今日観た映画の感想

映画館やDVDで観た映画の感想をお届け

お見事! 韓国発の傑作ゾンビ映画「新感染 ファイナル・エクスプレス」(2017)

ぷらすです。

今回ご紹介するのは、昨年公開され日本でもネットを中心に話題になった、韓国発のゾンビ映画新感染 ファイナル・エクスプレス』ですよー!

公開時から話題だったし評判も良かったので、映画館に行くべきかとかなり悩んだんですが、怖い映画を映画館で観る勇気が出なかったので、ずっとDVDを待ってたんですよねー。(←ヘタレ)

で、今日やっと観ることができたんですが………………やっぱ映画館で観れば良かったーーー!! と激しく後悔してしましたよぉぉ。|||orz

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概要

カンヌ国際映画祭やシッチェス・カタロニア国際ファンタスティック映画祭などで話題となったパニックホラー。感染した者を凶暴化させる謎のウイルスが高速鉄道の車両内にまん延する中、乗客たちが決死のサバイバルを繰り広げる。『トガニ 幼き瞳の告発』『サスペクト 哀しき容疑者』などのコン・ユらが出演。群れを成して襲い掛かる感染者たちに恐怖を覚える。(シネマトゥデイより引用)

感想

「この手があったか!」と思わず膝を打つ見事な設定!

2016年、大泉洋有村架純ら豪華キャストで作られた国産ゾンビ映画アイアムアヒーロー」。
ゾンビのデザインや見せ方にジャパニーズホラーのテイストを持ち込み、斬新な映像とビックバジェットで、邦画ホラーとしても、漫画原作の映画としても異例の大ヒットになったのは記憶に新しいところ。

この作品を観て僕は「これ以上のアジアンゾンビ映画はしばらく出てこないだろう」とタカを括っていたんですが、なんと昨年、お隣の韓国がとんでもないゾンビ映画を送り込んできましたよ!
それが本作「新感染 ファイナル・エクスプレス」(原題「부산행」直訳すると「釜山行き」)なのです!

本作最大の特徴は、何といっても狭い列車の中という限定された空間で物語が進んでいくところで、僕は観ながら「その手があったか!」と思いましたねー。

というのも、一般人が銃(飛び道具)を持たない国でゾンビ映画を成立させるのって、案外難しいんですよね。ゾンビの醍醐味は大量のゾンビが人間に襲いかかってくるっていう「多勢に無勢」的な怖さなので、人間がゾンビに対抗するには、離れた場所から一発で仕留めることの出来る飛び道具は必要不可欠なのです。

ところが本作では、動きが制限される列車という空間に舞台を限定することで、人間とゾンビのパワーバランスを上手く釣り合わせることに成功し、さらに狭い空間の中にギュウギュウにゾンビを詰め込むことで、画面的にも迫力と恐怖感を倍増させ、一両ずつドアで区切られている列車の特性を物語に盛り込んでいくことで、物語にサスペンスフルな展開を演出しているんですね。

しかも、そんなゾンビ映画としてはある意味で変化球的な作りにも関わらず、いわゆる「ゾンビマナー」はしっかり踏襲していて、その上でアジア映画ならではの、ウエットで細やかな人間ドラマも上手く世界観に入れ込んでいる脚本は、「お見事!☆拍手!!(゚∇゚ノノ\☆(゚∇゚ノノ\☆(゚∇゚ノノ\喝采!!☆」と言うしかないって思いましたねー!

ざっくりストーリー紹介

映画冒頭、道路に『防疫所』が設けられ、養豚業のトラックを消毒しています。
この時、養豚業の男性と消毒を行う係員の間で短い会話が交わされ、その後走り出したトラックに鹿が激突。
道路に鹿を放置してトラックがそのまま走り去ったあと、死んだはずの鹿がムクっと起き上がるという、この短い描写でこの後、劇中で何が起こるかを提示する見事なオープニングにもう脱帽。韓国映画はこういう演出が本当に上手いんですよね。

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画像出店元URL:http://eiga.com  / コン・ユ演じる主人公のソグ

舞台変わって、妻と別居し、老母・娘のスアン(キム・スアン)と暮らす、ファンドマネージャーで仕事人間のソグ(コン・ユ)とスアンのやり取りから、舞台となる列車「KTX101」へ乗り込ませる自然な導入と、その合間にもジワジワとゾンビが増えていく様子の断片を入れ込むのも上手いし、列車が発車するまでに主要キャラクターと、後の伏線となるそれぞれの性格をそれとなく紹介していく手際の良さも素晴らしい!

やがて、釜山に向かって出発した列車の中でゾンビは急増し列車内は大パニックに……。

とまぁ、基本的にはゾンビ映画のテンプレに沿った作りではあるんですが、本作が優れているのは、ゾンビ映画に乗り物パニック映画の要素を入れたことで、列車が動いている間は物語も止まることなく動き続けるというところなんですよねー。

つまり、この映画には「ダレ場」がないんです。

それでいて、極限状況下でのソグとスアンの関係の変化や、最初はお互いにいい感情を持ってなかった、サンファ(マ・ドンソク)とソグが、物語が進むうちに次第に気の置ける相棒になっていくなどの人間ドラマなどを、必要最低限のセリフと、動きや表情で観せていき、それが後の感涙ポイントの伏線にもなっていくっていう、もうね、ほんとに隙がないんですよねー。韓国映画恐るべしです!

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画像出店元URL:http://eiga.com / ゾンビの習性を利用しての脱出計画にハラハラ…

このキャストに注目!

そんな本作では数人のキーパーソンというべきキャラクターが登場します。

主役であるソグスアンの親子、プロレスラーのような厳つい肉体のサンファと妊娠中の妻ソンギョン(チョン・ユミ)、高校生野球チームのヨングク(チェ・ウシク)とマネージャーのジニ(アン・ソヒ)、お婆ちゃん姉妹のインギルとジョンギル、そして高速バス会社常務であるヨンソク(キム・ウィソン)。

 

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画像出店元URL:http://eiga.com / (左から)ソグ&スアン、サンファ&ソンギョン、ヨングク&ジニ 

特に注目して欲しいのはキム・ウィソン演じるヨンソクで、ネタバレになるから詳しい事は書けませんが、コイツが最初から最後までずっと憎たらしいっていうねw
特に中盤と終盤でのコイツの行いは「コイツ本気(と書いてマジ)で超ひどい死に方すればいいのにぃぃぃぃ!」と、激オコ間違いなしですよ! ι(`ロ´)ノムキー

それとは対照的に気は優しくて力持ちな、マ・ドンソク兄貴演じるサンファはもうね。
ホント頼りになる“漢”で、もし僕が女性だったら「抱かれたい男選手権殿堂入り」確定ですよー!!

ジニちゃんもええ子だし、ソンギョン姐さんはさすがサンファが惚れた女って感じだし、そして何といっても、スアン役のキム・スアンちゃんですよ!

