今日観た映画の感想

映画館やDVDで観た映画の感想をお届け

宮崎作品の廉価版「メアリと魔女の花」(2017)

ぷらすです。

今回ご紹介するのは、スタジオジブリ退社後、プロデューサーの西村義明と米林宏昌監督が設立した「スタジオポノック」製作第一弾作品『メアリと魔法の花』ですよー!

アニメーターとして多くのジブリ作品に参加、「借りぐらしのアリエッティ」「思い出のマーニー」の2本を監督した米林監督が、独り立ちして初めての監督作ということで注目はしてたものの、予告編を見る限り期待半分不安半分という感じだったのですが……。

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概要

借りぐらしのアリエッティ』などの米林宏昌監督がスタジオジブリ退社後、プロデューサーの西村義明が設立したスタジオポノックで制作したアニメ。メアリー・スチュアートの児童文学を基に、魔女の国から盗み出された禁断の花を見つけた少女の冒険を描く。少女メアリの声を務めるのは、『湯を沸かすほどの熱い愛』やNHK連続テレビ小説とと姉ちゃん」などの杉咲花。脚本を『かぐや姫の物語』などの坂口理子、音楽を『思い出のマーニー』などの村松崇継が手掛ける。(シネマトゥデイより引用)

感想

3.11以降の日本

2016年は、7月に庵野秀明監督の「シン・ゴジラ」、8月に新海誠監督の「君の名は。」。そして11月には片渕須直監督の「この世界の片隅に」がそれぞれ公開され、大いに話題になりました。同時に、この3作は3.11を強く意識した作品でもあります。

それから約1年後に公開された本作もまた、明らかに3・11以降の日本を描いた作品になってましたねー。

ストーリー

本作はイギリスの女性作家メアリー・スチュアートが1971年に発表した『The Little Broomstick』(邦題は「小さな魔法のほうき」)が原作。

昔、1人の赤毛の魔女が魔女の国から「夜間飛行」という花の種を盗み出すが、逃走中に力尽きて乗っていた箒と共に種を森に落としてしまうところから物語はスタート。

それから数十年後、11歳の少女メアリ・スミスは大叔母シャーロットが住む赤い館に引っ越して来たものの、友達もなく、テレビもゲームもない退屈な日々。

そんなある日、彼女は黒ネコのティブに導かれるように、森の中で青く光る不思議な花と木の蔓に覆われた一本の箒を見つけ……。という物語。

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コンプレックスの赤毛を近所に住む少年ピーターにからかわれ、大叔母の家の手伝いをすれば失敗ばかりのメアリは、理想の自分になりたいという変身願望を持っている思春期の入口に立った女の子で、そんな彼女が「夜間飛行」の力で魔女の力を得て冒険を繰り広げるという、設定だけ聞くといかにも面白そうなストーリー。
なんですが、一言で言うなら圧倒的に物足りなさが残る作品でしたねー(´・ω・`)。。。

宮崎駿の廉価版

米林監督はジブリの生え抜きで、原画マンとして数々のジブリ作品を支え、宮崎さんの仕事を一番近くで見てきた愛弟子だし、本作のストーリー的にもジブリ(というか宮崎駿)感が出てしまうのは仕方がないと思うんです。(多分、スポンサーや僕を含めた観客にも求められている部分もあるだろうし)

それを踏まえたうえで、あえて嫌な言い方をするなら、この作品は宮崎駿の廉価版」という印象を受けました。

ジブリ時代に監督した「借りぐらしのアリエッティ」「思い出のマーニー」の2本は、(好き嫌いは分かれるかもだけど)米林監督のカラーが出ていたと思うし、当時の米林監督が抱えた諸々の複雑な思いを作品に込めようという熱量を感じたんですよ。

ところが本作にはそれが全く感じられず、何ていうかこう、求められているものを無難にまとめようとしてる感が透けて見えるんですよね。

物凄くオブラートに包んで言うなら、今までジブリで培ってきた表現方法を随所で駆使しているわけですが、そういう事じゃないよ! と。
劇中で描かれている3.11以降の日本と子供達というテーマすら、なんか薄っぺらく感じてしまいました。「え、それ本当にそう思ってる?」っていう。
もちろん宮崎さんっぽく作ること自体はいいけど、それならそれで宮崎駿超えを目指してくれよ! って思いましたねー。

演出に問題あり

本作の場合、ストーリーの方は極めてシンプルな分そこまで悪くなくて、むしろ米林監督の演出の方に明らかに問題があると感じました。

メアリが初めて見る魔法の世界に驚くシーン。
多分、本作で一番の見せ場です。

ここで魔女の国や「エンドア大学」を観客に「あっ」と言わせるくらい魅力的に描くことで、後半とのギャップが活きる大事なシーンじゃないですか。

なのに、魔法の世界が全然魅力的に見えないのです。

なんかこうスッカスカというか、書き割りっぽいというか、奥行きや広がりが感じられないっていうか。

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そこから先はひたすら、「どこかで見たような」展開が続きます。

