今日観た映画の感想

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遡ってスピルバーグの凄さが分かる映画「ジュラシック・ワールド新たなる支配者」(2022)*ネタバレあり

ぷらすです。

今回ご紹介するのは、今年公開されたジュラシックシリーズ完結編?『ジュラシック・ワールド新たなる支配者』ですよー!

本作が劇場公開された時、映画館に観に行こうか行くまいか悩んだんですが、あまり良い評判が聞こえてこなかったので、結局観に行かなかったんですよね。

で、今回の感想の結論を先に書くと「やっぱスピルバーグって凄かったんだなー」でした。

ちなみに今回、本作を含めジュラシックシリーズのネタバレを含むので、これから観る予定の人、ネタバレ絶対イヤという人はお気をつけください。

いいですね? 注意しましたよ?

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概要

現代によみがえった恐竜たちを描く『ジュラシック』シリーズ完結編。人類と恐竜たちが混在する世界を舞台に、両者の行く末が描かれる。監督などを務めるのは『ジュラシック・ワールド』などのコリン・トレヴォロウ。前作にも出演したクリス・プラットブライス・ダラス・ハワードをはじめ、『ジュラシック』シリーズ初期作品のキャストに名を連ねていたローラ・ダーンジェフ・ゴールドブラムサム・ニールらが出演する。(シネマトゥデイより引用)

感想

「ジュラシックシリーズ」とは

まぁ、今更説明の必要もないとは思いますが、1993年公開のジュラシックシリーズ1作目「ジュラシック・パーク」は1990年に発表されたマイケル・クライトンの同名の小説を原作に、みんな大好きスティーヴン・スピルバーグ監督が実写映画化。

当時最先端だったCGとアニマトロニクスを組み合わせて、誰も見たことのなかった恐竜の映像に世界中が驚愕したんですね。

ちなみに僕は公開時ジュラシックパークを観ていなくて、結局それから10年以上経ってからレンタルDVDで始めて観たんですね。

当然その間にCG技術もガンガン進歩していたし、僕もそうした映画を山ほど観ていたにも関わらず、グラント博士一行が最初にブラキオサウルスを見上げるシーンはホント驚いたし、その後のTレックスを始めとした恐竜たちの動きや表情のリアルさにも心底驚いたものです。

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そんな第1作の大ヒットを受けて、1997年に公開された続編「ロスト・ワールド/ジュラシック・パーク」では、色々あって失敗した元ジュラシックパークことサイトBことイスラ・ソルナ島から、サンディエゴに連れてきた恐竜が大暴れするというストーリーですが、内容が原作から大幅に改変された事もあってか、スピルバーグ自身が監督したにも関わらず、評判の方は芳しくなかったんですね。

そしてジュラパ3部作完結編で2001年公開の「ジュラシック・パークIII」では、化石発掘の資金難に苦しむアラン・グラント博士が、お金持ち夫婦の依頼で恐竜の自然管理保護区域に指定されると同時に人間の立ち入りが禁止となったイスラ・ソルナ島の上空を回るツアーガイドの依頼を受けるものの、なんやかんやあって飛行機は島に着陸。

一行は恐竜に襲われててんやわんやする。というストーリーでした。

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それから14年後の2015年、ジュラパ3部作の続編にして「ジュラシック・ワールド」3部作1作目として公開されたのが「ジュラシック・ワールド」でした。

主演は、ガーディアンズ・オブ・ギャラクシークリス・プラット

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監督はその後「ジュラシック・ワールド」三部作を手掛ける事になるコリン・トレヴォロウ

ストーリーは、まぁ、ざっくり言えば、「ジュラシック・パーク」の焼き直し。

オープン前に事故で頓挫したジュラシック・パークを買収したマスラニ社によってオープンした恐竜園「ジュラシック・ワールド」でヴェロキラプトルを飼育するオーウェンクリス・プラット)とパークの運営責任者のクレアブライス・ダラス・ハワード)が主人公。

