ぷらすです。
今回ご紹介するのは、大ヒットした北欧ミステリー「ミレニアム」シリーズの1作目を映画化した同名作品をデヴィッド・フィンチャーがリメイクした「ドラゴン・タトゥーの女」の続編『蜘蛛の巣を払う女』ですよー!
今回、フィンチャーは製作総指揮に回り、「ドント・ブリーズ」のフェデ・アルバレスがメガホンを取ったそうです。
画像出典元URL:http://eiga.com
概要
ベストセラー小説「ミレニアム」シリーズの第1部を映画化した『ドラゴン・タトゥーの女』のヒロイン・リスベットの過去を解き明かすミステリー。『ドント・ブリーズ』などのフェデ・アルバレスを監督に迎え、前作の監督だったデヴィッド・フィンチャーが製作総指揮に回った。リスベットを演じるのは『ミスティック・アイズ』などのクレア・フォイ。シルヴィア・フークス、スヴェリル・グドナソンらが共演。(シネマトゥディより引用)
感想
三代目リスベット
この作品の原作となったのは小説版「ミレニアム」シリーズ4作目となる同名小説。
前3作の作者スティーグ・ラーソンが急死し、本作を ラーソンに託されたデヴィッド・ラーゲルクランツが執筆したらしいんですね。
前3作はスウェーデンで映画化されて大ヒット。
その後、第一作の「ドラゴン・タトゥーの女」がデヴィッド・フィンチャー監督でハリウッドリメイクされ、こちらも大ヒットとなります。
スウェーデン版「ミレニアム」三部作でリスベットを「セブン・シスターズ」でも知られるノオミ・ラパスが。フィンチャー版「ドラゴン・タトゥーの女」でリスベットを演じたのが、ルーニー・マーラが演じ、それぞれリスベットの違う魅力を引き出していました。
本作はフィンチャー版「ドラゴン~」の続編として製作され、イギリス人女優のクレア・フォイが“三代目リスベット”を演じているんですね。
ノオミ・ラパスはリスベットというキャラクターの激情を、ルーニー・マーラはクールな中にある純情をかすかに見せ、どちらも観客にリスベットというキャラクターを印象づけました。
対して、本作でクレア・フォイが演じたリスベットは、一言で言うなら普通。
外見的には先代2人のリスベットを踏襲しているし、天才ハッカーとしての腕だけでなく、本作では007ばりの格闘アクションも見せてるんですが、ピンチになれば苦しい表情を見せ、双子の妹相手に怯えた表情も見せる。
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前作でルーニー・マーラが演じたサイコパスギリギリのエキセントリックさや、ノオミ・ラパスの燃えるような怒りはなく、三人の中で一番人間らしいんだけど何か物足りないんですよねー。
まぁ、初めてリスベットを視覚化したノオミ・ラパスや強烈なビジュアルイメージを植え付けたルーニー・マーラの後だから、演じる幅が少なくなっちゃってる部分もあるかもですが。
女007を目指すも…
本作のストーリーをざっくり紹介すると、依頼を受け女性を虐待する男を次々に天誅を加える天才ハッカーのリスベット(クレア・フォイ)は、人工知能研究の権威バルデル博士からある依頼を受けます。
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彼自身が開発した核攻撃プログラムをアメリカ国家安全保障局から取り戻すというもので、彼女はその以来を難なく達成するもプログラムを狙う謎の組織に襲撃を受けます。
その謎の組織のボスは生き別れた双子のカミラ(シルヴィア・フークス)で、カミラはリスベットへの復讐のために様々な罠を仕掛け、リスベットをピンチに陥れていく。というストーリー。
序盤の回想で子供時代の二人がチェスで対戦するシーンがあって、本作は二人の天才同士の頭脳戦を描いているのです。
なので、先手を打って彼女に罠を仕掛けていくカミラと、その罠を次々に破っていくリスベットの攻防が見所なわけですが、正直リスベットの脇が甘すぎて天才同士の息詰まる攻防に見えないんですよね。
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また映画化に当たってアクションシーンを大幅に増量したらしく、その結果女007的な作品になってるんですね。
まぁ、製作総指揮のフィンチャーは「ドラゴン~」でも007をやりたかったみたいなので、その続編である本作の方向性としては合ってるんでしょうけど、「ミレニアム」シリーズとしても「ドラゴン~」の続編としても、“コレじゃない感”がスゴイんですよねー。
核プログラムもそれ自体はマクガフィン(ストーリーを展開させるための道具)でしかなく、アクション増量のおかげでリスベットとカミラの因縁や確執も掘り下げ不足で浅い物語に。
さらに原作ではそれまでのミレニアム3部作を踏まえて書かれた本作が、この映画版では「ドラゴン~」から直結した続編になっちゃってるので、リスベットのが過去はなくなって外見だけを真似た別物になってるし、ミレニアム2・3でのミカエルやその仲間との共闘もなかった事にされて、その代わりにアメリカ人にいいとこ持っていかれる始末。まぁ、確かにあのクライマックスの逆転シーンはアガりましたけどね。
でも、それは別の映画やキャラクターでも成立しちゃうので、わざわざスウェーデンである必要もリスベットである必然性もないんですよね。
悪い意味でハリウッドナイズされちゃったというか、ミレニアム3部作やリスベットというキャラクターの本質がなくなってしまったみたいな。
ダニエル・クレイグ版の007は、3作かけてジェームズ・ボンドに過去を描くことで彼に質量を与えたのに、その逆をやってどうすんだって感じですよ。
ただ、これは僕がミレニアム3部作を観てるからそう感じるだけで、フィンチャー版「ドラゴン~」から本作を観た人は違った感想になるかもですけどね。
興味のある方は是非!
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