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”クロエ・ジャオ作品“として観るか”MCU作品”として観るか「エターナルズ」(2021)

ぷらすです。

11月5日の公開初日、夕方の回で観てきましたよ。

MCU最新作「エターナルズ」をね!

今回は「ノマドランド」で見事アカデミー賞に輝いたクロエ・ジャオがMCU作品を監督するという意欲作。実際観てみたら志も高く、映像も美しく、いわゆるマーベル世界の神話であり一大叙事詩と、さすがクロエ・ジャオ監督だけあって素晴らしい映画なんですけどねー……。

というわけで、今回はまだ公開したばかりの作品なので、出来る限りネタバレしないよう気を付けて書きますが、ほんの少しのネタバレも許せない!って人は、先に映画を観てからこの感想を読んで下さい。

いいですね? 注意しましたよ?

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画像出展元URL:http://eiga.com

概要

マーベル・スタジオが手掛け『モンタナの目撃者』などのアンジェリーナ・ジョリーらが出演したヒーローアクション。7,000年にもわたって人類を見守ってきた集団エターナルズが、地球滅亡の危機に立ち向かう。第93回アカデミー賞作品賞などを受賞した『ノマドランド』などのクロエ・ジャオが監督を務めた。『クレイジー・リッチ!』などのジェンマ・チャン、『フレンチ・ラン』などのリチャード・マッデンのほか、キット・ハリントン、マ・ドンソクらが共演している。(シネマトゥディより引用)

感想

マーベル新キャラクター「エターナルズ」とは

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まず、この「エターナルズ(MCU)」の世界観をざっくり説明すると、

本作には、セレスティアルズ、エターナルズ、ディヴィアンツという3つの種族が登場します。

セレスティアルズを乱暴に説明するとマーベル世界における「神」的な最上位の存在

ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー(以後GOTG)」で登場した荒くれものが集う惑星ノーウェアは、死んだセレスティアルズの頭だったし、また「GOTG・VOL.2」で登場した、ピーター・クイルの父エゴは、自らを「セレスティアル人」と名乗っていましたよね。

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セレスティアルズは銀河や宇宙を作ってしまうほど強大な力を持つ存在で、本作では人類を知的生命体に進化させたのもセレスティアルズらしいと言われています。

で、そんなセレスティアルズが宇宙のあちこちに作った知的生命体を襲う捕食者がディヴィアンツ。予告編でも登場するあの怪獣みたいなヤツですね。

セレスティアルズがいくら宇宙に知的生命体を作っても、ディヴィアンツに食べられて滅んでしまう。

というわけで、セレスティアルズがディヴィアンツから知的生命体を守るため生み出した(進化させた?)のがエターナルズであり、セレスティアルズの一人・アリシェムによって地球に派遣され、7000年以上ディヴィアンツから人類を守ってきたのが、本作に登場する10人のエターナルズなのです。

つまり、人類にとっての神的存在がエターナルズで彼らの神的存在がセレスティアルズという図式なんですね。

人類を進化させる神のような巨人といえばリドスコの「プロメテウス」冒頭で登場した宇宙人を連想する人もいるかもしれませんが、多分、大体あんな感じだし、エターナルズが乗ってる宇宙船はどこか「2001年宇宙の旅」のモノリスを、作品のテーマは「ブレードランナー」連想させます。

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そうした、SFの名作をオマージュしたようなシーンも劇中にはチラホラ出てくるんですが、これは単にイースターエッグ的な扱いではなく、SF映画史の文脈を意識しているんだと思いましたねー。

ざっくりキャラクター紹介

というわけで、まずはそんな本作に登場するエターナルズをざっくりご紹介します。

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エイジャック(サルマ・ハエック

10人のエターナルズを導くリーダーであり、唯一アリシェムと交信できる神官的存在。
メンバーを率いて一度はディヴィアンツを絶滅させたが、その後、メンバーが人間への関与を巡って諍いを始めたためエターナルズを解散。それぞれが人間世界で自由に生きていくよう指示する。

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セルシ( ジェンマ・チャン

本作の主人公。
物質を別の物質に変える能力を持ち、10人の中で最も人類を愛している。
何世紀にもわたってイカリスと恋をし一度は結婚もしたが、ある日突然イカリスは姿を消してしまった。
現代ではロンドンで博物館の職員として働き、スプライトと二人暮らし。

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イカリス(リチャード・マッデン

目からビームを出して空も飛べる、10人の中で最強のエターナルズ。
ある日、妻セルシの前から姿を消すも、人類滅亡のピンチに再びセルシの前に現れた。

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スプライト(リア・マクヒュー)

リアルな幻影を投影する能力を持つ。
見た目は12才の子供のため一人暮らしが出来ず、ロンドンでセルシと同居している。

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キンゴ(クメイル・ナンジアニ)

手からビームやエネルギー弾を発射できる。
解散後はインドで映画スターとして活躍。

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ファストス(ブライアン・タイリー・ヘンリー)

発明家で人類の技術的進歩を密かに支援する。
あることがきっかけで一度は人類に絶望するも、現代では同性の夫と一緒に息子を育てている。

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マッカリ(ローレン・リドロフ)

