今日観た映画の感想

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現実と夢が交差するデビッド・リンチの裏・ラ・ランド「マルホランド・ドライブ」(2002)【ネタバレ有り】

ぷらすです。

今回ご紹介するのは、「ツインピークス」などで知られる巨匠デビッド・リンチが、第54回カンヌ国際映画祭で監督賞を受賞した作品『マルホランド・ドライブ』ですよー!

事前に“難解な映画”という話を聞いていたので、それなりに覚悟して観たんですが、本当に難解な映画でしたww

というわけで、ネタバレ無しで語るにはあまりに難しすぎる作品なので、今回はネタバレ有りの感想になります。

もし、これから本作を観ようという方は先に映画を観て、それからこの感想を読んでくださいねーw

いいですね? 注意しましたよ?

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あらすじと感想

ある真夜中、マルホランド・ドライブで車の衝突事故が発生。ただ独り助かった黒髪の女は、ハリウッドの街までなんとか辿り着き、留守宅へ忍び込む。すると、そこは有名女優ルースの家だった。そして、直後にやってきたルースの姪ベティに見つかってしまう。ベティは、とっさにリタと名乗ったこの女を叔母の友人と思い込むが、すぐに見知らぬ他人であることを知った。何も思い出せないと打ち明けるリタ。手掛かりは大金と謎の青い鍵が入った彼女のバッグ。ベティは同情と好奇心から、リタの記憶を取り戻す手助けを買って出るのだが…。(allcinema ONLINEより引用)

 

感想

超ザックリ デビッド・リンチについて。

イレイザーヘッド」「エレファント・マン」「ブルーベルベット」など、独特な世界感と感性で、多くのファンを持つリンチですが、彼の名を世界的に知らしめたのは何といっても1989年にスタートしたテレビドラマシリーズ「ツインピークス」ではないかと思います。

当時を知る人なら覚えていると思いますが、「ツインピークス」は日本でも社会現象になるくらい大ヒットしましたよねー。(ちなみに僕は流れに乗り遅れて「ツインピークス」観たことないんですけどねw)

そんなリンチがテレビドラマ用に手がけた本作「マルホランド・ドライブ」でしたが、最終的にテレビ局側に却下されお蔵入りの危機に。
しかし、その後フランスの配給会社Canal Plusが出資して映画化されたんだそうです。

4人の女性

本作では4人の女性が登場します。

前半は
交通事故で記憶を失ったリタ。
女優の叔母を頼ってハリウッドにやってきたベティ。

後半は、
売れない女優のダイアン。
売れっ子女優でダイアンの恋人カミーラ。

で、ベティとダイアンをナオミ・ワッツが、リタとカミーラをローラ・ハリングが、それぞれ一人二役で演じているんですが、リタとカミーラはそもそも同一人物で、ベティとダイアンも同一人物なんですね。

虚構と現実がごちゃまぜのリンチスタイル

物語の流れをザックリ箇条書きにすると、

ハリウッドに実在する道路、マルホランド・ドライブで撃ち殺されそうになった女(リタ)は、暴走車の追突で運良く助かりその場を逃げ出す。

たまたま旅行に出た夫婦の家に潜り込み隠れていると、入れ替わりにやってきた夫婦の姪で女優志望のベティと鉢合わせ、そこで女は部屋のポスターの女優の名リタを名乗り、自分が記憶を失っている事を告白。

リタの所持品は、大金と青い鍵だけだった。
そこでベティと共に自分が誰なのかを調べ始める。

リタがウェイトレスの名札からダイアン・セルウィンという名前を思い出し、電話帳で調べた住所に向かうも、ダイアンはミイラ化した死体になっていた。

ベティは叔母のコネでオーディションを受け、天才的な演技力で絶賛される。

いつの間にか愛し合っていた二人はベッドイン。

深夜、急に「何か」を思い出したリタは、謎の劇場『クラブ・シレンシオ』で謎の公演を観る。

そこでベティのバッグに入っていた青い箱を発見した二人は家に戻り、青い箱をリタの鍵で開ける。

大分端折りましたが、ここまでが前編です。
で、ここから後編。

売れない女優のダイアンは、売れっ子女優のカミーラと恋人同士だったが、最近カミーラがつれない態度。そしてとうとう別れを告げられる。

傷心のダイアンにカミーラからの電話でパーティーの誘いが。
喜んだ彼女はパーティー会場に向かうも、ダイアンの目の前でカミーラが映画監督との結婚を発表。しかも別の女にも手を出していてダイアンは3股をかけられていた事が判明。

怒ったダイアンは、殺し屋にカミーラ殺害を依頼。
殺し屋は「殺しが成功したら、青い鍵を渡す」と言う。

非道い扱いを受けたもののカミーラを愛していたダイアンは、自分のしたこと(殺人依頼)を後悔し、次第に精神が病んで妄想の世界に逃げ込む。

自宅で青い鍵を発見。
同時に、ドアが激しくノックされ追い詰められ精神が崩壊した彼女は自殺する。

 

ここまで読んで、すでにお気づきの方もいらっしゃるかもですが、実はこの映画前は半部分と後半部分が入れ替わっていて、ベティが主人公の前半部分はダイアナのドリーム妄想。ベティというのはダイアナの「こうだったら良かった」という理想の姿なわけです。

