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暴力映画最前線「トマホーク ガンマンvs食人族」(2015/日本ではDVDスルー)

ぷらすです。

今回ご紹介するのは、一部の映画マニアの間で話題沸騰のS・クレイグ・ザラー監督作品『トマホーク ガンマンvs食人族』ですよー!

現在公開中でメルギブ主演の「ブルータル・ジャスティス」の話がラジオで出ていて、その監督の長編デビュー作として本作が紹介されていたので、早速アマプラで観ましたよ!

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画像出展元URL:https://www.amazon.co.jp

概要

ヘイトフル・エイト」のカート・ラッセルが主演を務め、食人族に連れ去られた人々を救うべく立ち上がった4人のガンマンの戦いを描いた西部劇アクションスリラー。アメリカの荒野にある田舎町で、複数の住人が忽然と姿を消した。さらに空き家の納屋で、惨殺された男性の遺体が発見される。現場の遺留品や遺体の状態から、犯人は食人族として恐れられている原住民であることが判明。保安官のハントら4人の男たちは拉致された人々を助けるため、足跡をたどって荒野を進んで行くが……。共演に「ウォッチメン」のパトリック・ウィルソン、テレビドラマ「LOST」のマシュー・フォックス、「扉をたたく人」のリチャード・ジェンキンス。「ザ・インシデント」の脚本を手掛けたS・クレイグ・ザラーがメガホンをとった。(映画・comより引用)

感想

エスタン・ホラー?

実はこの作品、アマプラのおススメでタイトルはチョイチョイ見かけてたんですが、なんせこのタイトル、いかにもインパクト狙いの出オチB級映画って感じじゃないですか。

なので最初は食指が動かなかったんですが、現在(日本では3館で)公開中の「ブルータル・ジャスティス」のS・クレイグ・ザラー監督が、ライムスター宇多丸さんを始め複数の映画評論家の人に激押しされてましてね。

その流れで長編監督デビュー作である本作も紹介されたのを聞いて、急に興味が湧いたわけです。

で、アマプラに入ってたので早速観てみたんですが――ビックリするくらいタイトルそのまんまの内容でしたねーw

そんな内容を超ざっくり説明すると、人食いインディアンに連れ去られた部下ニックエヴァン・ジョニカイト)と人妻サマンサ(リリー・シモンズ)をハート保安官カート・ラッセル)、サマンサの夫アーサーパトリック・ウィルソン)、ニヒルな紳士ブロンダーマシュー・フォックス)、老補佐官チコリーリチャード・ジェンキンス)の4人のカーボーイが救出に向かうのだが――というストーリー。

つまりは、カーボーイがインディアンと戦うというある意味で由緒正しい西部劇なんですが、西部劇全盛の1940~50年代ならともかく、悪いインディアンを正義のカーボーイが倒す西部劇なんて、諸々のリテラシーの進んだ現代では当然許されるわけもなく。

そこで、S・クレイグ・ザラー監督が取った手段が、敵がネイティブアメリカンたちからも忌み嫌われている“食人部族”であり、言葉も持たないため一切のコミュニケーションが取れないという設定。

なので音もなく忍び寄ってくる食人族は”敵”ではなく自分たちを捕食するモンスターであり、物語のプロットは西部劇じゃなくて完全にホラー
ほぼ「エイリアン」や「プレデターと同じなんですよね。

「暴力映画」最前線

そう書くといかにもB級映画っぽいというか、なんせガンマンと食人族が戦う映画ですからね。

“内容的”には確かにB級ホラー映画なんですが、ただのインパクト狙いの出オチ映画かと言うとちょと違うのです。

というのも本作のS・クレイグ・ザラー監督は元々脚本家ということもあって、ストーリーテリングが超上手。

なので、ある意味で荒唐無稽な本作のストーリーも思わず引き込まれてしまうんですよね。

例えば冒頭。

野宿中の旅人の喉元に刃物が押し当てられてゆっくり引かれる。
カメラが引くと、すでにもう一人の男も同様に殺されていて、会話の中身から殺した方の男2人は旅人の寝こみを襲う強盗であることが分かるんですね。

その二人の駄話中、死んだと思われた男が実は生きていて、死んだふりをしたままそっと銃を構えようとするも強盗の一人に撃ち殺されてしまう。

すると、その銃声を聞きつけた何者かが数名向かってくる馬の足音が聞こえ、二人は逃げようと丘を登るわけですね。

すると、丘の上では獣の鳴き声のような不気味な音が聞こえ、二人はどうやらネイティブアメリカンの墓場らしき場所に迷い込んでしまう。

若い強盗はビビって別の道を行こうと言うが、年老いた方の強盗は耳を貸さず進み、草むらに人の気配を感じて銃を発砲。

しかし、次の瞬間弓矢で喉を射抜かれた年老いた男を見て若い男は逃げ出し、その後方では刃物か鈍器で年老いた男が止めを刺されているのが小さく見えるわけです。

つまり、獲物(旅人)を狩る強盗を狩るインディアン(食人族)という図式を冒頭で見せることで、本作がアクション映画ではなく「暴力映画」であることが提示されるわけです。

この場合の「暴力映画」とは、例えば主人公が能力や腕力で悪者たちを倒すような勧善懲悪のアクション映画ではなく、例えばニコラス・ウィンディング・レフン監督作品や、スコセッシのギャング映画、一連のペキンパー作品や韓国ノワールなど、暴力の痛みや本質を描く、または暴力とは何かを観客に突きつける作品のこと。

そうした暴力映画の系譜自体は洋の東西問わず連綿と受け継がれていて、現在その先頭を走っているのがS・クレイグ・ザラー監督なんですね。

そんなザラー監督のデビュー作となる本作、ガンマンと食人族が戦う、いわゆるアクションシーンは殆どありませんし、あっても襲い掛かる食人族を主人公たちが銃で撃つのをサクッと見せる程度なんですが、何故か痛い描写は執拗に撮るししっかり見せます。

特に中盤、捕まった副保安官のニックが裸にひん剥かれ食人族に捌かていくショックシーンは観ていて本当に怖いし超シンドイ。
石か動物の骨で出来た斧で剥がれた頭の皮を口に突っ込まれ、逆さにYの字状にされて(刃物みたいに切れないから)股間から何度も斧を叩きつけられて縦に真っ二つに裂かれますからね。(←自主規制。読んでもいいよという人は文字反転で)

