今日観た映画の感想

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ハリウッド版・下町ロケット「フォードvsフェラーリ」(2020)

ぷらすです。

今回ご紹介するのは、マット・デイモンクリスチャン・ベールの2大スターが共演するレース映画『フォードvsフェラーリ』ですよー!

僕はそれほど車やカーレースに詳しくもないし興味もないので「今回はスルーかなー」と思ったんですが、本作を観た人に勧められて劇場に行ってきたら、これが超面白かったんですよねー!

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概要

1966年のル・マン24時間レースをめぐる実話を映画化した伝記ドラマ。フォード・モーター社からル・マンでの勝利を命じられた男たちが、王者フェラーリを打ち負かすため、意地とプライドを懸けた闘いに挑む。エンジニアを『オデッセイ』などのマット・デイモン、レーサーを『ザ・ファイター』などのクリスチャン・ベイルが演じる。『LOGAN/ローガン』などのジェームズ・マンゴールドがメガホンを取った。(シネマトゥディより引用)

感想

タイトルに偽りあり

本作は、1966年の「ル・マン24時間耐久レース」で、当時、絶対王者フェラーリを、大衆車を専門にしていた米国の巨大自動車メーカー・フォードが破るという史実を基にした作品。

そんな奇跡とも言える勝利の立役者であるキャロル・シェルビーケン・マイルズの2人を軸に物語は進んでいくんですね。

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で、本作のタイトル「フォードvsフェラーリ」ですが、実はこのタイトル、まぁ、嘘ではないけれど物語の本質とは大きくかけ離れています。

本作で描かれるのは肥大化し風通しの悪くなった巨大組織フォードの中で孤軍奮闘するシェルビー とマイルズを始めとしたチーム。いわば本作は「組織vsクリエイター」もっといえば「組織vs個人」の物語なのです。

つまり、ハリウッド版「下町ロケットなんですねー。

ざっくりストーリー紹介

1959年のル・マン24時間レースで優勝の栄光に輝いた米国人レーサー・キャロル・シェルビー (マット・デイモン)は、心臓病のためレーサー引退を余儀なくされ「シェルビー・アメリカン」という会社を設立。自らもセールスマンとして自社の車を売り込む日々。

一方、第二次世界大戦終結後イギリス軍を除隊し、家族とともにアメリカへ移住して自動車整備工場を経営しながらレースに参戦していたケン・マイルズ(クリスチャン・ベール)でしたが、レーサーの彼が整備した車は一般人には扱いづらく苦しい経営が続いていたんですね。

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そんなある日、あるレースで出会った2人は、会話の流れからケンカに。
しかし、マイルズがレースで見せた天才的なドライビングテクニックにシェルビーは目を奪われるのです。

1963年、ヘンリー・フォード二世率いる米国巨大自動車メーカーのフォード・モーターは、倒産したフェラーリ買収に乗り出しますが、フェラーリ会長に「醜い工場で醜い車を作ってろ」「ヘンリー二世は所詮二世。偉大な祖父には遠く及ばない」と言われ、買収も失敗。

これに怒ったヘンリー二世は、「社の総力をあげて1964年のル・マンフェラーリを打ち負かせ!」と厳命。
そして、そのチームリーダーにレーサー経験がありフォードとも関係の深いシェルビーが選ばれ、シェルビーはマイルズをドライバーとしてスカウトし――。という物語。

しかし、肥大化し風通しの悪い大企業の中、2人は重役連中から様々な横槍を入れられて思うようにマシン開発が出来ない。
それでも、手練手管を使いマシンを仕上げていくシェルビーと、天才的なドライビングテクニックで結果を上げていくマイルズによって、開発されたレーシングカーGT40はついに絶対王者フェラーリを脅かすまでになっていくわけですね。

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組織vs個人

つまり、本作におけるフェラーリは、レース界で2人が挑む高い壁ではあるけど、物語上のライバル関係ですらなく、本作の実質的な敵は様々な横槍を入れてくるフォード社の重役たち=組織なのです。

特に、いつもニヤニヤ笑いで2人の邪魔をする上級副社長のレオ・ビーブジョシュ・ルーカス)には、ほんっっっっっっとにイライラさせられましたよ!ww

で、この組織vsクリエイターという関係性は、そのまま映画界を始め、あらゆるクリエイトの現場に当てはまるし、もっと言えば組織の中で奮闘する個人、個人を歯車のように使い捨てる組織という対立構造は、資本主義国家アメリカが抱える根本的な問題であり、また、多かれ少なかれ世界中の誰にでも当てはまる図式で、だから本作を観た人はシェルビーとマイルズに感情移入せずにはいられないんですよね。

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大迫力のレースシーン

そんな本作ですが、決して重く、暗くならないのは、シェルビーとマイルズを始めとしたクルーたちによるモノづくりを丹念に描いているから。
トライアンドエラーを繰り返しながら、レーシングカーが出来上がっていく様子は、単純にワクワクしてしまうし、そのマシーンに乗ってマイルズが勝利するシーンは映画的なカタルシスに溢れています。

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また、クライマックスのル・マン24時間耐久レースのシーンは、極力CGを使わず当時の実車をレース場で走らせて撮影してるだけあって圧倒的な大迫力。

車がカーブに差し掛かれば、観ているこっちの体も自然に傾くし、アクセルを踏んで加速するシーンやブレーキをかけるシーンでは、何もない映画館の床を踏みしめてしまいましたよw

車やレースに詳しい人からは、レースシーン(のクリスチャン・ベールの演技や操作)にリアリティがないという意見も見かけましたけど、まぁ、そこは劇映画として盛り上げなきゃだし、致し方ないのではないかと思いましたねー。

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また、実話ベースゆえに、誰もがスッキリする単純なハッピーエンドにはなっていなくて、そこはある意味で本作最大のモヤモヤポイントではあるんですが、「史実」という制約の中で一応の落としどころは作っていて、そのほろ苦い後味が本作の格を1段階引き上げていると思ったし、それは同時に組織の理論に個人の尊厳が奪われている現代社会に対して「本当にこのままでいいのか?」という問いかけでもあるのだと思いました。

興味のある方は是非!!!

