今日観た映画の感想

映画館やDVDで観た映画の感想をお届け

カルト的ディストピアSF「スノーピアサー」(2014)

ぷらすです。

今回ご紹介するのは、2013年公開の韓国・アメリカ・フランス合同で作られたSFアクション映画『スノーピアサー』ですよー!

この映画の噂は以前から聞いていて気になってたものの、中々タイミングが合わなくて、今回やっと観ることができましたー。

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画像出典元URL:http://eiga.com

概要

母なる証明』などのポン・ジュノ監督が、フランスのコミック「LE TRANSPERCENEIGE」を原作に放つSF作。新たな氷河期が到来した地球を列車でさまよう数少ない人類の生き残りが、支配層と被支配層に分かれて車内で壮絶な戦いを繰り広げていく。『アベンジャーズ』などのクリス・エヴァンス、『JSA』などのソン・ガンホ、『フィクサー』などのティルダ・スウィントンなど、国際色あふれるキャスティングを敢行。彼らが見せる濃密なストーリー展開に加え、絶望の近未来を具現化した鮮烈なビジュアルにも目を奪われる。(シネマトゥディより引用)

感想

ストーリー

本作のストーリーをざっくり説明すると、温暖化が止まらない地球に「こりゃやべえ」となった未来。そこで温暖化を食い止めるガスを大気圏に打ち上げたら、氷河期になっちゃって人類や動物のほとんどが死滅状態になってしまうんですね。

そんな中、ウィルフォードが開発した永久機関のエンジンを乗せた列車「スノースピアー」に乗り込んだ人々だけは助かったものの、凍った世界をグルグル18年も走り続ける列車内は車両ごとに階級制になっていて、最後尾の人々はすし詰めの車両の中で酷い暮らしを余儀なくされているわけです。

で、最後尾の人たちは「こんな暮らしはもう限界だー!」と、主人公カーティスを筆頭に反乱の機会を伺っていて、ある日ついに……。という物語。

いわゆる近未来ディストピアSFなんですが、列車の中の物語だけに支配階級と貧困階級が「上下」ではなく「前後」という構造になっているのが個人的には面白かったです。

ちなみに原作はフランスのバンドデシネ(マンガ)『Le Transperceneige』だそうですよ。

監督・キャスト

そんな本作の監督を務めたのは、「母なる証明 (2009)」や「オクジャ/okja Okja (2017)」などで知られ、韓国のスピルバーグとも呼ばれているポン・ジュノ

主役のカーティスを演じるのは「キャプテン・アメリカ」のクリス・エヴァンス

セキュリティシステムのエンジニア、ナムグン・ミンス を演じるのは、韓国トップ俳優ソン・ガンホ

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画像出典元URL:http://eiga.com / 物語を引っ張るキャップとソン・ガンホ

最後尾車両のリーダーギリアム役に「ハリー・ポッターシリーズ」でオリバンダー老人を演じたジョン・ハート

コミカルだけど超憎たらしい女性首相メイソン役に「ドクターストレンジ」でエンシェント・ワンを演じたティルダ・スウィントン

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画像出典元URL:http://eiga.com / 最貧困メンバーと捕虜になったメイソン。

スノーピアサーの開発者ウィルフォード 役にエド・ハリス

他にも、 ジェイミー・ベルオクタヴィア・スペンサーなど、そうそうたるキャストでしたねー。

そんな彼らが、列車という限定された空間の中で決死のアクションを繰り広げつつ、スノーピアサーの“真実”に迫っていくというミステリー要素もあり、またスノーピアサーの車内を現実の世界に見立てたうえで、物語のベースにはキリスト教的な寓話性や哲学もあったりと、色々な要素が詰め込まれた作品でした。

ツッコミどころは満載だけど

とはいえ、本作を「SF映画」として観てしまうとツッコミどころ満載です。

(氷河期の世界を列車がグルグル走り回っているという設定自体は面白いけど)列車自体は凄くても雪や氷が付着したままのノーメンテナンスの線路の方がもたないのでは? とか、自給自足システムも列車内の人間が生きていくには少なすぎるのでは? とか、そもそもなぜ、(役に立たない)最下層の人たちをわざわざ生かしておくのか? とか。

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画像出典元URL:http://eiga.com / エンシェント・ワンを演じた人と同一人物とは思えない変わりようのティルダ・スウィントン

言いだしたらキリがないわけです。

でも、この映画はあくまで“SF仕立ての寓話(神話)”であって「SF映画」ではないので、そこはそれほど大事じゃないんですね。

この映画は、限定された箱庭的空間で起こる、様々な理不尽に対しての登場人物の心の機微を通して語られる現代社会の物語ですから。

まぁ、そんな風に書いちゃうと小難しい映画みたいですが、そんな事はまったくなくて、列車の中で乱闘や殺し合いが繰り広げられる、楽しいエンターテイメント映画でした!

アクションシーン

列車内でのアクションシーンといえば、韓国発ゾンビ映画の傑作「新感染 ファイナル・エクスプレス」を連想する人も多いかと思いますが、本作の場合、最初から最後までずっと、列車の中だけでドラマやアクションが繰り広げられるんですね。

もちろん「新感染」に比べてずっと、列車自体が大きくて中も広いんですが、とはいえ横の空間が限られているので、アクションはどうしたって前後でのぶつかり合いになります。

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画像出典元URL:http://eiga.com / よーい…

それでも、アクションが一本調子にならないのは、例えば反乱軍と警備隊のぶつかり合いのシーンで、警備隊がトンネルの暗闇を利用し、暗視ゴーグルを使えって戦況を有利にすれば反乱軍側は松明を灯して応戦するとか、メイソンを人質に取って進むと、前方からカートに積んだイースターのゆで卵を配る男がやってくるんですが、そのカートにはマシンガンが隠されていて銃撃戦になるとか。大きなカーブで敵味方が車両の窓越しに撃ち合うとか。

そういう、観客に飽きさせない工夫が随所にあって、アイテム入手もその前のシーンでちゃんと伏線が張られていたりするんですよね。

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画像出典元URL:http://eiga.com / ドン!