現実・妄想・回想が映像的な区別なく同列に入り混じるリンチスタイルに惑わされ、よく分からない複雑なストーリーに見えますが、つまり、本作は失恋した女性ダイアンが、妄想の中で想いを遂げるという、愛憎のストーリーなんですね。

そこに、リンチ特有の映像とセリフの“雑音”とヒントを散りばめることで、ミステリー(というか幻想ストーリー?)にしているわけです。

例えば前半、物語に全く関係ないふたりの男がダイナーで「夢」の話をしています。
片方の男の夢に2回、このダイナーが出てくると。
そして自分は何故かそのダイナーをとても恐れていて、その理由はダイナーの裏に恐ろしい男がいるからだと言う。

じゃぁ、そんな男がいない事を確認しようと相手の男が言い、二人でダイナーの裏手に行くと、本当に恐ろしい顔の男がいて、夢の話をした男はそのまま倒れてしまう。

物語にまったく関わらない孤立したエピソードなんですが、このシーンで、この前半部分は夢の話ですよという事を表しているみたいです。

実際なら本当に恐ろしい男がいたところで、襲われるわけでもなんでもないし、その男を見ただけで倒れてしまうわけもないですしね。

『クラブ・シレンシオ』とカーボーイ

本作で妄想と現実の分岐点となるのが、ベティとリタが夜中に行く劇場『クラブ・シレンシオ』です。
そこで、支配人らしき男が、「楽団はいません、これは全部テープです。オーケストラはいません、これは全部まやかしです」という口上を述べるんですね。
ちなみに、「シレンシオ(お静かに)」は「黙祷」の意味もあるので、ここは生と死の狭間のような、日本風に言えば三途の川みたいな場所なのかもしれません。

ここで初めてリタは全てを思い出します。自分が既に死んでいる事も。

あと、本作では謎のカーボーイが登場するんですが、これは単純に死神なんだと思います。映画監督がこの男に合うのは、それがダイアンの妄想の中だからで、妄想パートでの映画監督はずっと非道い目に合いまくってるのも、自分からカミーラを奪った監督に対する復讐なんですね。
あとは、監督の思い通りに映画が作れないハリウッドに対するリンチの批判みたいなのも入ってるのかな?

また現実では、カミーラとダイアンは同じ映画のオーディションを受けてるんですが、監督が選んだのはカミーラだった事もあり、その分の復讐も入っているんですよね。

裏・ラ・ランド

本作は、女優として成功しなかった女性の物語です。
そういう意味では、今年公開の「ラ・ラ・ランド」と少し構造が似ているような気がしないこともないというか。

ラ・ラ・ランド」の二人は一応の成功を収めつつも、「もしかしたらあったかもしれない未来」に想いを馳せるストーリーで、本作は成功出来なかった主人公が「こうだったらよかったのに」という妄想に浸るストーリー。

形や表現不法は全く違いますが、夢を追う者の物語というモチーフは同じで「ラ・ラ・ランド」が万人受けする「表」なら、本作「マルホランド・ドライブ」は「裏」って感じがしましたねー。

今回はいつもに比べて随分長くなってしまいましたが、つまり本作はそのくらい「語りたくなる」作品なんですよねー。多分、本作を観たらあなたも……w

というわけで、興味のある方は是非!!

 

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ひと組の母子が“世界”を受け入れるまでの物語「ルーム」(2016)

ぷらすです。

今回ご紹介するのは、第88回アカデミー賞4部門にノミネート、主演女優賞を獲得した他、世界の映画祭でも数多くの賞に輝いた作品『ルーム』ですよー!

重そうな内容だったので中々観る勇気が出なかったんですが、今回意を決して観てみましたー。(´∀`)ノ

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あらすじと概要

エマ・ドナヒューの小説「部屋」を、『FRANK -フランク-』などのレニー・アブラハムソン監督が映画化。7年間も密室に監禁された女性が、そこで生まれ育った5歳の息子のため命懸けで脱出に挑み、長い間世間から隔絶されていた彼らが社会に適応していく過程を描く。主演は、『ショート・ターム』などのブリー・ラーソン。生まれて初めて外の世界に触れた息子の戸惑いを、子役のジェイコブ・トレンブレイがみずみずしく演じる。

トーリー:施錠された狭い部屋に暮らす5歳の男の子ジャック(ジェイコブ・トレンブレイ)と、母親ジョイ(ブリー・ラーソン)。彼女はオールド・ニック(ショーン・ブリジャース)によって7年間も監禁されており、そこで生まれ育った息子にとっては、小さな部屋こそが世界の全てだった。ある日ジョイは、オールド・ニックとの言い争いをきっかけに、この密室しか知らないジャックに外の世界を教えるため、そして自身の奪われた人生を取り戻すため、部屋からの脱出を決心する。(シネマトゥデイより引用)

 

感想

残酷な世界を少年の瑞々しい視点で描く

本作は公開時から話題になってたし評価も高かったので気にはなってたんですが、理不尽系の映画は苦手なので観るのに少々覚悟が必要かなーなんて思っているうちに、すっかり時間が経ってしまいました。
でも、いざ観てみたら、とてもいい映画でしたよ!

