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期待のハードルが上がりきる前に観たかった!「カメラを止めるな!」(2018)

ぷらすです。

全国公開から遅れること3ヶ月、ついにオラが町でも『カメラを止めるな!』が公開されたので、初日・初回で観てきましたよー!! ヤッタァ━━━v(*´>ω<`*)v━━━ッ!!

確かに超面白くて大いに笑ったし、興奮したし、感動しました!

ただ、出来るなら、こんなに日本中で話題になって期待のハードルが上がりきる前、一部の人たちが騒いでて「えー、ホントに面白いの~?」と半信半疑くらいのテンションで観たかった!

そしたら今、もっと興奮してると思うんですよねー。

で、(さすがにもう観る人は観ただろうしネタバレしてもいいような気もするけど)オラが町みたいに今日公開の町もあると思うので、極力ネタバレしないように感想を書きますけど、もし、これからこの映画を観に行く予定の人は、先に映画を観てからこの感想を読んでくださいね!

いいですね? 注意はしましたよ?

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概要

監督・俳優養成の専門学校「ENBUゼミナール」のシネマプロジェクト第7弾となる異色ゾンビムービー。オムニバス『4/猫 -ねこぶんのよん-』の一作を担当した上田慎一郎が監督と脚本と編集を務めた。ゾンビ映画を撮っていたクルーが本物のゾンビに襲われる様子を、およそ37分に及ぶワンカットのサバイバルシーンを盛り込んで活写する。出演者は、オーディションで選ばれた無名の俳優たち。(シネマトゥデイより引用)

感想

さて、極力ネタバレしないとは言ったものの、う、うーん…。
この映画は確信に触れる部分を書こうとすると、ネタバレになっちゃうタイプの映画なんですよねー。困ったw

なのでとりあえず、僕から言えるのはこれから本作を観る予定の方は、いますぐこのブログを閉じて、劇場にレッツゴー!ってことなんですよねーw

正真正銘の低予算映画

この作品、予算はなんと300万という正真正銘の超低予算映画です。
監督・脚本・編集を務めた上田慎一郎は元々演劇畑の人で、紆余曲折の末に映画製作団体『PANPOKOPINA』を結成。
数々の短編映画を手がけて国内外の映画祭で46もの賞を獲得しているんだそうです。

そして2015年公開のオムニバス映画『4/猫 ねこぶんのよん』の一篇「猫まんま」にて商業作品デビューし、2017年に監督・俳優養成の専門学校「ENBUゼミナール」の企画、シネマプロジェクトに参加、集まった12人の役者とワークショップをしながら本作を作りあげたんですねー。

当初、都内で2館から公開された本作でしたが、SNS上の口コミで評判が広がり、あとは皆さんもご存知の通り、いまや全国で順次公開される大ヒット作品になりました。

どんな映画?

この映画の内容を一言で言うと、変則的な「ゾンビ映画です。
超雑に内容を説明すると「ゾンビドラマを作るため、曰くつきの廃墟で撮影を始めたら、本当のゾンビに襲われる」という物語。

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で、そんな本作の特徴は、37分間もの間サバイバルシーンがワンカットで描かれているというところなんですね。

これまでも全編をワンカットで撮影した作品や、ワンカット“風”に編集した作品は沢山ありますが、それを売りにしてる作品はどれも映画としては微妙(*個人の感想です)だったりします。

何故かというと、ワンカットで撮影することで観客はカメラマンの存在を意識してしまうからなんですね。

例えばホラー映画では一時期、登場人物の誰かが手持ちのカメラで自体を撮影していたという設定の、いわゆるPOV(主観映像)という手法が流行りましたが、これも「今、いったい誰が撮影してるの?」と観客がカメラマンの存在を意識してしまい、そこの辻褄を合わせるために物語に無理が生じるということが多かったりします。

つまり、この全編ワンカットという手法は、手間の割に画的な効果は薄いんですね。

しかも本作の場合、「ワンカット風」ではなく37分間ガチのワンカットで撮影しているため、(恐らくは)舞台裏で起こっているであろうドタバタやアクシデントが映像に違和感として出てしまっていて、僕も「まぁ、低予算映画だしなー」なんて思っていたんです。

が、しかしこれ、全て監督の計算だったんですねー!

もっと言うと、観客の「低予算映画だから」という思い込みまで逆手にとって、中盤のある大仕掛けで全部をひっくり返してみせるのです!

そして、中盤からは一気にコメディーになっていく展開もお見事! としか言いようがなく、こっちは「今までナメててすいませんでしたー!」と心の中で謝りながら、大いに笑い、興奮し、最後には思わず感動の涙を流してしまう「ナメてた相手が殺人マシーン」ならぬ「ナメてた作品が大傑作」だったわけですねー。

ドラマ性を排除することで人間ドラマを浮かび上がらせる

本作の主人公でゾンビドラマの監督である日暮隆之(濱津隆之)は、普段は再現ドラマなどを手がけていて「早い、安い、出来はそこそこ」が売りの映像マンです。

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奥さんの晴美(しゅはまはるみ)は元女優ですが役に入り込んでは騒動を起こし引退。
一人娘の真央(真魚)は父親と同じ業界に入るものの、妥協まみれな父親の仕事は1mmも尊敬していない様子。

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ドラマの発案者であるディレクターである二人は超胡散臭いし、主演女優の松本逢花(秋山ゆずき)は「自分はいいんですけど、事務所が…」という口実で監督の演出にNGを出しまくり、恋人役のイケメン俳優 神谷和明(長屋和彰)は真面目だけど演出に口出してきて超めんどくさい。

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他にも、超神経質な奴とか、アル中オヤジとか、集まったのは一癖も二癖もある連中ばかりで、そんな連中が様々なアクシデントを乗り越えて成長し、やがて一つになっていく――という物語が本作の主軸なんですね。

これ、凡百の監督なら、登場人物の心情や関係性をグダグダセリフで説明してしまうところですが、上田監督はそうしたドラマ性を徹底的に排除し、彼らが様々なアクシデントを乗り越えて「ゾンビドラマ」を撮り切るという一点に向かって進ませることで、逆にそれぞれのドラマを浮かび上がらせていくという、非常に映画的な演出をしているんですね。

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その演出は邦画というより洋画的だし、最近の邦画だと庵野秀明監督の「シン・ゴジラ」に近い印象を受けました。

また、(当時は)無名だったキャスト陣も、監督とともにワークショップを続けてきた&監督がキャストを当て書きした事もあって、全員が生き生きと、クセ者だけど憎めないキャラクターを見事に演じていましたよ!(あと、全員イイ顔の人ばかりだった)

全体のルックは低予算映画なりというか、安い感じだし、キャスト陣も知らない人ばかり。それでもこれだけ大ヒットになった原因は、観客の反応まで計算に入れて書かれた見事な脚本と演出と、それに応えたキャスト陣の熱演。
そして何より、「面白い映画を作ろう」という圧倒的熱量だと思うし、それがスクリーンを通して観客に伝わったからだと思いましたねー。

もし、まだ未見で本作を観られる環境にある人は、是非、劇場に足を運んで欲しいと思う作品でした!

興味のある方は是非!!!

 

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