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今日観た映画の感想

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「悪夢探偵」(2007) 感想

ぷらすです。

今回ご紹介するのは、塚本晋也監督の同名小説を映画化したサスペンスホラー『悪夢探偵』ですよー!
僕は本作について「名前は知ってた」程度だったんですが、あの「鉄男」の塚本晋也監督作品と聞いて、レンタルしましたー。

http://ecx.images-amazon.com/images/I/41sTu6Q0PmL.jpg
画像出典元URL:http://www.amazon.co.jp/

概要

映画監督であり俳優でもある塚本晋也監督作品。
他人の夢の中に入れる特殊能力をもった主人公“悪夢探偵”が、謎の殺人事件に迫るサスペンスホラー。
出演は松田龍平塚本晋也、hitomi、安藤 政信 他。

 

あらすじ

キャリアから現場に志願した霧島慶子(hitomi)の初めての事件は、ゴスロリ少女の自殺だった。
現場の状況から先輩刑事 関谷(大杉漣)は自殺と決め付けるが、慶子はその状況に引っかかりを覚える。被害者の携帯には、自殺の直前の通話記録があり、登録者名は「0(ゼロ)」。
そして第二の事件が起こる。
ある男が眠りながら自分をカッターで切り裂き死亡。横で寝ていた奥さんによれば睡眠中の夫が「助けて助けて」と寝言を言いながら、自分の首をカッターで切り裂いたという。
こちらも死亡直前にゼロとの通話記録があり、警察は2件の事件を殺人と断定。
しかし、夢の中の殺人であると確信した慶子は、人の夢に入れるという能力を持つ「悪夢探偵」影沼京一(松田龍平)に協力を以来する。

感想

塚本晋也という人

塚本晋也監督といえば、低予算、少人数で製作 ながらも1989年に公開され、同年のローマ国際ファンタスティック映画祭でグランプリを獲得し、世界中から注目を集めた「鉄男」が代表作で、今や日本インディー映画の王様って感じの人です。

塚本さんは僕の印象では「映像の人」という感じ。
物語を丹念に作りこんでいくというとり、自分の頭の中に浮かんできたイメージの断片を、次々にキャンパスにぶつけて映画を作っていく感じなんですよね。

この「悪夢探偵」もそんな感じで、物語の筋を追って観ようとすると「ん? ん?」ってなるかも。

悪夢探偵」影沼京一

松田龍平さん演じる主人公の影沼は、人の夢の中に入ることが出来る能力を持っています。悪夢に悩まされている知人友人に頼まれて、夢の中に入って悪夢の原因を探り、解決したり失敗したりしているうちに、その能力が知られて他人からも頼まれるようになったらしい。

ただ、本人は『他人の夢の中に入れる』以上の能力があるわけではない(らしい)のと、悪夢にを共有することで人間の暗部を見ざるを得ないことで精神のバランスを欠き、スキあらば自殺しようとしている男です。(その辺もわりとザックリしか語られないので違ってるかもですが)

もう一人の影沼「0」(ゼロ)

物語は、そんな影沼が資産家の大石(原田芳雄)の依頼で夢に入るも結局救えずに死なせてしまった(大石が現実に絶望し悪夢の中にとどまる事を希望した)ところからスタート。

それと前後するように、ゴスロリ趣味?の若い女性がハサミで自分を切り裂いて自殺するという事件が起こるわけです。
物盗りでもなく、部屋も鍵がかけられた密室状態だったことから、自殺と判断されるものの、キャリアから現場志願してきた女刑事 霧島慶子(hitomi)は違和感を覚え、女性の携帯の発信履歴から自殺前に「ゼロ」という人物と会話していたことを知り、次の被害者遺族の証言から、どうやら事件解決の鍵は夢にあると確信します。

夢の中で次々殺人を行うゼロという男(塚本晋也監督)は、Webサイトで自殺志願者を募り、携帯での会話を通じて相手の心と共鳴することで夢に入り、(夢の中で)相手を殺す殺人鬼です。つまり影沼とは鏡合わせのキャラクターなんですね。

全部『俺』

塚本晋也監督は、一本の映画でビックリするくらい色んな役割を全部自分でこなします。本作でも、原作・監督・脚本・編集・撮影・出演、そしてプロデュースも塚本晋也監督の名前がクレジットされてますからね。

まさに「全部『俺』」状態。いわば究極の自主制作映画です。

それはもちろん、制作費が少ないこともあるんでしょうけど、自分のイメージを極力そのままフィルムに焼き付けたいという、塚本監督の作家性もあるのかもしれません。

「鉄男」と本作

僕は多分、塚本作品は「鉄男」と本作しか観てないと思うんですが、両作とも塚本監督自信が、主人公と対峙する謎の悪役として登場します。

「鉄男」では主人公と対決しながら結果的に「鉄男」に世界を破壊させる存在として、本作ではあったかもしれないもう一人の主人公の姿として。
両作に共通するのは、塚本監督演じる男が「世界を壊したい」という願望を持っているキャラクターだということです。これ多分、塚本監督自身を投影したキャラだと思うんですよね。つまり監督は中二スピリッツを持ち続ける中二の王でもあるんですね。

考えるんじゃない、感じるんだ!

塚本監督がストーリーテラーではなく、映像の人ということは前述しましたが、それゆえ本作では、物語の時系列や繋がりが分かりにくい部分も多々あります。
なのでストーリーを追うタイプの人にとっては、ちょっと観づらい映画かもしれません。

影沼や慶子、ほかのキャラに感情移入しづらいとか、なんで影沼は悪夢に入るときにケープ?の下の服を脱いじゃうのかとか、慶子役のhitomiは(歌手とはいえ)演技がアレすぎるんじゃないかとか、塚本監督の謎踊りとか、キャラクターの位置関係が分からないとか、そういう細かいノイズに引っかかっちゃうかも。

それは多分、物語のロジックより映像イメージの空気感やインパクトの方を、監督が重視してるからだと思うんですよね。

考えるんじゃない、感じるんだ! 的な。

なので、かなり好き嫌いは分かれそうだし、グロいシーンもあるので万人にはオススメ出来ない映画ですが、昨今のぬるい邦画にお嘆きの方は、塚本監督の熱量を感じていただけたらと思います。

興味のある方は是非!!

 

 

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