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ジャン=リュック・ゴダールの代表作「気狂いピエロ」(1967) *ネタバレあり

ぷらすです。

今回ご紹介するのは、ヌーヴェルヴァーグを牽引したジャン=リュック・ゴダール監督の『気狂いピエロ』(きちがいピエロ)ですよー!

一度20代で観たときは正直サッパリだったんですが、僕もいい歳のオッサンになったし「そろそろゴダールもイケるんじゃね?」と再チャレンジしてみましたー。

で、多分この作品は、ネタバレとか関係ない映画だと思うので、今回はネタバレありの感想になります。
なので「ネタバレは嫌」って人は、先に映画を観てからこの感想を読んでください。

いいですね? 注意しましたよ?

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画像出典元URL:http://eiga.com

概要

ジャン=リュック・ゴダールの描く、「勝手にしやがれ」と並ぶヌーヴェル・ヴァーグの代表的作品。映画的文法に基づいたストーリーというものはなく、既成の様々な映画の要素を混ぜ合わせ、光・色・音等を交差させて、引用で組み立てられた作品。「勝手にしやがれ」のジャン=ポール・ベルモンドを主演にして、ただただ破滅へと向かってゆく主人公の姿を描く。(allcinema ONLINEより引用)

感想

ゴダールと言えば、うっかり「映画好き」なんて言おうものなら、
「へー、キミ映画が好きなんだー。じゃあ当然ゴダールは見てるよね。え、ゴダールも見てないのに映画好きとか言っちゃうんだ。へー(笑)」
と、大学の映研でくだを巻いてるようなサブカルクソ野郎が即座にマウントを取りに来るでお馴染みの、難解映画の代表選手みたいな映画監督じゃないですか。

いや、僕自身は(年代的にも)そういうの食らったことないですけど、マンガやドラマでそういうシーンで結構観たし、僕自身オタク畑の人間だったのでアニメや特撮作品で似たような仕打ちを何度か喰らいましたねー。

まあ、どの世界でもこういう嫌なタイプのオタクってのはいて、そういう輩がマウントを取るために利用したせいで、何も悪いことしてないのに変な先入観や苦手意識を持たれてしまう映画監督もある意味で被害者だし気の毒だと思うんですが、(多分)ゴダールは自身がこの嫌なタイプのオタク上がりの監督だと思うので、あまり同情できない感じもあったりなかったり?

で、そんなゴダールの代表作の一本が本作「気狂いピエロ」なのです。

 

ざっくりストーリー紹介

主人公フェルディナンは、いつも本を読んでる活字中毒で、会話でも本の文章を引用しまくって悦に入ってるような無職のサブカルクソ野郎です。

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画像出典元URL:http://eiga.com / サブカルクソ野郎のフェルデナン(ジャン=ポール・ベルモンド

そんな彼が、金持ちの奥さん言われて就活がてらパーテイーに行くと、アメリカ人の映画監督サミュエル・フラーと出会い、「映画ってなんですかね?」って聞くと、フラーは「映画とは、戦場のようなものだ。愛、憎しみ、アクション、暴力、そして死。要するに、エモーション(感動)だ」と言うんですね。

本物の映画監督と話をしてすっかり感化されたフェルディナン。
パーティーでどうでもいい会話をしてる人たちを見て、「どいつもこいつもバカばっかだー!」なんてとんだ勘違い発言をして、女性陣にケーキを投げつけて途中退場。

家では友人の姪っこマリアンヌが娘の子守をしてるんですが、実は彼女は姪っ子じゃなくて友人の愛人。しかもフェルディナンの元カノだったのです。

今の生活を退屈に感じていた二人は、そのまま友人の車で愛の逃避行と洒落込むんですが、マリアンヌの今カレだった男は武器密輸ブローカーで、車には大量のドル札が入っていたからさあ大変。

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画像出典元URL:http://eiga.com / 最初は盛り上がっていた二人だが…

二人は追われる身となりながら、ボニー&クライド気取りで逃避行を続けます。

最初のうちは燃え上がっていた二人ですが、サブカルクソ野郎で中二病気味のフェルディナンが女心が全くわかってないので、徐々に二人の心は離れていき、そんな時に組織に追い詰められ離れ離れに。

それからしばらくして、亡命した王家の妃に使えていたフェルディナンの元に、死んだと思っていたマリアンヌが再び現れ、兄貴の計画に乗ったフリをして組織の金を持ち逃げして二人でマイアミで暮らそうと持ちかけます。

しかし、それは嘘で兄貴と呼んでいた男はマリアンヌの彼氏でした。
フェルディナンは自分が利用されただけだと気づき、マリアンヌと恋人の男を撃ち殺して自分も(頭に巻きつけた)ダイナマイトの束で爆死する。という物語なんですね。

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画像出典元URL:http://eiga.com / 最後は頭にダイナマイトを巻いて爆死

 分かり合えない男と女

恐らく、このサブカルクソ野郎のフェルディナンは、ゴダール自身を投影したキャラクターなんだろうということが何となく分かります。
で、マリアンヌ役を演じたアンナ・カリーナゴダールのリアル奥さんでして、なのでこの映画は(アンナ・カリーナの浮気が元で)破綻した自身の結婚生活とゴダールの気持ちを映画にしたのではないかという説があるとかないとか?

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画像出典元URL:http://eiga.com / マリアンヌを演じるアンナ・カリーナゴダールのリアル嫁

で、最初こそ盛り上がっていたフェルディナンとマリアンヌの関係ですが、実は最初から最後まで二人は噛み合っていないんですよね。
本を愛するフェルディナンと音楽やダンスを愛するマリアンヌ。

本はアーカイブ=過去と死の象徴、音楽やダンスは未来と生を表す象徴として描かれていて、つまり二人は最初から見ている方向が真逆なんですね。

それでも劇中、マリアンヌは何とかフェルディナンに歩み寄ろうとするんですが、サブカルクソ野郎のフェルディナンは、それに気づくことが出来ないのです。

それはそのまま男と女の関係を表していて、つまり男と女はそもそも分かり合えないのだということを、ゴダールはこの映画で言っているんだと思います。多分。

サミュエル・フラーとの会話

あらすじでも書いた、冒頭のパーティーシーンでの、フェルディナンと映画監督サミュエル・フラーとの会話。

元々、映画評論家から監督になった経歴を持つゴダール
そんな彼の分身フェルディナンが、映画監督のフラーに「映画とは何か」と問いかけ、フラーは「戦場のようなもの。愛、憎しみ、アクション、暴力、そして死。要するにエモーションだ」と答え、このシーンをキッカケにフェルデナンはその言葉を実践して「映画」を始めます。

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画像出典元URL:http://eiga.com / 銃を持つギャングにハサミで対抗するマリアンヌ

つまり本作は、シネフィルから映画評論家→映画監督になったゴダール自身の「映画ってこういうことだろ」というある種の回答で、「ただし俺ならこう作るけどな」っていう「映画を語る映画」なのかなと。