「こんな死に方は絶対に嫌だ」ランキング第1位ですよ。

それまで彼らを同じ「人間」として観ていた考えの甘さを突きつけられるような、何とも絶望的なシーンだし、捌かれていくニックに「コイツらを皆殺しにしてやるからな!」と声をかけるハート保安官に観ているこっちも感情移入するシーンであります。

その前のシーンでは、執拗にインディアンを憎み女子供まで160人以上を殺してきたブロンダーに対して批判的だったハート保安官とチコリー
この二人は非常にリベラルな精神の持ち主なんですね。
実はブロンダーの方は少年時代、インディアンに母と姉を殺されるという地獄を既に経験済みなので、価値観や宗教観、倫理観など何もかもが違うインディアンとは分かり合えない事を身をもって分かっていた。

そんなブロンダーの気持ちを、ハート、チコリー(と観客)はこの(ニック捌き)シーンで追体験し、骨身に染みて”分からされる“わけですね。

もちろん、人間を縦半分に裂いちゃうこのシーンは画的にも設定的にも荒唐無稽だし、コントギリギリなんだけど、それを悲惨&悲壮なシーンとして成立させているのは、脚本と監督を兼任するS・クレイグ・ザラー監督の手腕なんですよねー。

特に脚本は素晴らしく、一つ一つのシーンやエピソードには常にフリとオチがあって、前後のシーンが有機的にリンクしてるのです。

ただ、そんな激痛暴力描写の合間合間に、すっとぼけたギャグを挟んでくるので、この監督は油断が出来ないんですよねw

例えばこのニック捌きの次のシーンでは、食人族のリーダーがニックの足をケンタッキー感覚で歩き食いしてたりねw

その辺のセンスや省略の仕方なんかは北野映画に近いかもしれません。

まぁ、そのお陰で観ているこっちは息がつけるし、最後まで面白く観られるわけですが。

で、色々あってのラストの方で、この食人族の女がチラリと映るわけですが、彼女らは手足を切られ、いわゆる達磨状態にされたうえに棒のようなものを刺されて目も潰され妊娠させられている。(←自主規制。以下略)文字通り「子供を産む道具」にされているわけです。

実はその前に、サマンサが「身重の女たちは手足が不自由で盲目」と説明しているんですが、それがフリになっていて、説明を聞いてコッチが想像したのとは全然違う「暴力」を見せることで、食人族を完全なる怪物にする&ニックのシーン以前なら罪なき食人族の女たちを助けたであろう彼らが、放っておけば死ぬ事を知りながら放置して帰ることで、彼らの中でハッキリと「何か」が変わった事が示されているわけですね。

それは監督がリベラルに傾く映画業界を批判をしているようにも見えるし、現在のディスコミュニケーションな世界を映す鏡のようにも見えなくもないというか。

好き嫌いは分かれる

ただ、そんなS・クレイグ・ザラー監督作品は多分、相当好き嫌いが分かれるのは間違いなくて、実際評価サイトでも評価はハッキリ分かれてました

それは、もちろんグロ描写がエグいってのもあるけど、グロや暴力シーンに何某かの意味や意図、テーマ性みたいなのがあるのかないのか分からないってところで、ただのB級グロ映画に見える人もいれば、(勝手に)意味や意図を見出そうとする人もいるかなーと。

あ、あと、この作品ってBGMが一切入ってないんですよね。
で、エンディングロールだけテーマソングが入ってるんですが、どうもこの曲S・クレイグ・ザラー監督自身が作詞作曲したっぽいんですよね。
というのも、監督はプロのミュージシャンでヘヴィーメタルバンドのメンバーでもあったらしい。

なので、彼の作品のBGMは基本、監督自身が作詞作曲・演奏?もしてるらしいです。

というわけで、個人的には超面白かった本作ですが、とにかくグロシーンがキツめなので他人にはちょっとおススメ出来ない作品でしたーw

興味のある方は是非!!

 

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映画にする意味「みうらじゅん&いとうせいこう 20th anniversary スライドショーがやって来る!「レジェンド仲良し」の秘密」(2017)

ぷらすです。

今回ご紹介するのは、サブカル界の二台巨頭みうらじゅんいとうせいこうのユニット「ROCK'N ROLL SLIDERS」が行っているトークイベント「ザ・スライドショー」の20年を追ったドキュメンタリー『スライドショーがやって来る!「レジェンド仲良し」の秘密』ですよー!

アマプラの見放題に入ってたのを見つけたので早速観てみました。

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概要

みうらじゅんが全国で撮影した写真をスクリーンに映し、いとうせいこうが突っ込むというトークイベントのドキュメンタリー。「マイブーム」などの造語を生み出したイラストレーターなどの肩書を持つみうらとクリエイターのいとうが、写真をネタに独特のセンスや鋭い感性でトークを繰り広げるステージの様子のほか、WOWOWに残る舞台裏映像や撮り下ろしのインタビューなどで構成される。写真のセレクションや、みうらといとうの仲の良さが印象的。(シネマトゥディより引用)

感想

映画にする意味があるのか問題

映画界、というか邦画界では人気ドラマの劇場版とか、人気漫画やアニメの実写版とか、はたまたバラエティー番組のワンコーナーの劇場版とか、国民的名作アニメの駄リメイクとか、「それ、映画にする意味ある?」と頭をかしげるような作品が決して少なくないですよね。

僕も若い頃はそういう映画に噛みついたりもしましたが、今は“そういう作品“には最初から近づかなければいいと思ってるし、きっと映画界にも色々事情があり、またそういう「映画」が好きな人だっているわけで、それについてとやかく言う気はさらさらなく、個人的には「そういう作品ってあるよね」くらいの距離感だったりします。

で本作。

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劇場公開をネットで知った時、まさに「それ、映画にする意味ある?」って思ったわけですね。
みうらじゅんいとうせいこうは広く名前を知られてるだろうけど、二人の「ザ・スライドショー」というイベントを知ってる人はそんなに多くないだろうし、劇場に足を運ぶほどこの二人に興味のある人も、それほどは多くないと思いますしね。

僕は「ザ・スライドショー」の名前や概要を何となくは知ってたけど、会場に行った事もないし映像でも観たことがないので、アマプラで本作を見つけて、“映画として”というよりも「『ザ・スライドショー』が観られるなら」くらいの感じで観たわけです。

