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ついにディズニープラスと契約したので早速一気見した「ワンダヴィジョン」の各話解説と感想

ぷらすです。

これまで、ドコモユーザー以外はdアカウント経由や、クレジットカード以外の支払い方法がないなど、色々条件が厳しくて契約を見送っていたディズニープラスですが、10月27日に契約条件が緩和されたのでついに契約することを決意。今回ついに契約することが出来ました。

で、僕がディズニープラスに契約したかった最大の理由は、ディズニープラス独占でフェーズ4以降のMCUマーベル・シネマティック・ユニバース)ドラマが次々に公開されているからで、これまでのMCU映画は全て観ている僕としては、今後、映画とも世界観を共有し、深く絡み合ってくると思われるドラマやアニメを見逃せないと思ったからなんですね。

で、契約後すぐ、MCUフェーズ4のドラマ第一弾「ワンダヴィジョン」を一気見したので感想を書こうと思うんですが、このドラマシリーズについてはネタバレで書くのはかなり難しく、なので完全ネタバレにしたいと思います。もし、今後「ワンダヴィジョン」を観る予定の人は、先に本編を観てからこの感想シリーズを読んで下さいね。

いいですね? 注意しましたよ?

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「ワンダヴィジョン」は、MCUシリーズ(アベンジャーズとかね)の登場キャラクター、ワンダ・マキシモエリザベス・オルセン)と人造人間のヴィジョンポール・ベタニー)の二人を主役にした外伝というかスピンオフ作品で1話おおよそ30分の9話構成になっています。

時系列で言うと本作はMCUフェーズ3「アベンジャーズ/エンドゲーム」以降の物語で、それまでの映画シリーズ(フェーズ1~3)を踏まえた作るになっているし、今後展開していくMCUドラマ&映画作品にも繋がってくるんじゃないかと言われているんですね。

また、本作はコロナによる映画公開の延期によって、MCUフェーズ4の第1弾作品となってしまいましたが、本来は映画「ブラック・ウィドウ」を先に上映する予定だったそうで、フェーズ4の最初にナターシャ・ロマノフ とワンダ・マキシモというMCUが誇る2大女性ヒーローを鏡像関係として描くことで、今後MCUが描く物語の方向性を示そうとしたのではないかと、個人的には思っています。

というわけで、各話――だと長くなりそうなので、ある程度ブロックごとに分けて、簡単なあらすじと解説を書いていきたいと思います。

めっちゃ長くなったので、適当に飛ばしながら読んでもらえたらと思いますよ。

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1話「"公開収録でお送りします"」あらすじ
郊外の街ウエストビューに越してきた、人造人間のヴィジョンと魔法使いのワンダ夫婦。
そんな2人は正体を隠して街の一員として暮らしているが、ある日、ヴィジョンの職場の上司を招いての食事会を行うことになり――。

2話「チャンネルはそのまま」あらすじ
エストビューの小学校を維持するための寄付金を募る催しで手品を披露する事になったワンダとヴィジョン。
エストビューの街に馴染むため、ワンダは婦人会に、ヴィジョンは街の治安維持会議に出席するが、ヴィジョンは会議の席で差し出されたガムを、うっかり飲み込んだせいで内部機関にバグを起こしてしまい――。

3話「カラー放送」あらすじ
妊娠が発覚したワンダ。
医師に妊娠4ヶ月を告げられるが、その後もお腹は信じられないスピードで大きくなり、あっという間に破水。
慌てたヴィジョンが医師を呼びに行っている間、バケツを借りにきたジェラルディンが産気づいたワンダのお産を手伝う事になり――

感想
まず驚くのは、本作が1950年代のシットコムをモチーフにした白黒ドラマとしてスタートすること。
シットコムとはアメリカのシチュエーションコメディー形式で、「奥さまは魔女」や「フルハウス」みたいなやつって言えば伝わりますかね?

