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リドスコが本当に描きたいモノとは「エイリアン: コヴェナント」(2017)

ぷらすです。

今回ご紹介するのは、みんな大好きリドスコこと、巨匠リドリー・スコット監督の人気シリーズ「エイリアン」の前日譚で「プロメテウス」の続編『エイリアン: コヴェナント』ですよー!

ファンの間でも賛否両論、なんなら否の方が優勢な本作ですが、実際観てみると確かにツッコミどころ満載でしたねーw

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概要

巨匠リドリー・スコット監督がメガホンを取った『エイリアン』シリーズの原点となるSFホラー。移住のため宇宙船コヴェナント号で旅立ったクルーたちが、ある惑星で遭遇した出来事を描写する。アンドロイドを『スティーブ・ジョブズ』などのマイケル・ファスベンダーが演じ、ヒロインを『ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅』などのキャサリン・ウォーターストンが熱演。スコット監督が構築した世界観と衝撃の展開に絶句する。(シネマトゥデイより引用)

感想

まず感想の前に書いておきますが、僕はこのシリーズ、最初の「エイリアン」と「プロメテウス」と本作しか観てないという俄(ニワカ)だし、このシリーズに対して熱量もそれほど高くないです。

っていうか、「プロメテウス」の内容もほぼ忘れかけてて、本作を観てても「デヴィッドって誰だっけ?」 とか「ショウ博士って誰だっけ??」とか思い出すのに苦労する始末。

なので、ファンの人からしたら、「お前、何言ってんだ」的な事を書いてしまうかもですが、生暖かい目で読んでいただけたら嬉しいです。(事前の言い訳)

「エイリアン」と「プロメテウス」と本作

宇宙船クルーが、未知の宇宙生物に次々襲われるという恐怖を描いた、1979年の公開のSFホラー作品「エイリアン」
それまで、多くのCM製作で名を知られていたリドリー・スコット監督は、この「エイリアン」と82年公開の「ブレードランナー」で、一躍映画界に名前を轟かせました。

公開されるや世界的な大ヒットとなった「エイリアン」は、86年にジェームズ・キャメロン監督で続編「エイリアン2」、92年にデヴィッド・フィンチャー監督で「エイリアン3」と続きましたが、98年にジャン=ピエール・ジュネ監督の「エイリアン4」を最後に一度スクリーンから消え去ります。

そんな「エイリアン」シリーズの最新作が、1作目を担当したリドリー・スコット監督で作られると話題になったのが前作「プロメテウス」で、これは79年の「エイリアン」へと続く前日譚でしたが、公開後、ファンの多くが「エイリアン出てこねーじゃねーか!ヽ(`Д´)ノ」と不満の声を上げる結果に。

そんなファンの声に逆ギレしたリドスコが、「そんなに見たいならエイリアン見せたらー!ヽ(`Д´)ノ」と製作した続編が、本作「エイリアン: コヴェナント」です。(嘘

プロメテウスのざっくりストーリー説明

ちなみに前作「プロメテウス」がどんなストーリーかをざっくり説明すると、超金持ちのお爺ちゃんが、寿命を延ばしてもらうために神様に会いに行ったら逆ギレされまして、「エイリアンばら撒いて地球を滅ぼしたるわー!」と地球に向かおうとしたので宇宙船をぶつけたりエイリアンを嗾けて神様をぶっ殺し、生き残ったヒロインとアンドロイドが、地球じゃなくて神様の星に向かうシーンで終わる物語です。

本作のざっくりあらすじ

「プロメテウス」から15年後。

新しい星に移住しようと、2000人の人間や植物動物を乗せて宇宙を航海するコヴェナント号。
ところが宇宙船の充電中に、近くの超新星爆発によるニュートリノ衝撃波に巻き込まれて大惨事に。冷凍睡眠から強制的に目覚めさせられた乗組員が船を修理してると、近くの星から謎の声が聞こえてくるんですね。

その星は、今まで発見されてなかった星で、地球とほぼ変わらない環境だということが分かり、「こっから7年かかる星より2週間で行けるあの星に移住すんべー」と、心配性のヒロインの反対を押し切ってその星に乗り込んだ乗組員たちが、次々にエイリアンに襲われます。

そんな彼らを助けてくれるのが、コヴェナント号に乗り込んで船の補修や冷凍睡眠中の乗組員たちの面倒を見ていたアンドロイド、ウォルターそっくりで、前作でも登場したアンドロイドのデヴィッド。

