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実話を元にした“決して諦めない男”の物語「パッドマン 5億人の女性を救った男」(2018)

ぷらすです。

今回ご紹介するのは実話を元にしたインド映画『パッドマン/5億人の女性を救った男』ですよー!

愛する奥さんのために生理用ナプキンを作ったら、結果的に多くの女性を救うことになった男の物語です。

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概要

夫が妻のために安くて安全な生理用品を作ろうとする実話を基にしたドラマ。清潔で安価なナプキンを低コストで大量生産できる機械を発明し、さらには女性たちに働く機会を与える主人公の奮闘を描く。主人公を演じるのは、『チャンドニー・チョーク・トゥ・チャイナ』などのアクシャイ・クマール。監督を、プロデューサーとして『マダム・イン・ ニューヨーク』などに携ってきたR・バールキが務める。(シネマトゥディより引用)

感想

実話ベースのインド映画

本作はタミル・ナードゥ州出身の発明家で社会活動家アルナーチャラム・ムルガナンダムが低価格で衛生的な生理用ナプキンを発明した実話を元にした、トゥインクル・カンナーの短編小説集「ザ・レジェンド・オブ・ラクシュミ・プラサード」の一編「The Sanitary Man of Sacred Land」を原作に作られたインド映画です。

トゥインクル・カンナーは元インドの元人気女優で、本作では制作にも名を連ねているんですね。

実話を元にしたインド映画と言えば、アーミル・カーン星一徹ばりのスパルタ教育で娘を女子レスリングインド代表に育てたマハヴィル・シン・フォーガットを、「きっと、うまくいく」のアーミル・カーンが演じた「ダンガル きっと、つよくなる」があって、方向性は違えどテーマはどちらも同じ

IT分野などで世界を牽引する発展を遂げる一方、多民族・他宗教国家であり地方では未だに因習(というか迷信)に囚われている人も多いインド。

女性の社会的立場の低さは地方に行くほど顕著なようで、両作ともそうした宗教観や因習からくる女性の地位向上や自立をテーマにした作品なんですね。

そこには、映画という人気メディアを通して国民を啓蒙する意味もあり、女性の社会的地位の向上をテーマに取り込んでいくのが、近年のインド映画のトレンドになりつつあるのかな? と思ったりします。

ざっくりストーリー紹介

本作の主人公ラクシュミ(アクシャイ・クマール)はのつく愛妻家。手先が器用で様々な発明をしては奥さんを喜ばせていたんですが、ある時、奥さんのガヤトリ( ラーディカー・アープテー)が月経の時に汚い布を使っている事にショックを受けます。

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彼の住んでいる村では月経は「穢れ」とされていて、月経の5日間女性は家には入れず軒先(というかベランダ?)で眠るんですね。

そこでラクシュミは奥さんに高価な海外製の紙ナプキンをプレゼントするんですが、ガヤトリは喜ぶどころか薬局に返してくるように言います。

それならとラクシュミはナプキンを自作してプレゼントするんですが、見よう見まねで作った彼のナプキンは役に立たず、そもそも女性の月経に男が首を突っ込むこと自体がタブーになっているので、彼の行動は村人だけでなく実母や姉妹、さらには最愛の妻からも理解されません。

それでも諦めないラクシュミは、ナプキンを作っては妹や女子医学生、はては初潮を迎えた少女にまでナプキンの試作品を渡すんですが、これがとうとう大問題に発展。

村人からは白い目で見られ、家族には見放され、挙句最愛の妻は実家に帰ってしまう事態に。

結局村を追い出される形になってしまったラクシュミ。
しかし、それでも彼は諦めません

学のない彼は自分のナプキンの欠点が分からず、それならと大学教授の家のお手伝いとして働きながら教授に教えを請おうとするんですが、仲良くなった教授の息子がググってくれたおかげで、自分が綿だと思っていたのはセルロースだった事を知ります。
そこで大企業を装ってアメリカからセルロースのサンプルを手に入れます。

そして高価なナプキン製造機の構造を研究し、同じ構造の安価な製造機を自作。
見事ナプキンを完成させるんですね。

ところが、せっかく作っても“男が作った生理用ナプキン”など使ってくれる女性はいない
途方に暮れるラクシュミですが、先進的な女性パリー( ソーナム・カプール)との出会いが彼とインド女性たちの運命を変えるのだった――という内容。

いわば本作はインド版「下町ロケットなんですね。

2001年のインドが舞台

驚くのは、この作品の元になっているのが2001年の実話だという事。
そして、ラクシュミにとって最大の壁となるのが男ではなく、彼が助けたいと思っている女性だという事なんですよね。

そこには彼らの宗教観やそれに伴う古い因習が当たり前の常識としてあって、また下半身の問題でもあるので女性たちの反発も分からなくはないんですけどね。

そんな誰にも理解されないラクシュミの行動を認めて価値を見出してくれたのが、大学教授の父に育てられた先進的な女性パリー。
都会育ちの彼女との出会いがキッカケとなって、それまで苦労の連続だったラクシュミの発明は一気に実を結び始めるのです。

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そしてそれが、インド中に思いもよらぬムーブメントを巻き起こして行くことになるんですね。

エンタメ映画として

もちろんインド映画ですから、劇中に歌とダンスも入りますよ。
映画冒頭で歌に合わせて彼が愛妻家であることや、手先が器用でアイデアマンであることが映像で語られていく手際の良さが素晴らしいんですよね。

また、正直エンタメ映画にしにくい題材をここまで見事なエンタメ作品として誰もが楽しめる映画にしたR・バールキ監督の手腕も素晴らしいって思いました。

劇中、スーパーマンバットマンスパイダーマンが引き合いに出されるんですが、ついにナプキンの謎を解き明かしたラクシュミが、ナプキン製造機を作り上げるまでのシーンは「アイアンマン」でトニースタークがアイアンマンを開発するシーンと同じ気持ち良さがありましたねー。

残念ながら

そんな本作は前述したように、生理用ナプキンを取り巻くインド国内の迷信を根絶するために人々の意識を高めるという啓蒙活動の意味合いもあるんですが、タブーを取り扱っているため残念ながらクウェートパキスタンでは上映禁止になってしまったそうです。

決して政治色の強い作品ではないんですが、国によっては宗教と政治が強く結びついていたり国同士の軋轢もあったりするので致し方ないのかもしれませんね。
ただ今は、やがてそうしたアレコレを乗り越えて、本作が世界中の人々に届く日が来ることを願うばかりです。

興味のある方は是非!!!

 

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