二人の天才が「レジェンド仲良し」になるまで

京都出身のみうらじゅんは、武蔵野美術大学に在学中から糸井重里の事務所で働き、マンガ雑誌ガロで漫画家としてデビュー後、イラストレーター、文筆業、バンドなどマルチに活躍し、「マイブーム」「ゆるきゃら」「クソゲー」など、いくつものムーブメントを日本中に浸透させた稀代の天才の一人。

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この人の凄さは、普通ならダメなもの、つまらないもの、不要とされるものなどに新たな価値と見方(楽しみ方)を提示することで、その物に対する世間の認識を変えてしまうところでしょうか。
また、どうでもいいバカ話と思って聞いていたら、いつの間にか彼の哲学や宗教感に引きずり込まれているんですよね。

それって今風に言うなら「インフルエンサー」ってやつなのかもだけど、「最初に発見して広める」ではなく従来の価値観では何の意味もない物に新たな価値観を提示することで意味や価値をつける。つまりは「無から有を生み出す」という意味で、やはりみうらじゅんという人はクリエイターだし、ある種の天才なのだろうと思うわけですね。

一方、江戸っ子のいとうせいこうは、早稲田大学在学中にピン芸人として活動を開始。
『ホットドッグ・プレス』などの編集部を経て、日本語ラップのパイオニアとして活動する一方で作家としても活躍するなどマルチな活躍で知られていて、やってることはみうらさんとほぼ一緒なんだけど、この人の場合はよりポップな形でその才能を世間に知らしめた人というイメージです。

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そんな二人の共通点はいわゆる「サブカル」だという事なんですが、劇中のインタビューでみうらじゅん本人が言うように、「モテる方とモテない方」で言えばみうらじゅんはオタク寄りでモテない方のサブカル村、いとうせいこうはオシャレでモテる方のサブカル村にそれぞれ住んでいたため、当初はお互いに反目しあう関係だったのだとか。

本作はそんな二人の出会いから、現在のホモソーシャル”を通り越して熟年夫婦のような関係性を”完成”させるまでを、みうらじゅんが日本全国から集めてきたネタをスライドで紹介、それにいとうせいこうがツッコミを入れる形式のトークショーザ・スライドショー」の歴史を通して追っていくというドキュメンタリー。
つまり、本作の主題は「ザ・スライドショー」というよりも、みうらじゅん&いとうせこうの出会いと積み重ねた歴史そのものなのです。

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 同時にこの「ザ・スライドショー」は二人にとって代名詞とも言えるイベントの一つであり、その時々の二人の関係性がそのままイベント内容に反映するので、みうらじゅんいとうせいこうの歴史を語るうえで避けては通れない題材でもあるわけですね。

最初は互いにある種のライバル意識やある種の反目も持ちながら始まり、やがていかにお互いを驚かせるか、感心させるかに重点を置いてネタ集めや演出をするようになっていき、最終的にはイベントのメインである「スライド」すら不要なのではないかという境地に達する二人。

さらに互いに還暦を超え、「もしみうらさんが自分以外の相方を見つけたら廃人になっちゃうよ」「自分が死んだら棺桶の中の遺体に「死んでんのかよ!」ってツッコミ入れてほしい」と、言い合える仲になった二人のトークは、見ているだけで幸せな気持ちになるし、還暦を超えた仲良しおじちゃん二人が舞台を転げながらキャッキャ笑い合う姿は、それだけで単純に面白いのです。

そして、その背後にはイベントスタート時の1990年代~現在の間に確実に失われゆく日本の姿がうっすらと見え隠れしているんですね。

というアレコレを含めて、この作品を映画にする意味があるのかないのかは、アマプラで観て各自ご判断ください。

興味のある方は是非!!

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世界の“MIIKE“が撮った”洋画“「初恋」(2020)

ぷらすです。

今回ご紹介するのは、”世界のMIIKE”こと三池崇史監督久しぶりのオリジナル作品『初恋

』ですよー! 

日本に先駆けて全米公開したことでも話題となった本作ですが、先に個人的な感想を一言で書くと、この作品は「三池崇史が撮った”洋画“」だと思いました。

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概要

『一命』などの三池崇史監督と『東京喰種 トーキョーグール』シリーズなどの窪田正孝が、ドラマ「ケータイ捜査官7」以来およそ10年ぶりに組んだラブストーリー。負けるはずのない相手に負けたプロボクサーの主人公が過ごす、アンダーグラウンドの世界での強烈な一夜を描く。『ビジランテ』などの大森南朋、『さよなら歌舞伎町』などの染谷将太をはじめ、小西桜子、ベッキー村上淳塩見三省内野聖陽らが出演した。(シネマトゥディより引用)

感想

三池が世界に照準を合わせた作品!?

これまで仕事を断らない職人監督として数多くの原作つき作品に携わる一方で、その強烈すぎる作家性で世界中にファンを持つという二面性を両立している異例の映画監督・三池崇史

非常に多作で知られる監督ですが、それゆえか彼ほど評価の定まらない監督も珍しいのではないでしょうか。

世界中を震え上がらせた「オーディション」や名作時代劇のリメイク「13人の刺客」などの名作を撮る一方で、哀川翔竹内力というVシネマの2台巨頭を直接対決させた「DEAD OR ALIVE」3部作や、幕末の人切り・岡田以蔵をモチーフにしたSF作品IZO」など伝説的なカルト映画も撮り、そうかと思うと「ヤッターマン」「忍たま乱太郎」「ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない 第一章」など、職人監督に徹して原作つきの作品を次々に実写化してみせ、さらに映画にとどまらずテレビドラマ、演劇、歌舞伎の演出から出演まで。

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とにかくジャンルを問わず「仕事は来たもん順で受ける」「映像化可能であれば、まず何でもやってみる」との公言通り、依頼があれば提示された期限・条件・予算の中でしっかり「商品」を仕上げて納品する職人監督でありながら、隙あらば商品に自分の色を混ぜて、しれっと「作品」にしてしまう。僕の中で三池崇史はそんなイメージの監督です。

そんな彼の最新作となる本作は、ヤクザとチャイニーズマフィアの抗争と裏切り、血で血を洗う暴力を描く三池崇史の得意ジャンルで、そんな中、暴力団に売られた少女と余命幾ばくもないボクサーが出会い――という物語。

