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ヒーロー映画における“トロッコ問題”「スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース」(2023)

ぷらすです。

先日「スパイダーマン:スパイダーバース」(2018)の続編、『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース』を観てきました!

前作の衝撃的なビジュアルをさらにパワーアップさせつつ、前作で提示された”スパイダーバース”の世界観を深掘りした大傑作でしたねー。

というわけで、今回はまだ公開直後の作品なので、ネタバレのないよう(……とは言っても正直何を書いてもネタバレになりそうなんですが)出来るだけ核心部分には触れないように注意して書くつもりですが、これから本作を観る予定の方やネタバレ絶対イヤと言う人は、先に映画を観てからこの感想を読んで下さいね。

いいですね?注意しましたよ?

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画像出展元URL:http://eiga.com

概要

時空のゆがみによって別次元のスパイダーマンたちが集結した世界を舞台に、スパイダーマンの力を得た少年の成長を描くアニメ『スパイダーマン:スパイダーバース』の続編。スパイダーマンたちの宿命を知った主人公が、運命を変えようと立ち上がる。声優陣にはシャメイク・ムーア、ヘイリー・スタインフェルドらをはじめ、『ハッカビーズ』などのジェイソン・シュワルツマン、『スター・ウォーズ』シリーズなどのオスカー・アイザックらが集結。ホアキンドス・サントス、ケンプ・パワーズジャスティン・K・トンプソンが監督を務めた。(シネマトゥディより引用)

感想

『スパイダーバース』って何なのさ

この映画、タイトルからスパイダーマンが主人公の物語なのは分かると思いますが、まだ本シリーズ未見の方のために世界観をざっくり説明すると、昨今MCU映画やアカデミー賞を取った「エブエブ」などで有名になったマルチバース」という概念が本シリーズの核になっています。

マルチバースとは乱暴に言えばパラレルワールドのことで、「この宇宙には、あったかもしれないifの世界が無限に存在している」みたいな感じ。

普通ならこのマルチバースが交わることは決してないんですが、前作「~:スパイダーバース」では、スパイダーマンの宿敵キング・ピンが加速器なる装置を使って異次元の扉を開いたことから、別次元のスパイダーマンたちが主人公マイルス・モラレスの世界にやってくるんですね。

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しかし、異なる次元同士が交わると宇宙全体が消滅する危険性があるので、新米スパイダーマンのマイルスは別次元のスパイダーマンたちと協力して世界を正常に戻そうとする。という物語でした。

ここで「あれ?スパイダーマンの正体はピーター・パーカーじゃないの?」って思った人もいるでしょう。そう、このシリーズはいわゆる実写映画版スパイダーマンとは別アース(別次元)、つまり僕らが住む世界とは別世界の物語で、本シリーズでスパイダーマンになるのはマイルス・モラレスという黒人の少年なんですね。

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そんな前作では、

本来スパイダーマンと恋人のグウェン・ステイシーがスパイダーウーマンになったスパイダー・グウェン

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ダメ中年ピーター・B・パーカースパイダーマン

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白黒の世界からやってきたスパイダーマンノワール

スパ//ダー(SP//dr)というメカ・スーツを操るジャパニメーション系少女:ペニー・パーカー

カートゥーンアニメの世界からやってきた豚のスパイダーマンスパイダー・ハム

という6人のスパイダーマンが登場。絵柄も動きも世界観も全然違うのに、一つの画面の中に違和感なく収まるという驚異的なビジュアルで世界を驚かせたんですね。

前作の世界観をさらにパワーアップ

本作「スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース」はその続編で、前作にも登場したスパイダー・グウェンやピーター・B・パーカーのスパイダーマンや、今作で初登場する

「スパイダー・ソサエティ」のリーダーで2099年の世界のスパイダーマンスパイダーマン2099

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妊娠中だけどバイクを駆る、グウェンの師匠でもあるスパイダー・ウーマン

反体制のモヒカンスパイダーマンスパイダーパンク

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インド人スパイダーマンスパイダーマン・インディア

などなど、前作以上に多種多様なスパイダーマンたちが登場します。

彼らの目的は、前作でキングピンが開いてしまった次元の穴から異世界に迷い込んでしまう”異分子“を捕らえては、元いた次元に送り返すことで世界の均衡を保つというもの。マイルスは多くのスパイダーマンが集まるこのスパイダーソサエティに加入したいと願うのだが――というのが本作の大まかな物語です。

そして今回のヴィランは前作で加速器の開発に関わっていた元科学者で、加速器の爆発に巻き込まれたせいで真っ白な体に異次元に続く黒い穴が開いてしまったスポット

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最初は能力を使い、コンビニでATM強盗をするような小悪党ですが徐々に能力が覚醒。
やがて全ユニバースを危機に陥れるようなヴィランになっていきます。

ロッコ問題

そんな本作で主題となるのは、「AとB、片方しか救えないとしたら、どちらを救いどちらを犠牲にするのか」という、いわゆる“トロッコ問題”。

これは、「ダークナイト」でも、ジョーカーがバットマンに仕掛けていましたよね。

実はこのトロッコ問題はヒーロー映画においては永遠の課題というか、わりと頻繁に取り上げられる題材だったりします。

ここは予告でもやっていたのでネタバレではないと思いますが、このトロッコ問題における考え方の違いから、マイルスはほぼ全ユニバースのスパイダーマンを敵に回す事になるんですね。

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そしてこのトロッコ問題と、少年から青年に成長しようとしているマイルスと、それを中々受け入れられずついつい過干渉になってしまう彼の両親との関係、前作でははっきりとは語られなかったグウェンと父親との関係など、『子供と大人』の関係性や、それぞれの価値観に重ね合わせることで=ヒーロー論にもなっている構成が素晴らしいく、また、『世界』を守るというヒーローの役割に飲み込まれてしまう危険性もサラリと描かれていて、(制作陣にその意図があったかは分かりませんが)ロシアとウクライナの戦争とそれを取り巻く世界情勢を連想させるんですよね。

と言っても、決して説教臭かったり重い内容ではなく、物語はあくまで青春エンターテイメントに全振りしているのでご心配なく。

あと、本作を観るにあたってこれは知っておいた方がいいと思うので書きますが…。

本作は2部作の前編でした!

ワイスピに続き、まさかの前後編使用。(ワイスピは3部作だっけ?)

前作も含めれば、スパイダーバースシリーズは3部作構成なんですね。

まぁ、ラストで「つづく」と出てきたのには面食らいましたがそれでもメッチャ面白かったし、続編となる「スパイダーマン:ビヨンド・ザ・スパイダーバース」は来年公開だそうなので、公開を楽しみに待つことにしますよ!

興味のある方は是非!!