さらに、前の車両に進むごとに車両の風景が変わったり、窓から外の様子が見えたりと映像的にも退屈しないように考えられているのも良かったし、序盤から後半まで革命のために(多くの犠牲を出しながら)突き進むカーティス(と感情移入している観客)の価値観を、最後で一気にひっくり返す“ある仕掛け”にもビックリしました。

ストーリーのラストは好き嫌いが別れるみたいですけど、個人的には上手くまとまっていたと思うし、「これしかない」という納得のラストでしたねー。

いわゆる「傑作」ではないと思うけど、(トンデモ設定も含め)一度観たら頭の片隅にずっと引っかかるような、カルト的魅力のある作品だなって思いましたねー。

興味のある方は是非!!

 

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アン・ハサウェイ主演の“セカイ系”映画「シンクロナイズドモンスター」(2017)

ぷらすです。

今回ご紹介するのは、「プラダを着た悪魔」「レ・ミゼラブル」のアン・ハサウェイが主演だけでなく自ら製作総指揮も務めたSF?映画『シンクロナイズドモンスター』ですよー!

怪獣や巨大ロボットが出てくる映画ということで、ボンクラ映画スキーとしては、かなり気になっていた映画だったんですよねー。

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画像出典元URL:http://eiga.com

概要

レイチェルの結婚』『レ・ミゼラブル』などのアン・ハサウェイが主演と製作総指揮を務めた異色作。失意のヒロインが、突如現れた巨大怪獣を操り世界を混乱させる。『なんちゃって家族』などのジェイソン・サダイキス、『美女と野獣』などのダン・スティーヴンスらが共演。『ブラック・ハッカー』などのナチョ・ビガロンド監督がメガホンを取った。(シネマトゥデイ より引用)

感想

アン・ハサウェイが負け犬ダメウーマンに

本作を大雑把にジャンル分けすると、いわゆる“セカイ系”と呼ばれるジャンルに入る作品です。

セカイ系をザックリ説明すると、「個人に起こる出来ごとや精神が世界の命運が直結している物語」って感じ。庵野監督の「エヴァンゲリオン」以降の日本アニメで死ぬほど作られてきた中二病的なアレです。

なので“セカイ系”の主人公は、(日本のアニメなどでは)思春期の少年少女になることが多いんですけど、本作の主人公は、失業して同棲していた彼氏にも見捨てられた酒浸りのアラサー女子。そんな負け犬ダメウーマンことグロリアを演じるのは、オスカー女優のアン・ハサウェイなんですね。

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画像出典元URL:http://eiga.com / ダメ可愛いアン・ハサウェイ

仕方なく、ニューヨークから今は誰も住んでいない実家のあるニューハンプシャー州に戻った彼女は偶然、幼馴染のオスカー(ジェイソン・サダイキス)と出会って彼の経営するバーでアルバイトを始めるんですね。

そして、オスカーやその友達としこたま呑んだ彼女が、公園を通って帰ってみると姉から電話があり、韓国ソウルに怪獣が現れたという知らせを受けます。

最初はただショックを受けていた彼女ですが、やがて怪獣のある動作から自分の行動と怪獣の動きがリンクしている事を知り……。という物語。

美人女優のアン・ハサウェイですが、本作ではボサボサ髪にで身なりにも気を使わない負け犬女子を熱演しているんですが、そこはアン・ハサウェイですからね。
とことん気の抜けた姿もむしろダメ可愛いんですよね。

「怪獣映画」ではない

予告編などでフューチャーされるのは、彼女とソウルに現れる怪獣がシンクロしているところなんですが、本作の主軸はそこではありません。

本作でストーリーの主軸となるのは、主人公グロリアが逃げ帰った田舎での様々な経験を経て独り立ちするまでの物語で、怪獣とのシンクロはあくまでフックの一つに過ぎないんですね。

そんな彼女と対になるキャラクターが、幼馴染のオスカーです。
オスカーにとってグロリアは(恐らく)初恋の相手で、最初こそ甲斐甲斐しく彼女の面倒を見るんですが、次第に行動がエスカレートしていきます。
それは、自分の気持ちに気づかず奔放に振舞う彼女に対しての嫉妬心や田舎暮らしゆえのコンプレックスが原因で、つまり彼もまた大人になりきれないアダルトチルドレンなわけです。

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画像出典元URL:http://eiga.com / どんどんゲス野郎になっていく幼馴染のオスカー

美術で心情を表現

宇多丸師匠の評論でもあったように、そんなオスカーの心の変化を本作では彼の住む部屋や、彼が経営するバーの内装を使って表現していて、そこは確かに上手いなーと思わせる部分なんですよね。

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画像出典元URL:http://eiga.com / 韓国の様子をテレビで見る二人

バーは元々、オスカーが亡き父親から引き継いだものですが、彼は改装費が間に合わず手をつけられなかった半分は閉じて、(生まれ故郷しか知らない田舎者が思う)精一杯オシャレな内装に改装した残り半分で営業しているわけです。
そこに現れたグロリアが、閉じていた昔ながら未改装のままな残り半分を開放させる=オスカーが心の中で封印していた“本性”の部分を開放させるという展開になっているんですよね。

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画像出典元URL:http://eiga.com / 意識高い系でいけ好かない元カレ

一方、グロリアの元カレの方は真面目で、酒浸りのグロリアを厚生させようとしている「ちゃんとした人」見えるんですが、しかし彼の言動は常に上から目線でモラハラ気味。つまりタイプは違うけどオスカーと元カレの根本は結局同じなんですね。