マーベルヒーローとして、これまで様々な映画で活躍してきた二人が新婚夫婦になり、いかにもアメリカらしい郊外の街でドタバタ喜劇を繰り広げる物語に、あまりMCUを知らない人は混乱するかもだし、アメコミに詳しい人は「ははーん、これ『What if?』だな」と思うかも。
ちなみに『What if?』とは「もしも○○が××だったら」という公式の2次創作みたいなマーベルコミックのシリーズのことです。

また、MCUに詳しい人なら「まぁ、このまま終わるわけないよねー」と身構えるハズ。
まぁ、予告編にもなっていたので、僕も含めたファンはみんなシットコムになる事は知った状態で観てるんですけどね。

しかし、それでも驚いたのは、MCUがこの第1・2話で1950年のシットコムを完全再現しているということ。
メイキングを見ると、スタジオ内にリビングやキッチン、ヴィジョンの職場などのセットを作り、編集で笑い声を合成するのではなく、本当に観客を入れた状態で収録しているのです。

もちろん、衣装や大道具・小道具・音楽に至るまで、1950年代を完全再現。
ワンダが魔法で調理道具などを操るシーンなどはCGではなく、「奥さまは魔女」でも使われたワイヤーを使った特殊効果の技法を再現してるんですね。

最初完全なるコメディー(シットコム)として始まる本作ですが、感心するのは一見ただのメタ的なギャグとしてのセリフが、実は作品の根幹に関わる重要なセリフだったり、第1話後半ではワンダとヴィジョンの過去をあれこれ問い詰めてくる上司が急に倒れたのに(喉に食べ物が詰まった?)、奥さんは笑顔で「やめて」を繰り返すだけというめっちゃ不穏なシーンがあったり、さらにラストシーンでは「ワンダヴィジョン」を見ている人間の後ろ姿が映るなど、一見平和で楽しいシットコムの随所にホラー映画のような不穏で怖いシーンが差し込まれるのです。

続く第2話のアニメーションを使ったオープニングは、完全に「奥さまは魔女」オマージュ。
まぁワンダの別名はスカーレット“ウィッチ”だし、そのままっちゃぁそのままですけどね。

冒頭、夜二人が寝ているとドーンドーンと大きな音が鳴り響く。
何事かと飛び起きた二人ですが、外は強風で木の枝が窓を打ちつけてたというオチ。そしてワンダとヴィジョンは地元の学校の維持費捻出のため、街の有志が参加するチャリティーショーで手品を披露するというドタバタが繰り広げられるんですが、その終盤、リビングのシーンで再び件の音が鳴り響き、二人が表に出てみるとマンホールの中から養蜂の服装を着た顔の見えない男が現れる。
それを見たワンダが「ダメ」と言うと時間が巻き戻りリビングのシーンに。
そして、突然妊娠したワンダが「これは現実?」と聞くとヴィジョンは「現実だよ」と言ってキス。するとそれまで白黒だった画面が一気にカラーになる。キスを境に、それまでの1950年代から60年代のカラー放送に変わるのです。
で、中盤ラジオから流れた「ワンダ、誰が君に指示を?」という謎の声で第2話は終了。
あと、この第2話でワンダはジェラルディン(テヨナ・パリス)という黒人女性と友達になります。

第3話は、妊娠したワンダが双子の赤ちゃんを出産するまでの話。
といっても医師に妊娠4ヶ月と言われたワンダのお腹はどんどん大きくなり、あっという間に出産する事に。
で、まぁその中でいつも通りのドタバタが繰り広げられるんです。

が、今回は隣人のハーブの様子がどうもおかしい。ニコニコしながら芝刈り機でブロック塀を切ってて超怖いw
で、そんなハーブと、1話から登場してたおせっかいで詮索好きな隣人アグネス(キャスリン・ハーン)が、ジェラルディンについてボソボソ話をしてるんですね。

一方、無事双子の赤ちゃんを出産したワンダは、親友のジェラルディンに自身も双子の弟ピエトロがいたことを話すんです。
それを聞いたジェラルディンが「ウルトロンに殺されたのよね」と言うと、ワンダの表情が一変、戸惑うジェラルディンに、なぜウルトロンを知ってるのかを問い詰め「あなた”よそ者”ね」と言う。

そこにワンダを心配してヴィジョンが戻ると、すでにジェラルディンの姿はなく、ワンダは静かに「もう帰ったわ」と。
シーンが変わって何もない空間から突如放り出され草原で大の字に倒れているジェラルディンを物々しい数の車やヘリのライトが照らすところで終了。