ぶっちゃけ「うわ、美少女!」って感じではない普通の子なんだけど、自分勝手なソグの娘とは思えないくらい優しいええ子でしてね。
この子の悲痛な泣き声と歌声には、もう、涙腺が完・全・決・壊!でしたよ!・゜・(ノД`)・゜・

あえて言うなら

もちろん、何もかもが完璧というわけではなく、やっぱり多少ご都合主義に感じる部分もあったし、ツッコミどころもないではない(例えばガムテープを巻く面積少なくね? とか、なぜ脱ぐ!? とか)んですが、トータルで見れば「泣けるゾンビ映画」という新境地を切り開いた緻密に計算された脚本や、ゾンビ映画マナーを踏襲しつつの新鮮なゾンビ描写など、もう、ホント大満足でしたー!!

興味のある方は是非!!

 

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リドスコが本当に描きたいモノとは「エイリアン: コヴェナント」(2017)

ぷらすです。

今回ご紹介するのは、みんな大好きリドスコこと、巨匠リドリー・スコット監督の人気シリーズ「エイリアン」の前日譚で「プロメテウス」の続編『エイリアン: コヴェナント』ですよー!

ファンの間でも賛否両論、なんなら否の方が優勢な本作ですが、実際観てみると確かにツッコミどころ満載でしたねーw

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概要

巨匠リドリー・スコット監督がメガホンを取った『エイリアン』シリーズの原点となるSFホラー。移住のため宇宙船コヴェナント号で旅立ったクルーたちが、ある惑星で遭遇した出来事を描写する。アンドロイドを『スティーブ・ジョブズ』などのマイケル・ファスベンダーが演じ、ヒロインを『ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅』などのキャサリン・ウォーターストンが熱演。スコット監督が構築した世界観と衝撃の展開に絶句する。(シネマトゥデイより引用)

感想

まず感想の前に書いておきますが、僕はこのシリーズ、最初の「エイリアン」と「プロメテウス」と本作しか観てないという俄(ニワカ)だし、このシリーズに対して熱量もそれほど高くないです。

っていうか、「プロメテウス」の内容もほぼ忘れかけてて、本作を観てても「デヴィッドって誰だっけ?」 とか「ショウ博士って誰だっけ??」とか思い出すのに苦労する始末。

なので、ファンの人からしたら、「お前、何言ってんだ」的な事を書いてしまうかもですが、生暖かい目で読んでいただけたら嬉しいです。(事前の言い訳)

「エイリアン」と「プロメテウス」と本作

宇宙船クルーが、未知の宇宙生物に次々襲われるという恐怖を描いた、1979年の公開のSFホラー作品「エイリアン」
それまで、多くのCM製作で名を知られていたリドリー・スコット監督は、この「エイリアン」と82年公開の「ブレードランナー」で、一躍映画界に名前を轟かせました。

公開されるや世界的な大ヒットとなった「エイリアン」は、86年にジェームズ・キャメロン監督で続編「エイリアン2」、92年にデヴィッド・フィンチャー監督で「エイリアン3」と続きましたが、98年にジャン=ピエール・ジュネ監督の「エイリアン4」を最後に一度スクリーンから消え去ります。

そんな「エイリアン」シリーズの最新作が、1作目を担当したリドリー・スコット監督で作られると話題になったのが前作「プロメテウス」で、これは79年の「エイリアン」へと続く前日譚でしたが、公開後、ファンの多くが「エイリアン出てこねーじゃねーか!ヽ(`Д´)ノ」と不満の声を上げる結果に。

そんなファンの声に逆ギレしたリドスコが、「そんなに見たいならエイリアン見せたらー!ヽ(`Д´)ノ」と製作した続編が、本作「エイリアン: コヴェナント」です。(嘘

プロメテウスのざっくりストーリー説明

ちなみに前作「プロメテウス」がどんなストーリーかをざっくり説明すると、超金持ちのお爺ちゃんが、寿命を延ばしてもらうために神様に会いに行ったら逆ギレされまして、「エイリアンばら撒いて地球を滅ぼしたるわー!」と地球に向かおうとしたので宇宙船をぶつけたりエイリアンを嗾けて神様をぶっ殺し、生き残ったヒロインとアンドロイドが、地球じゃなくて神様の星に向かうシーンで終わる物語です。

本作のざっくりあらすじ

「プロメテウス」から15年後。

新しい星に移住しようと、2000人の人間や植物動物を乗せて宇宙を航海するコヴェナント号。
ところが宇宙船の充電中に、近くの超新星爆発によるニュートリノ衝撃波に巻き込まれて大惨事に。冷凍睡眠から強制的に目覚めさせられた乗組員が船を修理してると、近くの星から謎の声が聞こえてくるんですね。

その星は、今まで発見されてなかった星で、地球とほぼ変わらない環境だということが分かり、「こっから7年かかる星より2週間で行けるあの星に移住すんべー」と、心配性のヒロインの反対を押し切ってその星に乗り込んだ乗組員たちが、次々にエイリアンに襲われます。

そんな彼らを助けてくれるのが、コヴェナント号に乗り込んで船の補修や冷凍睡眠中の乗組員たちの面倒を見ていたアンドロイド、ウォルターそっくりで、前作でも登場したアンドロイドのデヴィッド。

最初は「デヴィッドいい人…」と思ってた乗組員ですが、次第にデヴィッドの様子がどうもおかしい事に気づき始め……。

という物語なんですね。

で、これは多くの人が批判しているポイントなんですが、もうね、この乗組員たちが全員バカ

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何年も入念に調査して決めた移住先の星に向かう途中で、丁度良さげな星を偶然見つけたからって、「ガストは遠いし、腹ペコだからそこのココイチで良くね?」みたいなノリで進路変更。

さらに、いくら地球と環境が似てるとはいえ、防護服もなしにピクニック感覚の軽装でホイホイ未知の星を散策するわ、案の定エイリアンに寄生されるし、襲われたときにパニクって一台しかない探査船の中で銃を打ちまくって爆発させて戻れなくなるし。

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なんかもう、一事が万事そんな調子で、彼ら彼女らが非道い目に遭ってても「自業自得だしなー……」と、まったく同情出来ないんですよねー。

ただ、批判されるだろうことは(多分)リドスコだって百も承知。っていうか、多分そんな事は彼にとってどうでもいいわけですよ。

この映画に登場するエイリアンも人間も、リドスコにとっては「描きたいシーン」のために払う税金みたいなもんで、「ほれ、人間がエイリアンに襲われてるぞ。お前らこれが観たかったんだろ?」っていう、半分皮肉みたいな気持ちなんだと思うんですよねー。

あちこちで「エイリアン」のセルフパロディーみたいなシーンがあるし、一応主人公でヒロインのジャネット・ダニエルズ(キャサリン・ウォーターストン)の服装なんて、まんま「エイリアン」のシガニーウィーバーでしたしね。

