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前作の解像度を上げる「マッドマックス :フュリオサ」(2024)

ぷらすです。

あの超・超・超・超・大傑作だった前作「マッドマックス/怒りのデスロードの前日譚であり、主人公フュリオサの半生を描いた叙事詩『マッドマックス :フュリオサ』を初日、初回の上映で観てきました!

というわけで今回は、まだ公開したばかりの作品でもあり、また、まだ前作を観ていない人もいると思うので、出来る限り両作のネタバレしないよう気をつけて感想を書きますが、気になる方はご注意ください。

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画像出展元URL:http://eiga.com

概要

『マッドマックス 怒りのデス・ロード』に続き、シリーズの生みの親であるジョージ・ミラーが監督を務めるアクション。世界崩壊から45年後、故郷からさらわれたフュリオサがバイカーたちの軍門に降り、荒廃した世界で城塞都市の支配者イモータン・ジョーとの戦いに巻き込まれる。主人公フュリオサを『ラストナイト・イン・ソーホー』などのアニャ・テイラー=ジョイ、バイカー軍団のリーダーを『アベンジャーズ』シリーズなどのクリス・ヘムズワースが演じる。(シネマトゥディより引用)

感想

マッドマックスとジョージ・ミラー

本作は、ジョージ・ミラー監督の伝説的シリーズ「マッドマックス」4作目となる「マッドマックス/怒りのデスロード」(2015)で、実質W主人公の一人だったフュリオサのオリジンを描いたスピンオフ作品です。

というか、そもそも「マッドマックス」シリーズを知らないor観たことがない方もいると思うのでザックリと説明すると、1979年に公開された『マッドマックス』第1作はジョージ・ミラー監督の長編映画デビュー作です。

医者を志して医科大学に進学するも、学生時代に映画コンクールに出品した短編映画がグランプリを獲得したのをきっかけに、テレビと映画界で働くようになったジョージ・ミラーが、数本の短編映画を制作した後オーストラリアで手掛けた低予算のアクション映画で、近未来の荒廃したオーストラリアを舞台に警察官マックスと凶悪な暴走族の戦いを描く復讐劇です。

この作品のヒットで注目を集めたジョージ・ミラーとマックス役を務めたメル・ギブソンはハリウッドに進出。

核戦争によって荒廃した世界を舞台にした続編『マッドマックス2』(1981)は、世界的大ヒットを収め、モヒカンヘアーで暴れまわる暴走族などを描いた世界観は、1980年代全般のSF映画ををはじめ、ジャンプのマンガ「北斗の拳」など多くの作品に多大な影響を与えました。

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そんな社会現象にもなった「マッドマックス2」の勢いを受けて製作された『マッドマックス/サンダードーム』は大物歌手のティナ・ターナーを起用するなど、ハリウッドと大きくコミットしエンタメ色を強めた作品で大ヒットしましたが、マッドマックスのファンの間では賛否両論ではありました。

この三部作でシリーズは一旦ピリオドを打ったものの、1998年に第4弾のアイデアを思い付いたジョージ・ミラーは制作に乗り出しますが9.11、イラク戦争など、度重なるアクシデントによって製作は延期。

紆余曲折を経て2015年、マックス役をトム・ハーディ―に変更しシリーズの世界観を引き継ぐ形で公開された『マッドマックス 怒りのデス・ロード』は、幾度もの延期によって世界観やキャラクターが練り込まれたことでシリーズ屈指の大傑作となり、シリーズのファンのみならず、新たなファンも獲得し世界的な大ヒット作品となりました。

そんな「/怒りのデスロード」でマックスとタッグを組んだのがシャーリーズ・セロン演じるフュリオサで、この時は彼女の壮絶な過去を匂わせる程度でしたが、「怒りのデスロード」へと続くフュリオサのオリジンを描いたのが本作なんですね。

若きフュリオサ役をアニャ・テイラー=ジョイが演じ、そんな彼女の宿敵でバイカー集団「バイカー・ホード」を率いる悪役ディメンタスを、「マイティー・ソー」のクリス・ヘムズワースが演じました。

前作の解像度を上げる作品

そんな本作の感想を一言で言うと、メッチャ面白かったです。

前作の世界観を引き継ぐ形で登場する、改造自動車とバイクの数々は相変わらず狂っていて、前作で登場しフュリオサが運転した「ウォータンク」の前身となる初代ウォータンクは光沢のあるステンレススチールとクローム仕様。
ギラギラに輝くタンクの側面にはイモータン・ジョーの伝説の物語が浅浮き彫りで施されているんですね!