トーリーを超ザックリまとめると、

17歳で誘拐され7年間も納屋に監禁されていたジョイ(ブリー・ラーソン)は、誘拐犯の子供ジャック(ジェイコブ・トレンブレイ)を身ごもり納屋の中で出産。→

やがて5歳になったジャックとジョイはついに開放される。→

ところがジョイは7年間、ジャックは生まれてからずっと、納屋の中しか知らなかった二人は「外の世界」を受け入れきれずに苦しむが……。
という三部構成になっています。

ね? 重そうでしょ?

実際起こっている事象は非常に重くて残酷で理不尽なんですが、本作ではそうした重い物語を、ジャックの一人称で描くことで「重くなりすぎないように」バランスが取られているんですね。

納屋の中で生まれ育ったジャックにとって、狭い部屋(ルーム)の中だけが「世界の全て」です。

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彼と世界を繋ぐのは映りの悪いテレビと、小さな天窓だけ。
そんな彼が納屋を脱出し初めて外に「世界」があることを“知った”時の恐怖や戸惑いと同時に、瑞々しい驚きと感動を、観客はジャック=少年と同じ視点で追体験するという作りになっていて、それが本作の生々しい重さを中和する役目を担っているんですね。

このジャックというキャラクターはとても重要かつ難しい役柄なんですが、そんなジャック役を当時まだ9歳のジェイコブ・トレンブレイが見事に演じていてビックリしましたねー。

7年という時間

一方、母親のジョイにとって「生きる」ために誘拐犯の言いなりになっていた7年間はまさに地獄の日々。
ジャックという希望を支えに過酷な地獄を生き延び、そしてついに牢獄から開放された彼女はしかし、失った7年という時間の重さを思い知ることになります。

両親の離婚、世間の好奇の目、知ってしまった父親の弱さ、「世界」から取り残された苛立ちと焦り、心無いマスコミの質問。

家に帰れば全ては元通りになると思っていた彼女でしたが、7年という時間は彼女から多くを奪い、「世界」は彼女の知るそれとは別物になってしまっていたわけです。

未知の「世界」にやってきたジャックと、別の「世界」に戻ってきたジョイ。
本作は、このふたりの母子が、それぞれの「世界」を受け入れて一歩を踏み出すまでを描いた作品なんですね。

普遍的なテーマ

一見特殊な設定の本作ですが、そこに描かれているのは、多かれ少なかれ誰もが経験したことのあるだろう「自分と世界」との関わりを寓話的に描いた成長の物語で、だからこそ「可哀想な母子の物語」ではなく、観た人の記憶と共感を呼び覚ます作品として観た人の心を揺さぶるんだと思います。

ついつい敬遠しがちな重い作品だし、好き嫌いは分かれるかもしれませんが、個人的には観て良かった一本になりましたよ。

興味のある方は是非!

 

 

愛する子猫を救うためギャングの巣窟に潜入!?「KEANU/キアヌ」(2016)

ぷらすです。

今回ご紹介するのは、昨年米国で制作公開されたコメディー映画『KEANU/キアヌ』ですよー!
映画好きのただのおっさん二人が、愛する子猫を救うためギャングの巣窟に潜入するドタバタアクションコメディーです!

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画像出典元URL:https://www.amazon.co.jp/

あらすじと概要

アメリカの人気お笑いコンビ、キー&ピールが主演を務め、盗まれた子猫を救うためギャング団に潜入した男たちが巻き起こす騒動を描いたアクションコメディ。恋人に振られて失意の底にいた冴えない男性レルは、自宅にやって来た子猫にひと目で魅了され、キアヌと名付けて一緒に暮らしはじめる。ところがある日、レルの家に強盗が入り、キアヌが誘拐されてしまう。レルは愛するキアヌを取り戻すべく、従兄弟のクラレンスと共に殺し屋に成りすましてギャング団に潜入。しかしキアヌのあまりの可愛らしさに奪い合いがはじまり、ついには飼い主の座をめぐってギャングどうしの抗争が勃発してしまう。キアヌ・リーブスが声の出演。(映画.comより引用)

 

感想

キアヌ・リーブスが子猫に!?

本作は、アメリカの人気お笑いコンビキー&ピール(キーガン=マイケル・キー/ジョーダン・ピール)が主演・脚本・制作を務めるアクションコメディーです。

”ある”勘違いから愛する子猫を誘拐されたごく普通の黒人二人組がギャング団の巣窟に潜入。そこで殺し屋と勘違いされ騒動に巻き込まれていくという物語。

ちなみにタイトルの「キアヌ」は子猫の名前で、その声を大スターのキアヌ・リーブスが当ててますよ。仕事選べキアヌ

で、主演の二人は日本ではあまり名前を知られていないと思うんですが、米国では冠番組ジョーダン・アンド・ピール』を持つほど大人気なんだとか。

本作では、恋人に振られて失意のどん底にいた冴えない男性レル役をジョーダン・ピールが、レルの従兄弟で真面目すぎる男クラレンスをキーガン=マイケル・キーがそれぞれ演じています。

