今日観た映画の感想

映画館やDVDで観た映画の感想をお届け

一筋縄ではいかない作品「音楽」(2020)

ぷらすです。

今回ご紹介するのは俳優としても活躍する漫画家・大橋裕之原作の「音楽と漫画」を、岩井澤健治監督が7年をかけて完成させた”自主制作長編アニメ“『音楽』ですよー!

劇場公開時に噂には聞いてましたが、実際に観てみると「おぉぉ…何か凄いもん観た…(;゚Д゚)」感のある作品でしたねー。

https://eiga.k-img.com/images/movie/91358/photo/94cbf0520b80c9f2.jpg?1571380444

画像出展元URL:http://eiga.com

概要

大橋裕之の原作を基に、岩井澤健治監督がおよそ7年かけてほぼ個人制作で作り上げたアニメーション。楽器に触れたことがない不良たちがバンドを結成し、ロックフェスティバルへの出演を目指す様子を、4万枚超の手描きの作画による映像で描き出す。主人公の声を元ロックバンド「ゆらゆら帝国」の坂本慎太郎が担当し、駒井蓮前野朋哉、芹澤興人、竹中直人天久聖一岡村靖幸らがボイスキャストとして参加している。(シネマトゥデイ より引用)

感想

一筋縄ではいかない作品

本作は俳優であり漫画家の大橋裕之原作のマンガ「音楽と漫画」を原作に、岩井澤健治監督がほぼ個人作業で7年かけて作り上げた自主制作アニメです。

以前、当ブログで堀貴秀監督がほぼ個人作業で7年をかけて作り上げたストップモーションアニメ「JUNK HEAD」のご紹介しましたが、 今アニメ業界では7年かけて1人で作品作るのが流行ってるんでしょうかw

で、原作マンガを描いた大橋裕之さんからして漫画家志望で週刊誌に投稿していたけどまったく賞に引っかからず、2005年から自費出版で作品を発表するうち最初は音楽雑誌で商業デビュー。
「週刊ビッグコミックスピリッツ」の巻末コーナーで4コマ漫画の不定期掲載など商業誌やウェブサイトなどでも活躍。竹中直人山田孝之、齊藤工が監督し今年4月2日に全国公開された映画「ゾッキ」の原作も大橋さんのマンガなんですよね。

そんな大橋さん原作の「音楽と漫画」を7年かけて長編アニメ化した岩井澤健治監督は、高校卒業後、映画監督の石井輝男監督に師事。
実写映画の現場から映像制作を始め、その傍らアニメーション制作を始めて2008年に初のアニメーション作品「福来町、トンネル路地の男」を完成させます。

www.youtube.com

以後、アニメーションを中心とした短編映画の制作を続けて2011年から自主制作長編アニメーション映画「音楽」の制作を始めたそう。
で、岩井さんは元々実写畑の人だからという事もあるのか、実写で撮影した映像をトレースなどで絵に起こしていく「ロトスコープ」という技法でアニメを制作していて、クライマックスのライブシーンでは実際にステージを組みミュージシャンや観客を動員してのライブを敢行したのだとか。

それだけでも一筋縄ではいかない感じですが、岩井監督はそれらの実写素材を基に、作画枚数40,000枚超を全て手描きで(しかも1人で)7年の歳月をかけて71分の長編アニメを作り上げたわけです。

「JUNK HEAD」の堀貴秀監督もそうですが、手法や制作にかけた年月、そして完成した作品のクオリティー全てにおいて一筋縄ではいかない、ある種の狂気を感じてしまうんですよねー。

どストレートに“初期衝動”を描く

本作の主人公・研二坂本慎太郎)は他校の生徒にも名前を知られた不良少年。(見た目は完全にオッサンですがw)

そんな彼はある日偶然エレキベースを手に入れたのをキッカケに、思い付きで友人の太田前野朋哉)と朝倉(芹澤興人)を誘ってバンド「古武術」を始めるんですね。
しかし研二は、ギターとベースの違いも分からないくらい音楽の素人だし、他の二人も似たり寄ったり。

https://eiga.k-img.com/images/movie/91358/photo/eacc05a8e9fc5bcb/640.jpg?1559879284

画像出展元URL:http://eiga.com

音楽室に置かれていたベースとドラムをパクった3人は、研二の部屋で初めて音を鳴らすんですが、初めて音をだした瞬間に音楽の快感に目覚め、同じ高校のフォークバンド「古美術」の森田(平岩 紙)との出会いもあって、地元の音楽フェスに参加する事になるのだが――というストーリー。

まぁ、ざっくり一言で言えば不良少年がバンドを組んでフェスに参加するだけの超シンプルな物語なんですが、この作品が凄いのは、例えば最初はノリで始めたバンドが何らかの壁にぶつかる――とか、3人の間で軋轢が――とか、色んな挫折を乗り越えて――とか、そういうバンドの苦労みたいな描写は一切なくて、もっともっと手前。「音を鳴らすのって楽しい」っていう”初期衝動”を描くことだけに全てを注いでいるんですよね。

なのでストーリーに注目して映画を観るひとに本作は、「都合がよすぎる」とか「そんなバカな」って思うかもですが、そんな本作にリアリティーを持たせて作品を下支えしているのが伴瀬朝彦(片想い)、澤部渡(スカート)、剣持学人(グランドファンク取締役社長)らが手掛けた音楽の力と、それを聞いた森田や観客の、ビートルズの劇場アニメ「イエローサブマリン」を彷彿させるような脳内イメージの描写や、迫力満点なライブシーンの描写です。

https://eiga.k-img.com/images/movie/91358/photo/a3143e4f27eeae90/640.jpg?1574298398

 

ホントは「古武術」の音楽について色々語りたいけど、残念ながら僕は音楽に対してはホントに無知で、何かを語れるほどの語彙を持ち合わせてないんですよね。

ただ、クライマックスの研二に、最初は思わず笑ってしまうんだけど次第に映像と音に飲み込まれていくような感覚は、中々味わえない貴重な体験なんじゃないかと思いましたねー。

興味のある方は是非!!

 

▼良かったらポチッとお願いします▼


映画レビューランキング