今日観た映画の感想

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これはミュージカルだ!「アメリカン・ユートピア」(2021)

ぷらすです。

今回ご紹介するのは元トーキング・ヘッズデヴィッド・バーン2018年リリースの同名アルバムが原案の舞台を、スパイク・リー監督で映画化した『アメリカン・ユートピア』ですよー!

なるほど、観た人が口々に褒めたたえていた理由が分かる凄い映画でした!

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画像出展元URL:http://eiga.com

概要

デヴィッド・バーンによるアルバム「アメリカン・ユートピア」が原案の舞台を映画化。2019年秋よりブロードウェイで上演された舞台を再構築し、デヴィッド・バーンと11人のミュージシャンやダンサーたちが舞台に上がる。『ドゥ・ザ・ライト・シング』などのスパイク・リーが監督を務め、デヴィッドと共に製作も手掛け、ラジオDJや音楽評論家などの肩書を持つピーター・バラカンが字幕監修を担当している。(シネマトゥデイより引用)

感想

デヴィッド・バーントーキング・ヘッズを知らなくても全然OK!

実は僕は、この映画を映画館ではなく今回Amazonレンタルで観たんですが、何故かと言うとデヴィッド・バーンも彼が所属していたトーキング・ヘッズも、一度も聞いたことがなかったから(お店とかTVでかかってて耳に入ったりはあるかも)で、そんなまったく知らない人のコンサートを映画館で観てもなー……っていう。

もしかしたら、僕と同じ理由で本作を観てない人も多いのでは?って思うんですが、結論から言えばそれは全くの杞憂でした。どころか、ちゃんと音のいい映画館で観なかった事を激しく後悔する凄い映画でしたよ!!・゜・(ノД`)・゜・

とにかく、まだ本作を見てなくて配信やレンタルDVDで観られる環境の人は絶対に観た方がいいですよ!

そんな本作をざっくり説明すると、元トーキング・ヘッズデヴィッド・バーン(69歳)が2018年にリリースしたアルバムアメリカン・ユートピア」を原案に作られ、2019年ブロードウェイで上演された伝説のショーを、「ブラック・クランズマン」のスパイク・リーが映画として再構成してるんですね。

最初、グレーのスーツに白髪で、脳みその模型を持って椅子に座っている裸足のおじいちゃんを真上から映すシーンからスタート。

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このおじいちゃんがデヴィッド・バーンなんですけど、音楽に合わせて脳を指さしながら「ここは記憶を蓄える部分~♪」とか「右脳と左脳はここで繋がってる~♪」とか歌いだして、観てるコッチは「え、え、何この変な歌」って混乱しつつもデヴィッド・バーンにガッツリ掴まれてしまいます。(ちなみに、この作品全曲和訳の歌詞が字幕に入ってます)

舞台は正面以外の3方向を簾みたいので仕切った四角い空間で、アンプもスピーカーも何もない。

すると曲の途中で男女のコーラス兼ダンサーが簾から入ってきて一緒に歌い踊り、次の曲ではキーボードが、その次は弦楽器とパーカッション――みたいに、徐々に楽器が増えていくんですが、この演奏者たちは全員肩から楽器を下げてて、マーチングバンドみたいに、舞台せましと動き回り、踊りながら演奏するという構成。

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しかもこの人たちの楽器、パーカッションはともかく、エレキギターやベース、キーボードにも線がついてないんですよね。(ブルートゥースPAに送ってる?)

で、そんなダンサーや演奏を従えたデヴィッド・バーンが歌い、演奏し、踊り、曲の間にMCも担当するんですが、まぁ踊りと言っても、例えばマイケル・ジャクソンみたいな凄いダンスってんじゃなくて、ふかわりょう……は違うか。頑張って練習したら小学生でも踊れそうなシンプルな動きで構成されたダンスなんですよね。(全曲分覚えるのは大変だろうけど)

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ところがそんなシンプルな動きも、ダンサーや演奏者たちの動きとシンクロすることで、複雑で、どこか有機的な、見ごたえのある動きになっていくのです。

これは、ダンスだけに限らず歌やMCなどステージ全般に言えることで、例えば歌詞で使っているワードは凄くシンプルで簡単な言葉ばかりですが、それを積み重ね、サビのキラーワードで曲のテーマが一気に露わになり、観客はそこで「お!」と思う。

また、最初のあのヘンテコな脳みその歌が、ショーの根幹となるテーマの伏線になっていたり、前述したようにショーが進む毎に楽器やコーラスが増えることで音の厚みが増し、全体にどんどんグルーブが掛かっていくという。

デヴィッド・バーンのMCも、最初こそ彼の容姿も相まって学校の授業を聞いてるみたいだけど、ショーが進むとバーンのMCが楽曲と音楽やダンスというパーツを縫い合わせ、一枚の物語に紡ぐいでいく”糸”の役割をしている事が分かっていくんですね。

で、それが極に達するのが、ブラック・ライブズ・マターを訴えるジャネール・モネイのプロテストソングをステージ上の全員が熱唱する「Hell You Talmbout」

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「一体何を言ってるんだ!?」という歌詞以外は、不当に命を奪われたアフリカ系アメリカ人たちの名前を連呼するというだけの歌なんだけど、それまでの歌とダンスで、このステージがアメリカや世界の様々な問題にコネクトしてるのが、分かった上でのこの曲ですからね。

何かもうね、感情が高ぶっちゃってよく分からないけど号泣してしまいましたよ!

多分、(前述したように)僕は「トーキング・ヘッズ」もデヴィッド・バーンもまったく知らなかった分、先入観とか余計なフィルターを通すことなく、デヴィッド・バーンがこのステージに込めたメッセージを、全部まともに受け取っちゃったから、その分衝撃や感動も大きかったんでしょうね。

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ただ、この作品は歌詞もMCも英語なので全部字幕読まなくちゃだし、同時に歌やダンスも観なくちゃだからメッチャ情報量が多くて忙しくて疲れますけどねw

でもまぁ、少なくとも最初の一回は、歌詞の字幕は全部読んだ方がいいと思います。このショーではとにかく歌詞が一番大事ですからね。

ちなみに今回の字幕は、YMOのマネジメント事務所で、YMOの国外コーディネートや楽曲の英補作詞などを担当、テレビやラジオでも活躍するピーター・バラカンで、しっかり日本語の詩として意味が通じるように翻訳してくれてるのですごく読みやすいですよ。

個人的には、本作は”デヴィッド・バーンのライブ“ではなく“デヴィッド・バーン“主演のミュージカルとして捉えると、「トーキング・ヘッズ」やデヴィッド・バーンのファンじゃない人も楽しめるんじゃないかと思います。

興味のある方は是非!!

 

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