この二人はそれぞれ、映画とジョージ・マイケルが大好きなボンクラという設定で、映画の随所に映画ネタやジョージ・マイケルネタが盛り込まれているんですね。
というかそもそも、タイトルを「キアヌ」にしたのも、(多分)キアヌ・リーブス主演で、飼い犬の復讐の為にギャングを皆殺しにする殺し屋の映画「ジョン・ウィック」が元ネタになってるからじゃないかなーとw

映画中盤、子猫のキアヌが、キアヌ・リーブスの声で「マトリックス」の名セリフを喋ったりしますしね。
ホントに仕事選べキアヌ

そんなこんなで、子猫のキアヌを取り返すためギャング団のアジトに乗り込んだ二人ですが、彼らはいわゆる黒人ギャングスタ独特の言葉使いは使わない、通流階級の極々普通のボンクラアメリカンで、それでもただの素人だと相手にバレないよう、必死にギャングスタ言葉(ヘイメーンとかブラザーとか黒人ラッパーが使いそうな言葉)を使うところが笑いどころみ。
ただ、日本人で英語が分からない僕には、何となく雰囲気は伝わるけどイマイチピンとこなかったかなー?

で、二人は、極悪な殺し屋に間違われたり、麻薬売買を手伝ったり、ギャング同士の抗争に巻き込まれたり、殺し屋に捕まったりと散々な目に合いながら、何とかキアヌを取り戻そうと頑張るわけです。

ジョージ・マイケル推し

本作でキーガン=マイケル・キー演じるクラレンスが、車でいつも効いているのが、「ワム!」のジョージ・マイケル
なので事あるごとにジョージ・マイケルの曲が流れ、最終的にギャング団のチンピラたちとクラレンスがジョージ・マイケルの歌を合唱したり、劇中で本人らしき人(多分本人の過去映像と合成?)が登場したりと、とにかくジョージ・マイケル推しまくり。

デッド・プールでも「ワム!」がフューチャーされてたけど、今、米国では「ワム!」ブームがキテるんですかね?w 

カワイイは最強

本作では、強面ギャングも、殺し屋も、ボンクラも、みんな子猫のキアヌにメロメロで、最後にはキアヌの奪い合いで抗争が起こる始末。

いやいやそんなバカなと思うかもですが、このキアヌが超絶カワイイので、そりゃあ奪い合いになるのも納得です。カワイイは最強ですね
しかもかなりの芸達者ぶりで、最初はCGで作ってるのかと思ったんですが、メイキングを観ると本当の子猫で色々工夫しながら撮影したみたいですね。

そんなキアヌの超絶カワイイ姿も観られる本作は、猫好きの人にもオススメ?ですよ!

興味のある方は是非!

 

▼予告編▼

www.youtube.com

 

 

ジョニデがカメレオンで西部劇!?「ランゴ」(2011)

ぷらすです。

今回ご紹介するのは、2011年公開の3DCGアニメ『ランゴ』ですよー!
ジョニー・デップゴア・ヴァービンスキー監督という「パイレーツ・オブ・カリビアン」コンビが、今度はアニメで西部劇に挑んだ作品です!

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画像出典元URL:http://eiga.com

あらすじと概要

パイレーツ・オブ・カリビアン』シリーズを大ヒットへと導いた名コンビ、ジョニー・デップゴア・ヴァービンスキー監督が再びタッグを組んだ新感覚アニメ。自分探しを続けるさすらいのカメレオン、ランゴの声をジョニー・デップが担当する。『お買いもの中毒な私!』のアイラ・フィッシャー、『リトル・ミス・サンシャイン』のアビゲイル・ブレスリンも声優参加。役者の演技をもとに描かれたリアルなアニメーション映像に注目だ。

トーリードライブ中に水槽ごと道路に投げ出されてしまい、砂漠でさまよう羽目になったカメレオン、ランゴ。自分とおもちゃしかいなかった水槽の世界から一転、ダートという町に流れ着いたランゴは、人間関係、生存競争などに満ちた現実世界の厳しさを知っていく中、町からなくなった水を取り戻す依頼を受ける。(シネマトゥデイより引用)

 

感想

ジョニー・デップがカメレオンガンマンに

本作の内容をザックリ一言でいうと、「自分探しをするカメレオン」の物語。

お前は何を言ってるんだと思われるかもしれませんが、本当にそういう話なんだからしょーがないw

飼い主とドライブ中に、アクシデントからハイウェイに投げ出されてしまったカメレオンは、砂漠を彷徨ううちにダート(土の町)にたどり着きます。
そこは砂漠の生き物たちが暮らす西部劇そのまま町で、ナメられてはいけないと思ったカメレオンは、酒瓶に書かれていた文字を取って「ランゴ」と名乗り、嘘八百のハッタリと偶然タカを倒したことで、ダートの保安官に。

この町は水不足に喘いでいるんですが、そんなある日水を貯蓄する『水銀行』のタンクの中の水まで何者かに盗まれ、保安官のランゴは仲間と共に捜索を始めるが……。

というお話。

たまたまヒーローと勘違いされた偽物が、挫折を経て本物のヒーローになるという、何百本と作られてきた物語なんですが、最初は名前すらない主人公が名前と立場、仲間を得て「自分を確立」していくという普遍的なテーマを乗っけていること、その主人公に自分の色を変えて擬態し、背景に溶け込むカメレオンを当てたところは上手いなーと思いましたねー。