いや、「どこかで見たような」展開自体が悪いわけではないんですよ。

ただ、「あ、これは千と千尋だな」とか「お、ここはポニョだな」とか「アリエッティーかよ」とか、まるでマッド動画みたいに見覚えのある表現やキャラクターが釣瓶打ちなのに“元ネタ”を超える驚きが一つもないんですね。

少なくとも、僕がこの作品に求めていたのは「宮崎駿チルドレンだった米林監督のその先」なのに、出来上がった作品はジブリの二番煎じで米林監督のオリジナリティーというか作家性みたいなものが全然見えてこないわけですよ。

しかもなまじ上手いもんだから、観てる分には普通に観られるのが余計にタチが悪いっていうね。

ポスト宮崎駿という呪い

ここ何年もの間、ポスト宮崎駿を探そうとスポンサーたちは必死ですよね。
何人ものアニメ監督が槍玉に挙げられて、上手くかわした人もいれば、かわしきれなかった人もいますけど。

で、米林監督も槍玉に挙げられた一人(というか最有力)で、しかも、ジブリで2本も監督しているわけですから、かかる期待もプレッシャーも半端ないのは想像に難くありませんし、観客側も知らず知らずの内に米林監督に宮崎駿の影を求めてしまってると思うんですね。

斯く言う僕も、この感想で米林監督と宮崎さんを比べて文句言ってるわけだし。

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それについては米林監督には申し訳ない気持ちだし、気の毒だとも思うんですが、正直これは米林監督がアニメを作り続ける以上、背負わざるを得ない十字架であると同時に、ある種のアドバンテージでもあるんじゃないかと思うんです。

出来れば次作では、もっと強かにアドバンテージをフル活用して「これが米林宏昌だ!」という作品を観せて欲しいです。

興味のある方は是非!!

 

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宮崎駿作品を語ってみる-6「紅の豚」(1992)

ぷらすです。

僕が火曜日を担当しているブログマガジン「Res-C」に記事をアップしましたー!

res-c.blog.jp

宮崎駿監督の、劇場アニメを1作づつ語っています。
興味のある方は是非ご一読くださーい!(´∀`)ノ

ある平凡な男の一週間を淡々と描く「パターソン」(2017)

ぷらすです。

今回ご紹介するのは「ストレンジャー・ザン・パラダイス」や「デッドマン」で知られるジム・ジャームッシュ監督の話題作『パターソン』ですよー!

スターウォーズ新三部作でカイロ・レンを演じ、世間に一躍名前を知られたアダム・ドライバー演じる平凡なバスの運転手の一週間を淡々と追った地味な作品ながら、観終わったあとは何だか幸せな気持ちになる、しみじみ良い作品でしたねー。

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概要

ブロークン・フラワーズ』などのジム・ジャームッシュが監督を務め、『沈黙 -サイレンス-』などのアダム・ドライヴァーが主人公を演じたドラマ。詩をつづるバスの運転手の日常を映し出す。共演は『彼女が消えた浜辺』などのゴルシフテ・ファラハニや、ジャームッシュ監督作『ミステリー・トレイン』にも出演した『光』などの永瀬正敏ら。アメリカの詩人ロン・パジェットによる詩の数々が、作品に趣を与えている。(シネマトゥディより引用)

感想

気になってウィキペディアジム・ジャームッシュ監督の過去作を調べてみたんですが、僕、多分どの作品も観てない(もしくは観たけど記憶にない)と思うので、本作がジム・ジャームッシュ初体験なのかも。

本作をざっくり一言で言えば「『ある男の視点』で描いた物語」なのではないかと。
これネタバレになるかもですが、本作は基本何も起こりません。

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画像出典元URL:http://eiga.com / ちょっと変わった奥さん(ゴルシフテ・ファラハニ)だけど二人はラブラブなのです。

ニュージャージー州パターソンでバスの運転手をしているパターソン(アダム・ドライバー)の代わり映えのしない一週間を“彼の視点”で描いた映画なんですね。

朝起きて→仕事に行って→奥さんとの夕食後→犬の散歩の途中で行きつけのバーでビールを一杯飲んで→寝る。

そんなパターソンのルーティーンのような代わり映えしない毎日に彩りを添えるのが、彼が趣味で書いている「詩」なのです。

彼が詩を書く時のイマジネーションとなるのが、毎日の中で出会った人や、馴染みの仲間や奥さんとの会話、仕事中に聴こえてくる乗客同士の会話など。
それらを一遍の詩に落とし込むことで、何てことない田舎町の景色や彼の平凡な日常が、キラキラした世界に見えてくるんですねー。

