ぷらすです。
先日、その日の最終の回で話題沸騰の『ザ・フラッシュ』を観てきました!
公開前から、海外での評判がすこぶる良いと聞いて超期待してたんですが、実際観てみたら、これまでの全DC映画の中でもベスト級の面白さでしたねー。
というわけで、今回はまだ公開されたばかりの作品なので、予告編で公開されている以上のネタバレは出来る限りしないよう気を付けて書きますが、これから本作を観る予定の人や、ネタバレ決して許すまじと言う人は、先に本作を観てからこの感想を読んで下さい。
いいですね?注意しましたよ?
画像出展元:http://eiga.com
概要
地上最速の能力を持つDCヒーロー、フラッシュが主人公のアクション。過去に戻ったフラッシュが取ったある行動により、現在の世界に歪みが生じてしまう。『IT/イット』シリーズなどのアンディ・ムスキエティがメガホンを取る。『少年は残酷な弓を射る』などのエズラ・ミラーのほか、サッシャ・カジェ、マイケル・シャノン、ベン・アフレック、マイケル・キートンらがキャストに名を連ねる。(シネマトゥディより引用)
感想
フラッシュって何者?
まず、本作の主人公「フラッシュ」とは一体何者なのか。いや、ファンの人はもちろんご存じでしょうけど、ヒーロー映画に詳しくない人向けにざっくり説明すると、フラッシュはDCコミック古参ヒーローの一人です。
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DCコミック、つまりスーパーマンやバットマンの仲間ですね。
ちなみにアイアンマンやスパイダーマンはマーベルコミックのヒーローで、日本で言えばDCコミックが少年マガジン、マーベルコミックが少年ジャンプって感じでしょうか。
で、そんなDCヒーローのフラッシュを一言で言うならメッチャ足の速い人。
フラッシュことバリー・アレンは、少年時代大好きな母親を強盗に殺されてしまい、しかも母殺しの容疑で父親が捕まってしまうという過去があります。
バリーは父親が犯人ではない事を知っているんですが、彼の証言は信じてもらえず、父親も無実を訴えるも状況を覆すだけの証拠がない。
そこでバリー少年は父親の無実を晴らすべく、メッチャ勉強して法医学者捜査官になり、警察で働き始めるんですね。
ところがある日、室内に入ってきた雷が実験中の薬品を直撃。バリーは雷に感電したうえ薬品を全身に浴びてしまい、その影響でメッチャ足が速くなる特異体質を得て超高速ヒーローのフラッシュになるのです。
で、本作では色々手は尽くしたものの、結局父親の無実を証明できる決定的な証拠が手に入らなかったフラッシュ/バリーが、自分が本気で走ると時間を飛び越えてタイムスリップできるという事に気づき……という物語なんですね。
タイムスリップ映画
これまでタイムスリップを扱った名作映画は多々ありますが、その中でも誰もが知る名作といえば1985年公開のBTTFこと「バック・トゥ・ザ・フューチャー」ではないでしょうか。
本作の劇中でも、BTTFに言及するシーンやBTTFをオマージュしているシーンがありますが、過去改変によって起こる事態はBTTFよりもかなり深刻。いわゆるバタフライエフェクトによって世界線が変わり、世界が滅亡の危機に陥ってしまいます。
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つまり本作もまた、「マルチバースもの」になるわけですが、同じくマルチバースを扱うMCUとは解釈が少し違っていたのが新鮮だったし、その説明もシンプルでかなり飲み込みやすかったですねー。
フラッシュポイント
そんな本作は「フラッシュポイント」という原作コミックを基にしています。
これは裏話なんですが、アメリカのコミックは日本と違って著作権を出版社が持っています。なので、1938年に誕生した「スーパーマン」のコミックが描き手を変えながら現在もまだ続いているし、同じキャラクターで描き手を変えながら様々なバージョンの物語が同時進行で始まったり終わったりしているんですね。
日本で言えば、公式が大量の二次創作の同人誌を出しているみたいなイメージ。
でも、あまりに長く物語が続くことで設定が時代に合わなくなったり、色んなバージョンの物語やキャラ設定が混在することで辻褄がどんどん合わなくなっていく。
それらの問題を解消するために、そこまでの物語を一旦チャラにするエピソードを挟んで心機一転、そこからリスタートするイベントがアメコミ業界では定期的に起こるんですね。そして、それ以前とそれ以降を「マルチバースにおける別アースの物語」と分けて物語の整合性を取る。それがアメコミにおけるマルチバースの正体なのです。