この回では、それまでおせっかいな隣人だったアグネスが、”ただの登場人物“ではなく物語の重要人物である事が分かり、さらにジェラルディンの発言によって、シットコムだと思われた本作が、それまでのMCUと地続きの世界だった事がハッキリするんですね。
また、どうやらそのことをワンダ自身も認識している。というか、彼女自身がこのシットコムの世界を作っているらしい事が分かってくるのです。

そして第4話で、ついに本作の構造が明らかになるんですね。

4話

 

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「番組を中断します」あらすじ
病院のベッドで突如目を覚ました”彼女”は、入院していた母がいない事に気づき探すが、消えたハズの人々が次々姿を取り戻し病院内はパニック状態に。
さらに、彼女は主治医に母親が3年前に亡くなった事を聞かされ――。

感想
これまでのシットコムから一転、第2・3話でジェラルディン“だった“彼女の回想シーンから物語はスタートします。
彼女の本当の名はモニカ・ランボー
キャプテン・マーベルの親友であり、「S.W.O.R.D.」(知覚兵器観察対応局)の初代局長・マリア・ランボーの娘でした。
5年前にサノスの“指パッチン”によって消され、アベンジャーズの活躍で復活したものの、彼女の母マリアは、彼女が消えている間にガンで亡くなっていたというんですね。

傷心の中、「S.W.O.R.D.」に復帰したモニカに上司から下された任務は、ニュージャージー州エストビューで起きている失踪事件の捜査。
エストビューの住人が突如消失し、近隣の住人はウエストビューの存在自体を認識できないという異常事態。
モニカはFBI捜査官のジミー・ウー(ランドール・パーク)と現地で落ちあい、事件の調査に向かおうとするも、よく見るとウェストビューの街は半透明のエネルギーの壁に囲まれていて、それを触ったモニカはそのまま壁の中に吸い込まれ消えてしまったのです。

ちなみに子供時代のモニカは「キャプテン・マーベルジミー・ウーは「アントマン&ワスプでそれぞれ登場しているので、MCUファンなら2人の登場にテンション上がったんじゃないでしょうか。僕はぶち上りましたよ。

さらに、モニカが姿を消してから24時間後。
事態の解明のために呼ばれた研究者たちの一人に、メガネをかけた女性が。
そう、みんな大好きダーシー・ルイス(カット・デニングス)が再登場したのです!
ちなみにダーシーは、「マイティ・ソー」「マイティ・ソー/ダーク・ワールド」でソーの元カノ・ジェーン・フォスターの助手として登場しているリケジョです。

謎の解明のため他の研究者たちは街に向けて何台ものドローンを飛ばし、「S.W.O.R.D.」暫定長官ヘイワード(ジョシュ・スタンバーグ)は、ダーシーやウー捜査官の苦言も聞かず下水道からエージェントを送り込みます。

いけ好かない態度のヘイワードにムカつきながらもダーシーはウエストビューを包み込む放射線の結界から、昔のテレビ放送に似た電波を発している事に気づき、局員にブラウン管のテレビを持ってくるよう要求。
持ってきたテレビで電波を受信すると、そこにはあの「ワンダヴィジョン」がテレビ番組として流れていて、消えた街の住人たちが出演していたのです。

そしてここで、2話のラストで登場した養蜂の男は、ヘイワードに送り込まれたエージェントで、ラジオから流れた謎の声は「ワンダヴィジョン」に“出演“していたモニカを見つけたダーシーが近くにラジオがあるのを見て、結界の外からラジオの周波数に乗せ、ワンダに向けてウー捜査官に呼びかけさせたというわけだったのです。

エージェントやモニカ、送り込んだドローンの姿形が変わっていたのは、ワンダの「現実改変能力」のせい。

MCUフェーズ3までのワンダは、触れずに物を動かすサイコキネシスと他人に悪夢を見せる程度の能力しか見せていませんでしたが、原作ではワンダの最大の能力は有機物無機物に限らず、作り替えたり無かった物をゼロから作り出すという、マーベルの中でもトップクラスの能力で、ゆえにワンダことスカーレット・ウィッチはマーベルユニバースの中でも最強クラスのキャラクターなんですよね。本作でワンダはついに、その「現実改変能力」をMCUの中で発揮するというわけです。

