ぷらすです。
今回ご紹介するのは、今年公開される「スターウォーズ:スカイウォーカーの夜明け」でメガホンを取ったJ・J・エイブラムスが制作を務めたホラー?映画『オーヴァーロード』ですよー!
「ナチスxゾンビ」っていうボンクラ映画ファンの大好物なB級ネタを、予算を掛けてガチで作ったヤツです。
画像出典元URL:http://eiga.com
概要
ノルマンディー上陸作戦開始直後のフランスで、アメリカ軍が未知の敵と戦うサバイバルアクション。数々の話題作に携ってきたJ・J・エイブラムスが製作を務め、『ガンズ&ゴールド』などのジュリアス・エイヴァリーがメガホンを取った。『フェンス』などのジョヴァン・アデポ、『エブリバディ・ウォンツ・サム!! 世界はボクらの手の中に』などのワイアット・ラッセル、『ある戦争』などのピルー・アスベックらが出演。(シネマトゥディより引用)
感想
ナチス伝奇もの
西洋映画界でヒットラーやナチスといえば、2019年の今でも、数多くの映画で引っ張りだこという、まさにKING・OF・THE・悪役。
真面目な戦争映画や実録ものだけでなく、70年代にはエログロ系低予算エクスプロイテーション映画「ナチ女収容所/悪魔の生体実験」シリーズとか、近年だとタランティーノ監督のユダヤエクスプロイテーション映画「イングロリアス・バスターズ」とか、あとMCUシリーズに登場する「ヒドラ」も、宇宙戦艦ヤマトのデスラー総統率いる「ガミラス」も、仮面ライダーの敵「ショッカー」も、ガンダムの「ジオン軍」だって、全部ナチスがモデルになっていて、言い方は悪いですけど非常に汎用性の高い悪役として、各ジャンルで重宝されているんですよね。
その理由は大きく2つ。
1つは戦時中ナチスが行ったホロコーストという悪逆非道な行い。
もう1つは、大戦後期にナチス(というかヒトラー)がオカルト主義に傾倒していたという史実です。
このナチスのオカルトへの傾倒は、SFやホラー、ファンタジーなど様々なジャンル映画に、いわゆるナチス“伝奇もの”として引用されてるんですね。
例えばアメコミヒーローの「ヘル・ボーイ」なんかは大戦末期にナチスに召喚された悪魔だったりしますしね。
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そしてホラー映画業界でもナチスが登場する作品は沢山あったりします。
その多くは、劇場公開されてないけどDVDスルーとしてレンタル店の棚に並んでいるようないわゆる安物B級ホラーで、近年だと人気のゾンビものとナチスをクロスオーバーさせた作品も多々あるんですよね。
そのほとんどは、ナチスが不死のゾンビ兵士を作る(作っていた)のを主人公が発見するというストーリーですけどもw
ナチスxゾンビもの
で、そんなナチスxゾンビものB級ホラーを予算をかけてガチで作ったのが、みんな大好きJ・J・エイブラムス。
この人はかなりの映画オタクで、特にスピルバーグが大好きなんですね。
「スーパー8」はモロにスピルバーグだったし、制作を務めた「クローバーフィールド」は怪獣映画。
トム・クルーズ主演の「ミッション:インポッシブル」3を監督(以降の作品では製作)。
「スタートレック」新劇場版2作で監督。
さらに「スターウォーズ」続三部作では製作総指揮と、7・9で監督も努めてます。
まさに全てのオタクドリームを叶えた男で、同じ映画オタクでもタランティーノとはベクトルが違うというか、タランティーノが(興味の範囲が広い)サブカル寄りなのに対し、JJは(SFなどのジャンル映画に特化した)モロにオタクってうイメージ。
そんなJJが「ガンズ&ゴールド」などのジュリアス・エイヴァリー監督で制作したナチスxゾンビホラーが本作「オーヴァーロード」なのです。
ジャンル横断ムービー
本作の舞台は、ノルマンディー上陸作戦直後のフランス・シエルブラン。