どうせいつもの三池映画だろ?」と思って本作を観ると、確かに序盤で落っこちた生首がカメラ目線でとぼけた表情をするっていう、ザ・三池ワールドな悪ノリ描写はあるものの、それ以外のシーンはわりと大人しいというか、いわゆる三池印の露悪的な描写は殆どないんですよね。

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暴力を露悪的に「見せる」ことで世界に名前の売れた三池監督が、本作で「見せない」方向に舵を切ったのは、多分、本作を世界基準に合わせたからで、そう考えると登場するキャラクターも、出所したばかりの昔かたぎなヤクザの権藤内野聖陽)、策士で利己的なヤクザの加瀬染谷将太)、ヤクザと繋がって操ろうとする悪徳刑事の大伴大森南朋)、高倉健に憧れるチャイニーズマフィアのチアチー藤岡麻美)、クズのチンピラ・ヤス三浦貴大)とその情婦ジュリベッキー)、父親の作った借金のカタとして(シャブ漬けにされて)体を売らされているヒロインのモニカ/桜井ユリ(小西桜子)と、偶然ユリを救った事で騒動に巻き込まれる余命幾ばくもないボクサーで主人公のレオ窪田正孝)と、基本的にはハリウッド映画のクライム(ギャング)コメディーと同じ構成で、つまり海外の観客も感情移入して観やすい作品になってると思うのです。

まぁ、口さがない人のレビューでは、「タランティーノのパクり」とか「下手くそなタランティーノの物まね」と、わりとボロクソ書かれてるんですが、でもちょっと待ってほしい。

この映画はタランティーノとかハリウッドとか、そんなピンポイントじゃなくて、もっとこう、包括的にこのジャンルの洋画全体(のトレンド)を引用してるというか、前述したように意図的に日本で「洋画」を撮ろうと挑戦した作品に思えるんですよね。

作品のドライさが三池作品をポップにしている

露悪的な暴力や残酷描写もですが、本作ではキャラクターの「業」とか「情念」とかそういう湿気の高い三池要素を意図的にカットしているっぽく、やってること自体はいつもとそんなに変わらないんだけど、全体的にハリウッド映画のようなドライな印象ゆえに、血みどろのクライマックスシーンもそんなに不快感はなく、むしろ死ぬべき人間がちゃんと死ぬことで物語が収束していくので、ある種のカタルシスさえ感じて、なのでモニカとレオのラストシーンには「何か良いもの観た感」すらあるんですよね。

それでいて、要所要所にはしっかり三池印をぶち込んでいて――っていうか、そもそもヒロインが麻薬中毒患者ですからねw

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あとはベッキーあの使い方とか、冒頭とクライマックスの生首ギャグ被せとか、DV親父のカチャーシー踊りとか、染谷将太のブチキレツッコミとか。

そうしたエキセントリックな裏社会の住人たちの中、主役の二人はイノセントなキャラクターとして描かれていて、その辺は(僕も含め)タランティーノ脚本、トニー・スコット監督の「トゥルー・ロマンス」を連想する人も多いんじゃないでしょうか。

日本に先んじて公開された海外では、こういうイノセントな主人公が出会う恋愛コメディを表す「meet-cute(可愛い出会い)」に三池監督の苗字を合わせた「Miike meet-cute」なんて造語も誕生したようで、本作は概ね好評な様子。

そういう意味では、三池監督の挑戦?は成功したと言っていいのかもしれませんし、個人的には久しぶりにちゃんと面白いと思った三池作品でしたねー!

興味のある方は是非!!

 

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悪趣味だけど上手い!「ジェーン・ドウの解剖」(2017)

ぷらすです。

今回ご紹介するのは、検死官の親子が夜中に運び込まれた美しい死体の解剖中に恐ろしい目に遭うという異色のホラー映画『ジェーン・ドウの解剖』ですよー!

僕はこの作品、以前からTSUTAYAでパッケージを見る度気にはなってたんですけど、「女性の解剖シーンは(作り物でも)キツなー」と、ずっとスルーしてたんですね。

でも、最近誰かのレビューを読んで興味が湧いたので、今回アマプラで観ましたよ!

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概要

身元不明の女性の検死を行うことになった検死官の親子が、解剖を進めるうちに怪奇現象に襲われるホラー。遺体安置所での逃げ場のない恐怖をリアルな解剖シーンと共に描き、トロント国際映画祭など世界各地の映画祭で高い評価を得た。監督は、『トロール・ハンター』などのアンドレ・ウーヴレダル。検死官の親子を『ボーン』シリーズなどのブライアン・コックスと、『イントゥ・ザ・ワイルド』などのエミール・ハーシュが演じる。(シネマトゥディより引用)

感想

深夜に運び込まれた“彼女”の正体を探るミステリーホラー

本作は、一家惨殺事件の現場地下室で発見された身元不明の死体を運び込まれた検死官の親子が、死体を調べるうち次々と不可解で恐ろしい目に遭うというホラー映画で、前半からクライマックスにかけて、運び込まれた”彼女の正体”を検死官の親子が解剖を進めながら読み解いていくというミステリー的要素と、同時進行で起こる不可解で恐ろしい超常現象=オカルト要素が呼応するように物語が進んでいきます。

「ジェーン・ドウ」とは運び込まれた死体の固有名詞ではなく、日本で言えば「名無しの権兵衛」的な身元不明の遺体につけられる呼び名で、男性なら「ジョン・ドウ」女性なら「ジェーン・ドウ」というわけです。

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まぁ、ぶっちゃけホラー好きな人なら割と序盤で“彼女”の正体は分かっちゃうと思うんですが、その謎解き自体は本作に置いて主題というわけではないし、実はその正体も幾層かのベールに包まれているので、彼女が「加害者」か、それとも「被害者」かが曖昧なままなんですよね。

そしてクライマックス以降は、どうすれば発動した呪いを解けるかが主題になっていくわけですが、そうしてみると、本作の構造は(その怖がらせ方も含め)Jホラーっぽい感じ。もっと言うと「リング」に近い感じがしましたねー。

