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きっとプロレスファン以外にも響く普遍的な物語「ジェイク・ザ・スネークの復活」(2015/日本未公開)

ぷらすです。

今回ご紹介するのは、80年代を代表するプロレスラー・ジェイク・ザ・スネーク・ロバーツのその後を追った2015年のドキュメント映画『ジェイク・ザ・スネークの復活』ですよー!

今回、アマプラのおすすめ映画に入っていたのを見つけて、早速観てみました!

 

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概要

ジェイク・ザ・スネーク・ロバーツは80年代アメリカを代表するプロレスラーの一人であったが、人気の低迷、身体へのダメージと老い、アルコール・薬物中毒・鬱など深刻な問題をいくつも抱え自暴自棄な生活を送っていた。
そんな彼に救いの手を差し伸べたのは、かつて彼の後輩プロレスラーだったDDP(ダイヤモンド・ダラス・ペイジ)。
本作はDDPの助けを得てリハビリに挑むジェイク・ロバーツを追うドキュメンタリーである。監督はスティーブ・ユー。

感想

プロレスドキュメンタリーの傑作「ビヨンド・ザ・マット」の後日譚

1999年(日本では2001年)に公開されたドキュメンタリー映画ビヨンド・ザ・マット」は世界中のプロレスファンのみならず、プロレスファン以外からも高い評価を受けたドキュメンタリー映画の金字塔的な作品で、この作品にインスパイアされたダーレン・アロノフスキー監督が映画「レスラー」を制作したのは有名な話。

「ビヨンド~」では、かつてアメリカを席捲したスーパースターレスラー3人を追う構成になっていて、

・過激すぎるファイトスタイルから体を壊したのをキッカケに、家族との平穏な暮らしを選び引退したミック・フォーリー

・プロレスラーとして脚光を浴びる興奮が忘れられず、引退と復帰を繰り返すテリー・ファンク

そして、かつては何万人もの前で試合をし、1980年代に一世を風靡した大スターだったが、麻薬と酒に溺れ今やドサ回りのロートルレスラーとして極小団体で日銭を稼ぐジェイク・ロバーツ。

映画「レスラー」でミッキー・ロークが演じたランディ・ザ・ラム・ロビンソンはほぼジェイクがモデルだと言われていて、疎遠になった娘との関係を修復しようとするエピソードも(ビヨンド~の)ジェイクと重なるんですよね。

「ビヨンド~」では、娘と再会したその夜、麻薬を摂取したところで彼のエピソードは終わっていますが、それから16年後。

落ちぶれたジェイクは、あるインディーズ団体に泥酔状態で出場するものの試合にならなかったことで、どこからも声がかからなくなり実質引退状態。

重度のアルコール中毒、長年のプロレス生活でのダメージと運動不足で体はボロボロ。更にはうつ状態となり独りぼっちで死を願う毎日を送っています。

そんなジェイクに救いの手を伸ばしたのが、かつて無名時代にジェイクにフックアップしてもらった事に恩義を感じている後輩で、共に行動しながらプロレスラーの心構えを教わったというDDPことダイヤモンド・ダラス・ペイジ。

彼は引退後、エクササイズだかヨガだかで成功しているらしく、共同生活をしながら禁酒と健康を取り戻すことをジェイクに提案。

自堕落な生活を変え、更生したいと願っていたジェイクはDDPの提案を受け入れ、リハビリを始めるのだが――という内容なんですね。

プロレスファン以外にも届く普遍的な物語

僕は子供の頃からプロレスが好きで一時期はアメリカンプロレスも観ていたんですが、本作の主役ジェイク・ロバーツに関しては名前くらいは知っているけれど――程度で、あまり思い入れはないんですよね。

かつてプロレスラーとして大きな名声を得たにも関わらず、今や落ちぶれてどん底の生活を送っていて子供や孫とも絶縁状態。
運動不と酒と老いでブヨブヨに太った体は大スターだった頃の影はなく、DDPの元でリハビリを続けて少し良くなってきたかと思ったら酒を飲んで振り出しに戻り、精神が不安定でちょっとしたことで怒ったりメソメソ泣き始めたり。

まぁ、見る人によってはゴラー!!―(o゚Д゚)=◯)`3゜)∵ってなること請け合いのダメ人間っぷりなんですが、その根底には頑張っても父親に認められなかったという過去が呪いとなってジェイクを支配し続けているのです。

なので、「酒を飲んだのか!」とDDPに詰められて「(本当は沢山飲んでるのに)2杯しか飲んでない!」と嘘をついたり、その後で「(ダメだと)分かってるのに止められないんだ」とメソメソ泣いたりしながらも、見捨てないでいてくれるDDPの恩に報いるため、リハビリに励んで体調と精神を徐々に回復させていくことで絶縁状態だった子供たちや孫との関係を回復させていく様子や、何度も裏切られながらも「憎むべきは(ジェイクじゃなく)中毒なんだ」と涙ながらに話すスタッフ、そして、その先にある感動のラストシーンはもうね、嗚咽ですよ!

これは、プロレスファン以外にも響く普遍的な人間ドラマだと思うし、最初はジェイクのダメっぷりにイライラしても最後まで観ればジェイクやDDP、仲間たちが大好きになるんじゃないかと思います。

それに人や物事を計る物差しが「正しさ」だけになって、何でもかんでも「自己責任」で切り捨てられちゃう世知辛い今の時代だからこそ、この作品にはジェイク・ロバーツ個人のドラマ以上に大きな価値があるのではないかとも思いました。

興味のある方は是非!!

 

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