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モヤモヤするけどそこがいい!「セブン・シスターズ」(2017)

ぷらすです。

今回ご紹介するのは、「ミレニアム」シリーズで主演を務めたノオミ・ラパスが1人7役を務めて話題になったデストピアSFスリラー『セブン・シスターズ』ですよー!

人口増加による滅亡を防ぐため、一人っ子政策を始めたディストピア世界を生き延びようとする7人姉妹(7つ子)の物語なんですが、面白かったですねー!

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概要

近未来を舞台に、交代で一人の人間に成り済ます七つ子姉妹の運命を描いたSFスリラー。『ミレニアム』シリーズなどのノオミ・ラパスが主演を務め、個性豊かな姉妹を演じ分ける。『アルバート氏の人生』などのグレン・クローズ、『シャドウ・オブ・ヴァンパイア』などのウィレム・デフォーらが共演。『処刑山 -デッド・スノウ-』などのトミー・ウィルコラ監督がメガホンを取った。(シネマトゥディより引用)

感想

「ヨーロッパ版おそ松さん」は生きるのが大変!?

本作の舞台は、人口増加と相次ぐ飢饉によって厳しい食糧難に陥った近未来の世界。
戦争や難民問題が繰り返されたことによって主要国は滅び去り、ヨーロッパ連邦が新たな超大国になっていて、時の権力者ニコレット・ケイマン (グレン・クローズ)は、人類絶滅を防ぐため大規模な一人っ子政策を行います。

それは第二子以降の子供は児童分配局によって親から引き離され、枯渇した地球の資源が回復する日まで冷凍保存されるというものなんですね。

そんな時代に、ある女性が命と引き換えに7つ子の女の子を出産。

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女性の祖父(ウィレム・デフォー)は、7人の名前にそれぞれ曜日を割り振り、7人で1人の人格カレン・セットマン(割り振られた月曜~日曜までの曜日以外の姉妹は自宅の屋根裏で暮らす)として生きるように子供の頃から教え込み、何とか当局を欺き続けるんですね。

そうして彼女たちが30歳になっていたある日、7姉妹の長女マンデーが外出したまま、夜になっても帰宅しないという事態が発生。7姉妹の日常が狂い始めていく…というSFサスペンスです。

人口増加による食糧難や紛争、難民や環境破壊によって、人類は遺伝子組み換え食品を作るしか選択肢がなくなり、これによって一時は状況が改善するものの、今度は食品の影響で、双子・三つ子・五つ子など、生まれてくる子供たちに影響が出始めるという設定は、一見、荒唐無稽に思えますが、「もしかしたらありえるかも」と思わせる絶妙な設定だなーと思いましたねー。

ノオミ・ラパスが7姉妹を熱演

そこで、ケイマン率いる政府は強制一人っ子政策を実施。
国民全員に個人情報が入った時計型ブレスレットの着用を義務化した徹底的な監視社会になっていくわけです。

そんな中、家の屋根裏に隠れてこっそり生きる7姉妹を演じるのは、「ミレニアム」シリーズ(「ドラゴンタトゥーの女」のオリジナル版)で、主人公のリスベットを演じたノオミ・ラパス

月曜日(マンデー):真面目な長女。

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火曜日(チューズデー):自由だけど繊細なヒッピー。

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水曜日(ウェンズデー):トレーニング大好きな武闘派。

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木曜日(サースデー):子供の頃からルールを破って自分を貫いてきた。反抗的。

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金曜日(フライデー):コンピューターオタクで姉妹のブレーン的存在。

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土曜日(サタデー):セクシーで社交的な飲み会要員。

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日曜日(サンデー):しっかり者で姉妹の母親的存在。

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という、顔はそっくりだけど性格やキャラクター違う7人を、見事に演じ分けていましたねー。
一日に何人も演じ分けたり、それぞれの個性に合わせたアクションも覚えなくちゃならないので、かなり苦労したようです。

また、そんな1人7役を成立させるため、姉妹が揃うシーンではカット割りや代役、CGによる顔の合成などを駆使して、本当に7人の女優が存在するようなリアルな映像になってました。

物語を牽引する謎解きとサスペンス

マンデーが会社から帰らなかった翌日、状況を知るためにカレン・セットマンとして外出したチューズデーは児童分配局に捕まり、さらに自宅を児童分配局が襲撃。

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状況もわからないまま、生死をかけた戦いに放り込まれる彼女たちですが、やがて、彼女たちが7人姉妹と見抜いた誰かが、児童分配局に密告した事に確信を持ち、それぞれの得意分野を活かしながら、当局に自分たちを売った人間を探し始めるんですね。

アパートのドアマンや、同じ会社に務めるゲス野郎、IDチェックのためのゲートを守警備員などなど、見るからに怪しげな連中を相手に、少しづつ真実に近づいていく謎解きと、いつ児童分配局に襲われるか分からないサスペンス要素が、本作を引っ張る牽引力になっています。

いや、ぶっちゃけ中盤くらいで「ははーん、こいつが犯人だな」と予想はつくんですけど、そこから更にもうひと捻りあるのも面白かったです。

勧善懲悪ではない座りの悪さ

もう一つこの映画の特徴は、いわゆる100%の悪役がいないんですよね。
いや、一応ラスボス的な悪役はグレン・クローズ演じる権力者、ニコレット・ケイマン なんですけど、中盤でこの政策に心を痛めている彼女の姿が出てきてビックリするし、このシーンによって、その後の展開が非常に尻の座りの悪い感じになるんですよね。(褒めてます)

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やってることは非道いんだけど、それもこれも人類の未来を繋いでいかなければ…っていうリーダーとしての責任感ゆえだし、姉妹を売った犯人も追い詰めていく児童分配局も100%の悪役ではないんですね。

なので、現実にもし同じことが起こったら、ケイマンの事を責められるだろうかとか考えてしまい、物語が終わってもどこか釈然としない苦い後味が残るのです。

そういう意味で、どうにもスッキリしない映画ですが、その辺の意地の悪さも嫌いじゃないなーって思ったりしました。

まぁ、若干ご都合主義的な展開があったりもするんですが、そんなには気にならないし、物語も映像もヨーロッパ映画的な重厚さがあって個人的には好きな作品でしたねー!

興味のある方は是非!!

 

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