ちゃんと最後まで怖いホラー

近年のホラー映画は、例えば「IT」や「ドクター・スリープ」日本なら「来る」や「犬鳴村」などなど、全体的にストーリーやテーマありきで、それを語る「ジャンルとしてのホラー」という感じの作品が(特に大作や続編・リメイクものに)増えている印象で、なので謎解きから解決に至る後半部分はまるで作品のジャンルが変わったのかってくらい怖くなくなる事も多いんですが、本作は基本的に最後までちゃんと観客を怖がらせようとしている感じで好感が持てましたねー。

更に、呪いというシステムの理不尽さに裏打ちされた物語の救いのなさは、近年観たホラーの中でも中々グッときたし、観客に宿題を残すラストシーンも「お、この監督分かってるなー」って感じ。

ちょっと露骨すぎるかなと思う部分もあったけど、後半~クライマックスの回収に向けての伏線もしっかり張っていたし、全体的に物語の作り方が丁寧な印象でしたねー。

そんな本作でメガホンをとるのは「トロール・ハンター」や「スケアリーストーリーズ 怖い本」などで知られるノルウェーの監督アンドレ・ウーヴレダだそうで、本作を観ると上記の両作にも俄然興味が湧きましたねー。

ただ作品の性質上、物語の大部分は女性の解剖シーンなので(作り物と分かっていても)苦手な人はちょっと無理かもですねー。

というわけで、ここからはネタバレするので、これから本作を観る予定の人やネタバレは嫌!という人は、本作を観た後にこの後を読んでくださいねー。

 

 

“彼女“の正体

前述したように、彼女の正体が魔女であることはホラー好きな人なら割と序盤の段階で分かるのではないかと思います。

面白いのは、魔女という極めてオカルト的な存在を、遺体安置・火葬・検死官が家業の親子が、司法解剖という極めて科学的(医学的?)なアプローチで解き明かしていくという仕掛けです。

解剖が3段階の手順に沿って進むのに合わせ、彼女が魔女(もしくは魔女として拷問・処刑された人物)である事が少しづつ分かっていくんですね。

もちろんこれまでにも、オカルトと科学を融合させたホラーがないわけではないけど、司法解剖の様子から魔女裁判の拷問の様子を観客に連想させる画作りは、悪趣味だけど上手いなーと思いましたねー。

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そしていよいよ謎が解き明かされるクライマックスでは、彼女の体内から発見された布に書かれた「レビ記20章27節とローマ数字の1693年」の文字をヒントに、彼女が「セイラム魔女裁判」の関係者だったことを親子は割り出すのです。

セイラム魔女裁判とは

この「セイラム魔女裁判」を僕は知らなかったんですが、Wikipediaによれば「マサチューセッツ州セイラム村(現在のダンバース)で1692年3月1日に始まった一連の裁判」だそう。

事の発端はセイラム村の牧師の娘とその従妹・友人らが親に隠れて降霊会を行い従妹が突然暴れだすなど奇妙な行動を取り、医師が悪魔憑きと診断した事から、牧師はネイティブアメリカンの使用人女性を疑い拷問。ブードゥー教の妖術を使った事を「自白」させるわけです。

ただ、これによって降霊会に参加していた少女たちが次々と異常行動を起こすようになり、村の有力者の娘が立場の弱かった女性3人の名前を挙げたのをキッカケに、200名近い村人が魔女として告発され、19名が刑死、1名が拷問中に圧死、2人の乳児を含む5名が獄死というとんでもない大事件に発展。
事態を知った州知事の命令で1693年5月にようやく事態が収束したのだそう。

本作はこの「セイラム魔女裁判」を下敷きに物語が作られてるんですね。

ただし、”彼女”が魔女裁判に関わった何者なのかは劇中では明らかにされておらず、歴史に名を残している中の「誰か」なのか、もしくは200名の中にいた無名の誰かなのか。

また、彼女自身が「魔女」=加害者なのか、魔女裁判の拷問もしくは儀式によって魔女にされてしまった女性の誰か=被害者なのか、彼女自身の意思で呪いを発動させているのか、それとも彼女の意思とは関係なく近づくだけで呪いが発動してしまう呪術の「装置」としての魔女なのかなどを意図的に描かないことで、物語に余韻を残しているのです。

ラストシーンの男

そうして恐怖の一夜が明け、検死官親子の家には親子と息子の彼女の死体、そして“無傷”のジェーン・ドウの死体が残されていて、不吉なものを感じた保安官は”彼女“を群外の大学病院に運ぶように指示します。

そして運ばれている中で、運転手の黒人警官が振り返り、彼女に「なあベイビー、二度としないって」となれなれしい口調で話しかける。
すると彼女の足に結びつけられた鈴がチリンと音を立てて物語は終わるわけですね。

そこで思い返されるのが物語冒頭の一家惨殺事件。
侵入者(強盗)などの形跡はなく、つまりはこの一家惨殺事件は彼女のせいで起こっていること。
そして、その事件にこの黒人警官が関わっているであろう事が分かります。

つまり彼女が呪術具なのだとしたら、この男は彼女を操る呪術者、もしくは魔女を使役する悪魔ってことですよね。

多分、検死官親子と息子の彼女は呪いの標的ではなく、ただの巻き添えで犬死にだったっていうことだと思うんですよね。

そう考えると、本作は相当な胸糞映画と言えるんじゃないでしょうかw

興味のある方は是非!!

 

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清水崇版のアナ雪2「犬鳴村」(2020)

ぷらすです。

今回ご紹介するのは、「呪怨」シリーズでお馴染み清水崇監督が実在の心霊スポットを題材に制作したホラー映画『犬鳴村』ですよー!

基本的にホラーが苦手なビビりなので、最初はスルーする気満々だったんですが、公開時にTwitterで何かと話題になっていたので観ることにしたんですが……

何とこの映画、清水崇版の「アナ雪2」でしたねー!