 

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あのアニメが実写映画に!?「劇場版 ドーラといっしょに大冒険」(2019/劇場未公開)

ぷらすです。

今回ご紹介するのは、テレビ東京でも放送されたアニメ「ドーラ」の実写版『劇場版・ドーラといっしょに大冒険』ですよー!
僕はアニメ版は未見なんですが、脚本家、スプリクトドクターとしても活躍する映画監督・三宅隆太さんがラジオで紹介していたので早速レンタルしてきましたよ!

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概要

ニコロデオンの人気アニメ「ドーラといっしょに大冒険」を実写映画化。(中略)
トランスフォーマー/最後の騎士王」のイザベラ・モナーが主演を務め、「トラフィック」のベニチオ・デル・トロ、「アントマン」シリーズのマイケル・ペーニャ、「ジョン・ウィック」のエバ・ロンゴリアが共演。監督は「アリス・イン・ワンダーランド 時間の旅」のジェームズ・ボビン。(映画.comより引用)

 

感想

「ドーラといっしょに大冒険」とは

ヒスパニック系移民の未就学児童や学校に行けない子供たちが、日常会話に困らないようにとアメリカのケーブルテレビチャンネル「ニコロデオン」が制作した7歳の女の子ドーラが主人公の幼児向け知育・情操番組です。

日本でも、テレビ東京、TOKYOMX、BSフジなどで放送されてたので、ご存知の方も多いのではないでしょうか。

www.youtube.com

本作で、冒険家の両親コールマイケル・ペーニャ)とエレーナエヴァ・ロンゴリア )の娘ドーラは、従兄弟のディエゴや猿のブーツと一緒にペルーのジャングルで探検する日々を送っています。

ところが、ドーラが6歳になったときディエゴは一家でロサンゼルスに引っ越していってしまいます。一方、コールとエレーナはインカ文明における伝説の都市「パラパタ」の所在地を追う作業に没頭し、ドーラはジャングルを遊び場に大きくなるんですね。

それから10年後、ついにパラパタの所在地を突き止めたコールとエレーナは、現地に向かうことに。16才になったドーライザベラ・モナー)も同行を志願しますが、彼女に同年代の友人がいない事を心配した両親は、ドーラをディエゴ一家と祖母が住むロサンゼルスの高校に通わせることに。

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ドーラは同級生でツンツン学級委員長のサミー(マデリーン・マッデン )や、オタクで天文学好きなランディ(ニコラス・クーム)と親しく?なりますが、従兄弟のディエゴ(ジェフ・ウォールバーグ)はジャングル育ち故に奔放な振る舞いをして浮いているドーラに困惑。つい、つれない態度を取ってしまいます。

そんなある日、ドーラたちは課外学習の一環で博物館を訪れるんですが、パラパタの財宝を狙う犯罪集団に誘拐されてしまい――というストーリー。

猿のブーツやキツネのスワイパーなど、アニメでもお馴染みのキャラクターは登場するし、子供時代のドーラが観客に向かって話しかけるアニメ版と同じ描写などもありますが、基本的にはオリジナルストーリーなのでアニメ版は観てなくても楽しく観られると思いますよ。

日本では劇場未公開ながら

ちなみに本作、日本では劇場未公開らしいんですが、4900万ドルと結構な制作費をかけた作品なので、映画としてのルックなどはかなり豪華。
冒頭ではドーラとディエゴの幼少時代が描かれるんですが、ここのパートは前述したようにアニメ版を意識した作りなので、ファンにとっては嬉しいサービスなのではないかと。

で、16才になったドーラを演じるのは「トランスフォーマー/最後の騎士王」や「ボーダーライン/ソルジャーズ・ディ」で麻薬王の娘を演じたイザベラ・モナー

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ドーラのお父さんを演じるのが「アントマン」や「フューリー」で人気のマイケル・ペーニャ
さらに猿のブーツの声をダニー・トレホ、キツネのスワイパーの声をベニチオ・デル・トロが当てるなどかなりの豪華キャストなんですねー。

幼少期にアニメを見ていたティーンを意識?