また、そんなカメレオンの役に、カメレオン俳優として知られるジョニー・デップを配したのもナイスキャスティングなんじゃないかと思いました。

魅力的なキャラクターデザインとILMの技術

本作で登場するキャラクターは、ぶっちゃけ全然可愛くありません。
これは、ゴア・ヴァービンスキー監督の意向で、動物たちを70年代の「マカロニウエスタン」に登場するような薄汚くてアクの強いオッサンに似せてキャラクター設定をしているからです。

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画像出典元URL:http://eiga.com ランゴと仲間たち

ところが、可愛らしさを排除することで、「マカロニウエスタン」らしさを増していて、ピクサーやディズニーといった米国3Dアニメとは一味違ったハードボイルド感が出てるんですよねー!

そんなキャラクターやストーリー・設定などを、ゴア監督が庭のある大きな家を用意し、脚本家やキャラクターデザイン、アニメーターなど20人と一年以上かけて映画の原型を作り上げ、その後、スターウォーズを作るためにルーカスが作ったSFXの会社『ILM』で完成させたんですねー。

実写映画の監督と特殊撮影最高峰のスタッフが作るアニメーションは、ぱっと見本当に実写と見まごうばかりのリアルさ。

また、役者陣もマイクの前で演技するのではなく、簡易セットの中で動きながら撮影し、その様子を撮影してモーションキャプチャーでアニメーションキャラクターに反映させていったそうですよ。

西部劇オマージュの数々

ゴア監督が西部劇、特にマカロニウエスタンが大好きということで、本作では西部劇の名シーンのオマージュがこれでもかとてんこ盛りだそうです。

一番わかりやすいのが、主人公が名乗る「ランゴ」という名前。
これは多くのマカロニウエスタンの主人公が名乗る「ジャンゴ」オマージュですね。
また、酒瓶の文字から名前を思いつく件なんかもきっと「ジャンゴ」オマージュなんでしょうけど、その元ネタは黒澤明の「椿三十郎」だったりするので、往年の映画ファンの人なら思わずニヤリとしてしまうんじゃないでしょうか。

僕はあまり西部劇は明るくないのでよく分かりませんでしたけど、声優にも往年の西部劇俳優が器用されてたり、マカロニウエスタンの暴力描写をハリウッドに逆輸入したサム・ペキンパーオマージュもたっぷり入っているんだとか。

あと中盤でランゴが「西部の精霊」と出会うというシーンがあるんですが、この精霊がどう見ても“あの人”なんですよねーww
声優はご本人ではないようですが、吹き替え版で観ると「あれ!? 山田康雄!?」って一瞬ビックリしましたよw(実際には多田野曜平さんが、山田康雄さんの声を真似て当てているようです)

スッキリ楽しい作品

そんな感じで従来の3Dアニメーションとは一味違う本作ですが、さすが『パイレーツ・オブ・カリビアン』シリーズのゴア監督だけあって、見せ場も満載だしストーリーも面白いザ・エンターテイメントでした。

欲を言えばランゴがカメレオンの特性(色を変えて周囲に溶け込む)を活かして活躍するシーンが欲しかった気がしますが、映画のテーマを考えればカメレオン=何者かに成りきるという本作の展開で良かったのかもしれません。

ともあれ、個人的には大いに楽しめた作品でしたよー!

興味のある方は是非!!

 

 

予想以上に攻殻機動隊だった!「ゴースト・イン・ザ・シェル」(2017)

ぷらすです。

今回ご紹介するのは、先週末公開された話題の映画『ゴースト・イン・ザ・シェル』ですよー!

士郎正宗の同名人気マンガ原作で、アニメの方も人気の本作。
正直観るまでは、期待と不安が半々くらいだったんですが、思った以上にしっかり「攻殻機動隊」してましたよー!

というわけで、まだ公開されたばかりの作品なので、出来るだけネタバレをしないよう注意しますが、もしこれから映画を観に行く予定の方は、映画を観てからこのブログを読んでくださいねー。

いいですね? 注意しましたよ?

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画像出典元URL:http://eiga.com

あらすじと概要

スノーホワイト』などのルパート・サンダーズが監督を務め、士郎正宗のSF漫画「攻殻機動隊」を、スカーレット・ヨハンソンビートたけしらを迎えて実写映画化。近未来を舞台に、脳以外は全身義体の少佐が指揮する捜査組織公安9課の活躍を描く。『イングリッシュ・ペイシェント』などのジュリエット・ビノシュや『シルク』などのマイケル・ピットらが共演。敵と対峙(たいじ)する公安9課を、どのように描くのかに注目。

トーリー:近未来。少佐(スカーレット・ヨハンソン)は、かつて凄惨(せいさん)な事故に遭い、脳以外は全て義体となって、死のふちからよみがえった。その存在は際立っており、サイバーテロ阻止に欠かせない最強の戦士となる。少佐が指揮するエリート捜査組織公安9課は、サイバーテロ集団に果敢に立ち向かう。(シネマトゥデイ より引用)

