今日観た映画の感想

映画館やDVDで観た映画の感想をお届け

甘酸っぱくてほろ苦い青春映画「シング・ストリート 未来へのうた」(2016)

ぷらすです。

今回ご紹介するのは、「ONCE ダブリンの街角で」や「はじまりのうた」で知られるジョン・カーニー監督の最新作『シング・ストリート 未来へのうた』ですよー!

懐かしい音楽に乗せて、少年の淡い初恋と青春を描いた作品です。
1980年代に青春を送った人には、映画を見ながら自分の過去を重ね合わせちゃう作品なんじゃないかと思いますよー!

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あらすじと概要

ONCE ダブリンの街角で』などで知られるジョン・カーニー監督の半自伝的青春ドラマ。1980年代のアイルランド・ダブリンを舞台に、さえない日々を送る14歳の少年が一目ぼれした少女を振り向かせるためバンドを組み、音楽活動に没頭する姿を描く。主題歌を、カーニー監督作『はじまりのうた』に出演したマルーン5アダム・レヴィーンが担当。音楽がつなぐ出会いや少年たちの青春を、デュラン・デュランザ・クラッシュザ・ジャムなど当時のヒット曲が彩る。

ストーリー:1985年、ダブリン。両親の離婚やいじめで暗い日々を過ごすコナー(フェルディア・ウォルシュ=ピーロ)は、音楽好きな兄と一緒にロンドンのミュージックビデオを見ることが唯一の楽しみという14歳。ある日、ラフィナ(ルーシー・ボーイントン)を見掛け瞬く間に恋に落ちた彼は、思わず「僕のバンドのPVに出ない?」と口走ってしまう。慌ててバンドを組んだコナーは彼女を振り向かせようと、クールなPVを撮るため音楽活動に奔走する。(シネマトゥディより引用)

 

 

感想

ざっくりストーリー解説

まず、ざっくりストーリーを書くと、大不況の煽りを受け父親が失業した少年コナーは授業料の安い荒くれ男子校に転校するハメに。
そこで、いじめっ子にいじめられたり、横暴な校長にいじめられたりしていたコナーですが、学校の前に立っている女の子ラフィアに一目惚れし、何とか話しかける話題を作ろうと「ウチのバンドのMV(ミュージックビデオ)に出ない?」とバンドなんかやったこともないのに誘ってしまうんですね。

で、急遽メンバーを集め、当時流行のブリティッシュロックの影響をモロに受けた曲で次々MVを撮影していく。という物語。

音楽だけじゃなく、コナーが次から次へと影響を受けたミュージシャン風のファッションに変わっていくのは観ていて面白いけど、過去の自分を思い出したりして、もう、(*ノェノ)キャーってなっちゃうんですよねーw

若者を取り巻くダブリンの閉塞感

本作の舞台は、監督の故郷でもある1985年のアイルランド・ダブリン。
不況の波で仕事は無くなり、それが原因でコナーの父親は失業し母親とはいつもケンカばかり。
しかも、そのせいで市内の荒くれ男子高に転校させられるわ、母親はパート先の上司と不倫するわ、あげく両親が離婚を決めるわと、思春期の少年にはかなり辛い状況なんですね。
しかし、それはコナーだけじゃなく、コナーが一目ぼれする少女ラフィナは両親に捨てられ孤児院住まいだし、いじめっ子はオヤジがアル中で虐待されてるし、兄貴は引きこもりだし、バンド仲間たちもそれぞれ家庭に何らかの問題を抱えてるんです。

で、ダブリンの若者たちは、海を隔てた50km先のロンドンに行けば……と、淡い希望に思いを馳せているわけです。

つまり、町全体が不景気による閉塞感に包まれてるんですねー。

そんな中、最初はオドオドしていた気弱なコナーはラフィアや音楽と出会うことで、少しづつ成長していくのが、本作の見所なのです。

懐かしい音楽が次々と

僕はあまり音楽には詳しくないんですが、本作でかかる音楽はそんな僕でも耳にしたことのある有名な曲ばかり。

モーターヘッド
デュランデュラン
a-ha
フラッシュ・アンド・ザ・パン
ザ・ジャム
ザ・キュアー
などなど、時代を代表するバンドの名曲が次々流れてきます。

で、コナーたちのバンド「シングス・トリート」はモロにこれらのバンドの影響を受けた“オリジナル曲“を作り出していきます。
寄せ集めの素人バンドな彼らの手で曲が生まれ、やがて音楽の形になっていく嬉しさや楽しさを、ジョン・カーニー監督は曲に乗せてテンポよく、しかししっかりと描いていきます。

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画像出典元URL:http://eiga.com 手作りのMVを撮影するシングストリートのイケてない感がリアルw

この感じって、バンドをやってた人ならみんな共感出来るだろうし、音楽でなくても、初めて自分の手で何かが形になる喜び(お絵かきや小説、手芸や料理、DIYなど)は、誰でも多かれ少なかれ経験はあると思うので、彼らの嬉しさや楽しさは多分、多くの人が共感出来るんじゃないかなーって思うんですよね。

同時にそれは、コナーたちにとって辛すぎる現実からの逃避でもあり、大人たち=社会への反抗でもあるんですね。

兄弟

本作でコナーを導いていく重要な役割を果たすのが、ジャック・レイナー演じる年の離れた兄ブレンダン。
コナーにとってブレンダンは音楽の師匠でもあり、一瞬でも両親の不仲という辛い現実を忘れさせてくれる父親変わりの頼りになる存在なんですね。
ただ、ブレンダンは両親の反対で夢を諦めたっぽいのです。
だから、コナーには諦めないで欲しいと、茶化しながらも背中を押すような言動をしてるんだろうなーと。

