ぷらすです。
公開日初日の初回9:40の回で観に行ってきました!
上映時間2時間56分という長尺に、観る前は正直怖気づいていましたが、いざ始まってしまえば、体感2時間くらいに感じましたねー。
というわけで、今回はまだ公開したばかりの作品なので出来るだけネタバレはしないように感想を書いてますが、もしも今後見る予定があって情報を一切入れたくないという人は、先に映画を観てからこの感想を読んで下さい。
いいですね? 注意しましたよ?
画像出展元URL:http://eiga.com
概要
『トワイライト』シリーズなどのロバート・パティンソンが、DCコミックスが原作のキャラクター「バットマン」ことブルース・ウェインを演じるサスペンスアクション。ゴッサム・シティで探偵をしているブルースが、知能犯リドラーの挑発的な攻撃に苦悩しながらも戦いを繰り広げる。監督を務めるのは『猿の惑星』シリーズなどのマット・リーヴス。コリン・ファレル、ポール・ダノ、ゾーイ・クラヴィッツなどが共演者として脇を固める。(シネマトゥディより引用)
感想
映画版「バットマン」の歴史
アメコミ史上スーパーマンに続いて2番目に歴史の長いヒーロー・バットマンは、実写化作品においても1943年にコロンビア ピクチャーズより公開された全15章の連続活劇『Batman』から現在に至るまで劇場公開版で12本(ユニバース作品も含めれば16本)、バットマンを演じた俳優は本作のロバート・パティンソンで9人目になります。
とはいえ、一般的に映画版バットマンとしてカウントされるのは、やはり1989年公開。ティム・バートン監督、マイケル・キートン主演の「バットマン」からでしょう。
このティム・バートン版バットマンは、アメコミとしては1978年に公開されたリチャード・ドナー監督の「スーパーマン」以来の世界的大ヒット作品であり、その後に続く「スパイダーマン」やMCU作品、DCEUなど、現在の(大人も楽しめる)アメコミ映画の先駆けとも言える作品でした。
その後紆余曲折あり、2008年~2012年にかけて公開されたクリストファー・ノーラン監督、クリスチャン・ベール主演による通称「ダークナイト3部作」、特に2作目の「ダークナイト」の世界的大ヒットによって、バットマンというヒーローの名は広く一般に知られるようになったのです。
一方、同時期にDCコミックのライバル会社マーベル・コミックが自社のコミックに登場するスーパーヒーローをクロスオーバーさせるプロジェクト「マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)」をスタート・大成功を収めたのを受け、DCコミックはスーパーマンを主人公にした「マン・オブ・スティール」からスタートするDCEU(DCエクステンデッド・ユニバース)プロジェクトをスタート。
続く2作目「バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生」5作目「ジャスティス・リーグ」では、ベン・アフレックがバットマン役を演じましたが、DCコミックの親会社WBの思惑ほどは当たらず、DCは作品のユニバース化を一旦見直し、2019年公開の「ジョーカー」など、それぞれのヒーロー映画を単独作品として発表していく方向に舵を切ったんですね。
本作、「THE BATMAN-ザ・バットマン-」も、元々はバットマン役のベン・アフレックが主演・監督・脚本で単独映画化される予定でしたが、2017年にベン・アフレックがプロジェクトから降りたことで、監督・脚本は「猿の惑星:新世紀 ・聖戦記 」のマット・リーヴスに引き継がれ、新たなバットマン役にロバート・パティンソンが選ばれたんですね。
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そして、この「THE BATMAN-ザ・バットマン-」では、これまでの老成したベテランヒーローのバットマンではなく、まだ2年目の若きバットマンの姿で描かれていて、DCEUなど、今までのどのバットマンとも繋がりのない、新たな単独作品として公開されたのです。
つまり、他の作品を一切見なくても、この作品だけ観れば物語が分かるんですね。
本作のメインヴィランはリドラー