怪獣との繋がり

そういう意味では非常に現代的なテーマを扱った作品と言えるし、アン・ハサウェイジェイソン・サダイキスの演技もとても良いんですが、問題は彼女と怪獣の繋がりがあまりしっかり描かれていない事。

少女時代の彼女が(多分、学校の宿題で)作った、ソウル市街の模型らしきものを持って登校中、風に模型が飛ばされ、それを少年のオスカーが追いかけて見つけるわけですよ。

「お、わざわざ探してあげるなんてオスカーやるじゃん」と思ってると、彼はおもむろにその模型を踏みつけ、その時二人に雷が落ちてーーっていうのが、一応グロリアと怪獣がシンクロした要因ということにはなってるんですが、そもそも明らかに白人で、特に韓国に何の関係も思い入れもなさそうな彼女が、なぜソウルの模型を作ったのかも謎だし、怪獣がソウルに現れて暴れた事にショックを受けるのも飲み込みづらいし、怪獣の仕草を見て、自分とシンクロしているとか、砂場がソウルと繋がっていると気づくのも何だか唐突な感じ。

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画像出典元URL:http://eiga.com / 韓国ソウルに現れる怪獣

怪獣が現れるのは元々の予定では日本だったらしく、二人は怪獣やロボットアニメのファンだった――みたいな設定だったのが、色々あってソウルに舞台が映ったことで分かりにくくなったのかもですが、もし日本が舞台だったとしても二人との繋がりの描写を入れないと分からないし、せっかく発想自体は面白いのに、その「分からなさ」がクライマックスシーンのノイズになってしまってるんですよね。

それ以外の部分は、今の時代にマッチした物語だし、美人で演技も上手いのに何故かアメリカでは執拗に嫌われてるアン・ハサウェイ自身がメタ的に乗っかってるようにも感じる面白い作品なだけに、構成上、二人と怪獣のシークエンスが上手くシンクロしてなかったのは、もったいないなーと思いましたねー。

興味のある方は是非!

 

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多幸感溢れるアメリカンコメディー「ゾルタン★星人」(2000 *日本未公開)

ぷらすです。

今回ご紹介するのは、2013年の映画「スティーブ・ジョブズ」で、ジョブズ役を務めたアシュトン・カッチャーとショーン・ウィリアム・スコットによるコメディー映画『ゾルタン★星人』ですよー!

この映画LINEで教えて貰ったんですが、まさに僕の求めていたコメディー映画でした!

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画像出典元URL:http://www.amazon.co.jp

感想

僕が子供の頃はアメリカンコメディーの全盛期でして、タイトルは忘れたけど「スパイ?を暗殺しようと尾行するふたりの間抜けがひたすらヒドイ目にあう」映画とか、「ポリス・アカデミーシリーズ」とか「裸の銃を持つ男」などなど。

そういう「15分くらいのコントを90分繋げただけ」みたいなバカバカしいコメディー映画を浴びるように観て育っているわけですよ。

もっと遡ると幼少期から再放送で何度も何度も「トムとジェリー」を観ていて、いわばアメリカンコメディーに笑いの基礎を叩き込まれたと言っても過言ではないんですね。

そんな僕にしてみれば、近年のテーマやストーリー性を大切にしているコメディーは少し物足りないわけですよ。

「世界の衝撃映像○○連発!」みたいな番組でも後半の「感動のなんちゃら」みたいのはいらなくて、ボンクラなアメリカ人が木の上から子供用プールに飛び込もうとして枝が折れて落下とか、スケボーでカッコイイ技を決めようとして股間強打とか、そういうのだけ観ていたいわけです。

前置きが長くなりましたが、本作はまさにそんな僕が大好きな、ひたすらバカバカしいだけのコメディー映画なのです!

そうそう、こういうのが観たかったんだよ!

ハングオーバー」+「ビルとテッドの大冒険」?

本作のストーリーをざっくり書くと、パーティーでべろんべろんに酔って昨夜の記憶がないジェシーアシュトン・カッチャー)とチェスター(ショーン・ウィリアム・スコット)のバカ二人組。

朝食を食べようと冷蔵庫を開ければ、何故かぎっしりプリンが詰め込まれて(戸棚にも)いるけど思い出せない。

とりあえずプリンを食べていると双子の恋人ワンダとウィルマから電話が掛かってきます。
話によれば、どうやら前夜に彼女たちの家で思いっきり はしゃいだらしいけど、もちろん覚えていない。
しかも、双子に渡すプレゼントを忘れていることを指摘された2人は焦ります。
約束を守った暁には双子から『おスペ』が貰えるけど、約束を破ったら別れると宣言された二人。
「きっと、車の中にプレゼントを置いているハズ」と慌てて表に出てみれば、何故か車がどこにもないんですねー。

で、車を探しに街をウロウロしていると、
一番のマドンナのおっぱいを揉んだ(らしい)こと。
バイト先のピザを大量に失敬した(らしい)こと。
ストリップバーで大はしゃぎした(らしい)こと。
ニューハーフから預かった大金を預かったままトンズラした(らしい)こと。
などが、次第に分かっていくという「ハングオーバー」的展開。

そして車だけでなく、ニューハーフの大金も返さなければならなくなった二人がさらに街をうろついていると、宇宙人オタクの集団、謎の巨乳集団、マッチョな(自称)宇宙人から『ある装置』を渡すよう執拗に求められ……。という物語。

その合間にも、ヒッチハイクをしようとすれば車に轢かれるし、警察には捕まるし、助けを求めたヒッピーの飼っている大麻中毒の犬には噛み付かれそうになるし、ダチョウに取り囲まれて攻撃されるし、謎の家に監禁されるしと、割と散々なんですが基本二人はバカなので気にしません。

どころか、ニューハーフからパクったお金で仕立てた(らしい)赤と青のジャージを着て、途中でレンタルした(らしい)スポーツカーを乗り回したりとずっとゴキゲンなんですね。

ほかの登場人物も概ねバカばかりなので、色々あってもまったく深刻な感じがせず、安心して笑ってられるというこの多幸感!