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遺伝子操作によって生み出されたオリジナル恐竜、インドミナス・レックスの暴走で、結局オープンしたばかりの「ジュラシック・ワールド」が壊滅するというストーリー。

2018年公開の「ジュラシック・ワールド/炎の王国」では、イスラ・ソルナ島の火山噴火によってふたたび絶滅の危機に陥った恐竜を保護するべく「Dinosaur Protection Group(DPG)」を設立したクレアはベンジャミン・ロックウッドの支援・サポートを取り付け北カリフォルニア州にあるベンジャミンの屋敷「ロックウッド・エステート」の地下の施設に恐竜を運ぶが、ベンジャミンに仕えるロックウッド財団の経営者イーライ・ミルズは密かに恐竜を生物兵器として売買することを画策、またまた遺伝子組み換え恐竜インドラプトルを作り出し、色々あってインドラプトルの暴走でてんやわんやの末、毒ガスで恐竜たちを殺害しようとするも、ロックウッドの孫娘かと思いきや実はロックウッドの娘のクローン人間だったメイジー(イザベラ・サーモン)が施設のロック解除ボタンを押し、恐竜たちが野に放たれるという結末になります。

新たなる支配者は恐竜か人間か――?

本作「ジュラシック・ワールド/新たなる支配者」は恐竜が解放された後の世界を描いた作品。

前作からの流れで言えば、ついに野に放たれ恐竜vs人間、地球の支配者はどちらなのか!―――という物語になると思うじゃないですか。

実際、映画冒頭ではモササウルスが蟹漁船を襲ったり、最大の翼竜ケツァルコアトルスが大都市の高層ビルに巣を作ってたり、Tレックスがキャンピングカーを襲ったなどのニュース映像が流れて、おぉぉ!!ってなるんですが――、その割にみんな普通に、今と同じ感じで生活してるんですよね。

いや、恐竜が逃げ出したって言ってんのに、人里離れた山奥でキャンプとか狂気の沙汰でしょ。北海道でクマが目撃されたら周辺の公園とか封鎖されるよ?
そして案の定Tレックスに襲われてるし。

他にもどうやらあちらこちらで、人間が恐竜に食われてるっぽいんだけど、人類?はこの期に及んで恐竜の保護施設を設立して、バイオシン社という会社に管理を任せてるらしいんですね。

で、まぁこのバイオシン社のスティーブ・ジョブズみたいな社長、ルイス・ドジスンキャンベル・スコット)は、表向き恐竜を保護してるんだけど、裏では恐竜売買やら遺伝子改造で巨大イナゴを作り、世界の食料事情を掌握しようとしてる悪いヤツ。

一方、オーウェンとクレアは、こんな世界を引き起こした張本人でクローン人間のメイジ―ちゃんを、彼女の遺伝子を狙う輩から匿うため人里離れた山奥の小屋に住んでるんですよ。しかも、その近くにはオーウェンの相棒ヴェロキラプトルのブルーが子連れで(勝手に)住み着いてるというご都合設定。

しかし、メイジーちゃんは反抗期真っ最中なうえ、クローン人間という自分の素性も相まってオーウェンやクレアに反抗ばかり。

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ちなみに、メイジーちゃんはなぜ狙われるのかというと、天才遺伝学者のシャーロット・ロックウッドが自身のクローン、メイジーちゃんを作る際に、自身の遺伝病をメイジーに継がせないため、恐竜の遺伝子を掛け合わせてなんやかんやしたことで、メイジーちゃんは世界でただ一人のスーパー遺伝子を持つ少女になったらしいです。

で、オーウェン&クレアとケンカしたメイジーちゃんは、家出した途端ドジスンに雇われたゴロツキに誘拐されます。ついでにブルーの子供も誘拐されます。

一方、バイオシン社に雇われ、恐竜の保護施設で教鞭をとっていたイアン・マルコムジェフ・ゴールドブラム)はドジスンの悪だくみに気づき、旧友のエリーローラ・ダーン)とグラントサム・ニール)を呼び、保護区内で飼育されてる巨大イナゴのデーターを盗み、世間に公表して欲しいと依頼。

