今日観た映画の感想

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13日の君の名は。「ザ・スイッチ」(2021)

ぷらすです。

先日、久しぶりに映画館で『ザ・スイッチ』を観てきました。
あの「ハッピー・デス・デイ」と「~2U」を手掛けたクリストファー・ランドン監督最新作と聞いて、期待に胸を躍らせて劇場に行きましたよ!

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画像出展元URL:http://eiga.com

概要

気弱な女子高生とシリアルキラーの体が入れ替わってしまうホラー。24時間以内に入れ替わりを解かなければ永遠に中年殺人鬼の姿で生きることになる女子高生が、自分の体を取り戻すべく奔走する。『名探偵ピカチュウ』などのキャスリン・ニュートンと『ドッジボール』などのヴィンス・ヴォーン一人二役に挑み、『セラとチーム・スペード』などのセレスト・オコナーらが出演。『ゲット・アウト』などを手掛けてきたジェイソン・ブラムが製作、『ハッピー・デス・デイ』シリーズなどのクリストファー・ランドンが監督を務めた。(シネマトゥディより引用)

感想

「中年殺人鬼⇔冴えない女子高生」のスラッシャーコメディー

これは別にネタバレでも何でもないので最初に書きますが、本作の内容を一言で言うと、中年の殺人鬼と気弱で冴えない女子高生の入れ替わりモノです。

登場人物AとBの肉体と精神が入れ替わる「入れ替わりモノ」はSF、ファンタジー、ハートウォーミング、サスペンス、スリラーなど国やジャンル、内容を問わず数多くの作品が作られている、もはや物語の王道ジャンルの一つ。

日本でも大林宜彦監督の「転校生」や記録的大ヒットとなった劇場アニメ「君の名は。」、最近だと綾瀬はるか高橋一生W主演のドラマ「天国と地獄 〜サイコな2人〜」など小説、マンガ、アニメ、実写作品などメディアを問わず数多くの作品がありますよね。

そんな「入れ替わりモノ」最新作である本作。殺人鬼と女子高生の入れ替わりということで「天国と地獄~」を連想する人も多いかもですが、こっちの殺人鬼は高橋一生のような優男ではなく、身長196㎝の大男で「デンジャラス・プリズン -牢獄の処刑人-」や「ブルータル・ジャスティ」など、バイオレンス界の新星 S・クレイグ・ザラー監督作品でも常連の強面俳優ヴィンス・ヴォーン

そんな彼がお面を被って残虐の限りを尽くすアバンタイトルは、ほぼ「13日の金曜日」のジェイソンですよ。

そんなヴィンス・ヴォーンと入れ替わる気弱な女子高生ミリーを演じるのは「スリー・ビルボード」での フランシス・マクドーマンドの娘役や、「名探偵ピカチュウ」でCNMの新人記者ルーシー役を演じたキャスリン・ニュートン

そんな正反対の二人が入れ替わるコメディー映画ながら、スラッシャーホラーの残酷シーンもしっかり見せるのが「ハッピー~」との違いで、R-15指定も納得の切り株描写満載なので「ハッピー~」の残酷描写がぬるいと不満だった人も満足出来るんじゃないでしょうか。

逆に、残酷描写は苦手という人に本作はちょっと厳しいかもですが、(アバンシーンを除けば)殺されるのは、冒頭で殺されるクラスメイトをネタにSNSで「いいね」を貰おうとするようなクズい女子や、人気者のイケメンなのを鼻にかけてミリーをからかう男子、自分に逆らえないのをいいことにミリーにハラスメントする教師に、ブッチャーと入れ替わってイケてる女になったミリーを集団レイプしようとするジョックス(体育会系)の奴らなどなど、殺されるべくして殺されるヤツらばかりなので、基本心が痛むことないし、殺し方もいちいち創意工夫に溢れているので飽きることなく観られるようになってるんですねー。

オッサンのキスシーンに萌える

もう一方の見どころはヴィンス・ヴォーンとキャスリン・ニュートンが演じる入れ替わりの演技。

まぁ、ヴィンス・ヴォーンはリメイク版「サイコ」でノーマン・ベイツ、2013年のコメディー映画「インターンシップ」の主役、女子プロレスラーの半生を描いた「ファイティング・ファミリー」のコーチ役など、スリラーからコメディー、人間ドラマなど幅広い役柄を演じる芸達者な役者ですからね。
見た目オッサンの女子高生もコミカルかつ非常に魅力的に演じていましたねー。

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画像出展元URL:http://eiga.com / 左から、入れ替わる前のミリー、ナイラ、ジョシュの仲良し三人組

入れ替わった事に気づいたミリーは、学校に忍び込んで親友のナイラセレステ・オコナー)とジョシュ(ミシャ・オシェロヴィッチ)に助けを求めるも、なんたって見た目は殺人鬼ブッチャーですからね。
中身がミリーだとは中々信じてもらえなかったり、警官のお姉ちゃんに追いかけられて母親が務めるしまむら的な服屋に飛び込み、偶然が重なって更衣室のカーテン越しに母親と心を通わせたり。