パーティーに集う人たちはシネフィルや映画評論家のメタファーで、そういう人たちが映画の表層だけを捉えてあれこれ愚にもつかない事を話していて、最初はフェルディナン=ゴダールも自分もその中の一人だったけど「こいつら映画を何も分かってない バカばっかりだ!」とパーティーを飛び出して、「映画」(監督)を始める…みたいな事なのかなと。

やっぱり分からん

この作品は、20代の頃に観てさっぱり分からなかった映画なんですが、そんな僕も今やいい歳のオッサンですからね。
歳を取ると味覚が変わるようにゴダールもそろそろイケんじゃね?」と今回再度チャレンジしたわけですが……うん、なるほど分からん。とw

いやいや、ストーリーが分からないとかじゃないんですよ。
小難しい事ばっか言ってるサブカルクソ野郎が、悪い女に騙された腹いせに女を殺して自分も死ぬという至極単純なストーリーですから。

そんな単純なストーリーに、絵画、文学や詩、映画や戯曲などから大量に引用しまくったセリフや映像をまぶして、いわゆる映画のストーリー文法を無視して撮った映像を繋ぎ合わせることで、映画を解体・再構築してみせた斬新な手法が(当時の)若い映画人やサブカル系の若者たちに大きな衝撃を与えたという功績も(色々な解説を見聞きしたので)理屈としては分かるんです。

ただ、本作が面白いかと聞かれたら正直つまらないし、どうやって面白がればいいのかが分からないんですよねー。

何ていうかこう、ラソンの実況中継を延々最後まで見てる時の気持ちに似てるかも。

一応ルールは分かる。レース上の駆け引きも解説者に教えてもらった。でも、選手がただ走ってるのを2時以上見てるのはシンドイ。
スポーツニュースで最初と最後だけ見れば十分だなー…みたいな感じ。

 110分しかないのに、体感だと3時間くらいに感じるし、ずっと「俺は何を見せられているんだ…」(いや、自分から好き好んで観ているわけですが)とw
あと、小難しいセリフがやたら多いので字幕を追うのに忙しくて映像に集中出来ない上に、セリフも頭に入ってこない。

っていうか、こちとらスピルバーグやルーカス、スタローンにジャッキーを観て育ったボンクラ帝国の住人なので、ゴダールとは完全に住んでる国が違うんだろうなーと。
つまりゴダールとの共通言語を、僕は持ってないって事なんだろうと思いましたねー。

前述の食べ物例えで言うと、大人になってチャレンジしてみたけど、やっぱりクセの強いホヤは食べられなくて、結局ハンバーグが最高だよね。みたいな感じ。

それが分かっただけでも、この映画を観た価値はあったのかもw

逆に言うと、今の時代だってゴダールと同じ言語を持ってる人はきっといるわけで、そういう人にとってこの映画は大傑作なのかもしれませんね。

興味のある方は是非!

 

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100人を超えるアーティストが贈るゴッホへのラブレター「ゴッホ 最後の手紙」(2017)

ぷらすです。

今回ご紹介するのは、「ひまわり」などの名画で誰もが知るフィンセント・ファン・ゴッホの生涯を描いたアニメーション『ゴッホ 最後の手紙』ですよー!!

125名の画家たちによる史上初の油絵アニメーションという、前代未聞の技法で「不遇の天才」ゴッホの生涯と死の謎に迫る伝記映画です!

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画像出典元URL:http://eiga.com

概要

「ひまわり」などの名画で知られるフィンセント・ファン・ゴッホの謎に包まれた最期を、油絵のテイストで描いたサスペンス。自殺したとされる画家が弟に宛てた最後の手紙を託された主人公が、その責務を果たそうと奔走するうちにゴッホの死の真相に迫る姿を描く。主演を『ジュピター』などのダグラス・ブースが務め、『ブルックリン』などのシアーシャ・ローナンらが共演。油絵が実際に動いているかのように見える映像に注目。(シネマトゥディより引用)

感想

まず、最初に書いておかなくちゃならないのは、僕はゴッホの名前と有名な作品(「ひまわり」とか)くらいは知ってるけど、別にゴッホに詳しくもないし特別好きでも嫌いでもないんですよね。

ぶっちゃけゴッホの最後が自殺だったというのも、この映画を観て初めて知ったくらいなんですよ。
でも、そんな僕でもこの映画を観たあとはゴッホが好きになっちゃうというか、監督のドロタ・コビエラ、ヒュー・ウェルチマンを始めとしたスタッフの熱意とゴッホ愛に当てられてしまうというか。

うまく言えないけど、そんな映画でしたねー。

125人の画家による全編油絵アニメーション

この映画はアニメーションなんですが、なんと125人もの画家ゴッホのタッチを再現した、全編油絵で作られたアニメーションなのです。

その制作方法は、まずゴッホの絵画に似せて作られたセットや、撮影後にCGアニメーションゴッホの絵と合成させるためのグリーンバックを背景に俳優たちが演技をした実写を撮影し、その映像を特別なシステムでキャンバスへ投影して、長期にわたる特訓でゴッホのタッチを完璧に習得した画家たちの筆で油絵に。

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画像出典元URL:http://eiga.com

画家たちは、演じている俳優の特徴は残しつつゴッホの絵画に登場する人物の風貌や雰囲気をうまく混ぜ合わせながら描き、“動く肖像画”として1秒につき12枚、合計62,450枚もの油絵を描いて高解像度写真を撮影するという、気が遠くなるような工程を経て制作しているんだそうです。

なぜ、わざわざそんな大変な方法を選んだのかといえば、ゴッホが弟テオに残した最後の手紙に記された「我々は自分たちの絵にしか語らせることはできないのだ」という一節に、「だったら彼の絵で語らせるべきではないか」と、この前人未踏の手法を選んだんだそうですよ。

多分、いくら文字で書いてもピンと来ないと思うので、予告編を貼っておきますね。

www.youtube.com

ゴッホの人生と死、その謎に迫るミステリー

ここまで読んでくれた人は「つまりゴッホ風の油絵アニメーションの伝記映画ってこと? 」と思われるかもしれません。

ところがこの映画、なんとミステリーなのです。

本作の主人公(というか聞き手?)はゴッホではなく、郵便配達人の父からゴッホの「最後の手紙」を託されたアルマン(ダグラス・ブース)。

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画像出典元URL:http://eiga.com

彼はゴッホの弟テオに手紙を届けるため、アルルからパリ、そして彼が最期の日々を過ごしたオーヴェールへと旅をする中で、様々な人たちから生前のゴッホの様子を聞いていきます。