心優しい新米兵士ボイス(ジョヴァン・アデポ)が所属する落下傘部隊は、ナチスが教会に建てた通信アンテナ破壊の任務のため現地に向かうが、到着直前、ナチスの対空砲が飛行機に被弾。ボイスらは間一髪降下に成功するも仲間の多くは死亡、生き残りもナチス占領下のど真ん中でバラバラになってしまうんですね。
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そんな中、ボイスはヨーロッパ戦線を生き延びたルイス・フォード伍長(ワイアット・ラッセル)、チェイス二(イアン・デ・カーステッカー)、ティベット(ジョン・マガロ)と合流。
4人は任務遂行のため現地に向かうも、件の教会地下室ではナチスが不死の兵士を作り出す為の、恐ろしい生体実験を行っていた。
というストーリー。
ちなみに、ルイス・フォード伍長を演じたワイアット・ラッセルは、あのカート・ラッセルの息子さんなのだそうですね。
ここ数年、“ノルマンディー上陸作戦”を描いた大作映画が次々公開されていて、本作もアバンタイトルから序盤にかけては、その流れの作品なのかな?と思わせる作りなんですが、ナチスが占領しているフランスの村にボイスたちが潜入。村民のクロエ(マティルド・オルヴィエ)の家に匿われたボイスが、奥の部屋で不気味な唸り声を上げているクロエの叔母の姿を見るあたりから、物語のテイストが変わっていくんですよね。
僕は本作が“普通の戦争映画”ではない事を事前に知っていたから「お、キタキタ!」と思いましたけど、事前情報なしで観た人はビックリしたかもしれませんw
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で、色々あってウッカリ教会に潜入しちゃったボイスは、ナチスのゾンビ製造人体実験を目撃、ついでに捕まってた親友とクロエの家に生還というホラーパートを経て、最終的にはヤバい注射で自らをゾンビ化したナチス将校と対決というSF?アクション映画へと変わっていくんですねー。まさにジャンル横断ムービー。
その合間にも、古き良き70年代ハリウッド戦争映画的シークエンスが盛り込まれていて、怖がればいいのか、感動すればいいのか、燃えればいいのか、一体どんな気持ちでこの映画を観ればいいのか分からないっていうねw
まぁ、ビデオスルーのB級ホラー映画でよく観るようなヤツを、予算をかけてガチで作るっていうのは、ルーカスやスピルバーグ大好きなJJらしいと言えるかもですが。
オマージュも盛りだくさん
そんな本作、JJか、それともジュリアス・エイヴァリー監督の趣味かは分かりませんが、とにかくオマージュが盛りだくさん。
冒頭のアバンタイトルの飛行機が撃墜される件なんかは「プライベートライアン」以降の戦争映画を連想させるし、タイトルロゴは(映画名は分からないけど)70年代戦争映画っぽい。
クロエの家にナチ将校が来てのバレるかバレないかサスペンスはタランティーノっぽいかな?
一方、ナチスが人体実験を行う地下施設や、ゾンビ造形、爆発シーンなどは、極力CGを使わず実際にセットを組み、特殊メイクとSFXを多用することで、80年代ホラー的な画作りになっているんですよね。
つまりノスタルジックというか、僕みたいなオッサンが「子供の頃に観てワクワクハラハラドキドキした映画体験」を想起させる作りになってるのです。
それでいて、全体のテンポや構成はちゃんと今風にアップデートされているので、若い観客も楽しめるのではないかと。
もちろんゾンビものなのでグロシーンも結構ありますが、個人的にはアトラクション的というか、血もそんなに出ないしSFXならではの作り物感やアクション要素が強いので、そこまでグロい印象は受けませんでしたよ。(僕がゾンビものに慣れすぎなのかもですがw)
個人的にナチスxゾンビというボンクラ設定は大好物だし、上映時間も110分と丁度いい長さで、サクっと楽しめる映画でした。
興味のある方は是非!!
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