ストーリーの方は、ファミリー映画らしくシンプルで一本径ではありますが、LAの高校に入ったドーラがスクールカーストを目の当たりにする描写なども入っていて、丁度幼少期にアニメ版を見ていたティーンを意識しているのかな?なんて思いました。

後にドーラと仲良くなる学級委員長のサミーは勉強のできる意識高い系の女の子(そしてツンツンしてる)で、美人なんだけどクラスのみんなから煙たがられているし、天文学が好きな男の子ランディは、オタクゆえにカースト最下位のいじめられっ子なんですね。

ドーラの従兄弟ディエゴは、カースト上位のイケメンなんですが、学校のみんなから浮いてイジメられる事を恐れている。もしかしたら6才でLAに引っ越したときにイヤな思いをしたのかも。

このキャラ配置が絶妙で、ドーラ以外の3人はそれぞれ学校という弱肉強食のジャングルで、ハリネズミのように武器を備えてたり、目立たないよう茂みに隠れてたり、肉食獣に捕食されないよう擬態したりしている。みたいに、学校をジャングルにリンクさせているんですね。

ところが学校のダンスパーティーで、ドーラがジャングルの動物を真似たヘンテコダンスに誘ったせいでカースト上位に擬態してたディエゴまで笑いものにされてしまう。

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で、課外学習のグループ分けで、すっかりクラスから浮いてしまった3人+ドーラの4人がグループを組む事になってしまい、ドーラ狙いの犯罪グループに誘拐され――気が付けばペルーに。そこで、ドーラの両親の親友だというアレハンドロ(エウヘニオ・デルベス)に助け出されるんですね。

全方位を網羅したファミリー映画

で、その後、ドーラたちは連絡の途絶えた両親と、両親が探している「パラパタ」を犯罪集団より先に見つけるべく、ジャングルを舞台に大冒険を始めるのです。

数々の罠やピンチ、謎解きなどの難問をクリアしながら進む構成なんかは、まさに「インディー・ジョーンズ」や「グーニーズ」を彷彿させるし、最初はバラバラだったドーラたちが冒険を通して親友になっていく様子は「ブレックファスト・クラブ」の流れを汲んだ正統派青春映画と言っていいと思います。

その上で小学生がキャッキャ喜びそうなギャグシーンを入れたり、一方で成長したドーラに両親が涙ぐむシーンを入れたりと、まさに全方位を意識したファミリー映画になってるんですよね。

何より、とにかく明るくて楽しい作品なので、ご家族で観るには最適な作品なんじゃないでしょうか。

興味のある方は是非!!

 

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乙女ゲーみたいになっとるがな「Diner ダイナー」(2019)

ぷらすです。

「お~れは~~~この店の王だっ!」

ということで、今回ご紹介するのは蜷川実花監督作『Diner/ダイナー』ですよー!
ある意味、2.5次元俳優の元祖と言っても過言ではない、あの藤原竜也の叫び芸が堪能出来そう!というだけの理由でレンタルしてきましたよーw

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概要

さくらん』『ヘルタースケルター』などの蜷川実花がメガホンを取り、藤原竜也が元殺し屋の天才シェフを演じるサスペンス。ある女性がウエイトレスとして身売りされた殺し屋専用のダイナーを舞台に、店主と店を訪れる凶悪な殺し屋たちの異様な世界を描き出す。原作は『「超」怖い話』シリーズなどが映画化されたホラー作家で、監督としても活動している平山夢明の第13回大藪春彦賞受賞作。(シネマトゥディより引用)

感想

映画監督としての蜷川実花

僕は蜷川実花監督作品を観るのは、2007年公開の「さくらん」に続き本作が2作目になります。(ヘルタースケルターは観てない)
「さくらん」は少女が売られた吉原で花魁になるまでを描いた安野モヨコの原作漫画を実写化した作品でしたが、吉原という舞台建てやストーリー、蜷川実花監督のあの毒々しいくらい鮮やかな色使い、土屋アンナの起用がいい感じにハマってて、面白かった…ような気がします。(うろ覚え)

ただ、蜷川実花監督の作品って好き嫌いがハッキリ別れるんですよね。
元々は写真家として名を成した人でアーティストのPVなども手がける才人ですが、こと映画に関しては本作が3作目(「人間失格 太宰治と3人の女たち」が4作目)ということもあり、映画監督としての実力不足を指摘する声も少なくないです。

そんな蜷川実花が、痛い、エグい、グロい、怖いでお馴染みのホラー小説家・平山夢明原作の同名小説を実写映画化したのが本作『Diner/ダイナー』。

独自のセンスを持つ蜷川ワールドと平山ワールド。(恐らく)まったく相容れないであろう異なる世界観が、一体どのような融合を果たすのかが本作の見所になるハズなんですが……。さて。

ざっくりストーリー紹介

幼くして母親に捨てられた(?)事がトラウマになり、すっかり人間不信になった主人公オオバカナコ玉城ティナ)は憧れの地(メキシコ)への旅費を稼ぐため、怪しげなアルバイトに手を染めたことで命の危険に晒されます。

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ギリギリのところで天才シェフ・ボンベロ(藤原竜也)にウエイトレスとして買われたカナコはレストラン“ダイナー”で働くことに。

しかし、そのダイナー。実は殺し屋専門のレストランだった――という物語。

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分かりやすく言うなら「ジョン・ウィック」的世界観なんですが、この原作の方は初出が2009年なので、コッチの方が先らしいですよ。

このダイナーにやって来る客は全員が殺し屋で、シェフのボンベロも元殺し屋。
そんなダイナーで奴隷のように扱われ、たった一つのミスで殺されるかもしれない極限状態の中、カナコは生き延びため、今まで逃げてきた自分自身と向き合うようになっていくのです。

ヒャッハーしかいない世界

で、この店の客ってのが、誰も彼も歩いてるだけで逮捕されそうなビジュアルかつ、全員がテンションMAXなヒャッハー揃いでしてね。

唯一、カナコと心を通わせるまともなヤツだと思われたスキン窪田正孝)ですら、スフレを完食すると突如ヒャッハーに豹変してしまう始末。

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他にも、整形しまくって子供の見た目を手に入れたキッド本郷奏多)という殺し屋もいるんですが、体は子供だけど首から上と声はまるまる本郷奏多でしてね。コイツを観て子供だと思い込むカナコのオツムはどうなん?って思ったり。