 

感想

アニメ版とは違う軸の物語

本作は、1995年公開の押井守版『GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊』をベースにしているものの、舞台や登場キャラの設定、ストーリーはかなり変えられています。

なので、アニメ版を追ってきた人には違和感があるかもしれないですが、個人的には近未来アクション映画として楽しめました。
まったくの別物っていうのではなく、原作、アニメ版とは違う軸のパラレルワールド的な作品って感じでしょうか。(アニメ版も基本設定は共有してるものの、押井版、神山版、黄瀬版はそれぞれパラレルワールド的って言えますしね)

アニメ版、特に神山版のロジカルな物語が好きな人には食い足りなさがあるかもしれませんが、本作ではストーリーを分かりやすくシンプルにした分、映像やアクションに力を入れている感じで、特に映像の方は実写化ゆえの驚きがあったし、一作目=お披露目という意味では、このくらいのバランスがベストなんじゃないかと思いましたねー。

スカヨハ問題

主人公の「少佐」役を白人のスカーレット・ヨハンソンが演じることについて、海外では賛否両論が巻き起こっているという話も入ってきていましたが、スカヨハの少佐は思った以上にハマっていて、個人的にはとても良かったと思います。

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スカヨハの人形めいた美しさはそのまま草薙素子義体という設定と違和感がなかったし、少佐のボディーを制作している会社の社長や博士も白人なのを考えれば、脳は日本人でもボディーが白人という設定も違和感がないですし。

あと、舞台を何処かに特定せずに、国籍不明な“どこか”っていう工夫もされてましたしね。

映像の面白さとテーマ

予告編を観た人は分かると思いますが、この世界では企業看板がホログラフになっていて、高層ビルの間をでっかい人が動いてたり、空中を大きな錦鯉が泳いでいたりして、分かりやすく未来感を提示しつつ、一方で寂れた集合住宅や繁華街のような雑然とした町並みも同居していて、「ブレードランナー」と押井版「ゴースト・イン・ザ・シェル」「イノセンス」を足して3で割ったようなザ・サイバーパンクな世界観になっているんですね。

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アクションシーンも、押井版「ゴースト・イン・ザ・シェル」そのままなシーンが沢山出てきて、原作(というかアニメ版?)に対するリスペクトが感じられるのも良かったです。

あと、個人的に一番心配だったのは、アニメ版三作に共通するテーマである「ネットによって繋がった脳と機械の身体を持つようになった時に、自分を自分たらしめる『魂(ゴースト)』はどこにあるのか」の部分をちゃんと描いているかだったんですが、本作ではストーリーやキャラ設定は変えつつも、その部分はしっかり押さえてくれていたので安心しました。

逆にコレさえちゃんと押さえていてくれれば、キャラや内容は変えられても「攻殻機動隊」って言えるんじゃないかなと思うんですよね。

気になったところ

役2時間しかないので仕方ない部分ではあるんですが、公安九課のメンバー、サイトー、イシカワ、ボーマが一瞬しか登場せず(ラドリヤという女性キャラが加わってたけど)、チーム戦というより少佐の個人戦っていう感じだったのは少し残念だったかも。

もし次回作があるなら、チームとしての公安九課の活躍が観たいって思いました。

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たけしさんの荒巻はアニメや原作とは全然違って結構な武闘派でしたけど、あれはあれでアメリカ的でカッコよかったと思いますねー。

ちなみに、今回僕は時間が合わなくて吹き替え版で観たんですが、吹き替え版の声優陣はアニメ版と同じなので、より違和感なく観れた気がしましたよ!

とにかく映像が面白い作品なので、出来れば映画館の大画面で観たほうが楽しめる作品なのは間違いないと思います。

興味のある方は是非!!!

 

細部までこだわったサスペンスホラー「ドント・ブリーズ」(2016)

ぷらすです。

今回ご紹介するのは昨年の年末に公開され、映画ファンの話題をさらった作品、
ドント・ブリーズ』ですよー!
低予算映画ながら、細部までこだわった作りが見事なサスペンスホラー映画でした。

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あらすじと概要

盲目の老人宅に強盗に入った若者たちが、反撃に遭う恐怖を描くスリラー。リメイク版『死霊のはらわた』などのフェデ・アルバレス監督がメガホンを取り、オリジナル版のサム・ライミ監督と、ライミ監督とタッグを組んできたロブ・タパートがプロデュースを手掛けた。目は見えなくとも研ぎ澄まされた聴覚を持つ老人に『アバター』などのスティーヴン・ラングがふんし、リメイク版『死霊のはらわた』などのジェーン・レヴィ、『プリズナーズ』などのディラン・ミネットらが共演する。

トーリー街を出るための資金が必要なロッキーは、恋人マニー、友人アレックスと共に、大金を持っているといううわさの目の見えない老人の家に忍び込む。だが、老人(スティーヴン・ラング)は、驚異的な聴覚を武器に彼らを追い詰める。明かりを消され屋敷に閉じ込められた若者たちは、息を殺して脱出を図るが……。(シネマトゥディより引用)

 