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画像出展元URL:http://eiga.com

概要

呪怨』シリーズなどの清水崇監督が、福岡県の有名な心霊スポットを舞台に描くホラー。霊が見えるヒロインが、次々と発生する奇妙な出来事の真相を突き止めようと奔走する。主演を『ダンスウィズミー』などの三吉彩花が務める。『戦慄迷宮3D THE SHOCK LABYRINTH』『貞子3D2』などを手掛けてきた保坂大輔が清水監督と共同で脚本を担当した。(シネマトゥデイより引用)

感想

Jホラー界の異端児・清水崇

今や、日本のみならず海外のホラーファンにもその名を知られている清水崇監督。
2000年、東映Vシネマから発売されたOVA版「呪怨」が怖すぎると口コミが広がり2003年に映画化。翌年には自身が監督しハリウッドリメイク版「THE JUON/呪怨」が制作されヒットするなど、清水監督は一躍Jホラーの代表監督として多くの人々に認知されるようになったわけですが……、実は清水監督がJホラー界において異端児だった事はホラー好きの間では有名な話ですよね。

Jホラー(ジャパニーズ・ホラー)とは、読んで字のごとく日本製ホラー映画を指すわけですが、その歴史は意外と浅いんですよね。

もちろん、それ以前にも怪談映画や怪奇映画、恐怖映画などは作られていましたが、それらの作品は映画媒体の斜陽化と共に制作数が減っていき、また大林宜彦監督の「ハウス」や黒沢清監督の「スウィートホーム」など、海外ホラー的手法で制作された作品もあり、カルト的人気は得たものの、いわゆるホラーとしての評価は振るわず。

この当時の“日本製ホラー”って「見せすぎ問題」ってのがあって、ハリウッドなど海外のホラーは「何も見えねーよ!」ってくらい暗いシーンの映像は暗かったし、その見えなさ加減が逆に怖かったと思うんですが、同じころ(1970~80年代)の日本製ホラーって、とにかく画面が明るくて全部見えちゃってたんですよねー。

これは多分、当時の邦画界でのスタジオシステムの名残というか、「ちゃんと映す」というスタッフさんたちの職人意識の弊害というか。

それはスタッフの人たちが悪いという話ではなくて、邦画業界の気質とか邦画の成り立ちや歴史とか、あと日本人の職人気質とか、そんなアレコレがあったんだと思うんですよね。

ともあれ、そんなこんなで90年代半ば頃、ビデオデッキの普及によっていわゆるビデオバブルが起こり、東映Vシネマなどビデオのみで制作・展開するOVAが流行りはじめ、日本ホラー界もこの流れに乗って「邪願霊」「ほんとにあった怖い話」などのオリジナルビデオ作品としてホラー作品が作られるようになり、ここで得たノウハウや人材がJホラー初期の名作「女優霊」やあの大ヒット作「リング」へと続き、Jホラーが確立していくわけです。

で、この「邪願霊」「ほんとにあった怖い話」の脚本家として知られるのが小中千昭という人で、彼がJホラーの父と呼ばれる映画監督・鶴田 法男と共に編み出した恐怖表現は通称「小中理論」と呼ばれ、Jホラー界に大きな影響を与え、ある意味「リング」でその完成を見たわけですね。

そんな「リング」公開の翌年、Vシネで公開され口コミで評判になったのが「呪怨」です。
呪怨」が革新的だったのは、いわゆるJホラーをJホラーたらしめている「小中理論」の逆を突いているという点で、要は今までハッキリと見せなかったオバケをハッキリ見せて、やり過ぎてコントになるギリギリのラインまで観客を脅かす演出に特化するということ。

 

これって実はハリウッド的ホラー表現で、つまり清水崇監督はJホラーではなくハリウッドホラー的恐怖表現をJホラーで成功させた映画監督と言えるのではないかと思います。

その後、色んな作品で世界中を恐怖のどん底に陥れてきた清水監督の最新作が、本作「犬鳴村」なんですねー。

犬鳴村伝説

本作で登場する「犬鳴村」は福岡県に実在する心霊スポットで、

・トンネルの前に「白のセダンは迂回してください」という看板が立てられている。
・日本の行政記録や地図から完全に抹消されている。
・村の入り口に「この先、日本国憲法は適用しません」という看板がある。
・江戸時代以前より、激しい差別を受けてきたため、村人は外部との交流を一切拒み、自給自足の生活をしている。近親交配が続いているとされる場合もある。
・入り口から少し進んだところに広場があり、ボロボロのセダンが置いてある。またその先にある小屋には、骸が山積みにされている。
・旧道の犬鳴トンネルには柵があり、乗り越えたところに紐と缶の仕掛けが施されていて、引っ掛かると大きな音が鳴り、斧を持った村人が駆けつける。「村人は異常に足が速い」と続く場合もある。
・全てのメーカーの携帯電話が「圏外」となり使用不能となる。また近くのコンビニエンスストアにある公衆電話は警察に通じない。
・若いカップルが面白半分で犬鳴村に入り、惨殺された。(Wikipediaより引用)

 などの都市伝説がネットなどを中心にまことしやかに語られている場所。

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画像出展元URL:http://eiga.com

本作では、これらの都市伝説を物語に取り込みながら劇映画として制作しています。

ストーリーは二人の男女が「犬鳴トンネル」でYouTube?の撮影を行っている件からスタート。最初はふざけながらキャッキャ撮影している二人の身に恐ろしい事が起こり半狂乱で逃げ出し――というのが物語の導入部です。

まぁ、この手の映画ではよくある導入部で、この二人もこのアバンのためだけに登場したんだろうと思って見ていると、実は男の方は主人公の兄で女は兄の婚約相手であることが明かされるんですね。

で、本作の主人公は森田奏三吉彩花)は精神科医で、不思議な事を言う遼太郎という子を担当してるんですが、このやり取りでどうも霊感?が強い事が分かるんですね。
そんな彼女に兄から「彼女の様子がおかしい」的な相談があり、奏が家に帰ると兄の彼女は気味の悪いわらべ歌を歌いながら不気味な絵を描いているわけです。
どうやらそれは「犬鳴村に行った」呪いではないかと弟の健太が言い出し、彼らが目を離した隙に家からいなくなった彼女を探していると兄の携帯が鳴り、「もうすぐ行くよ」という言葉と共に、彼女は鉄塔の上から兄の目の前に飛び降りて死んでしまうんですね。

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画像出展元URL:http://eiga.com

その後、彼女のお葬式で検死をした医者と奏の父が話しているんですが、飛び降り自殺にも関わらず、彼女の死因は溺死だったと医師が言い、それを聞いた父は特に驚く様子も見せないんですね。(つまり犬鳴村の謎を知っている)

その後、精神的に追い詰められた兄は再び犬鳴村に向かうも行方不明になり、様々な怪奇現象に悩まされる奏の前に、犬鳴村の秘密を知る謎の青年が現れ――という物語。

この映画、物語のスケールの割に登場人物が多いので初見では混乱するかもしれません。

そして奏が怪奇現象に巻き込まれる前半と、謎の青年が登場して謎解きが始まる後半では映画のジャンルそのものが変わるので、ここで振り落とされてしまう人もいるかもって思いました。

僕も赤ん坊が出てきた瞬間「え、嘘でしょ…まさか?」と思ったら、考えてた通りになって「マジかよ――!」ってなりましたしねw

あと、本作では血族が一つのテーマになってるんですけど、奏の出生の秘密が分かる件では「アナ雪2か!(。・д・)ノ)´Д`)ビシッ」ってなりましたねーw

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画像出展元URL:http://eiga.com  / 未知の旅へ――ー!