その途中でテオが、ゴッホの後を追うように死んでいた事を知ったアルマンは、導かれるようにゴッホが自殺したオーヴェールへと辿り着きます。

ゴッホうつ病治療のため精神科医のポール・ガシェ (ジェローム・フリン)を頼ってこの地に滞在し、最後は拳銃で自らの“腹部”を撃って、滞在中のラヴー旅館で駆けつけたテオに見守られながら短い生涯を終えたということになっていたのです。

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画像出典元URL:http://eiga.com

しかし、町の人々にゴッホの様子を聞くうち、アルマンはゴッホの死が自殺ではなかったのではないかという疑念を抱き始め……。

というのが、本作の内容なんですね。

 本作はそうしたミステリー要素で興味を持続させながら、世間一般の「狂人」「不遇」「天才」「孤独」といったパブリックイメージだけで語られがちなゴッホの実像に迫ろうとしているのです。

技法と物語から浮かび上がるフィンセント・ファン・ゴッホ

全編油絵によるアニメーションという技法と、アルマンによる関係者へのインタビュー形式の作劇によって、本作から二つのことが浮かび上がってきます。

一つは、「同じ技法を使ってもゴッホの絵にはならない」という事。
各国から招集された125人ものプロの画家が、ゴッホの筆致を完コピして描いた本作のアニメーションはもちろん素晴らしいんですが、例え同じ技法で描いたとしても、それはゴッホの絵にしかならないという事が逆に証明されてしまっているというか。

それは画家たちが上手いとか下手とかいう問題ではなくて、近づける事は出来てもオリジナルとは違うという事実が、(ゴッホに限らず)作家のオリジナリティーだと言うことを、自身も画家である監督は言いたかったのかな? なんて思いましたねー。

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もう一つは、ゴッホは本当に不幸だったのか」問題。

弟テオの献身的な援助に依存していて、ゴーギャンとの共同生活が破綻したことで精神を病んで自分の耳を切り落とし、生前はたった1枚の絵しか売れなかったゴッホ
他にも好色家、狂人、天才、怠け者、探求者など、そのエキセントリックさや不幸、不遇、孤独というイメージが一人歩きしている彼ですが、最後の地オーヴェールの人々が語るゴッホはとても穏やかで、子供にせがまれて絵を書いてあげたり、貸しボート屋の主人や宿の亭主やその娘、ガシェ父娘などと普通に交流しているんですよね。

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ゴッホの生涯については、彼が弟テオに書き残した大量の手紙から解明されているそうで、おそらく本作で描かれた晩年のゴッホの姿は、真実に基づいたものだったのではないかと思います。

つまり、監督を始めとした製作陣やスタッフは、ゴッホの不幸でエキセントリックなだけの人間という誤解を解きたかったのではないかと。

そして、彼が(アーティストに限らず)多く若者たちと同じように「何者か」になりたくて足掻いた傷つきやすい青年だった事を、本作は愛と誠意を持って語っているんじゃないかと思いました。

とにかく映像のインパクトが強いので、つい、そちらばかり目がいってしまいますが、ストーリーもしっかり面白いしゴッホに興味のない人でも、きっと楽しめる映画になっていると思いますよー!

興味のある方は是非!!!

 

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4作一気にレビュー!「デス・レース」シリーズ*ネタバレあり

ぷらすです。

今回は、「B級映画の帝王」ロジャーコーマン制作のカルト映画「デス・レース2000年」を「バイオハザード」シリーズや「エイリアンVSプレデター」のポール・W・S・アンダーソン監督でリメイクしたデス・レース』からの4部作を一気にご紹介ですよー!

一晩でシリーズ4本一気観はさすがにキツかったでござる!

あと、どうせ誰も観ないだろうからネタバレも気にせず感想を書きますよ。
なので、ネタバレ嫌って人は、シリーズ全部観てからこの感想を読んでください。

いいですね? 注意しましたよ?

概要

脱獄不可能の刑務所で繰り広げられる、“死のレース”へ出場を決意する男の試練を描くアクション・ムービー。インディペンデント映画で有名な、ロジャー・コーマンが手掛けた1975年の『デス・レース2000年』を『バイオハザード』シリーズのポール・W・S・アンダーソン監督が現代的なアレンジでリメイク。主演は『トランスポーター』シリーズのジェイソン・ステイサム。流血とスピードと破壊が支配する壮絶なレースシーンに圧倒される。(シネマトゥデイより引用)

感想

ロジャー・コーマン&「デス・レース2000年」とは

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ロジャー・コーマンは、自分のインディペンデント会社「ニューワールド・ピクチャーズ」で数々のB級ジャンル映画を制作・公開し「B級(低予算)映画の帝王」と呼ばれる男です。

低俗で安い映画を大量に作る一方で、ジョー・ダンテジェームズ・キャメロンロン・ハワードフランシス・フォード・コッポラマーティン・スコセッシなど後に有名監督や俳優となる若き才能にチャンスを与えた事でも有名。

デス・レース2000年」はそんなロジャー・コーマンプロデュースで1975年に公開されたカルト映画で、「キルビル」のデヴィッド・キャラダイン主演、ブレイク前の若きシルベスタ・スタローンが出演し、市民を轢き殺した選手にはポイントが入るという頭のおかしい自動車レースを描いた、いわば「地獄のチキチキマシーン猛レース」なんですね。

デス・レース」のザックリ設定とストーリー紹介

そんな「デス・レース2000年」を『バイオハザード』シリーズのポール・W・S・アンダーソンを初めとした監督たちが現代風にリメイクして復活させたのがこの「デス・レース」(2008)から始まるリメイクシリーズ。

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2012年、経済が破綻したアメリカでは治安が悪化し、どの刑務所も満員御礼状態。
「とても管理できない!」と政府は刑務所の運営を民間会社に委託して、民間会社は刑務所の囚人を利用して、マシンガンやミサイルランチャーで武装したモンスターカーで殺し合いOKの「デス・レース」をテレビ中継。これがストレスMAXの国民に大ウケして大人気番組になるんですね。

このレースには、囚人は5回優勝するとどんな凶悪犯も自由の身になれるという特典がついていて、すでに4回優勝して自由にリーチのかかった鉄仮面の男フランケンシュタインは最後のレースに臨むんですが、ライバルのマシンガン・ジョーの攻撃で車は大破。
フランケンシュタインは死んでしまうのです。

と、ここまでがこのシリーズの基本設定。

シリーズ1作目の「デス・レース」では、貧乏ながら真面目に働いて奥さんと赤ちゃんの3人で暮らしていた元レーサーのジェイソン・ステイサムが、ある日突然奥さん殺しの冤罪をかけられ刑務所に投獄。
デスレースプロデューサー兼女刑務所長はステイサムに、死亡した事を隠し大怪我を負ったと発表していたフランケンシュタインの身代わりとして、デス・レースに参加するように強要。
ステイサムも自由を得るためにこの話に乗り、3日間のデスレースで凌ぎを削るうちに妻殺しの真相に近づいていくーー という物語です。

仮面レーサーのフランケンシュタインは、元ネタ「デス・レース2000年」のほうでデヴィッド・キャラダインが演じた主人公。マシンガン・ジョーはスタローンが演じていたのを、ステイサムとタイリース・ギブソンという「ワイルドスピード」コンビが演じていて、通行人を轢き殺すとポイントになるという設定はさすがに止めて、刑務所内に作られたコースでレースをするという設定に変更。車の方も今風(というかほぼマッドマックスだけどw)なカッコイイデザインになっているのです。

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つまり、元ネタの設定は生かしつつ、マッドマックスxワイドスピードみたいな映画になってるんですねー。

で、最初は正直「どうせ昔の映画をデザインだけ今風に変えただけのリメイクなんでしょ」とナメてかかってたわけですが、いやいや、(もちろんツッコミどころはあるけど)思ったよりずっとちゃんとしてたし車のデザインも超カッコよくて、個人的には大満足でしたよ!