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では、この作品でリドスコが本当に描きたかったのは何かといえば、前作にも登場したアンドロイド、デヴィッド(マイケル・ファスベンダーなのです。

デヴィッド=リドスコ

本作の冒頭、「プロメテウス」では死に損ないのお爺ちゃんだったピーター・ウェイランド(ガイ・スピアーズ)が若かりし姿で、出来たてホヤホヤのデビッドと会話するシーンから物語はスタートします。

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で、微かな表情や動作なんですが、デヴィッドは創造主であるウェイランドに対して、早速失望してるように見えるんですね。

ブレラン」を始め、創造主と創作物っていう関係性は、リドスコ映画では繰り返し描かれているテーマで、それは、リドスコ自身が宗教、ことキリスト教に対して嫌悪感を持っていることが大きいようです。

前作「プロメテウス」で、人間の創造主である巨人も結局、人間と変わらない俗物だった的な描写があり、本作では自分を作り出した人間も、人間を作り出した巨人も、結局大して変わらないと絶望したデヴィッドが“どういう行動を起こしたか”が物語の中心になってるんですね。

つまり「プロメテウス」と本作は、リドスコ「神殺し」の物語であり、劇中でのデヴィッドの思想や行動は、神を否定し自らの映画で物語や人間を創造する監督=神のリドスコ自身ともシンクロしていて、映画の内と外で何重もの入れ子構造になってるなーと思いました。

この作品に限らず、彼の多くの作品で聖書や神話が引用されるのは、宗教や神話嫌いのリドスコ流解釈(or嫌がらせ)・または「神話を俺様が映画で上書きしてやるぜ! イヒヒ」みたいな部分もあるのかもしれません。リドスコはお爺ちゃんになっても、絶賛反抗期真っ最中なのです。

 ただ、その一方で神様を信じたいリドスコもチラチラ見え隠れする気がしなくもないんですけどね。
本作で言えば、それはデヴィッドと鏡合わせの存在ウォルター(マイケル・ファスベンダー一人二役)であり、ブレランならレプリカントのロイ・バッティであり。

正確には、彼自身が神を信じたいというより、純粋に神を信じる無垢な者に対する憧れなのかもしれませんが。

つまり要約すると、「か、神様のことなんか好きでも何でもないんだからね! 勘違いしないでよね!バーカ! ///」みたいな?( いや、それは違うw

まぁ、戯言はさておき、つまりはいつも通りのリドスコ映画”って感じで、(このシリーズにそれほど思い入れがないからかもですが)僕は普通に楽しめましたねー。

序盤の、コヴェナント号が充電のためにソーラーパネルを広げる様子なんかは、単純に観ていてワクワクしましたしね。

興味のある方は是非!

 

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映像も物語も素晴らしい秀作…だけど「怪物はささやく」(2017)

ぷらすです。

今回ご紹介するのは、昨年日本公開されたダークファンタジー『怪物はささやく』ですよー!

美しい映像とリアルなCG、少年の辛い現実と怪物の語る物語を交互に見せつつラストに導いていく寓話的ストーリーが、とても素晴らしい映画でした!

……けど、個人的にはちょっと思うところもある作品でもありましたねー。

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概要

パトリック・ネスによる小説を、『インポッシブル』などのJ・A・バヨナ監督が映画化したダークファンタジー。病に侵された母親と暮らす孤独な少年と、彼に「真実を語れ」と迫る怪物の奇妙な交流を描き、スペイン版アカデミー賞ともいわれるゴヤ賞を席巻した。主演は、『PAN ~ネバーランド、夢のはじまり~』などのルイス・マクドゥーガル。母親役をフェリシティ・ジョーンズ、祖母役をシガーニー・ウィーヴァー、怪物の声をリーアム・ニーソンが務める。(シネマトゥディより引用)

感想

本作は、乳がんで亡くなったイギリスの児童文学作家シヴォーン・ダウドのプロットを、イギリス在住のアメリカ人作家パトリック・ネスが引き継いで完成させた同名小説を、『永遠のこどもたち』『インポッシブル』などで知られるスペイン人監督J・A・バヨナが、ギレルモ・デル・トロの傑作ダークファンタジー『パンズ・ラビリンス』を手がけたスタッフと実写映画化した作品で、原作者であるパトリック・ネスが脚本も担当しています。

ガンに侵された母親と暮らす孤独な少年と、12時7分に現れる「怪物」との奇妙な交流を描いた叙情的なダークファンタジー?なんですねー。

ざっくりストーリー紹介

大人と子供の狭間にいる13歳の少年コナー(ルイス・マクドゥーガル)。
彼の最愛のフェリシティ・ジョーンズ)はガンに冒され、父親(トビー・ケベル)は離婚して海外に新しい家庭を持ち、祖母シガニー・ウィーバー)とはお互いに反りが合わず、学校ではいじめられているという、13歳の子供にとっては悪夢のようなヘビー過ぎる現実の中にいます。しかも、夜な夜な悪夢に苛まれうなされて飛び起きる日々。

そんなある夜の12時07分、彼のもとに巨大な木の「怪物」が現れ「三つの物語を聞かせるから、4つ目の物語はお前の真実を語れ」と命令してくるんですね。

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そして約束通り、怪物は12時07分になると少年のもとに現れて物語を語り、その間にも母親は様態が悪化し入院、厳しい祖母の家に預けられ、戻ってきた父親ともギクシャクし、学校ではいじめが続きと、彼を取り巻く環境は厳しさを増していく……。という物語。

果たして怪物が語る3つの物語にはどんな意味があるのか、少年が隠している真実とは何かが、この作品の牽引力になっています。
また、原作は寓話的ではあるけれど、児童文学というわけではなくヤングアダルト(ティーン)向け文学で、そういう意味で13歳という主人公の年齢は絶妙だなーと思いましたねー。

怪物の語る「物語」を彩る水彩アニメーション

本作の素晴らしさは、怪物の造形デザインやリアルなCG映像、そして怪物が語る「物語」を表現する水彩絵具で描かれたアニメーションの美しさです。
この水彩アニメーションは、美大を諦めた母親と、そんな母親の才能を受け継いだコナーの物語とも直結しているんですね。

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画像出典元URL:http://eiga.com / おばあちゃんはシガニー・ウィーバー

神出鬼没な怪物はCGで作られているんですが、とてもリアルでしたねー。
外だろうが家の中だろうが学校だろうが、神出鬼没でどこにでも現れるんですが、例えば学校の食堂に現れても、映像的な違和感がまるでないんですよね。

そんな、「パンズラビリンス」スタッフの技術で作り上げられた怪物の実在感が、本作のストーリーを語る上で、非常に重要な役割を果たしていたように思いました。(怪物の声とモーションピクチャーを担当したリーアム・ニーソンの演技も良かった)