おまけにシェフのボンベロは「お~れは~この店の王だ!」なんて高らかに叫んでるし、まぁ、まともなヤツは1人もいないんですよ。

つまりは非常にマンガ的なんですよね。
まぁ、キャラ設定と大筋は原作準拠らしいので、これは蜷川監督が悪いわけではないですが、個人的に、悪者=高テンション・ヒャッハー設定は正直食傷気味

ただ、この突拍子もない世界観自体は、蜷川監督の原色バリバリで作り物っぽい映像には合ってる気はしましたねー。

「ダーク系乙女ゲー」みたいに

ただ、やっぱ映画としては上手くなくて、例えば作中でダイナーの構造が提示されてないので、どこにどの部屋があるのか(何部屋あるのか)、倉庫はどこにあるのか、トイレやキッチンの配置など、位置関係がさっぱり分からない。

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だから、クライマックスのアクションシーンでも、どこで何をやってるのかがまったく分かりません。

そのアクションシーンも、キャラクターの位置関係が全く分からないので、事態への危機感・緊張感が伝わってこないですしね。(多分、監督自身アクションに全く興味がないのでしょう)

冒頭のカナコの独白シーンや回想シーンを舞台演劇っぽく演出するのは、ありっちゃありですが、それが特に映像的・物語的な効果は生んでいないので、ただただ作り物感だけが増していきます。

あと、肝心の料理が美味しそうじゃないとかね。

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まぁ、映像云々はこの際横に置いておくとしても、肝心のストーリーの方も原作とは変わっていて、原作でのボンベロとカナコって恋愛感情は一切見せないらしいんですね。どちらかといえば2人は、人生の負け犬で生殺与奪権を他人に握られているという意味で鏡合わせの存在であり、2人を繋ぐのは共通の境遇と「料理を愛する者同士の共感」らしい。

“らしい”って書いてるのは、僕が原作未読だからです。

なので、最初はお互いに最悪な状態からスタートし、小さなステップの積み重ねで少しづつ距離が縮まっていく。ただ互いの恋愛感情はあくまで匂わせる程度なのだそうです。

それが、本作ではベッタベタなラブストーリーになってるし、何ならボンベロは最初からカナコを元の世界に戻す気マンマンの優しいヤツにすら見えちゃう。
僕なんかこの二人は、過去に何か繋がりがあるんだろうって思ってましたよ。
そんでクライマックスのやりとりなんかは、モロに「レオン」状態。

さらにカナコは出会ってすぐにスキンもメロメロにしちゃうので、まさに両手に花状態で、ちっとも辛そうに見えない。
もうこれ“乙女ゲー”みたいになっとるがな。

もちろん、原作をそのまま映像化するのがいいわけではないし、時間的な縛りもあるんだろうけど、でも、ボンベロとカナコの関係って物語の核になる部分なのでは?と思ったり。

つまり、2人の微妙な関係性や距離感を恋愛という「型」に落とし込むことで、物語が一気に矮小化されちゃってる感じなんですよね。

現に、原作を読んでいない僕は「あー、そういうラブストーリーなのね」って思いましたし。

前にも書きましたけど、僕は原作モノを実写映画化する際に、ビジュアルや物語を変えること自体は肯定派ですが、それは「物語の核の部分さえ守られていれば」という括弧つきなんですね。
そこが出来てないのが、本作で一番の問題だと思いました。

よ、待ってました!

とはいえキャスト陣はみんな良かったと思います。
主人公カナコ役の玉城ティナは、ほかのキャストの大仰な芝居との対比でいい感じにヒロインしてたし、ベテランの小林薫真矢みきから、窪田正孝土屋アンナ武田真治小栗旬など人気俳優勢ぞろいで単純に画面が豪華でしたしね。(その分、俳優の無駄遣い感は否めませんが)

なにより、もはや唯一無二の名人芸の域に達している藤原竜也の叫び芸には「よっ!待ってました!」と心の中で掛け声をかけてしまいましたよw
そういう意味でこの作品は、歌舞伎的ともいえるかもしれませんねー。

興味のある方は是非!

 

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丁度いい湯加減「ペット2」(2019)

ぷらすです。

今回ご紹介するのは、あの「ミリオンズ」のイルミネーションが製作した大人気3DCG劇場アニメの続編『ペット2』ですよー!

トイス・トーリー」や「ファインディング・ニモ」を思わせる丁度いい湯加減の作品でしたねー。

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概要

飼い主たちの知らないペットの姿を描いたアニメ『ペット』の続編。前作にも登場したくせ者ぞろいのペットたちが、またしても騒動を起こす。監督は『怪盗グルー』シリーズなどのクリス・ルノー、共同監督はジョナサン・デル・ヴァル、脚本は『イースターラビットのキャンディ工場』などのブライアン・リンチ。日本語版ボイスキャストとして、前作と同様にバナナマンの設楽統と日村勇紀をはじめ、佐藤栞里永作博美らが参加する。(シネマトゥデイ より引用)

感想

あのペットたちが帰ってきた!

