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リベンジシーンは最高だけどイマイチ乗り切れず「ミスミソウ」(2018)

ぷらすです。

今回ご紹介するのは昨年公開された邦画で、押切蓮介原作のマンガを実写化した『ミスミソウ』ですよー!

公開時に結構話題になっていて、気になってはいたものの他の作品を観てるうちに後回しになってしまい、今回やっとレンタルしてきましたよ。

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概要

ハイスコアガール」などの漫画家・押切蓮介のコミックを実写映画化。閉鎖的な田舎に転校していじめの標的になった少女の運命を描く。主演は『咲-Saki-』などの山田杏奈、彼女が唯一心を許せるクラスメートに『ちはやふる』シリーズなどの清水尋也がふんするほか、大塚れな、中田青渚、片岡礼子寺田農らが共演。『ライチ☆光クラブ』などの内藤瑛亮がメガホンを取った。(シネマトゥディより引用)

感想

ビビっていたけれど

この作品、あの押切蓮介の人気マンガを実写化ということや残酷なゴア描写などが話題を呼び、ネットでの評価もかなり高い作品でしたよね。

それでも僕が観るのを後回しにしていたのは、中学生のイジメがエスカレートしてついに家族に手をかけてしまったいじめっ子への復讐劇という内容をうっすら把握していたから。

ただでさえ主人公or登場人物が大した理由もなく理不尽な目に遭う作品が苦手なので、それが中学生のイジメとなると、これはキツイなーってビビっちゃってたんですよね。

ただ、実際に観てみるといわゆるイジメ描写自体はそんなに長くなくて、開始25分くらいで家が焼かれ、その後サクっと復讐に移っていくので、思ってた程ストレスは溜まらなかったです。

まぁ、とは言えいじめっ子たちのイキってる感や、 森田亜紀演じる担任教師の「あ、こいつダメだ」感には心底イライラさせられましたけども。

ただのリベンジムービーかと思ったら

で、この映画のストーリーをざっくり紹介すると、東京から転校してきた中学3年生の野咲春花(山田杏奈)は、小黒妙子(大谷凜香)が好きだった?相場 晄(清水尋也)を取ったと、いじめっ子グループに壮絶なイジメを受けていまして、それを知った両親は担任に抗議するも事勿れ主義の担任は全く取り合わない。

そこで両親は春花に卒業までの2ヶ月不登校を勧めて一見落着かと思いきや、春花がいなくなった事で先代いじめられっ子の佐山 流美(大塚れな)が再び苛められるようになるんですが、そんな佐山の一言がキッカケとなって、いじめっ子グループのメンバーは家族が住む春花の家に火を放つというとんでもない行動に出るのです。

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そして、それを知った春花は――というストーリー。

まぁ、物語の骨格はいわゆる“リベンジムービー”ってやつなんですが、この作品が他と違うのは途中から映画の視点が変わり、いじめっ子たちの背景に踏み込んでいくんですね。

そしてその背景には田舎ゆえの閉塞感や、そこに暮らす子供たちの絶望感があり――みたいな。

思春期の不安定さも含めたそういうアレコレが春花に向かい、最初は本気ではなかった春花の家に火をつけるという行為も集団心理で歯止めが効かなくなった結果、事態は最悪な方向へと向かっていくわけです。

そんな中、唯一まともだと思っていた“アイツ”が実は――的などんでん返しもあったりして、先の読めない展開に驚きましたねー。

マンガなら飲み込めるが

ただ、正直僕は、この作品にイマイチ乗れなかったんですよね。

いや、事の真相を知った春花が、いじめっ子グループをサーチ&デストロイするシーンは、最高ですよ?(それまでの“圧”が開放されるから)

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画像出典元URL:http://eiga.com / サーチ&デストロイ! サーチ&デストロイ!

この辺のゴア描写はかなり原作に忠実らしいんですが、いじめっ子グループの雑魚女子の目に木の枝を突き刺したり、ナイフで指を切り落としたり、その他にもバリエーション豊かな残酷描写がてんこ盛りで、まさにヒャッハー!状態だし、神出鬼没の春花が、反撃に出たいじめっ子のボンクラ二人組を返り討ちにする件なんかは、まるでランボーコマンドーのようでアガりましたしね。

ただ、やっぱ色々気になっちゃうシーンも多くて、例えばいじめっ子グループが春花をイジメるのは分かるし、だんだんその歯止めが効かなくなるのも分かる。

事勿れ主義の担任がイジメを知りながら放置することも、実際にある事だからまぁ分かる。

ただ、担任に抗議に来ていた父親を(画鋲を巻きつけた靴で)階段から蹴り落とすとか、家族の住む家に火をつける件、その後の展開はかなり突飛だし強引すぎるように思えるんですよね。

もちろんフィクションとして寓話的に描かれているってのは承知の上ですが、学校という場で、春花の「父親」を階段から蹴り落として嗤うとか、家にというより春花の家族に火をつけるとか、中学生がそんなに堂々と出来ますかね?

父親も父親で、娘があそこまでやられて、自分も階段から蹴り落とされて、犯人の顔も見てるのに“だんまり”とか、コイツらに何か弱みでも握られてるのか?とすら思いましたよ。

普通、警察とまではいかないにしても、クラスの担任がダメならその上の教頭なり校長なり、もしくは親に抗議するとか、それでもダメなら教育委員会に講義するんじゃない?と。医者に行って診断書取れば証拠もしっかりあるわけだし。

家に火をつけたのだって消防や警察が見れば放火は一目瞭然なわけで、よほど無能じゃない限りは犯人特定にそんなに時間がかかるとは思えないんですよね。
だって、あんなに堂々とポリタンクを持って集団で歩いてるんだもの。

あと、自分たちの子供が次々行方不明になってたら、村なのか町なのか分からないけど親や青年団みたいな人たちが探さないもんでしょうか?

その親たちは、学校に文句言いに来るばかりで、子供を探してる様子もないんですよね。

あと北国目線で言うと、“あの人”が除雪車に巻き込まれて雪が真っ赤に染まるシーンも、確かに見栄えはいいけど除雪車が単体で動くことってないと思うんですよ。
普通は安全確認の作業員が近くにいるんじゃないかな。(もっと言うと昼間に除雪は普通やらない)

もしかしたらその辺も原作通りかもしれないですが、マンガなら飲み込めるおかしな部分や嘘も、実写映画でやられると途端に飲み込み辛くなっちゃうんですよね。(´ε`;)ウーン…

せめて、警察が家事の聞き込みをしてるシーンや、大人たちが行方不明の子供たちを探すワンカットが入れば、全体的にもうちょっと飲み込みやすくなった気がしました。

監督はそれよりも作品のテンポを優先したのかもですが。

山田杏奈の存在感

で、本作は物語上キャストも若手が多いんですが、その中でも異彩を放っていたのはやはり主演の山田杏奈。

他のキャスト陣に比べて特別演技が上手いってわけじゃないですが、独特の存在感があって目を引くんですよね。
彼女を主役に据えたことが、本作の成功の大きな要因なのではないかと思いました。

あともう一人、先代いじめられっ子の佐山 流美を演じた大塚れなの壊れっぷりも素晴らしかったです。

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画像出典元URL:http://eiga.com / 山田杏奈と並んで異彩を放っていた佐山 流美

かなり難しい役柄を見事に演じていたし、中盤以降の作品の空気は彼女が作っていたと言っても過言ではなかったと思いましたねー。

興味のある方は是非!!

 

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