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時代劇なのに銃撃戦!? 時代劇は自由なのだ!「子連れ狼 地獄へ行くぞ!大五郎」(1974)

ぷらすです。

今回ご紹介するのは、若山富三郎主演の劇場版「子連れ狼シリーズ」第6弾、『子連れ狼 地獄へ行くぞ!大五郎』ですよー!
ラジオやネット番組で、時代劇評論家の春日太一さんが度々紹介していて、あまりに気になったのでAmazonプライムビデオで観ました!

漫画が原作でもあり、子供の頃に観たテレビ版もかなり自由な時代劇だとは思ってましたが、この若山御大の劇場版はそれどころじゃなかったですねー!www

あまりに自由すぎて爆笑してしまいましたよ!!

ちなみに今回は45年も前の古い作品ですし、本作の面白さを余すところなくご紹介したいので、ネタバレ&ツッコミ全開で感想を書いていこうと思います。
なので、ネタバレは嫌! っていう人は、先に映画を観てからこの感想を読んでくださいねー。

いいですね? 注意しましたよ?

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画像出典元URL:http://Amazon.co.jp

概要

子連れ狼”シリーズ第六作目。柳生一族の陰謀のために妻を殺され、怨念の旅を続け、冥府魔道に生きる拝一刀、大五郎親子を描く。脚本は「子連れ狼 冥府魔道」の中村努、監督は「海兵四号生徒」の黒田義之、撮影は「御用牙 鬼の半蔵やわ肌小判」の牧浦地志がそれぞれ担当。(映画.comより引用)

感想

子連れ狼とは

一応知らない人のために説明すると、「子連れ狼」は1970年から1976年まで漫画アクションで連載された小池一夫原作・小島剛夕作画の劇画作品。

柳生一族の陰謀で妻を失い、遺された息子・大五郎と共にさすらいの旅に出る元・公儀介錯人拝一刀と、彼らの命を狙う柳生一族との死闘を描いたハードボイルドな作品で、1973年から1976年にかけて萬屋錦之介主演でテレビドラマ化されたことで、社会現象とも言える大ヒットになりました。

ただ、実はテレビドラマよりも一年早い1972年に、勝新のお兄さん、若山富三郎主演で映画化されてたんですね。
こちらも大人気で、2年間にわたって全6作が作られていて、本作はその最終作なのです。

ざっくりストーリー解説&ツッコミ

vs香織編

柳生の陰謀により公儀介錯人の座を追われ、刺客として復讐の旅を続ける拝 一刀若山富三郎)と息子の大五郎(富川晶宏)。
二人の命を狙い、これまで三人の息子を刺客として差し向けるも全員返り討ちにされた柳生一族当主の烈堂大木実)は“上様”に「これ以上失敗するなら“表攻め”に切り替える」と言われてしまいます。

“表攻め”とは今風に言うなら「全国指名手配」のことで、幕府が全国の大名に御布令を出して、拝親子をサーチ&デストロイするように命じるということ。
そうなれば、その任務を任されていた柳生一族の面子は丸つぶれということで、烈堂は娘の香織(瞳順子)に拝親子成敗を命じるわけです。

この香織の必殺技は、3本の短刀の1本を真上に放り投げて、残りの2本で斬りかかるというその名もお手玉の剣」(←ネーミングセンス!)
頭上から落ちてくる短刀を躱せば香織に斬られ、香織の剣を避ければ頭上から落ちてくる短剣に脳天を貫かれるという恐ろしい? 必殺技です。

さらに烈堂は、手練の三人の門人相手にリハーサルをさせる念の入れよう。
っていうか、三人の部下はTHE★無駄死にですよ!
4人で協力して襲わせたほうが確率が上がりそうだけどなーw

三人の脳天に短刀をぶっ刺した香織は拝親子を追って出発し、村の子供たちと遊ぶ大五郎を発見。一緒にお手玉で遊びながら一刀を待ちます。
そして現れた一刀とついに対決。
必殺「お手玉の剣」を見破った一刀、なんと大五郎を肩車して対抗
自分の息子を盾に使うっていうまさに冥府魔道の非道っぷりで刺客の香織を撃破します。

いくら命令とは言え、さすがに小さな子供に短刀を投げるのは躊躇した香織は、死に際に「なんと卑怯な…」って言うんですが、うん、僕もまったく同意見ですよw

もう、完全に悪役の手口だよ!