で、ウルトロンの事を口にしたモニカを街から追い出したのもワンダだったことがモニカ自身の口から語られ、誰かに操られているのではなく、ワンダが自分の意思で一つの街をまるごと作り変えてしまった事もハッキリする。

つまりこの第4話は、1~3話での謎や違和感を回収し、本作の構造を視聴者に明かす回になっていたわけですね。

5話~7話

 

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5話「問題エピソード」あらすじ
物語は再びシットコムパートからスタート。
泣き止まない双子の赤ちゃんに疲労困憊のワンダとヴィジョン。
ワンダが「助けが欲しい」と呟くと、タイミングよく表れたアグネスが赤ちゃんをあやそうとするのだが――。
一方の現実パートでは、ヘイワードによってワンダがテロリスト認定されてしまう。

6話「ハロウィーンの不気味な夜に」あらすじ
家族初めてのハロウィンに10歳になった二人の息子は大はしゃぎ。
ワンダとヴィジョンもそれぞれ仮装で登場するが、ヴィジョンは街の見回りに出かけると言う。
自分のコントロールから外れた言動をするヴィジョンに慌てるワンダだが、前回ラストで登場したワンダの弟ピエトロに「子供の面倒は俺が見るから」と言われ渋々承諾。
一方、現実パートではヘイワードに基地から追放されたモニカ、ウー、ダーシーの3人が独自で問題を解決するために動き始める。

7話「第4の壁を破って」あらすじ
朝目覚めて隣にヴィジョンがいない事に気づいたワンダは、”カメラに向かって”ヴィジョンとの結婚生活について語り始める。
そこにゲーム機の調子がおかしいと部屋に入ってきた双子たち。
さらにワンダと似た能力を開花させたビリーは頭の中に沢山の声が聞こえると訴えるもワンダは取り合わず「今日は巣ごもりする」と宣言。
リビングに降りると部屋の中の物が次々に変化してして――。
一方、現実パートではヘイワードから離れたモニカが再び結界に入るべく、昔のツテを辿って三度結界への潜入を試みるが――。

感想

シットコムの世界をワンダが作り出した事が分かった5話から7話は、シットコムパートと現実パートが交差する複雑な展開に。
自分たちの世界の異常さに気づいたヴィジョンは、ワンダに嘘をついて結界から脱出し、外部との連絡を取ろうとするんですが、結界から出た途端体が崩れて死にかけ、それに気づいたワンダが結界を広げたことで何とか命拾い。
その時、結界に飲み込まれたダーシーの洗脳を解いたヴィジョンは、(現実世界での)自身の過去を聞かされます。

また、ワンダを利用し抹殺したいヘイワードの思惑と計画や、それまで謎だったアグネスの正体も、第7話でついに明らかに。

一方、ヘイワードと分かれたモニカとウーは、独自にワンダを救うべく行動を開始。すでに2度も結界の中に入り体内が分子レベルで書き換えられているから結界への潜入は危険だと、ダーシーやウーから止められていた彼女ですが、7話では意を決して再び結界に潜入。
その時に彼女はスーパーパワーの片りんを見せるんですね。

第5話のシットコムパートでは赤ちゃんだった双子の息子ビリートミーがあっという間に10歳の男の子に成長し、6話・7話でそれぞれ母ワンダと叔父のピエトロの能力(高速移動)を受け継いでいる事が分かります。

また、第4話で会社の同僚からワンダに操られている事を告白されたヴィジョンが、ワンダを問い質し一触即発のムードになるんですが、そこに訪ねてきたのはなんと現実世界では死んだハズの弟ピエトロ

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しかし、そのピエトロ役を演じているのはMCU版のアーロン・テイラー=ジョンソンではなく、なんと「X-MEN」シリーズで同役を演じているエヴァン・ピーターズだったのです!