レースの、車に搭載された銃火器は地面に埋め込まれたスイッチを車で踏まないと使えないルール設定とか中々凝っていたし、それぞれの車のギミックや女性ナビゲーターとドライバーの二人一組という設定も、その後の展開に生かされてたり。

また自動車整備のメカニックを務めるクルーの二人、「ジョン・ウィック」シリーズのイアン・マクシェーン(役名コーチ)、TVドラマを中心に活躍しているフレデリック・コーラー(役名リスト)もいい味を出してました。 

ただ、本作があまりにも綺麗に終わっていたし、ステイサムも出ない続編を一体どう作るんだろう? と。

デス・レース2」(2010)

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というわけで、すぐに続編「デス・レース2」を鑑賞。

経済破綻で治安が悪く、刑務所の運営を民間に任せるという世界観の基本設定はどうやら同じみたい。

で、今回の主人公を演じるのがイギリス人のミュージシャンで俳優のルーク・ゴス。

って、ステイサムの廉価版かよ!!(。・д・)ノ)´Д`)ビシッ

いや、確かに頭頂部だけはステイサム感あるけど、ステイサムと比べると、なんかスッゴイ弱そうなんですよねー。

と、若干がっかりしつつ観ていると、前作でメカニックを務めたリストがゴスと一緒に入所してる?? コーチがいなくなってる?? って、ダニー・トレホ出てるじゃん。

っていうか、デス・レースじゃなくてデスマッチが放映されてる????
あれ? 14Kって前作でサクッと死んだ奴じゃん?????

デス・レース2」じゃなくて「デス・マッチ1」なの??
レンタルするタイトル間違えた???

と混乱しつつ観ていると、女プロデューサーが「デス・レース」を発案し、「なるほど! 続編だけど前日譚に遡るパターンかー!!」と納得。

で、そこからゴス、トレホ、リスト、紅一点のカトリーナ(タニット・フェニックス)がチームを組んで、「デス・レース」が始まるわけです。

前作ではただのチョイ役で雑魚だった中国人の14K(ロビン・ショウ)も大活躍して中々面白くなってるんですが……、デス・レース」が始まるまでの前フリが長いよ!!

なんて文句言いながら観ていると、ラストで衝撃の展開が!

なるほど、これフランケンシュタイン誕生の物語だったのかーーー!!

いやいや、こうなると俄然続きが気になるってもんで、即「デス・レースインフェルノ」を観ましたよ!!

デス・レースインフェルノ」(2013)

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前作「デスレース・2」ラストで顔面が焼けただれ、鉄仮面レーサーのフランケンシュタインとなった主人公のゴス。

なんと、序盤でイキナリ前作で刑務所を運営していた会社がM&Aされるんですが、新オーナーが超イヤな奴なうえに野心家でしてね。

超人気番組となったデス・レース」を世界各国で展開するという計画を打ちたて、フランケンシュタイン、トレホ、リスト、カトリーナのチームは南アフリカでレースをすることになります。

で、レースで勝つ事に焼けただれた顔面を整形で元に戻していく&5レース買ったらチーム全員自由の身という約束を前オーナーに取り付けていたゴス。その代わりに誰にも正体を知られてはいけないと言われてたわけですが、南アフリカについた途端乱チームの仲間たちに身バレします。

そんなこんなでギクシャクしつつもレースはスタートし、色々あってチームは晴れて自由の身となるんですが、リストだけは外の世界が怖いので刑務所に残ることになってめでたしめでたしというオチでした。

この南アフリカ縦断レースっていう設定は、多分元ネタである「デス・レース2000年」を踏襲したんでしょうが、そのせいで主人公の車が変わったりシリーズとしての流れが途切れた感じになっちゃって、ちょっと(´ε`;)ウーン…って感じでしたねー。

っていうか、これまでステイサムのデス・レース」に繋げていくプリクエルとして進んでいたハズのシリーズが、フランケンシュタインことゴスが自由の身になったことでどう繋がっていくのか、続きが超気になるじゃないですか!

というわけで、すぐさま「デス・レースアナーキー」をデッキにONしましたよ!

デス・レースアナーキー」(2018) 

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経済破綻によって犯罪率が爆発的に増加した近未来。
あまりに犯罪者が増えたので、高い壁を造って町一つを巨大刑務所にし、フランケンシュタインはその町に君臨する悪の魔王になっていましたとさ。

……って、続きちゃうんかーーーーい!!(。・д・)ノ)´Д`)ビシッ

何かステイサムの「デス・レース」飛び越えちゃったよ!
もはや、「デス・レース」ほぼ関係ないよ!

トレホ、シャバで悠々自適の生活だよ!

っていうかリストお前、いつまで刑務所にいる気だよ!

えー……途中で寝ました。
内容もウダウダグダグダで絶望的に面白くなかったです。
前作での引きは一体何だったんだっていうね。

いや、途中で寝たので内容はよく分からないんですけどもw

というわけで僕の中では「デス・レース」は3部作。4なんてなかったんや……(遠い目
という結論に達しました。

あと、一日で4本はさすがに疲れるので、映画は一日3本までにしましょうw

興味のある方は是非!

 

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ガイ・リッチーの原点「ロック、ストック&トゥー・スモーキング・バレルズ 」(1998)

ぷらすです。

今回ご紹介するのは「スナッチ」や「シャーロック・ホームズ」などで有名なイギリス人監督、ガイ・リッチーの長編デビュー作『ロック、ストック&トゥー・スモーキング・バレルズ 』ですよー!

人によって好き嫌いがパックリ分かれる監督ではあるし、僕も全作品が好きってわけではないんですが、この映画は面白かったですねー!