大ヒット映画「ミニオンズ」のイルミネーションが2016年に公開した前作「ペット」は、飼い主のケイティと共にマンハッタンのアパートで暮らす小型犬マックスを中心に、同じアパートに住むペットたちの交流や、飼い主には決して見せない裏の顔を描いた3DCGアニメ。

その続編となる本作では飼い主のケイティが結婚・出産。
生まれたリアムを大切に思うあまり、すっかり臆病になってしまったマックスのエピソードと並行するように、同じアパートに住むポメラニアンギジェットウサギのスノーボールのエピソードが描かれます。

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画像出典元URL:http://eiga.com / 左からデューク、リアム、マックス

そして3本に枝分かれし進んでいたエピソードは、クライマックスで1本の物語に集結していくんですね。

リアムを心配し過ぎるあまり、ストレスから身体を掻き毟るクセがついたマックスは、ケイティに病院に連れて行かれて化膿防止のカラーを着けるハメに。
そんな、マックスたちは田舎の牧場に旅行に行くことになるんですね。

一方、マックスから旅行中に大事なオモチャを託されたギジェットは、ひょんな事から階下の部屋に入ってしまったオモチャを取り戻そうとするも、その部屋には無数の猫たちが。

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画像出典元URL:http://eiga.com / 左から、ギジェット、メル、バディ、クロエ

前作で、「元ペット団」リーダーだったスノーボールは、飼い主の影響でヒーローにジョブチェンジ。そんな彼の元にやってきたデイジーから「悪いサーカス団からホワイトタイガーの赤ちゃんを救い出して欲しい」と依頼を受け、二人でサーカスに潜入するのです。

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画像出典元URL:http://eiga.com / 正義の味方にジョブチェンジしたスノーボール

3つに分岐させることでストーリーが散らかってしまうのではと思ったんですが、それぞれのエピソードで成長した3匹(と仲間たち)が力を合わせてクライマックスで大活躍する展開は、作品のテーマにも沿っていて良かったですねー。

また、本作でマックスを鍛え成長させる牧羊犬のルースターの声を、ハリソン・フォードが担当しているんですよねー。

丁度いい湯加減

近年のディズニーやピクサー映画は、作品クオリティーはどんどん上がっていく一方で社会的なテーマを扱うようになり、観ていて若干疲れてしまう部分も。

しかし、本作を制作するイルミネーションは、あくまで普遍的ではあるも個人的なテーマに抑え、ストーリーや活劇的な楽しさとキャラクター化されたペットたちに、動物を飼っている人なら「あるあるーー!」と共感させるリアルな動きを融合。

例えて言うなら初期ピクサーの「トイ・ストーリー」や「ファインディング・ニモ」に近い、丁度いい湯加減の作品になってるんですよね。

本作でルースターは、リアム可愛さですっかり過保護になるマックスに対し、「(リアムを失う事を)怖がっているのはお前だ」と言い、リアムに広い世界を見せること、失敗から学ばせることの大切さを説きます。

そして大自然の中でマックス自身を鍛え、恐怖心を克服させる=成長させるんですね。

そして成長したマックスの自信が、クライマックスの展開へと繋がっていくのです。

その一方で、前作でも登場したアパートのペットたちが、飼い主のいない間に家電を使いこなし、自由気ままに生活する楽しげな様子も前作同様たっぷり描かれていたりして、この辺のバランス感覚が実に丁度いいんですよねー。

前作でも登場したアンニュイな猫のクロエが、マタタビで酔っ払うシーンなんかは、思わず笑ってしまいましたし、猫を飼っている人なら「分かる分かるーー!」となるんじゃないでしょうか。

不満点も

まぁ、新規キャラクターが増えた分、前作のメインキャラがほぼ物語に絡まないというような不満点もないではないし、そうは言ってもメインエピソードを3つ並行させることで、中盤の展開が若干散らかってしまった感は否めない上に、3本のエピソードが合流するクライマックスへの導入も、3本の中編映画を無理やり1つにまとめたようなやや強引な印象を受けてしまいました。

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そのへん、もう少し脚本を練ってもよかったかも。

とはいえ、本作でも多様なペットたちの可愛らしさは存分に見られたし、何度も言うようですが、ディズニーやピクサーとは一線を画した、キャラ映画として丁度いい湯加減の楽しい作品に仕上がってましたよ。

エンディングロールでは飼い主とペットの幸せそうな様子に、不覚にもグッときてしまいましたしね。

興味のある方は是非!!

 

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芸人監督とナメてはいけない「洗骨」(2019)

ぷらすです。

今回ご紹介するのは、お笑いコンビ「ガレッジセール」のゴリさんが、本名の照屋年之名義で監督した長編映画洗骨』ですよー!

かなり評判が良かったのでずっと気になっていた作品ですが、今回やっとレンタルDVDを見つけたので早速借りてきました!