さらに、ストリップバーでは女の子たちがTシャツに水をかけておっぱい透けさせるショーとか、巨大化したおねえちゃんのパンツが見えてヒャッハー! とか、クライマックスでは超どうでもいい伏線が回収されたりとか。もう、観ているだけで知能指数がガンガン下がっていく感じがたまらなく楽しいんですよねー。

ふたりのバカな若者が冒険すると言えば、若かりし頃のキアヌ・リーブスが主演している「ビルとテッドの大冒険」がありますけど、本作も影響を受けているのかもしれませんね。(「ビルとテッド~」を観れてないので分かりませんが)

タイトル問題

ちなみにそんな本作の原題は「Dude, Where's My Car?」で、「僕の車はどこ?」みたいな意味だそうです。
アメリカでは酔って記憶をなくした人の、定番のセリフらしいんですね。

ただ、そのままのタイトルだと日本では伝わりにくいので「ゾルタン★星人」になったんだと思うんです。そして、この邦題は個人的にかなり秀逸だなーと。

ゾルタン星人という名前に引きがあるし、真ん中に★を入れるだけで何かふざけてる感も出てますしねw

まぁ、観たところで何の得もないコメディー映画ですけど、個人的には超面白かったし80年代コメディーのハチャメチャさや懐かしさも感じる映画でしたよー。

興味のある方は是非!!

 

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事実は小説より奇なり。超怖いけど笑っちゃうハードコアバイオレンス「全員死刑」(2017)* R-15+

ぷらすです。

今回ご紹介するのは、大牟田4人殺害事件を元にしたバイオレンス映画『全員死刑』ですよー!

超怖いのに笑っちゃう。しかも実話ベースっていう、何とも凄い映画でしたねー。((((;゚;Д;゚;))))カタカタカタカタカタカタカタ

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画像出典元URL:http://eiga.com

概要

2004年に福岡県大牟田市で、ある一家らを殺害して死刑判決を下された親子4名の実話を、テレビドラマ「お前はまだグンマを知らない」などの間宮祥太朗主演で描く犯罪ドラマ。金銭トラブルを抱える家族が、近所の一家が脱税によって貯めた現金を強奪しようと、殺人に至るさまを映す。主人公である加害者一家の次男の手記を基にした「我が一家全員死刑 福岡県大牟田市4人殺害事件【死刑囚】獄中手記」を原作に、『孤高の遠吠』などの小林勇貴が監督。一家には間宮のほか毎熊克哉、六平直政入絵加奈子がふんする。(シネマトゥデイより引用)

感想

原作と監督

本作の原作となったのは、2004年に福岡県大牟田市暴力団組長一家4人が、知人だった貸金業者一家3人とその被害者一家の友人1人の計4人を相次いで殺害して死刑判決を受けた組長一家の次男の手記を下に、鈴木智彦が加筆編集したノンフィクション「我が一家全員死刑 福岡県大牟田市4人殺害事件【死刑囚】獄中手記」が原作。

その原作を「孤高の遠吠」など、本当の暴走族やヤンキーをキャスティングした自主制作映画で数々の賞に輝いた小林勇貴が、商業映画デビュー作として監督したのが本作です。

凄惨な殺人事件ながら、犯人一家の行動はとにかく杜撰で行き当たりばったり。
しかも、殺人シーンはまるでコントのようなので「これはさすがに映画オリジナルだろw」と思うんですが、調べてみると実はかなり原作に忠実で、まるでコントのような殺人シーンもほぼ原作通りらしいです。マジか…。

アバンで分かる救いようのなさ

間宮祥太朗演じる次男タカノリが経営する、明らかに違法な「のぞき部屋」で盗撮していたオッサンが、タカノリと従業員にリンチされるアバン(タイトル前のエピソード)から物語はスタートします。
この一連のアバンだけで、タカノリや長男サトシ(毎熊克哉)、その周辺にいる人間たちがどうにも救いようがない人間だということを、観客に分からせてるんですねー。

タカノリとサトシの父親テツジ(六平直政)は暴力団組長で、ふたりももそれぞれ構成員。

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画像出典元URL:http://eiga.com / 左からサトシ・テツジ・タカノリの極道家族。六平さんの本物感ぇ…

で、付き合いのある組でトラブルが起きたため、タカノリが身代わりとして2年間の服役をしている間に組みの経営は悪化し、多額の借金を抱えてしまいます。

そこでタカノリを除く三人(父・母・長男サトシ)家族会議が開かれ、家族ぐるみで付き合いのある資産家の吉田家にある大金が入った金庫を奪い、家族三人を殺すことに。

しかし、サトシは父親より先に吉田家を襲おうとタカノリに持ちかけ……。という物語なんですね。THE・犯罪映画ですよ。

と・こ・ろ・が! この組長家族ときたら全員バカで、犯行も殺人も常に行き当たりばったり。とにかくやる事なすこと全てがなのです。

しかも、長男サトシは空威張りしてるだけのヘタレだし、父親のテツジは借金苦でちょっとおかしくなってるし、母親のナオミ(入絵加奈子)はヒステリーで情緒不安定なんですね。

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画像出典元URL:http://eiga.com / ウザ怖い母親ナオミ。

なので、タカノリがいつも殺人を押し付けられるわけですが、コイツはコイツで家族の言いなりになるだけのバカなので、ホントもう、どうにもこうにも救いようがないのです。

原作からの改変

原作というか本当の次男は、相撲部屋に弟子入りするほどの巨漢なんですが、本作では二枚目俳優の間宮祥太朗が演じています。

また、一人目の犠牲者がYoutuberになっているのも映画オリジナルの改変で、本当の被害者は真面目な人だったようですし、たまたま被害者と一緒にいて殺された被害者も劇中みたいなヘンテコなキャラクターではなかったらしいですね。
被害者があまりちゃんとした人だと、悲惨になりすぎるからかな?