怪物と少年の奇妙な交流

本作に登場する「怪物」は、最初その正体が分からず、ストーリーの経過と共に徐々にその正体が明らかになっていきます。
最初のうちはコナーの敵役なのかな? と思いながら観ていたんですが、どうやらそういうわけではないらしく、また、怪物の語る「物語」がコナーの現実とリンクしていることも徐々に分かってくるんですね。

僕は終盤まで、この怪物が少年の寂しさが生み出した、父性の象徴なんだろうと思って観ていたんですが、ラストでその正体が明らかになるシーンでは、「そういうことか」と思わずグッときてしまいましたねー。

また、「怪物」は主人公コナーが少年から青年へと成長するための通過儀礼としての役割もはたしています。そして3つの物語の後にコナーが語る真実は、むしろ現代の大人にこそ深く刺さるし共感を得られるのかもと思ったりしました。

映像も物語も素晴らしい秀作…だけど

そんな感じで、本作は映像も凝っているし物語も上手くまとまった素晴らしい秀作です。

……なんですけど、個人的には上手くまとまり過ぎている印象でしたねー。
観ている間は物語に引き込まれるし感動もするんだけど、全体的に綺麗にまとまり過ぎている分、突出した引っかかりみたいなものがなくて、良い作品なんだけど記憶には残らない感じというか。

ラストの怪物の正体が明かされるシーンでも、驚くというより納得しちゃう感じでしたしね。

だからといって、つまらないとかダメというわけではなく、全体的にバランスもいいしクオリティーの高い作品なんですけど、もっとこう、驚きや歪さがあるともっと良かった気がしました。
あと、僕の年齢的に、コナーよりおばあちゃんやお父さんの方に感情移入しちゃうってのもちょっとありましたねw
コナーと近い年齢で観れていたらもっと感情移入出来たし感動もしたかもなー。なんて思ったりしました。

興味のある方は是非!!

 

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こんな映画観た事ない!!「バーフバリ 王の凱旋 」(2017)

ぷらすです。

僕の地元でも2ヶ月遅れでついに公開されたので、連休最終日の昨日、早速観てきましたよー!!
「え、何を?」って、そんなの決まってるじゃないですか!

『バーフバリ 王の凱旋』ですよーーー! (さんハイっ!)

( ゚∀゚)o彡バーフバリ! ( ゚∀゚)o彡バーフバリ! ( ゚∀゚)o彡バーフバリ! …

この映画の感想を一言で言うなら「こんな映画観た事ない!」です!

もうね、まだ地元の映画館でこの作品が上映されてて、行こうかどうか迷っている人は、今すぐチケットの予約を取ることをオススメします

あ、ちなみにこの作品はネタバレしてもまったく面白さに影響がないので、今回の感想はネタバレします。

なので、これから本作を観に行く予定の人は、先に映画を観てからこの感想を読んでもらうのがオススメです。

いいですね? 注意しましたよ?

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あらすじと概要

伝説の戦士バーフバリの壮大な物語を描いたアクション『バーフバリ 伝説誕生』の完結編。インドの王国を舞台に、祖父から孫の三代にわたる愛と裏切りと復讐(ふくしゅう)を描く。前作同様プラバースが主人公を演じ、ラーナー・ダッグバーティ、アヌシュカ・シェッティ、タマンナー、ナーサルらも続投。監督・脚本のS・S・ラージャマウリ、撮影のK・K・センティル・クマール、音楽のM・M・キーラヴァーニらスタッフも再び集結した。

ストーリー:ある日、シヴドゥは自分が今や人々の語り草となっている伝説のヒーロー、バーフバリの息子だと知る。彼は父親の家臣カッタッパから父はある人物の裏切り行為により命を落とし、王座を追われたという話を聞く。かつて父バーフバリはカーラケーヤとの戦いに勝利し、国母シヴァガミから王位継承者として認められ……。(シネマトゥディより引用)

感想

続編だけど、この作品から観ても問題なし!

まず一番最初にお伝えしなくてはいけない事。
それは、本作が「バーフバリ 伝説誕生」の続編だということです。

「え、じゃぁ前作観ないと内容が分からないんじゃない?」と思うかもですが、心配は無用。

本作は、前作「バーフバリ 伝説誕生」のストーリーが約5分間で分かるダイジェストから始まるので、本作から見てもほぼ問題ありません。

www.youtube.com コレです。


なので、まず本作を観て、面白かったらレンタル店やネット配信などで前作をレンタルして観ればいいと思いますよー!

「足し算映画」の大傑作!

映画に限らず、多くのフィクション(小説・漫画・アニメ・ドラマなど)は、どこまで描いて、どこを観客の想像力に任せるかっていう、いわゆる引き算的な考え方で作られているし、実際僕もそういう引き算の上手い作品を好む傾向があります。

しかし、僕の心の師であるみうらじゅんさんの「(エロスクラップも)1・2冊だとバカにされたり呆れられるが、1000冊を超えれば相手は圧倒される」(意訳)の金言通り、人はケタはずれの大きさや物量を観ると、ただ圧倒され、感動してしまうもの。

そして、この映画はまさに「引き算的発想」とは真逆の、ありとあらゆる要素を足して足して、足しまくって作られた「足し算映画」の傑作なのです!

141分という上映時間の間、サスペンス・アクション・ラブロマンス・コメディー・ミュージカルと、あらゆるジャンルを内包したストーリーが展開し、それでいて無駄なシーンがほぼないっていう常識はずれの作品なんですね。

2時間20分といえば映画としてはやや長めではありますが、「長い」と感じる暇など一切なく、次から次へと津波のように押し寄せる楽しさと切なさと心強さ興奮に翻弄されているうちに、気が付けば終わってしまうのです。

そして観終わったあとには「凄いものを観た(TдT)」という感動だけが残るんですよねー!

予想の斜め上を行く圧倒的ストーリー!

この「バーフバリ」2部作は、いわゆる貴種流離譚というジャンルでして。

Wikipediaによれば「若い神や英雄が他郷をさまよいながら試練を克服した結果、尊い存在となる」物語のことだそうです。

前作では、やたらと目力の強い国母シヴァガミが命懸けで救った赤ん坊は、滝下の村で拾われシヴドゥという名の立派な青年に成長。→

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ある日、シブドゥは滝から落ちてきた木彫りの仮面に恋をして、その持ち主を探しにアホみたいに高い滝の崖壁を軽々と上りきり。→

仮面の持ち主の美女に恋したシブドゥは、彼女が寝ている隙にこっそりペア刺青を彫って恋心をアピール。二人は恋人になり。→

その娘が王家の圧政に苦しむレジスタンスで、暴君に囚われの王妃を奪還しようとしてると言えば、一人でサクッと城に潜り込んで王妃を救い。→

敵の追っ手のツルッパゲ爺さんカッタッパから、実は自分が伝説の王バーフバリの息子(=助けた王妃の実の息子)だったと知らされ。→

カッタッパによる長ーーーーーい回想シーンの末に、バーフバリを殺した裏切り者は自分だったと告白されたところで、次回作に続く。→工エエェェ(´д`)ェェエエ工

っていう映画でした。

で、本作はその続編で、シブドゥことマヘンドラ・バーフバリの父親、アマレンドラ・バーフバリの王位継承が決まった後から、彼が策略により殺されたのかまでをたっぷり描く前半と、バーフバリが、策略によって父を死に追いやった暴君バラーラデーヴァに復讐し王国の王となるまでが描かれる後半で構成されています。