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概要

お笑いコンビ「ガレッジセール」のゴリこと照屋年之監督が手掛けたコメディードラマ。土葬または風葬した遺体の骨を洗い再度埋葬する風習「洗骨」を通じ、バラバラだった家族が再生していく。妻の死を受け入れられない父親を監督としても活動している奥田瑛二、息子を『Breath Less ブレス・レス』などの筒井道隆、娘を河瀬直美監督作『光』などの水崎綾女が演じるほか、筒井真理子、お笑いコンビ「ハイキングウォーキング」の鈴木Q太郎らが共演。(シネマトゥディより引用)

感想

監督はガレッジセールのゴリさん

本作はガレッジセールのゴリさんが、監督主演で製作した2016年の自主制作短編映画「born、bone、墓音。」を原案に、本名の照屋年之名義で脚本・監督した長編映画です。

ちなみに“ゴリ”名義では、2009年に「南の島のフリムン」という長編作品を監督されてるようですが、僕はゴリ&照屋年之監督作品を観るのは本作が初めて。

お笑い芸人が監督した映画ということで、正直、観る前は若干ナメていたんですけど、ほんと「ナメててスイマセンでした!」って思うくらい、イイ映画でしたねー。

「洗骨」とは

本作のタイトルでもある「洗骨」とは何かというと、「一度土葬あるいは風葬などを行った後に、死者の骨を海水や酒などで洗い、再度埋葬する葬制」(Wikipediaより引用)で、現在も日本では沖縄県や鹿児島県奄美群島の一部に残る風習なのだそうです。

本作では沖縄県粟国島を舞台に、母親の死後バラバラになってしまった家族が「洗骨」の儀式を通して再生していく様子を描いているんですね。

ざっくりストーリー紹介

本作は、粟国島で行われた葬儀の様子からスタート。
亡くなったのは、新城家の母・恵美子(筒井真理子)で、残された父・信綱(奥田瑛二)、長女・優子(水崎綾女)は悲しみに打ちひしがれ、長男・剛(筒井道隆)は弔問客の対応に追われているんですね。

で、この島では一旦ご遺体を墓地で風葬した4年後に、遺骨を洗って埋葬する「洗骨」の風習が残っていて、その儀式のために剛と優子は島に戻ってくるんですが、この4年間、信綱は妻の死を受け入れられず酒に溺れ、母の死を巡って剛は信綱に対するわだかまりがある模様。さらに優子は妊娠していて「シングルマザーになる」と言い出したので親族一同大騒ぎに――というストーリー。

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この映画、基本は母の「洗骨」を中心においたコメディなんですね。
で、コメディで芸人さんが監督する映画にありがちなのが、いわゆるボケとツッコミの「お笑いメソッド」ってやつで、これを映画でやられてしまうと映画ではなくコントになってしまうので、観ているコッチは一気に冷めてしまうのです。

本作も、このお笑いメソッドがゼロではないんですが、それでも“コメディ映画”の枠に収まるようちゃんとバランスを取っていたし、監督自身、(中退したとはいえ)日本大学藝術学部映画学科に入学した経歴を持ち、自主制作の短編映画も製作している事から、ちゃんと映画を分かってる人なんだろうなって思いました。

目新しさはないが丁寧な描写

本作で描かれる、家族の再生というテーマ自体はありがちといえばありがちだし、ストーリー的にも特に目新しさはありません。

 ただ昨今、血縁の呪いや、血の繋がりに頼らない擬似家族を題材にした作品が多い中、本作はそんな時代の流れに逆行するように、血縁、家族、伝統を繋いでいくことの大切さを真正面から丁寧に描いているんですね。

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その感性は本州とは違う独自の文化を持つ、沖縄という土地に生まれ育った照屋監督ならではだと思うのです。

今はほとんどの土地で途絶えてしまった「洗骨」は、そんな本作のテーマを象徴する儀式なんですよね。

そんな「洗骨」の手順をストーリーに絡めながらしっかり描いているところも、文化・風習対して敬意を持って描く照屋監督の真摯な姿勢が見えて好感が持てたし、儀式に優子のお腹の子の父親で、島の人間ではない神山(鈴木Q太郎)を立ち会わせることで、島の人間と僕ら観客を繋ぐブリッジを作っているのも上手いって思いました。

キャスト陣の名演

そんな本作で、お人好しだけど心の弱い父親・信綱を演じるのは奥田瑛二で、信綱とは真逆で気の強い姉の信子を演じるのが、バラエティーなどでもお馴染みの女優・大島蓉子です。

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いやー、この二人が本当に素晴らしくてですね。
特にコメディーリリーフでもあり、物語を引っ張る牽引役としても活躍する信子を演じた大島蓉子さんの演技はほんとうに素晴らしかったです。

この二人の熱演が、本作の作品としての完成度をグッと引き上げたと言っても過言じゃないと思いますねー。

もちろん他のキャスト陣も素晴らしかったですが、あえて言えば神山役の鈴木Q太郎鈴木Q太郎にしか見えなくて、全体のトーンからは若干浮いてる感じがしましたかね。

でも、その浮いてて上滑りしてる感じが、島とは文化の違う本州からやってきた神山というキャラクターに上手くハマっていたし、Q太郎さん自身の人の良さとも相まって魅力的な人物になっていました。

まぁ、あの顔の濃さは、むしろ一番沖縄感があった気もしますけどw

もちろん百点満点の名作というわけではなく、優子のお腹の造形はもうちょっと何とかならないかなと思ったし、登場キャラクターにテーマを語らせちゃう演出は垢抜けてないと思ったし、あのラストショットはいくらなんでもやり過ぎじゃないかとも思いました。

ただ、低予算の小作品ながらとても見応えがあったし、何より照屋監督の映画に対する真摯な姿勢が垣間見えて「この人の次回作を観たい!」と思わせてくれる秀作でしたねー。

興味のある方は是非!!

 

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“くん”が“さん”になる映画「えいがのおそ松さん」(2019)

ぷらすです。

今回ご紹介するのは、あの人気TVアニメの長編劇場版『えいがのおそ松さん』ですよー!