そんな感じで、ところどころ映画オリジナルの改変はあるものの、基本的にはほぼ原作に忠実な作りなのだとか。(それが余計に怖い)

ターゲットの一人が「パトラ」(化粧の感じがクレオパトラっぽいという理由から)にすり鉢で粉にした睡眠薬を「ふりかけ」にして食べさせるのも、最初の被害者が都合2回息を吹き返すのも、最後の被害者が拳銃で撃たれると分かっていながらタカノリに言われるがまま頭を差し出すのも。

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画像出典元URL:http://eiga.com / 第2の被害者を演じるのは鳥居みゆき

そんな、あまりにも間抜けで行き当たりばったりすぎるタカノリたちや、被害者のおかしな行動に、観ているこっちは思わず笑っちゃうんですが、殺人シーンでオーバーラップして出てくる「タカノリの手記」の芝居がかった言い回しに、背中がザワザワするような怖さも感じてしまうんですよね。

劇中、タカノリのちょっといい奴っぽい描写があったり、「家族のため」とか「愛する女を守るため」とか、ヒロイックな言葉が出てくるんですけど、やってることは殺人だし、結局タカノリは何も考えてなくて、家族に言いなりですからね。

こんなふうに書くと、この家族がまったく常人にはまったく理解できないサイコパスで快楽殺人者っぽいですけど、そういうわけではなくて、彼らは殺人が罪だということは分かっているし、(劇中では)一応良心の呵責みたいのもあるっぽく描かれてはいるんです。

ただ、遵法精神と倫理観が著しく低いんですよ。

だから、「普通の生活」の一部・または地続きで、犯罪や暴力、殺人があるというか。

 いわゆる近くにいるけど一般市民とは住んでる文化圏が違うみたいな感じなんですね。
…そこがまた怖いんですけども。

暴力・殺人描写

基本、本作は暴力や殺人をメインに置いているわけですが、グロ描写自体は比較的少なめだったりします。
最初の殺人で過剰なくらいしっかり描写して、そこから後はタカノリの表情や効果音で、観客に写っていない部分を想像させるという「悪魔のいけにえ」的な手法なんですね。

殺人シーンを極めて不謹慎かつハイテンションに描いてはいるものの、決して露悪的過ぎないスマートなやり方だなーと思いました。

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画像出典元URL:http://eiga.com

あと、音楽の使い方やところどころの演出も独特で、今まで観てきたどの映画とも違う、小林監督だけのオリジナリティーを感じましたねー。

しかもこの作品の製作中、小林監督はまだ26歳!
今後、どんな作品を作っていくのか楽しみな監督だと思いました!

とはいえ、題材が題材なので万人にオススメ出来るタイプの作品ではなく、生々しい暴力描写や残酷シーンが苦手な人は気をつけたほうがいいかもです。(R-15+指定だしね)

興味のある方は是非!!!

 

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おばあちゃんズの青春映画「マルタのやさしい刺繍」(2008)

ぷらすです。

今回ご紹介するのは、Twitterで教えてもらったスイス映画マルタのやさしい刺繍』ですよー!

恥ずかしながらまったくノーチェックでしたが、とても良い映画でしたねー(´∀`)

 

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画像出典元URL:http://eiga.com

概要

スイスの谷間の小さな村を舞台に、80歳のおばあちゃんたちがランジェリーショップを開くために奮闘する様を描いた人間ドラマ。閉鎖的な村人の冷たい視線を浴びながらも、マルタおばあちゃんと3人の女友だちが老いてもなお生きがいを見つけ出していく。スイス気鋭の女性監督ベティナ・オベルリとスイスを代表する大御所女優たちがコラボレートし、年を重ねることや夢を追うことがそう悪いものではないということを教えてくれる。(シネマトゥディより引用)

感想

スイス映画ってあまり観た記憶がないなー」と思って調べてみたら、以前ブログで取り上げたスイス・アーミー・マンが出てきたので「いや、それタイトルだけだろー(。・д・)ノ)´Д`)ビシッ」Google先生に思わずツッコミを入れてしまいましたw

本作は、2006年の本国公開時に観客動員1位を獲得、日本では2008年に公開され、1週間でミニシアターランキング洋画部門興行収入1位を樹立したそうですね。

ストーリー

元お針子で村で雑貨店を営んでいるマルタ(シュテファニー・グラーザー)は、愛する夫に先立たれ一日も早く天に召されることを願うだけの日々。
そんなある日、彼女は村の合唱団の旗の修復を依頼され、友人たちと共に街まで布地を調達しに行くことになります。

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画像出典元URL:http://eiga.com / 左からリージ・マルタ・フリーダ・ハンニ

生地屋で観た美しいレースや、アメリカ帰りの友人リージ(ハイジ・マリア・グレスナ-)に誘われて入った下着屋に触発され、マルタは長年忘れていた下着店を開くという夢を思い出すんですね。

忘れていた熱い想いを叶えようと雑貨店を整理し、再び生地やレースを買い込み、昔の勘を取り戻すために失敗を繰り返しながら作り上げた下着を飾り付け、念願の下着店を開くマルタでしたが、牧師の息子や保守的な村の人たちは、そんなマルタの店をハレンチだと白い目を向け……。という物語。