両親が1階でケンカしてるの時に、音楽をかけて兄弟(妹)3人で部屋で踊るシーンは超切ないし、ブレンダンが夕方玄関で一人の時間を送る母親の背中を階段に座って見ながらコナーに語りかけるシーン、いよいよ両親の離婚が決まったとき、コナーの一言が引き金になって感情を爆発させるシーンはグッときちゃいました。

本作のEDロールで「すべての兄弟にささぐ」って言葉が出るんですが、監督自身、亡くなったお兄さんをブレンダンに投影しているらしく、僕自身も長男なのでブレンダンに感情移入しながら観てましたねー。(僕はあんなに出来た兄ではないですがw)

“ある曲のMV“の撮影シーンに涙

そんな感じで劇中、コナーが学校の体育館でMV撮影をするシーン。
歌いながらコナーの頭の中で、最高にハッピーな妄想がそれこそMV風に展開されるんですよ。
50年代風の格好で決めたシングス・トリートの演奏に合わせて、生徒や嫌な校長が踊り、ラフィアや両親、ブレンダンもみんないて楽しげに踊ってるっていう、現実とは正反対の脳内MV。クライマックス前の一番悲しいシーンなんですが、映像がハッピーなだけにコナーの心情を思うと、もう号泣でした。

ハッピーエンド?

そんで、シングストリートの初ライブからのラストシーン。
このクライマックス、僕は「桐島、部活やめるってよ」を思い出しましたねー。
そしてラストシーンは、ぱっと見ハッピーエンドっぽいんですが、あえてハッピーエンドとハッキリは描かず、多少の不穏さを残して二人の行く末が不透明な感じで終わってるのも個人的にはとても良かったです。

そんな感じで個人的には大好きな作品なんですが、あえて言うならバンドメンバーとの関係にも、もう少しスポットが当たると良かったかなーと思ったりしましたねー。
まぁ、これは完全な「ないものねだり」なんですけどねw

ともあれ、本作を一言で言うなら、甘酸っぱくてほろ苦い青春映画の傑作だと思います!

興味のある方は是非!!

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吹き替え版で観るのがオススメ! 「ファインディング・ドリー」(2016)

ぷらすです。

今回ご紹介するのは、2003年公開の『ファインディング・ニモ』の続編(というかスピンオフ?)として昨年公開されたディズニーピクサー作品、『ファインディング・ドリー』ですよー!

公開前は「いまさら続編ってどうなん?」と正直ナメてたんですが、公開後のネット評などを読むと概ね好評だし、ちょっと気になってたんですよねー。
で、今回やっと観てみたら……もうね、号泣ですよ!

なんで劇場に観に行かなかったのかと、2016年の自分を殴ってやりたい気持ちでしたよー。(´Д`)

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画像出典元URL:http://eiga.com

あらすじと概要

愛くるしいカクレクマノミのキャラクターたちが活躍するアニメ『ファインディング・ニモ』の続編。前作にも登場したちょっぴりドジな愛されキャラ、忘れん坊のドリーに焦点を絞って、彼女の家族捜しの旅に同行する親友ニモと仲間たちの大冒険を映し出す。『ファインディング・ニモ』『ウォーリー』で2度アカデミー賞長編アニメ映画賞に輝いたアンドリュー・スタントンが、本作も監督を担当。新しい仲間たちも加わった心躍る旅路に、大人も子供も引き込まれる。

ストーリーカクレクマノミのニモの大親友であるナンヨウハギのドリーは、すぐに何でも忘れてしまう。ある日、子供のころの思い出がよみがえり、一念発起して家族を捜す旅に出ることを決意する。おっちょこちょいなドリーを心配したニモは、父親マーリンを説得してドリーの旅に同行する。(シネマトゥディより引用)

 

感想

ドリーの人生(魚生?)に13年越しの決着!

本作の主人公は、前作『ファインディング・ニモ』でニモのパパ マーリンの相棒役兼コメディーリリーフとして登場したナンヨウハギのドリー。

本作では、何でもすぐに忘れてしまう彼女の過去に迫ることで、前作では殆ど描かれず何となく宙ぶらりん感のあった、ドリーというキャラクターの人生(魚生?)に13年ぶりで決着がつくという物語です。

前作以降、ニモとマーリンとともに幸せに暮らすドリーはある日、子供の頃の夢を見て思い出が蘇ります。
本作はそんなドリーの幼少のシーンからスタートするんですが、もうねこのアバンのシーンで描かれるドリーの過去の重さがスゴイんですよ。

正直、え、こんなんディズニーピクサーでやっちゃっていいの? と観てるコッチが戸惑うくらい。
子供の頃から何でも忘れてしまう彼女に、両親が心を痛めつつも愛情を注ぐところも、両親とはぐれた彼女が、独りきりで放浪しながら成長していくところも、両親とはぐれた彼女が周りの魚たちに助けを求めるも、成長するごとに記憶が失われ自分が何を探していたのかも分からなくなって行くところも、記憶障害で迷惑をかけてしまうからと、先に謝ってしまうクセがついてるところも。

もう、この時点で涙腺がヤバイ……というか、すでに号泣ですよ
なまじドリーが陽性なキャラクターなだけに、その生い立ちの辛さが際立ってしまうのです。

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画像出典元URL:http://eiga.com  ドリーが鯨語を話せる秘密が明らかに

そんな過去を突如思い出したドリーは両親を探すべく、ニモ、マーリン親子とともに旅に出ます。

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画像出典元URL:http://eiga.com ベイビードリーと両親