vs柳生の刺客

そして、亡き妻の墓参りに行き「烈堂をぶっ殺すからな」(意訳)と墓前に誓う一刀。
敵の気配を察知すると、漆喰塀に向かって大五郎を乗せる乳母車に仕込んだ機関銃を乱射。(←時代劇です)

すると、漆喰の塀に空いた銃跡から血が垂れ、壁をぶち破って刺客たちが倒れ込むんですね。

なんと、刺客たちは壁に穴を掘って潜み、上から漆喰で塗り固めて身を隠していたのです。

時代劇で機関銃を乱射するのもアレだけど、お前ら壁の中からどうやって攻撃するつもりだったんだよ!(。・д・)ノ)´Д`)ビシッ

vs土蜘蛛三人衆1

4人の子供を失って、いよいよジリ貧になった柳生烈堂ですが、彼にはもう一人生まれてすぐに山に捨てた妾の子兵衛木村功)がいまして、山に行って「柳生のために拝親子をサツガイするのじゃ!( ゚д゚)クワッ」とか言うわけですが、いや、お前…っていうねw

案の定兵衛は「お前、生まれたばっかのワシを捨てて何言ってんねん! ワシは育ててくれた土蜘蛛一族じゃこのハゲ!」と、突っぱねます。
まぁ、そうなりますよね。っていうか、何で協力してもらえると思ってたんだって話ですよ。

仕方なく、烈堂は兵衛の妹(こっちは養子にしてた)に、兵衛を説得するように頼もうとするも、なんと兵衛はさっさと土蜘蛛一族と一刀を倒しに出かけちゃうんですね。
と言っても、別に親父に言われたからじゃなく、(親父に倒せなかった)一刀を倒して、柳生のポジションを土蜘蛛一族が奪ってやろうっていう作戦

……いや、もし一刀を倒しても柳生の手柄になっちゃうし、むしろ放っておけばオヤジ勝手に自滅するじゃん? その後で一刀を倒せばいいじゃん?

ともあれ、兵衛は土蜘蛛三人衆、無堂(草野大悟)、無我(宮口二郎)、無門(石橋蓮司)を一刀のもとへと送り込りこみます。
この三人、土の中を自由に移動できる能力を持ってる、土蜘蛛一族最強の三人衆なんですね。

しかし、一刀の強さに真正面から行けば負けると思った三人は、拝親子に関わった人間を片っ端から殺し、二人の精神を削るという作戦を実行。

道すがら大五郎に蛇笛をくれた女の人をバスーカーでドーン!(←時代劇です)、大五郎に飴を売った飴売りをバラバラ死体にして川に流し、二人が泊まった宿の従業員&宿泊客も皆殺し。「(ΦωΦ)フフフ…お前らに関わった人間はみんな死んじゃうぞ~」と脅す“術”を敢行。
うん、それは別に「術」じゃなくてただのいやがらせけどね。

とはいえ、これには流石の一刀も参ってしまい、誰とも関わらないように旅を続けます。

vs兵衛

で、ある藩の家老から刺客依頼を受けた一刀は待ち合わせ場所に向かいますが、その依頼は破棄されます。
理由を聞くと、「君ら“表攻め”されることになったから」と。
そんな彼らに下手に関わると、自分たちにもあらぬ疑いがかかってしまうというんですね。
そして、乗ってきた小船をあげるからこっそり逃げるように勧める家老にイキナリ斬りかかる一刀。
彼はこの家老が武士の命である刀を、船から上がる時に踏み台にしたのを見て、家老が変装した土蜘蛛一族の兵衛で、これは罠だと見破っていたのです。

そこから、土蜘蛛一族を相手に大立ち回りをする一刀。
しかし、川原に出たところで土蜘蛛三人衆に土の中に引き込まれ、身動きが取れなくなってしまいます。一刀危機一髪!

