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エルトン・ジョンの自伝的ミュージカル映画「ロケットマン」(2019)

ぷらすです。

今回ご紹介するのは、「僕の歌は君の歌」などの名曲で知られるエルトン・ジョンの半生を、まさかのミュージカルで描いた『ロケットマン』ですよー!

個人的にエルトン・ジョンに特別な思い入れがなかったので、公開時はうっかりスルーしちゃいましたが、こうして観たら、エルトン・ジョンが大好きになっちゃいましたよー!

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概要

「Your Song/ユア・ソング(僕の歌は君の歌)」などで知られるミュージシャン、エルトン・ジョンの半生を描いた伝記ドラマ。主演は『キングスマン』シリーズなどのタロン・エジャトン、共演に『リヴァプール、最後の恋』などのジェイミー・ベル、『ジュラシック・ワールド』シリーズなどのブライス・ダラス・ハワードらが名を連ねる。『キック・アス』などのマシュー・ヴォーン監督とエルトン・ジョン自身が製作を務め、『サンシャイン/歌声が響く街』などのデクスター・フレッチャーがメガホンを取った。(シネマトゥデイより引用)

感想

エルトン・ジョンについて

前述したように、僕はエルトン・ジョンって特別な思い入れがなくて、そりゃあ流石に「Your Song/ユア・ソング(僕の歌は君の歌)」くらいは知ってるし好きな曲だけど、他の曲は耳馴染みはあってもタイトルやエルトンが歌ってた事も知らない程度。(まぁ、それを言うなら「クイーン」も似たようなものでしたけど)

なので僕にとってのエルトン・ジョンは、「キングスマン:ゴールデンサークル」に自分役で出演した、ヘンテコな衣装の“ハイテンション面白おじさん”なんですよね。

なので伝記映画が公開されると聞いても「どうせ『ボヘミアン』の二番煎じでしょ」と思ってうっかりスルーしちゃったわけですよ。

ところが今回、実際に観ると、そんなエルトン・ジョンの印象がガラリと変わる良作だったんですよねー。

監督は「ボヘミアン~」のデクスター・フレッチャ

そんな本作でメガホンを取るのは、イギリス人監督のデクスター・フレッチャー。
作品完成前にブッチして逃げたブライアン・シンガーに代わり、「ボヘミアン~」を完成させたことでお馴染みです。

さらに制作には、「キングスマン」のマシュー・ヴォーン、エルトン・ジョン本人も加わり、エルトン役は「キングスマン」の主役エグジーを演じたタロン・エガートンが演じているんですね。
( ゚д゚)ハッ!「~ゴールデンサークル」はこの為の伏線だったのか!

また、「ボヘミアン~」の ラミ・マレックと違って、本作ではタロン・エガートンが曲も歌っています。

まさかのミュージカル

そんな本作、いわゆる有名ミュージシャンの伝記映画かと思いきや、まさかのミュージカル
劇中のシチュエーションに合わせたエルトンのヒット曲を、タロンを始めとしたキャストたちが歌い踊るんですねー。

また、“伝記映画”というより“自伝映画”と言ったほうがしっくりくる内容で、つまり第三者の目から見た「客観的なストーリー」ではなく、エルトン本人の「主観的な視点と回想」で物語が組み立てられているのです。

ストーリーはド派手な衣装を着たエルトンが薄暗い廊下を進むところからスタート。
なるほど、エルトン・ジョンのライブシーンから物語を始めるのか」と思ったら、彼が入ったのはアルコール依存症のグループセラピー私設なんですね。

参加者が円状に置かれた椅子に座って過去を語る、ハリウッド映画でよく見るアレです。

空いた椅子に座って、自身の過去を語り始めるエルトンですが、ここで最初のミュージカルシーンが始まります。

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部屋に、三輪車に乗った幼少期、まだ本名のレジナルド・ケネス・ドワイトだった頃の彼が入ってきたと思ったら、ドアに向かって走り出す。それを追いかけるエルトン。
そして幼少期の彼がドアを開け放つと、そこはエルトンが生まれ育った町で、レジー少年が町の人たちのダンスをバックに「あばずれさんのお帰り」を熱唱。