超スピードで移動できる。
耳は聞こえないので仲間とは手話を用いて会話する。
僅かな空気の振動も感知できる能力も。
現代では地球に隠している彼らの母船(宇宙船)に引きこもっていた。

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ドルイグ(バリー・コーガン

人間の心を操ることが出来る。
「人間同士の争いに関与してはならない」というセレスティアルズの命令に逆らって、エターナルズ解散の要因を作る。
解散後は他のメンバーと距離を置いていた。

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ギルガメッシュ(マ・ドンソク/アメリカではドン・リー)

エネルギーを拳に纏って肉弾攻撃をするパワー系。
「Mahd Wy'ry(マイワイリー?)」という病を患ったメンバーのセナを何世紀にもわたって面倒を見ている情の深い男で、エターナルズの良心。

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セナ(アンジェリーナ・ジョリー

エネルギーをあらゆる武器に変換して戦う。

不老不死ゆえ、記憶の蓄積によって心を病んでしまうエターナルズ特有の病「Mahd Wy'ry」によって仲間を傷つけた事で、エイジャックから記憶を消すことを事を進められるが拒否。
何世紀にもわたりギルガメッシュと二人で暮らしていた。

と、この10人がエターナルズのメンバーたち。
で、実は彼ら、原作では一人ひとりがあのサノスとほぼ同等の力を持っている(セナはサノスの従妹だし)んですが、劇中で彼らの強さを表すような描写がなかったのはちょっと残念でしたねー。
まぁ、彼らの強さを表すためあそこにアベンジャーズのメンバーとかが出てきたら、さすがに情報過多すぎて、観客がついてこれなくなってしまうでしょうけども。

志は高く良い映画ではあるが…

というわけで、世界観とキャラ説明が終わって、ここからが感想本番。(え、やっと!?)

ネタバレしないようハンバーガーに例えると「マックの味が恋しくてハンバーガーを注文したら、大豆肉のパテと有機野菜を挟んだ意識高い系ハンバーガーが出てきた」って感じ。

伝わりませんかそうですか。

クロエ・ジャオ監督が本作でやろうとしている事は分かるし、それは概ね成功していて、作品としての志は非常に高く、映像も美しく、壮大なスケールを描いた素晴らしい映画なのですが、僕みたいなボンクラファンがMCUに求めている味はコレジャナイんだよなーっていう。
俺たちはもっとヒーローが悪者とカッコよく闘うトコがみたいんだ!と。
オシャレな盛り付けのヘルシーサラダじゃなくて、めっちゃしょっぱくて油ギトギトの山盛りポテトが食べたいんだよ!っていうw

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セルシとイカリスのメロドラマを延々見せられても、いや、でも僕はこの人たち初対面ですし、急にそんなの見せられても全然乗れないんですけど…みたいな感じだったり。

10人のエターナルズを通して現代社会を読む

とはいえ、そこはさすがクロエ・ジャオ。
見る角度によって形の変わる「人間ドラマ」を重層的・多重的にじっくりと描いています。

一例を挙げると、主人公のセルシを中心に本作を観れば、恋人のイカリスは有害な男性性を象徴するキャラクターに見えるかもですが、その視点をイカリスに移せば彼がそうならざるを得なかった理由がちゃんと見えてくる。

つまり、いわゆる有害な男性性に彼自身も苦しんでいる事が分かるわけで、これは昨今の男の有害性を告発するところで止まっている作品群とは一線を画した、フェミニズムというものを正しく描いた作品と言えるのではないでしょうか。

また、スプライトは子供の容姿にコンプレックスを持ち、ファストスは同性を愛し、マッカリは身体障害を持ち、セナは心を病んでいる。
そしてそれらは、彼ら彼女らを生みだしたセレスティアルズに原因があり、会社に置き換えればパワハラ・セクハラ問題、家庭に置き換えれば毒親問題とも取れなくもないのかなーと思ったり。

つまり、本作の10人はそれぞれが様々なマイノリティー的要素のメタファーであり、彼らは同じ悩みを持つ多くの人々が、その言動に共感出来るある種の「依り代」でもあると思うし、本作はそんな彼らが劇中でそれぞれが抱える問題に自分なりの答えを出し、成長する物語でもあるわけです。

ただ、惜しむらくは、映画として2時間30分は長いけど、これだけのドラマを詰め込むにはさすがに短すぎたんじゃないかと。

どうせ描くならもっとじっくりと、2部作か3部作、もしくは6話くらいのドラマにした方が良かったんじゃないかなーと思いました。いや、本作がMCU作品でなければ、また印象も変わってたかもですけど。

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あ、ただ、劇中で、焼け野原になった広島に立って人間(の行為)に絶望し泣き崩れるファストスの描写には、日本人としてグッと来たし、正直いいかげんな描写の多い原爆の悲劇を正当化することなく、ここまでしっかりと描いてくれたのは嬉しかったです。

それと、個人的にはMCUの大バジェット作品で、我らがマブリーことマ・ドンソク兄さんが大活躍しているのはめっちゃ嬉しかったですよー!

まぁ、正直賛否はかなり分かれそうな作品ですが、多分、今後のMCU作品の基盤になる作品だと思うので、MCUファンの人もそうでない人も、劇場で観ることを強くおススメします!

興味のある方は是非!!

 

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