しかし一刀、兵衛に向かって「お前、闇討ちとか卑怯だぞ! 『武士』なら堂々とタイマンで勝負しろや!……って、

お前が言うな!(。・д・)ノ)´Д`)ビシッ

お前は息子を自分の盾にしたり、マシンガン打ちまくっとるやないかい! っていうねw

ただ、兵衛はバカなので「ほんなら『武士』として正々堂々タイマンで勝負つけたるわいハゲー!」と、一刀と一騎打ち。そしてサクッと負けます。

vs土蜘蛛三人衆2

そこから色々あって兵衛が死に、彼の遺言で土蜘蛛三人衆は拝親子を倒すため、雪山にかまくらを作って身を潜める二人のもとに向かうんですが、土の中では自由に動ける三人も、極寒の雪の中ではそうはいかず「だめだ凍える…_:('Θ' 」 ∠):_プルプルプル」とか言い出す始末。

雪から顔を出したところを一刀に見つかり機関銃で蜂の巣にされながらも、最後の手段と3人はジェットストリームアタック
しかし乳母車の仕込み槍で串刺しにされてアッサリ絶命するんですねー。

一刀、ちょ、おまっ……ww

vs柳生軍団

そして、ついにクライマックス。
ソリ仕様に改造した乳母車で一刀が軽快に雪山の斜面を滑っていると、烈堂率いるスキーを履いた柳生軍団が襲いかかってきます。

まずはいつも通り機関銃乱射で敵の数を減らすと、ソリ乳母車で柳生スキー軍団と抜きつ抜かれつ、斬ったはったの大チェイス

あげく、烈堂は自分のソリに設置したバズーカーを撃ちまくり一刀も機関銃で応戦という、 サム・ペキンパーばりの銃撃アクションを展開。拝親子の乳母車に至っては、マッドマックスみたいになってましたからねw

死闘の末にギリギリまで追い込むものの、烈堂に逃げられた一刀。
途中で乗り捨てた乳母車(ソリ)の中には大五郎がいなくて、もしやソリから放り出されて……と必死に息子を探す背後から「ちゃん」と呼ぶ声が。
最後は一刀が大五郎を抱きしめて、物語は終わるのでしたとさ。チャンチャン。

www.youtube.com

和風007

事ほど左様に、本作は時代劇というよりマカロニウエスタン。っていうかほぼ「007」でしたよ。
だって機関銃撃ちまくり、バズーカー撃たれまくり、挙句スキーチェイスですもん。

元々、体が大きくてぽっちゃり体型の若山富三郎ですが、この人実は運動神経抜群
本作のクライマックスでは、蔵王のスキー場を滑るソリ(乳母車)の上に(両手に鎖を巻かれた状態で)仁王立ちですよ!
そしてソリから転がり落ちると直ぐに立ち上がって敵を斬り倒すという一連のアクションを、ワンカットで撮影してるんですね。

他にも、何度かトンボを切って(空中一回転のこと)見せたりもしてます。

若山富三郎は元々柔道の有段者で、殺陣も出来れば馬にも乗れるし、実は何でもできる器用な役者だし、こと殺陣とアクションに関してはあの千葉真一の師匠なのです。

後年は演技派として慣らした名優の若山御大ですが、一方で元祖アクション俳優でもあったんですねー。

まぁ、本作もストーリーは正直あってないようなものですが、このスーパーアクションだけでも十分見ごたえがあると思いましたよー!

シリーズ途中で終了

ちなみに、大人気だったシリーズ途中にも関わらず劇場版「子連れ狼」シリーズは本作で終了してしまいます。

これは、原作者の小池一夫が制作の勝プロダクションと契約してたにも関わらず、日本テレビにも「子連れ狼」ドラマ化の契約をしちゃったからで、若山富三郎はそれに激怒。(そりゃそうだ)
勝新がテレビ局に抗議に行くも、結局は映像化権をテレビ側に譲っちゃったという経緯があるそうで、そのせいで一時期この兄弟は絶交状態になったそうです。

その後、お詫びに日本テレビ若山富三郎主演で好きなドラマをやってくれていいという事になり、勝プロも全面協力したことで、事は丸く収まったみたいですね。

 

「時代劇」というと、年寄りの観る堅苦しい昔話と思われるかもですが、春日太一さんも言うように本来の時代劇は(一定の基準さえクリアすれば)すごく自由で何でもアリだし、本作はまさにそれを体現した一作と言えるんじゃないでしょうか。

本作はAmazonプライムで手軽に観られるので、時代劇を普段観ない人にこそ、是非観て欲しい作品ですねー。

興味のある方は是非!!!

 

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