このウォータンクの最後部は鎖で繋がれたトゲトゲ鉄球がぶら下がったドリルになっていて、スイッチを入れるとドリルが回転! 
遠心力で回る鉄球が敵を巻き込んで破壊するという、小学五年生男子が考えたようなメッチャ燃える仕様になってましたよ!!

officialページより

また、今回はバイクが多く登場するんですが、バイクで引っ張ったパラセーリング状態の敵や、後部にプロペラを積んだハンググライダーバイクで空から攻撃。
ディメンタスが駆るのは三台のバイクをくっつけて人が乗る台車を引っ張る「モーターサイクルチャリオット」です。「ベン・ハー」とかで馬が台車を引っ張て闘技場を走るアレのバイク版ですよ!

officialページより

うっは!カッコイイ!!

 

他にも相変わらず狂った車やバイクがジャンジャン登場しては破壊される中盤のチェイスシーンは見どころ満点ですよ!

そして、そんな本作には前作でも登場したイモータン・ジョー(前作でイモータンを演じたヒュー・キース・バーンは亡くなっているので、ラッキー・ヒュームが演じている)やTKBクリクリおじさんこと人喰い男爵や武器将軍などお馴染みの顔も登場。もちろんウォーボーイズたちも登場しますよ!

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あと、前作ではマックスがフェリオサの相棒役でしたが、本作では警護隊長のジャックというキャラクターが彼女の相棒役となります。

ざっくりストーリー紹介

そんな本作のストーリーをザックリ紹介すると、滅亡した世界にあったオアシス「母なる緑の地」から攫われ、愛する母をディメンタスに殺された少女フュリオサが、復讐を誓い「バイカー・ホード」やイモータン・ジョーが統治するシタデルの中で生き抜くというストーリー。

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その過程で、彼女が片腕を失い義手になった経緯や警護隊長としてウォータンクを任される過程が描かれています。

そして、面白いのは本作の悪役ディメンタスが、境遇的にフュリオサと鏡合わせの存在であるということ。彼もまた、愛する娘を失っていて、ゆえに幼いフュリオサをリトルDと呼んで自分の娘と重ねているんですね。

また、イモータンと比べるとディメンタスは明らかに浅慮で小物として描かれていて、相対的にイモータンの方が人としてはクズだけど統治者としては優れているのが分かるという描写も前作の解像度を上げているし、ディメンタスもどこか憎めないんですよね。

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演じるアニャ・テイラー=ジョイとクリス・ヘムズワースの演技も良いし、フュリオサの幼少期を演じたアリーラ・ブラウンもとても良かったです。

メッチャ面白いけれど

そんな本作、前述したようにメッチャ面白いし、いわゆる昨今のビッグバジェット作品の中では平均点を軽くクリアしている名作なのは間違いないんですが、ただ、前作「マッドマックス/怒りのデスロード」があまりにも傑作すぎだし、その前日単ということでハードルが上がり切っての公開ということもあり、その期待を上回るのは正直至難の業。さらに世界観が同じだけにアクションの絵面的にも前作の繰り返しに見えてしまう部分も正直あったんですよね。

あと、前作はアクションとディテールの解像度を上げることで、その向こうにある物語を映像で語っていたんですが、本作はフュリオサの物語を通して前作の、そしてマッドマックスの世界観の解像度を上げる手法を取っているので、前作のテンションで観るとあれ?ってなっちゃうかもしれません。

あと、本作は前作より30分ほど長かったんですが、その分、物語もやや間延びして見えたし、正直やや冗長に感じましたねー。

それだけ、ジョージ・ミラー監督がフュリオサと言うキャラに思い入れがあったということかもですが、個人的にはもう少しエピソードを刈り込んでテンポよく見せてほしかったと思いました。

他のシリーズ作品観なきゃ楽しめない??

ところで、マッドマックスを観たことがない人は、「この作品を楽しむには他のシリーズも観ないとダメ?」と不安に思うかもしれませんが、答えはNO

基本、マッドマックスシリーズはどの作品も一本の映画として完結しているので、他作品を未見の人でも本作だけ見れば十分に楽しめると思います。

officialページより

その上で、もし面白くて他の作品にも興味が湧いたら、ぜひ超・超・超・超・大傑作「マッドマックス/怒りのデスロード」も見てみてください。きっと楽しめると思いますよ!!

興味のある方は是非!!!