂気に、観ているこっちが飲み込まれたような感覚というんですかね。

もちろんそれは作劇や演出・撮影の効果で観客にそう思わせているんですけど、これがホアキン以外の役者だったらここまでだったかな?と思わされるくらい、本作で彼が演じたジョーカーは圧倒的でしたよ。

ジョーカーの“オリジン”を描く

で、本作は「バットマン」のヴィランとしてのジョーカーではなく、初のジョーカー単独映画です。

内容は、一人の男が稀代の悪役ジョーカーになるまでを描いたオリジン=誕生篇なんですね。

実はジョーカーは、ほかのキャラと比べてオリジンが定まっていないません。

1940年に初登場の“初代”ジョーカーのオリジンは、元々“レッドフード”という犯罪者で、バットマンから逃げる際にヤバい化学薬品の樽に落ちて、白い肌&緑髪の狂人ジョーカーになったというもの。

アメコミ原作者のアラン・ムーアが手がけたBatman: The Killing Jokeでは、売れないコメディアンが妊娠中の奥さんのためにお金が必要になり、ギャングの犯罪計画に加担。しかし計画実行前に奥さん(とお腹の中の赤ちゃん)が亡くなり、失意の中で犯罪計画を実行するもバットマンに追われて逃げる際にヤバい化学薬品の樽に落ちて、白い肌&緑髪の狂人ジョーカーになったというもの。(このオリジンは、一番引用されている有名なオリジンです)

他にも、元々犯罪の天才だったジョーカーが、ギャングとの抗争中に頭から化学薬品をかぶるとか、執筆アーティストが変わる毎にオリジンも変わったりするんですよね。

映画「ダークナイト」でもジョーカーが自分の過去を語るけど、人によって言ってることが違うじゃないですか。あれは、原作からしてオリジンが定まってなくて、その事がジョーカーというキャラクターを構成する要素の一つになっていたからなんです。

そして本作で描かれるオリジンは、今まで描かれた数あるオリジンから抽出した要素を組み合わせた完全オリジナル
なので、原作ファンの人も初めて観るジョーカー誕生物語なんですね。

コメディアンに憧れる孤独で心の優しいアーサー・フレックが、色々あってジョーカーになるまでの物語なんですが、本作はこれをアーサー=ジョーカーの“完全一人称”で描くわけです。

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つまり、本作で描かれる世界はアーサーの目から見た“セカイ”であり、観客はアーサー=ジョーカーの脳内を約2時間、追体験するわけです。

なので、物語が本格的に動き始める中盤からラストにかけて、完全に彼の心情に共鳴してしまいジョーカーが引き起こす、ある犯罪に対してカタルシスを感じてしまう。

もっと平たく言うといいぞジョーカー、やっちまえー!(ノ゚ο゚)ノ フオォォォー」って思っちゃうんですよ。

で、映画が終わって( ゚д゚)ハッ!とするっていう。

ジワジワとジョーカーの狂気という毒に侵食されて、自分の倫理観や道徳観が乗っ取られていた事に、映画が終わって気づくのです。

そういう意味でこの作品はかなりヤバい。
エロ描写も極端な残虐描写もないのに、R-15指定になっているのも納得ですよ。

こんなん絶対子供に観せちゃダメだって思いましたもんw

現実(リアル)と地続きの圧力と解放

観客がなぜそこまでジョーカーに肩入れしてしまうのかというと、彼を取り巻く状況や降りかかる諸々が現実の世界と地続きだからです。

心を病みながらも人々に笑いを届けたいと願う貧しい大道芸人アーサーに降りかかる、社会からの孤立や資本主義がもたらす貧富格差、親しい人からの裏切りなどなどは、他人事と思えない人も多いはず。

そんな中で、ついにある一線を超えてしまったジョーカーに対し、観ているこっちは「そりゃそうだよ。他に選択肢がないんだもん」って“同情”というよりは“同調”してしまうのです。まるでストックホルム症候群みたいに。

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その辺は、そこに至るまでの圧のかけ方と解放。アーサーの悲哀、ジョーカーの目に映る風景を美しくロマンチックに撮った映像の美しさなど、作劇や映像の素晴らしさもあるんですけどね。

つまり本作は単に「バットマン」のスピンオフ作品ではなく、一本のピカレスクロマン(悪漢譚)として成立した作品(しかも傑作)であり、同時に「バットマン=ヒーロー映画」と本質的な部分で合わせ鏡のような物語でもあるんですね。

タクシードライバー」と「キング・オブ・オメディー」

監督のトッド・フィリップスは、本作について「タクシードライバー」(1976)と「キング・オブ・コメディー」(1983)から影響を受けていることを公言しています。

そういう意味で、アーサーが憧れるテレビ司会者役に名優ロバート・デ・ニーロをキャスティングしたのは、単なる映画ファンへの目配せだけではなくて、何か作劇的な意図があったのかな?なんて勘ぐってしまいましたねー。

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両作を観た人なら本作のアーサーとトラビス、パンプキンの共通点に気づくと思うし、本作でデ・ニーロが演じるTV司会者は、「キング・オブ~」でパンプキンが憧れる人気コメディアンのジェリーラングフォード(ジュリー・ルイス)と同じ立ち位置なんですよね。

また、本作の舞台は80年代初頭のゴッサムシティということもあり、映画のルックも70~80年代初頭を意識したようなオールドスタイルな印象を受けたし、作劇もほんのりアメリカンニューシネマの匂いを感じたりましたねー。

信用できない語り手

と、ここまで色々書いてきたんですけど、実はまだ一つだけ書いていないことがあります。

それはアーサーには妄想癖があるということ。
つまり彼は、映画における「信用できない語り手」なのです。

実際、序盤からちょこちょこ彼の妄想シーンが挟み込まれていたりしますしね。

もし、これから本作を観る人は、その事を頭の隅に置いて観ると面白いかもしれないって思いましたよ。

興味のある方は是非!!

 

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