古いバットマンを知っている人は、「バットマン フォーエヴァー」でジム・キャリーが演じた、緑の全身タイツに“?マーク”がびっしり書かれた、あの面白おじさんを連想するかもですが、今回のリドラーは黒い覆面にメガネ、ダークグリーンのロングコート姿の連続殺人犯。ゴッサムシティ―の市長を始め、次々と人を殺してはバットマン当てにヒントを残す手口は多くの人が指摘するように、実在の未解決連続殺人犯ゾディアックをモデルにしているようです。
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他にもキャットウーマンはセリーナ・カイル( ゾーイ・クラヴィッツ)として、有名ヴィランであるペンギンも、ギャングのオズワルド・“オズ”・コブルポット(コリン・ファレル)として登場。
新米バットマンのブルース・ウェイン同様、どのキャラクターもまだキャットウーマン・リドラー・ペンギンとして完成する前の姿で登場するんですね。
例えばバットマンのスーツやマスク、ブーツ、バットモービルやバイクなどのガジェットも、これまでと比べるとまだ手作り感があるというか、既製品を改造したような素人っぽさが残る仕上がりに。キャットウーマンもマスクではなくニットの目出し帽ですしね。
その一方で、リドラーの出す謎を瞬時に解く頭脳や、敵を叩きのめす動きのキレなどは、原作の「世界最高の探偵」というバットマンの初期設定に寄せている感じでした。
つまり本作は、バットマンがバットマンになるまでを描いた、いわばバットマンのコスプレをした若きブルース・ウェインの物語なのです。
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その辺は、 ホアキン・フェニックスの「ジョーカー」にも近い感じで、「ジョーカー」がジョーカーというキャラクターを使って「タクシードライバー」的な犯罪映画を作ったように、本作は若きバットマンを探偵役にしたサスペンス・ミステリー映画なんですね。
リフォームの匠マット・リーヴスの面目躍如
そんな本作を監督したのは、「クローバーフィールド/HAKAISHA」の監督で世に知られ、スウェーデン映画「ぼくのエリ 200歳の少女」をアメリカ映画にリブートした「モールス」や「猿の惑星」のリブート版第2弾「猿の惑星: 新世紀 」、第3弾「猿の惑星: 聖戦記」を監督したマット・リーヴス。
元作品の本質は外さず、それでいてよりスマートに描く手腕はまさにリフォームの匠といった感じで、本作も単純にサスペンス・ミステリーとして面白くストーリーテリングしながら、バットマン/ブルースウェインの本質に迫り、格差や分断、負の遺産といった現代社会に横たわる問題にも鋭く迫っているんですね。
正直、本作のメインヴィランに据えるにはリドラーはちょっと弱いのでは?と観る前は思ったけれど、頭脳と情報を駆使しながら己の正義を実行する本作のリドラーと、両親を殺した「悪という概念」に復讐するためバットマンになったブルースを鏡像関係として描くことで、正義とは何かという普遍的な問いに答えを出し、バットマンが真のヒーローになるまでを描くマット・リーヴスの手腕は見事だなーと感心しましたねー。
まぁ、その一方でテーマ的に「ダークナイト」と被るのでどうしても比べられてしまうと思うんですが、それも監督は折り込み済みなんじゃないかと思うんですよね。
そう考えると、今回のロバート・パティンソンのバットマンが仮面を取った時の目の周りのメイクは、ヒース・レジャー版のジョーカーに意識的に寄せてるのかなと思ったりしました。(考え過ぎ?)
自警活動に熱中し過ぎて、仕事もしないで昼は自宅に引きこもっているブルース・ウェインを見守るアルフレッド役はこれまでお爺ちゃん俳優が演じていたけど、本作ではバットマンの年齢に合わせてまだ50代のアンディ・サーキスが演じて、頼もしさもアップ。何と言っても彼は「猿の惑星」三部作のシーザーですしね!
バットマンユニバース?
そんな本作で登場したキャットウーマンとペンギンの前日単スピンオフがHBO Maxでドラマ化され、ロバート・パティンソン版で2つの続編が計画されるなど、現在進行中のDCEUとは別に、「ザ・バットマンユニバース」が展開される予定らしいので、今後の展開も気になるところですし、ここからリスタートする作品でもあるので、これまでバットマンを観たことがない人でも楽しめるのではないかと思います。
興味のある方は是非!!
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