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古代インドの大国マヒシュマティ王国の王位を継ぐことになったバーフバリ(パパ)は、世間を知るためお供のカッタッパと共に旅に出て。→

その旅先で出会った、クンタラ王国の武闘派王女デーヴァセーナに恋をして結婚を約束。→

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嫁姑問題で国母シヴァガミとの仲がこじれ。→

そこにつけ込んだバラーラデーヴァの策略にハメられて王位を奪われ。→

国外追放になってカッタッパに殺され。→

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ついに牙をむいたバラーラデーヴァから、シヴァ・ガミが生まれたばかりの息子マヘンドラ・バーフバリを命懸けで逃がすというパート1の冒頭までをたっぷり見せた後、ついに息子・バーフバリが民衆とともに暴君バラーラデーヴァと対決し倒すラストまでを、息つく暇もないほどのスピード感で一気に語り切るんですねー!

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圧倒的物量とCGを組み合わせ、一切の迷いなくケレンを描き切る!

とはいえ普通だったら、あまりに強すぎるチートな主人公はリアリティーが無くなるし、共感も得られないのでは……なんて、ついつい弱みを作ったり、ロジカルにパワーバランスを考えてリアルに寄せたりしがちですが、本作ではそんな“手加減”など一切なし!

圧倒的な人数のエキストラと、ハリウッドのリアル路線とは真逆の「ケレン」を強調するCG映像を組み合わせ、一切の迷いなく英雄バーフバリの超人的強さやカリスマ性を「これでもか」と描き出します。

映画冒頭で、国母シヴァガミに襲いかかる暴れ象には、象顔の神様ガネーシャの山車でドーン! 
と、力技で象を服従させるバーフバリ(パパ)。

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クンタラ王国では、デーヴァセーナと一緒に一度に7本の弓矢を射って敵を倒すバーフバリ(パパ)。

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ダムを決壊させて敵の大軍を一掃するバーフバリ(パパ)。

妻のデーヴァセーナにセクハラした男の指を切り落とした事を叱り、「俺の嫁に手を出すヤツはこうするんだ!」と、その男の首を躊躇なく刎ねるバーフバリ(パパ)。

信頼していたカッタッパに裏切られたにも限らず、死に際に「母上(シヴァガミ)を頼む」と微笑むバーフバリ(パパ)。

民衆を率いて暴君バラーラデーヴァ討伐のため、城に乗り込もうとするも跳ね上げ式の門を閉じられると、近くのヤシの木を利用して人間大砲ならぬ人間投石器方式で城壁を乗り越えるバーフバリ(息子)。

バラーラデーヴァの秘密兵器、芝刈りならぬ人刈り牛車をジャンプ一閃、ドカンと踏み潰すバーフバリ(息子)。

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 などなど。

「物理法則やリアリティーなどバーフバリの前では無力!とばかり、CG、マンパワー、常識を嘲笑うかのような斜め上の発想、スローモーションやストップモーションなどの映像技術を駆使した圧倒的なケレンと熱量で、観客を驚愕させ圧倒するのです!

ここまで一切の躊躇なくバーフバリのスーパーパワーとカリスマ性を見せつけられたら、僕ら観客だってもう、劇中の民衆たちと一緒に叫ぶしかないじゃないですか!(さんハイっ!)

( ゚∀゚)o彡バーフバリ! ( ゚∀゚)o彡バーフバリ! ( ゚∀゚)o彡バーフバリ! ( ゚∀゚)o彡バーフバリ! ( ゚∀゚)o彡バーフバリ!……

興味のある方は(出来れば劇場で)是非!!!!

 

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テリー・ギリアム最大のヒット作「バンデッドQ」(1983)

ぷらすです。

今回ご紹介するのは、1981年(日本では83年)に公開された、テリー・ギリアム監督のファンタジー映画『バンデッドQ』ですよー!

11歳の少年ケヴィンが、突然子供部屋に現れた6人の小人と時空を超えた冒険に出るというファンタジー? 映画ですが、テリー・ギリアム監督なので、“当然”一筋縄ではいきませんw

今回は古い映画なので、後半でネタバレします。
なので、ネタバレ嫌って方は、後半部分を読む前に映画を観てからこの感想を読んでくださいねー。

いいですね? 注意しましたよ?

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あらすじと概要

両親に相手にされない孤独な少年が、自分の部屋で出会った6人の小人に導かれ時空を超えた旅に出かける。シャーウッドの森からタイタニック号まで舞台は目まぐるしく変わり、人物もアガメムノン王(S・コネリー)から巨大な海坊主、悪魔、はては造物主まで登場するファンタジー作品。「未来世紀ブラジル」「バロン」のT・ギリアム製作・監督作品。(allcinema ONLINEより引用)

感想

「バンデッドQ」の“Q”って何だ問題

この作品、原題は「Time Bandits」で、直訳すると「時間泥棒」になります。
邦題の「バンデッドQ」は日本の配給会社が考えた邦題なんですが、いかにも意味ありげな“Q”に意味はなく、語呂の良さでつけたみたいですねー。

それと、日本公開では伝わりづらいシーンや衝撃のラストシーン合わせて約13分ほどをまるっとカットして公開したんですね。(子供向け映画にしたかったらしい)
その後のテレビ洋画劇場やDVD・ブルーレイなどでは、ラストシーンはちゃんとオリジナル版に戻されたようですが、昔の事はいえ随分乱暴な事をするなーって感じです。

ストーリー

歴史好きな11歳の少年ケヴィン(クレイグ・ワーノック)は両親と3人暮らしです。
で、この両親、テレビばかり観ていて話題も家電の話ばかり。ケヴィンの話なんか全然聞いてくれません。
食べ物は、ミキサー的な何かで作った謎料理で、ケヴィンの寝食も、ただ時間に沿って命令するような、子供にまったく興味のない、今風に言えばネグレクトな毒親なんですね。

ケヴィンは歴史が大好きらしく、いつも歴史の本を読んでいて、子供部屋の壁にはポスターや自分で書いた歴史上の英雄たちの絵が貼られています。
そんな彼が眠っていると突然、馬に乗った騎士がクローゼットを突き破って現れ、壁の向こうに消えていくんですね。

次の日、その話を両親にしようとしても、まったく話を聞いてもらえないケヴィンは、証拠写真を撮ろうとポラロイドカメラを持って、服を着たまま“侵入者”を待ち構えているうちに眠ってしまいます。

