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時代に逆行する男子校映画!「ブルータル・ジャスティス」(2020)

ぷらすです。

今回ご紹介するのはAmazonvideoでレンタルして観た『ブルータル・ジャスティ』ですよー!
劇場長編デビュー作の「トマホーク ガンマンvs食人族」で映画ファンの度肝を抜いた、“暴力の伝道師“こと、みんな大好きS・クレイグ・ザラー監督の最新作です!!

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画像出展元URL:http://eiga.com

概要

ブラッド・ファーザー』などのメル・ギブソン主演の刑事アクション。闇取引の金を奪う計画を立てた刑事コンビが、思いも寄らない事態に陥っていく。『人生、サイコー!』などのヴィンス・ヴォーン、『ハリエット』などのトリー・キトルズ、『マッド・ウォーリアーズ 頂上決戦』などのマイケル・ジェイ・ホワイトのほか、ジェニファー・カーペンターウド・キアトーマス・クレッチマンドン・ジョンソンらが出演する。(シネマトゥディより引用)

感想

時代に逆行する超硬派男子校映画!!

S・クレイグ・ザラー監督と言えば本作の前に「トマホーク ガンマンvs食人族」と「デンジャラス・プリズン -牢獄の処刑人-」を監督していますが、この2本は日本では劇場公開されてなくてビデオスルー。
しかし本作は、主演が日本でも知られているメル・ギブソンだからか、公開館数は少ないながら3本目にしてついに劇場公開されたんですねー。

その作風は非常に前時代的というか時代に逆行してるというか。
1作目の「トマホーク~」2作目の「デンジャラス・プリズン」共に、70年代のグラインドハウスを意識した過剰な暴力とブロマンス満載の僕らのようなボンクラ映画ファンしか喜ばないであろう超硬派な、いわゆる「男子高映画」ばかりを専門に撮っている監督なんですねー。

多分、自身も相当なボンクラ映画マニアだと思うし、だからこそ、ボンクラ映画ファンが信頼する”分かってる監督“でもあるのです。

日本で言えば、孤狼の血」の白石 和彌監督に近いかもしれません。

ざっくりストーリー紹介

そんな本作のストーリーをざっくり一言で言うなら「金に困った貧乏刑事が悪党から金を横取りしようとする」という物語。

メルギブ演じるリッジマンと相棒のトニーヴィンス・ヴォーン)は、強引な犯人逮捕により6週間の(無給料)停職処分になってしまいます。

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しかし、リッジマンの奥さんは多動性硬化症という難病を患っていて、貧しい黒人が多い地区に住んでいるため白人である娘は黒人少年に嫌がらせを受けている。
なので、リッジマンは奥さんの治療費と引っ越しのための金が必要なんですね。

そこで彼は、昔馴染みの情報屋の伝手でボーゲルマントーマス・クレッチマン)のヘロインの取引情報を入手。その金を横取りしようとトニーと共にボーゲルマンの動向を見張るのだが――っていう内容です。

こうしてあらすじだけ見れば、物語は超シンプルだし「せいぜい90分くらいのアクション映画だろ?」って思うでしょ?

ところがこの作品、なんと約2時間40分もあるんですよねー。

長尺だからこそ分かる“暴力”の怖さ

なぜそんな事になるかと言えば、主人公リッジマンと相棒トニーのメインエピソードの他に、家族を養うため金の必要な出所したばかりの黒人青年ヘンリー(トリー・キトルズ)のエピソードや、出産後、心が不安定になり「仕事に行きたくないのよー」とごねるも旦那に説得されていやいや出勤する銀行員ケリージェニファー・カーペンター)のエピソード、そしてボーゲルマンの部下の覆面男ブラック・グローブ&グレー・グローブの残虐非道な行いの数々を結構な尺を取ってじっくりじっくり描くので、ある意味で群像劇?っぽいというか。

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また、クライマックスのチェイスシーンや、リッジマンたちとボーゲルマンたちの銃撃戦よりも、リッジマンとトニーが張り込みしてるシーンの方をわざわざ長尺で延々見せたり。
トニーが車中で食事してるシーンを長々見せてから、リッジマンが「84分も飯食ってる音と匂いに悩まされた」「アリでももっと早く食う」と文句を言うシーンなんかは、もう少し短くできるだろっていうw

ぶっちゃけそういう“余分“なシーンを削れば90分にだって収まりそうなのに、映画会社のお偉いさんに言われてもザラー監督は固くなにシーンをカットしなかったそうんですよね。

それはつまり、ザラー監督にとって本作に余分なシーンなど1つもなくて、ゆえに2時間40分の上映時間も全てが必然というわけなのです。

まぁ、その無駄に思える時間の長さとヘンテコなシーンの切り取り方こそがザラー監督のオリジナリティーを担保してるとも言えるし、評価の分かれるところでもあるわけですけどね。

その辺は何と言うか、ちょっと初期のタランティーノに近い部分でもあるし、ザラー作品を評する人の多くが枕詞みたいにタランティーノの名前を出すんですが、こと「暴力映画」という括りで見ればタランティーノとザラー監督は全く違っていて、ザラー監督の資質はどちらかと言えば、 ニコラス・ウィンディング・レフン北野武作品に近いと思うんですよね。

笑っちゃうくらい過剰なのに決して暴力を茶化してないというか、暴力の本質に迫る姿勢みたいな部分が。

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で、そんな暴力の怖さや緊張感を担保しているのが前述した、無駄に長い「キャラクターたちの日常」というわけです。
生活や性格を見せられることで自然とキャラクターに感情移入してしまうし、そんな彼ら(彼女ら)が唐突に理不尽で過剰な暴力の餌食になるから、観ているこっちはショックを受けるし、暴力本来の怖さを思い知るわけですね。

それを悪趣味と取る人もいるだろうけど、個人的にはザラー監督は暴力を描くことに対してとても誠実な監督だと思いましたねー。

そんな”暴力の伝道師“S・クレイグ・ザラー監督が、「パッション」や「アポカリプト」など元祖暴力の伝道師のメルギブを主役に迎えて作り上げた映画ですからね。そんなん面白いに決まってるじゃないですか!

ただし、その面白さは万人には勧められる面白さとは種類が違うんですよねw

興味のある方は是非!!!

 

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