ぷらすです。
今回ご紹介するのは、ラジオで三宅隆太監督が面白いと言っていたインドの戦争映画『インパクト・クラッシュ』ですよー!
インド洋の深海を舞台にインドとパキスタンの潜水艦同士の死闘を描いた作品です。
画像出典元URL:http://www.amazon.co.jp
概要
第三次印パ戦争におけるパキスタン海軍潜水艦「ディアブロ」の不可解な沈没事件を題材に、ディアブロを撃沈することになったインド海軍潜水艦「カランジ」乗組員の勇気と愛国心に焦点が当てられた作品になっている。
サンカルプ・レッディの監督デビュー作。
感想
事実を元にした潜水艦映画
インドとパキスタンの間で1971年12月に行われた「第三次印パ戦争」
本作は、その戦争でのパキスタン海軍潜水艦「ガーズィー」の不可解な沈没事件を題材にした、潜水艦映画です。
「ガーズィー」沈没に関して、パキスタン側はパキスタンは港に敷設された機雷に接触して沈没したと発表し、インド側は駆逐艦ラージプートの爆雷攻撃によって撃沈したと発表。今も真相は海底に沈んだままということらしいんですね。
で、本作ではパキスタン・インド間の緊張が高まる中、パキスタン海軍が潜水艦ガーズィーにベンガル湾への出撃を命じ、ガズィー出撃の情報を入手したインド海軍東部司令部では潜水艦S21に索敵を命じるところからスタート。
パキスタン軍によって息子を殺されたランヴィジャイ・シン艦長(ケイ・ケイ・メノン)が暴走し戦争になることを危惧した上層部は、監視役としてアルジュン少佐(ラーナー・ダッグバーティ)を監視役につけます。
ガーズィー艦長ラザクは攻撃目標だったインド軍空母ヴィクラントを発見できなかったことからベンガル湾に面した港湾都市ヴィシャーカパトナム攻撃を決断。インド海軍の注意をそらすため通りかかったインド商船を撃沈。
ガーズィーの狙いを見抜いたランヴィジャイ艦長はガーズィーを追跡・撃沈しようとするも、司令部の待機命令を遵守するべきというアルジュンと口論になり――という内容。
正直、両国の紛争の歴史が分からないので、多分細かい部分は理解できてないと思うんですが、映画だけでもざっくりした内容は分かるし、三宅隆太監督も話してましたが「潜水艦の映画は、そもそもある程度の面白さが担保されてる」んですよね。
冒頭部分こそ、どっちがインド軍なのかパキスタン軍なのか分からなくて、ちょっと混乱したりしましたけど、潜水艦同士のシークエンスに移ってからはパキスタン側の船長があからさまに悪人顔をしてる(インド映画だからね)ので混乱することはなく、潜水艦同士の探り合いと戦いをドキドキハラハラしながら楽しむことができましたねー。
復讐に燃える艦長と融通のきかない監視役、その二人に挟まれる副長
シン艦長の息子は第二次印パ戦争(1965)の際、司令部の待機命令を遵守したためパキスタン軍の奇襲を察知しながら攻撃できず戦死。以来、艦長はパキスタン軍の船を見ると攻撃せずにはいられない復讐の鬼と化しているんですね。
まぁ、そんな男に索敵任務させんなって話ですが、上層部はシン艦長が暴走しないように、アルジュン少佐を同行させるわけです。
このシン艦長は、当然息子を死なせた上層部にも恨みがあるので、上層部の前でアルジュン少佐を上層部のイヌ呼ばわりしたり、事あるごとにこれみよがしな嫌味を言ったりと、「軍人としてどうなん?」「っていうかオッサンなのに大人気無さ過ぎるんじゃね? 」という困ったちゃん。ところが彼は、船員の皆さんには超慕われてたりするんですよね。
一方のアルジュン少佐はエリートで軍人である以上は上官の命令は絶対という、融通が全く効かないタイプ。
事あるごとに艦長の言うことに意を唱えたり、副長を抱き込もうとして失敗したり、かと思うと、勝手にパキスタン軍に沈められた商船の生き残りを勝手に救出しに行ったり。真面目で熱血という扱いづらいタイプ。
そんな二人に板挟みになっちゃうのが、デーヴラージ副長(アチュール・クルカルニー)や船員の皆さん。
特に副長は艦長の気持ちもよく分かるし、軍人として命令や規則に従うべきという少佐の言い分も分かるしで、どちらか一方に肩入れするわけにはいかないというね。
中間管理職ってホント大変。苦労が忍ばれます。
手に汗握る海中バトル
で、潜水艦ものと言えば手に汗握る海中バトル。
映画序盤、ベットルームの壁にピンピンになるように細い紐を括るベテラン船員に、新人が「何故そんなことを?」と質問。
するとベテランは、コップの水と生卵で、水圧と潜水艦の説明をするわけです。
これはもちろん新人に説明する体で観客に説明していて、その紐は後にしっかり伏線回収に使われるんですよね。
その後も互いのソナーでの探り合いや読み合い、機雷を使った罠にハマって一度は海底350mの海底まで沈み、故障で旋回が出来なくなった手負いのS21の逆転などなど。
若干(というか結構)大味ではあるけど、潜水艦ならではの“見えない相手”との3次元の戦いを堪能出来るんですねー。
インド映画といえば
インド映画といえば、劇中で入る歌と踊りですよね。
とはいえ、この映画は潜水艦同士の戦争映画ですからね、まさかミュージカル的演出は出来ないって思うじゃないですか。
ところが、ちゃんと歌のシーンがあるんですよねー!w
しかも、まさかそこで!? というストーリーの重要なシーンの必要な演出として、S21の船員が全員で大合唱するわけですよ!
こんな演出、インド映画じゃないと成立しない!!
しかも、この演出もしっかり序盤で伏線が張られていて、思わず唸ってしまいましたねー。
日本ではビデオスルーの本作ですが、いやいや、かなり面白いのでオススメですよー!
あと、字面だと読むのが大変なので、字幕じゃなくて吹き替えで観るのがいいと思います。
興味のある方は是非!!
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