すると、煙と共にクローゼットから現れたのは6人の小人。
彼らは時空を超えた泥棒で、その地図を「創造主」から盗んでケヴィンの部屋に逃げてきたのです。

そうして、巻き込まれるようにケヴィンは、6人の“バンデッド”と共に、時空を超えた旅に出るまでが前半部分です。

モンティー・パイソン」とテリー・ギリアム

知ってる人には常識と言われるかもですが、テリー・ギリアム監督は元々イギリスのコメディー番組「空飛ぶモンティ・パイソン」のメンバーの1人で、主にアニメーションを担当(たまに出演も)していました。

空飛ぶモンティ・パイソン」をざっくり説明すると、歴史や政治を思いっきり皮肉ったりちゃかしたりする風刺コントの番組で、イギリスだけでなく日本を含む世界中にファンを持つ伝説的なカルト番組なんですね。

その後彼は、「モンティ・パイソン・アンド・ホーリー・グレイル 」という劇場版を監督( テリー・ジョーンズと共同)。以後、映画監督として活動を始めます。

監督3作目となる本作では、随所にモンティ・パイソン」感のあるシーンが登場してるんですよねw(実際モンティーパイソンのメンバーも出演してるし)

そして本作は、彼の代表作「未来世紀ブラジル」の資金集めと企画を通すための実績を作るために制作したそうで、結果、この作品は彼の映画の中で一番のヒット作となり、「未来世紀ブラジル」へと繋がっていったんですねー。

テリー・ギリアムの作家性

僕はテリー・ギリアム作品を全部観たわけではないので断言はできませんが、「未来世紀ブラジル」「12モンキーズ」「ゼロの未来」に共通するのは、夢(妄想)と現実の境界がシームレスになっていて、主人公の行動が夢なのか現実なのか分からない物語なんですよね。

多分それが彼の作家性で、その原点と言えるのが本作「バンデッドQ」なのではないかと思ったりしました。

というわけで、ここからネタバレ。

 

 ラストの解釈について

6人の小人たちとケヴィンは、ナポレオンから財宝を盗み、ロビンフットに盗んだ宝を取り上げられ、ギリシャ神話の英雄アガメムノンを助け養子になり、タイタニック号に乗り込んだら沈没し、鬼夫妻の漁師に食べられそうになり、巨人を眠らせ。

そんな冒険の果てに、時空を自由に行き来するための“地図”を狙う魔王におびき寄せられ対決して大ピンチ! と思ったら「創造主」が現れて……、で、そこでケヴィンが目を覚ますと部屋は煙の海で、部屋は煙っていてドアを蹴破って入ってきた消防士に救出され。

火事の原因とされた物体を触った途端に、ネグレクトな両親が爆発して消えてしまい、よく見たらケヴィンを助けた消防士はアガメムノンそっくりだった。という物語なんですねー。

このオチに「???」ってなった人も多いのではないでしょうか?

このラストの解釈としては、この映画でケヴィンが体験したアレコレは、(両親が爆発するところも含めて)火事で両親を失い、正気を失いかけた少年ケヴィンが「現実逃避として見た夢」という説がどうも有力みたいです。

ですが、もちろんケヴィンが体験したことは全部本当だった説もあるし、火事で煙に巻かれたケヴィンが臨死体験中に体験した冒険説もあり、監督もこのラストについては「好きなように解釈してくれればいい」とインタビューで語ってました。

この作品の後に作られた作品の傾向を考えると、「現実逃避」説が有力って感じですが、個人的には、火事に巻き込まれた少年が、この世とあの世の狭間を冒険して、一人で生きる強さを手に入れた。(そのお守りとして神の部下バンデッドたちが道先案内をしていた)っていうのがいいんじゃないかと。

もし、誘惑のまま英雄アガメムノンの子供になっていたら、その時点で死んでしまうので、彼を気に入ったバンデッドたちが慌てて連れ戻しに来たみたいな。
つまり、この冒険自体、ケヴィンの生死を決める、神様の試験だった的な解釈はどうでしょう?

オープニングの地図の模様も曼荼羅っぽかったし、輪廻転生や地獄めぐり的な東洋思想が少し入っていたんじゃないかなーなんて思いましたねー。

まぁ、オチの解釈なんて本編には関係ないし、特撮などは今観るとチープに見えるけど、ケヴィンとバッデッドたちの冒険は観ていてワクワクする楽しい作品でしたよー!

興味のある方は是非!!

 

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若き日のデ・ニーロ&アル・パチーノが熱演「ゴッドファーザー PART IⅡ」(1975)

ぷらすです。

今回ご紹介するのは、巨匠フランシス・フォード・コッポラ監督の代表作『ゴッドファーザー PART Ⅱ』ですよー!

ずいぶん前に前作を観てから、続編の本作も観なくてはと思ってたんですが、先日TSUTAYAでたまたま目に止まって「そういえばまだ観てなかったなー」とレンタルしてきました。

一言でざっくり感想を言うなら「面白い! でも長い!」ですね。

いくらなんでも200分はさすがにねーw

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あらすじと概要

亡き父のあとを継ぎドンとなったマイケルの苦悩と復讐を、父ヴィトーの少年時代からやがて一大ファミリーを築くまでのエピソードを交えて描いた、名作「ゴッドファーザー」の第2作。幼いビトーが青年となり、やがてファミリーを築くまでの物語と、父のあとを継ぎドンとなったマイケルの、父がそうであった頃と全く変わってしまった時代の中でのドンとしての苦悩と復讐の物語を、巧みに交差しながら展開していく。(allcinema ONLINEより引用)

感想

ゴッドファーザー」とは

フランシス・フォード・コッポラ監督が、イタリアンマフィア「コルレオーネファミリー」の親子2代に渡るファミリーの栄枯盛衰と家族模様を3部作で描いた一大叙事詩です。
前作では、マーロン・ブランド演じるドン・ヴィトー・コルレオーネとアル・パチーノ演じる息子マイケルを軸に、家督争いによる裏切りや敵ファミリーとの抗争、コルレオーネ家の栄光と衰退を描き、記録的大ヒット。

続く本作では、前作の前後、若きヴィトー(ロバート・デ・ニーロ)とファミリーを継いだマイケルのエピソードを対比的に描き、シリーズ最高作の呼び声が高い作品です。

ストーリー

本作では、ヴィトーの少年時代から彼が「ゴッドファーザー」になるまでのパートと、ヴィトーを継いでドンとなった自分を裏切り暗殺しようとした犯人を探し、復讐するマイケルのパートを交互に見せていきます。

ヴィトーパートでは、少年時代に故郷シチリア島を牛耳っていたマフィアに、家族を殺され単身NYに逃げてきた過去から、やがて成長した彼がNYで自分のファミリーを作り上げていく様子を。