つまりどういう事かというと、マーベルコミックの「X-MEN」シリーズを映画化したのはMCUではなく20世紀FOX製作で、そこにクイックシルバー(ピーター/ピエトロ)役を演じたのがエヴァン・ピーターズ

その後、マーベルの親会社ディズニーが20世紀FOXを買収したことで、「X-MEN」の人気キャラだったピエトロ/クイックシルバーが「アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン」に(設定を変えて)初登場。
しかし演じていたのはFOX版のエヴァン・ピーターズではなく、アーロン・テイラー=ジョンソンでした。

さらに、MCUに版権が移ったことで「X-MEN」のMCU参入が待たれているだけに、今回、エヴァン・ピーターズがピエトロ役で登場したことにファンは「ついにMCUX-MENが参戦か!?」と色めき立ったんですね。
まぁ、どうやらこれはMCUが仕掛けたただのサービスだったようですがw

ちなみに、ダーシーを始め、ドラマの登場人物が次々「ピエトロ顔変わってね?」とツッコミを入れるメタギャグの天丼が面白かったですw

そして第6話では、ワンダ、ヴィジョン、ピエトロの3人が、コミック版の自分たち自身の衣装に仮装するというサプライズもあり、コアなファンは大喜びというわけですね。

そして7話。
「S.W.O.R.D.」の情報をハッキングしたダーシーはヘイワードの「白目作戦」(もうちょっとマシな訳はなかったのか…)の全容も明らかに。
「白目作戦」を簡単に言うと、知覚兵器(平たく言うとスーパーヒーローの兵器化)としてヴィジョンの遺体をリメイク・復活させるという計画で、これはソコヴィア協定に違反する行為でもあり「自身の体を武器にしないで欲しい」というヴィジョンの遺言にも背く行為です。
そこで、ヘイワードはその罪を全てワンダに被せたうえで抹殺。証拠隠蔽を計ったというわけです。

さらに、シットコムパートの裏で怪しい動きをしていた隣人アグネスの正体がラストで判明。
彼女はアガサ・ハークネスという魔女で、ワンダのコントロールの範疇を超えた不可解な出来事は、全て彼女が裏で糸を引いていたのです。

ともあれ役者は揃って、物語はついにクライマックスへと突入するんですね。

8話「前回までは」

 

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あらすじ
ついに正体を現した魔女アガサ・ハークネスは、1692年のセイラム魔女裁判以前から生き続けている正真正銘の魔女だった。
ワンダを魔女だと思い込んでいるアガサは、彼女の「現実改変能力」の正体を探るためワンダの過去の記憶を遡って行く。

感想
第8話はついに正体を現したアグネスことアガサの回想シーンからスタート。彼女はなんと1692年、アメリカで起こったセイラム魔女裁判以前の時代から生き続ける魔女で、その強大な力を振るったことで母親を含む仲間の魔女から裁かれるところでしたが、その圧倒的な魔力で全員を返り討ちにしてしまいます。

そして、ウエストビューの街でワンダの能力を知った彼女は、ワンダが魔女だと思い込み、彼女の「現実改変能力」の“魔法“(のやりかた)を聞き出そうとするも、当のワンダは何も覚えていない。
そこでアガサは地下室に扉を作り、ワンダに「過去の再放送」を見せるのです。

まずは、彼女の故郷ソコヴィアでの子供時代。
窓の外では紛争が絶えない故郷で、父はアメリカから仕入れたシットコムドラマのDVD販売をしているらしい。
しかし、商売の方は順調とは言えず商品であるDVDを週一回家族で見るのが恒例の行事になっているんですね。
家族とシットコムを見るのはワンダにとって一番幸せな記憶であり、故郷の辛い現実を一時忘れさせてくれるのはアメリカ製のフィクションだったのです。しかし、そんな家族の部屋に突如ミサイルが撃ち込まれ部屋は滅茶苦茶に。ワンダが床に刺さったミサイルを見ると、そこには「スターク・インダストリーズ」のロゴ。家族の団欒を破壊したミサイルは、アイアンマンになる前のトニー・スタークの会社で販売されたものだったのです。

ミサイルの横では衝撃で倒れたテレビに映るシットコム
つまりワンダは、アメリカ(のフィクション)に救われ、アメリカ(の兵器)に奪われたということを表現しているんですね。

結局ミサイルは不発弾でしたが、そうとは知らずミサイルと2日過ごしたと話すワンダに、アガサは彼女がミサイルの爆破を止めていたのではないかと推理。つまりこの一件でワンダの能力が覚醒したと考えたんですね。

