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退廃する人類に変わり、地球に君臨するのは… 「オートマタ」(2016) 感想

ぷらすです。

今回ご紹介するのは、2014年制作のSFサスペンス映画『オートマタ』ですよー!
正直に言うと、ストーリー的には色々分かりにくい部分はあるものの、劇中に登場するロボットのデザインや動きのディテールは、個人的に超好みでしたー。

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画像出典元URL:http://eiga.com/

あらすじと概要

ゴヤ賞やサン・セバスチャン国際映画祭などに出品されたSFサスペンス。
人間に代わる労働力として人工知能搭載ロボットが使われている近未来を舞台に、ロボットたちの異変に気付いた男の姿を追う。
監督は、『シャッター ラビリンス』などのガベ・イバニェス。主演は『マスク・オブ・ゾロ』などのアントニオ・バンデラス、その他の出演者は『ゴースト・ハウス』などのディラン・マクダーモットらが顔をそろえる。

ストーリー:太陽風の増加が原因で砂漠化が進み、人類存亡が迫りつつある2044年。
人間に代わる労働力としてオートマタと呼ばれる人工知能搭載ロボットが人々の生活に浸透していた。さらに、生命体に危害を加えない、自身で修理・改善しないというルールが製造時に組み込まれており、人間との共存に支障が出ないシステムが確立されていた。そんな中、オートマタ管理者ジャック(アントニオ・バンデラス)は彼らが自発的に修理を行っていたのを知って驚く。その首謀者と目的を探る彼だが、思わぬ事実に突き当たる。(シネマトゥデイより引用)

 

 

感想

本作は、あらすじから分かるように、いわゆる「AI(人工知能)モノ」です。
人工知能・ロボット・SFと言えば「ブレードランナー」を思い出す人も多いかと思いますし、キャラ設定やイメージ的にはかなり近いものがあるんですが、本作は“種の交代“を描いた作品になっています。

ロボットのデザイン

主演のアントニオ・バンデラスが演じるのは、あるロボット会社の保険調査員ジャック・ヴォーカン。

自社のロボットに不具合が生じたという報告を受け、保険対象事案かどうかを調査する仕事をしています。

この会社のロボットのAIには人間との共存のために、

1:生命体への危害の禁止
2:自他のロボットの修正(改造)の禁止

という二つの制御機能(プロトコル)が仕込まれているんですが、ある日、何かの捜査? をしていた刑事が、自分で自分を修理するロボットを発見。勢い余って射殺(破壊?) してしまうんですね。

その話を聞いたバンデラスは、AIから第2プロトコルを消去している技術者がいるのではと、真相の究明に乗り出すが……。という物語。
アシモフロボット三原則から、「自己防衛」を抜いちゃった形ですが、そもそもこのロボットたちを作った目的が、人間では作業できない場所での危険な任務の遂行を目的に作られたからなのかな? 

本作には二種類のロボットが登場します。
いわゆる汎用の作業ロボットと、性処理用女性型ロボのクリオです。

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画像出典元URL:http://eiga.com/ 汎用型ロボットとバンデラス

ブレードランナー」や近年公開されているAI絡みのSF映画では、人間そっくりだったり、機械の体でありながら、かなり人間に近い造形のアンドロイドが登場しますが、本作のロボットたちのデザインはとてもシンプルで、ロボットロボットしてるんですね。
ここは好みの分かれるところかもですが、個人的にはこのデザインのシンプルさや、クリオのマネキンっぽさが、逆に現代と地続き感があるように見えて、リアリティーを感じましたねー。

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画像出典元URL:http://eiga.com/ 女性型ロボクリオ

あと、彼らの動きも基本少しぎこちないんですが、得意な作業をするときはビックリするくらい早かったりして、そのギャップの描写がまた、リアリティーあるなーと。

ロボ以外でも、映像のルックが、いかにも昔は反映してたんだろうけど今はすっかり退廃して、昔の遺産で辛うじて社会生活が成り立ってる感があって、そこも個人的には好きでした。(と言っても中盤以降はほぼ砂漠しか出てきませんけども)

ただ、物語の方は……。

そんな感じで、映像のルックやロボットのデザインは良かったんですが、肝心の物語の方は、正直かなり残念な感じでしたねー。

例えば物語の発端となる刑事は、天才バカボンの目玉つながりのおまわりさん並に、何も考えずに鉄砲撃ちまくって事をややこしくするし、中盤から何故かバンデラスが裏切り者として追われる展開も分かりにくいし、「最初」のロボットは処分されたんじゃないの? とか、いかにも重要人物っぽく登場した女博士はあっさり死んじゃうし、子供にやらせる意味が分からないし、なんで核の話が出てくるのかとか、バンデラスはなんで被爆してるのかとか、バンデラスの上司は何であんな事に!? とか、なんでバンデラスの嫁と子供が連れてこられるの!? とか。

イメージ優先物語の統合性は二の次っていうか、欲張ってトッピング乗せすぎたら何味か分からなくなっちゃったラーメンみたいに、色々とっ散らかってるように感じちゃったんですよね。
映像は好みだったし、バンデラスの演技も良かっただけに、脚本をもっとシェイプして、余計な要素やシーンを取り除けば、90分くらいの渋い映画になったんじゃないかなー? なんて思ったりしました。

とはいえ、バンデラスの顔力やロボットの演技力、ハリウッドとは一味違うテーマの落とし込み方など、見どころも結構ある映画でしたよ。

興味のある方は是非!