監督は前作と同じアンドリュー・スタントン

監督は「トイ・ストーリー」シリーズの原案・脚本、「モンスターズ・インク」シリーズ、アカデミー作品賞の候補にもなった「ウォーリー」の脚本などを担当し、前作「ファインディング・ニモ」で脚本と監督を務めたアンドリュー・スタントン

ディズニー・ピクサーのヒット作の多くに関わっている超凄い人で、「ウォーリー」は僕のオールタイムベストに入る名作です。

また、ディズニー&ピクサー作品と言えば子供だけでなく、大人が考えるようなテーマを作品に織り込む作風で有名。
同じく昨年公開の「ズートピア」では動物の世界を人種差別のメタファーとして寓話的に描いていたし、「インサイドヘッド」では精神と成長という難しいテーマをエンターテイメントに昇華させていました。

「家族」を通してドリーのアイデンティティーを見つける物語

そして、本作でアンドリュー・スタントン監督が描こうとしたのは前作と同じく「家族」だと思います。
前作「ファインディング・ニモ」で描いたのは過保護な父親マーリンとニモの関係でしたが、本作はそんな前作と対になるようなドリーと両親の関係が描かれています。

一見、ドリーの「記憶障害」がフューチャーされているように見えて、実はそれはあくまで物語のスパイスに過ぎないというか、監督自身はドリーの「物忘れ」を“障害“としてではなく、あくまで“欠点“として扱っているのです。

どんな人でも、何かしら欠けている部分はあるのだから、ドリーは決して特別でも可哀想でもなく、彼女の「忘れっぽさ」はあくまで個性であって、それを補って余りあるモノを彼女は持っているし、欠けている部分を補い合い助け合うのが家族や仲間であり、居場所であり、個人のアイデンティティーになると。

本作はドリーの「家族」探しの物語であると同時に、彼女が自身のアイデンティティーを(長所を武器に)掴み取るという、普遍的なテーマを描いた物語なのです。

確かにやりすぎ感はあるけれど

ただ、個人的にツボに入りまくりだった本作ですが、正直100点満点というわけではないんですよねw
さすがに諸々やりすぎ感は否めません。

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画像出典元URL:http://eiga.com ドリーと万能すぎるタコのハンク

特にタコのハンクがあまりにも万能すぎるし、魚たちが地上を自由に動き回りすぎとかね。
あと、字幕版でシガニー・ウィーバーの役を吹き替え版では八代亜紀さんが担ってるんですが、さすがにビックネーム過ぎて、若干ノイズになってたかなーw

個人的にはアニメの嘘として全然許容範囲でしたけどねw

吹き替え版がオススメ

基本僕は、洋画は出来る限り字幕派なんですが、本作は吹き替え版がオススメです。
ドリー役の室井滋さんの演技がとにかく素晴らしいんですよねー!
あと、幼少期を演じた 青山らら という子の声がカワイイ上に、宇多丸師匠の言葉を借りるなら「泣かせ力」が半端ない。

海外アニメの吹き替え版の場合、配役によってはノイズになっちゃう事もあるんですが、本作においてはむしろ吹き替え版の方が物語に入り込める気がしました。

興味のある方は是非!!

 

これがホントの“クソ映画“ ボンクラ男と警察の我慢比べ!「ブレイキング・ゴッド」(2016)

ぷらすです。

今回ご紹介するのは、本国では2014年に公開されたオーストラリア映画
『ブレイキング・ゴッド』ですよー!

1983年にオーストラリアで起こった実際の事件を元にした、クライムサスペンス? 映画です。

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画像出典元URL:https://www.amazon.co.jp

あらすじと概要

麻薬の運び屋となった男が巻き込まれる、実話を元にしたクライム・サスペンス。「インシディアス」の脚本家リー・ワネルが製作総指揮も兼ねており、同作に出演したアンガス・サンプソン、「マトリックス」のヒューゴ・ウィーヴィングが出演。極限状態での駆け引きが見どころ。2015年8月にWOWOWにて本邦初放映後、2016年1月~3月開催の<未体験ゾーンの映画たち2016>でも上映。

ストーリー:1983年、オーストラリアのメルボルンにあるテレビの修理店で働く真面目な男レイは、悪友に大金を稼ぐ話を持ちかけられる。それは麻薬の運び屋という危険な任務だった。レイは麻薬入りの袋を飲みこんでタイから帰国するが、税関で不審な行動を疑われ、さらにX線検査を拒否したために拘留される。拘留期限が切れるまでの間、トイレを我慢するレイと、レイが動くのを待つ警察。体を張った究極の我慢くらべの結末は!?(allcinemaより引用)

 

 

感想

ありそうで無かったリアル“クソ映画“

本作の内容を一言で言うなら、ウ〇コを我慢する男の物語です。

中年になっても実家住まいで母親にべったりのボンクラ男レイ( アンガス・サンプソン)がコンドームに小分けした1kgの麻薬を飲み込んで国内に持ち込むも、空港で検問に引っかかり、レントゲンを拒否(任意)したため空港近くのホテルに拘留。
ここからレイと警察の便意を巡る我慢比べが始まる……という、文字通りの“クソ映画“です。

で、このあらすじを見たら、コメディー映画だって思いますよね?
ところが、この作品はなんとガチで手に汗を握るクライムサスペンス映画なのです。

普通、クライムサスペンスと言えば、アクション有り、サスペンスあり、最後には大どんでん返しありのド派手な映画が多いんですが、本作はホテルの一室で主人公がひたすら“ウ〇コ“を我慢するだけっていう、ビックリするほど地味な展開。