ウィリアム・カーロス・ウィリアムズ

本作はニュージャージー州で町医者で詩人のウィリアム・カーロス・ウィリアムズや、ニューヨーク派の詩人ロン・パジェットへのオマージュになっているそうです。

特にウィリアム・カーロス・ウィリアムズはパターソンの町全体を擬人化し、様々な形態の詩をまとめた一冊が、全体で一つの詩になっている「パターソン」が代表作で、本作は彼の詩集「パターソン」にイマジネーションを得て作られているんですね。

西洋の詩(や小説などの文章全般?)は、文章で韻を踏むのが基本だそうで、例えば一節の文章の次の一節の頭・中間・おしりのどこかに同じ母音の言葉を使って言葉にリズムを作っていくラップ的な感じらしいんですが、本作ではその形式を踏襲していて、月曜から次の月曜までを曜日ごとに分けて、それぞれの曜日で映像的な韻を踏んだりしているんですね。

同じように見えて少しづつ違う毎日

上記のように、主役のパターソンの毎日はルーティーン的です。
しかし、例えば起きる時間が少しづつ違うとか、同じベットで眠る奥さんが下着?姿だったり裸だったり、パターソンの通勤路を毎日撮影の角度を毎回変えていたり、やたら意味ありげにちょいちょい双子が登場したり。

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画像出典元URL:http://eiga.com / 何か意味ありげに登場する双子

まったく同じように見えて、曜日ごとに少しづつ違うということを映像で説明しているんですね。

劇中、何度か大きな変化はあるものの、その出来ごとで平凡だった毎日が壊れるみたいな展開はなく、変化はあくまでパターソンの心の中で起こり、彼の詩の題材になっていくわけです。

しかし、登場人物がすぐ鉄砲で撃ち合ったり、大麻やコカインでラリったり、カンフーで戦ったり、地球が破壊されかけたり侵略されかけたりするような映画ばかり見ている自他ともに認めるボンクラ映画ファンの僕ですからね。

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画像出典元URL:http://eiga.com /愛犬マーヴィン役のネリー(♀)は“パルムドッグ賞”を受賞

劇中で何か事が起こるたびに主演のアダム・ドライバーが「テロリストにバスに爆弾が仕掛けられたんじゃないか」とか「ワンコを殺したギャングを殺し屋スキルを発揮して皆殺しにするのでは」とか「雪に閉ざされたホテルで奥さんを追い回すのでは」とか「キレて、十字ライトサーベルで部屋を壊しまくるんじゃないか」と思ってヒヤヒヤしてしまいましたw

もちろんそんな事は起こりませんでしたけどねw

永瀬正敏も出演

物語後半、ある事件が起きて大切なものを失ってしまったパターソン。
彼がいつも昼食を食べながら詩を書いているグレートフォールズの前で落ち込んでいると、ある日本人の詩人が話しかけてくるんですが、その日本人を演じているのがジム・ジャームッシュ監督の「ミステリー・トレイン」にも出演している永瀬正敏です。

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画像出典元URL:http://eiga.com / 永瀬正敏も出演しますよ A-HA?

僕はほとんど事前情報を入れずに本作を観たので、彼がイキナリ登場してビックリしましたよ。

この日本人との会話と“あるプレゼント”が、どん底のパターソンの心に灯りを灯す事になるんですね。

 

そんな感じで、ビックリするくらい何も起こらない作品なんですが、全然退屈せずに最後まで観られて、なおかつ観終わったあとに心が温まる気持ちにさせてくれる良作でしたし、視点一つで世界の見え方はこんなにも美しいと教えられましたねー。

興味のある方は是非!! A-HA?

 

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ジャック・タチが残した脚本をシルヴァン・ショメ監督がアニメ化「イリュージョニスト」(2011)

ぷらすです。

今回ご紹介するのは、「ベルヴィル・ランデブー」のシルヴァン・ショメ監督2010年の作品イリュージョニストですよー!

「ベルヴィル~」とは真逆の、切なくも美しい作品でしたねー。

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概要

『ぼくの伯父さん』シリーズで名をはせたジャック・タチが娘のために書いた幻の脚本を基に、長編デビュー作『ベルヴィル・ランデブー』で独特のセンスを発揮したシルヴァン・ショメが映画化したアニメーション。昔ながらの手品を披露する老人が純粋な少女と出会い、言葉が通じないながらも心を通わせる姿を温かく描く。1950年代のスコットランドを映像化したノスタルジックな情景が美しく、不器用な老手品師の姿やシーンの中にタチへのオマージュがささげられている。(シネマトゥディより引用)

