明けましておめでとうございます!
ぷらすです。
というわけで本日、2021年元日公開の『新 感染半島 ファイナル・ステージ』を観てきましたよー!
2016年に公開し世界をあっと言わせた、あの「新感染 ファイナル・エクスプレス」の続編です!
画像出展元URL:http://eiga.com
概要
韓国発のパニックホラー『新感染 ファイナル・エクスプレス』の4年後を描いた続編。パンデミックを逃れて香港に渡っていた元軍人の主人公が、ある任務のために「半島」に戻りサバイバルを繰り広げる。監督は前作のヨン・サンホが続投。『華麗なるリベンジ』などのカン・ドンウォンが元軍人を演じ、ドラマ「輪舞曲 ~RONDO~」などのイ・ジョンヒョンや『それから』などのクォン・ヘヒョらが共演する。(シネマトゥディより引用)
感想
“あの”韓国発ゾンビ映画の続編
本作は2016年に公開された韓国発のゾンビ映画「新感染 ファイナル・エクスプレス」から4年後の世界を描いた続編です。
ゾンビパンデミックにより僅か1日で壊滅した韓国を舞台にしたポストアポカリプスもので、「新幹線」に掛けた前作のタイトルが通じなくなって困った日本配給会社は「新」の後ろにスペースを開け、「感染」の後ろに「半島」を足すことで、「新感線」の続編ながら今回は「半島」に規模を広げたことを表現し、何とか難局を乗り切ったんですねー。(←どうでもいい話)
前作では狭い列車の中に舞台を限定するというアイデアで、ハリウッドなどに比べれば低予算ながら大迫力のゾンビ映画を作りあげたヨン・サンホ監督が本作も続投。
予算が2倍になった本作ではさらにスケールを広げて、“難民”として差別される日々から抜け出すため、香港ギャングからの「3日以内にソウルに乗り捨てられたトラックに積まれた2000万ドルの大金を回収する」という仕事を請け負った主人公たちが、再びゾンビだらけの母国に潜入するという内容で、「ワールド・ウォーZ」並みに大量な走るゾンビや韓国に取り残されヒャッハー化した民兵集団631部隊を相手取りながら、密かに生き残っていた家族とともに地獄と化した韓国からの脱出を図るというストーリー。
前作のゾンビ設定は引き継ぎながらも、本作では完全にサバイバルアクションに振り切っているんですね。
サンホ監督によれば、本作は「マッドマックス」「ザ・ロード」「AKIRA」「ドラゴンヘッド」、そしてロメロの「ランド・オブ・ザ・デッド」に影響を受けているそうで、「なるほど確かに!」と思わせるシーンが多々あるんですが、特に後半、631部隊と主人公たちが繰り広げるカーチェイスのくだりは完全に「怒りのデスロード」でしたねー。
ざっくりストーリー紹介
人を狂暴化させるウイルスの感染爆発から4年後。
姉と甥を救えなかった元軍人のジョンソク(カン・ドンウォン)は、亡命先の香港で失意の日々を送っていました。
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そんなある日、香港マフィアから「3日以内にソウルに乗り捨てられたトラックから2000万ドルの大金を回収する」という仕事を請け負ったジョンソクは、義兄のチョルミン(キム・ドゥユン)らとともに裏ルートで封鎖された朝鮮半島に上陸。
すぐにトラックを発見した彼らでしたが、港に向かう途中、本能のまま生存者狩りを楽しむ民兵集団631部隊と大量の感染者に襲撃されトラックを奪われてしまうんですね。
押し寄せるゾンビに死を覚悟したジョンソクを間一髪救ったのは、二人の少女ジェニ(イ・レ)とユジン(イ・イェオン)。
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二人は、ミンジョン(イ・ジョンヒョン)とソ大尉(ク・ギョファン)と4人で暮らしていて、ミンジョンとユジンは4年前にジョンスクが見捨てた母子だったのです。
そんな4人を地獄から救い出すため、ジョンソクはミンジョンと共に631部隊のアジトに潜入しトラックを奪い返すミッションに挑む――という物語。
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前作と世界観を共有しているものの、登場人物もストーリーも繋がりはないので、本作だけ観ても全然問題なく楽しめると思うし、その上で前作を観ていればさらに楽しめるという感じだと思います。