感想

沈黙のサスペンスホラー

本作を一言で言うなら「ナメてた相手は殺人マシーン」(ギンティ小林氏命名)系譜の作品です。
近年で言うとデンゼル・ワシントンが主演した「イコライザー」なんかが同じ系譜の作品なんですが、デンゼル・ワシントンは殺人マシーンとして少女を救うヒーローだったのに対し、本作でスティーヴン・ラング演じる盲目の老人は超怖いサイコ爺さんなわけですよ。

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タイトルの「ドント・ブリーズ」を翻訳すると「息もできない」という意味になるらしいんですが、盲目の老人と侮ってうっかり彼の“フィールド”に入ってしまった三人の若者が老人に追われ、まさに「息もできない」緊迫感の中で何とか逃げ出そうとするという内容です。
なので、本作ではホラーにつきものの悲鳴も残酷描写も殆どなく、ワッと驚かされるお化け屋敷的な要素もかなり控えめです。
それよりも、若者たちがどうやって老人の家から逃げ出すかという、サスペンスの方に重きを置いている作品だと思いました。

設定が上手い

この老人、盲目だけどその分聴覚は人並み以上で、しかも退役軍人なので超マッチョ。
さらに、過去の悲しい出来事からすっかり心を病んでしまっていて、人を殺すことに全く躊躇がないんですよね。
でも、あくまで「盲目の老人としては」の強さであって、絶対かなわないほどは強くない。超強そうでそこまで強くないけどやっぱり強いっていう、食べるラー油ぐらいの絶妙な感じが観ている方のハラハラ感を煽っていくんですね。

とはいえ、そもそも悪いのはこの老人の家に強盗に入った三人なので、老人に返り討ちにされても自業自得なわけですが、ここで効いてくるのは三人の素性と老人の異常性です。

母親に家庭内暴力を受けて育ったロッキー(ジェーン・レヴィ)は、幼い妹と街を出て人生をやり直すためにお金が要るんですね。

父親が警備会社に勤めているアレックス(ディラン・ミネット)はそんな彼女に絶賛片思い中なので、彼女の頼みを断れず、防犯セキュリティシステムと父親が預かっているお客の家の鍵を使い盗みに協力します。
ロッキーの恋人マニーは……うーん、まぁバカだけど悪い奴ではないんですよね。

いや、盗みなんかしないで働けよって話ですが、ここで更に効いてくるのは本作の舞台がデトロイトだということ。

デトロイトといえば自動車産業で栄えたものの、今では街自体が財政破綻してしまって、仕事もなく子供の6割が貧困生活を強いられていて、ロッキーの母親が夫と分かれたのも、恐らくこの街の問題が絡んでいるんだと思われる。

そうした背景を、序盤物語の中でサラリと観せる手際の良さが素晴らしい。

そして、最初は「被害者」だった老人が中盤のあるシーンをキッカケに、とんだサイコじじいだということが判明し攻守が逆転するわけですが、前述した通り舞台は老人の家の中、つまり老人のフィールドなんですよね。

ただ、老人には盲目というハンデがあるので、そのパワーバランスをトントンにしないと物語にスリルが出ないしリアルじゃなくなってしまう。
そこで登場するのが、老人の飼い犬なんですね。
口から泡状のヨダレを流しながら襲いかかってくる狂犬で、コイツがまた超怖いんですよねー。コイツに噛まれたら一巻の終わりっていう説得力があります。

こうしたキャラクターの設定が上手く、さらにその設定を上手く活かしてサスペンスを生み出すストーリー作りはどこかゲーム的でもあって、その辺のイマドキ感も目新しい感じがしましたねー。

クライマックスで観せる恐怖

で、なんやかんやあって、ロッキーが老人に捕まるクライマックスシーン。
老人の異常性というか狂気がハッキリするシーンなんですが、もうドン引き。

同時に、今までサスペンス要素の強いゲーム的な怖さだった本作が、はっきりホラーになる瞬間です。

でも、そんな老人の行動の奥に彼の悲哀が見え隠れするあたりは、老人と若者のどちらか一方を完全悪として描かないよう、また観客がどちらか一方に肩入れしないように、バランスを考えているんじゃないかと思いました。

それがあるので、物語の結末や観終わったあともどこかモヤモヤした気持ちが残ってしまうんですよね。

殺人鬼に追い回される系のホラーとしては若干パンチに欠けるものの、その分を設定やストーリーの上手さで補って、さらにディテールの描写で物語に説得力を持たせるセンスは素晴らしいし、これから殺人鬼系ホラーの本場はテキサスからデトロイトになるかもしれないなーと思わせる作品でしたよー!

興味のある方は是非!!

 

ナメてた相手が殺人マシーン系譜の名作

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賞金稼ぎと賞金首、二人のオッサンの珍道中「ミッドナイトラン」(1988)

ぷらすです。

今回ご紹介するのは、名優 ロバート・デ・ニーロとチャールズ・グローディン主演の傑作アクションコメディー『ミッドナイト・ラン』ですよー!
本作を観るのは多分3回目だと思うんですが、やっぱり何回観ても面白い映画でした!

