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岡田准一の超絶アクション「ザ・ファブル」(2019)

ぷらすです。

今回ご紹介するのは、週刊ヤングマガジン連載の人気コミックを岡田准一主演で実写映画化したアクション映画『ザ・ファブル』ですよー!

とんでもない身体能力と、ガチ各種格闘スキルを身につけた岡田准一の超絶アクションが堪能出来ると聞いて、早速レンタルしてきましたー!

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概要

週刊ヤングマガジン連載の南勝久の漫画を、『永遠の0』などの岡田准一を主演に迎えて実写映画化。天才的な殺し屋が休業し、一般人として生活するさまを描く。共演には木村文乃山本美月福士蒼汰柳楽優弥向井理安田顕佐藤浩市らが集結。脚本は『20世紀少年』『GANTZ』シリーズなどの渡辺雄介、CMディレクター出身の江口カンがメガホンを取った。(シネマトゥディより引用)

感想

ガチ中のガチ

岡田准一といえば、みなさんご存知のとおりジャニーズのアイドルグループ「V6」のメンバーで、また数々の大作映画や人気ドラマに出演、俳優としても活躍していますよね。

そんな彼には「(歴史と)格闘技オタク」というもう一つの顔が。
しかも見る方じゃなくて、やる方。

現在は、フィリピンの実践武術「カリ」、ブルース・リー詠春拳をベースに編み出した総合格闘技ジークンドー」、初代タイガーマスクが始めた打技・投技・極技で競う総合格闘技USA修斗」と、3つの格闘技でインストラクターの資格を持つガチ中のガチなのです。

近年ではその高すぎる格闘スキルを活かして、自らの主演作でアクション監督や主演時代劇「散り椿」では殺陣の振り付けも担当してるんですねー。

そういう意味では、ジャッキー・チェントム・クルーズに最も近い男と言えるんじゃないでしょうか。

本作では、そんな岡田准一のアクションシーンのため、「ボーン・アイデンティティー」や「96時間」などでアクションを担当したアラン・フィグラルツが来日、主演の岡田准一と共同でアクション監督を務め、さらに日本からはスタントコーディネーターの富田稔も参加し、邦画としては異例とも言える3者のチームで超絶アクションを設計しているんですねー。

ざっくりストーリー紹介

そんな本作、週間ヤングマガジンに連載中の南勝久の人気マンガの実写映画化で、見た目はただのチンピラだけど実は天才殺し屋のファブル岡田准一)がボス佐藤浩市)から、大阪で1年間、一般人として生活するよう命じられるんですね。

殺しを封印し、佐藤アキラの名前で暮らし始めたファブルでしたが、ひとりの女性と出会ったことで闇社会の争いに巻き込まれてしまう――というストーリー。

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日本のヤクザとロシアンマフィアの会合に、トレードマークの覆面姿で乗り込んだファブルが、その場の全員を皆殺しにするアバンから本作はスタート。
この1人vs多勢によるガンアクションは、まさにキアヌ・リーブスの「ジョン・ウィック」のようだったし、ファブルの脳内で行われる殺しの計算を可視化するのはデンゼル・ワシントンの「イコライザー」のようでした。

まぁ、この「計算の可視化」は個人的に画面がゴチャついて見づらいので好きではないですが。

で、タイトルのあとボスから呼ばれたファブルは、パートナーの“洋子”木村文乃)と共に大阪で1年、兄妹として普通の生活をするというミッションを与えられ、その間、殺しは絶対にNGという命令を下されるんですね。

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で、二人はボスの知り合いである大阪の暴力団組織・真黒組の世話になるんですが、野心家の真黒組幹部と砂川向井理)は何か良からぬ事を企んでいる様子。

さらに、ファブルたちの世話係で若頭・海老原安田顕)の弟分で殺人罪で15年間服役していた小島柳楽優弥)が出所早々、砂川の部下(加藤虎ノ介)を殺したことで、砂川は海老原の命令だと思い込んでしまう。

その頃、佐藤アキラと名乗ったファブルは、偶然出会った女の子・清水岬山本美月)の紹介でデザイン事務所でアルバイトをすることになるのだが、岬はある過去から小島に売春を迫られてしまうのです。

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一方、別組織からファブルに皆殺しにされたヤクザ&ロシアンマフィア暗殺の依頼を受けていた通称フード福士蒼汰)とコード木村了)の二人は、死屍累々の状況を見てファブルの仕業と判断。
伝説の殺し屋を倒して名を上げようと、ファブルの足取りを追って大阪にやってくるんですね。

まぁ、文字で読むとややこしいと思うかもですが、劇中では順を追って物語が進むので、混乱することはないと思います。

邦画の病理

予告編を観た人なら分かると思うんですが、この作品は基本コメディーです。
ファブルという男は超一流の殺し屋なんですが、その他の一般常識みたいなものはまったくないんですね。

おまけに超猫舌だし、家では基本全裸だし、魚や鶏肉は骨ごとまる囓りだし、スイカや枝豆も皮ごと食べちゃう
趣味はお笑い芸人のジャッカル富岡宮川大輔)のネタを見ることと、やることなすことどこかズレているんですね。