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概要

本作で一躍名を成したイギリスの俊英、ガイ・リッチー監督・脚本によるクライム・ムービー。一攫千金を狙う4人の若者を軸に、ギャングやマフィアが入り交じって繰り広げる群像劇を独特のユーモアを交えて描く。巧妙なストーリー展開やテンポある演出に加え、多彩な登場人物が見せる妙な味わいが秀逸。ロンドンの下町に生きるエディはある日、仲間3人から金を集め、ギャンブルに投資するが惨敗。逆にその元締めに多額の借金を背負ってしまう。返済猶予は一週間。途方に暮れるエディたちだったが、彼らは偶然隣人の強盗計画を耳にする。(allcinema ONLINEより引用)

感想

ガイ・リッチーはこの作品で一躍注目を浴びた監督ですが、本作ではまだ「知る人ぞ知る監督」って感じで、世間的に広く認知されたのは(多分)ブラピが出演した「スナッチ」(2000)からじゃないかと思います。

彼の作品の特徴は、登場人物が多く視点切り替えが多い、時間を遡って他シーンの裏側で起こっていたことを見せる演出、スローモーションや早回しを多用したいわゆるオシャレで「スタイリッシュ」? な映像だと思うんですが、その辺も好き嫌いが分かれるところではあるという印象があります。

ちなみに、ガイ・リッチー、本作で制作も務めたマシュー・ヴォーン、アメコミ大好きザック・スナイダーは僕の中で同じグループのイメージだったりするんですよねw

クライムコメディー群像劇

そんなガイ・リッチー監督の長編デビュー作であるこの作品は、ざっくり言うとボンクラ4人組が借金返済のために強盗団から大金と大麻を横取りする計画を立てるという物語。

エディ、ベーコン、トム、ソープの悪友4人組は一攫千金を狙って、それぞれ持ち寄った合計10万ポンドを元手に、地元のギャング ハリーとギャンブルをするもイカサマに引っかかって50万ドルもの借金を1週間以内に返済するハメに。

途方にくれるエディたちは、隣室の強盗団が大麻の売人を襲撃する計画を盗み聞き。
横取り計画を立てて、まんまと大金と大量の大麻をせしめる事に成功するのだが……。

という物語。

で、この映画はいわゆる群像劇なので、登場キャラの多さに序盤は少し混乱してしまいます。

そんな登場キャラをざっくりグループ分けすると、

1・エディ、ベーコン、トム、ソープのボンクラ4人組。
2・ギャングで賭博の元締めハリーのグループ&間抜けな泥棒2人組&親子の借金取り。
3・黒人ギャングのロリー率いるギャング団&配下の大麻密造グループ。
4・隣室の強盗団。

で、最初はバラバラに動いているこの4つのグループが、大金と麻薬と年代物のライフルを巡って地で血を洗う抗争へと集約していく様子をブラックユーモアとスラップスティック要素を入れてコミカルに描くという、後の監督作に繋がる要素全部乗せな、まさにガイ・リッチーの原点とも言える作品なんですね。

また、ジェイソン・ステイサムの俳優デビュー作でもあり、ロック様や巨大ザメと戦う前のステイサムが見られます。もっとも、この時すでに30歳を超えていたので初々しさはないですけどもw

タイトルの意味

「ロック、ストック&トゥー・スモーキング・バレルズ 」という長いタイトル。
これは、「ロック・ストック・アンド・バレル」という慣用句をモジった造語で、ロック=発射装置、ストック=銃床、バレル=銃身をそれぞれ表し、三つが揃って銃が完成することから、「一切合切」「すっかり」という意味なのだそうです。

「~『トゥー・スモーキング』・バレルズ」となっているのは、劇中で登場する2丁のアンティーク銃を指していて、このライフルを撃つと硝煙がたつ→銃撃戦を連想させる&最後は煙のように消えてしまうみたいな、複数の意味が込められているっぽいです。

ガイ・リッチーのオリジナリティー

本作から遡ること数年前、タランティーノの「レザボアドックス」や「パルプフィクション」が大ヒットしたことで、ガイ・リッチーは英国版タランティーノなんて(本人にしてみれば)不名誉な呼ばれ方をして当時はタランティーノフォロワー的な扱いだったし、僕も「スナッチ」を観た時は僕もそう思ってましたが、今こうして長編デビュー作を振り返ってみると、やっぱり違うなーと。

スローモーションや早回し、カメラを動かしまくりの映像的特徴だけじゃなくて、ストーリーテリングにも、ガイ・リッチー独自のオリジナリティーがしっかりあるんですよね。

続く2作目の「スナッチ」は、本作と同じスタイル、アイディア、モチーフを踏襲していて、本作より映像的にも物語的にも洗練された印象ですけど、個人的には(デビュー作ならではの粗さや拙さも含めた)勢いが感じられたし、これだけ沢山のキャラクターを登場させながら、観ているこっちが混乱しないように最終的に一つの物語に集約させる構成力は素晴らしいと思いました。
まぁ、物語のピースを揃えるために登場するキャラやエピソードがないとは言わないけど、それぞれのキャラクターがちゃんと立っているので、それほど気になりませんでしたねー。

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痛々しいほどリアルで美しい傑作!「ぼくの名前はズッキーニ」(2018)

ぷらすです。

今回ご紹介するのは、スイス・フランス合作のストップモーションアニメ『ぼくの名前はズッキーニ』ですよー!

ストップモーションアニメという手法から、ついつい観る前は子供向けの寓話的なファンタジーだろうと思いこんでいたんですが、実際に観たらとんでもない。
痛々しいくらいにリアルで美しい物語でしたねー!

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画像出典元URL:http://eiga.com

概要

第89回アカデミー賞長編アニメ映画賞ノミネートをはじめ、世界中で旋風を巻き起こしたストップモーションアニメ。母親に先立たれて施設に入れられた主人公が、仲間たちと信頼関係を築いていく様子を映し出す。これまで短編アニメを手掛けてきたクロード・バラスが監督を担当。長い時間を費やして丁寧に制作されたアナログな人形たちによるアニメに注目。(シネマトゥデイより引用)

感想

原作について

本作の原作は、フランスの作家ジル・パリスによる2002年の同名小説。
日本では2004年にポプラ社から『奇跡の子』として邦訳版が刊行され、その後、2018年、映画公開に合わせて新装改訂版『ぼくの名前はズッキーニ』としてDU BOOKSから刊行されたそうです。(恥ずかしながら僕は未読)

本作は2007年のフランスの実写テレビ映画『C'est mieux la vie quand on est grand』に次く2度目の原作小説の映像化作品なんですね。

大人向けに書かれた(らしい)の原作はそれなりに長い作品らしいんですが、本作では原作から物語の肝となるエピソードを抜き出して、かなりコンパクトにまとめているようです。
また、子供でも観られるようにキャラクターを整理し、エピソードの細部も改変し、ラストでは原作の後日談とも言えるオリジナルシーンを付け足しているのだそうです。

ざっくりストーリー紹介

僕は今回ほぼ事前情報なしで本作を観たんですが、上記したように観る前はストップモーションアニメということもあり、また人形の造形のデフォルメ具合から「子供向けのファンタジーだけど、大人も楽しめる寓話的な映画なのだろう」と思ってたんですね。