証拠がないため、警察が彼を拘留出来るのは7日間。
レイはなんとしても、一週間もの間ウ〇コを我慢し続けなくてはならないっていう、考えただけで地獄のような状況です。

もうね、主演のアンガス・サンプソンの苦しむ表情に観ているコッチまで辛くなりましたよ!
しかも、ヒューゴ・ウィーヴィング演じるトム捜査官は、レイの腹を殴ったりするし(お腹の中でコンドームが破けるんじゃないかとヒヤヒヤ)、国選弁護士は権力への反発から、心が折れて密輸を告白したレイに「もう少しだから頑張れ」とか言い出すし、依頼主はレイを殺そうとするし、挙句、そんな過酷な状況を何とか乗り切ったと思ったら、拘留期間が伸びるし。

もう、どいつもこいつもーー!(。・д・)ノ)´Д`)ビシッ と。

そんな四面楚歌の状況の中、レイはひたすらウ〇コを我慢し続けるんですねー。
ちなみに本作の原題は「THE NULE」頑固者的な意味らしいです。

あと、ここだけはちゃんとお伝えしなくてはいけないと思うのですが、

本作には、極めて不快なシーンがあります。

なので、本作を観る人はそれなりの覚悟が必要かもしれません。
わりとグロ耐性のある僕も、そのシーンにはかなり精神的にダメージを受けましたからねー。

負け犬ボンクラ男の逆転なるか!?

ただ、ここを境にそれまで防戦一方というか、あまりの苦痛に心がボキボキに折れかけていたレイが色々吹っ切れて、さらに、“ある展開“を経て自分を見下す連中立ち向かう決心を決めます。
そしてレイは、自分をバカにして見下している奴らを見返すための計画を思いつくのです。

果たして何をやっても失敗続きだったレイの逆転なるか!?
というのが、本作最大の見所なんですねー。

好き嫌いの分かれる映画

こんな風に書くと、いかにも面白かったみたいに見えるかもですが、本作はかなり好き嫌いの分かれる映画なんじゃないかと思います。
上記の問題のシーンは嫌な人は耐えられないだろうし、基本映像は地味だし(中年がウ〇コを我慢するシーンが延々続くし)、ストーリー的にもエンジンがかかるのが遅いので前半から中盤にかけては正直かなり退屈ですしね。

しかし、こんなバカみたいなネタを、クライムサスペンスに昇華させようとした心意気は、個人的に嫌いになれない作品でしたねー。

興味のある方は是非!

 

物語シリーズを追いかけてきた人のためのファンムービー?「傷物語〈II 熱血篇〉」(2016)

ぷらすです。

今回ご紹介するのは、西尾維新の人気シリーズ「傷物語」のアニメ化作品
傷物語〈II 熱血篇〉』ですよー!

前作『傷物語Ⅰ鉄血篇』に続き、伝説の吸血鬼キスショット・アセロラオリオン・アートアンダーブレイドと、主人公阿良々木暦が出会うエピソード第2弾。
うっかり伝説の吸血鬼の眷属になってしまった少年が、主のため、三人の吸血鬼ハンターと戦う物語です。

 

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あらすじと概要

テレビアニメ版も人気を博している、西尾維新のベストセラー小説「物語」シリーズの前日譚を描く劇場アニメ3部作の第2弾。美貌の吸血鬼キスショット・アセロラオリオン・ハートアンダーブレードを助けたために吸血鬼になってしまった男子高校生・阿良々木暦が、人間に戻るために過酷な戦いに挑む。総監督は前作に引き続き新房昭之ボイスキャスト神谷浩史坂本真綾らが結集。激化する戦いの行方や、暦とキスショットの行く末に注目。

ストーリー:吸血鬼となった肉体を人間に戻すために、吸血鬼キスショット・アセロラオリオン・ハートアンダーブレードの奪われた四肢を取り戻す戦いに身を投じる男子高校生・阿良々木暦。怪異専門家・忍野メメのアドバイスを受けながら激闘を続ける彼の前に、吸血鬼でありながら吸血鬼を狩る身長2メートル以上のドラマツルギー、巨大な十字架を駆使する半吸血鬼エピソード、吸血鬼退治の専門家である人間ギロチンカッターが立ちはだかる。(シネマトゥディより引用)

 

 

感想

ざっくり前作のあらすじ

まずはざっくり前作のあらすじから。

ぼっち少年の阿良々木暦は偶然、同級生で委員長の羽川翼のパンツを見るラッキースケベを体験。
その夜、瀕死の吸血鬼キスショット・アセロラオリオン・ハートアンダーブレードを助けるため眷属になってしまった阿良々木は、(人間に戻ることを条件に)力を失った彼女の代わりに、彼女を追い込み手足を持ち去った三人の吸血鬼ハンターと対決、奪われた手足を取り返すことになる。

ここまでが前回までのあらすじで本作はその続き。いよいよ三人の吸血鬼と対決します。

一人は吸血鬼でありながら同族を狩る 身長2メートル以上のドラマツルギー

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巨大な十字架が武器で、人間と吸血鬼のハーフ、エピソード。

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吸血鬼退治の専門家で人間のギロチンカッター

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そんな強敵を前に阿良々木は、前作で“たまたま“助けられたネゴシエーターでバランサーの胡散臭いおっさん、忍野メメの助けを借りながら、一人一人とタイマンを張っていくわけですねー。