感想

先日、このブログでも感想を書いた同監督の「ベルヴィル・ランデブー」がツボだったので、TSUTAYAでレンタルしてきました。

印象としては、デフォルメやダイナミズムを活かした「ベルヴィル~」とは真逆の、リアリティーに振った作品で、叙情的で切ない物語でしたねー。

 

フランスの喜劇王ジャック・タチが残した脚本をアニメ化

本作の脚本を執筆したのはフランスの喜劇俳優・監督で「ぼくの伯父さん」で第31回アカデミー賞外国語映画賞を受賞したジャック・タチが生前に書いた未映像化脚本を、シルヴァン・ショメが脚色・監督したアニメ作品です。

本作の主人公、手品師のタチシェフはジャック・タチ自身の姿をモデルにしていて、アニメーターはタチの映画を参考に主人公の老手品師の立ち姿や動きを作り上げたんだそうですよ。

ストーリー

映画は1950年代のパリからスタート。
ロックンロールやTVが台頭し、人気が凋落した初老の手品師タチシェフは場末の劇場を回り時代遅れの手品を披露して口糊を凌ぐ日々。
そして、たどり着いたスコットランドの離島で出会った貧しい少女アリスに、新品の靴をプレゼントした事でアリスはタチシェフを魔法使いと信じ込み、島を離れる彼についてきて二人はエジンバラで暮らし始めるのだが……。という物語。

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第2次大戦で軍役に入る以前、タチは舞台で作家コレットからも熱烈な讃辞を贈られるほどの人気を博した寄席芸人で、本作はそんな彼の自伝的な挿話をベースに書かれた物語なのだとか。

本作には、時代の波に押されて居場所を失う芸人たちの姿が、タチシェフとアリスの物語と共に描かれます。

大都会パリやロンドンではロックバンドが大人気で、出番を奪われるタチシェフですが、娯楽の少ないスコットランドの離島では歓迎され、彼の手品はバーの客たちに大いにウケます。
しかし、タチシェフの出番が終わると、彼が演じていた場所にジュークボックスが引っ張り出され、人々がロックを楽しむというギャグシーンがあり、近い未来に彼の「居場所」がどこにもなくなる事が示唆されるんですね。

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ジャック・タチ主演作

実は、本作の主人公の“タチシェフ”という名前は、ジャック・タチの本名なんだそうです。さらに、タチシェフの私服は「ぼくの伯父さん」シリーズでタチが演じるユロ氏と一緒だし、立ち姿や動きもタチの動きをほぼ完コピしています。

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つまり、シルヴァン・ショメ監督は本作を単なるジャック・タチのオマージュではなく、ジャック・タチ最新作としてアニメーションで作り上げたのです。

だから本作では「ベルヴィル~」のようなキャラクターのデフォルメやカメラワークなどアニメ的なケレンは極力抑えて、背景美術も含め実写映画的でリアルな作りにしています。
日本のアニメや米国の3Dアニメに慣れている僕なんかは、固定カメラで引きの絵が多い本作のカメラワークに最初は違和感を感じましたが、これもジャック・タチ映画の手法らしいんですね。

また、時代遅れの男の物語を、3Dではなく味わいのある2Dアニメで制作している(作画労力を減らすため3DCGを使っている部分もあるけど)のも、気が利いてるなーと思いました。

劇中タチシェフが入った映画館で、スクリーンのユロ氏と目が合うなんてメタ的なシーンもあったりして、全体的にショメ監督のジャック・タチに対する愛情が溢れてるんですよねー。

なぜ「イリュージョニスト」なのか

で、ふと疑問に思ったのは本作のタイトルは、なぜ「マジシャン」ではなくて「イリュージョニスト」なのか。

個人的に、マジシャンはトランプやコインを使ったテーブルマジックをする人で、イリュージョニストは人体消失などの大仕掛けのマジックをする人というイメージがあるんですね。

本作のタチシェフは明らかに前者なので「イリュージョニスト」というタイトルに違和感を感じてしまったんですね。

で、ネットである人のレビューで「マジック=魔法」「イリュージョン=錯覚・幻想」のような意味があり、本作でタチシェフがアリスに見せたのはマジックではなくイリュージョンだったのではないかというような事が書かれていて、「なるほど確かに!」と納得しました。

本作のメインはタチシェフとアリスの擬似親子関係の物語で、タチシェフはアリスに故郷に残してきた娘の姿を重ね、アリスはタチシェフに父親の姿を見ていたんだと思うんですね。

タチシェフがアリスを受け入れて望みを叶えようとするのは、実の娘に対しての贖罪でもあるし、二人は互いに家族の幻影を見ていたとも言えるのかもしれません。

同時に二人の出会いから別れまでの物語は、劇中に登場する時代遅れの芸人がそっと消えていく姿ともリンクしていて、トータルで時代の移り変わりという本作全体の流れを、多層構造的に描いているんですね。

「ベルヴィル~」とは違ってぱっと見地味な作品だし、(僕も含めて)ジャック・タチを知らない人にはピンと来ない部分もあると思いますが、苦いラストシーンも含め、観終わったあとにじんわりと心に染みる良作でしたねー。

興味のある方は是非!!