そこでエリーとグラントは誘拐されてきたメイジーちゃんと合流。メイジーちゃんを救いに来たオーウェン&クレアとも合流。

で、恐竜に襲われたり、巨大イナゴに襲われたりしながら、保護区を無事脱出。

ドジスンの陰謀を暴き、メイジーちゃんの遺伝子でイナゴを撲滅し、ついでに闇の恐竜ビジネスも潰してめでたしめでたし。というストーリー。

―――って、ガチャガチャしてんなー!(。・д・)ノ)´Д`)ビシッ

その割にやってることは今までの焼き直しでしかないし、なんか無理矢理「人間と恐竜は共存していけるのだ」みたいないい話風にまとめられてるけど、冒頭と結末で事態が何一つ変わってないんですよね。

登場人物多すぎ問題

そんな本作の問題の一つがこれだと思います。

ぶっちゃけこの物語、ジュラワーレギュラーメンバーオーウェンとクレア、そしてメイジーちゃんがいれば成立するわけですよ。

ところが、そこにグラント、エリー、マルコムというジュラパ―レギュラーの3人を加え、さらにウー博士( B・D・ウォン)だの、ドジスンだの、フランクリンだの、ジア・ロドリゲスだの、バリー・センベーヌだの、過去作に登場したキャラをこれ見よがしに再登場させ、さらに、ケイラ・ワッツ、ラムジー・コール、ソヨナ・サントスという新キャラも入り混じってる。

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正直、キャラ登場のたびに「あれ、コイツは過去作キャラ?それとも新キャラ?」ばかり気になって、物語が全然頭に入ってこないんですよね。

それでも、このキャラクターたちがそれぞれ物語に寄与してればいいんですけど、ぶっちゃけグラント、エリー、マルコムの3人なんかはいなくても物語全然成立する――というか、いない方が物語的にはスッキリ観やすくなるハズで。

恐らく、コリン・トレヴォロウ的にはファンサービスのつもりなんでしょうが、それが逆にノイズになって、物語の邪魔になってるし、キャラ数の分物語の時間も長くなってる。このジュラパ3人組のイナゴ騒動パートがなければ、本作は2時間くらいで収まってたんじゃないですかね。

っていうか、ジュラシックシリーズを観に来る人の多くは恐竜がが見たいわけで、人間のわちゃわちゃとかは別にいらないんじゃないかな。

全体的に雑すぎて

で、これはキャラ多すぎ問題にも関わるかもですが、本作は、脚本、演出、映像の全てが雑なので、本来シンプルな物語なのに、観ててめっちゃ混乱するんですよね。

例えば、ドジスンの腹心としてバイオシン社で働くラムジー・コール
この男は、バイオシン社の広報部長で、ドジスンの悪企みに嫌気がさし、マルコムに教えてグラント&エリーを呼び寄せ、終盤以降協力してバイオシン社の不正を世間に公表してもらおうとしている、いわば内部告発者ですが、これらの設定が劇中でまったく示されないので、こいつが何者で何がしたいのかが終始全く分からず、敵か味方かも分からないまま物語が進むので、潜入捜査してるCIAか、いやいややっぱ2重スパイなのか?で本当は敵か?と気になって、物語が頭に入ってこない。

そして別にドジスンとの関係性も全然描かれないので、終盤裏切りがバレてドジスンに「私たちの絆を忘れたのか!」と詰められ、「絆などなかった」と言い捨てるシーンも、ラムジーになんの感情移入も出来ないんですよね。

っていうか、お前、めっちゃ会社の機密データーにアクセスしてるけど、それが出来るならわざわざよそ者のグラント&エリーに頼まなくても、自分でデーター盗って公表すればよくね?っていう。