マルタと友人

本作では、主人公マルタと並行して3人の友人たちの物語も語られます。

リージはアメリカ帰りの先進的な女性で娘と2人暮らし。夫の死で人生の生きがいを失ったマルタに夢を叶えることを進め、積極的に協力してくれます。
しかし、彼女の過去にはある秘密があるんですねー。

ハンニ(モニカ・グブザー)は、体の悪い夫と二人暮らしで最初はマルタの店に反対していました。
しかし、息子で保守派政党員のフリッツが、車椅子の父親を施設に入れ、ハンニもその近くに部屋を借りて住めばいいと言い出したのに怒り、車の教習所に通い免許を取得。マルタの下着の配達を担当してくれます。

フリーダ(アンネマリー・デューリンガー)は、老人の施設に入居している気の強い女性。
最初は、マルタが下着店を始める事に否定的でしたが、マルタを馬鹿にするフリッツや村の連中に腹を立て、インターネットを勉強。マルタの下着をネットで販売してくれます。

旧態然とした村の男社会に、たった4人のおばあちゃんズが革命を起こす本作のストーリーは、以前紹介した「ドリーム」にも通じるんじゃないかと思いました。

まぁ、本作の敵はボンクラ息子たちなんですけどねw

二つの物語とテーマ

本作にはざっくり二つのストーリーが入っています。

一つは、上記のように旧態然とした男社会を自立した女性が変えていくという物語。

小さな村の出来ごとを通して、世界的な女性差別問題を「世界がもし100人の村だったら」的な切り口で見せているんですね。
それを、それを長年村の価値観の中で生きてきた おばあちゃんズを主人公に見せるのが絶妙だなーと思いました。

もう一つは、お年寄りの幸せとは何かという物語。

これも、現在の高齢化社会でお年寄りが幸せに生きるには? という、切実なテーマをコメディータッチで軽やかに描いています。

「老人は老人らしく」という子供世代や周囲からの圧力や常識?に、本作はハッキリとNOを突きつけ、幾つになっても夢を追いかけても恋をしてもいいじゃない。と、4人のおばあちゃんズを通して描いているのです。

最初は、夫に先立たれてしょんぼりしていたマルタおばあちゃんや、それぞれ事情を抱えた3人が、目標を持ってどんどん生き生きした表情に変わっていく様子や笑顔に、見ているコッチも勇気を貰えるんですよね。

昔取った杵柄で下着制作を始めるも、最初から上手くいくのではなく、徐々に勘を取り戻していく描写や、最後に村人全員が分かり合うのではなく分かり合えない人たちも一定数いる終わり方は、寓話的な物語にちゃんとリアルを入れ込んでいて素晴らしいと思いました。

マルタおばあちゃんの息子ヴァルターとハンニの息子フリッツについては、劇中でやった事に対しての罰が少ないように感じましたが、そうは言っても息子ですからね。
あまりヒドイ目に合わせるのは、おばあちゃんズにとっても本意ではないでしょうし、本作の主題は復讐ではなく彼女たちの夢が叶うことなので、あれはあれで良いのかもしれません。

ただ、敢えて言うならフリッツよりヴァルターの方が罪が深い感じがしたし、彼の奥さんにもう少しフォローがあってもよかったかも。

タイトルやパッケージから、観る前は何となく「おばあちゃんたちが主人公のふんわりした映画なのかな」なんて思ったけど、骨太で社会派なテーマを寓話的なコメディーとして昇華した良い映画でしたよー!

興味のある方は是非!!!

 

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アメリカ人はマッチョとゴリラが好きだよね「ランペイジ 巨獣大乱闘」(2018) *そこそこネタバレあり

ぷらすです。

今回ご紹介するのは、タイトル以上でも以下でもない映画『ランペイジ 巨獣大乱闘』ですよー!

実はギリギリまで「ピーターラビット」と本作のどちらを観るか迷った末に、結局コッチを選んでしまいました。何故ならロック様が主演だからー!

正直、この作品はネタバレしても面白さはほぼ変わらない映画だと思うので、今回そこそこネタバレしています。
なので、ネタバレ嫌な人は、先に映画を見てからこの感想を読んでくださいね。

いいですね? 注意しましたよ?

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概要

ザ・ロックことドウェイン・ジョンソンを主演に迎え、1986年に発売されたアーケードゲームを実写映画化したパニックアクション。巨大化した動物たちが、大都会で暴れ回り街を破壊していくさまを描く。『ムーンライト』などのナオミ・ハリス、『ウォッチメン』などのマリン・アッカーマン、『女神の見えざる手』などのジェイク・レイシーらが共演。『カリフォルニア・ダウン』でもドウェインと組んだブラッド・ペイトンがメガホンを取った。(シネマトゥディより引用)

感想

原作はアーケードゲーム

本作は、1986年にアメリカでリリースされたミッドウェイゲームズのアーケードゲーム「RAMPAGE」が原作だそうで、詳しくは分かりませんが巨大化した動物になってひたすらビルを壊すゲームらしいです。
つまり、この映画は原作にかなり忠実ってことですねw

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そんな本作の監督は「センター・オブ・ジ・アース2 神秘の島」「カリフォルニア・ダウン」に続き主演のロック様ことドウェイン・ジョンソンと三度タッグを組むことになった ブラッド・ペイトン

僕は「カリフォルニア~」を観たんですが、「なんか色々雑だなーw」って思った記憶がw 
でも嫌いじゃないのはツッコミどころ満載すぎる内容をねじ伏せる圧倒的なロック様の存在感とヌケのいいバカっぽさがツボにハマったからなんですよねー。

そんなある意味黄金コンビの二人が怪獣?映画でタッグを組むとなれば、僕みたいなボンクラ映画ファンは期待せずにはいられないのです!