 

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本当は怖い高畑勲「平成狸合戦ぽんぽこ」(1994)

ぷらすです。

今回ご紹介するのは、先日亡くなられた高畑勲監督1994年の作品『平成狸合戦ぽんぽこ』ですよー!

実は僕はこの作品は初見でして、「まぁ、大体こんな感じでしょ」と気楽な気持ちで観始めたんですが物語が進むうち……。

怖い! 高畑勲怖いわー。((((;゚;Д;゚;))))カタカタカタカタカタカタカタ
って思いましたねーw

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概要とあらすじ

火垂るの墓」「おもひでぽろぽろ」の高畑勲監督が、人間による自然破壊から自分たちの住処を守ろうと奮闘するタヌキたちの姿をユーモラスに描いたファミリー・アニメ。自然の恵み多き東京は多摩丘陵。そこに住むタヌキたちはのんびりとひそやかに暮していた。しかし、宅地造成による自然破壊によって、タヌキたちのエサ場が次第に少なくなっていた。自分たちの住処を守るため、タヌキたちは先祖伝来の“化け学”で人間たちに対抗することにするが……。(allcinema ONLINEより引用)

感想

以前、「火垂るの墓」を観て以来、高畑勲作品はほぼ観ていないと書いたと思いますが、なので僕、本作は今回が初見なんですね。

環境を破壊する人間から住処を守るためにタヌキたちが色んなものに化けて戦う物語。

位のことは何となく知ってましたが「まー、タヌキが人間を化かして居場所を守る愉快な話でしょ」と、あまり興味もわかないままこれまでスルーしてきたんです。

でも、縁あって今回初めて観たら、
「高畑センパイ、ナメててサーセンしたー!」
ってなるくらい、作家 高畑勲の全てがギュウギュウに詰め込まれたとんでもない映画でしたよ。

火垂るの墓」の続編?

高畑さんが監督した「火垂るの墓」は、現代(公開当時1988年)になっても成仏出来ない主人公 清太の幽霊の回想(というか繰り返される煉獄)という形で物語が進み、妹 節子の霊魂と共に神戸市の夜景をじっと見つめるというラストでした。

そのラストカットによって、高畑さんは戦争と現代は地続きであることを描き、終戦後の価値観の変化によって日本人が失った精神性、コミュニティーの破壊などの問題提起をそれとなく提示したと思うんですね。

しかし、残念ながら作品に込めた高畑さんの真意はほとんどの人に伝わらず、「火垂るの墓」は高畑勲反戦映画として受け取られてしまったのです。

本作では、宅地開発によって生きる場所を失おうとしているタヌキたちを主人公に、高畑さんは「火垂るの墓」ではぼやかして描いていた部分を、よりハッキリと鮮明に描こうとしているのではないかと思いました。

人間の一方的な開発によって。生きる場所や故郷を奪われようとしているタヌキたちが人間相手に闘う姿は、タヌキたちが決して一枚岩ではなく、それでも力を合わせて決行した妖怪大作戦の失敗を経て絶望し、最終的にはハト派タカ派、過激派に分裂し、人間に完全に敗北するところも含めて、例えば空港建設反対闘争だったり、ダム建設反対闘争だったり、学生運動だったと、戦後日本のあらゆる抵抗運動の歴史の隠喩なのは明白です。

隠神刑部が命と引き替えに行った妖怪大作戦も結局はタヌキたちの一人相撲に終わり、レジャーランドの宣伝に利用されたり、テレビのオカルト特集のネタにされてしまう始末。

本作ではそんなタヌキたちの物語を、正吉の回想という形で、まるでドキュメンタリーチックな突き放したタッチで描いているんですね。

アイデンティティの喪失

前述したように「火垂るの墓」で高畑さんが描こうとしていた、戦後の価値観の変化で日本人が失った、精神性や文化、コミュニティー、伝承、祭祀、宗教などを、タヌキたちは全部持っています。

しかし、人間の宅地開発を止めるための会議で、すでにタヌキたちが人間の文明に侵され始めている様子が、マクドナルドや天ぷら、ビールという形で提示されているんですよね。

