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鬼才ジム・ジャームッシュ初のゾンビ映画「デッド・ドント・ダイ」(2020)

ぷらすです。

今回ご紹介するのは、「ストレンジャー・ザン・パラダイス」や「パターソン」で知られるジム・ジャームッシュ初のゾンビ映画デッド・ドント・ダイ』ですよー!

残念ながらおらが町では公開されなかった本作ですが、昨日?Amazonビデオでレンタルが開始されたので、早速観ました!

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画像出展元:http://eiga.com

概要

『パターソン』などのジム・ジャームッシュが監督を務めたゾンビコメディー。町にあふれ返ったゾンビと戦う人々を描く。ジャームッシュ監督作『ブロークン・フラワーズ』などに出演してきたビル・マーレイをはじめ、『スター・ウォーズ』シリーズなどのアダム・ドライヴァー、『少年は残酷な弓を射る』などのティルダ・スウィントン、『ボーイズ・ドント・クライ』などのクロエ・セヴィニーらが共演する。(シネマトゥデイより引用)

感想

ジャームッシュ作品常連の豪華俳優によるオフビートなコメディー……だが

公開が決まった時、「あのジム・ジャームッシュゾンビ映画を!?」と映画好きの間でかなり話題になったものの、公開後はとんと話題を聞くことがなかった本作。

おやおや?と思ってたんですが、今回観てその理由がよく分かりましたw

本作には、大御所ビル・マーレイ、酷評のSWで一人評価を上げたアダム・ドライバー、みんな大好きティルダ・スウィントン、この人が出てる映画は大体面白いでお馴染みスティーヴ・ブシェミなど、ジャームッシュ作品の常連の豪華キャストが大勢出演し、田舎町を舞台にオフビートな笑いと小粋な会話で淡々と描いていくわけですが、これ、監督がジム・ジャームッシュじゃなかったら「駄作」の一言で切り捨てられかねない作品でもあるんですよね。

例えば、カントリーの大物スタージル・シンプソンが本作の為に書き書き下ろしたというタイトルと同名のテーマ曲がパトカーのラジオから流れ、ビル・マーレイが「なんで俺はこの曲を知ってるんだろう?」と呟くと、部下のアダム・ドライバーが「テーマ曲だからですよ」とメタ発言したり、新しく町にやってきた葬儀屋のティルダ・スウィントンは床の間に置かれた仏像の前で日本刀の稽古をし、ゾンビだらけの町を颯爽と歩きながらゾンビの首を刎ねる謎のキャラ。

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金髪で日本刀姿は「キル・ビル」のユマ・サーマンを連想させるし流れ的に最重要キャラっぽい雰囲気を醸し出してるわけですが、結局本筋に絡むことはなく。

その後、ゾンビに殺されたダイナーのオーナーたちの死体を見るや、アダム・ドライバーは即「ゾンビの仕業」だと言い出し、事あるごとに「最悪の結末になりそう」と言うんですね。

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ゾンビ発生の原因は最後まで明かされませんが、どうやら極地での水圧工事で地軸がズレた事に関係があるらしいという「イマドキそれ!?」って思うような理由で、ラストは世捨て人のトム・ウェイツ作品のテーマを全部セリフで喋って終わるっていう、投げっぱなし状態。

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それぞれのエピソードに登場する町人たちは最後まで銘々バラバラなままで合流もせず、伏線も全く回収されないのです。

もうね、「おれは100分間何を観せられてるんだ」状態ですよw

ロメロ版「ゾンビ」のアップグレート版?

こんなん普通なら「悪ふざけの駄作」とか「ジャンルに愛がない」とか「豪華俳優陣の無駄遣い」とか言われるんでしょうけど、そこは鬼才ジム・ジャームッシュ監督作ということで好意的に深読みしようと思えば出来なくもないし、「面白くない」なんて言おうものなら「分かってない奴」って思われそうなトコが、非常に質が悪いんですよねーw

監督自身インタビューで「消費社会の中で自分の事しか考えず欲望を満たす現代人はゾンビみたいなもの」(意訳)と話してるんですが、これはゾンビ映画の父ジョージ・A・ロメロ1978年の作品「ゾンビ」と同じテーマで、しかし、登場人物(生き残り)がいつまで経っても合流しないままという展開は、分断の進む国家や個人という2010年以降の世界を反映している=「ゾンビ」のアップグレード版をジャームッシュ監督ならではの切り口で――とか何とか。まぁ、どうとでも言えちゃう。

実際、劇中で町を訪れる若者たちが乗っている車は、ロメロの「ナイト・オブ・ザ・リビングデッド」と同車種だったり、ゾンビもイマドキな”走るゾンビ”ではなくロメロ版の”歩くゾンビ“だったり、ロメロに対しての敬意は感じるんですよね。
言われてみれば田舎町だったり墓場が舞台なのも「ナイト・オブ~」感があるし。

でも「じゃぁ面白いのか」と聞かれれば、僕にとってはハッキリ「面白くはない」作品で、ビル・マーレイアダム・ドライバーのメタな会話も上スベりしてるし、この映画にティルダ・スウィントン必要!?って思っちゃう。
僕はわりとストーリー重視で映画を観ちゃうタイプなので、余計にそう思うのかもしれませんが。

ただ、賛否は分かれてるっぽいので好きな人には面白い作品なんだと思うし、ゾンビ映画とはいえ、グロ描写や恐怖演出は少ないので、ゾンビものが苦手な人でも安心して観られるんじゃないでしょうか。

興味のある方は是非!!

紹介した作品はこちらで視聴できます(有料)

www.amazon.co.jp

 

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