ストーリー

本作の物語は単純明快で、違法な遺伝子操作の研究をしていた極悪会社のミスで、ゴリラとオオカミとワニ(とロック様)が超巨大化&特殊能力を得てシカゴで大暴れするという、「メガ・シャーク」的なトンデモストーリー。

普通、この手の映画だと人間は基本無力で、怪獣プロレスを呆然と見守るだけになりがちですが、本作ではそこにひと工夫を加えていて、最終的にゴリラのジョージとロック様の熱いバディームービーになってるんですねー!

アメリカ人って、ほんとマッチョとゴリラが好きだよねw

ロック様無双

そんな本作でロック様が演じるのは、アメリカの動物保護地区でゴリラの専門家として働く霊長類学者デイビス・オコイエ。
学者というにはあまりにもマッチョすぎると思ったら、彼は元特殊部隊所属で密猟者から動物を守る任務についていたということが中盤の独白で明らかになります。

で、密猟者どもをぶっ殺して守ったのが、まだ子供だったアルビノのゴリラ ジョージ。
その後、ジョージは動物保護区でゴリラたちのボスとなり、ロック様と教えられた下品な手話でジョークを飛ばし合いながら平和に暮らしてたんですね。

そんなある日、クレア( マリン・アッカーマン)とブレット( ジェイク・レイシー)のワイデン姉弟が経営する会社が、宇宙ステーションで秘密裏に行っていた遺伝子実験が失敗、ヤバげなウィルスが入ったカプセルが動物保護区に落っこちて、漏れ出たガス状のウィルスをジョージとオオカミが吸い込み、ワニはカプセルごと食べちゃったからさぁ大変。

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そのウィルスは、色んな動物の遺伝子を掛け合せまくって出来ていて、シロナガスクジラなみの巨大化、カブトムシなみの強靭さ、トゲマウスの細胞修復能力を始め、なんか色んな能力を促進してしまい、しかも動物たちを凶暴化させてモンスターにしちゃうという、小学校五年生男子が遊びで作ったような迷惑なウィルスなんですね。

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これにはさすがのロック様もアワアワしてしまうんですが、そんな彼のもとに現れたのが、病気の弟を治療するためにこのウィルスの元を作ったケイト・コールドウェル博士 (ナオミ・ハリス)と、政府組織に属する謎の男ハーベイ・ラッセル (ジェフリー・ディーン・モーガン)なんですね。

で、この会社があるのがシカゴのど真ん中で、「どうしようバレたら逮捕される~」なんてオロオロしてるボンクラな弟に、いろんな意味でキレ者っぽい姉のクレアが「本社ビルのアンテナから電波を出して三頭を引き寄せ、軍隊に退治させるのよ!」とか、よく分からない提案をしたり、「あの兄弟なら解毒剤を作ってるはずよ!」というナオミ・ハリスの推測に乗っかって、ロック様もまったくのノープランでシカゴに向かいます。
っていうか、こいつら本当に学者や政府やCEOなのか!? ってくらい、何もかもが行き当たりばったりなんですよねーww

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そのあとはもう、お察しのとおりドッタンバッタン大騒ぎ。
そんな中、ロック様はカリフォルニア・ダウン」の時以上の強運と強靭な肉体で、ビルの倒壊に巻き込まれても、乗ってるヘリや飛行機が墜落しても、クレアに拳銃で打たれても平気な顔で、“親友”のジョージを助けるために無双状態の活躍を見せるのです。
さすが我らがロック様やでー。

80年代のバディムービー

もう、ここまでの展開で十分お腹いっぱいになるんですけど、この映画はこれだけでは終わりません。
色々あって終盤、正気に戻ったジョージとロック様がタッグを組んでクライマックスではオオカミと巨大ワニと戦うというバディ(相棒)モノになります。

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っていうか、相棒が超でかいゴリラってことを除けば、キャラクターも展開も、コントみたいに人がサクサク死ぬのも、80年代のバディアクションムービーそのものなんですよねw

まぁ、冷静になって考えれば、小学五年生男子が授業中に考えたような雑なストーリーなんですが、そこは「カリフォルニア・ダウン」同様、ぶっ壊しと爆発が連発の超ド派手な映像、ロック様の顔面力と筋肉で、有無を言わせず押し切っちゃうパワーがあるので楽しく観られるし、ワニ、オオカミ、ゴリラがビルが立ち並ぶ大都市で暴れる様子は、無条件でワクワクしました!

ただし、この映画は多分、劇場の大画面じゃないと面白さが半減してしまうことは間違いないので、気になっている人は劇場で鑑賞することを強くオススメしますよ!

興味のある方は是非!!

 

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Res-Cに「宮崎駿作品を語ってみる」の記事を書きましたー!
宮崎駿監督作品について1作づつ語る企画第7弾は「もののけ姫」ですよー!(´∀`)ノ
よかったら合わせてどうぞ!

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宮崎作品の廉価版「メアリと魔女の花」(2017)

ぷらすです。

今回ご紹介するのは、スタジオジブリ退社後、プロデューサーの西村義明と米林宏昌監督が設立した「スタジオポノック」製作第一弾作品『メアリと魔法の花』ですよー!