そしてタヌキたちは物語が進み敗北の色が濃くなるごとに、彼らは自分たちのアイデンティティを一つ、また一つと手放していくのです。

それはそのまま戦後日本の歴史を謎っていて、本作でタヌキたちは僕ら観客を映す鏡になっているんですね。

ラストシーン

こうして人間に敗北を喫したタヌキたち。
結局過激派の連中は警察に特攻をかましてあえなく討ち死にし、化けられないタヌキたちは新興宗教に溺れて「死出の旅」に向かい、残りのタヌキたちは人間に化けて生活したり、人間の出した残飯を漁ったり、人間に餌をもらったりしながら何とか生きています。

正吉たちの最後の抵抗が人間たちに小さな変化を起こし、僅かばかりの緑地と、地形を生かした公園は残った事が彼らにとっての唯一の救いだったかもしれません。

そして、満員電車にゆられて栄養ドリンクを飲みながら人間社会で暮らす正吉はたまたま、排水口に入っていくタヌキを発見。
追いかけていくとそこには、芝生の上で宴会をしているタヌキたちの姿が。

アイデンティティを失い、散り散りになりながらも彼らは「どっこい生きている」のです。

うんうん、ハッピーエンドで良かったねーと安心していると、仲間に加わろうとした正吉が突然カメラに向かって言う一言で、観ているこっちはドキっさせられるし、さらにカメラが引いていくと彼らが宴会しているのはゴルフ場だということが分かるというオチ。

もー、高畑さん最後まで容赦ないわー! 怖いわー!

宴会する彼らの向こうに街の灯りが広がっているのも、「火垂るの墓」のラストシーンとシンクロしてるように感じるのは僕だけでしょうか。

で、このラストシーンをタヌキたち=日本人のたくましさと取るか、それともアイデンティティの喪失と取るかで、この映画がハッピーエンドかバットエンドかの解釈は変わると思いますが、個人的には後の「かぐや姫の物語」の結末も踏まえて、前者寄りの結末なのかなーと思ったりしました。

何にせよ、子供映画とナメてる観客をガチでぶん殴りにくる高畑勲、恐るべしですよ!

興味のある方は是非!!!

 

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マレーシア発のアクション映画?「カンフー・マフィア」(2017?)

ぷらすです。

今回ご紹介するのは、マレーシア発のアクションコメディー『カンフー・マフィア』ですよー!
僕はマレーシア映画は(多分)初体験なんですが、何ていうかこう、いろんな意味で衝撃的な作品でしたねーww

ちなみに、この作品ネタバレしても面白さには一切関係ないと思うので、今回はネタバレしますよー。
なので、ネタバレはダメって方は、映画を見てからこの感想を読んでくださいねー!

いいですね? 注意はしましたよ?

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感想

ストーリー

えーと、本作のストーリーをザックリ書くとこんな感じ。

スーパーヒーローに憧れるヘタレのファディルは、相棒マリクが投獄されたのをきっかけにギャングから足を洗おうとするも、ボスのシャークに自由と引き換えに故郷ブラーニ村を支配して組織に渡すか、命を差し出すかの二者択一を迫られます。

ファデルの故郷は、都心のど真ん中にあるスラム的な土地で、昔は三人の武術の達人に守られていたけど現在は地元のギャングが仕切り、地上げのため住人を追い出そうと画策中なんですね。

故郷に戻って早々、ファディルは地元ギャングと揉めてギャングのボスに殺されそうになるも、危機一髪のところでギャングのボスが偶然心臓麻痺で死亡。
ボスを殺したと思われたファディルはギャングのボスに祭り上げられます。
が、調子に乗って「村を守る良いギャングになろう」と提案したらあっという間に見放されてしまうんですね。

そこで村を守るため、相棒になった(超強い)青年アデルと共に年老いた武術の達人の一人に弟子入りして訓練を始めるファディル。

その頃、村を仕切るギャングは土地を転がして儲けたい“日本人のタナカさん”と手を組んで本格的に地上げを開始し、ファディルたちは村を守るためギャングと戦う――というストーリーです。

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まったく先が読めない展開!

本作は一応、「サボテン・ブラザース」や「ランゴ(Rango)」のような、“偽物のヒーローが真のヒーローになる物語”なんですが、僕がこれまで観てきた映画とはセオリーがまったく違うので、全然先が読めないんですよねー。

ヘタレ主人公のファディルが、偶然と誤解で村のヒーローになり→
正体がバレて逃げ出し→
最後に真のヒーローとして村を救ってめでたしめでたし。
ってなるのが、多分普通の展開ですよね。

ところがこの作品でギャングから村を救うのはファディルでも相棒のアデルでも武術の達人でもなく警察です

村のギャングの報復を恐れて警察に通報しない村人たちの中、普通の飯屋のおっさんが勇気を持って警察に連絡したら、あっさり解決ですよ。(今までの時間は何だったんだw)

その後、おっさんは見せしめとして(ファディルの所属してた)ギャングに袋叩きにされるわけですが、そこで村人全員が勇気を振り絞って立ち上がり、ギャングを袋叩きにして村から追い出すんですね。

