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「悪魔を見た」(2011) 感想

ぷらすです。
今回ご紹介するのは、2011年公開された韓国映画『悪魔を見た』です。
今やハリウッドスターとして大活躍のイ・ビョンホンと『オールドボーイ』などの作品で世界的に注目されているチェ・ミンシクが共演してますよー。

http://ecx.images-amazon.com/images/I/71PYokdCYgL._SL1121_.jpg画像出典URL:http://www.amazon.co.jp/

概要

韓国では2010年に公開された復讐をテーマにしたサスペンス映画?
主演はイ・ビョンホンチェ・ミンシク
監督はシュワちゃんの復帰作「ラストスタンド」の監督も務めたキム・ジウン

 

あらすじ

国家情報院捜査官(韓国版CIAみたいな感じ?)キム・スヒョンイ・ビョンホン)の、結婚したばかりの奥さんがバラバラ死体で発見された。
スヒョンは復讐を決意し、犯人の殺人鬼 チャン・ギョンチョル(チェ・ミンシク)に行き着く。
そこから、スヒョンの執拗な復讐が始まる。

 

感想

まさに、ザ・韓国映画という感じで、とにかくゴアシーンに容赦なしという感じです。(残酷すぎるのでR-18指定)

ラストシーンの救いのなさもコリアンノワール(暴力や悪意をメインに添えた韓国映画)以降の韓国映画らしいと言えるんじゃないでしょうか。

ただ、あまりにも派手にやり過ぎて痛さが伝わってこないし、登場人物の背景が見えてこないので犯人のチェ・ミンシク、復讐者のイ・ビョンホンのどちらにも感情移入も出来ません。
観ていて、「ぎゃー痛い痛い!」って思えるイヤン(/ω\)なシーンこそが、コリアンノワール(暴力や悪意をメインに添えた韓国映画)の真骨頂だと思うんですが、本作での暴力描写(というか殺人描写)は、どこかマンガ的にすら感じました。

キャラクターや劇中の設定も、リアリティーが感じられないというか、どこか抽象的な感じだったし。

本作の見所はなんと言っても、ハリウッドスターとしても名を馳せているイ・ビョンホンと、映画「オールドボーイ」などで世界的に知られるチェ・ミンシクという韓国2大スターの共演です。
そういう意味では、本作は成功してるとも言えるんじゃないでしょうか。
二人の熱演があればこそ、本作はギリギリのところで崩壊を免れていると思いました。

 

冒頭、奥さんの乗る車が雪道でパンク。スヒョンに電話をしながらレスキューを待っているところに偶然通りかかるギョンチョル。
ギョンチョルは親切を装いながら奥さんに近づいて襲撃し、隠れ家で無残に殺害、そのバラバラ死体の一部を偶然子供が発見するという一連の嫌な流れは、その後への期待を煽るには十分すぎる出だしですし、チェ・ミンシクの鬼気迫る殺人犯は実に鬼気迫る怖さがあります。
さすがミンシク御大。出だしからアクセル全開。

ところが問題はそのあとで、なんというか、非常にご都合主義でありながら、なんとも飲み込み辛い展開になっていきます。

奥さんのお父さんは、重大犯罪担当の刑事で、その義父さんから数人の容疑者情報をゲットしたスヒョンは、調査する気は更々なく、警官が張り込んでいる家に堂々と侵入しては、とにかく片っ端から容疑者に接触しては拷問、「嫁を殺したのはお前かー」と詰め寄ります。(お父さん、部外者に簡単に情報流し過ぎなんですよねー)

容疑者たちが、別件の殺人鬼だからいいようなものの(いや、良くはないけど)、まったくの無実だったらどうすんだと。あと、警察無能すぎるだろと。

で、スヒョンはあっという間に真犯人ギョンチョルに行き当たり、同時に警察の手が伸びてきたこと知ったギョンチョルがヤケになって、塾生の女の子(ギョンチョルは塾のバスの運転手をしてる)を強姦しようとしているギョンチョルをボコボコに痛めつけ上、石で左手を潰し、後輩に手配させたGPS機能付きカプセル(ついでに盗聴も出来る優れ物)を飲ませて開放します。
キャッチ(痛めつけ)・アンド・リリース(開放)しながら、次のキャッチでよりヒドイ目に合わせて奥さんの苦痛を倍返ししていくという趣向。

ところが、解放される度にギョンチョルは、タクシーの運転手&相乗りした殺人鬼?を殺しタクシーを強奪、田舎の病院に務める看護婦さんを襲い、警官を殺害し、薬局のおじさんを襲って重賞を負わせ……って、

スヒョンのせいで被害者増えてんじゃねーか。

……なんて事はお構いなしで、男が殺されるのは華麗にスルーし、女性(女学生、看護婦さん、ペンションオーナー)は襲われていよいよというところ(おっぱいが出たところ)で、颯爽と登場して助けるスヒョン。いや、もっと手前で助けたれよ。っていうか、被害者の看護婦さんに加害者ギョンチョルの応急手当させるとかお前は鬼か。

病院ではギョンチョルの腱に細い鉄の棒的な何かを突き刺しアキレス腱を切断。看護婦さんに応急手当をさせ、またも開放するスヒョン、増える犠牲者。

 次にギョンチョルが逃げ込んだペンションには、お友達の殺人鬼がいて、そのお友達がペンションオーナーの若い女性を殺そうとしたところで、颯爽とスヒョン登場。

お友達とその彼女? とギョンチョル相手に大立ち回りをするんですが、ギョンチョルは部屋から猟銃を持ち出し、それに対抗するべくスヒョンが見つけたのはなんと撒き菱。……え? 撒き菱?
なんで、女性オーナーのペンションに撒き菱? なに? オーナー忍者の末裔なの?
っていうか、韓国殺人鬼多すぎだろうと。ギョンチョルの前にスヒョンが痛めつけた2人を含めると、計6人の殺人鬼が出てきてるんですけど。

しかもお友達の殺人鬼とギョンスルは、どうやら元テロリスト?らしい。
いやいや、元テロリストで殺人鬼とか、警察は何でそんな奴を野放しにしてるの!?

と、終始こんな感じで疑問点は増え続け、二人の追いかけっこのせいで、どんどん被害者も増え続けます。

復讐が主軸で、その結果関係ない人々が巻き込まれるにも関わらず、止まらない二人の関係は、もしかしたら戦争や紛争のメタファーなのかなーなんて考えてもましたが、……多分違うんだろうなー。

最後も、なんだか飲み込み辛い終わり方で、残ったのはモヤモヤだけ。

観終わった気持ちとしては「知らんがな(´・ω・`)と。
なんかもう、世界が違いすぎてホント誰にも感情移入出来なかったので、完全な「他人事」になってしまうんですよね。

主演の二人の演技は良かっただけに、もうちょっと良い着地があったんじゃないかと、少々残念な気持ちになった映画でした。

僕には合わなかったですが、イ・ビョンホンチェ・ミンシクのファンの人なら楽しめるのかな?
興味のある方は是非。(本作はR-18です