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今日観た映画の感想

映画館やDVDで観た映画の感想をお届け

「悪魔の手毬歌」(1977) 感想

ぷらすです。

今回ご紹介するのは、前年公開された「犬神家の一族」の大ヒットを受けて制作された金田一耕助シリーズ第2弾『悪魔の手毬歌』ですよー!
本作では、金田一耕助の依頼者で相棒役の磯川警部に若山富三郎を迎えるなど、前作に劣らぬ豪華キャストでしたー!

http://ecx.images-amazon.com/images/I/51-aJWozW7L.jpg
画像出典元URL:http://www.amazon.co.jp/

概要

1976年公開の角川映画犬神家の一族』の大ヒットを受け、前作同様に市川崑監督、石坂浩二主演での金田一耕助シリーズ第2弾。
ただし本作は制作・配給ともに東宝映画になっている。

あらすじ

古い因襲に縛られ、文明社会から隔離された岡山と兵庫の県境、四方を山に囲まれた鬼首村(オニコベムラ)が舞台。
探偵金田一耕助石坂浩二)は、親交のある岡山県警の磯川警部(若山富三郎)の依頼で、そんな鬼首村にやってきていた。

この村では旧家である由良家と、新興ながら武道栽培で名を成した仁礼家が勢力を二分していた。しかし20年前、恩田という詐欺師に騙されたことが原因で由良家は没落し、今は 仁礼家の天下になっていた。

磯川警部の以来はその20年前に起こった殺人事件の再調査。
恩田の詐欺を見抜いた、旅館亀の湯の主人源次郎は止めようとしたが、恩田に殺害され事件は迷宮入りに。
磯川警部は、実は殺されたのは恩田の方だったのではと考え、20年間コツコツと真相を調べていたが行き詰まり、再調査を金田一に依頼したのだ。

金田一が石川警部と調査に乗り出した矢先、とんでもない事件が起こってしまう。
由良家の娘で、亀の湯の息子 歌名雄の恋人だった泰子が、何者かに殺害され、その遺体は村に伝わる手毬唄を模した見立て殺人であった。

 

感想

映画史研究家の春日太一さんの著書「市川崑と『犬神家の一族』」の中で、市川崑版「金田一シリーズ」の完成形と書かれていたので、本作をレンタルしてきました。

金田一役には前作に引き続き石坂浩二、その他に磯川警部役の若山富三郎を始め、岸恵子仁科明子松方弘樹の奥さん)、草笛光子など、前作「犬神家~」に劣らぬ豪華キャスト。また、「よし、分かった!」の加藤武、前作では神官役だった大滝秀治など、お馴染みの面々も出演しています。

入り組んだ人間関係をスッキリ観せる力

まず、驚くのが前作以上に込み入った人間関係や人数を整理し、観客が迷わないようにスッキリ整理された構成でした。

すべての事件は20年前に村にやってきた詐欺師、恩田という男に起因しています。

元々、この村一番の実力者は多々良家という庄屋。
その多々良家の土地や山林を買い叩いて手に入れのし上がったのが、旧家だった由良家。
しかし、その後武道栽培と葡萄酒作りで財を成した仁礼家が頭角を表したのに焦った由良家は恩田の口車に乗せられて、没落してしまいます。

この恩田というのが悪い奴で村人を詐欺にかけただけでなく、当時の庄屋 多々良放庵の家を根城に、由良家と仁礼家に出入りし、別所春江(渡辺美佐子)、由良家の敦子(草笛光子)、現仁礼家当主の妹 司咲枝(白石加代子)と関係を持つというとんでもないヤリチン野郎。
その上、詐欺を見抜き止めようとした亀の湯の主人源次郎を殺して逃亡するという極悪人。

そして20年後、色々あったものの村には平穏が戻り、亀の湯の女将リカ(岸恵子)の息子、歌名男(北公次)と泰子は恋仲に。しかし、仁礼家当主の嘉平は仁礼司咲枝の娘で養女の文子を歌名男と結婚させたいと思ってるわけです。

そして、由良敦子の娘 泰子(高橋洋子)が殺され、文子(永野裕紀子)も殺され、そしてリカの娘 里子(永島暎子)も……。

ね、ややこしいでしょ?
こんな入り組んだ人間関係を、混乱させることなく折り込みながらドラマを作っていくんですから、ほんと驚きです。

若山富三郎がいい!

本作のキャストの中で一番光っていたのは、何といっても磯川警部役の若山富三郎さんです。
それまで、ヤクザや剣客のようなアウトローを演じてきた若山さんですが、本作では人情に溢れ愛嬌のある警部役。
春日太一さんによれば、本作以降、そうした人情実のある役を多くこなしてるそうなので、本作は若山さんにとって転機になった作品なのでしょうね。

そんな、人懐っこい磯川警部ですが、不意に見せる鋭い視線で、実は切れ者であることが分かるようになっています。
「よし、分かった!」と言いながら、調子っぱずれの推理を展開する立花警部役の加藤武さんとは真逆です。

磯川警部は、新人時代の20年前に亀の湯の主人源次郎殺人事件の調査に参加、その時以来、未亡人のリカに恋をしてるんですね。
そんな、不器用な恋心も若山さんは見事に演じています。

金田一の役割も若干変化

前回の「犬神家~」の感想でも書いたんですが、本作でも金田一は基本的に事件を解決しません。
これは、市川崑監督の意向で、金田一は『事件を解決する探偵』ではなくて、『事件の概要を観客に説明するナレーター』と捉えているからです。
とはいえ、本作の場合「犬神家~」と違って、事件の糸口が神戸にあるからなんですね。そのヒントを観客に伝えるためには、金田一が神戸に飛んで過去を探るシーンを描かないわけにはいかず、本作では『事件解明』に挑む金田一を見ることができます。

『オカルト』から『ミステリー』へ

「犬神家~」ではミステリー要素よりも、因習や因縁といったおどろおどろしい要素や、ショッキングでケレン味たっぷりのオカルトチックなシーンが目立ちましたが、それに比べると本作はいささか大人しい印象を受けました。
いや、僕のほうが慣れただけかもしれませんがw
で、その分ミステリー要素の方が前に出てきている印象を受けたんですね。

好みは分かれるかもですが、事件のあらましや犯人の動機付けは、本作の方が腑に落ちるかもしれません。

また、本作は2時間24分と長尺な作品でもあるんですが、少なくとも観てる間はとてもドキドキハラハラしながら見入ってしまいましたよ。

興味のある方は是非!!

 

 

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