「フラッシュポイント」はまさにそんなエピソードの1つで、この作品完結後、DCコミックはそれまで70年続いた全DC作品をリブート。以降の物語を「NEW52」(これまでとは別アース)として設定を大幅に変更し、リスタートを切ったのです。
DC映画でも、2013年の「マン・オブ・スティール」からスタートしたDCEU体制から、ジェームズガンとピーター・サフランによる新体制でリスタートするために、「フラッシュポイント」を原作にした本作「ザ・フラッシュ」が製作・公開されたんですね。
一本の映画として
MCU(マーベル・シネマティック・ユニバース)は、各ヒーローの物語同士を繋げることで映画作品に連続ドラマ的な面白さをだす事に成功。強力なブランディングと熱狂的なファンを生みました。
その一方で、純粋な単品作品として楽しめず、前作を観ていないと物語の流れがつかめないなどの問題もあったりするんですよね。
対してDCは、最初はMCUと同じユニバース体制でスタートし見事に失敗するものの、その後、作品の繋がりより一本の映画として完結させることを重視した作品作りが評価され始めていて、本作もDCEUの流れを下敷きにした作品ではあるものの、一本の単体映画として十分に楽しめる作品になっています。
例えば、タイトルが出るまでのアバンのシーンで、フラッシュというヒーローの特徴やルールをサクッと説明してしまう手際は見事だし、その直後に病院で赤ん坊たちの命を救うシーンはまさにヒーロー映画のお手本といえる胸躍る展開。
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さらにフラッシュが過去に戻るシーンはこれまで見たことがない映像だったし、過去のバリーとタッグを組む展開は、フラッシュの内面の葛藤の可視化でもあり、それをあくまでエンタメとして分かりやすく、かつ楽しく見せているのも素晴らしかったです。
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バットマン
そんな本作では2人のバットマンが登場。
1人はDCEU版に登場していたベン・アフレックのバットマン。もう一人はティム・バートン監督のバットマン2部作で主演した、マイケル・キートンのバットマンです。
まず嬉しかったのは、ベンアフバットマンにもしっかりと見せ場を作ってくれたこと。
僕は歴代の中でもベンアフバットマンがかなり好きなので、大人の事情で不遇な扱いを受けてきたベンアフバットマンには色々思うところがあったんですよね。
そんな彼が、本作冒頭で超カッコイイアクションを見せてくれてて、もう、それだけで大満足でしたよ。
僕は、1989年のティム・バートン監督版のバットマンをリアルタイムで観てた世代ですからね。やっぱマイケル・キートンがバットマンに復活というだけでグッときてしまうわけです。
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今回、作中での彼は目的は達成したものの不完全燃焼のまま燻っている老兵として描かれていて、それは原作コミックのバットマンでもたびたび取り上げられるシチュエーションでもあり、バットマンと言うキャラクターが抱える矛盾でもあるんですよね。
そんな彼がフラッシュの頼みを受けて、嬉々として戦いに身を投じる展開はかなり胸アツだったし、(僕も含め)ある程度の年齢に達したオールドファンはマイケル・キートンのバットマンを自身に重ねてしまう部分もあるんじゃないかと思いました。
(´ε`;)ウーン…な部分
そんな感じで大いに楽しんだ本作ですが、1つだけ(´ε`;)ウーン…と思ったのがサッシャ・カジェが演じたスーパーガールの扱いでしょうか。
スーパーガールは、ドラマ版などでは登場しているものの映画版では今回は初めましてだと思うんですが、本作では割と彼女の扱いが雑というか、個人的にはもっとスーパーガールをフューチャーしてあげて欲しかったなと。演じるサッシャ・カジェが物凄く魅力的だっただけに、余計にそう思いましたねー。
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とはいえ、一度は世界滅亡寸前まで広げた風呂敷をしっかり畳んで、個人の物語に帰結させたラストの展開も含め、本作はメッチャ面白かったので観るか観ないか迷っている人は絶対に劇場で観る事をおススメしますよ!
興味のある方は是非!!