しかし、それはとんでもない勘違いなのだと開始5分で気づきましたよ。

本作の主人公で9歳の少年“ズッキーニ”は、父親が若い女と浮気して出て行って以来、アル中でネグレクト(&家庭内暴力も?)な母親と二人暮らし。

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画像出典元URL:http://eiga.com  / 主人公のズッキーニ

ズッキーニは父親から貰った凧や、母親が飲んだビールの空き缶でいつものように遊んでいたんですが、“ある事故”で母親は死亡。ズッキーニは様々な事情で親に捨てられたり、引き離された子供たちと共に孤児院「フォンテーヌ園」で暮らすことになる――というストーリー。

ズッキーニ(Courgette)は、元々「のろま」や「石頭」を意味するCourge(コルジェ)という言葉から派生したそうで、本国では人を馬鹿にした蔑称として使われているのだとか。

主人公の本名はイカールですが、しかし彼は母親がつけた“ズッキーニ(Courgette)”というニックネームにこだわります。

日本人の僕らには分かりにくいですが、このニックネームの件一発でゴチャゴチャ説明しなくても、この親子の関係が分かる仕組みになっているんですね。

本作はそういう細かいディテールが満載で、かつ小道具を使った演出や映像的な情報量も多く、たった65分の作品ですが、かなり見ごたえがある作りになっているのです。

また、子供たちや役者陣に、声だけではなく実際に演技をさせて動きをトレースする「ロトスコープ」技法も使っているそうで、だからなのか、こんな頭でっかちの人形なのに、凄く実在感があるというかリアルな動きや表情をしていて、実写以上に実写を観てる感じがするし、キャラクターへの感情移入度がハンパないんですよねー。

多分、これを実写で撮ったら、普通にいい話で終わってたんじゃないかな。

登場キャラクター

そんな本作ではズッキーニ以外にも魅力的なキャラクターが登場します。

孤児院のボス、シモンは両親が麻薬中毒でフォンテーヌ園に保護されます。

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画像出典元URL:http://eiga.com / 本当は心優しいシモン(左)

最初いじめっ子的な感じで登場しますが、実は心優しい少年で、ズッキーニとケンカして親友になります。

カミーユはズッキーニの後にフォンテーヌ園にやってきた女の子。

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画像出典元URL:http://eiga.com / ズッキーニが恋するカミーユ(右)

少し大人びたハスキー声の彼女にズッキーニは恋をしてしまうんですね。
両親は母親の浮気が原因で刃傷沙汰となり両親が死亡。
補助金目当てで彼女を引き取ろうとする叔母に抵抗します。

アメッドは、父親がナイキ欲しさに強盗で刑務所に入れられたのでフォンテーヌ園に保護された少年。
純粋で、少し天然の彼は(本人の意思に反して)場の雰囲気を盛り上げるムードメーカーです。父親を捕まえた警察官全般を憎んでいます。

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画像出典元URL:http://eiga.com  / アメッド(左)ジュジュブ(右)

ジュジュブの母親は精神病に掛かって入院。彼は園に保護されます。
歯磨き粉も食べちゃうくらい食いしん坊で神経質。大親友のアメッドとはいつも一緒にいます。

 

ベアトリスの母親はアフリカ系の不法移民で、彼女が学校に行ってる間に強制退去させられました。
園に車が来るたびに母親かと飛び出してくるのがお約束。
とても優しい女の子です。

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画像出典元URL:http://eiga.com / ベアトリス(一番右)とアリス(右から2番目)

アリスは実の父親から性的暴行を受けて園に保護された女の子。
髪の毛で顔を隠して、ほとんどしゃべらない彼女でしたが、カミーユとの出会いでゆっくりと心を開いていきます。

「フォンテーヌ園」にやってきた子供は、みんな勝手な大人のせいで心に傷を負っていますが、寂しさを抱えながらもみんな健気でしなやかな強さを持っているのです。

そして、そんな重たい背景を持ち傷ついている子供たちを優しく見守る園長や職員と心優しい警察官レイモン。
子供たちを傷つけるのも大人ですが、子供たちを守るのもまた、大人なんですよね。

原作者のパリスは、取材のため孤児院で1年間働き、バラス監督も孤児院の子供たちと3週間共同生活したそうです。

だからこそ、劇中の子供たちに寄り添うような優しい目線で物語が描かれているのかもしれませんね。

傷を負い孤独を抱えた子供たちが、孤児院というコミュニティーの中で寄り添うように互いの居場所を作り、笑い合ったり励まし合ったりしながら成長していく姿や、里親に引き取られることになった仲間の背中を押してあげる描写には、おじさん不覚にも号泣でしたよ!・゜・(ノД`)・゜・

昨年、今年は、人形を使ったストップモーションアニメの当たり年でしたが、本作はそれらの作品とはまた一味違った、傑作になっていると思いましたねー!

興味のある方は是非!!!

 

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僕らのマッコール師匠が帰ってきた!「イコライザー2」(2018)

ぷらすです。

観てきましたよイコライザー!!

いやもうね、前作では描かれなかったマッコール師匠の過去を掘り下げて映画としてもスケールもアップするという、まさに正統派続編って感じでしたねー!

というわけで、まだ公開されたばかりの映画なので、出来るだけネタバレしないように注意して感想を書きますが、もしこれから本作を観に行く予定の方は、先に映画を観てからこの感想を読んでください。

いいですね? 注意しましたよ?

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画像出典元URL:http://eiga.com

概要

トレーニング デイ』のデンゼル・ワシントンアントワーン・フークア監督が組んだクライムアクション『イコライザー』の続編。元CIAの工作員が、親友の死の真相を追う。前作に続きフークア監督がメガホンを取り、メリッサ・レオビル・プルマン、ドラマシリーズ「ナルコス」などのペドロ・パスカルらが共演。(シネマトゥデイより引用)

感想

イコライザー」とは

まず、前作を観たことのない人にどんなストーリーだったかをザックリ説明すると、

ホームセンターの店員で、不眠症強迫症(っぽい)のマッコール師匠は、実は元CIAの特殊工作員っていうか暗殺要員。
そんな彼が深夜のダイナーで顔見知りになった娼婦の女の子(クロエ・グレース・モレッツ)を救うため、ロシアンマフィアをDIY精神で殲滅するという物語でした。

そんなマッコール師匠を演じるのは、オスカー俳優のデンゼル・ワシントン

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画像出典元URL:http://eiga.com / 我らがマッコール師匠が帰ってきた!

いわゆるビジランテ(自警団)系の歪なダークヒーローを、実力派のデンゼル・ワシントンが演じるという衝撃のデビューを果たした前作は「ナメてた相手が殺人マシーンでした」(©ギンティー小林)映画の歴史に新たな1ページを刻むわけです。

そんな前作の大ヒットを受けて作られた本作は、前作から引き続きデンゼル・ワシントンと盟友アントワーン・フークア監督がタッグを組み、前作では語られなかったマッコール師匠の過去を掘り下げながら、さらにスケールアップさせるという正統派な続編になっているんですね。

マッコール師匠転職!

