今日観た映画の感想

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“終わった世界”を生き抜く家族の物語「クワイエット・プレイス」(2018)

ぷらすです。

今回ご紹介するのは、昨年公開されて話題になったホラー映画『クワイエット・プレイス』ですよー!

公開時、気になりつつも極度のビビリなので映画館では観れなかったんですが、今回やっとDVDをレンタルしてきましたー!

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画像出典元URL:http://eiga.com

概要

『ボーダーライン』『ガール・オン・ザ・トレイン』などのエミリー・ブラントらが出演したホラー。音に反応し人間を襲う何かが潜む世界で、音を立てずに生き延びようとする一家を映す。ドラマシリーズ「ザ・オフィス」などのジョン・クラシンスキーが監督と出演を兼ね、『ワンダーストラック』などのミリセント・シモンズ、『サバービコン 仮面を被った街』などのノア・ジュープらが共演する。生活音が未曽有の恐怖を生み出し、一家に次々と危機が訪れる。(シネマトゥデイより引用)

感想

いやー、観ている間ずっと緊張しっぱなしでしたねー。

公開時、ネット上では「劇場で音を立てるのが躊躇われる」という感想をよく見かけたんですが実際観てみると、さもありなんって感じでした。

“世界が終わった後”からスタートする物語

本作のストーリーをざっくり説明すると、音を立てると襲ってくるバケモノによって滅亡した世界に暮らす家族の物語です。

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画像出典元URL:http://eiga.com /バケモノの襲撃で壊滅した街から物語はスタート

こうした“世界が終わった後”からスタートする物語は、主に低予算のゾンビ映画などではよく使われる手法です。
少ない登場人物や最小限の表現と物語で、「世界に何が起こったか」を観客に想像させることが出来ますからね。

本作のバケモノは恐らくエイリアンで、大都市を中心に人類の大半は既に滅亡しています。
その過程で分かったのは、
・バケモノには視覚がなく、聴覚で獲物(人間)を狩っている。
・力も強く動きも俊敏、外骨格なので銃弾や刃物も通りにくい?(殺せないわけではないけど、一匹と戦う音で他のバケモノが集まってくる)

主人公のアボット一家が助かったのは、長女リーガン(ミリセント・シモンズ)が聾者で、家族が手話で意思の伝達が出来たからというのが大きいんですね。

それを表現しているのが冒頭部分で、風邪をひいた次男マーカス(ノア・ジュープ)の為に医薬品を補充するため、アボット一家は街のドラッグストアに行くんですが、そこで三男ビュー( ケイド・ウッドワード)がスペースシャトルのおもちゃを見つけます。

音の出るおもちゃなので、父のリー(ジョン・クラシンスキー)は持ち帰る事を禁止しますが、姉のリーガンはこっそりビューにおもちゃを渡すんですね。

しかし、幼いビューは帰り道でそのおもちゃの音を鳴らしてしまい――となるんですが、この時、音にみんなが振り返るのにリーガンは気づかずポカンとしてるわけです。

で、中盤にリーがリーガンに新しい補聴器を渡すことで、彼女が聾者である事が明らかになるんですね。

劇中では、3回くらいまったくの無音になるシーンがあるんですが、それはリーガンの聴覚で捉えた世界を表しています。

また、リーガンを演じるミリセント・シモンズは本当に耳が不自由な女の子で、現場では手話指導もしていたのだとか。
それが本作でのリアリティーを担う一因になっていたようです。

静の前半と動の後半

そんな感じで、物語前半は主に世界の説明や家族の状況や関係性を描いていて、バケモノはほとんど登場しません。

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画像出典元URL:http://eiga.com /親子ゲンカも手話で

ビューの死後に自分を責め、父親にも嫌われていると思い込んでいるリーガンと、父親リーの関係があまり上手くいっていないこと、母親イヴリンエミリー・ブラント)が妊娠、出産間近であることが描かれます。

その分、マーカスとリーが食料調達のため森から帰る中盤以降、具体的には爺さんの叫び声を合図に始まる後半は、イヴリンの出産、子供達のピンチが同時進行で訪れるという怒涛の展開が続くんですね。

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画像出典元URL:http://eiga.com /出産の痛みと迫り来るバケモノに追い詰められるイヴリン

本作の脚本が上手いのは、この静かな前半部分で張ったサスペンスとドラマの伏線を全て、後半のクライマックスで一気に回収しているところだと思います。

もちろん、細々した部分をほじればアラは出てくるし、ネットでも盛大にツッコまれていた「こんな時に子供作ってる場合か」問題もありますが、ここでのイヴリンの出産は単に物語を盛り上げるためだけの仕掛けではなく、出産=赤ん坊の誕生=未来への希望の象徴なので、そこをツッコむのは野暮な感じがしますねー。

ホラーの音響演出

実はホラー映画で一番大切なのは「音」の演出だったりします。
例えば、今やスラッシャーホラーの古典ともなっている悪魔のいけにえ(1974)は、その後のスラッシャーホラーと比べると残酷なシーンはかなり少ないんですが、屠殺場の鉄ドアを閉める音や、耳に残るチェーンソーの音が効果的に恐怖を増幅しているんですね。

一方、本作は音を足し算するのではなく、むしろ引き算することで恐怖を煽る映画なので、音響の人たちはサウンド設計にかなり苦労をしたのだとか。

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画像出典元URL:http://eiga.com / 次男マーカスと森に行った帰りに…

そのまま録音すると、うるさすぎる自然音から必要な音以外を差し引いて静寂を作っていったんだそうです。それが映画全体を支配する緊張感に繋がっているんですね。

僕はDVDで観たからまだいいけど、これを映画館で観た人はかなり怖かったんじゃないかって思いましたねー。

興味のある方は是非!!

 

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