ぷらすです。
今回ご紹介するのは、2009年に34歳の若さでこの世を去った小説家・伊藤計劃の作品をアニメ化していく、「Project-Itoh」の第1作として放たれるSFアクション『虐殺器官』ですよー!
僕は原作は未読なので、あくまでアニメだけを観た印象で言うと、「メッセージ」+「攻殻機動隊」+「フェイト」(っていうか奈須きのこ作品)って感じでしたねー。
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あらすじと概要
2009年に34歳の若さでこの世を去った小説家・伊藤計劃の作品をアニメ化していく、「Project-Itoh」の第1作として放たれるSFアクション。内戦や虐殺を裏で操っているとされる謎の人物、ジョン・ポールを追い掛けるアメリカ軍の特殊部隊大尉クラヴィス・シェパードの姿を描く。監督には数多くのガンダム作品に携ってきた村瀬修功、キャラクター原案には「ビビッドレッド・オペレーション」などのredjuiceが集結。謎が謎を呼ぶストーリーもさることながら、緻密なビジュアルや迫力満点の見せ場にも圧倒される。
ストーリー:開発途上にある国々で頻発する紛争や虐殺の背後に存在する、ジョン・ポールという謎に包まれた男。アメリカ軍の特殊部隊大尉クラヴィス・シェパードは特殊暗殺部隊を率いて、彼の行方を追跡していく。(シネマトゥディより引用)
感想
伊藤計劃とは
本作は、SF作家 伊藤計劃の小説をアニメ化するプロジェクト「Project-Itoh」の第一弾として製作されました。
ウィキペディアによると、伊藤計劃は2004年1月から「はてなダイアリー」にて映画・SF評論ブログを開始したそうで。ご本人はかなりのシネフィルだったそうです。
Webディレクターの傍ら執筆した同名小説が、2006年第7回小松左京賞最終候補となり、ハヤカワSFシリーズ Jコレクションより作家デビュー。
同作は『SFが読みたい! 2008年版』1位、月刊プレイボーイミステリー大賞1位、日本SF作家クラブ主催の第28回日本SF大賞候補になったそうです。
また彼は、ゲーム「メタルギアソリッド」の大ファンでもあり、同ゲームの生みの親で親交も深かった小島秀夫氏から直接『メタルギアソリッド4』のノベライズを依頼される程だっとか。
デビューからわずか2年、肺がんのため34歳という若さで亡くなった彼ですが、遺作となった『ハーモニー』で第30回日本SF大賞を受賞。
同作の英訳翻訳版はフィリップ・K・ディック賞の特別賞を受賞したそうです。
いわゆるオタク畑から登場したゼロ年代を代表するSF小説家の一人だったんですねー。
虐殺器官について
サラエボで発生した核爆弾テロによって世界中で戦争・テロが激化した近未来が舞台。
アメリカを始めとする先進諸国は、厳格な個人情報管理体制によってテロの脅威に対抗し、十数年後、先進諸国からテロの脅威が除かれるわけですね。
その一方、後進国では内戦と民族対立により虐殺が頻発。
その裏には、常に一人のアメリカ人の影があり……。
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本作の主人公、クラヴィス・シェパード大尉はアメリカ情報軍に所属する軍人で、政府の命令によって謎のアメリカ人で元言語学者のジョン・ポールを追ううちに、恐るべき世界の真理を知る……というストーリー。
言語が人の脳や行動に影響を与えるという設定は、昨年公開の「メッセージ」に近い気がするし、謎のテロリスト?を追うというストーリー構成や、光学迷彩などのガジェットは「攻殻機動隊」を、内紛や虐殺を起こさせる“法則”の解説なんかは「Fate」など(というか、奈須きのこや虚淵玄)の魔術の解説に近いものを感じました。
ここからは、ほんのりネタバレ風味になりますw
科学と魔術
ジョン・ポールは、様々な言語、特に虐殺を行ってきた為政者が国民を駆り立てる言語にある一定の法則を発見します。
それは、言語の違いに限らない普遍的な法則で、言語というよりも「音」の波長によって、人間の脳の中にある『虐殺器官』を刺激するというもの。
つまり、ジョン・ポールは言語を研究する学者であると同時に、ある種の呪術というか、魔術士的な存在なんですね。
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一方、シェパード大尉らアメリカ情報軍の兵隊たちは、政府の科学的な処置によって感情の起伏や痛覚、恐怖心までもシャットアウトされているんですね。
そして、ジョン・ポールの『魔術』とアメリカ政府の『科学』の根底は同じものだと指摘され、シェパード大尉は激しく動揺するわけです。
つまり、感情や恐怖などを司る脳の器官を恣意的にコントロールすることで、人間という種が持つ「生存本能」が刺激され、虐殺のスイッチが入るらしいです。多分。
では、ジョン・ポールは一体何のために、後進国を渡り歩き虐殺を誘導しているのか。というのが、本作最大の謎になってるんですねー。
個人的には面白いんだけど
とまぁ、本作は肝の部分の設定がかなり複雑でややこしいので必然的に会話劇になり、そこが好き嫌いの分かれるところかなと思いました。
個人的には、こういう理屈っぽい映画は嫌いじゃないので楽しめたんですが、言語と脳の関係性云々の説明シーンは、これが小説だったら耳馴染みのない単語でも字面で理解出来ると思うけど、セリフとして耳で聞くのは正直辛いなーとw
言葉の意味を頭が理解する前に物語が進んでしまうので、観ている最中は何となく分かったような気になっているんですが、観終わったあと思い返してみると「あれ? 結局どういうこと?」ってなっちゃうんですよねw
「ざっくりこんな感じ」というのはイメージ出来るんですが、言葉の意味をちゃんと理解しようと思ったら1回観ただけでは難しいかもしれません。
もしくは字幕をONにして、一時停止しながら観るとか。
まぁ、そこまでするなら原作を読めって話ですけどねw
本作にどのくらい原作が反映されているかは分かりませんが、本作を観た印象としては、かなり映像化に対して苦労している様子が伺えたし、おそらく原作ファンにとっても、原作未読の人にとっても、大満足とはいかない作品なのかな? と思いましたねー。
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とはいえ、様々なガジェットやアクションは新鮮だったし、R-15指定だけあってゴア描写も容赦なくて。何より、劇中にハッキリしたメッセージ性があって考えさせられる内容だったので、個人的には面白い作品でしたよ。
興味のある方は是非!!
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