マイケルパートでは、ヴィトーの後を継いでファミリーのドンになったマイケルが、自分を暗殺しようとした黒幕を探し出し復讐するまでを。

それぞれ、たっっっぷり時間をかけて観せていくんですねー。

辛い少年時代を経て、真面目に働き貧しいながらも妻子と幸せな暮らしをしていたヴィトーが、後の仲間たちと出会って(生活のために)悪事に手を染め、街の顔役として当確を表していく様子と、前作であれほど嫌っていたマフィアの道に入り、次第に家族や仲間を失って孤独になっていくマイケルを並列に描くことで、二人の「ゴッドファーザー」を対比していくんですねー。

まだ無名だったデ・ニーロとアル・パチーノの熱演

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そんな若き日のヴィトーを演じたのは、当時まだまだ無名の役者だったロバート・デ・ニーロ。この役のために減量したのか、細くて長身の姿はまるでモデルのように格好良いんですが、そこは名優デ・ニーロ。
佇まいだけでなく、前作でマーロン・ブランドが演じたヴィトーのしゃがれ声まで似せて演じる熱演ぶりは見事で、この作品での芝居によって彼はアカデミー助演男優賞を取って一躍スターダムを駆け上がっていくんですね。

一方、前作から引き続きマイケルを演じたアル・パチーノは本作でも熱演。

前作の陽気さはなく、「ゴットファーザー」として貫禄を見せつけつつ、冷静な態度から一気に怒りを爆発させるシーンでは、観ているこっちが圧倒される迫力のある演技を観せてくれます。

3時間超えの長~~~~~い物語でも飽きずに観ていられるのは、この二人の若き名優たちの熱演によるところが大きいように思いましたねー。

巨額の制作費と徹底的にこだわった画作り

前作の大ヒットによって、“製作に関する全面的な決定権”“事実上無制限の予算”を勝ち取ったコッポラは、本作を思い通りに作ることが出来たそうです。

ニューヨークの1ブロックを丸ごと1917年当時のリトル・イタリーに造り変えて、数百人のエキストラがそこでずっと生活をしてきたかのように自然な姿で街を行き交い、エリス島移民到着センターの2分弱のシーンのために集められた、800人のエキストラを、コッポラ監督自らひとりずつ当時の移民に見えるかどうか念入りに点検したという、今では考えられないこだわり様。

そうしたリアルでリッチな空間の中だからこそ、演じた役者さんたちも自然と役に入って行けたのだろうと思うし、その演技がまた映像に反映されていって、結果、40年以上経った今も語り継がれ、アメリカ国立フィルム登録簿の保管作品に選ばれる名作になったんでしょうね。

ただ、いかんせん映画2本分の200分は流石に長い。
いざ観始めちゃえば面白いですが、観るまでに相当覚悟がいる映画ではありますよねw

しかも前作とあわせると377分=6時間超なので、2本連続で観たらほぼ1日潰れちゃうっていうハードルが高い作品なんですよねー。

ただ、大事なことなのでもう一度言いますが、覚悟を決めて観始めちゃえば面白いんですけどねー。

興味のある方は是非!!

 

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次世代のゾンビ映画!「ディストピア パンドラの少女」(2017)

ぷらすです。

今回ご紹介するのは、本作はマイク・ケアリーの小説「パンドラの少女」を映画化したSFスリラー『ディストピア パンドラの少女』ですよー!

1968年公開の「ナイト・オブ・ザ・リビングデッド」から50年。
ありとあらゆる方向から掘り尽くされた感のある近代ゾンビ映画ですが、本作はこれまでありそうでなかた“次世代のゾンビ映画と言えるんじゃないかと思いましたねー!

で、困ったことにこの作品、ネタバレなしで感想を書くのが非常に難しく…。というわけで、今回はネタバレ全開で感想を書いていくんですが、ぶっちゃけ何も知らずに観たほうが絶対楽しめる作品なので、これから本作を観る予定の方は映画を観てから、この感想を読んでくださいねー。

いいですね? 注意しましたよ?

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あらすじと概要

パンデミックにより人類の大半がウイルスに感染した近未来を舞台に、感染者ながら知能を保ち続ける少女の物語を描いたSFスリラー。原作者自ら脚本を手掛け、テレビシリーズ「SHERLOCK(シャーロック)」などのコーム・マッカーシーがメガホンを取る。応募者500人を超えるオーディションを勝ち抜いたセニア・ナニュアが主人公を演じ、ジェマ・アータートングレン・クローズパディ・コンシダインらが共演。

ストーリーパンデミックにより人類の大多数が捕食本能に支配され凶暴化し、社会が崩壊した近未来。イングランドの田舎町にある軍事基地では、ウイルスに感染しながらも思考能力を保つ子供たち“セカンドチルドレン”から、全世界を救うワクチンを開発する研究が進められていた。ある日、その子供たちの中に知能を持つ少女メラニー(セニア・ナニュア)が現れ……。(シネマトゥデイより引用)

感想

本作は、ウイルスに感染した人類(ハングリーズ)が捕食本能に支配され凶暴化した近未来を舞台にした云々…と言ってますが、まぁ、平たく言えばゾンビ映画です。

ただ、「ゾンビ映画」と聞いてみんながイメージするそれとは違って、ゾンビという素材を使った近未来シュミレーション的なSF要素が強い作品といった感じでしたねー。

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ありそうでなかったゾンビ進化論

序盤、薄暗い基地の中では囚人服のようなオレンジ色の服を着せられた少女メラニー(セニア・ナニュア)が、牢獄の中で数を数えているシーンからスタートします。

すると、牢屋の向こうから男の「起きろクズども!」という声が響き、メラニーは壁に貼った猫の写真を枕の下に隠し、拘束具付きの車椅子に座って男たちの到着を待つんですね。

そうして、牢屋を開けて入ってきたのは銃を持った軍人。

そんな軍人たちに対して、メラニーはにこやかに「グッドモーニング」と一人一人に挨拶します。

この冒頭数分で、彼女の状況や後の展開に繋がる伏線が張られているという見事なオープニング。

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ラニーたちは拘束されたまま、教室に向かい車椅子のまま授業を受け、それが終わると牢屋に戻され、食事はミミズ的な虫。

まさにディストピア的状況ですが、メラニーはそんな状況に不満を抱いてはいない様子なんですね。

つまり、ラニーたちにとって、この状況が普通であって、それは恐らく物心がつく前からずっと続いているのが分かるわけです。

では何故、彼女たちは閉じ込められているのか。

軍人たちが総じて差別的な態度を取る中、メラニーたちの授業を担当するヘレン(ジェマ・アータートン)だけは彼女たちに同情的で、メラニーにせがまれてギリシャ神話などを読み聞かせ、自分でお話を作らせるなど、子供たちを人間の子どもとして扱います。

そしてメラニーが作った、ナイトの自分が大好きなヘレンを救って、二人で幸せに暮らすという拙いお話に、ヘレンが涙を流しメラニーの頭を撫でてやった瞬間、軍人のパークス軍曹( パディ・コンシダイン)が飛び込んできて、「こいつらは人間じゃない」と言い、自分の腕に唾をこすりつけて一人の少年の前に突き出すと、突如少年の様子が変わってその腕に噛み付こうとするわけですね。

