ぷらすです。
今回ご紹介するのは海法紀光(ニトロプラス)と千葉サドルの人気コミックが原作でアニメ化もされた『がっこうぐらし!』ですよー!
最初に実写化の話を聞いたときは、正直「またかよ…」と思ったんですが、公開後に良い評判が聞こえてきてたので、今回レンタルしてきました。
結論から言うと、かなり面白かったですよ!
で、この映画ネタバレなしで感想を書くのはかなり難しいので、今回もネタバレありで書いていこうと思います。
なので、これから本作を観る予定の人や、ネタバレは絶対に嫌という人は先に映画を観てから、この感想を読んでくださいね。
先に言っておくと、まだ「がっこうぐらし!」を観たことがない人は、前情報を入れずに観る方が楽しめると思います。
画像出典元URL:http://eiga.com
概要
アニメ化もされた海法紀光(ニトロプラス)と千葉サドルのコミックを実写映画化したサバイバルホラー。学校で一緒に生活している女子高校生たちが、生き残りを懸けたバトルを繰り広げる。メインキャストは、秋元康プロデュースのアイドルグループ「ラストアイドル」から、オーディションで選ばれた阿部菜々実、長月翠、間島和奏、清原梨央。『リアル鬼ごっこ』シリーズなどに携ってきた柴田一成が監督を務める。(シネマトゥデイより引用)
感想
マイナスをプラスに
僕はマンガやアニメの実写化(邦画)作品(特に少女漫画系)ってほとんど観ないんですよね。
なぜかと言うと、そもそも日本のマンガやアニメのキャラクター造形やストーリーテリングが、俳優が演じる実写映画向きではないと思っているから。
(もちろん全部とは言わないけど)実写化の際にそこが分かってない監督は俳優をキャラクター原作に寄せすぎて、結果的に失敗するケースが多いんですよ。
ゾンビパンデミックによって学校に閉じ込められた4人の少女、くるみ(阿部菜々実)、ゆき(長月翠)、ゆり(間島和奏)、みーくん/みき(清原梨央)。
彼女らは過酷な非日常の中で正気を保つため、保健医の佐倉慈 (おのののか)の提案で「自分たちは学校で共同生活をする部活「学園生活部」の部員」であり、サバイバル生活を楽しむ事にする――というかなり突飛なストーリー。
画像出典元URL:http://eiga.com / 保健医の佐倉慈 を演じるおのののかは思った以上に良かった。
さらにマンガ、アニメ版のキャラクターはいわゆる萌えキャラというヤツで、ゆきは学校の中で猫耳帽子を被っているし、くるみは青髪ツインテール少女だし。
まぁ、どう考えても実写化に向いているとは思えない作品なんですね。
実際、本作の制作が発表されたときは原作マンガやアニメのファンからは大不評(というか炎上状態)でしたしね。
しかし、公開されると評価は一転、多くの人が高評価をつける結果になったのです。
その理由は、マンガ・アニメの実写化で本来マイナスになる部分を上手く反転させてプラスに変えたから。
例えば、ゆきは過酷な現状に耐え兼ねて、自分はあくまで「学園生活部」の部員であり、学校の日常は壊れていない(ゾンビパンデミックは起こっていない)という妄想に現実逃避しているキャラクター。
とても女子高生とは思えない子供のような言動をする彼女ですが、そういうのは女の子がキャッキャウフフするマンガやアニメではよくあることで、原作マンガやアニメ版はそこを逆手にとって物語を転がすことでファンを驚かせていたんですね。
この実写版でもその設定は継承していますが、原作キャラに見た目を寄せてキャストに“コスプレ”をさせることはしなかった。
そうすることで、マンガ・アニメ版では十分には引き出せなかった“正気を保つために妄想の世界に逃げ込む狂気”が、より効果的に生々しく際立つんですよね。
画像出典元URL:http://eiga.com / ゾンビ以上に怖いゆきのこのシーン
そんなゆきの狂気をより際立たせるのが「学園生活部」に“入部”することになるみーくんこと美紀。
彼女はゾンビだらけの学食で一人で生き延びてきた女の子なんですが、途中から3人と合流するんですね。なので、彼女の目線で見たゆきの言動はまさに狂気そのものだったりするわけです。
もちろんこれも原作と同じ設定ではあるんですが、やはり生身の女の子が演じることでより生々しさが際立つんですよね。
ふつう、マンガ・アニメの実写化では、生身のキャストが演じることで生じる“生々しさ”はマイナスになるんですが、本作は原作の設定やそれを活かした実写版の脚色によってプラスに反転させたというわけです。
アニメ版からの改変
そんな本作の原作マンガは“高校編”が5巻、“大学編”が4巻の全9巻。(現在も連載中?)アニメ版の方は、高校編を12話に渡り放映しました。
僕はアニメ版しか観てないんですが、5巻分の原作マンガを12話のアニメにするためエピソードを刈り込んでいるらしいんですね。
で、本作は110分という事もあり、このアニメ版からさらにエピソードを刈り込み、設定や内容を改変して学校の中での物語に集約しています。
例えば、3人とみーくんが出会うのは“遠足”と称した食料調達で向かったショッピングモールの中なんですが、この実写版では前述したように学食で出会うことに改変しています。
また、アニメ版はゆきをメインに物語が構成されているのに対し、本作ではくるみを物語のメインに据えているんですね。
そうすることで、原作マンガやアニメ版の大筋の流れはそのままに、劇場版としてスマートに物語を描けていると思いました。
学園もの+ゾンビ
突如起こったゾンビパンデミックによって日常が破壊された世界で、生存者たちが諍いによって自滅していく様子をメインに描くのがゾンビものの基本的なフォーマット。
しかし、「がっこうぐらし!」はそのフォーマットに学園もののフォーマットをプラスし、ゾンビパンデミックという非日常の中で暮らす、主人公たちの日常と成長を重層的に描くことで、ある意味で日本ならではのゾンビものを作り出したんですね。
画像出典元URL:http://eiga.com / メインの4人も熱演。
さらに本作ではエピソードを刈り込むことで、マンガ版やアニメ版で描かれる叙述トリック的な驚きは減っているものの、原作・アニメ版の流れを整理して再構築することで、実写ならではのダイナミズムや「がっこうぐらし!」の本質的な部分をよりダイレクトに描けていると思います。
特に、彼女たちの“日常”がついに崩壊するクライマックスシーンは、学校という閉ざされた空間を最大限に生かすアイデアが満載だったし、その後、外の世界へ旅立つ彼女らを学校からの卒業と重ねるラストには(原作通りではあるけど)グッときてしまいましたよ。
僕が過去に観た中でも、マンガ・アニメ原作の実写版としては、かなり上位に入るくらい非常に上手いし面白い作品でした。
興味のある方は是非!!
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