結果、村を救う真のヒーローは、飯屋のおっさんなのですw

一方その頃、村を仕切るギャングのボス(正体は村長で元三人の武術の達人の一人だった)はファディルの母親と妹を誘拐。二人を救うためファディルはなけなしの勇気を振り絞ってアジトに乗り込むんですが、ここでボスと戦うのは相棒のアデル
アデルの父親は、この村長に殺されていた事が映画中盤に発覚、アデルは亡き父の仇討ちのため村長と一騎打ちになります。

つまり、本作のクライマックスでが、おっさんが村を救うシークエンスと、ファディルが家族を救うシークエンスと、村長と相棒の一騎打ちのシークエンスが同時進行するわけですねーって、

一本の映画に色々盛り込み過ぎてて、説明が難しいわw

さらに、物語の合間には往年の香港映画を思わせるゆる~~いギャグやら、何の脈絡もなくどうやら他の映画(「ドリフト・エボリューション」という映画らしい)のキャラクターと車が登場して、ファディルが「俺の映画だぞー!」とツッコミを入れるメタ的なギャグ、挙句、ファディルの妄想? に、「トランスフォーマー」のバンブルビー的なロボットや、色違いのアイアンマンまで登場するとカオスっぷり。(これ、多分ハリウッドに無断でやってると思うんだけど大丈夫なんだろうかw)

なんかもう、色々自由過ぎるw

監督

そんな本作の監督は、ユソフ・シャーフィクという弱冠22歳の青年で、「ドリフト・エボリューション」という映画で監督・脚本・主演を兼任していたシャムスル・ユーソフの実弟なのだそうです。(だから劇中に「ドリフト~」のネタが入ってたのね)

で、このユソフ・シャーフィクは多分、ハリウッドや香港などのヒーローアクション映画が大好きなボンクラシネフィルなんでしょう。

バンブルビーやアイアンマンもそうですが、カンフーアクションのシーンでは、形意拳、金剛拳詠春拳っぽいカンフー映画でよく見る拳法的なファイティング、ガンアクションは多分、ジョン・ウーザック・スナイダーマトリックスなどを、臆面もなくパクリオマージュしまくり
主人公のファディルはメタ発言しまくりで第4の壁も越えるデップー感丸出しなキャラでしたしねw

 あ、あと殴られた相手がグルグル回りながら空に飛んでいくのは、チャウ・シンチーかな?

事ほど左様に、何ていうか自分の好きなもの全部ぶち込んで映画としては散らかりまくりだし、出来は決して良くないんですけど、22歳のボンクラ青年がキャッキャ言いながら無邪気に作ってる感じが透けて見えて微笑ましいなーって思いましたねーw

ちなみにこの作品、続編も作られマレーシアで大ヒットしたらしいですよ。

www.youtube.com

って、何かスケールアップしてるーーー!ww

興味のある方は是非!

 

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頑張ってたのは認めるけど…「鋼の錬金術師」(2017)

ぷらすです。

今回ご紹介するのは、荒川弘の大ヒット同名マンガの実写映画化作品鋼の錬金術師ですよー!

正直、マンガ原作の実写化としては「進撃の巨人」並の難易度を誇る本作。
なので期待せずに観たわけですが、期待を上回る部分と予想通りの部分が入り混じって、最終的な感想としては「うん。頑張ってた」に落ち着きましたねーw

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画像出典元URL:http://eiga.com

概要

荒川弘の大ヒットコミックを、『暗殺教室』シリーズなどの山田涼介主演、『ピンポン』などの曽利文彦監督で実写映画化。亡き母をよみがえらせようと“人体錬成”という錬金術におけるタブーを犯したことから体の一部を失い、やがて錬金術師となった主人公が弟と一緒に失ったものを取り戻す旅を繰り広げる。共演は、『アオハライド』などの本田翼や、ディーン・フジオカ松雪泰子ら。イタリアでの大掛かりなロケや、曽利監督によるビジュアルに期待。(シネマトゥディより引用)

感想

今や、日本の映画とドラマの多くがマンガ原作で、成功してたりしてなかったりするわけですが、そんな中でもハガレンは設定からして日本人キャストでの実写化が限りなく困難なのは言うまでもありません。

だって、ハガレンの登場人物ってみんな西洋人ですしね。

さらに今もファンの多い人気マンガとなれば、これはもうどうしたって進撃の巨人」の惨劇を思い出さずにはいられないわけです。

なので、こっちもそのつもりで、最初からハードル下げまくりで観始めたわけですが……(´ε`;)ウ・ウーン…。

いや、頑張ってるとは思ったし、確かに予想を上回るシーンもあったんです。ただ、これはもうハガレンだからどうこうじゃなくて、近年の邦画全体的に言える病理がここでも出てるなーってのが、正直な感想でしたねー。