次に二人が辿り着いたのは、ワンダとピエトロが志願したヒドラの実験場。
そこにあったのはロキの杖で、その杖にはワンダに力を与えたマインド・ストーンが輝いていたのです。
これまで生存者ゼロだったというこの実験で、マインドストーンの光の中に何者かの影を見たワンダはそのまま気を失ってしまうのでした。
その様子を見たアガサは、マインドストーンが彼女に力を授けたのではなく、石が彼女が持つ能力を増幅させたと推理します。

次に二人が訪れたのは「/エイジ・オブ・ウルトロン」後のアベンジャーズ本部。弟を失い疲れ果てたワンダが一人シットコムを見ていると、まだ出会って間もないヴィジョンが話しかけてきます。
シットコムを見て絆を深めたワンダとヴィジョンは、一緒の時間を重ねやがて相思相愛になるも、結局ワンダはサノスとの戦いで大切なヴィジョンも失うハメに。
アガサは、次々に愛する人を失ったことで、ワンダが心の闇に引きずり込まれたのではないかと推測します。

次に二人が訪れたのは「S.W.O.R.D.」本部。
中に通されたワンダはヘイワードと対面。そこでバラバラに解体されているヴィジョンの遺体というショッキングな光景を目にします。
ショックを受けるワンダに向かい、ヘイワードはこともあろうにヴィジョンを「史上最も洗練された知覚兵器」と呼び、埋葬を願うワンダにヴィジョンの遺体は国の所有物であり「30億ドルのヴィブラニウム(ヴィジョンの素材)を埋めることは許されない」と言い、離れた場所から別れを告げる事のみを許可するんですね。

そんなヘイワードの言葉に感情を抑えきれないワンダは部屋のガラスを破壊しバラバラにされたヴィジョンの近くに。
しかし、ワンダの力を持ってしても遺体からヴィジョンを感じることは出来なかったのです。

最後に二人が訪れたのは、シットコムの舞台となったワンダとヴィジョンの家。そこはただの更地ですがワンダが運転する車の助手席には2人のサインが書かれた土地の権利書が。
全ての闘いを終えたら、ワンダとヴィジョンはここに家を建てて2人で住む計画を立てていたのです。

その約束の地に立ったワンダの悲しみがついに爆発、今まで使った事もない「現実改変能力」を開放すると街の住人を巻き込み、ヴィジョンと自身の幸せの象徴でもあったシットコム世界を作り上げてしまったのです。

ヘイワードは、ワンダがヴィジョンの遺体を強奪したと言っていましたが、彼女はそんな事はしておらず、自身の能力でヴィジョンをゼロから作り上げたんですね。(なので結界の外でヴィジョンは生きられない)

つまりこの8話は、それまでハッキリとは語られなかった、ワンダのオリジンを語る回だったわけです。
さらにワンダとモニカは大切な人を失い、ワンダとアガサはその強すぎる力ゆえ人々から迫害されるという共通点を持つ、鏡像関係にあるわけですね。

そんなアガサは、一緒にワンダの過去を見てワンダの能力を「カオスマジック」そしてワンダ自身を「スカーレット・ウィッチ」と呼びます。

スカーレット・ウィッチはワンダの別称(というかヒーロー?ネーム)なのは、原作ファンには常識ですが、実はMCU作品内でワンダがスカーレット・ウィッチと呼ばれたのはこれが初めて。
つまり本作は、ワンダ・マキシモフのオリジンの振り返りであると同時にスカーレット・ウィッチのオリジンでもあるわけです。

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あらすじ
ついにすべての謎が明らかになった本作。
相手の力を吸い取ってしまうアガサの魔法に対し、ワンダは車をぶつけるという物理攻撃で対抗。
しかしそこにアガサの姿はなく、呆然とするワンダの前に現れたのは真っ白な純白のヴィジョンだった――。

感想
9話に渡って描かれた本作もついに最終回。
すべての役者は揃い謎は全て明らかに。
あとは対決するだけなのですが、ぶっちゃけワンダとアガサでは力の差は歴然だったりします。そこで制作陣はアガサに「相手の力を吸い取る」という能力を与えたんですね。

そんなアガサに対し、ワンダはもう一つの力サイコキネシスによる物理攻撃で対抗。一度は退けたと思ったんですが、そこに現れたのは何と真っ白なヴィジョン。
そう、それはワンダが作り出したあのヴィジョンではなく、ヘイワードがヴィジョンの遺体をリメイクして復活させた”知覚兵器”のヴィジョンだったのです。

