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知らない世界を知る喜びに満ちた良作「ようこそ映画音響の世界へ 」(2019)

ぷらすです。

今回ご紹介するのは、映画“音響“にスポットを当てたドキュメンタリー映画ようこそ映画音響の世界へ 』ですよー!

僕は映画製作やメイキング系のドキュメンタリーは色々観ている方だと思うんですが、音響にスポットを当てた作品は本作が初めてなんじゃないかと思いますねー。

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画像出展元URL:http://eiga.com

概要

ハリウッドの映画音響の世界に迫るドキュメンタリー。劇中の登場人物のセリフをはじめ、映画音楽や環境音など、映画にまつわるさまざまな音に光を当てる。ジョージ・ルーカススティーヴン・スピルバーグソフィア・コッポラクリストファー・ノーランアルフォンソ・キュアロンら映画監督のほか、『E.T.』『インディ・ジョーンズ/最後の聖戦』でアカデミー賞音響効果編集賞を受賞したベン・バートや、『イングリッシュ・ペイシェント』で第69回アカデミー賞音響賞を受賞したウォルター・マーチらも出演している。(シネマトゥデイより引用)

感想

”音響“にスポットを当てて映画の歴史を語る良作ドキュメンタリー

実は僕は、映画のDVDやブルーレイの映像特典でメイキングが入ってると絶対観てしまう「メイキングフェチ」でして。

子供の頃に公開された「スター・ウォーズエピソード4」も、本編よりむしろメイキング映像で構成されたテレビ番組(ビデオ?)?の方が大好きで、以来、SFやホラー映画のメイキングを見まくるようになってしまったんですよね。
まぁ、近年は特殊撮影もSFXからVFXに移ってしまって、面白いメイキング映像は減ってしまいましたけども。

でも、それらのメイキング映像でも「音楽」までは紹介されてるけど「音響」となると紹介されることは殆どなくて、テレビの特集で小豆を入れたデカいザルを揺らして海の波の音を作るみたいな効果音の紹介がたまーーーーーーーにされるくらい。

つまり映画製作の中でも、一番謎のベールに包まれているのが「音響」の仕事なんですよね。

本作ではそんな映画音響の世界を物語を盛り上げる役者の“セリフ”、映画にリアリティーと迫力を持たせる“効果音”、観客の感情を高めていく“音楽”に分解して、それぞれの技術発展を新旧の名作と、そこに関わってきた著名な映画人たちへの取材を通して描き出していくんですね。

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映画はエジソンが蓄音機(録音媒体)を発明するところからスタート。
オーケストラが映像に合わせて生演奏していた無声映画時代、フィルムに記録された音を同時に再生する“サウンドトラック“の誕生、モノラルからステレオ、さらに立体的なサラウンドへと表現域を拡げていく技術の進歩と並行して、撮影現場でのセリフの同時録音からノイズを取り除き、聞こえにくいセリフをスタジオで録音するアフレコ。

SF映画では電子音で音をつけるのが普通だった時代に動物の鳴き声や自然の音を録音・加工して効果音に使った「スター・ウォーズ」、ジェット戦闘機の音に猛獣の鳴き声を合成して本物以上の迫力を出した「トップ・ガン」など、誰もが知るメジャーな映画の「音」を解説。

また、映画に詳しいマニアでも誤解しがちなドルビーステレオの起点が「スター・ウォーズ」ではなく「スター誕生」であることを主演/製作総指揮のバーブラ・ストライサンドに証言を基に紹介しているんですね。

技術の進化と並行して映像技術が進歩するように音響技術もまた時代と共に進歩、観客に驚きと感動を与えていることが分かります。

例えば本作では取り上げられてないけど、スラッシャーホラーの先駆けとなったトビー・フーパ―監督の「悪魔のいけにえ」は、実は思ってるより残酷描写は少なくて、恐怖のメインは鉄扉の閉まる音やレザー・フェイスが振り回すチェーンソーなどの音の演出なんですよね。

またコッポラの「地獄の黙示録」以降、5.1chサラウンドの音響によって立体化された音が映画の迫力を増しているのは、映画館で映画を観る人なら良くご存じなのではないでしょうか。

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つまり、観客が感動する映画、ヒットする映画の多くは、映像や役者(演技)だけでなく音楽や音響も素晴らしいし、一流の映画監督は映画における音の大切さをよく分かっているんですよね。

とはいえ、かなりマニアックな内容なので映画製作に興味のない人は楽しめないと思うかもですが、「知らない世界を知る喜び」が本作には満ちていて、映画の舞台裏に興味のある人もそうでない人も楽しめる、ドキュメンタリーの良作だと個人的には思いましたよ。

興味のある方は是非!!

 

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