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あらすじと概要

元警官のバウンティ・ハンターと、彼に捕らえられた横領犯のニューヨークからロスまでの壮絶な大陸横断アクション・コメディ道中記。横領犯を狙うギャングとFBIの追撃によるバイオレンス・シーンとC・グローディンの奇妙なキャラクターが引き起こす笑い、それにデ・ニーロの軽いフットワークの演技が心地よいアンサンブルになっており、ノンストップ・アクション全盛の当時にあっておおらかな正統娯楽活劇の作りが楽しい。(allcinema ONLINE より引用)

 

感想

ざっくりあらすじ紹介

本作は、「ゴッドファーザー」「ディア・ハンター」「タクシードライバー」など、数々の名作に出演してきた名優、ロバート・デ・ニーロが挑むアクションコメディーの傑作です。

元警官の賞金稼ぎジャック・ウォルシュ(デ・ニーロ)は、ニューヨークで捕まえた賞金首で元会計士のジョナサン・マデューカス(グローディン)、通称「デューク(公爵様)」を依頼人に引き渡すためロスに向かいます。

このデュークはギャングのお金を横領し、慈善団体に寄付したためにギャング、FBIに狙われてるんですね。
ジャックは、デュークにお金を貸した保釈金ローン会社の社長の依頼でデュークを捕獲、ロスに連れて行こうとするが……というストーリーなんですね。

賞金稼ぎとは

本作でデ・ニーロが演じている賞金稼ぎという職業、日本で馴染みのない制度なんですが、犯罪大国アメリカでは容疑者の数が多すぎて全ての人を拘束するとすぐに留置所が一杯になってしまうため大半は早々に保釈されるらしいんですね。

そこで、各裁判所の前にはベイルショップと呼ばれる保釈金専門の金融会社(保釈保証業者)が営業していて、容疑者はそこでお金を借りて保釈保証金を裁判所に納めて保釈されるわけですが、容疑者が逃亡して期日までに裁判所に出頭しないと保釈金は裁判所に没収されてしまうわけです。

そうすると金融会社は大損になるので、賞金稼ぎ(バウンティハンター)を雇って雲隠れした容疑者を連れ戻してもらうんですね。

で、会計士のデュークはギャングのお金を横領してるので刑務所に入ると報復で手下に殺されてしまうし、ギャングは報復だけでなく裁判でデュークに裏帳簿の事を証言されると自分たちも逮捕されるので、その前にデュークを始末したい。
FBIはデュークを逮捕してギャングの証言を得たい。
保釈金ローン会社の社長は、期日までにデュークを裁判所に出頭させないと破産してしまう。

というわけで、デュークはギャング、FBI、ローン会社から追われているわけです。

チャールズ・グローディンの好演

本作は、ギャングとFBIに追われながらニューヨークからロスを目指す、ジャックとデュークのロードムービーでもあり、バディ(相棒)ムービーでもあります。

そんな本作の見所は、二人の会話シーンとデューク役のチャールズ・グローディンの好演にあるんじゃないかと思います。

チャールズ・グローディンは俳優・コメディアン・プロデューサーと多彩な人で数々の映画に出演、米国では数々の賞にも輝くベテランなんですが、本作では正義感が強いわりにとぼけたキャラクターで、デ・ニーロを食ってしまうほどの存在感を見せています。

漫才で言えばデュークがボケ役、ジャックがツッコミ役で、映画の序盤はジャックに注目して観ているのに、いつの間にかデュークの方に肩入れしてしまうんですよね。

特に二人の会話やコメディーシーンでは、チャールズ・グローディンがデ・ニーロをリードしているようにも見えましたねー。

お手本のような構成

そして改めて観ると本作の構成はとても良く出来ていて、まさにストーリー作りのお手本というか、教科書的な作品でもあります。

コメディーとアクションとストーリーが全て連動していて、アクションやコメディーシーンでストーリーが止まることがなく、逆にどんどんスイングしていくんですよね。

例えば序盤、ニューヨークでデュークを捉えたジャックが、飛行機でロスまで連行しようとするも、デュークは「飛行機恐怖症」で仕方なく列車で移動するんですね。
で、その行動が結果的にギャングとFBIを出し抜く形になるとか。

一見ノリで作っているいかにもな80年代のドタバタコメディーのようで、実はしっかりと全体の流れが計算されているんだなーと。
ちなみに、本作の脚本は「ビバリーヒルズコップ」の ジョージ・ギャロが担当しています。

バディムービー

ジャックはシカゴの元警官なんですが、一人だけギャングの買収に応じなかったため、仲間が仕掛けた罠にハメられ、家族と職を失い賞金稼ぎに。
一方デュークの方は、会計士としてギャングの裏帳簿を発見し、正義感から裏金を慈善団体に寄付してしまい命を狙われるハメになってしまいます。

性格や行動は正反対ですが、実は二人は似たもの同士なんですね。
本作はそんな二人が、最初は反目しつつも、ストーリーが進むうちに信頼しあっていくという、王道のバディムービーです。

今観るといかにも80年代感溢れる作品ではありますが、前述したようにとても良く出来た物語だし、笑えて泣けてスカっとするエンターテイメント作品で、年代に関係なく楽しめると思いますよ!

興味のある方は是非!!