そこには、子供時代からボスに殺しだけを教わってきたからという背景があるんですが。

まぁ、それはいいんですけど、本作は、このファブルの行動で笑いを取るギャグシーンが全部スベってます

ちょっとでも熱いものを食べたり飲んだりすると「ゥアッチーー!!」と大げさに仰け反り、ジャッカル富岡のギャグにバカ笑いをして、チンピラに絡まれたときも“普通”を演じるためワザと殴られるんですが、その時に(わざわざスローモーションで)オーバーすぎる変顔をしてみせるっていう。

僕は原作未読なので分かりませんが、その辺のギャグ表現って多分原作通りなんだと思うんですね。

ただ、マンガだったら全然許容出来るこれらのギャグも、実写映画で役者(しかも岡田准一)がやっちゃうと、ホント目も当てられない事になるわけですよ。

っていうか、いい大人が変顔やオーバーリアクションで笑うとでも思ってんのか!(。・д・)ノ)´Д`)ビシッ

何度も書いてますけど(特に日本の)マンガと実写ではリアリティーラインがまったく違うわけです。
マンガやアニメなら許されるオーバーな表現(例えば主人公が「いっけーー!」って叫ぶアレとか)も、実写で生身の人間がやるとフィクションのがバレてしまう。
マンガやアニメのキャラクターは、そもそもデフォルメされてるから、普通ではありえないくらいオーバーな演技(嘘)の方がむしろ自然に見えるけど、実写はまったく別物。実写には(例えそれがギャグでも)それなりのリアリティーが要求されるわけですね。

それで言うと、福士蒼汰木村了演じる敵の殺し屋フード&コードや、柳楽優弥演じる小島のイッちゃってる演技も同様で、エキセントリック過ぎるキャラクターはマンガやアニメなら許容されるけど、実写でやると「そんな奴いねーよ」って、途端に嘘っぽくなっちゃうので、真面目に観るのがバカらしくなっちゃう

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もちろん、同じマンガ原作でも作品の設定によってリアリティーラインは多少変わりますが、本作は2019年の日本が舞台なわけで、ことさらリアリティーの担保は重要だと思うんですよね。

っていうか、実写映画で叫ぶのが許されてるのは世界中で藤原竜也だけですからー!

マンガ原作だからってナメた演出するなよ!(怒

さらに言うと、この作品はギャグとシリアスの配分もおかしくてですね、

アバンのアクションシーンに何故か、洋子と藤森慎吾のおもしろ(棒)飲み比べシーンをカットバックさせてみたり、その後のボスとの会話シーンでは、ボスが真面目な話してる最中に、猫舌のファブルが焼き魚を洋子に「フーフーしてくれ」とか言って、あまつさえ洋子が声に出して「フーフー」って言ってみたり

あと、ファブルのバイト先の社長を佐藤二朗が演じてるんですが、これまたいつも通りの佐藤二朗で、福田雄一の映画じゃないんだからっていう。

もしかしたら、オフビートな笑いのつもりかもしれないですが、オフビートってそういう事じゃないから

あと、藤森慎吾はその後のストーリーに一切絡まないんだけど、いる?

事ほど左様にですね、演出や編集が酷すぎて、唯一の美点であるアクションシーンさえ邪魔してるのは如何なものかって思いましたねー。

ただ、これって何も本作だけの話じゃないし、マンガ・アニメ原作の実写化作品に限った事でもなくて、最近の邦画(特に大作)で、やたら役者に叫ばせたり大仰でエキセントリックな芝居させたりする演出をチラホラ見かけるじゃないですか。
個人的に、これって邦画界の病理だと思うんですよね。

キャラクターの感情の起伏をオーバーで分かりやすく描くアニメ的演出は確かに「楽」でしょうが、実写でやるのはマジでダサいし、演じてる役者さんまで損しちゃうから、ホント止めて頂きたいですよ。

アクションが凄すぎて若干引くw

そんな本作(唯一の)白眉と言えば、クライマックスのアクションシーン

なんやかんやあって、ファブルは清水岬と小島救出のため、砂川たち&フード・コードが待ち構えるゴミ処理場に単身乗り込むんですが、このクライマックスでの岡田准一のアクションがマジで凄い!

まず、ゴミ処理場に入るため手足を突っ張って壁と壁の間を登っていくんですが、もう、CGじゃないかと思うくらいのスピードで結構な高さをヒョイヒョイ登っていくんですよね。

さらに、中に入ってからのいわゆる“ガンフーアクション”もほんと凄くて、大勢の敵の攻撃を掻い潜り、殴って蹴っての合間に、銃をスライドさせて、撃って、敵から銃を奪って、マガジンを装填して、銃のグリップで殴ったり、足を引っ掛けて転ばせたりみたいな、超複雑なアクションを目にも止まらぬ速さでやってみせるわけです。

この場合の「目にも止まらぬ早さ」は比喩じゃなくて、早すぎてほんとに見えなかったりしますからね。

少なくとも1回観ただけだと、何してるかを把握できなくて、何度か見返してその凄すぎるアクションに若干引くっていうw

まぁその辺は、岡田准一の動きが早すぎるのはもちろんあるんだけど、撮影が高度なアクションに追いついてない感じもしましたけどね。アクションシーンを撮るのに慣れてないというか。

例えば、香港やインドネシア、タイ、アメリカとかのアクション映画に慣れてるスタッフが撮影したら、岡田准一の凄さがもっと多くの人に伝わったかもしれません。

まぁ文句言いまくりでしたが、本作が邦画としては規格外のアクション映画なのは間違いないし、このクライマックスだけでも観る価値がある作品だと思いましたねー。

興味のある方は是非!!

 

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