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今日観た映画の感想

映画館やDVDで観た映画の感想をお届け

「心が叫びたがってるんだ。」(2015) 感想

ぷらすです。

今回ご紹介するのは、全国の大人たちを号泣の渦に巻き込んだ名作アニメ『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』のスタッフが、昨年挑んだ劇場アニメ『心が叫びたがってるんだ。』ですよー!

かくゆう僕も『あの花~』には嗚咽を漏らすほど号泣させられたクチなので、期待に胸を膨らませながらレンタルしてきましたー!

http://image.eiga.k-img.com/images/movie/81471/poster2.jpg?1436755051
画像出典元URL:http://eiga.com/

概要

今や押しも押されぬアニメスタジオをとなったA-1 Picturesが、昨年公開した劇場アニメ作品。自分のおしゃべりが原因でトラウマを抱えることになった少女を主人公にした青春群像劇。

監督に長井 龍雪、脚本に岡田 麿里、キャラクターデザイン・総作画監督に田中 将賀という「あの花」を制作したアニメ制作チーム「超平和バスターズ」再集結ということで、公開前から話題を呼んだ。

 

あらすじ

成瀬順(水瀬いのり)は、幼い頃に憧れていた山の上のお城(実はラブホテル)から、父親と浮気相手の女性が車で出てくるところを目撃し、それを「王子様とお姫様」の話として母親に話したことにより両親が離婚。自分のおしゃべりのせいで家庭を壊してしまったと思い込んだ彼女は、それ以来、言葉を話すと腹痛に見舞われるという『呪い』を受ける。

時は流れ、高校2年生になった順は、すっかり無口になっていたものの、ある日担任からクラスメイトの坂上拓実(内山 昂輝)・仁藤菜月(雨宮 天)・田崎大樹(細谷 佳正)とともに「地域ふれあい交流会」実行委員に指名され、彼らとの行動を通して、少しづつ成長していくが……。

 

感想

フジテレビ深夜アニメ枠 ノイタミナで2011年4月~6月に放映された「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。」は、日本中の大人を号泣させた名作アニメです。
かくいう僕も、最終回には嗚咽を漏らすほど号泣したわけで、そんなスタッフが再集結して作りさす劇場版オリジナルアニメということで、かなり期待に胸を膨らませながら本作を観ましたよー。

ただ、観終わったあとの感想としては、正直……うーん…。微妙? でしたー。

圧倒的な時間不足

本作は、おしゃべりだった女の子 順が、自分のおしゃべりが原因で両親が離婚。
そのトラウマから、言葉を話すと腹痛に見舞われる『呪い』に掛かるというスタート。
そして、その呪いをかけるのは『王子』様ならぬ『玉子』様なわけです。

それで、すっかり無口になってしまった彼女は、高校でも誰とも喋らずにいたんですが、担任から、この高校恒例の「地域ふれあい交流会」というイベントの実行委員に指名されるところから少しずつ変わっていくという物語。

これ、正直2時間で収めるにはかなり無理がある設定ではあるんですよね。
玉子というモチーフと、言葉と心というテーマ、ミュージカルという物語のアイデアが先にあって、これらを2時間っていう時間の中でギュウギュウ詰めにしちゃっている感じ。
さらに、スタッフが描きたいであろうテーマが先走ってしまい、全体的に空回りしている感じを受けてしまいました。

もしこれが12~13話1クールのテレビアニメーションであれば、キャラクターの心情をじっくり描くことで、少々無理のある設定も飲み込んで消化できる時間の余裕もあったと思うんですが、2時間ではキャラクターに感情移入する前に、観客置いてきぼりで物語だけが進んでいってしまった感は否めないし、順のクライマックスでの行動もただの勝手な子に映っちゃうんじゃないかなー?

構成上の不備

この物語の肝は、言葉にトラウマを抱えて話すことが出来ない順が、仲間とのふれあいで自分で作った殻を破っていくという部分(だから玉子がモチーフになってるんですよね?)だと思うんですね。
つまり、順が心に溜まった言葉を吐き出すことが物語上のカタルシスになるはずなんですが、かなり序盤から(つっかえながらも)話すシーンが割と頻繁に登場するんですよね。これは完全に構成上の不備で、ゆえにクライマックスで彼女が心情を文字通り吐き出すシーンでのカタルシスが弱くなっちゃってるんですよ。
話すと腹痛に見舞われるという設定を伝えるために、順が序盤で話すのは仕方ないとしても、その辺の塩梅はもうちょっと気を使った方が良かったんじゃないかなーって思いました。

ミュージカル設定いらなくね?

で、本作を牽引する、クラスがミュージカルで一つになるっていう設定も、正直そんなに生かされてないなーって思いました。
「言葉の二面性」というテーマとぶつかっちゃってるというか、ミュージカル自体が設定のための設定になってるんじゃないかなと。
むしろミュージカル設定が、「言葉」というテーマの邪魔になって、物語自体が散漫になってるような印象を僕は受けたんですよねー。
だったら、ミュージカル設定は止めて、「言葉」にピントを絞った方が全体的にしっくりくるんじゃないかなーって思いました。
高校生がイベントで、オリジナルミュージカルの演じることで、クラス一丸となるっていう設定自体が、この物語を観客に飲み込ませるハードルを上げてる部分もありますしねー。

アニメーションは素晴らしいんです。それだけに……。

と、文句ばかり書いていると、ダメダメな映画のように思われるかもですが、アニメーションとしては、やっぱり流石のクオリティーで文句なしだし、順はカワイイし、映像的にはすごく良いんですよ。
ストーリーも決して全部が悪いわけではないんですが、上記の通り、不備だったり詰め込みすぎで、折角のアニメーションが生きないのが勿体無いなーっていうのが正直なところ。
僕の方も、『あの花』を物差しにしてしまってるので、そもそものハードルが上がちゃってるのもありますしねー。

あの花』と『ここさけ』

同じスタッフで作った『あの花』が、あれだけ多くの『大人』を感動させたのは、多分、(痛みも含めた)『過去への郷愁』の共有だったと思うんですね。
とは言え、『あの花』も最後の方は冷静に見ればかなり無理のある作りではあるんですが、全11話にわたって丁寧に描かれたキャラクターの心情描写があったから、その無理の部分すらも『物語内リアリティー』として飲み込むことが出来たわけです。

対して本作は、『現在進行形』の物語で、それゆえの、どストレートな言葉のやり取りが、僕みたいなオッサンにはイチイチこっ恥ずかしいんですよねーw
逆に、主人公たちと同世代の若い観客なら、素直に感動できるのかもなーって思ったりもしました。

もしかしたら本作は、そうした若い層を狙った作品なのかもしれませんね。

興味のある方は是非!

 

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