僕はTVアニメの方は第1期だけは全部観てるけど、未だに6人全員の顔と名前が一致しない程度のライトユーザーなので本作を観ようか迷ったんですけど、TSUTAYAで新作3枚より5枚借りたほうが安いと言われてレンタルしてきましたよ。

結論から先に言うと、思ったよりもずっと面白かったですねー。

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概要

赤塚不二夫の代表作の一つ「おそ松くん」を原作にしたアニメの劇場版。全員がニートという松野家の6つ子が、高校の同窓会に出席したことから物語が展開する。監督の藤田陽一、脚本の松原秀、キャラクターデザインの浅野直之をはじめ、ボイスキャスト櫻井孝宏中村悠一神谷浩史福山潤小野大輔入野自由らが結集した。(シネマトゥデイより引用)

感想

おそ松さん」さんとは

おそ松さん」を知らない人のためにざっくり説明すると、ギャグマンガの神様、赤塚不二夫の代表作の一つ「おそ松くん」の“その後”を描いた2015年スタートのTVアニメです。

TVアニメ版の第1作にあたる「おそ松くん」は1966年から1967年まで放送され、その後1988年から1989年にかけてリメイク版が放送されてます。

その後、1時間のスペシャル版や「東映まんがまつり」で公開された25分の映画もあるようですが、やはり一番人気だったのは最初のTVアニメだったと思いますねー。

第1作放送時、僕はまだ生まれてないのでリアルタイムでは観てなくて、多分再放送を何度か観たと思うんですが(平成版は観てないハズ)、うろ覚えながら、“イヤミ”が主人公というか、チビ太や他のキャラもひっくるめて、主人公のハズの六つ子が一番目立ってなかった気がします。

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実際、当時イヤミの人気は凄まじくて、あのゴジラすら「シェー!」をしてましたからねw

で、2015年にTV放送がスタートした『おそ松さん』では、そんな六つ子が成人になってるんですが、全員がクズのニートになってしまっていたという設定。

もちろんイヤミやチビ太など、過去作のキャラクターも登場しますが物語の主軸はあくまで6つ子の掛け合いに置かれていて、6人それぞれにハッキリしたキャラクターを持たせて人気声優が声を当てたことや、ポップでカラフルな絵柄と色彩、メタや自虐など今っぽい笑いがウケて、女性を中心に人気に火が付いたんですよね。

これを受けて2017年にはファン待望の第2期が始まりますが、個人的には1期で全て出し尽くしちゃった感があり、2期はそのくり返し的な感じで、正直イマイチだったという印象。

しかしその後も人気は一向に衰えず、2017年に60分の劇場アニメ、そして昨年は完全オリジナル長編ストーリーでの劇場映画となる本作「えいがのおそ松さん」が公開されたわけです。

ざっくりストーリー紹介

そんな本作のストーリーをざっくり紹介すると、高校の同窓会に参加した松野家の六つ子たちはニートであることが同級生にバレてしまい、チビ太の屋台でヤケ酒を煽りながら高校時代の自分たちには「何もなかった」と話します。

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翌日、二日酔いで目覚めた彼らは、自分たちが高校卒業の前日に来てしまったことに気づいて大慌て。
デカパン博士に相談したところ、どうやらそこは過去ではなく6人のうち誰かの思い出の中であり、その“誰か”の後悔を晴らさないと抜け出すことが出来ない。
そこで、6人が右往左往するという物語。

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この、タイムスリップで過去の世界に飛ぶのではなく、誰かの「思い出の中の過去」に入り込むという設定は、捻りが効いてて「おそ松さん」らしいと思いましたねー。

 SFやファンタジーではなく夢オチに近い精神世界の中で、6人が「黒歴史」だと思い込んでいた高校生時代の恥ずかしい自分と向き合い、許して認められるようになるわけですが、一夜の夢なので目が覚めればその事はすっかり忘れてしまう。

でも過去の悩める自分を救ったのは今の成長した自分だったっていう、ある種のタイムパラドックス的な構成も上手いと思うし、それが出来たのは6人一緒だったからというのも、“六つ子の”自己肯定と成長というテーマにちゃんと絡んでいて面白かったです。

まぁ、結果そのせいで彼らはニートになっちゃうわけですがw

おそ松さん」の枠の中で

人気TVアニメの劇場版といえば「クレヨンしんちゃん」や「ドラえもん」など数多ありますが、その中で“名作”と呼ばれる作品にはTV版での設定というか、その作品の枠(世界観)を崩してしまうものも少なくないですよね。

例えば押井守監督の「うる星やつらビューティフルドリーマー」とか、原恵一監督の「クレヨンしんちゃん/嵐を呼ぶ モーレツ!オトナ帝国の逆襲」「~嵐を呼ぶ アッパレ!戦国大合戦」や、細田守監督の「ONE PIECE THE MOVIE オマツリ男爵と秘密の島」などなど。

もちろんどの作品も面白いし名作だけど、「うる星やつら」「クレヨンしんちゃん」「ワンピース」の“枠”からは、はみ出ている。

対して本作は「おそ松さん」の枠の中で、みんな大好きな六つ子たちの魅力を存分に引き出しつつ、自己肯定や成長という普遍的なテーマもしっかり語っているんですね。

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僕みたいなオッサンは、昔のいい事も嫌なことも片っ端から忘れちゃってますけど、「おそ松さん」のメインターゲットである10~20代のファンに、この物語はしっかり刺さったんじゃないかと思いました。

 興味のある方は是非!!

