ぷらすです。
今回ご紹介するのは、今年公開されて話題を呼んだ邦画『駆込み女と駆け出し男』ですよー!
大泉洋、満島ひかり、戸田恵梨香、樹木希林など、実力派豪華キャスト陣のお芝居が『素敵』な作品でした!
画像出典元URL:http://eiga.com/
概要
小説家、劇作家、放送作家として活躍する井上ひさしの小説『東慶寺花だより』を原案とした時代劇。
江戸時代に実在した幕府公認の縁切寺『東慶寺』と離縁を求めて寺に駆け込んでくる女たちの聞き取り調査を行う御用宿を舞台に、居候の中村信次郎が様々なトラブルに巻き込まれながら訳あり女たちの再出発を手助けしていく様子を描く。
監督は、『クライマーズ・ハイ』、『わが母の記』などの原田眞人。
出演は、大泉洋、満島ひかり、戸田恵梨香、樹木希林など。
あらすじ
男からは自由に離縁(離婚)出来るが、女から離縁を申し出ることの出来なかった江戸時代。そんな女たちが離縁するためには幕府公認の縁切寺『東慶寺』で俗世と隔離し2年間、寺の仕事に従事しなければならなかった。
そんな女たちから聞き取り調査を行う御用宿 柏屋に居候する戯作者志望で医者見習いの信次郎(大泉洋)は、柏屋の主人・源兵衛(樹木希林)らと共に、さまざまなトラブルに巻き込まれながらも男女のもめ事を解決に向けて導き、訳あり女たちの人生の再出発を後押ししていくが……。
感想
本作は、公開時からネットでの評判も良かったので気になっていたんですが、うっかり見逃してしまいDVDレンタルを待ってた作品です。
で、レンタルが開始されてたので早速観てみたんですが……。
超面白かったです!
舞台は江戸時代後期。
日本に二つしかなかった幕府公認の縁切寺の一つ、鎌倉の東慶寺と、そこに逃げ込む女たちに聞き取り調査する御用宿、柏屋が舞台。
この当時、夫からの離婚は自由だったんですが、奥さんからの離婚請求は出来なかったんですね。
で、それでも奥さんが離婚したい場合は縁切寺に入山し2年間、寺の仕事をしながら俗世との縁を切らなければならないという決まりがあったそうです。
しかしその前に、御用宿で離婚理由が正当かどうか聞き取り調査が行われ、それで認められてやっと入山が許可されるという、女性に厳しい時代だったんですね。
また当時、老中 水野忠邦の『天保の改革』の下、南町奉行 鳥居 耀蔵らによる取り締まりが強化、庶民は贅沢を禁じられ、芝居や小説なども厳しく取り締まられるように。
本作の主人公で医師見習いで戯作者志望の中村信次郎(大泉洋)は、江戸にいられなくなり叔母である三代目柏屋源兵衛(樹木希林)を頼って御用宿 柏屋に居候します。
そんなある日、日本橋にある唐物問屋の妾、お吟(満島ひかり)と、鉄練職人のじょご(戸田恵梨香)が東慶寺に駆込み、物語はスタートしていくわけです。
キャスティングがイイ! (・∀・)
僕は原作の方は未読なので、本作がどのくらい原作に沿っているのかは分からないんですが、主人公 信次郎は戯作者志望だけあって、あることないこと早口でまくし立て、逃げた女を取り戻そうと柏屋に乗り込んできた輩を口先三寸で追い払う一方、医師見習いとして薬草に詳しい優しい男でもあります。
この信次郎というキャラクターが、まさに大泉洋さん自身のキャラクターにもピッタリハマっていて、とても魅力的でした。
特に、入山した女を取り返そうとやってきたやくざの親分相手に息もつかせぬ講釈で追い払うシーンは、大泉さんの真骨頂、面目躍如といったところ。
数多くのバラエティーや、ドラマ・映画などで大活躍大泉さんですが、もとは北海道の人気劇団ユニット「チームナックス」の一員である舞台出身の俳優さんだけに、こうした演劇的な芝居こそが彼の本質なんでしょうね。
そんな信次郎と時を同じく、東慶寺にやってくる、お吟とじょご。
一癖も二癖もありそうな妖艶な女、お吟を演じるのは実力派女優の満島ひかりさん。
眉なしお歯黒という、女優さんにとっては結構厳しめのメイクなのに美しいんだからビックリです。
満島さんは演じるのが上手いというより、演じるキャラクターになりきってしまうイタコタイプの女優さんという印象があるんですが、本作でもそんな感じで、観ているうちに満島ひかりさんという意識が抜けて、『お吟』を観てる感覚になっていくんですよね。
一方、素直で純真な女じょごを演じる戸田恵梨香さん。
僕は「スペック」の彼女しか知らないんですが、男勝りな気の強さと少女の可愛らしさが同居している じょごのイメージに、ピッタリハマってるように感じました。
そんな3人を脇から支えるのは、樹木希林さん、キムラ緑子さん、山崎努さん、麿 赤兒さん、堤真一さんなど実力派揃い。
特にキムラ緑子さんと大泉さんのセリフの応酬は見ごたえがありますよ!
本作は基本的に会話劇です。
だからこそ、成否の鍵はキャスティングが担う部分が大きかったと思うんですが、そういう意味では本作のキャスティングは大成功だったんじゃないかと思います。
極上のエンターテイメント作品
もう一つ、個人的にとても好ましかったのは、ベタベタのお涙頂戴映画ではなかったことです。
いや、感動する映画がダメって言うんじゃないんですよ?
ただ昨今の邦画の病理に、登場するキャラクターが泣き、叫び、自分の思ってる事を全部口に出し、感動要素のないコメディー、ホラー、アクション映画でも、最後は何か良い事げなセリフを言って泣かせようとする流れというのがあって、へそ曲がりの僕はそれが始まるとなんかもう、うんざりした気持ちになっちゃうんですね。
正直、本作を観る時も期待する一方で、上記のような映画だったら……という不安もあったんです。
が、
確かに感動したし泣ける映画ですが、登場キャラクターにベショベショ泣かせたり叫ばせたりせず、悲しいシーンもさらりと観せて、その分キャラクターたちの心情を役者の抑えた芝居や映像で伝えるというとても上品な演出で、だからより深い感動をもたらす作品になっていました。
また、時代劇といっても剣豪のチャンバラがあるわけでもなく、激しいアクションで観せるわけでもないですが、信次郎が言葉で『輩』を撃退する様子は、アクションやチャンバラに匹敵するカタルシスがある『素晴らしい』エンターテイメントになっていたと思います。
これから年末年始にかけて何か映画でも観たいという人にはオススメの一本でした。
興味のある方は是非!