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蛇足感はあるがアクションは凄い「るろうに剣心 最終章 The Final」(2021)

ぷらすです。

今回ご紹介するのは、2014年公開の前作「~京都大火編 /伝説の最期編」から7年後の今年4月、ついに公開された『るろうに剣心 最終章 The Final』ですよー!

日本のアクション映画のレベルを一段押し上げた大ヒットシリーズ最終章2部作の第1弾。アマプラでレンタルが始まってたので早速観ましたよ!

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画像出展元URL:http://eiga.com

概要

和月伸宏のコミックを原作にしたアクションシリーズの最終章である2部作の第1弾。志々雄真実との死闘後、穏やかに暮らしていた緋村剣心たちに忍び寄る敵と、剣心の秘められた過去が明らかになる。監督は前3作に続いて大友啓史。主演の佐藤健をはじめ、武井咲青木崇高蒼井優江口洋介らシリーズおなじみの俳優陣に加え、新田真剣佑が最凶の敵・雪代縁(えにし)役で出演する。(シネマトゥデイより引用)

感想

数少ない実写化作品の大成功作

実は僕は、「るろ剣」の原作マンガもアニメもほぼ未読・未見だったりします。
それでも、大体の設定やあらすじ、メインの登場キャラ程度は知ってるくらいの距離感だったんですが、そんな「るろ剣」が、2012年に実写化されるというニュースを最初に見た時は、正直「あぁ、またか……」と思ったんですね。

人気の出たマンガやアニメの実写化作品は、それまでにも多々製作・公開されてましたが、その多くが失敗作だったからで、それは、
物語以上に重きを置かれている(カトゥーン的デザインの)キャラクターを実在の俳優(人間)が演じる問題

そもそも長期連載である人気マンガのどこ(エピソード)を抽出するかという問題

2次元のマンガ・アニメと3次元の実写との演出の違いを理解出来てない制作陣の多さ問題

そもそも(作品の世界観を描くには)予算が足りない問題などなど。

数多くのハードルを抱えているからなんですね。

もちろんすべてが失敗作というわけではないですが、人気マンガで時代劇、しかも熱狂的ファンの多いジャンプマンガ原作となれば、これはもう失敗は目に見えてるだろうと。そう思ってたわけです。

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ところが蓋を開けてみれば作品は大ヒットを記録。
主人公の緋村剣心を演じた、大人気イケメン実力派俳優・佐藤健らのハマり具合もさることながら、大ヒットの最大の要因は、今まで誰も見たことのなかったアクションシーンではないかと思うんですね。

「殺陣」を「アクション」に脱構築

個人的に、刀で斬りあう時代劇の「殺陣」は「アクションシーン」とは切り離された似て非なる物という印象でした。どちらかと言えばアクションというよりもダンスに近いイメージというか。
それは多分、僕以外の多くの人も同じように思っていて、なので時代劇の「殺陣」はこういう物っていうある程度のイメージが共有されてたと思うんですね。
具体的に言うと、「暴れん坊将軍」の松平健さん的な感じ。

ところが、本作でアクション監督を務めた谷垣健治は、刀を使った「殺陣」を「アクション」の1つと捉え、2次元的な動きの「殺陣」に上下という3次元的要素を加えた「アクション」へと脱構築してみせたわけです。
そこに、観客が今まで体験したことがないような目まぐるしいスピードを加えることで、「るろ剣」は日本のアクションレベルを1段引き上げると共に、日本で滅びかけていた「時代劇」というジャンルの新たな可能性も示して見せたんですね。

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もちろん、それを実行できる佐藤健ら俳優陣の身体能力の高さありきのアイデアだし、”マンガ原作“だから出来る自由さも当然あったと思うんですよね。

まぁ、この1作目のインパクトが大きすぎて、2作目・3作目ではアイデアにかなり苦しんだと思うし、結果的に1作目のセルフオマージュ的な、スピードは速く手数も多いけれど一本調子に見えてしまうアクションになってしまった印象でした。

それから7年。
谷垣健治はアクション監督として日本に留まらず、アジア・ハリウッドなどでも活躍。
世界最先端のアクションに触れ研鑽を重ねて、本作では前3作から更に一段レベルを引き上げるようなアクションシーンを作り上げてみせたんですよね。

物語感想

その一方で、本作がどんな物語かというと、剣心、シスコンの義弟に命を狙われるの巻っていう、シリーズ史上最も規模の小さな話。
いや、原作通りなんだろうけど、正直、その話いる?って思いましたねー。

だって、どう見ても前作の藤原竜也こそがラスボスなのに、そこに中国マフィアに出世した義弟(シスコン)登場とか言われてもねー。

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なんかこう蛇足感があるというか、後付け感半端ないっていうか、ディズニー版のスターウォーズか!(。・д・)ノ)´Д`)ビシッ っていうか。んー

で、やってることは今までの繰り返しっていうか、江戸の町が爆破されたり、剣心の知り合いが次々と非道い目に合うけど、それ全部シスコン義弟の剣心への復讐っていう。

「自分への復讐に関係ない人を巻き込むのは違うでゴザル」っていう剣心のセリフがド正論すぎて首もげるくらい頷きましたよ。

だからって、江戸の人々に剣心が責め立てられるでもなく、剣心がピンチになれば前3作の敵たちが味方になって助けに来てくれるっていう、ジャンプ漫画か!ジャンプ漫画だった!展開。

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結局、剣心の立場も薫や仲間たちとの友情も揺るがず、別に誰も成長もせず、シスコン義弟だけが空回りするっていうだけの話――って、シスコン義弟が可哀そうで見てられないよ!・゜・(ノД`)・゜・

で、そんな中身のない空回りシスコン義弟を、大友啓史監督お得意の演出でエモーションたっぷりに泣きわめかせたり叫ばせたりするわけですよ。

いやー、「京都大火編 / 伝説の最期編」あたりで薄々気づいてはいたけど、大友監督ってとにかくエモーションを盛り上げたい人で、ワンカット・ワンショットにたっぷり間を取るんですね。
それが結局映画を長引かせてるし、そこに物語的な意味もないのでテンポが悪く冗長になっちゃう。

本作も2時以上あるけど、余分なキャラやエモシーンを省いて物語を整理したら1時間半くらいで収まるんじゃね?って思いましたねー。

いや、まぁ、そのへんは次の「~The Beginning」を見たら、遡って印象が変わるかもしれないですけどね。

興味のある方は是非!!

 

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