 

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音で“観せる”映画「THE GUILTY/ギルティ」(2019)

ぷらすです。

今回ご紹介するのはデンマーク発の北欧スリラー『THE GUILTY/ギルティ』ですよー!

主要“登場”人物はほぼ主人公1人という会話劇なんですが、これが超面白かったんですよねー!

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概要

主人公が電話の声と音を通して誘拐事件の解決を図ろうとする異色サスペンス。本作が長編初監督作となるグスタフ・モーラーが、緊急ダイヤルの通話を頼りに誘拐事件と向き合うオペレーターの奮闘を描く。ドラマシリーズ「北欧サスペンス「凍てつく楽園」」などのヤコブ・セーダーグレンが主人公を演じ、イェシカ・ディナウエ、ヨハン・オルセン、オマール・シャガウィーらが共演している。(シネマトゥデイより引用)

感想

想像させる映画

本作は、2018年に本国デンマークで公開されるとたちまち話題になり、サンダンス映画祭では観客賞を受賞、さらにアカデミー賞外国語映画賞にもノミネート候補に選出され、映画評価サイト「Rotten Tomatoes」では初登場で満足度100%の評価を叩き出したという北欧スリラー。すでにハリウッドリメイクも決定しているらしいです。

ある事件がキッカケで、市民からの通報を受ける緊急通報指令室のオペレーターに回された警官のアスガーヤコブ・セーダーグレン)が、今まさに誘拐されている女性イーベンからのSOSを受けるという物語。

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主要“登場”人物は主人公アスガー1人。舞台は緊急通報指令室の室内のみという完全会話劇で、アスガーと僕ら観客は、電話先の相手の言葉や漏れ聞こえてくる“音”だけで、電話の向こうで起こっている事を「想像」するという趣向。
そして、物語(会話)が進むうちにアスガーと僕らは、思いもよらぬ“真実”へと辿り着くことになるんですねー。

以前、僕はハル・ベリー主演「ザ・コール 緊急通報指令室」というほぼ同じシチュエーションの映画感想で、「緊急通報指令室の中で物語を完結させて欲しかった」的な事を書いたと思うんですが、本作はまさに、そんな僕の希望を叶えてくれた作品なのです。

 なんせ映像に映るのは、焦ったり、イラついたり、怒鳴ったり、考えこんだりするアスガーの姿だけで、電話相手の姿も、電話の向こうの陰惨な状況も一切映像には映らない。
それでも面白いのがこの脚本の上手いところで、あえて見せないことで観客がそれぞれ、自分の頭の中に映像を思い浮かべる様、短い会話の中や会話相手の電話から漏れ聞こえてくる“音を設計”しているわけです。

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そもそも映画は、映像と(BGMを含めた)音で物語を観せる媒体。
映像はもちろん大事ですが、その一方で音の演出も大変重要です。

例えば70年代スラッシャーホラーの名作「悪魔のいけにえ」には、実はグロい殺戮シーンってそれほどないんですよ。
でも、多くの人は実際は無かったシーンを「観た」と思い込んでいるんですね。

それは「悪魔の~」の音の設計が上手いからで、例えばレザーフェイスが重い鉄扉をバーン!と閉める音でショックを与え、観客に扉の向こうで起こることを想像させているからなのです。

本作の場合、アスガーと相手との会話や効果音の中に、観客が状況や内容を理解・想像するのに必要な情報、さらにコチラの思い込みを利用したミスリードまでぶち込み、映像の方は、その時のアスガーのリアクションを映すことで、観客が感情を向ける喜怒哀楽の動線を作ってるわけです。

普通は映像をサポートとして音があるわけですが、本作はそれが逆になっているんですねー。

そういう意味で本作の演出方法は小説や舞台演劇に近いと言えるかもしれません。

一筋縄ではいかない

で、クライマックスでは本作じゃないと出来ない、ある衝撃の展開が待っているんですが、ミステリーやサスペンスが好きな人なら、ここの展開は割と早い段階で読めちゃうかもしれません。

でも、そこまでは(恐らく)作り手側も想定内。
実は、本筋のそこかしこに仕掛けられていたもう一つの物語がここで発動。
全ての真実が詳らかになった時、僕ら観客は初めて物語の意図やタイトルの意味を理解し、あのシーンやこのシーンに隠された仕掛けの意味にも、振り返って気づく作りになっているのです!

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一の矢を交わしてドヤ顔してたら、実は二の矢三の矢がすでに刺さってたっていう。

そして最後には、デンマーク(というか世界の国々)が抱える、弱者を救済するためのシステムによって弱者が犠牲になってしまうという問題や、コミュニケーション不足からくる差別や偏見など、ドスンと重いテーマまでを最小限の情報で語っているんですね。

それだけの仕掛けや情報量をたった88分という時間の中に収めてしまう手腕も凄いし、ある意味ほとんど画変わりしないワンシチュエーションの映画で、最後まで緊張感を持続させるのも凄いなーと思いましたねー。

映画館で見るべき作品だった

僕は今回、本作を自宅のテレビで観たわけですが、観終わったあと「映画館で観れば良かった!!」と激しく後悔してしまいましたよ。

いや、もちろん自宅のテレビで観ても十二分に楽しめたわけですが、音響設備の整った映画館で本作を観たら、更なる臨場感が味わえたのではないかと思うんですよね。
「サスペンス系の映画だしDVDで観ればいいや」とナメてた、あの時の自分をぶん殴ってやりたい!!ウワァァァァァァヽ(`Д´)ノァァァァァァン!

興味のある方は是非!!!

 

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