ただまぁ、アクション映画としては面白いけど、本作でのゾンビは(特にカーチェイスシーンでは)恐ろしい怪物ではなく、ジョンスクvs631部隊のカーチェイスの障害物でしかないため、「ゾンビ映画」としての怖さやスリルはまったくありませんでしたねー。
あと、CG描写は作りの荒さが目立つし、伏線の張り方が如何にもこれ見よがしであまり上手くなかったり、エモーションを優先させるあまりストーリーのテンポが完全に崩れたりしてるし、631部隊のヒャッハー振りがあまりにもテンプレ的で漫画(アニメ)っぽい。っていうか、本作のキャラが全体的に漫画っぽいと思いました。
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まぁ、その辺はヨン・サンホ監督が元々アニメ監督だからっていうのもあるとは思うし、前作でも多少感じた部分ではありますが、前作が劇中の行動でキャラの背景を見せる演出の積み重ねで、ドラマやエモーションに深みを出していたのに対し、本作はストーリーの都合に合わせてキャラが動いている感があるし、キャラのチートな能力(ジェニのドライビングテクニックとか)は、アニメならいいけど実写映画としてはちょっと説得力に欠ける感じでした。
ゾンビと時間
あと、これを言ったら元も子もないし本作に限ったことではないんですが、この世界のゾンビは何を喰って生きてるのかっていうね。
本作のゾンビは死んでいるわけではなく、ウィルス感染によって狂暴化してるという設定で、つまり栄養を補給しないと死んじゃうわけじゃないですか。なのにあれだけの数のゾンビが4年以上生きているってことは……共食い?
これと同じ設定の「28週後...」ではパンデミックから5週後、感染者が飢餓で死に絶えるという設定を取り入れてますよね。
というか、実は「時間」は全てのゾンビ映画が構造的に抱えている問題で、生死にかかわらずゾンビはいつまでゾンビでいられる(ゾンビ状態を維持できる)のかという問題を避けるため、製作者は脚本で上手く時間をぼやかしたり、舞台をパンデミック後数週間に絞ったりしながら、観客に気づかれないようにやりくりしたり、逆に「28週後…」みたいに設定に盛り込んだり、あえてツッコミを入れることでメタ的に笑いにもっていったりするわけです。
ところが本作は、前作から「4年後」とハッキリ時間を設定したことで、前述の「時間の問題」が露わになってしまったんですねー。
withコロナとゾンビ映画
昨年の世界的コロナパンデミックによって、今後観客がゾンビ映画を観る目は確実に変わると思います。
そもそもロメロ以降のゾンビ映画は構造的にパンデミックを連想させる作りになっていて、僕らは昨年「本物」のパンデミックを経験し、今もその渦中にいます。
本作でも、ゾンビパンデミックから他国へ亡命する人々が受け入れを拒否されたり、主人公ジョンスクたちが亡命先の香港で差別を受けている描写があったりしますが、ヨン・サンホ監督はコロナウィルスが世に現れる以前に、本作の構想と撮影を終わらせているので、前述の描写にコロナ後の世界情勢の反映を意図したわけではないでしょう。
しかし、現実のコロナ騒動を経験した我々観客は、どこかで無意識的にリアルを意識しながらゾンビ映画を観しまうと思うんですね。
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そういう意味で、これからのゾンビ映画はどうしたってwithコロナを意識せざるを得ないし、本作は奇しくも「withコロナ」最初のゾンビ映画になってしまったわけです。
まぁ、そんな面倒くさいことは横に置いておいて、個人的には「~怒りのデスロード」と「ワイルド・スピード」と「ワールド・ウォーZ」を足して3で割ったような、あの全てにおいて過剰なカーチェイスだけでも映画館で観る価値はあると思うし、日本とさほど規模の変わらない韓国映画でこれだけの大作アクションが作れたのは素直に凄いなーと感動しましたよ!
興味のある方は是非!!
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