リテラシーが必要なファンムービー

本作は基本的に、原作、もしくはテレビアニメのシリーズを観てきたファンのために作られたファンムービーです。
テレビでは放映できない過激な表現を劇場版で――っていうのが基本的な本作のスタンスなんですね。

もちろん、この『傷物語』三部作だけを観ても、「ストーリー自体は」分かるようになってるんですが、登場人物の言動はかなり飲み込みづらいし、観ていて混乱する部分もあるんじゃないかなーって思うんですよね。

前作で言えば、なぜ阿良々木暦は見ず知らずの吸血鬼を助けるために、命を投げ出そうとするのか理解しずらいだろうし、本作ではヒロイン 羽川翼の行動が、前後の文脈を知らないと理解出しずらいんじゃないかなーと。

原作やアニメで、ここまでの彼らの活躍を観ている(読んでいる)人なら飲み込めるそれらの行動も、本シリーズ単体だとちょっと理解に苦しむというか。

あと、本作を制作している『シャフト』独特の演出も、初めて本シリーズを観る人に対しての分かりにくさに拍車をかけてる気がします。
原作では、どこにでもある様な地方都市の廃ビルや学校などを舞台に物語が展開するんですけど、アニメ版では舞台設定が変わってて…というかデフォルメされてて、ビルがやたら高くなったりスタイリッシュになってたり、校庭のグラウンドが陸上競技場になってたり、しかもその舞台設定がストーリー構成とは特に関係ないんですよね。

ファンやアニメを見慣れてる人なら「ああ、シャフトだしね」と飲み込めるんですが、そうでない人は前述のふたりの言動と合わせて、混乱してしまうというか、シリーズ独自のルールが分からないまま観てしまうと、何が何だか分からないかもなーって思いました。

本作の見所

という事を踏まえての本作の見所は、何と言ってもキスショットがカワイイ&羽川がエロいですかねーww
キスショットが持ち去られた手足は、いわば吸血鬼=怪異としての「存在」そのものなので、阿良々木が取り返してきた手足を食べるたび、彼女は少しづつ成長していくんですね。
なので、本作では、10歳バージョン、12歳バージョン、17歳バージョンのキスショットを見ることが出来ます。
あと、羽川のパンツとかまぁ、色々あるんですが、ここをあまり褒めると、ヤバイ人呼ばわりされそうなので難しいところですよねww

もしかしたらそれらのシーンを観て、「なんと破廉恥な」「ロリコンアニメ」「規制すべき」って思う人もいるかもですが、そのためのPG12指定だし、そもそもこのシリーズは原作からして、そうした表現規制に真正面からケンカを売ってる作品で、本作も概ね原作通りなのです。

そういう訳で、動きも表現も劇場版と呼ぶにふさわしいクオリティーの作品だし、ファンとしては超面白いんですが、本シリーズの入口としてはあまりオススメ出来ない作品だと思いました。

興味のある方は是非!

 

▼前作の感想▼

aozprapurasu.hatenablog.com

 

ど派手なアクションとど派手なCGは健在! 「西遊記 孫悟空vs白骨婦人」(2016)

ぷらすです。

今回ご紹介するのは、中国香港合作で作られた「西遊記」シリーズ第2弾、
西遊記 孫悟空vs白骨婦人』ですよー!

前作「モンキーマジック 孫悟空誕生」と同じく、CGを駆使したド派手な演出は今回も健在でしたねー。
その上で、今回は師匠三蔵法師孫悟空の師弟愛が詰まったエモーショナルな作品になってました。

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あらすじと概要

西遊記」を題材に最新のVFXで描いた冒険活劇『モンキー・マジック 孫悟空誕生』の続編。三蔵法師によって封印を解かれ旅の護衛を務めることになった孫悟空が、妖怪・白骨夫人に捕らわれた三蔵法師を救い出すため壮絶な戦いに挑む。前作で牛魔王を演じたアーロン・クォックが主人公・孫悟空を演じるほか、『シャンハイ』などのコン・リー、『神なるオオカミ』などのウィリアム・フォンらが共演。前作に続きソイ・チェンがメガホンを取り、アクション監督を香港映画界の大御所サモ・ハンが務める。

ストーリー:暴れ者の孫悟空(アーロン・クォック)は五行山に幽閉されてから500年後、天竺を目指す三蔵法師(ウィリアム・フォン)に封印を解かれ、三蔵法師の護衛として旅に同行する。道中新たな仲間も加わった一行の前に、永遠に美しい自分を維持すべく三蔵法師の命を狙う妖怪・白骨夫人(コン・リー)が立ちはだかる。白骨夫人はさまざまな謀略を駆使し、ついに三蔵法師を手中に収め……。(シネマトゥディより引用)

 

 

感想

先日も書いた通り、友人と二人で映画のDVDを5本一気に観るという荒行に挑戦した2本目が本作でした。
前作「西遊記 モンキーマジック~』では、中国映画の十八番であるワイヤーアクションとCG満載の細切れ演出で、主演のアクションスター、我らがドニー・イェン兄貴の動きを封じるという暴挙に出たソイ・チェン監督が続投してます。

孫悟空は前作で牛魔王を演じたアーロン・クォック

物語は、前作で五行山に閉じ込められた孫悟空と天竺を目指す旅の僧、三蔵法師(ウィリアム・フォン)の出会いからスタートします。
孫悟空役は前作のドニー兄貴から変わって、牛魔王を演じたアーロン・クォック。
衣装やメイクが変わってるのもありますが、ビジュアル的には前作よりワイルド感が増したアーロン悟空は結構良かったですねー。
何故かずっと内緒話みたいな話し方なのは少し気になりましたけど。