前作ではホームセンターの店員だったマッコール師匠、ほんのりサイコパス感があり、娼婦の少女を救うためロシアンマフィアに単独カチコミをかけるという姿が若干「タクシードライバー」(1976)っぽいと思ってたら、なんと本作ではウーバーを使った自家用タクシーの運転手に転職してましたw

ホロコーストを生き延びた老人や、女子小学生、アル中のおっさん、イラクに従軍する若者、近く結婚するカップルなどなど、色んなお客をマイ・セダンで運ぶマッコール師匠。アパートの住人とのご近所付き合いも良好で、前作同様神経質なくらいの几帳面さは残っているものの、若干、人間味が増している印象でした。(前作では「善き人」であろうと努力している感じだった)

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画像出典元URL:http://eiga.com / 同じアパートに住む若者を悪の道から救う父親っぽい一面も

しかし、彼も元女上司で唯一の親友スーザン(メリッサ・レオ)が何者かに惨殺される事件が発生。
怒り心頭のマッコール師匠は復讐のためスーザンが殺された原因を調査し始めるのだが……。というのが本作のストーリーなんですね。

マッコール師匠、今回も健在!

前作では、目につくものは何でも武器にして戦う創意工夫溢れるアクションでファンの度肝を抜いたマッコール師匠。続く本作でも、その姿勢は健在です。

映画冒頭、離婚の腹いせに奥さんから子供を奪った男とその仲間を、熱湯、グラス、ティーポットで倒し、インターンの女の子に薬を飲ませて乱暴する金持ち社長のボンクラ息子どもを彼らのブラックカードでスパっと切り(さすがブラックカード。切れ味がいい)、もちろん(敵が持っていた)ナイフや拳銃も使いこなすし、車、小麦粉など、何でも武器にしながら、(前回ほどではないですが)創意工夫で次々と敵を瞬殺していくんですね。

 このシリーズの欠点として、マッコール師匠が強すぎてハラハラしないってのがあるんですが、本作では近しい普通の人々が敵に人質にされることでハラハラ感を演出。
しかし、師匠は師匠で敵の奥さんと娘を人質にするので、どっちもどっちだったりするし、結果的に敵側に同情すら覚えてしまうのですw

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画像出典元URL:http://eiga.com  / クライマックスはまさに西部劇のよう。

それまでは、一応相手にこのままやり合うか、改心するかの選択の機会を与えていた師匠ですが、スーザンの敵と対面したときは「お前ら全員ぶっ殺す。一回しか殺せないのが残念」ととてもヒーローにあるまじきセリフを吐く師匠。
でも、これはそのくらい支障が怒り心頭であることを表しているんですよね。

目の前で師匠にこんなん言われたらシッコちびるわ。((((;゚;Д;゚;))))カタカタカタカタカタカタカタ

あと、師匠の怖いところは、やり合う前に言葉でじわじわ相手を追い詰めるところ。
本作冒頭でも、トルコに向かう列車の中で、ターゲットと最初は友好的に話しているけど、「探し物をしている」と切り出し、相手が「トルコならなんでも見つかる」と相手が返したところで「離婚の腹いせに奥さんから子供を奪った男も見つかるかな……それともトルコに向かう途中で見つかるかな」と相手を追い詰めてからの、襲いかかってきた仲間を瞬殺→「体の痛みと改心の痛み、どちらを選ぶ?」と迫るわけですよ。

もうね、やり口がアウトレイジと一緒だよ!

デンゼル・ワシントンの名演

そんなマッコール師匠とうマンガみたいなキャラクターに質量を与えているのが、デンゼル・ワシントンの重厚感溢れる演技。

良い人から恐ろしい悪役まで何でも演じちゃうデンゼル・ワシントンですが、彼の演技の凄みが分かるのが、デップーの中の人ことライアン・レイノルズと共演した「デンジャラス・ラン」(2012)で、デンゼル演じる元CIA局員がライアンに射殺されるシーン。

デンゼルが死ぬ瞬間、僕は観てて「わ、本当に死んだ!」って思ったくらいで、デンゼルの体から魂が抜けたのが分かるんですよ。

映画の内容はほとんど覚えてないけど、このデンゼルの死ぬ演技だけは今でも記憶に残ってますねー。

そんな名優、デンゼル・ワシントンが演じているからこそ、マッコール師匠のちょっとした表情や動きから、細かい心の機微まで観ているこっちはハッキリと感じ取る事が出来るし、だから半分サイコパスっぽい師匠から垣間見える人間味や悲しさみたいな部分に共感してしまうのです。

すでに還暦を越えてるデンゼル・ワシントン
そろそろアクション映画は厳しいとは思いますが、出来るなら続編が観たいですねー!

興味のある方は是非!!!

 

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スピルバーグ、もう一つの遺言「ペンタゴン・ペーパーズ 最高機密文書」(2018)*ネタバレあり

ぷらすです。

今回ご紹介するのは、「レディ・プレイヤー1」とほぼ同時期に、スピルバーグ史上最短のスピードで製作された『ペンタゴン・ペーパーズ 最高機密文書』ですよー!

本作を観た人は多分、誰もが思う事だと思うんですが、「レディ~」と本作をほぼ同時進行で作っちゃうとか「スピルバーグ、マジヤベェ!」って思いましたねーw

あ、ちなみに、本作は史実を元にしているので、今回はネタバレ全開で感想を書きます。
なので「ネタバレは嫌」という人は、先に映画を観てからこの感想を読んでくださいね。

いいですね? 注意しましたよ?

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画像出典元URL:http://eiga.com

概要

メリル・ストリープトム・ハンクスが共演し、スティーヴン・スピルバーグがメガホンを取った社会派ドラマ。実在の人物をモデルに、都合の悪い真実をひた隠しする政府に対して一歩も引かない姿勢で挑んだジャーナリストたちの命懸けの戦いを描写する。『コンテンダー』などのサラ・ポールソンやドラマシリーズ「ベター・コール・ソウル」などのボブ・オデンカークらが出演。脚本を『スポットライト 世紀のスクープ』で第88回アカデミー賞脚本賞を受賞したジョシュ・シンガーらが担当した。(シネマトゥデイより引用)

感想

「レディ・プレイヤー1」と公開が近かった事もあって話題になった本作。「レディ~」の製作期間中だった2017年5月30日にユニット撮影を開始してたった50日間で完了。同年の12月には公開したという、(もともと早撮りで知られるスピルバーグが手がけた中でも)最短を記録した作品なのだそうです。

