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めっちゃお金をかけたトロマ映画!「ザ・スーサイド・スクワッド “極”悪党、集結」(2021)

ぷらすです!!
今日、劇場で観てきましたよ!

ジェームズ・ガン監督の『ザ・スーサイド・スクワッド “極”悪党、集結』をね!!

いやいやもうね、かなり控えめに言って――

最☆高!!でしたーーー!!(」*゚∀゚)」ウェーイ!

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画像出展元URL:http://eiga.com

概要

DCコミックスの悪役たちを集めて結成された「ザ・スーサイド・スクワッド」が、巨大な敵に立ち向かう姿を描くアクション。圧倒的に不利な条件の下、減刑と引き換えに悪役たちが激しいバトルを繰り広げる。監督と脚本を手掛けるのは『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』シリーズなどのジェームズ・ガン。『ハーレイ・クインの華麗なる覚醒 Birds of Prey』などのマーゴット・ロビー、『パシフィック・リム』などのイドリス・エルバ、『ロボコップ』などのジョエル・キナマンらが出演する。(シネマトゥディより引用)

感想

スーサイド・スクワッド」って何なのさ

タイトルにもなっている”スーサイド・スクワッド“は日本語に直訳と「自殺部隊」になります。
第2次世界大戦中のロシアやドイツ軍では、軍規を犯した犯罪者に戦死確実の超過酷な任務をさせたという史実があったそうで、(恐らく)それをヒントに戦後ハリウッドでは、ならず者たちの使い捨て部隊が自殺同然の困難な任務をやり遂げるという戦争娯楽映画が数多く作られたんですね。
日本映画で言えば「兵隊ヤクザ」なんかもこの流れなのかな?

で、それらの映画にヒントを得てDCコミックは、政府が刑務所に収監されているDCヴィランたちで組織した使い捨て部隊、「タスクフォースX」が様々な裏の任務をさせられるというコミックを1959年から刊行、1987年にはバージョンアップされた第2弾が刊行され、シリーズは現在も続いているんですね。

そして、MCUの成功に倣い、デヴィッド・エアー監督版の「スーサイド・スクワッド」が2016年、DCヒーローを一つの世界に集結させる映画シリーズ「DCエクステンデッド・ユニバース」(DCEU)の3作品目として、公開されます。

この作品、予告編の異常な出来の良さから、観客の期待値はMAX状態だったんですが、いざ蓋を開けてみたら「あれ……?何か、思ってたのと違う……」ってなりましてね。
興行成績は結構良かったハズだし、この映画でマーゴット・ロビー演じるハーレイ・クインというキャラクターが跳ねたわけですが、作品の評価としては(僕の知る限り)かなり低かったように思います。

一方、マーベルコミックの実写映画シリーズ「マーベル・シネマティック・ユニバース」(MCU)で2014年に公開された「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」(GotG)は、監督も登場キャラクターもまったくの無名ながら、公開されるやファンのハートを鷲掴み、MCU作品――というより、その年のジャンル映画――いや、洋画ナンバー1ヒットを叩き出したんですね。

そのGotGでメガホンを取ったのが、当時はまだ知る人ぞ知るインディー監督だったジェームズ・ガン

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画像出展元URL:http://eiga.com / 新生”スースク”のメンバーたち。ハーレイクインとリック・フラッグ大佐は前作から続投。

そんな彼のキャリアのスタートは「悪魔の毒々モンスター」シリーズなど、グロ・悪趣味・エロ・不謹慎など、インパクト重視のバカバカしい低予算映画、いわゆる「Z級映画」専門のインディー映画制作会社トロマ・エンターティメント
そこで彼は2本の作品を制作、2002年公開の「スクービー・ドゥー」や2004年公開「ドーン・オブ・ザ・デッド」では脚本を担当し、脚本家、映画監督として名前を上げていき、そしてMCUに大抜擢されGtoGの大ヒットで一躍名を知られる存在になるのです。

そして続編「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシーVOL.2」も大ヒットし、まさに飛ぶ鳥を落とす勢いのガンでしたが、好事魔多し

リベラル派のガンはTwitterでトランプ批判を行いますが、これに腹を立てたトランプ派の男がガンのツイートを漁り、ガンが過去に呟いた不謹慎ギャグを掘り起こして晒したんですね。(なんか、どっかで聞いたような話)

ちなみにその件のツイートに関してガンは、GtoGの監督をする前に謝罪しているんですが、それを知らなかった人も多く、結構な騒ぎになったらしい。
で、マーベルの親会社でもあるディズニーはガンとの契約を解除となり、ガンの監督生命もGtoG3も消滅の危機に立たされるわけです。