よく分からなかった部分

ただ、よく分からない部分も多くて、例えば劇中の、犬鳴村は米も採れないほど土地が痩せていて、だから野犬を狩って食べたので「犬殺しの村」と周囲からは忌避されていたらしいという設定。

まぁ、「犬鳴」村という名前に絡めるためのエピソードなのは分かるし、舞台が西日本ということもあって「犬神」的なイメージもあるのかな? とも思ったんですが……、この犬鳴村は映像で見る限り普通の山村に見えるんですね。
だとしたら、他にも食べ物一杯あるんじゃないの?っていう。
猪や鳥とか山菜や魚とか、木の実や果物もあるだろうし、野犬より捕まえやすく食べやすい動物も植物もいくらでもいるんじゃないの?っていう。

さらに、村の入り口に建てられた看板「この先日本國憲法通用せず」の意味を都市伝説から裏返して見せたのは「お!」っと思ったけど、ダムを建てるために村人を皆殺しにする意味ある? っていう。
いや、彼らが被差別民であることを指しているのは分かるけど、焼き印を押したり檻に閉じこめたりと虐待した挙句、皆殺しにしてダムに沈めるほど彼らを憎むor蔑む理由が分からないんですよね。
あと、「この村の女は犬と交わっている」というデマを流布して村人を孤立させたっていうのも、すでに「犬殺し」の村として忌避されてるじゃん?っていう話だし、だったらわざわざご丁寧に皆殺しにしなくても、放っておいて問題ない(後に彼らが騒ぎ立てても誰も相手にしない)ように思うんですよねー。

まぁ、「犬と交わる」やその後の“彼女“たちの「犬化」は閉ざされた土地ゆえの親近相姦やそれによって起こる弊害のメタファーではあるんでしょうけども。

志は高いが……

事程左様に、本作はフィクショナルな設定の中にメタファーとして現実の人種・性別差別問題や政府への批判などを入れ込んだ社会派な作品でもあるし、それは間違いなく原発事故以降の日本を描いた志の高い作品でもあると思うんですね。

つまり「蓋をしてもなかったことにはできないぞ」というメッセージが本作には入っていて、あの後半の驚きの展開も、過去と未来を繋ぐというメッセージのメタファーであると考えれば、個人的にはまぁアリなのかなーと思ったりしますねー。

ただ、遼太郎と奏のエピソードは正直いらない気もするし、特に「スリラー」オマージュのあのラストとかは正直ちょっと蛇足に感じなくもなかったですねー。

あと、やろうとしてる事は分かるけど、もう少し設定や物語を練った方がよかったのかなとも思ったりしました。
シーンとシーンを映像や音で韻を踏んで繋いでいくとか、余分なセリフを入れない脚本など、序盤の丁寧な演出は素晴らしいと思っただけに、個人的にはちょっともったいない感じがしました。

興味のある方は是非!!

 

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藤原竜也の歌舞伎「カイジ ファイナルゲーム」(2020)

ぷらすです。

友人がDVDを持って遊びに来てくれたので、一緒に『カイジ ファイナルゲーム』を観ました!

僕は実写版「カイジ」って1作目は観てるんですが、確か2作目は観てないんですよね。
まぁ、藤原竜也の「カイジ」は一応本作も併せて3部作という扱いっぽいですが、物語が直接的に繋がりはなく、「カイジ」のキャラや世界観・設定などはゆるく繋がってはいるけど、それぞれの物語は独立してるので、本作から観ても物語的には問題ない感じでした。

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画像出展元URL:http://eiga.com

概要

福本伸行のベストセラーコミックを原作にした劇場版シリーズの第3弾にして最終章。命懸けのゲームから何度もはい上がってきたカイジが、新たなゲームに挑む。前2作の監督を務めた佐藤東弥カイジを演じた藤原竜也が続投し、『BLEACH』などの福士蒼汰、『町田くんの世界』の関水渚、『OVER DRIVE』などの新田真剣佑らが出演する。“バベルの塔”や“最後の審判”など、原作にはない過激でユーモラスなゲームが登場する。(シネマトゥデイ より引用)

感想

ざっくり「カイジ」の歴史など

本作の原作となるのは週刊ヤングマガジンで連載されている福本伸行原作の大人気漫画シリーズ。

賭博黙示録カイジ」1996~1999
賭博破戒録カイジ」2000~2004

賭博堕天録カイジ」2004~2008
賭博堕天録カイジ 和也編」2009~2012
賭博堕天録カイジ ワン・ポーカー編」2013~2017
賭博堕天録カイジ 24億脱出編」2017~

があり、現在も3勤1休のペースで連載中なのだとか。

ストーリーをざっくり説明すると、自堕落な日々を過ごしていた主人公“伊藤開司”(通称カイジ)が、借金返済のため金持ちの仕掛ける命がけのギャンブルに挑み、勝ち上がっていくというストーリーで、作品内で描かれるオリジナルギャンブルの攻略法をカイジが探し出し、絶対的に不利な状況から逆転していくのが見どころの作品です。

そんなストーリーの面白さと福本伸行が描くクセの強いキャラクターの魅力で人気作となった「カイジ」は、テレビアニメ化を経て2009年に藤原竜也主演で実写映画「カイジ 人生逆転ゲーム」を公開。香川照之天海祐希など豪華キャストの出演もあって大ヒット。

これを受けて2011年には続編の「カイジ2 人生奪回ゲーム」が制作・公開され、こちらもヒットしたようです。

それから9年を経て、今年のコロナ直前に公開されたのが本作「カイジ ファイナルゲーム」なんですね。

本作の設定が、東京オリンピックのあと超不景気になってしまった日本を舞台にしてるのが、何か観ていて微妙な気持ちにさせられましたねーw

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後出しに次ぐ後出し!まさに悪魔的ご都合主義感!