そして、片思いの男子ブッカー(ユリア・シェルトン)に正体を明かし、元に戻るための協力を頼む流れのなかで2人が両思いだったのが分かってのミリー(外見はブッチャー)とブッカーのキスシーンでは、(もちろん面白コメディーとして描かれているんだけど)あまりに芝居が自然なので、だんだんヴィンス・ヴォーンが可愛く見えてくるっていうw

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画像出展元URL:http://eiga.com / ブッチャー姿のミリーとミリーが恋する男子ブッカー。

その一方で、ミリーの体に入ってしまったブッチャー。
見た目のインパクトも含めついヴィンス・ヴォーンに目が行ってしまいますが、キャスリン・ニュートンの芝居も何気に上手だしとても自然なんですよねー。

目が覚めてミリーの体と入れ替わった事にブッチャーが気づくシーンでは「あ、やっぱおっぱい揉んで確かめるんだ」って思いましたよw(この件「君の名は。」の感想でも書いたな)

ちなみに本作の原題は「Freaky」で、クリストファー・ランドン監督はインタビューで「『フリーキー・フライデー』に触発されたオリジナル作品を作る」と述べたそうです。

「フリーキー・フライデー」は中学生のジョディ・フォスターが母親と入れ替わるというアメリカでは有名なテレビ映画で、2003年に「フォーチュン・クッキー」として劇場映画にリメイクされたんですよね。

OPタイトル、13日の金曜日風フォントで「Freaky」の文字がどーんと映し出されたあと、「Friday(金曜日)」の文字が画面に大写しになるのは、インスパイア元の「フリーキー・フライデー」のタイトルとパロディー元の「13日の金曜日」に掛けたダブルミーニングになっているんですね。

何てことないシーンの中に

あと、僕が個人的に関心したのは、ブッチャーの体になってしまったミリーが、劇中のドタバタのなかで自分が凄い力持ちになっている(大男ですからね)事に気づくシーンがあって、逆にミリーの体を手に入れたブッチャーがいつも通り相手を惨殺しようとするんだけど、非力な女子高生なので危うく獲物に返り討ちにされそうになって戸惑うっていうシーン。

それ自体は別に何てこともない短いシーンなんですが、実はこのシーンで描かれているのは本作の重要なテーマで、自分をいじめていた男子がブッチャー姿の自分に怯えるのを見て、ミリーは力を持つ事の自由さに気づくのです。

元々内気なミリーは、父親の死でより内にこもる正確になり、本当は都会の大学に行きたいけれど、夫を亡くしたショックでアルコールに溺れ自分に依存している母親を気遣って言い出せずにいるし、自分をいじめたり利用しようとするイケてるグループの女子や男子にも抵抗出来ずにいる。

つまり、本作においてミリーは弱者(性別や人種セクシャリティー的マイノリティー)の象徴として、逆にブッチャーは暴力的強者(マジョリティー)や前時代的マッチョイムズの象徴として描かれているんですよね。

なので、ラストのある展開はスラッシャーホラーとしてはお約束だけれど、本作のテーマに対して監督からの回答の暗喩にもなっていて、それゆえに超スッキリするのです!

「ハッピー~」とは別物

そんな感じで、本作は「ハッピー~」2作同様に隙のない脚本で非常に面白く出来ているんですが、それでも「ハッピー~」的な面白さを求めて観ると肩透かしを食らってしまうかもしれません。

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画像出展元URL:http://eiga.com 

「ハッピー~」2作はどちらかというとSF的で、主人公ツリーが誕生日をループし続ける理由も2作を通して明確に明かされるし、その謎解き自体が物語をけん引する魅力でもあるんですが、本作でブッチャーとミリーが入れ替わる理由は、冒頭でブッチャーがたまたま手に入れたナイフ(実はインカ帝国?の儀式に使う呪具)の効果で、24時間以内に同じナイフでブッチャー(ミリーの体)を刺さないと2度と元の体には戻れないっていう物語の始まりとオチをつけるのためのスイッチ以上の役割はないんですね。

なので「ハッピー~」ほど理に落ちた感じにはならないし、物語的にもランドン監督の手口(作劇)にコッチが慣れてしまった部分もあって、「ハッピー~」の時ほどの驚きもない分、幾分ストーリーが淡白に感じてしまうかもしれません。

とはいえ、今やホラー映画業界では飛ぶ鳥を落とす勢いのブラムハウス制作で、「ハッピー・デス・デイ」と「~2U」を手掛けたクリストファー・ランドンの監督ですからね。観て損はしない面白い作品なのは間違いないですけどね。

興味のある方は是非!!!

 

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