では、なぜそこまでスピルバーグが急いで本作を公開したかったのかというと、トランプが大統領に就任したからだそうで、「この作品はすぐ作ってすぐ公開したかった」と、トランプ大統領就任から45日めにスピルバーグは本作の製作を発表したんだそうです。

つまりスピルバーグは、ベトナム戦争が泥沼化している1971年に起こった実際の事件を通して、アメリカの「今」を描いたんですね。

ペンタゴン・ペーパーズとは

本作の元になった「ペンタゴン・ペーパーズ」事件をざっくり説明すると、国際安全保障問題担当国防次官補のジョン・セオドア・マクノートンが命令して作らせたベトナム戦争トンキン湾事件に関する国家機密文章が流出し、それをニューヨークタイムスがスクープします。

それで、これまでの歴代大統領による発表がとんだ嘘っぱちだった(勝ち目のない戦争で多くの若者の命が失われた)ことが明るみになり大騒ぎに。
これに慌てたニクソン政権はニューヨークタイムスを訴えるんですが、同時期に独自のルートから機密文章ほぼ全文を入手したワシントンポストが記事にしたことで、他の新聞社も追従。

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画像出典元URL:http://eiga.com

ニューヨークタイムス&ワシントンポストは、「国家機密文章漏洩」の罪で政府に告発され裁判で争うも表現・報道の自由が認められ勝訴したわけです。

本作では、当時まだ地方紙に過ぎなかったワシントンポストの女性社主キャサリン・グラハム(メリル・ストリープ)と、編集主幹のベン・ブラッドリー(トム・ハンクス)にスポットを当てて、この事件の顛末を描いているんですね。

イムリミットは10時間

そもそも、この機密文章のコピーをリークしたのは、ジョン・セオドア・マクノートンの命令でベトナム戦争の様子を前線で記録していた国防総省勤務のダニエル・エルズバーグ

彼は責任逃れのために勝てない戦争を続ける政府に義憤を覚え、密かに持ち出してはコピーしていた「ペンタゴン・ペーパーズ」をリーク。
ニューヨークタイムスは3ヶ月間をかけて事実を精査し、記事を掲載したわけです。

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画像出典元URL:http://eiga.com

特ダネを独占されたワシントンポストのベンは、機密文書を手に入れる為に、マクナマラと仲が良い社主キャサリンに文書を入手するよう懇願しますが、キャサリンは家族ぐるみの親友であるマクナマラをこれ以上の窮地に陥れることを躊躇するんですね。

翌日、謎の女性によってワシントンポストにも機密文章の一部が持ち込まれますが、しかし、その文章はすでにニューヨークタイムスが記事にしているものでした。

さらにニューヨークタイムズは、機密文書に関する記事を掲載したことで、ホワイトハウスからの圧力がかかり、出版差し止め命令を受けてしまいます。

一方、独自に機密文書の入手に動いていた新聞記者バグディキアンは、友人だったエルズバーグの居場所を突き止め、膨大な量の機密文書を入手。

ベンは翌朝の新聞に掲載するため自宅に精鋭を集め機密文章を解読、記事を書かせますがイムリミットはたった10時間。しかも機密文章の記事を掲載することは政府の圧力によって会社が潰されかねないリスクも抱えているのです。

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画像出典元URL:http://eiga.com

キャサリンに掲載を迫るベン。止めさせようとする役員幹部。
イムリミットが迫る中、キャサリンはマスメディアとしての正義を貫くのか、それとも会社を守るのかの判断を迫られるという作品なんですね。

二つのテーマ

本作には二つの大きなテーマがあります。

一つは、女性蔑視問題
もともと、ワシントンポストはキャサリンの父親が社主で、父親はキャサリンの夫に跡目を継がせ、その事にキャサリン自身も納得していたんですね。
ところがある日、夫が自殺、キャサリンは迷った末に自ら社主となる決心をするわけです。
しかし、取引銀行や株主、幹部役員の多くはキャサリンをお飾りのように扱い、彼女が独断でベンをスカウトしたことにも納得していないし、キャサリン自身も会社を担う重責に自信が持てていないのです。

本作は、そんなキャサリンが会社の存続に関わる大きな決断を下すことで成長・自立する姿を描いているんですね。

裁判の後、ニューヨークタイムズ側にマスコミ陣が群がるのを横目に階段を降りるキャサリンのもとには女性たちが集まっているという構図は、本作のそうしたテーマを象徴的する表現だと思いましたねー。

そしてもう一つは、マスメディアの意義

新聞に記事を掲載したことで、ニューヨークタイムス、ワシントンポスト両社は政府に起訴を起こされるわけですが、判決は新聞社側の勝訴でした。それはアメリカ合衆国憲法修正第1条「表現と報道の自由が認められたからなんですね。

本作ではマスメディアの姿勢や役割について、人を変え、言葉を変えながら繰り返し語られています。
そして、これはもう言うまでもなく、権力によって言論やマスメディアに圧力をかけるトランプ政権への批判でもあり、全ての報道と表現者へのスピルバーグからの警鐘とエールでもあるわけです。

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画像出典元URL:http://eiga.com

あと、これは余談ですが、インタビューでスピルバーグは本作を「(自分の)ツイートみたいなもの」と言ったらしいですが、これはもちろん何かとツイートが話題(問題)になるトランプ大統領への当てこすりですよね。

温厚そうな顔して、しれっと毒を吐くスピルバーグ御大、流石ですw

スピルバーグ、もう一つの遺言

同時期に撮られていた「レディ・プレイヤー1」は、スピルバーグから次世代のクリエイターを目指す若者たちへ向けた、ある意味「遺言」的な意味合いを持つ作品だったわけですが、本作はそんな若者たちをサポートするべき大人たちに向けた「遺言」なのだと思います。

そしてこの両作、もっと言えば「カラーパープル」以降、彼は作品を通して常に「自由」の大切さを全世界の人々に説いているのだと思います。

エピローグについて

本作を観た人の中にはラストのエピローグ(警備員の件)がピンと来なかった人もいるんじゃないでしょうか?
あれは、その後ニクソン大統領が辞任に追い込まれる事になる「ウォーターゲート事件」の始まりを描いているんですねー。
どういうことか気になった人はウィキペディアで調べてみてくださいw

あと、最後に「ノーラ・エフロンに捧げる」ってクレジットが出ますが、ノーラ・エフロンは、本作の後日談とも言える『大統領の陰謀』監督バーンスタイン奥さんで、脚本を推敲する過程で彼女も(クレジット無しで)関わっているってことらしいです。

 

まぁ、こんなふうに書くと何か重くて堅苦しい映画みたいに思われてしまうかもですが、そこはスピルバーグですからね。
メッセージやテーマ性を入れ込みつつ、エンターテイメント映画として誰でも楽しめる超面白い映画になってました。

ただ、早口で食い気味なセリフが多い映画なので、字幕より吹き替えで観たほうが楽しめるかもしれません。

興味のある方は是非!!

 

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