アニメーターとして多くのジブリ作品に参加、「借りぐらしのアリエッティ」「思い出のマーニー」の2本を監督した米林監督が、独り立ちして初めての監督作ということで注目はしてたものの、予告編を見る限り期待半分不安半分という感じだったのですが……。

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概要

借りぐらしのアリエッティ』などの米林宏昌監督がスタジオジブリ退社後、プロデューサーの西村義明が設立したスタジオポノックで制作したアニメ。メアリー・スチュアートの児童文学を基に、魔女の国から盗み出された禁断の花を見つけた少女の冒険を描く。少女メアリの声を務めるのは、『湯を沸かすほどの熱い愛』やNHK連続テレビ小説とと姉ちゃん」などの杉咲花。脚本を『かぐや姫の物語』などの坂口理子、音楽を『思い出のマーニー』などの村松崇継が手掛ける。(シネマトゥデイより引用)

感想

3.11以降の日本

2016年は、7月に庵野秀明監督の「シン・ゴジラ」、8月に新海誠監督の「君の名は。」。そして11月には片渕須直監督の「この世界の片隅に」がそれぞれ公開され、大いに話題になりました。同時に、この3作は3.11を強く意識した作品でもあります。

それから約1年後に公開された本作もまた、明らかに3・11以降の日本を描いた作品になってましたねー。

ストーリー

本作はイギリスの女性作家メアリー・スチュアートが1971年に発表した『The Little Broomstick』(邦題は「小さな魔法のほうき」)が原作。

昔、1人の赤毛の魔女が魔女の国から「夜間飛行」という花の種を盗み出すが、逃走中に力尽きて乗っていた箒と共に種を森に落としてしまうところから物語はスタート。

それから数十年後、11歳の少女メアリ・スミスは大叔母シャーロットが住む赤い館に引っ越して来たものの、友達もなく、テレビもゲームもない退屈な日々。

そんなある日、彼女は黒ネコのティブに導かれるように、森の中で青く光る不思議な花と木の蔓に覆われた一本の箒を見つけ……。という物語。

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コンプレックスの赤毛を近所に住む少年ピーターにからかわれ、大叔母の家の手伝いをすれば失敗ばかりのメアリは、理想の自分になりたいという変身願望を持っている思春期の入口に立った女の子で、そんな彼女が「夜間飛行」の力で魔女の力を得て冒険を繰り広げるという、設定だけ聞くといかにも面白そうなストーリー。
なんですが、一言で言うなら圧倒的に物足りなさが残る作品でしたねー(´・ω・`)。。。

宮崎駿の廉価版

米林監督はジブリの生え抜きで、原画マンとして数々のジブリ作品を支え、宮崎さんの仕事を一番近くで見てきた愛弟子だし、本作のストーリー的にもジブリ(というか宮崎駿)感が出てしまうのは仕方がないと思うんです。(多分、スポンサーや僕を含めた観客にも求められている部分もあるだろうし)

それを踏まえたうえで、あえて嫌な言い方をするなら、この作品は宮崎駿の廉価版」という印象を受けました。

ジブリ時代に監督した「借りぐらしのアリエッティ」「思い出のマーニー」の2本は、(好き嫌いは分かれるかもだけど)米林監督のカラーが出ていたと思うし、当時の米林監督が抱えた諸々の複雑な思いを作品に込めようという熱量を感じたんですよ。

ところが本作にはそれが全く感じられず、何ていうかこう、求められているものを無難にまとめようとしてる感が透けて見えるんですよね。

物凄くオブラートに包んで言うなら、今までジブリで培ってきた表現方法を随所で駆使しているわけですが、そういう事じゃないよ! と。
劇中で描かれている3.11以降の日本と子供達というテーマすら、なんか薄っぺらく感じてしまいました。「え、それ本当にそう思ってる?」っていう。
もちろん宮崎さんっぽく作ること自体はいいけど、それならそれで宮崎駿超えを目指してくれよ! って思いましたねー。

演出に問題あり

本作の場合、ストーリーの方は極めてシンプルな分そこまで悪くなくて、むしろ米林監督の演出の方に明らかに問題があると感じました。

メアリが初めて見る魔法の世界に驚くシーン。
多分、本作で一番の見せ場です。

ここで魔女の国や「エンドア大学」を観客に「あっ」と言わせるくらい魅力的に描くことで、後半とのギャップが活きる大事なシーンじゃないですか。

なのに、魔法の世界が全然魅力的に見えないのです。

なんかこうスッカスカというか、書き割りっぽいというか、奥行きや広がりが感じられないっていうか。

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そこから先はひたすら、「どこかで見たような」展開が続きます。

いや、「どこかで見たような」展開自体が悪いわけではないんですよ。

ただ、「あ、これは千と千尋だな」とか「お、ここはポニョだな」とか「アリエッティーかよ」とか、まるでマッド動画みたいに見覚えのある表現やキャラクターが釣瓶打ちなのに“元ネタ”を超える驚きが一つもないんですね。

少なくとも、僕がこの作品に求めていたのは「宮崎駿チルドレンだった米林監督のその先」なのに、出来上がった作品はジブリの二番煎じで米林監督のオリジナリティーというか作家性みたいなものが全然見えてこないわけですよ。

しかもなまじ上手いもんだから、観てる分には普通に観られるのが余計にタチが悪いっていうね。

ポスト宮崎駿という呪い

ここ何年もの間、ポスト宮崎駿を探そうとスポンサーたちは必死ですよね。
何人ものアニメ監督が槍玉に挙げられて、上手くかわした人もいれば、かわしきれなかった人もいますけど。

で、米林監督も槍玉に挙げられた一人(というか最有力)で、しかも、ジブリで2本も監督しているわけですから、かかる期待もプレッシャーも半端ないのは想像に難くありませんし、観客側も知らず知らずの内に米林監督に宮崎駿の影を求めてしまってると思うんですね。

斯く言う僕も、この感想で米林監督と宮崎さんを比べて文句言ってるわけだし。

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それについては米林監督には申し訳ない気持ちだし、気の毒だとも思うんですが、正直これは米林監督がアニメを作り続ける以上、背負わざるを得ない十字架であると同時に、ある種のアドバンテージでもあるんじゃないかと思うんです。

出来れば次作では、もっと強かにアドバンテージをフル活用して「これが米林宏昌だ!」という作品を観せて欲しいです。

興味のある方は是非!!

 

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