さて、前述したように「カイジ」の面白さは原作者の福本伸行が独自に考案したゲームを、カイジがロジックで攻略していくところにあります。

ところが、この実写シリーズではそうしたロジックは完全無視
まぁ、2時間程度の劇場映画では連載漫画やアニメと違って、時間をかけてゲームのルールやら駆け引きの面白さを描くことは出来ないと考えて、製作者は最初から諦めているんでしょうけど。

ただ、このカイジはそもそも「コンゲーム」的な面白さが売りの作品なのです。
コンゲーム」とは、ざっくり言えば主人公が敵を罠にハメて逆転する物語で、圧倒的に不利な状況から、たった一手でどんでん返しをしてみせる面白さを見せる物語形式で、そこに至るまでのロジックや伏線の積み重ねが一番大事なんですよね。

しかし、そのロジックを完全無視しているこの実写版3部作では、結果的に後出しジャンケンのオンパレードで、敵が罠を仕掛けカイジが窮地にからのカイジ逆転という構図が繰り返され、しかもその逆転に特にロジックもないし、伏線の張り方も下手くそなので、いくらどんでん返し(風の展開)をしても観ているこっちは「うん知ってた」としか思わなかったり。

そんなご都合主義的な後出しジャンケン的な展開がつるべ打ちなので、ぶっちゃけわりと序盤から真面目に観るのがアホらしくなっちゃうんですよねー。

それでも1作目・2作目はまだカイジの(成長)物語だったから、まだ見どころもあった気がしますが、本作はすでにカイジの物語ですらなく、カイジ伊武雅刀演じる正義の金持ちのサポートをするだけ。

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つまりギャンブルに勝とうが負けようが、カイジは別に痛くもかゆくもないんですよね。

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さらにカイジの味方として登場する自称”ラッキーガール“の桐野加奈子(関水渚)は物語上いなくてもまったく困らないっていう典型的なにぎやかし要員で、何かしてるっぽいけど何もしていない……ってうか、実は本作に限ってはカイジも何かしてるか分からなくて、ただただ井部雅刀の横で狼狽えたりドヤ顔したり解説するだけのガヤ芸人的立ち位置なんですけどねw

なので映画としては正直目も当てられない酷い出来なんですが、ただ、この「カイジ」三部作は「映画としての評価」とは別に、藤原竜也映画としてどうかっていう評価軸もあると思うんですよねー。

半沢直樹」もしくは歌舞伎!? ”藤原竜也モノ“としての「カイジ

この「カイジ」シリーズは「デスノート」と並んで、クズ役者(クズ役が似合う役者ね)としての藤原竜也を印象付けた作品。

実際、カイジのあと藤原竜也は「藁の楯」(2013)や「サンブンノイチ」(2014年)、「22年目の告白 -私が殺人犯です」(2017年)「億男」(2018)などなど、数々の作品でクズ男役を演じてますよね。

それは「デスノート」の夜神月とこのカイジ役での叫び、狼狽え、体をよじりながら泣き叫びっていう、藤原竜也オーバー過ぎるアクトが観客に圧倒的なインパクトを残した事が大きいのだと思うわけです。

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さらに、藤原竜也はあの蜷川幸雄の秘蔵っ子でもありますからね。
元々芝居は上手いし、存在感で空間を支配するというか、出演したどの映画も「藤原竜也の映画」にしてしまう力があるわけですよ。

そういう意味では、「半沢直樹」の堺雅人に近いというか、もっと言えば歌舞伎役者的というか。
映画の内容とは別に、藤原竜也が演じるだけでワクワクしちゃうみたいな?

なので、他の役者が映画で泣いたり叫んだりすると僕は白けてしまうんですけど、藤原竜也が転げまわりながら「な“・ん・で・だ・よ“・おぉぉぉぉぉ!!」って叫ぶと「よ、待ってました!(゚∇゚ノノ”☆(゚∇゚ノノ”☆(゚∇゚ノノ”☆パチパチパチ!!!って思うし、むしろ彼がどんな叫びを観せてくれるかを期待して、藤原竜也出演の映画を観たりするわけですよねw

なので個人的に本作は、映画としては圧倒的につまらないけど、「藤原竜也モノ」としては(物足りなさはあるけど)まぁ及第点なのかなー?って感じでした。

興味のある方は是非!!

 

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ブロガーバトン?

 

ぷらすです。
いつもお世話になっている本気で本 (id:honkidehon)さんからブロガーバトンなるものを回して頂きましたので、やってみようと思います。

 

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名前:

青空ぷらすです。

年齢:

ヒミツ。
いや、特別隠しているわけではないけど、オッサンの年齢なんか誰も興味ないだろうと。さまーずの二人と同学年です。とだけw

ブログ歴・ブログを始めたキッカケ:

はてなブログは2015年の6月からスタートしていて、記事の総数は788本だそうです。
最初はnoteで映画感想の記事を書いていたんですが、noteの知り合いの方に誘われて「日刊オレラ」というブログマガジン?に記事を投稿するように。

orera.hatenablog.com


記事投稿や編集に自分のはてなID?が必要ということで登録して、せっかくなので自分名義で映画感想のブログを始めたというのが経緯です。

今後のこのブログの野望・ひとこと:

特にないですが、あえて言うなら「現状維持」ですかね?w
あ、このブログの記事をまとめた感想集をAmazonから電子書籍で出してるので、もし良かったらご一読頂けたら嬉しいです(ステマ

www.amazon.co.jp

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「一番古い記事」と「お気に入り記事」:

一番古い記事

aozprapurasu.hatenablog.com

何の面白みもない記事w

 

お気に入りの記事

aozprapurasu.hatenablog.com

これかな?

 

次に回したい人をIDコール

では、僕の数少ないブログ友達の 一人で、いつもコメントを下さるKONMA08 (id:konma08) さんにお願いしたいと思いますw

もし、お時間があればよろしくお願いします。(もちろんスルーしてもらって全然かまいませんので)

 

というわけで、ブロガーバトンでしたー!
ではではー(´∀`)ノシ