しかし、そんなご機嫌なレジー少年を叱る母親(ブライス・ダラス・ハワード)の声で、最初のミュージカルシーンは終了するのです。

その後、軍人の父親(スティーヴン・マッキントッシュ)がまったくレジーに興味を示さない事や、母親と不仲であること、母親の浮気が原因で両親が離婚したことなどが 「アイ・ウォント・ラヴ」に乗せたミュージカルシーンで提示されていくんですね。

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一方で天才的なピアノの才能があることが分かったレジーは、11歳で王立音楽院に合格。先生を驚かせます。

成長してから、アメリカのソウルグループのバックバンドになった彼は自分がゲイであることに目覚め、黒人ミュージシャンからのアドバイスもあってエルトン・ジョンの芸名でレコード会社に売り込みに。

しかし、作曲には天才的な才能を発揮するも、歌詞が苦手なエルトン。
そんな彼が出会うのが、長年に渡ってエルトンの歌の作詞を担当するパートナー・バーニー・トーピンジェイミー・ベル)なのです。

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二人はすぐに意気投合、エルトンはバーニーに恋心を抱くも、やんわり断られてからは仕事のパートナーであり“兄弟”として付き合うことに。

で、ここからエルトンの地獄が始まるんですねー。
なんせ、自分をフッた男とずっと一緒で、しかも目の前で女の子とイチャコラするのを、黙って見てなきゃいけないんですからね。

そんな寂しさを埋めるように、彼はマネージャーリチャード・マッデン)と付き合うようになるも、コイツの目当てはミュージシャンとしてのエルトンとお金で、エルトン本人を愛してるわけではないのです。

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大スターになって、豪邸もお金も余る程手に入れるエルトンですが、一番欲しい「」だけは手に入らないんですね。

やがて、酒と薬に溺れ、自殺未遂や心臓発作で入院するなど、心身共にボロボロになっていくエルトンは、彼を心配するバーニーにすら辛く当たるようになり――というのが本作の物語。

こうして字面にするとかなり辛く重たい内容ですが、ミュージカルにすることでエルトンの辛い心情も音楽と歌やダンスで見せてくれるので「あー、もう観てられない!!」とはなりませんでした。

タロン・エガートンの名演

そんなエルトン・ジョンを演じたタロン・エガートンは、エルトンの年齢に合わせて前髪を剃り上げ、薄毛のウィッグを装着したり、(多分)多少の老けメイクや体重の増減もしたり、あとは、マネージャー役のリチャード・マッデンとのキスシーンやベットシーンも体当たりで演じています。

そして「ボヘミアン~」でフレディーを演じたラミ・マレックの場合、歌のシーンはフレディ本人の歌声を加工したものや、そっくりな歌声のシンガーが歌ったナンバーを使ったそうですが、本作では、主演のタロン・エガートン自身がエルトン・ジョンとしてヒットナンバーも歌っているんですね。

舞台演劇などではミュージカルなども経験、歌の上手さは知られていた(らしい)彼ですが、流石にエルトン・ジョンの曲を本人役で歌うとのは相当なプレッシャーだったのだとか。そりゃそうだ。

エルトンとタロン、もちろん声の質などは全然違うし、本作の場合“ミュージカルの歌い方”なんですけど、そんな事は全然気にならないくらいタロンはビックリするくらい歌が上手かったし、声も素晴らしかったですねー。

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そして、一見エキセントリックでぶっ飛んだ人に見えるエルトン・ジョンの、内気で繊細な内面までを見事に演じていました。

エルトンがステージ上でど派手で奇抜で、ある意味滑稽な衣装を身に付けるのは、単なる趣味というワケではなくて、レジーからエルトン・ジョンに変身するためのヒーロースーツであり、彼の中の小さなレジーを守るための鎧でもあったんですねー。

ボヘミアン~」のフレディは、本当の自分になるために、あのハードゲイ的なステージ衣装に変わっていくのと、本作のエルトン(のステージ衣装)は真逆なんですよね。

だから、最初はド派手な衣装姿でセラピー室に入ってきたエルトンは、物語が進むうちにどんどん素の格好に戻っていくわけです。

面白おじさんとか言って、ゴメンよエルトン。

そういう意味では、個人的に「ボヘミアン~」のフレディよりも、本作のエルトンの方が(自分に近い分)より感情移入出来たし、これまでそんなに思い入れのなかった彼の曲も好きになりましたよ。

興味のある方は是非!!

 

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