また、オーウェン&クレアのジュラワチームが誘拐されたメイジーちゃんを追ってやってきたマルタ島で、ドジスンと組んで恐竜密売の闇市場を牛耳る女ソヨナ・サントス

こいつも特に背景らしきものが説明されないので何者か全くわからず、照射したものをアトロキラプトルに襲わせるレーザーポインターという、まったく理屈の分からない武器を駆使してオーウェンたちを翻弄するんですが、いよいよCIAに捕まりそうになった時、そのレーザーポインターを何故かオーウェンに照射。オーウェンが4頭のアトロキラプトルに追われる展開になるんですね。

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いや、目の前のCIA職員フランクリンにレーザーポインターを照射するなら分かる。フランクリンが襲われてる隙に逃げられますからね。なのになぜオーウェンに照射したかといえば、その後のオーウェンとアトロキラプトルのチェイスシーンに繋げるためなんですよね。

いや、せめてオーウェンにレーザーを照射→オーウェンが恐竜に追われる→その後フランクリンに逮捕されるの順番でしょ。

しかもこのヨソナの登場とほぼ同時に、後にオーウェン&クレアに協力する運び屋ケイラ・ワッツも登場するので、さらに物語がごちゃつくんですよね。

で、元々は違法な運び屋だったケイラが二人に協力した理由ってのが、『このままじゃいけないって思った』って、動機弱すぎやろー!(。・д・)ノ)´Д`)ビシッ

映像的な事で言えば、今回は過去作と比べても沢山の恐竜が登場するわけですが、過去作と比べて一番インパクトがないんですよ。

これまでの作品は、新恐竜やTレックスが登場するときに驚きがあったし、恐竜と人間の遭遇シーンではちゃんと、見つかるか見つからないかみたいなサスペンスがあったじゃないですか。

今回はそれが全然なくて、ただ出てるだけだったり、一応サスペンスっぽくはしようとしてるものの全然できてなくて、いや、それ絶対見つかってるでしょ。とか、なんで今その行動をするんだよ!とか、観てるコッチがいちいちツッコミを入れてしまう雑な演出なんですよね。

特にクラマックスでは、グラント、エリー、マルコムの3人はもう年齢も年齢なので、あまりスピーディーには動けず、そのスピードに合わせてるので全然ハラハラ感がない。むしろ恐竜が彼らに気を使ってる――みたいに見えちゃうんですよ。

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あと、今回のラスボスは世界最大の肉食恐竜ギガノトサウルスなんですが、ぶっちゃけそんなに大きく見えないというか、Tレックスと並んでも、さほど対格差を感じないし、迫力もイマイチ。死に方もなんかコントみたいでしたしね。

そんなギガントサウルスとTレックスの闘いでも、噛まれてるのに血の一つも出ないので、じゃれ合ってるように見えたりね。

ほんと、一つ一つ挙げていったらキリがないのでこの辺にしますけど、とにかく全てが。あまりに雑すぎて、シンプルな物語が難解に見えるくらい。

まぁ、振り返ってみればジュラワーはシリーズは1作目から、作劇・演出でのご都合主義や雑さはありましたけど、今回はほんと、それが極まったというか、逆にこのジュラワー三部作を見ることで「あー、やっぱスピルバーグって凄かったんだなー」と再認識してしましたよ。

恐竜はいっぱい

そんな感じで、散々文句を言ってきましたが、本作には過去作より良いところもあって。それは前述したようにとにかく沢山の恐竜がでるところ。

恐竜の研究は日進月歩なので、ジュラパ第1作と今では、恐竜の見た目も変わってるじゃないですか。毛や羽が生えてたり。

本作ではそんな最新の情報に沿ったデザインの恐竜たちがいっぱい見られるので、恐竜好きな人にとっては楽しく観られるんじゃないかって思いました。

興味のある方は是非!!