そんな傷心のガンに声をかけたのがDCで、ガンは手始めに「ブライトバーン/恐怖の拡散者 」という、もしも子供時代のスーパーマンが反抗期を迎えたらヤバイっていうホラー作品を制作。
そして、「スーサイド・スクワッド」の続編(というか事実上のリブート)である本作の監督に抜擢され、コロナ禍での延期を含みながらも日本では2021年8月13日、めでたく公開に至ったわけですねー。

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画像出展元URL:http://eiga.com / 向かって左から、 ポルカドットマン、ピースメイカー、ブラッドスポート、ラットキャッチャー2。

ちなみに、ファンやGtoGキャスト・スタッフらの嘆願と(多分)金の卵をDCに引き抜かれた焦りから、ディズニーは慌ててガンを呼び戻し、GtoG3もめでたく製作される運びになり、彼はDCEUとMCUを股にかけて作品を製作する稀有な監督となったわけです。

その辺はガン監督の人望と実力あればこそだと思いますし、個人的に件のトランプ派の男を一生許す気はありませんが、結果として彼のおかげでマーベル・DC両社でガン監督作品が観られることになったのは行幸というほかなく、まぁ結果オーライなのかなとw

めっちゃお金をかけたトロマ映画=これがザ・スーサイド・スクワッド!!

というわけで、新生スーサイド・スクワッドを観てきたわけですが、感想を一言で言うならめっちゃお金をかけたトロマ映画でしたw

お行儀のいいディズニー傘下のマーベルでは絶対不可能であろう超露悪的な切り株ゴア描写満載、もろもろ不謹慎な描写も満載、お下品&超くだらないギャグも満載。

これぞトロマ魂!っていうか本来ジェームズ・ガンはこっち側の人だった!と思い出させてくれる超楽しい一作だったし、スースクのキャラクターって基本、ジョーカーやペンギンなどの人気ヴィランとは違い、DCヴィランの中でも二流三流の使い捨てヴィランばかりで、そのへんが本作での”トロマ感”ともピッタリハマっていたんですよね。

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画像出展元URL:http://eiga.com / カイジュウも登場!?

それでも観ていて不快にならないのは、作品の根底に弱者やはぐれ者たちに対して徹底的に寄りそう、ガン監督の姿勢…というか視線?あればこそ。

その姿勢は、インディー時代の「スリザー 」 (2006) や「スーパー!」(2010)から一貫しているし、その一方で「正義(ジャスティス)」もしくは「正義の味方(ヒーロー)」に対してガンは、常に懐疑的な視線も投げかけているんですよね。正義そのものというよりは力(権力)の傲慢さや暴走なのかな。

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画像出展元URL:http://eiga.com / ハーレイ・クインは今回も最高!

ジェームズ・ガン作品では常にこの2つの視線が混在していて、それが彼の作家性にも繋がってるし本作もまさにそういう物語で、ネタバレになっちゃうので詳しくは書けませんが、本作の悪役はそのままアメリカという国のメタファーになってるし、だからアレも星の形になってるのかなーなんて勘ぐったりしました。
そういう意味で本作は非常に政治的メッセージを含んだ物語で、極めて露悪的なグロ描写は本作のテーマを絵的に表現しているとも言えますが、逆にそのメッセージ性を盾にエログロやりたい放題している面もあって、その辺は表裏一体なのかなとw

また、ガンは元々脚本家ということもあって、ストーリー構成が見事なんですよね。
本作も132分と昨今のビックバジェット作品としては短めですが、その枠の中にストーリーに必要な情報、テーマ性、笑いやアクションなどなどエンターテイメントに重要なものは全部キッチリと収めているのが実に見事です。

さらにワードセンスも抜群で、例えば、敵地潜入の休憩中、眠ってしまったラットキャッチャー2ことクレオ・カゾ (ダニエラ・メルシオール)を、お腹を空かせたキング・シャーク(シルベスタ・スタローン)が頭から丸かじりしようとするシーン。

そこはブラッドスポートイドリス・エルバ)が間一髪止めるんですが、その後クレオが「友達も食べるの?」と聞くと、キング・シャークは「友達はいない」って答える。

その短いやりとりと周りの表情を映すことで、キング・シャークのこれまでの人生だけでなく、彼ら(スースクメンバー)が同じ孤独を抱えている事が分かるわけですねー。

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画像出展元URL:http://eiga.com / 嘘みたいだろ…こいつ、スタローンなんだぜ…

ぶっ飛んだ展開やバカバカしい笑いの合間に、こういうちょっとしたワードやシーンを積み重なることでキャラが立ち、だからクライマックスのあるシーンでは観てるこっちも、爆笑しつつも思わずグッときてしまう。

まさにジェームズ・ガンの真骨頂と言った感じだったし、これがスースクだろ!って思いましたよ。

もちろん劇中挿入される楽曲選びや、ポップでカラフルでちょっとレトロフューチャーな色使いも最高でした。

興味のある方はぜひ!!!

 

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