映像について

本作の映像自体は、個人的には予想を大きく上回ってると思いました。
作品の性質上、CGを多様せざるを得ない本作ですが、映像的にCGをショボく感じるシーンはほとんどなかったです。

本作のアルフォンスはフルCGなんだそうですが全然違和感なかったし、むしろ着ぐるみ的に中に人が入った鎧が動いてるのでは? と思った程。

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錬金術でのバトルシーンやアクションシーンの背景にも当然CGが使われているんですが、ハリウッドと比べても遜色ないんじゃないかと思わせるシーンも多々ありました。

また、イタリアでロケをしているらしく、背景や町並みのロケーションや実際の蒸気機関車など、「おー、ハガレンっぽい!」と思わせるシーンも多くて良かったですねー。

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今はもうCG技術自体は、ハリウッドも他の国もそんなに差はなくて、あとはもう監督のCGの使い方なのかなって思いました。

キャストについて

そんな本作で、主役のエドを演じるのはHey! Say! JUMP山田 涼介
アルの声は水石亜飛夢ウィンリー本田翼がそれぞれ演じています。

他に、

ロイ・マスタング - ディーン・フジオカ
リザ・ホークアイ - 蓮佛美沙子
エンヴィー - 本郷奏多
ドクター・マルコー - 國村隼
コーネロ教主 - 石丸謙二郎
グレイシア・ヒューズ - 原田夏希
トリシャ・エルリック - 平田薫
グラトニー - 内山信二
マリア・ロス少尉 - 夏菜
ショウ・タッカー - 大泉洋
ニーナ・タッカー - 横山芽生
マース・ヒューズ中佐 - 佐藤隆太
ハクロ将軍 - 小日向文世
ラスト - 松雪泰子

といったメンツ。

キャスト的に言うと、
キメラの錬金術師ショウ・タッカー を演じた大泉洋
ホムンクルスのラストを演じた松雪泰子とグラトニーの内山信二
マース・ヒューズ中佐 役の 佐藤隆太は役に合ってたように思いました。

松雪さんはガッチリ役作りをしてラストを妖艶に演じていたし、グラトニー役の内山君はビジュアルが完全にグラトニーでした

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ヒューズ役の佐藤隆太は、そもそもビジュアルが似てるのもあるけど、彼自身の持つ陽性な空気感が役に合ってたのかも。(その分、切れ者感はあまりなかったですが)

ショー・タッカー役の大泉くんは、見た目は原作と全然違うけど本作の中で一番大事な役どころをしっかり熱演。荒唐無稽なストーリーをしっかり締めていたように思います。

逆に、エド・ウィンディー・マスタングの3人は、芝居をマンガに寄せすぎていたというか。監督の指示なのかもですが、実写映画としては過剰すぎると思いましたねー。

脚本・演出について

本作では特に、演出や脚本が気になりました。
とにかく無駄なシーンが多いし、キャラクターが思ってることを全部言う、今起こってることは全部セリフで説明しちゃうっていう、邦画にありがちな病理がここでもしっかり現れてましたよ。

あと、クライマックスは主人公がひたすら叫ぶ「例のアレ」も健在。

…もうホントに萎える。

マンガやアニメの場合は、キャラクター自体がデフォルメされてるし声だけの演技だから、それに合わせて感情表現も大きくしないと釣り合わないんですよ。
でも、実在の人間がキャラを演じる時は、当然リアルの生々しさが出るので、それに見合ったスケールの演技をしないと、物語の嘘が目立ってしまうんですよね。

「進撃~」にしろ本作にしろ、設定やストーリーがそもそも荒唐無稽(しかも外国人を日本人が演じている)なわけで、その分、芝居や演出にリアリティーがないと何もかも全部が嘘っぱちに見えちゃう。

それは本作だけじゃなくて、近年の(若手俳優が主演する)邦画全体に言える問題で、そういうのは本当にやめた方がいいと思いますねー。

確かに叫びながら殴り合ってれば、手軽に「盛り上がってる感」は出るけど、それはもう、演出じゃなくてただの怠慢だと思います。

それと全体的に衣装がコスプレっぽいのも気になりました。

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マンガやアニメならカッコイイ衣装も、実際の人間(しかも日本人)が着るとおかしいデザインってあるじゃないですか。ハガレンはまさにそれで、特に軍の制服はコスプレ感が増して画面に馴染んでいない感じがしましたねー。
せめてもう少し素材やデザインを少しを変えたり、使い込んでる感じがあれば良かったかも。

とはいえ、さすが「ピンポン」の曽利 文彦だけあって映像のルックはかなり見応えがあったし、個人的には楽しく観ることができたんですけどね。

興味のある方は是非!

 

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