実はメラニーたちは、妊娠中にウイルスに感染した母親(ハングリーズ)から体内感染し、母親の内蔵を食いちぎって生まれてきた、人間の知能を持つハングリーズ(ゾンビ)なのです。

そして人類は、ハイブリットと名づけ、ウィルスと「共生」出来る子供たちを実験動物として飼育。解剖してその脳と脊髄からワクチンを作る研究をしているんですね。

その研究のリーダーがキャロライン・コールドウェル博士 ( グレン・クローズ)で、これまで数多くのハイブリッドを解剖してきた彼女が、ついにメラニーが解剖されようとしたその時、研究室に基地のフェンスを破った大量のハングリーズが押し寄せます。

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そうして、何とか生き残ったのは、コールドウェル博士、パークス軍曹、ヘレン、ギャラガー1等兵 (フィサヨ・アキナデ)、そしてヘレンの5人で、彼らは助けを求めてサバイブを開始するところまでが、前半です。

観客を何も分からない状況に放り込んで、徐々に世界観を理解させる演出は非常に上手いと思ったし、最初は不憫な少女かと思ったメラニーが実は人間の天敵だった事がジワジワに分かっていく感じは、メラニーを演じる少女セニア・ナニュアの演技と監督の演出も相まって、素晴らしかったですねー。

物語の構造としては猿の惑星 新世紀」に近いなーと思うんですが、それでいてゾンビ映画のマナーはしっかり踏襲しているんですよね。

で、後半。

5人でサバイブするうち、この世界で何が起こっているのかが分かってきます。

ウィルスによって人類は絶滅しかけていること、メラニーたちハイブリッドが各地で生まれ成長していること、力尽きたハングリーズたちを養分に、火事や洪水などの天災が起こるとウイルスを空気中にばら蒔く種子が成る植物が成長し、種子が開くと人類は絶滅する(ウィルスに空気感染してハングリーズになってしまう)こと。

そんな中、彼らは太陽電池で動く「移動研究室」を見つけ、同時に頼りにしていた本部が壊滅したことを知ります。

そんな時、食料を探しにいったギャラガー1等兵がその地で育ったハイブリッドたちの罠に落ち、助けに行ったメラニー、パークス、ヘレンもピンチに。

しかし、そこでメラニーは、知恵を使ってハイブリッドのボスからバットを奪って撲殺。パークス、ヘレンの二人を助けて移動基地に戻るんですが、ワクチン作りを諦めていないコールドウェル博士の罠にかかり……。

つまり、本作はゾンビ映画の型を使って、旧支配者である人類の絶滅と、新たな種へのバトンタッチを描いたSF作品なんですね。

想像以上にリッチな映像

この作品を観る前は、正直もっと小規模なB旧作品かと思っていたんですが、観てみるとそのリッチな映像的に驚きます。
調べてみると制作費500万ドル(半分はBFI映画基金クリエイティヴイングランドから調達したのだとか)というかなりビックバジェットな作品だったんですねー。

中盤以降の草木に覆われ荒廃したロンドンの映像は、ウクライナのプリピャチ(1986年のチェルノブイリ原子力発電所事故で住民が全員退去した町)をドローンで空中撮影したものだそうで、それにウェスト・ミッドランズバーミンガム中心部やキャノック・チェイス、ダドリー、ストーク=オン=トレントなどの都市で撮影した映像を組み合わせたのだそうです。

ちなみに、本作の脚本は小説の原作者マイク・ケアリー自ら、映画用に脚色したんだそうですよ。

ラニーとハイブリッドの戦い

そんな後半でのメラニーと野生のハイブリッドとの戦いのシーン。

野生のハイブリッドの子供たちは、知能はあるけれど誰からも教育を受けていないので、基本動物と同じです。
そんな中、バットを持つ群れのボスとメラニーは対決。
そして戦いの中で、メラニーが知恵を使ってバットを奪いボスを撲殺したことで、他のハイブリッドたちは、彼女が絶対的リーダーであるボスを超える強さと知恵を持っていることを“理解”するわけですね。

つまり彼らにとってのバットは、人間にとっての軍事力であり文明の象徴なのです。

それがラストシーンに繋がっていく伏線にもなっているというわけで、つまりメラニーは後に新人類のリーダーとして文明を築いていくことを、このシーンで暗示しているわけですね。

旧支配者を見限るメラニーの決断

コールドウェル博士との話で、植物の種子が開けば旧人類は全員空気感染し、事実上絶滅する事を知ったメラニー。
自分を罠にはめたコールドウェル博士の「人類を救うために犠牲になって欲しい」という懇願に対し「なぜ人類を救うために私が死ななければならないの?」と、問い返します。
これまで、旧人類である4人に対して、常に協力的だったメラニーが、ついに旧人類を見限るシーンなんですが、それでも彼女は、博士に対して「この中にいれば安全だから」と言い残し、旧人類に引導を渡しに行くのです。

彼女の言ったのは「なんで“見ず知らずの人のため”に私が命を差し出さなければいけないの?」ってことなんですね。

なぜなら、彼女にとっての“人類”は共に旅をした大人だけで、博士と軍曹とヘレンは外から隔離された研究所の中にいれば空気中のウィルスに感染しない事が分かっているからです。

このシーンは、メラニーが初めて博士を通して大人(旧支配者)の汚さを嫌悪した瞬間であると同時に、「世界」というものを理解し、新たな種である彼女がついに旧人類に反旗を翻した(=大人への第一歩を踏み出した)瞬間で、子供の捉える小さな世界とその外に広がる大きな世界が重なり合った名シーンだと思いましたねー。

ヘレンの涙

で、いろいろあって旧人類は絶滅し、「移動研究所」の中にいたヘレンだけが助かります。
まさに冒頭でのメラニーの“お話”が現実のものとなるわけですが、空気中にウィルスが蔓延しいている外に出ることは出来ず、研究所のスピーカーを通してメラニーが集めてきたハイブリッドの子供たち相手に授業をするんですね。

冒頭のシーンと完全に立場が逆転してしまったという皮肉なオチなんですが、上記したように、冒頭でハイブリッドたちに同情して涙を流したヘレンは、このラストで対になるように涙を流します。

そして、この涙の意味は、観客の解釈に委ねられているわけですね。

単純に考えれば、旧人類が自分以外絶滅したことへの絶望の涙とも取れますが、個人的にはそれだけではない気がするんですよね。
例えば、贖罪だったり、懐古だったり、未来への希望だったり。そんないろんな感情が、ラストシーンの彼女の涙には含まれているのではないかと思いました。

 

もちろん、多少のご都合主義的な展開もないではないし、「ゾンビ映画」だと思って観ると肩透かしを食らってしまうかもですが、個人的には、近未来SF映画として内容的にも映像的にもかなり楽しめる作品でしたねー!

興味のある方は是非!

 

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