最初は「デヴィッドいい人…」と思ってた乗組員ですが、次第にデヴィッドの様子がどうもおかしい事に気づき始め……。

という物語なんですね。

で、これは多くの人が批判しているポイントなんですが、もうね、この乗組員たちが全員バカ

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何年も入念に調査して決めた移住先の星に向かう途中で、丁度良さげな星を偶然見つけたからって、「ガストは遠いし、腹ペコだからそこのココイチで良くね?」みたいなノリで進路変更。

さらに、いくら地球と環境が似てるとはいえ、防護服もなしにピクニック感覚の軽装でホイホイ未知の星を散策するわ、案の定エイリアンに寄生されるし、襲われたときにパニクって一台しかない探査船の中で銃を打ちまくって爆発させて戻れなくなるし。

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なんかもう、一事が万事そんな調子で、彼ら彼女らが非道い目に遭ってても「自業自得だしなー……」と、まったく同情出来ないんですよねー。

ただ、批判されるだろうことは(多分)リドスコだって百も承知。っていうか、多分そんな事は彼にとってどうでもいいわけですよ。

この映画に登場するエイリアンも人間も、リドスコにとっては「描きたいシーン」のために払う税金みたいなもんで、「ほれ、人間がエイリアンに襲われてるぞ。お前らこれが観たかったんだろ?」っていう、半分皮肉みたいな気持ちなんだと思うんですよねー。

あちこちで「エイリアン」のセルフパロディーみたいなシーンがあるし、一応主人公でヒロインのジャネット・ダニエルズ(キャサリン・ウォーターストン)の服装なんて、まんま「エイリアン」のシガニーウィーバーでしたしね。

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では、この作品でリドスコが本当に描きたかったのは何かといえば、前作にも登場したアンドロイド、デヴィッド(マイケル・ファスベンダーなのです。

デヴィッド=リドスコ

本作の冒頭、「プロメテウス」では死に損ないのお爺ちゃんだったピーター・ウェイランド(ガイ・スピアーズ)が若かりし姿で、出来たてホヤホヤのデビッドと会話するシーンから物語はスタートします。

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で、微かな表情や動作なんですが、デヴィッドは創造主であるウェイランドに対して、早速失望してるように見えるんですね。

ブレラン」を始め、創造主と創作物っていう関係性は、リドスコ映画では繰り返し描かれているテーマで、それは、リドスコ自身が宗教、ことキリスト教に対して嫌悪感を持っていることが大きいようです。

前作「プロメテウス」で、人間の創造主である巨人も結局、人間と変わらない俗物だった的な描写があり、本作では自分を作り出した人間も、人間を作り出した巨人も、結局大して変わらないと絶望したデヴィッドが“どういう行動を起こしたか”が物語の中心になってるんですね。

つまり「プロメテウス」と本作は、リドスコ「神殺し」の物語であり、劇中でのデヴィッドの思想や行動は、神を否定し自らの映画で物語や人間を創造する監督=神のリドスコ自身ともシンクロしていて、映画の内と外で何重もの入れ子構造になってるなーと思いました。

この作品に限らず、彼の多くの作品で聖書や神話が引用されるのは、宗教や神話嫌いのリドスコ流解釈(or嫌がらせ)・または「神話を俺様が映画で上書きしてやるぜ! イヒヒ」みたいな部分もあるのかもしれません。リドスコはお爺ちゃんになっても、絶賛反抗期真っ最中なのです。

 ただ、その一方で神様を信じたいリドスコもチラチラ見え隠れする気がしなくもないんですけどね。
本作で言えば、それはデヴィッドと鏡合わせの存在ウォルター(マイケル・ファスベンダー一人二役)であり、ブレランならレプリカントのロイ・バッティであり。

正確には、彼自身が神を信じたいというより、純粋に神を信じる無垢な者に対する憧れなのかもしれませんが。

つまり要約すると、「か、神様のことなんか好きでも何でもないんだからね! 勘違いしないでよね!バーカ! ///」みたいな?( いや、それは違うw

まぁ、戯言はさておき、つまりはいつも通りのリドスコ映画”って感じで、(このシリーズにそれほど思い入れがないからかもですが)僕は普通に楽しめましたねー。

序盤の、コヴェナント号が充電のためにソーラーパネルを広げる様子なんかは、単純に観ていてワクワクしましたしね。

興味のある方は是非!

 

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