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で、旅の道すがら白馬と猪八戒(シャオ・シェンヤン)と沙悟浄(ヒム・ロー)を仲間にして、天竺に向かいます。
その旅の途中で、三蔵を食べて生きながらえようと付け狙ってくるコン・リー演じる白骨婦人と、悟空が対決するというストーリー。

前作の目が痛くなるようなキンキンキラキラなCGから一変、本作は全体的にダークなトーンになってますが、悟空の方は相変わらずワイヤー宙吊りの空中アクションがメインで、前作以上にスピード感がなくなってる印象を受けました。

ただ、本作はアクションよりも、三蔵と悟空の信頼関係を築いていくドラマが主軸になってるので、アクションはこのくらいでいいのかな? と。

エモーショナル優先のストーリー展開とモヤモヤ

中国映画の特徴として、エモーショナルなシーンが過剰ってのがあると思うんですね。
これは多分、中国人好みの流れなんだろうなーと思うんですが、個人的には正直苦手。
敵役の白骨婦人は、生きながらえるために子供をさらって食べちゃう妖怪なんですが、そこには彼女の悲しい過去が起因してます。

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そんな彼女は、徳の高い三蔵を食べることで寿命を延ばそうとするわけですが、三蔵一行に近づき命を狙うのに、人間に化けるんですね。
でも、悟空は「真実を見抜く目」を持っているので、彼女の正体を見抜き攻撃、そうとは知らない三蔵は、悟空が人間の女子供を殺したと咎めて、ついには破門してしまいます。

白骨婦人の過去は本作の重要な要になるのでいいんですけど、問題は白骨婦人が人間に「化けている」のか「乗り移っている」のかがハッキリしない事なんですよねー。

もし「乗り移ってる」なら、悟空は三蔵を守るためとはいえ人間を殺しているので、三蔵の怒りはもっともなんですけど、「化けてる」=実体がないなら、それは三蔵の勘違いで悟空は怒られ損ってことになるので、三蔵や悟空に対する観客の目も変わってくるんじゃないかなーと。

ここを劇中でハッキリしてくれてないのに悲しい音楽で切な気なシーンが続くので、観ている間ずっとモヤモヤしてしまいました。
原作を知ってる人には、説明するまでもない自明のことなのかなー?

あの映画の、あのシーンやこのシーンがが!

で、色々あってクライマックスの対決シーンになるんですが、ここでは明らかに「アイアンマン」のあのシーンや「マトリックス」のあのシーンっぽい、見たことのあるシークエンスが入ってたりして、不覚にも個人的にはちょっとアガってしまいましたw

監督の名誉のために書いておくと、あくまでパロディーというかオマージュの範囲で別に悪いことじゃないし、他の映画でも(もちろん日本映画でも)そういう事はよくありますよね。
「あ、ここアベンジャーズのアレだな」とかね。

個人的に、中国映画特有のイカニモなワイヤーアクションやエモい描写の多用が苦手なのであまりハマれなかったんですが、娯楽映画としては十分に楽しめるんじゃないかと思いますよ。

興味のある方は是非

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aozprapurasu.hatenablog.com

 

一体なぜ作ってしまったのかと小一時間……「珍遊記」(2016)

ぷらすです。

今回ご紹介するのは、日本漫画界の鬼才 漫☆画太郎の同名マンガの実写化作品『珍遊記』ですよー!

友人と行った、1日に5本の映画を一気観。
そして内3本が西遊記縛りという苦行の幕開けを飾ったのが本作でした。
実は僕は漫☆画太郎作品をちゃんと読んだことは一度もないので、本作がどのくらい原作に沿った作品なのかは分からないんですが、素直な感想としては「一体なぜこの映画を作ってしまったのか、なぜ誰も止めなかったのかと、関係者一同を集めて小一時間問い詰めたい」でしたねー。

あと、本作に関してはネタバレがどうこういうタイプの作品ではないので、ネタバレは一切気にせずに書きますので、もしも、これから観る予定のある人は、映画を観たあとにこの感想を読んでください。

いいですね? 注意しましたよ?

http://img.eiga.k-img.com/images/movie/83803/poster2.jpg?1453798887

画像出典元URL:http://eiga.com/

あらすじと概要

週刊少年ジャンプで連載された漫☆画太郎によるギャグ漫画「珍遊記~太郎とゆかいな仲間たち~」を実写映画化。「西遊記」をモチーフに、札付きの不良少年山田太郎が彼を更生させるため引き取った僧侶・玄奘と共に天竺を目指す旅を、お下劣ネタ満載で描く。メガホンを取るのは、『地獄甲子園』などで漫☆画太郎作品の映画化を手掛けてきた山口雄大。パンツ一丁の太郎にふんした松山ケンイチのおバカ全開演技に注目。

ストーリー:天竺へと旅をしていた僧侶の玄奘倉科カナ)は、たまたま寄った家の老夫婦から妖力で悪さをする不良息子・山田太郎ピエール瀧)の更生を頼まれる。玄奘は、宝珠を駆使し妖力を封印することに成功。さらに、玄奘は力を失った太郎(松山ケンイチ)を引き取り、旅に同行させることに。道中さまざまな騒動を巻き起こす太郎は……。(シネマトゥデイより引用)

 

 

感想

まず、最初に書いておかなくてはならないのは、『内容がぶっ飛びすぎてて一般受けはしないが、極一部の熱狂的なファンに愛されるマンガの実写化作品の系譜』という流れが邦画にはあって、一部の好事家の間ではちゃんと需要がある(多分)ということです。
そして、漫☆画太郎先生のマンガの実写化はこれが初めてではありません。
地獄甲子園 BATTLE FIELD STADIUM」(2003)、「地獄甲子園外伝 ラーメンバカ一代」(2003)、「漫・画太郎SHOW ババアゾーン(他)」(2004)と、三作の作品が作られていて、その三作すべての監督が、本作の監督も務めた山口雄大監督なのです。