そんな白ヴィジョンにワンダが危うく殺されかけますが、次の瞬間ヴィジョンが白ヴィジョンからワンダを救出。
ワンダはヴィジョンにすべてを話すべきだったと謝罪し、ヴィジョンは「ここが僕たちの家なら戦おう」と決意します。
そんな二人の前に立ちはだかるアガサと白ヴィジョン。
いよいよ戦いは大詰めを迎えるんですね。

一方、結界の外ではヘイワードが証拠隠滅のため街の攻撃を指揮する前線基地に、捕まったウー捜査官が連れてこられ「(お前の悪事は)必ず明るみに出るぞ」と言うと、ヘイワーズは「ワンダが放送を取りやめたので証拠は出ない」「ワンダさえ始末すれば(証拠改変など)誰も気にしない」と余裕の笑みを浮かべペラペラ喋ります。ウー捜査官がスマホで会話を録音している事も知らずに。

アガサとワンダは街の中心に戦いの舞台を移しています。
そこでアガサは街の人たちに掛けられたワンダの洗脳を次々解いていくんですね。
洗脳を解かれた人々は「お願いだから解放してくれ」「解放しないならいっそ殺して」とワンダに懇願。
ワンダは街の人々をひどく苦しめていた事を知り、ついに結界を解除し彼らを解放しようとしますが、それではヴィジョンと子供たちが消えてしまう。
究極の選択を迫られたワンダは、一度は解除した結界を再び元に戻すのです。

一方、互角の力で戦うヴィジョンと白ヴィジョンですが、ヴィジョンの「テセウスの船」を例に出した話に白ヴィジョンが興味を持ち一時休戦。

テセウスの船」とは、古い船の木材を新品に変えた時、また剥がした古い板で新品の船を作った時、その船は元の船と同じものか的な問答で、そのまま記憶はあるが実体のないヴィジョンと、実体はあるが記憶のない白ヴィジョンと重なります。
そして、知覚兵器として使うためヘイワーズが封印した記憶データーを、ヴィジョンによって復旧された白ヴィジョンは過去を思い出し、新たなヴィジョンとして復活したのです。

一方、前述のワンダが結界を解いたスキをついてヘイワードは兵隊を連れてウエストンビューの街に乗り込んできますが、高速移動の能力を習得したトミーと兵隊の能力を制御する力を得たビリーによって兵士たちは武装を次々解除されます。
そこに現れたヘイワードが二人に向かって拳銃を発射するも、銃弾は飛び込んで二人の盾になったモニカに命中。
しかし、モニカには傷一つなく弾丸の威力は無効化。
度重なる結界への侵入で、モニカの体は変異をきたし、ある種のスーパーパワーを得ているんですね。

実は原作ではモニカが二代目キャプテン・マーベルになるんですが、本作は、モニカが二代目キャプテン・マーベルになるまでのオリジンでもあったのです。

勝ち目なしと悟ったヘイワーズは、軍用車で逃げようとするも、そこにダーシーの乗ったバンが突っ込んであえなく御用。

そして戦いの中で完全にスカーレット・ウィッチとして覚醒したワンダは、アガサに圧勝し、改変能力で彼女をおせっかいな隣人の“アグネス”に戻してしまいます。

全てが終わり、ヴィジョンとの約束を果たすため結界を解除するワンダ。
しかしそれは同時に、愛するヴィジョンと息子たちの消滅を意味します。
息子たちを寝かしつけたワンダとヴィジョンは、迫りくる最後の瞬間を二人で過ごします。
「最後に聞いておきたい。僕は何者?」と聞くヴィジョンにワンダは「あなたは私の何より愛する人」と答え、それを聞いたヴィジョンは「私は初め”声”(ジャーヴィス)として生まれ、その後肉体を得て、今はリアルな記憶だ」と言い、ワンダに「きっとまた会える」と言って消えていくんですね。

元の更地となったマイホームを後にしたワンダは、街の人々に敵意の目を向けられながらモニカの前に。
そして「いつかこのパワーを理解して見せる」と約束し、ウエストビューの街を後にするのでした。