ざっくりストーリー解説

本作のストーリーをざっくり一言で書くと、西遊記のパロディーです。
妖力を持つ超不良少年山田太郎を更生させるため旅の僧 玄奘が一緒に天竺を目指すというストーリー。
ちなみに不良時代の太郎をピエール瀧が、玄奘との戦いで妖力を失った太郎を松山ケンイチが演じていますよ。

映画冒頭、倉科カナ演じる玄奘にいきなり「ち〇こ」と連発せることで「はい、見ての通りふざけた映画ですよ」と観客に分からせるわけですが、後はもう小学校三年生のバカな男子が考えたようなストーリーが延々延々延々続きます。

良かったところ

こんな風に書くと、どうにもならない酷い映画かと思われるかもしれないし、実際ほぼその通りなんですが、良かったところもあります。

まず、映画のルック。
玄奘と太郎がたどり着く町は、いかにも昔のカンフー映画に出てきそうなオープンセット? になっていて、建物や町人の衣装などもそれなりにちゃんとしているので、映画としてのルックはわりと豪華に見えるんですよね。
もちろんセットとCGを組み合わせてはいるんでしょうけど、この手の作品にありがちな、あからさまな安っぽさはあまり感じませんでしたねー。

そして、温水洋一酔拳
映画の中で、松山ケンイチ演じる太郎と温水洋一が対決するシーンが、本作の実質的なクライマックスなんですが、アル中の温水洋一が繰り出す酔拳が思った以上にジャッキー・チェン酔拳をオマージュしてるんですよねー。
僕はてっきり、アクション部分はスタントマンが演じてるんだろうと思ったんですが、松山ケンイチさんのインタビューを読むと、温水洋一さんがスタントなしで演じていたそうで、ちょっとビックリ。

温水さん動けるんじゃん! と。

あと、カット割りなんかも結構しっかり「酔拳」を模してて、個人的に好感が持てましたねー。

あと、ラストも完全に「酔拳」(というかジャッキー・チェンの「〇〇拳シリーズ」)のオマージュになってて、ジャッキーファンの僕としては少しだけ嬉しかったです。

良くなかったところ

っていうか、上記の3つ以外は基本全部酷いんですけど、とはいえ、やたら裸や尻を出すとか、オナラとか、ウ〇チとか下品で下らないギャグの連発は原作が原作だからまぁ仕方ないと思うし、原作通りは当然無理としても、雰囲気だけでも入れ込みたいという気概は感じなくもないんです。
、外しのギャグっていうか、いわゆるオフビートな笑いのシーンが、尽くボケとツッコミで構成されてる、いわゆるテレビ的なお笑いメソッドで正直うんざり

いや、これは本作だけじゃなくて、よく見かける邦画コメディーの病理なんですけど、もう、本っっっっっっっ当に辞めてほしい!
深夜ドラマとかなら笑いとして成り立つけど、映画でやるとマジでお寒い感じになっちゃうから!

テレビ的なことがやりたいならテレビでやればいいわけで、たとえ内容は下品でもくだらなくてもいいから、ちゃんと映画の笑いを見せてほしいって思いました。

あと、100分はいくらなんでも長すぎ
80分くらいに削って、全体的にテンポアップしたほうがいいんじゃないかと思いました。

とまぁ、この映画を観て文句を書く事自体、当たり屋みたいでアレなんですけどねー。

最初に書いたように、こういうタイプの作品を好む好事家のファンや、原作ファンの人なら楽しめるかもしれないし、ネット評でもわりと好意的な意見もあったので、好きな人は好きな映画かもしれません。

興味のある方は是非。

 

パッケージの地雷臭がスゴイ! 「スタング 人食い巨大蜂の襲来」(2016)*ネタバレ

ぷらすです。

今回ご紹介するのは、人食い巨大蜂が人類を襲うパニックムービー、
『スタング 人食い巨大蜂の襲来』ですよー!

DVDジャケットの地雷臭があまりにスゴくて、手が出す勇気が持てなかった作品なんですが、「未体験ゾーンの映画たち2016」上映作品と知って、今回思い切って観てみることにしましたよー!

なお、今回はネタバレ全開、悪口も満載になると思うので、本作が好きな方、ネタバレが嫌な方は、スルーしていただけると嬉しいです。

いいですね? 注意しましたよ?

https://images-na.ssl-images-amazon.com/images/I/81DLgRbjzvL._SL1462_.jpg

画像出典元URL:https://www.amazon.co.jp このジャケットの地雷臭w

あらすじと概要

「武器人間」「ザ・レイド」の制作会社・XYZ Filmsが手がけ、巨大スズメバチに襲撃され地獄と化したパーティ会場の惨劇を描いたモンスターパニックアクション。

ストーリー:ケータリング会社を営むポールとジュリアは、田舎の豪邸で開かれるホームパーティに出張する。ところが、華やかなパーティ会場を突如として獰猛なスズメバチの大群が襲撃。参加者たちがパニックに陥る中、刺された人々の体内からさらに巨大化したスズメバチが這い出してくる。

出演は「エデン」のマット・オリアリー、「パシフィック・リム」のクリフトン・コリンズ・Jr.、「エイリアン2」のランス・ヘンリクセン。監督は、ラース・フォン・トリアーの「メランコリア」でVFXを担当したベニ・ディエズ。ヒューマントラストシネマ渋谷、シネ・リーブル梅田で開催の「未体験ゾーンの映画たち 2016」上映作品。(映画.comより引用)

 

 

感想

ざっくりストーリー紹介

父が急死し、ケータリング会社の社長を務めることになったジュリア(ジェシカ・クック)と従業員のポール(マット・オリアリー)は、金持ちが集まる郊外の豪邸に向かいます。
その車中での会話で、ジェシカは会社を守ろうと必死、一方のポールは頼りないボンクラだと分かるんですね。

で、そのパーティーの主は怪しげな製薬会社の社長を亡くした未亡人のおばあちゃんと、いかにもなボンクラ息子シドニー。(クリフトン・コリンズ・Jr.)
パーティーには市長(ランス・ヘンリクセン)を始め地元の名士が集って盛況なんですが、突如現れた手のひらほどもあるスズメバチ(というかジバチ?)が襲来。
しかもその蜂は襲った人間に卵を産み付け、あっという間に孵化した卵はあっという間に人間大の成虫となって体内を突き破り次の人間を襲うわけです。

襲われた人間の体から、次々と巨大蜂が生まれる地獄絵図の中、何とか屋敷に逃げ込み生き残ったジェシカ、ポール、市長、シドニーの4人でしたが、実はこの巨大蜂はシドニーが市販の肥料に父親の作った成長ホルモンを混ぜたせいだった事が判明。

しかも、シドニーも蜂に刺されていて、ハイブリット蜂人間になった彼は、三人に襲いかかってくるのです。

映像は悪くない

とまぁ、いかにも低予算のB級映画といった内容の作品なんですが、意外にも(失礼)
映像のルックはそんなに悪くなかったんですよねー。
卵を産み付けられた人の身体を突き破って出てくる巨大蜂のシーンは、80年代の特撮ホラーを連想するいい感じの作りだったし、巨大蜂の頭部に人間の顔の一部が残ってる演出なんかも気持ち悪くていい感じでしたねー。

http://img.eiga.k-img.com/images/movie/83674/gallery/main_large.jpg?1448876197

画像出典元URL:http://eiga.com どこか80年代を思わせる造形

CGの方も、思ったほど悪くなくて、(暗い画面だからって事もあるんですが)いかにもな安物CGって感じはしませんでしたねー。
セットもちゃんと作られていたし、映画全体のルックはそれほど悪くないのです。

問題は余計な詰め込みと間の悪さ

ただ、(多分ですが)脚本と演出に問題があったんじゃないかなと。
まず、物語にメリハリがない。
例えば4人が地下のワインセラーに立てこもって、それぞれの過去を語るシーン。
そこで、バカ息子のシドニーが蜂に刺されて体内で蜂が動いてるのが分かるんですけど、その様子が何度も何度も小分けに撮されるわけですよ。
市長(ランス・ヘンリクセン、エイリアン2に出てた人なんですね)とポールが、
どーでもいい過去を語っている合間合間にシドニーのそのシーンが細切れに挟まれてて………
お前が邪魔で話に集中できないわー!(。・д・)ノ)´Д`)ビシッ
ってイライラ。しかも、間が悪いので「くるぞくるぞ…」っていうサスペンスにもなってないんですよねー。
しかも、シドニーが襲いかかる様子は、カメラが外にいるポールを追いかけてるので映ってないっていうね。

豪邸から逃げ出そうとするも、蜂に邪魔されるシーンも、似たようなシーンが何度も繰り返されてグダグダグダグダギダグダグダ……
そんなにいらんわー!(`ロ´)ノムキー!

しかも合間合間で、ポールのズッコケシーンみたいのを挟むので更にテンポはグダグダ。こっちが物語に乗りかけても、そういう余計な演出で冷めちゃうのです。

カッコつけてるけど様にならないキャラなのは分かるんですけど、なんかこう中途半端でイライラしてしまう。
役立たずなら役立たずに振り切ればいいし、ヒーロー感出したいならそっちに振り切ればいいのに、何だかどっちつかずなので、ジュリアの男前な活躍も活きないのです。

あと、いつ蜂が出てくるかとドキドキ…からのドーン! 美味しいシーンも、間が悪いので全然ビックリしないんですよ。お、おう…的な。

ちなみに役者さんたちは、ちゃんと熱演してるんです。
なのに、演出と編集の間の悪さがせっかくの熱演を台無しにしてるように思ったし、上狙いは分かるけど出来てないなーと。

とはいえ、冒頭の映像は面白くなりそうな期待が持てたし、ポールとジェシカの車中のやりとりがラストに繋がってる伏線なんかは、割と気が利いてるなと思いました。
あと一回助かったと思ったら~的なラストは鉄板だけど中々いい感じでしたしね。
そこも正直、もうちょっといい感じに〆られたんじゃないの?とは思いましたけども。

まぁ、この手の映画に文句をつけるのが野暮なのは重々承知してはいるんですが、「B級映画だから」とか「低予算だから」の問題じゃなく、間の悪さとかとっ散らかってる部分が気になっちゃうのはもったいないなーと思うんですよね。

前述したように映像自体はそんなに悪くないだけに、もし、違う監督が撮ったら意外といい感じの映画になってたかもと思うと、かなり残念な気持ちになりました。

ただ、ほかの人のネット評を読んでみると概ね好評なので、単純に好みの問題なのかなー?

そんな訳で僕の好みには合わない作品でしたが、映像や造形は結構良かったし時間も短いので、サクッと観るにはいいかもしれません。

興味のある方は是非