これで、「ワンダヴィジョン」の物語は終わりますが、そこはMCU作品。
最後にお約束のポストクレジットが2本ついているんですよね。

一つは、取り調べのためモニカを映画館に連れてきた捜査官が実はスクラル人で、モニカに「お母さんの友人に連れてくるように言われた」と言うんですね。モニカが「どこに?」と聞くと上を指さすので、彼女を呼んだのは初代キャプテンマーベルのキャロルか、もしくはニック・フューリーなのでしょう。

もう一つはエンドロール後、人里離れた山奥の湖畔の山小屋でお茶を飲むワンダをカメラがすり抜け、奥の部屋に入るとそこにはスカーレット・ウィッチ姿のワンダが、アガサが持っていたダークワールドの本を読んでいるんですね。

そして、最後「助けてママ、お願い!」と消えたはずの双子の声が聞こえ、謎を残したまま物語が終わるのです。…おうふ。

この最後のポストクレジットの解釈は数々ありますが、個人的にはそもそもワンダとスカーレット・ウィッチは別人格というのが一番しっくりくる感じです。
そうすれば、劇中で違和感を感じたワンダの言動にも説明がつくし、双子の声も「(スカーレット・ウィッチから)助けてママ(ワンダ)」という事なんじゃないでしょうか。多分。

総評

というわけで、MCUドラマ「ワンダヴィジョン」を長々と思う存分語ってしまいました。
最初に本作のワンダと「ブラック・ウィドウ」のナターシャは鏡像関係にあると書きましたが、それはずっと一人ぼっちだったナターシャが最後に2つの家族を得たのに対し、ワンダはずっと家族や愛する人を失い続けているという事なのです。

あと、本作は極めてMCU的とも言えますが、一方で昨今のディズニー作品にも近い物を感じます。
例えば「雪の女王」を姉妹の物語に変えた「アナ雪」や、アンジェリーナ・ジョリー主演の「マレフィセント」、101匹わんちゃんのヴィラン・クルエラを主役に据えた「クルエラ」など、これまでのヴィランを一人のキャラクターとして描き直す流れがありますよね。

本作のワンダも、観客は彼女視点で見ているから、ワンダを悲劇のヒロインとして受け入れられますが、街の住人の視点で見ればワンダは明らかなヴィランですからね。

そして、そんな二人の物語から始まるMCUフェーズ4のテーマは、一言で言えば継承と拡張になると思います。
継承とはそのままファーストアベンジャーズから次の世代へのバトンタッチという意味で「ブラック・ウィドウ」ではナターシャから義妹のエレーナへと、本作ではキャプテン・マーベルをキャロル・ダンバーからモニカ・ランボーへ。
ドラマ第2弾「ファルコン&ウィンター・ソルジャー」は、初代キャップのスティーブからサム・ウィルソンへ「キャプテンアメリカ」を継承するドラマになると思うし、ドラマ「ホークアイ」ではクリントからケイト・ビショップに「ホークアイ」が受け継がれていくハズ。
そういう意味では、本作のヴィジョンと白ヴィジョンもある種の継承と言えるかもですね。

そしてもう一つの「拡張」とは、今後のMCUスパイダーマンシリーズやドクター・ストレンジシリーズを中心に描かれるであろう「マルチバース」の事です。
ソニーのアニメ版「スパイダーマンマルチバース」ですでに描かれているように、また来年公開の「スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム」などで詳しく描かれるであろう、次元を超えて様々なキャラクターが絡み合うということ。それこそ科学と魔法と神話をベースにしたキャラクターたちがより複雑に絡み合っていくのではないかと、個人的には考えています。

フェーズ4ではこの2つの軸を中心に、また、これまで殆ど登場しなかったマイノリティーの属性を持つ新たなアベンジャーズが次々に登場、さらにMCU世界を広げていくのだと思いますねー。

そんな中、恐らくは今後、エターナルズとドクター・ストレンジ、そしてスカーレット・ウィッチことワンダが同じ映画やドラマで絡んだりすると思うと、もうワクワクが止まらないし、出来るだけ早くワンダが幸せになってくれる事を切に願う次第ですよ。いやマジで。

というわけでMCUドラマシリーズ第1弾「ワンダヴィジョン」の解説と感想でした!
次は「ファルコン&ウィンター・ソルジャー」を観ますよー!!
ではではー(´∀`)ノシ

って、13.000文字越えてた。てへ